JP3015411B2 - ポリアニリン電池 - Google Patents

ポリアニリン電池

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JP3015411B2 JP02160915A JP16091590A JP3015411B2 JP 3015411 B2 JP3015411 B2 JP 3015411B2 JP 02160915 A JP02160915 A JP 02160915A JP 16091590 A JP16091590 A JP 16091590A JP 3015411 B2 JP3015411 B2 JP 3015411B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、リチウムまたはリチウム合金からなる負
極とポリアニリンを主体とした正極とリチウム塩を溶解
した非水系有機電解液とを用いたポリアニリン電池に関
する。
〔従来の技術〕
一般に、ポリアニリン電池は、ポリアニリンがイオン
のドーピングによつて導電性を発現する性質を有するこ
とから、このポリアニリンを正極活物質として用いてそ
の導体領域におけるイオンのドーピング量の変化に伴う
電極電位の変化を利用するようにしたものであり、電池
として機能させることができる。
このようなポリアニリンの合成法には、大別して、ア
ニリンモノマーを電気化学的に酸化重合する電解酸化重
合法と、アニリンモノマーを酸化剤にて化学的に酸化重
合する化学酸化重合法とがある。このうち、ポリアニリ
ン電池の正極としては、従来より、容量などの電池特性
面から電解酸化重合法にて合成される一次粒子の形状が
繊維状となるポリアニリンが好適とされている。
すなわち、このような一次粒子の形状が繊維状である
ポリアニリンは、アニリンまたはその誘導体の酸性水溶
液中に浸漬した一対の電極間に電圧を印加することによ
り電解酸化して一方の電極上にポリアニリンを析出させ
るに際し、温度,電圧,電流,モノマー濃度などの諸条
件を析出する一次粒子が繊維状となるように設定して得
られるものであり〔たとえば、木谷ら,第24回電池討論
会講演要旨集,P.197(1983)〕、形状的に粒子相互の電
気的導通がよいことから、これを正極とする電池の分極
が小さく容量が大きくなるという利点がある。
なお、化学酸化重合法に関しても、電池の電極材料な
どに供するポリアニリンを得ることを目的として、種々
の手段が提案されている(特開昭61−200669号、同62−
81420号、同62−181334号などの各公報)。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、前記従来の電解酸化重合法にて得られ
る一次粒子が繊維状となるポリアニリンを正極とした電
池は、ポリアニリンが架橋体になつているために架橋点
ではドープ反応に寄与せず、これによつて正極利用率が
低くなり、放電寿命が短く、かつエネルギー密度および
負荷特性も不充分であるという問題があつた。
また、従来提案の化学酸化重合法にて得られるポリア
ニリンを正極に用いた電池においても、放電寿命、エネ
ルギー密度、負荷特性などで充分に満足できる特性は達
成されていない。
この発明は、上述の事情に鑑み、放電寿命が長く、か
つエネルギー密度が高くサイクル特性や負荷特性にもす
ぐれたポリアニリン電池を提供することを目的としてい
る。
〔課題を解決するための手段〕
この発明者らは、上記の目的を達成するために鋭意検
討した結果、ポリアニリンを主体とした圧縮成形体から
なる正極として、リチウム電極に対する通常の使用電圧
範囲における放電容量の対電圧分布曲線に特定のピーク
が現れるものを使用した場合に、放電寿命が長くなり、
しかも比較的高い放電電圧を長く持続できエネルギー密
度およびサイクル特性や負荷特性にすぐれるポリアニリ
ン電池となることを見い出し、この発明をなすに至つ
た。
