JP3021674B2 - 燃料噴射ポンプ - Google Patents

燃料噴射ポンプ

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JP3021674B2
JP3021674B2 JP2406594A JP40659490A JP3021674B2 JP 3021674 B2 JP3021674 B2 JP 3021674B2 JP 2406594 A JP2406594 A JP 2406594A JP 40659490 A JP40659490 A JP 40659490A JP 3021674 B2 JP3021674 B2 JP 3021674B2
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榎本  滋郁
融 吉永
誠幸 阿部
幸弘 篠原
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はディーゼルエンジン
等の内燃機関に使用する燃料噴射ポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】内燃機関、特にディーゼルエンジンにお
いては排気ガスの性状改善やエンジン性能向上のため燃
料噴射制御の精度向上が要求されている。このため、従
来より、ソレノイド駆動の電磁スピル弁を用いてプラン
ジャの加圧行程中に溢流通路を開閉することにより燃料
噴射時期や噴射量を制御する電子制御式の燃料噴射ポン
プが考案されている。しかし、近年のディーゼルエンジ
ンの高速化,多気筒化等の傾向から燃料噴射制御精度の
一層の向上が必要とされており、電磁スピル弁以上の高
応答性を有する制御装置が要求されるようになってい
る。
【0003】そのため、高い応答性を有する電歪素子を
用いて変圧室の容積を変化させ、変圧室内の流体圧変化
によりスピル弁の弁体を駆動して溢流通路を開閉するよ
うにした電歪式噴射制御装置が開発されている。(特開
昭63−065132号公報参照)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、特開昭63−06
5132号公報に見られるように、従来の燃料ポンプの電歪
式噴射制御装置では、スピル弁閉弁時には燃料油圧力が
スピル弁の弁体に作用して弁体の開弁方向に力を加える
構造になっているため、例えば燃料噴射弁の噴射圧力が
高く、スピル弁閉弁時に燃料油圧力が大きく上昇するよ
うな場合、燃料噴射中にスピル弁が燃料油圧力に負けて
開弁してしまう問題が生じる可能性がある。
【0005】また、同様にスピル弁開弁時には溢流通路
を通って流出する燃料油圧力がスピル弁の閉弁を阻止す
る方向に働くが、ポンプの送油率が高い場合にはこの圧
力も大きくなり、パイロット噴射を行うときにスピル弁
の閉弁動作が不安定になる問題が生じる。このため、溢
流通路の径を絞り、弁体に作用する力を低減する必要が
あったが、このように溢流通路の径を絞ると、溢流通路
を通って流れる燃料油流量を大きく設定できないため、
ポンプ自体の送油率が制限されてしまい、最大燃料噴射
量や噴射率が低下してしまう問題が生じる。
【0006】上記問題を解決するためには、スピル弁の
弁体としてスプールを用いることが考えられるが、スプ
ール弁は構造上弁体の作動行程を大きくとる必要があ
り、応答性が低下する問題があり、使用することはでき
ない。本発明は上記問題に鑑み、燃料噴射圧力が高い場
合でも確実に作動し、送油率を下げることなく高い応答
性を確保できる噴射制御装置を備えた燃料噴射ポンプを
提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、シリン
ダ内に形成される圧力室内の燃料を加圧する往復動プラ
ンジャと、圧力室内の加圧燃料を燃料噴射弁に供給する
噴射燃料通路と、前記圧力室とシリンダ外の低圧部とを
連通する溢流通路と、該溢流通路を開閉する制御弁とを
備えた燃料噴射ポンプであって、前記制御弁は、弁座に
押圧される円筒形状弁体を備え、該弁体は弁体端面周縁
部で前記弁座に当接し前記溢流通路を閉塞すると共に、
閉弁時に前記弁体端面が前記溢流通路低圧側に面し、更
に、前記弁体端面周縁部が前記弁座に当接する位置より
