JP3016866B2 - 暖房ボイラのための熱交換器管 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は請求項１の上位概念に基づく暖房ボイラ、特
にガス燃焼ボイラのための熱交換器管に関する。

主としてガスの燃焼により運転される暖房ボイラであ
る燃焼ボイラでは、凝縮熱をも有効利用するために、排
ガス中水分が凝縮するまで燃焼ガスが冷却される。この
ことのための前提は、暖房ボイラを通過する燃焼ガス流
路の終端部ではボイラ水温度が燃焼ガスの露点温度に比
して低くなるように暖房ボイラを運転することにある。
暖房ボイラの水冷式熱交換器管を通過する燃焼ガスの可
能な限り短い流路で、現在のガスバーナでほぼ850℃で
ある高い流入温度から、露点温度と暖房ボイラの熱水戻
り路における例えば30℃の低いボイラ水温度との間の温
度まで燃焼ガスを冷却することが試みられている。この
ことのために、排ガス凝縮水に対して耐酸腐食性の鋼か
ら成る円筒状の滑らかな壁面を備えた外管と、この外管
内に挿入された断面星形のアルミニウム製成形挿入体と
から成る熱交換器管が公知である。普通使用されている
構造の暖房ボイラのためには、熱交換器管を囲むボイラ
水室を一方では燃焼室からかつ他方では暖房ボイラの排
ガス捕集器から仕切るための管底部もしくは管板に外管
の端部を挿入して溶接することができるように、この外
管は鋼から形成されていなければならない。鋼製の外管
とアルミニウム製の成形挿入体とから成るこの複合管
は、アルミニウムが鋼に比して大きな膨張係数を有する
ために成形挿入体が外管との接触箇所で温度上昇に伴っ
て増大する圧力により外管に熱伝達接触したままとなる
ので、高いガス流入温度により負荷されてしまう。この
種の公知の複合管では、外管の内部横断面を燃焼ガス通
流のために十分にあけておくために成形挿入体がその放
射状のアームの比較的横断面薄肉のコーム面のところで
のみ外管に接触していることにより、星形のアルミニウ
ム製成形挿入体から鋼製の外管への熱伝達が規定されか
つ制限されている。さらに、管板内へ鋼製の外管を挿入
して溶接するためには、アルミニウム製の成形挿入体の
星形のアームが外管の端部のところに発生する溶接熱に
より破壊されることを回避すべく外管の端部のところで
星形のアルミニウム製成形挿入体の端部が十分に引っ込
んでいなければならない。

本発明の課題とするところは、燃焼ガスからボイラ水
への一段と大きな熱伝達仕事を可能ならしめ、しかも簡
単に製作されると共に暖房ボイラ内への組込み時にさら
に加工することがてきるような冒頭に記載した形式の熱
交換器管を提供することにある。この課題は本発明によ
れば鋼製の外管とアルミニウム製の成形挿入体とから成
る熱交換器管を請求項１の特徴概念に記載のように構成
することにより解決される。