すなわち、この発明は、リチウムまたはリチウム合金
からなる負極と、ポリアニリンを主体とした圧縮成形体
からなる正極と、リチウム塩を溶解した非水系有機電解
液とを用いたポリアニリン電池において、上記の正極
が、リチウム電極に対する放電電圧3.8〜2.5Vの範囲に
おける放電容量の対電圧分布曲線に3.0V付近の主ピーク
と3.6V付近の副ピークとからなる主要な2つのピークを
有し、かつ上記副ピーク/主ピークの高さ比率が0.25以
上を示すものからなることを特徴とするポリアニリン電
池に係るものである。
また、この発明者らは、上記の電池に用いるポリアニ
リン粉末をコスト的有利な化学酸化重合法によつて得る
にあたり、酸化剤として特に二酸化マンガンを用い、か
つ重合温度などの重合条件を特定範囲に設定することに
より、また、この重合後の洗浄を特定手法で行うことに
より、一次粒子の形状が棒状であるポリアニリン粉末が
得られ、この粉末によれば導電助剤を用いなくても良好
な導通性が得られるとともに、導電助剤を混合する場合
もその混合性にすぐれ、また良好な成形性を示すことか
ら、これを前記の正極材料として用いることにより、ポ
リアニリン電池の放電容量、サイクル特性、負荷特性に
非常に好ましい結果が得られることを見い出した。
すなわち、この発明においては、アニリンをプロトン
酸の存在下で二酸化マンガンにより化学酸化重合するに
あたり、二酸化マンガンに対するプロトン酸のモル比を
2.5以上、温度を−5〜10℃に設定することにより、平
均直径0.01〜1.0μm、平均長さ0.1〜10μmの棒状粒子
よりなるポリアニリン粉末を生成することを特徴とする
ポリアニリン粉末の製法、また上記の化学酸化重合後に
pH1.7以下の酸性水溶液で洗浄することを特徴とする上
記同様の棒状粒子よりなるポリアニリン粉末の製法を提
供できるものである。
〔発明の構成・作用〕
この発明のポリアニリン電池に用いる正極は、ポリア
ニリンを主体とし、かつ第1図の実線Aで示すように、
リチウム電極に対する3.8〜2.5Vの放電電圧範囲におけ
る放電容量の対電圧分布曲線に3.0V付近の主ピークP1と
3.6V付近の副ピークP2との主要な2つのピークを有し、
かつ副ピークP2の高さt2が主ピークP1の高さt1の0.25以
上となる特定のものである。
ここで、上記の放電電圧3.8Vはポリアニリン電池とし
ての使用可能な上限電圧、同じく2.5Vは正極の脱ドープ
状態の電圧である。
従来の電解酸化重合法などで得られる通常のポリアニ
リンを用いた正極は、第1図2の破線Bで示すように3.
0V付近にポリアニリン正極特有の主要なピークPを有す
るのみであり、電圧分布全体として3.0V付近を中心とし
た低電圧成分の割合が非常に大きくなつていることか
ら、電池の放電において初期の高電圧側での電圧低下が
急で3.0V付近の低電圧側に至つて比較的安定化すること
になり、このため放電電圧が低くなる。
これに対し、この発明における正極では、上記ピーク
Pに対応する主ピークP1以外に3.6V付近にも副ピークP2
を有して高電圧成分の割合もかなり大きいことから、電
池の放電において高電圧側でも電圧低下が緩やかにな
り、したがつて放電電圧が高くなるとともに、副ピーク
P2の存在にて全体としての放電容量も大きくなることか
ら、放電寿命が著しく向上する。ただし、副ピークP2の
高さが主ピークP1に対して0.25よりも低くなると、高エ
ネルギー密度が得られず、所期の目的を達成できない。
この発明で用いる正極は、前記の放電電圧範囲におけ
る放電容量の対電圧分布曲線が第1図の曲線Aの基本パ
ターンを示すものであればよく、主ピークP1と副ピーク
P2以外の微小なピークが種々の電圧位置に現れるものも
包含される。すなわち、上記の分布曲線はポリアニリン
の製法、正極の形状と構造、他の電圧要素などの具体的
構成によつてある程度変化するが、その程度の変化は許
容される。ただし、主ピークP1の位置は3.0±0.1Vの範