下流側に、円筒状または円柱状からなり前記弁体の軸線
方向に弁体端面から突出する前記弁体よりも小径の突出
部を有し、前記弁体の開弁時において該突出部の端面が
前記溢流通路と区画された、前記溢流通路より圧力が低
い低圧室に面することを特徴とする燃料噴射ポンプが提
供される。
【0008】
【作用】円筒形弁体と弁座との間のシールは弁体の円筒
端面周縁部で行なわれるため閉弁時上記シールにより溢
流通路が閉塞されると弁体の端面には溢流通路上流側の
燃料油圧力が作用しない。また溢流通路上流側の燃料油
圧力は弁体の側面から軸線に対して直角方向に向けて作
用するため、弁体を開弁方向に向けて押圧する力が発生
しない。
【0009】また、更に上記弁体端面から小径の突出部
を設け、この突出部端面が制御弁開弁時に溢流通路と区
画された低圧室に面するようにしたため、突出部端面に
は開弁時には溢流通路内の圧力より低い低圧室内の圧力
が作用する。このため、制御弁開弁時にも弁体を開弁方
向に向けて押圧する力を少くでき、パイロット噴射を行
う際、開弁時に溢流通路内の圧力が高くなっても制御弁
閉弁動作を円滑に行うことができる。
【0010】
【実施例】次に図1から図8を用いて本発明の第1の実
施例を説明する。図1は本発明を適用した燃料噴射ポン
プの一実施例の構成を示す縦断面図である。本実施例の
燃料噴射ポンプ1は分配型ポンプで、シリンダボア2内
に摺動自在に支持されたプランジャ3は、図示しないエ
ンジンによって駆動され、エンジン回転数の2分の1の
回転数に同期して回転往復運動を行なう。
【0011】プランジャ3はその外周に、1個の分配ポ
ート4とエンジン気筒数と同数の吸入グルーブ5とが形
成され、このプランジャ3の先端面とシリンダボア2と
の間には圧力室6が形成されている。シリンダ7及びケ
ーシング8には、低圧室9とシリンダボア2とを連通す
る吸入通路10と、外部の各噴射弁11をシリンダボア2に
導通可能な分配通路12とが形成されている。この分配通
路12はエンジン気筒数と同数設けられるとともに、その
途中にはそれぞれデリバリ弁13が設けられている。デリ
バリ弁13はばね14に抗して開放可能であり、逆止弁とし
ての機能および吸戻し弁としての機能を有する。
【0012】従って、プランジャ3が図中左行して圧力
室6が膨張する時、すなわち吸入行程時にはいずれかの
吸入グルーブ5が吸入通路10に導通して低圧室9内の燃
料が圧力室6に吸入され、これとは逆に、プランジャ3
が図中右行して圧力室6が圧縮される時、すなわち圧縮
行程時には、分配ポート4がいずれかの分配通路12に導
通して圧力室6内の加圧燃料が外部に吐出される。
【0013】なお、プランジャ3が右行し始める時期
は、噴射弁11に噴射開始が要求される時期よりも十分に
早く、プランジャ3の右行を停止する時期は、噴射弁11
に噴射停止が要求される時期よりも十分に遅くなるよう
に固定されている。燃料噴射ポンプ1のケーシング8に
は、本発明によるスピル弁すなわち圧力制御弁15が設け
られており、この圧力制御弁15により燃料噴射ポンプ1
の燃料噴射開始時期、噴射量、噴射率が制御される。
【0014】圧力制御弁15は、本実施例においては、電
圧の印加に応じて伸縮する電歪体であるピエゾ積層体16
と、このピエゾ積層体16の伸縮変位を受けて変位するピ
ストン17と、このピストン17を図中上方に付勢する皿バ
ネ18と、前記ピエゾ積層体16、ピストン17、皿バネ18を
収納するピエゾハウジング19と、キャップハウジング20
と、スピル弁の弁体であるバルブニードル21と、このバ
ルブニードル21を常に開弁方向に付勢するスプリング22
と、バルブニードル21、スプリング22を収納するバルブ
ハウジング23とから構成されている。
【0015】バルブハウジング23はノックピン24により
ケーシング8に固定されており、圧力制御弁15全体はケ
ーシング8に螺着されている。またピエゾハウジング19
とピストン17との間にはバルブニードル21を閉弁方向に
付勢する圧力を発生する変圧室25が形成されている。ま
たピストン17は圧力室25内に配設された皿バネ18により
変圧室25の容積を増大する方向に付勢されている。26は
ピストン17外周とピエゾハウジング19との間から変圧室
25内の圧力が洩れることを防止するためのOリングであ