本発明に基づく熱交換器管の管体状の成形挿入体は有
利には両方の半割シェルの内側にコーム状に配置された
ひれにより燃焼ガスから熱を奪う極めて大きな内部表面
積を備えるように形成されることがてきると共に、特に
公知星形成形体に比して著しく大きな外部表面で鋼製の
水冷される外管の内側に接触しており、このことによ
り、燃焼ガスからボイラ水への熱伝達仕事が著しく増大
する。実験により確認されたところによれば、戻し温水
が暖房ボイラ内へ流入する際にほぼ30℃の水温を有する
燃焼ボイラでは、本発明に基づく熱交換器管はたったの
50cmの管長を有すれば、ほぼ850℃の温度で熱交換器管
内へ流入する燃焼ガスを本発明に基づく熱交換器管内で
戻り水温度よりわずかにしか高くないほぼ48℃の流出温
度まで降下させることができる。この著しい効果は燃焼
ボイラに適した従来公知の熱交換器管では決して得るこ
とができない。熱交換器管が短いことは別の著しい利点
をもたらす。すなわち熱交換器管の鉛直な配置では燃焼
ボイラの全高が比較的低く、かつ熱交換器管の水平な配
置では全長が短く形成され、従ってスペースの節約が得
られる。外管との大きな接触面積を有し、かつ内部に大
きな加熱面密度を有する成形挿入体の構成にもかかわら
ず、この管体状の成形挿入体は、２つの半割シェルに分
割されていることにより、かつひれを備えた外半割シェ
ルの横断面の輪郭が片側へ向かって開いていることによ
り、簡単かつ安価に製作可能である。押出成形による製
作では、引抜型内のいわゆる独立コアが不要であり、そ
れゆえ、引抜型は安価であり、かつ長期間にわたって使
用可能である。本発明に基づく熱交換器管の引き続く加
工のために、もしくは暖房ボイラ内への熱交換器管の組
付のために特に有利なのは、成形挿入体の熱伝達のため
の接触面積及び熱排出能力が極めて大きいために、成形
挿入体の端部が管板内に溶接される外管の端部と同一の
平面内に位置している場合でも、管板内への外管の溶接
時にアルミニウム製の成形挿入体の破壊が生じないこと
にある。それゆえ、この熱交換器管は、外管の端部に対
して引込んで位置している端部を有する成形挿入体を備
える必要がなく、むしろ、暖房ボイラ内への組付けのた
めに、完成した長尺のメートル売り商品から必要なだけ
直線的な切断により切り取られることができる。両方の
半割シェルの互いに接触する縁に溝状の凹所とリブ状の
突出部とから成る一種のラビリンスシールを備えた構成
は、アルミニウム製の成形挿入体と鋼製の外管との間へ
排ガス又は凝縮水を侵入せしめて隙間腐食の原因を招く
隙間の形成を阻止する。本発明に基づく熱交換器管の最
も簡単な構成で成形挿入体が直接に管体の全周で外管に
接触していれば、外管の内径にほぼ対応する外径を成形
挿入体に与え、かつ管体を労せずに外管内へ挿入するこ
とができる程度にこの外径を外管の内径に比してわずか
に小さく形成し、次いで例えば圧延又は引抜き過程によ
り外管全周の永久圧縮変形により外管を半径方向で圧縮
してアルミニウム製の成形挿入体へ圧着させることによ
り、熱交換器管の製作が簡単に行われる。このことによ
り、両方の半割シェルの互いに接触する長手縁相互及び
管体と外管とが、隙間を生じないように密に圧縮され
る。このことは、端面のところでもアルミニウム製成形
挿入体の管体と鋼製の外管との間への排ガス又は凝縮水
の侵入を阻止するためには、管板を貫通する熱交換器管
の端部の端面のためにも重要である。

本発明に基づく有利な別の構成は請求項２以下に記載
されている。

図面には本発明に基づく熱交換器管の種々の実施例が
示されている。ここに、 第１図は直接に鋼製の外管に接触したアルミニウム製
の成形挿入体を備えた熱交換器管の１実施例を示し、 第２図は内部表面積を増大させるための簡単な付加的
な手段を備えた、第１図に基づく実施例を示し、 第３図は中間成形材を介して間接的に外管に接触した
成形挿入体を備えた、第１図に基づく１実施例を示す。