囲、また副ピークP2の位置は3.6±0.1Vの範囲にあるこ
とが望まれる。
上記の分布曲線を示す正極に用いるポリアニリンの合
成法は、特に限定されないが、アニリンまたはその水溶
性塩をプロトン酸を含む反応媒体中で酸化剤によつて酸
化重合して、一次粒子の形状が棒状または球状のポリア
ニリン粉末を得る化学酸化重合法が好適である。この化
学酸化重合法の中でも、上記のプロトン酸として過塩素
酸(HClO4)またはホウフツ化水素酸(HBF4)を用いる
とともに、酸化剤として重クロム酸アンモニウム〔(NH
42Cr2O7〕または二酸化マンガン(MnO2)を用いる方
法によれば、上記の分布曲線を有する正極用として非常
に理想的なポリアニリン粉末を容易に得ることができ
る。
上述の化学酸化重合法にて合成されるポリアニリン粉
末は、重合時の薬剤の種類や重合条件によつて一次粒子
の形状に違いを生じる。たとえば、前記の各2種のプロ
トン酸と酸化剤とから選択される組み合わせでは、プロ
トン酸として過塩素酸を用いた場合に酸化剤が前記2種
のいずれであつても製出するポリアニリン粉末の一次粒
子の形状は棒状となる場合が多く、他の組み合わせでは
不定形の球状となる場合が多い。
なお、以下、球状と表現するが、これは不定形の球状
という意味で厳密に球であることを示すものに限らな
い。
上記の一次粒子の形状が棒状であるポリアニリン粉末
と同じく球状であるポリアニリン粉末を比較した場合、
一般的に棒状粒子の方が球状粒子よりも粒子間の電気的
導通にすぐれることから、前者のポリアニリン粉末を正
極に用いた電池の方が後者を用いた電池よりも高容量に
なるという利点がある。したがつて、前記の分布曲線を
有する正極用として好ましいポリアニリン粉末の合成法
の中でも、プロトン酸が過塩素酸であつて酸化剤が重ク
ロム酸アンモニウムまたは二酸化マンガンである組み合
わせが好適である。
しかし、一次粒子の形状が球状であるポリアニリン粉
末であつても、特定の合成条件を選択したり、正極材料
として特定の配合剤(導電助剤)を併用することによ
り、電池の高容量化が可能である。
すなわち、プロトン酸としてホウフツ化水素酸を用
い、酸化剤として二酸化マンガンを用いる組み合わせに
おいて、二酸化マンガン/アニリンのモル比を0.95〜1.
42の範囲に設定して化学酸化重合して得られるポリアニ
リン粉末は、一次粒子の形状が球状であるが、これを正
極に使用することによつて高容量かつ高エネルギー密度
のポリアニリン電池が得られる。
また、上記以外の合成条件で得られるものを含めて一
次粒子の形状が球状であるポリアニリン粉末と炭素粉末
との混合物を正極材料に用いることにより、球状粒子の
導通の悪さが炭素粉末の導電助剤としての作用にて補わ
れる一方、棒状粒子よりも架橋点が少なくそれだけポリ
アニリンとしての利用効率が高くなるという利点が活か
される結果、高容量かつ高エネルギー密度のポリアニリ
ン電池とすることができる。
上記の炭素粉末と併用する一次粒子が球状であるポリ
アニリン粉末においても、プロトン酸としてホウフツ化
水素酸を使用するとともに酸化剤として二酸化マンガン
を用いた化学酸化重合法によるものが好ましく、特に二
酸化マンガン/アニリンのモル比が前記範囲にある方法
によるものが最適である。
なお、この一次粒子が球状であるポリアニリン粉末/
炭素粉末の配合割合は、重量比で95/5〜85/15程度とす
るのが好ましい。
一方、この発明者らは、プロトン酸としてホウフツ化
水素酸を用いるときでも、酸化剤として二酸化マンガン
を使用して、酸化重合の温度条件や重合後の洗浄を特定
手法で行えば、前記したプロトン酸として過塩素酸を用
いる場合と同様の一次粒子の形状が棒状である非常に良
質のポリアニリン粉末が得られることを見い出した。以
下、この方法につきさらに詳しく説明する。
この方法における二酸化マンガンの使用量は、仕込み
アニリンに対し通常0.75〜1.5モル倍であるのが好まし
い。仕込みアニリンの濃度は、水媒体中0.1モル/以