る。
【0016】ピエゾ積層体16は、本実施例では直径15m
m、厚さ0.5mmの円板状のPZT素子と、直径15mm、厚
さ0.1mmの銅板とを交互に積層して円板状にしたもので
あり、各々PZT素子の厚み方向に並列に電圧を印加で
きるようにリード線27と銅板とが結合されている。リー
ド線27はグロメット28を介してピエゾハウジング19の外
部へ伸びていて、図示しない制御回路に接続されてい
る。
【0017】PZT素子はチタン酸ジルコン酸鉛を主成
分として焼成された強誘電体セラミックスであり、電歪
効果を有する代表的な素子である。その物性は、厚み方
向に500Vの電圧を印加すると0.5μm厚みが増し、逆
に 500Vの電圧が発生している時にこれをショートさせ
ると0.5μm厚みが減り、また厚み方向に 200kg/cm 2
の圧力を作用させると厚み方向に 200Vの電圧が発生す
るというものである。
【0018】本実施例において、ピエゾ積層体16はPZ
T素子を 100枚積層して電気的に並列に結合したもので
あり、従って 500Vの電圧を印加すると全体で50μmの
伸長が得られる。皿バネ18により図中上方に付勢されて
いるピストン17は、前記ピエゾ積層体16の伸縮を受けて
ピエゾハウジング19内で摺動し、変圧室25の容積を変動
させる。
【0019】バルブニードル21はバルブハウジング23内
に摺動自在に配設されており、このバルブニードル21の
ケーシング8側にはスプリング室29が形成されている。
また、スプリング室29にはバルブニードル21を常時開弁
方向に付勢するスプリング22が挿入されていて、このス
プリング室29はケーシング8に穿設された溢流通路下流
側(低圧室通路)30を介して低圧室9に導通している。
また、バルブニードル21の図中上方には、ピエゾハウジ
ング19に穿設された変圧室通路31があり、ピエゾ積層体
16が伸長し変圧室25の容積減少に伴ない変圧室内圧力が
増大するとバルブニードル21はシート面32に着座して圧
力室6に通じる溢流通路上流側(圧力室通路)33とスプ
リング室29との連通が遮断される。さらに、バルブニー
ドル21の図中上方には、ピエゾハウジング19に溝34が形
成され、変圧室25と圧力室6は、連通通路35によって連
通している。
【0020】図2は本実施例のバルブニードル21の形状
を示す、バルブハウジング23の切取図である。バルブニ
ードル21は中実の円柱形状であり、バルブハウジング23
に形成されたボア内に摺動自在に配設されており、変圧
室25の圧力が増大するとバルブニードル21の下端部のシ
ート面36はバルブハウジング23に形成された弁座のシー
ト面32に押圧される。
【0021】圧力室通路33はバルブニードル21の側面全
周にわたって開口している。またバルブハウジング23の
前記シート面32の角度θ1 はバルブニードル21のシート
面36の角度θ2 より小さく設計されている。そのためピ
エゾ積層体16が伸長しバルブニードル21がシート面32に
着座した時、バルブニードル端面の周縁部37がシート32
に当接し、この部分でシールが行なわれて圧力室通路33
とスプリング室29が遮断される。従って閉弁時、圧力室
通路33内の圧力はバルブニードル21の半径方向にのみ作
用することとなり、バルブニードルを開弁方向に押圧す
る力は発生しない。このため、圧力室通路33の圧力が高
い場合でも、バルブニードル21が弁座32から離れること
がなく、圧力室通路33の遮断が確実に行なわれる。
【0022】次に、図3〜図6を用いて本実施例の作動
を説明する。図3〜図5は本実施例の作動状態を示す断
面図で、図3は吸入行程時の状態図、図4は噴射開始時
の状態図、図5は噴射終了時の状態図、図6は本実施例
の時間の経過につれての各部の動きを示した作動説明図
である。プランジャ3の吸入行程時には、図3に示され
るように、プランジャ3の吸入グルーブ5は、フィード
ポンプ(図示せず)より数気圧に加圧された燃料が供給
される吸入通路10に導通し、プランジャ3の図中左方向
の移動とともに低圧室9の燃料を圧力室6内に吸入す
る。ここで、吸入通路10と導通している吸入グルーブ5
と 180°ずれた位置になる別の吸入グルーブ5は連通通
路35と導通しており、スプリング室29及び変圧室25は図