第１図に示す熱交換器管は円筒状の滑らかな壁を備え
た耐食性のクロム鋼製の外管１と、アルミニウム製の成
形挿入体２とから成っている。成形挿入体２は外管長手
軸線を含む分割平面内で２つの半割シェル3,4に分割さ
れた管体により形成されている。両方の半割シェル3,4
はそれらの半割シェル内側にひれ５を備えており、これ
らのひれ５は外管１の長手方向に延びており、かつ各半
割シェル3,4のひれ５は管体の内部横断面内へ突入して
いて、これらのひれを備えた各半割シェルを横断面の輪
郭が片側へ向かって開いており、この結果、ひれを備え
たこれらの半割シェルはいわゆる独立コアを使用しない
で押出工具もしくは引抜型により簡単かつ安価に製作さ
れることができる。特に有利には、第１図に示す実施例
でのように、ひれ５はコーム状にかつ分割平面に対して
垂直に向いて両方の半割シェル3,4の内側に配置されて
おり、その場合、両方の半割シェル3,4のひれ５は対を
成すように互いに向かい合って分割平面まで又は少なく
ともこの分割平面の近くまで延びている。特にこのひれ
５のコーム状の構成では、半割シェルの押出成形時に外
管１もしくは半割シェル3,4の長手方向に延びる波溝状
の表面成形部を備えることができ、この波溝状の成形部
は成形挿入体の、燃焼ガスにより負荷されて熱を受け取
る内部表面積を極めて効果的に増大せしめる。半割シェ
ル3,4は、分割平面内で互いに接触するその長手縁６に
溝状の凹所７とリブ状の突出部８とを備えており、これ
らの凹所と突出部とは分割平面に対して垂直方向で互い
に内外に差しはめ可能であり、かつこれらの凹所と突出
部とにより長手縁６はラビリンスシールのように互いに
内外に係合することができる。半割シェル3,4の長手縁
の間の両方の突合せ箇所のシールは、成形挿入体２と外
管１との間に排ガス又は凝縮水を侵入せしめてそこに隙
間腐食を招くような隙間を形成せしめないために、重要
である。第１図からわかるように、両方の半割シェルが
一方の長手縁に溝状の凹所を、かつ他方の長手縁にリブ
状の突出部を備えていれば、押出成形により形成された
同じ成形ストリップから両方の半割シェルを必要長さで
分断し、一方の半割シェルを180度だけ長手軸線回りに
回転させて他方の半割シェルに突き合わせることができ
る。第１図は明確のため熱交換器管をいまだ最終的に完
成していない状態で示す。両方の半割シェル3,4からま
とめ合わされた管体は第１図の実施例ではその全外周面
にわたり直接に外管１に接触しており、かつ外管１の内
径に比して若干小さな外径を有しており、これにより管
体もしくは成形挿入体２を問題なく外管１内に挿入する
ことがてきる。次いで外管１は、熱伝達のために重要
な、外管全内周面と成形挿入体全外周面との緊密な接触
を得るべく、外管１と成形挿入体とを相互に圧縮させる
ためにローリング工程又は引抜工程で全周にわたり半径
方向に永久圧縮変形させられる。このことにより、両方
の半割シェルの、凹所と突出部とにより互いに内外に係
合した長手縁が隙間なくかつ排ガス又は凝縮水に対して
完全に密に互いに圧着され、その結果、完成した熱交換
器管の横断面を微細切断（マイクロセクショニング）し
ても、半割シェルの長手縁間の継目を認めることができ
なくなる。外管１と成形挿入体２との互いに接触する周
面における隙間のない圧縮は、暖房ボイラ内に組み込ま
れた熱交換器管の端面のところで排ガス又は凝縮水が外
管と成形挿入体との間へ侵入することをも阻止する。成
形挿入体と外管との間における熱交換器管の極めて大き
な熱伝達能力は、暖房ボイラの管底部もしくは管板内へ
の熱交換器管端部の溶接時の逆向きの熱の流れのために
も驚くほど有利に作用する。溶接実験の示すところによ
れば、クロム鋼製の外管の端面とアルミニウム製の成形
挿入体の端面とが同一平面内に位置している場合でも、
クロム鋼製の外管が流動的な溶接材料熔融物により暖房
ボイラの管板に結合されなければならないにもかかわら
ず、驚くべきことにアルミニウムは損傷されず、又は溶
出しない。それゆえ、熱交換器管は暖房ボイラのために
必要な長さに、簡単な直線的な切断もしくは鋸断などに
より熱交換器管の完成したメータ売り商品から切断され
ることができる。

第２図は第１図に類似した別の実施例を示し、この実
施例ではコーム状に配置されたひれ５の先端が、先端と
先端との間にアルミニウム製の板状の平材９を挿入する
ことができるような相互間隔を保っている。ひれ５の長
さは、平材９とひれ５との間に確実に熱伝達接触を生ぜ
しめるべく、両方の半割シェル3,4を相互圧縮して管体
状の成形挿入体を形成せしめる際にコーム先端がそのひ
れ横断面に相応する端面で隙間なく密に平材９に圧着さ
れるような寸法を有している。さらに、両方の半割シェ
ル3,4の互いに接触する長手縁は、平材９の長手縁をつ
かみ、かつ熱交換器管完成状態で良好な熱伝達を生じる
ようにそれらの間に締め込むように形成されている。両
方の半割シェルの間に挿入されたこの平材９により、成
形挿入体２の熱伝達可能な内部表面積は簡単かつ安価に
10％以上さらに著しく増大させることができる。

第３図はさらに別の実施例を示し、この実施例では、
第１図に示したアルミニウム製の成形挿入体２の外面が
直接に外管１の内面に接触しておらず、成形挿入体２は
外管１の内径を著しく下回る外径を有している。このこ
とにより外管１と成形挿入体２との間に形成された環状
室内には円筒状のアルミニウム製中間成形材10が配置さ
れている。この中間成形材10は、全外周面で外管１の全
内周面に熱伝達接触した管壁と、管壁の内側に半径方向
に配置された多数のリブ11とから成っており、このリブ
11は成形挿入体２の外面まで達していて成形挿入体の外
面に面状にかつ熱伝達作用をもって接触している。中間
成形材10は内側の成形挿入体２と同様に、外管長手軸線
を含む分割平面内で、片側へ開いた２つの中間成形材半
割部に分割されており、要するにこれらの中間成形材半
割部もアルミニウムの押出成形で独立コアを使用しない
簡単な引抜型により製作することができる。中間成形材
10は第１図について説明した成形挿入体２と同様に、両
方の中間成形材半割部の、シール作用をもって互いに接
触もしくは互いに内外に係合する長手縁を備えている。
第１図の実施例に対比して、第３図の実施例では、熱交
換器管の、燃焼ガスと接触して熱伝達を行う内側の全面
積が100％も増大する。このことにより、燃焼ボイラ内
で燃焼ガスを例えば850℃の流入温度から燃焼ガスの露
点限界より著しく低い例えば48℃の流出温度まで冷却す
るために、熱交換器管の長さをさらに著しく短縮するこ
とができる。