6に示されるように低圧室9と同じ圧力の5kg/cm2
なっている。
【0023】プランジャ3の吸入行程が終了すると、吸
入通路10と圧力室6との連通がプランジャ3の回転によ
り遮断され、連通通路35と圧力室6との連通も同様に遮
断される。プランジャ3の圧縮行程時には、図示しない
制御回路から 500Vの噴射開始信号がピエゾ積層体16に
印加され、図4に示されるようにピエゾ積層体16は伸長
し、ピストン17を皿バネ18に抗して押し下げて変圧室25
の容積を縮小させる。このため、変圧室25、圧力は図6
に示されるように70kg/cm2 に上昇し、バルブニードル
21はシート面32に押しつけられて圧力室6とスプリング
室29との導通が遮断される。この時バルブニードル21の
リフトは0.2mmであり、十分な応答性が得られる。
【0024】圧力室6の圧力はプランジャ3の右行とと
もに上昇してゆき、噴射弁11の開弁圧である 160kg/cm
2 に達すると図4に示されるように噴射を開始する。そ
の後、プランジャ3は右行を続けこの右行につれて圧力
室6内の圧力はさらに上昇する。ここで、バルブニード
ル21の直径d1 は7mmであり、変圧室25内の圧力は70kg
/cm2 となっている。従って、バルブニードル21の下方
向の閉弁力F1 は、F1 =70×(π/4)×(0.7)2
26.9kgf となる。
【0025】プランジャ3の噴射終了時には、制御回路
によりピエゾ積層体16に印加されていた 500Vの印加電
圧が解除され、図5に示すように、ピエゾ積層体16は収
縮し、ピストン17は皿バネ18により上昇する。これによ
り、変圧室25の容積は増加し、変圧室25、の圧力は、図
6に示されるように70kg/cm2 から5kg/cm2 まで低下
する。この状態では、バルブニードル21の閉弁力F2
2 =5×(π/4)×(0.7)2=1.9kgfとなり、スプ
リング22のセット荷重F3(3kgf 程度とされる)より小
さくなりバルブニードル21は上方向に移動して開弁し、
圧力室6の燃料はスプリング室29、低圧室通路30を経て
低圧室9にスピルされ、圧力室6の圧力は低圧室9の圧
力まで低下する。
【0026】以上のように、本実施例の燃料噴射ポンプ
1によれば、噴射開始時期はピエゾ積層体16の伸長時期
を調整することで制御でき、噴射終了時期(噴射量)は
ピエゾ積層体16の収縮時期を調整することで制御でき
る。また、バルブニードル21の下方向の閉弁力F1 に対
向する力はスプリング22のセット荷重F3 とスプリング
室29の圧力だけであり、圧力室6の圧力には依存しな
い。従って圧力室6の圧力が高い場合でもバルブニード
ル21に開弁方向の力が加わることがなく、バルブニード
ル21が確実に閉弁保持される。
【0027】なお、噴射弁11の開弁圧がそれほど高くな
く、圧力室6の圧力がそれほど高くならない場合には、
図2に示すバルブニードル21に代えて図7に示すバルブ
ニードル21aを使用してもよい。バルブニードル21aは
シート径d2 のシート38を持ち、バルブハウジング23の
シート面32の角度θ1 に対して図中の角度θ23 は次
のような関係を持つ。
【0028】θ3 <θ1 <θ2 圧力室通路33とスプリン
グ室29との遮断はシート38及びシート面32が閉じること
により行われる。またシート径d2 は以下に示す関係を
満たすように決める。 F1 >F3 +F4 +F5 ここで、F1 およびF3 は前述のバルブニードル21の閉
弁力およびスプリング22のセット荷重であり、F4 およ
び、F5 は、 F4 =Pmax ×(π/4)×(0.72−d2 2) F5 =5×(π/4)×d2 2 である。ただし、ここで、Pmax は圧力室9の最大圧力
であり、低圧室9の圧力は5kg/cm2 とした。
【0029】また、本実施例と同一構成で噴射率制御
(パイロット噴射)を行なうことも可能である。図8は
噴射率制御を行った場合の時間の経過につれての各部の
動きを示した作動説明図である。図8において、図6と
異なるのは、ピエゾ積層体16を伸長させた後、一旦収縮
させ、再び伸長させている点である。従って、この収縮
の際に変圧室25の圧力が低下し、バルブニードル21は瞬
間的に開弁し、再び閉じる。これにより、圧力室6の圧
力も低下し、噴射が一旦途切れ、パイロット噴射が行わ
れる。
【0030】このように、ピエゾ積層体16の収縮時期及
び収縮期間を変えることでパイロット噴射、メイン噴射
の噴射量や、パイロット噴射とメイン噴射との間隔等を
自由に制御することができる。次に、図9〜図13を用い
て本発明の第2の実施例を説明する。図9は本実施例の
バルブニードル21を示し、第1の実施例でパイロット噴
射を行った時にピエゾ積層体が一旦収縮してバルブニー
ドル21が瞬間的に開弁し、再度閉弁しようとしている状
態を示し、図10に示す作動説明図において(c)の状態
である。このとき、バルブニードル21には図9矢印に示
すように閉弁方向と反対向きに力PB ( 背圧) がかかっ
ている。そのためパイロット噴射を行うとき送油率が高
い燃料噴射ポンプにおいては、回転数や閉時期により背
圧が変化するためバルブニードル21の下方向への閉弁力
1 より、背圧PB によりバルブニードル21が受ける力
(PB ×(π/4)×d1 2) の方が大きくなる場合があ
り(図10(c))、閉動作が不安定となり噴射量がバラつく
という問題が生じる恐れがある。
【0031】本実施例ではこの問題を防止するため、図
11に示すような構成としている。図11においてバルブニ
ードル21の下端面には、バルブニードル21と同軸にバル
ブニードル本体より小径の中空円筒状のスカート39が形
成されるとともに、スプリング室29と低圧室9とを連通
する通路40とは別に、バルブニードルの前記スカート部
39側面に対向するバルブハウジング23壁面に開口する溢
流通路(低圧室通路)41が設けられ、低圧室9とスカー
ト部39側面部分を連通している。
【0032】また、図11に示すようにスカート部39外径
3 と弁座32の内径d4 との差はバルブニードル21の最
大リフトx(x=0.2mm)より充分に大きくとられてお
り、例えばd3 =5.0mmに対しd4 =6.0mm程度とされ
ている。このため、この部分が燃料の溢流に対して絞り
となることはない。一方、スカート部39下部ではスプリ
ング室29の内径d5 はスカート部39外周と比較的小さ
なクリアランスを持つようにされており、(例えばd5
=5.05mm) この部分から燃料油がスプリング室29に流入
する際に大きな抵抗を与えるようにしてスプリング室29
圧力を低く保持するようにしている。
【0033】上記のように構成したことから、本実施例
においては、背圧PB によりバルブニードル21に加わる
上向きの力は第1の実施例に対して(d1 2−d3 2)/d
1 2 倍(本実施例では0.48倍)となり、上向きの力が減
少する(図12)。このため、送油率が大きい場合でもバ
ルブニードル21の閉弁を阻止する力は小さく、閉動作が
安定するため、従来のように圧力室通路33の径を小さく
する等の対策が不要になり、送油率や最大噴射量を低下
させることがない。
【0034】なお本実施例ではバルブニードル21下部に
中空のスカート部39を設けたが、第13図に示すように中
実円筒状突起部42の形状としても同様な効果が得られ
る。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように本発明の燃料噴射ポ
ンプによれば燃料噴射圧力が高い場合や、送油率が高い
場合でも、制御弁が確実に作動するため、高応答、高精
度の燃料噴射制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用する燃料噴射ポンプの実施例縦断
面図である。
【図2】図1の実施例のバルブニードル形状を示す図で
ある。
【図3】図1の実施例の燃料ポンプの吸入行程の作動状
態を示す図である。
【図4】図1の実施例の燃料ポンプの燃料噴射行程の作
動状態を示す図である。
【図5】図1の実施例の燃料ポンプの燃料噴射終了時の
作動状態を示す図である。
【図6】図3から図5に示した状態における各部の作動
状態を説明する図である。
【図7】本発明の第1の実施例の改変例バルブニードル
形状を示す図である。
【図8】図1の実施例において、パイロット噴射を行な
った場合の各部作動状態を示す図である。
【図9】図1の実施例においてパイロット噴射を行なっ
た場合のバルブニードル状態を示す図である。
【図10】図1の実施例において、パイロット噴射を行な