Claims (7)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】暖房ボイラ、特にガス燃焼ボイラのための
   熱交換器管であって、暖房ボイラの燃焼排ガスにより貫
   流されかつ外側から暖房ボイラ水により囲われた円筒状
   の滑らかな壁状の鋼製の外管（１）と、この外管（１）
   内に挿入されていて外管（１）の内側の表面の増大のた
   めにその長手方向に延びるひれ（５）を備えかつ外管
   （１）に熱伝達接触しているアルミニウム製の成形挿入
   体（２）とから成る形式のものにおいて、成形挿入体
   （２）が、外管長手軸線を含む分割平面内で２つの半割
   シェル（3,4）に分割された管体から成り、両方の半割
   シェルが、それらの互いに接触する長手縁（６）に溝状
   の凹所（７）とリブ状の突出部（８）とを備えており、
   これらの凹所（７）と突出部（８）が、分割平面に対し
   て垂直方向にシール作用をもって互いに係合しており、
   かつ、両方の半割シェル（3,4）がそれらのシェル内側
   に、管体の内部横断面内へ突入していて外管（１）の長
   手方向に延びる複数のひれ（５）を備えており、かつこ
   れらのひれを備えた各半割シェルの横断面の輪郭が片側
   へ向かって開いていることを特徴とする暖房ボイラのた
   めの熱交換器管。
2. 【請求項２】両方の半割シェル（3,4）が内側にコーム
   状に配置されたひれ（５）を備えており、これらのひれ
   （５）が分割平面に対して垂直方向に位置していて対状
   に互いに向かい合って分割平面まで延びていることを特
   徴とする請求項１記載の熱交換器管。
3. 【請求項３】両方の半割シェルがそれぞれシール溝
   （７）を一方の長手縁に、かつシール溝（７）の形状に
   適合したシールリブ（８）を他方の長手縁に備えている
   ことを特徴とする請求項１又は２記載の熱交換器管。
4. 【請求項４】ひれ（５）の表面が、外管（１）もしくは
   半割シェルの長手方向に延びる波溝状に成形されている
   ことを特徴とする請求項１から３までのいずれか１項記
   載の熱交換器管。
5. 【請求項５】両方の半割シェル（3,4）からまとめ合わ
   された成形挿入体（２）がほぼ外管（１）の内径に相応
   する外径を有しており、かつその全外周面で直接に外管
   （１）に接触しており、かつ、成形挿入体（２）が、外
   管全周の半径方向の永久圧縮変形により外管（１）に圧
   着されていることを特徴とする請求項１記載の熱交換器
   管。
6. 【請求項６】両方の半割シェル（3,4）のコーム状のひ
   れ（５）の先端の間に板状のアルミニウム製平材（９）
   が挿入されており、かつ、ひれの長さが、両方の半割シ
   ェルをまとめ合わせて成形挿入体（２）を形成せしめる
   際にコーム先端が熱伝達作用をもって平材（９）に圧着
   されるような寸法を有していることを特徴とする請求項
   ２記載の熱交換器管。
7. 【請求項７】コーム状のヒレ（５）を備えた半割シェル
   （3,4）から成る成形挿入体（２）が外管（１）の内径
   を著しく下回る外径を有しており、かつ、成形挿入体
   （２）と外管（１）との間の環状室内にアルミニウム製
   の中間成形材（10）が配置されており、この中間成形材
   が、外管（１）に接触する管壁と、この管壁から半径方
   向で成形挿入体（２）まで達する複数のリブ（11）とか
   ら成り、かつやはり外管長手軸線を含む分割平面内で、
   片側へ開いた２つの中間成形材半割部に分割されてお
   り、これらの中間成形材半割部がその管壁の長手縁のと
   ころでシール状に形成されていて互いに接触しており、
   その場合、中間成形体（10）が外管（１）の半径方向の
   永久圧縮変形によりこの外管（１）と内側の成形挿入体
   （２）とに熱伝達作用をもって圧着されていることを特
   徴とする請求項２記載の熱交換器管。