う際、噴射圧が高い場合のバルブニードルが受ける力
と、各部作動状態との関係を示す図である。
【図11】本発明の第2の実施例のバルブニードル形状を
示す図である。
【図12】図11の実施例においてパイロット噴射を行なう
際、噴射圧が高い場合のバルブニードルが受ける力と各
部作動状態との関係を示す図である。
【図13】本発明の第2の実施例の改変例のバルブニード
ル形状を示す図である。
【符号の説明】
1…燃料噴射ポンプ 3…プランジャ 6…圧力室 9…低圧室 11…燃料噴射弁 13…デリバリ弁 15…圧力制御弁 16…ピエゾ積層体 17…ピストン 21…バルブニードル 22…スプリング 25…変圧室 29…スプリング室 30…低圧室通路 33…圧力室通路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 篠原 幸弘 愛知県西尾市下羽角町岩谷14番地 株式 会社日本自動車部品総合研究所内 (56)参考文献 特開 平1−92535(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F02D 1/02 F02D 1/18 F02M 41/12

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリンダ内に形成される圧力室内の燃料
    を加圧する往復動プランジャと、圧力室内の加圧燃料を
    燃料噴射弁に供給する噴射燃料通路と、前記圧力室とシ
    リンダ外の低圧部とを連通する溢流通路と、該溢流通路
    を開閉する制御弁とを備えた燃料噴射ポンプであって、 前記制御弁は、弁座に押圧される円筒形状弁体を備え、
    該弁体は弁体端面周縁部で前記弁座に当接し前記溢流通
    路を閉塞すると共に、閉弁時に前記弁体端面が前記溢流
    通路低圧側に面し、更に、前記弁体端面周縁部が前記弁
    座に当接する位置より下流側に、円筒状または円柱状か
    らなり前記弁体の軸線方向に弁体端面から突出する前記
    弁体よりも小径の突出部を有し、前記弁体の開弁時にお
    いて該突出部の端面が前記溢流通路と区画された、前記
    溢流通路より圧力が低い低圧室に面することを特徴とす
    る燃料噴射ポンプ。
  2. 【請求項2】 シリンダ内に形成される圧力室内の燃料
    を加圧する往復動プランジャと、圧力室内の加圧燃料を
    燃料噴射弁に供給する噴射燃料通路と、前記圧力室とシ
    リンダ外の低圧部とを連通する溢流通路と、該溢流通路
    を開閉する制御弁とを備えた燃料噴射ポンプであって、 前記制御弁は、弁座に押圧される円筒形状弁体を備え、
    該弁体は弁体端面周縁部で前記弁座に当接し前記溢流通
    路を閉塞すると共に、閉弁時に前記弁体端面が前記溢流
    通路低圧側に面し、更に、前記弁体端面周縁部が前記弁
    座に当接する位置より下流側に、円筒状または円柱状
    らなり端面側の一部が前記溢流通路と区画された低圧室
    に挿入される小径円柱部が設けられ、該小径円柱部の側
    面と前記低圧室内壁との隙間から前記小径円柱部の端面
    側へ燃料が流出するのを制限する制限手段が設けられて
    いることを特徴とする燃料噴射ポンプ。
  3. 【請求項3】 前記弁体を開弁方向に付勢するスプリン
    グを備え、該スプリングを前記溢流通路の燃料流域から
    離れた位置に配置したことを特徴とする請求項2に記載
    の燃料噴射ポンプ。
  4. 【請求項4】 前記溢流通路は、前記弁座より下流側で
    前記小径円柱部側面に対向して前記低圧室内壁に開口す
    る連通孔を介して前記シリンダ外の低圧部と連通し、 前記制限手段は、前記連通孔開口部より前記小径円柱部
    端面側の前記低圧室内壁と前記小径円柱部側面との間の
    半径方向間隙を、前記連通孔開口部より前記弁体端面側
    の前記低圧室内壁と前記小径円柱部側面との間の半径方
    向間隙より小さく設定することにより構成されること
    特徴とする請求項2または請求項3に記載の燃料噴射ポ
    ンプ。
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