上、好適には0.5モル/以上、通常は0.2〜1.0モル/
であるのがよい。これらの範囲外ではポリアニリン粉
末の収率の面で好ましい結果を得にくい。
また、この方法におけるプロトン酸は、ホウフツ化水
素酸が好ましいものとして用いられるが、もちろん過塩
素酸の使用を拒むものではなく、それによつて棒状粒子
の粒子性状にさらに好ましい結果を得ることもできる。
このプロトン酸の使用量は、前記の二酸化マンガンに対
するモル比が2.5以上、より好ましくは3以上、通常は
3〜4となるようにするのがよい。この範囲外となる
と、導電性にすぐれたポリアニリンが得られにくい。
これは、二酸化マンガンに対するプロトン酸のモル比
としては、理論的には、生成するポリアニリンにエメラ
ルデイン構造を仮定すると、つぎの式; で示すように、2倍でよいが、重合終了後に重合系内の
pHが低く保たれていないと、生成ポリアニリンは脱ドー
プ状態となつて、良好な電池性能が得られなくなるため
である。
このような化学酸化重合法において、重合温度の設定
は、棒状構造のポリアニリンを得る上で極めて重要であ
つて、この温度を−5〜10℃の範囲、特に−3〜5℃の
範囲に設定したときにのみ、棒状構造を有する導電性に
すぐれたポリアニリン粉末が得られる。
なお、重合時の温度が重合速度に影響し、これが粒子
形状を決定する因子となることは一般的に考えられる
が、上記温度の違いで不定形粒子および棒状粒子といつ
た異なる形態の粒子が生成する機構については明らかで
はない。
このような化学酸化重合法によりポリアニリン粉末を
得たのちは、一般の精製処理に準じ、水溶性の不純物を
除くための水による洗浄処理を施すが、この際蒸留水に
よる洗浄を行うと、ポリアニリンのドーパントである酸
が中和されて流失し、脱ドープを起こすことになる。
この観点から、ポリアニリン粉末を酸性水溶液で洗浄
することにより、粒子表面の脱ドープを防ぐようにする
のがよい。ここで、上記の酸性水溶液としては、通常ド
ーパントであるプロトン酸の水溶液が用いられ、そのpH
は1.7以下、好適には1.0以下であるのがよく、これより
高くなると導電性の低下をさけられない。
このようにして製造されるポリアニリン粉末は、平均
直径0.01〜1.0μm、平均長さ0.1〜10μmの範囲にある
棒状粒子であつて、これと従来の長繊維構造のポリアニ
リンとの決定的な差異は、液体中での分散性の違いであ
る。つまり、長繊維構造の場合、繊維同志のからみ合い
のために液中で超音波を使用しても均一に分散させるの
は困難であるが、棒状粒子の場合、たとえば水やエタノ
ール中において超音波によつて均一に分散でき、ただち
に沈殿を生じることはない。この分散性の違いからもわ
かるように、棒状粒子のポリアニリン粉末は、導電助剤
との混合性の面で長繊維構造のポリアニリンよりも格段
にすぐれている。
この発明のポリアニリン電池において、正極を形成す
るには、上記のポリアニリン粉末あるいはこれと炭素粉
末との混合物を、常法に準じてプレス型内に充填して加
圧圧縮して所要の大きさの圧縮成形体とすればよい。無
論、この正極は、前記のように、リチウム電極に対する
放電電圧3.8〜2.5Vの範囲における放電容量の対電圧分
布曲線に3.0V付近の主ピークと3.6V付近の副ピークとか
らなる主要な2つのピークを有してかつ副ピーク/主ピ
ークの高さ比率が0.25以上を示すものとする。
この発明のポリアニリン電池はリチウム系二次電池に
属し、負極としてリチウムもしくはリチウム合金が使用
される。ここでいうリチウム合金は、冶金学上の合金の
ほかに、リチウム箔とアルミニウムなどの他の金属箔と
を圧着一体化したものも包含する。
非水有機電解液としては、LiBF4、LiClO4、LiBφ
(φはフエニル基)、LiPF6、LiAsF6などのリチウム
塩をプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、ジ
メトキシエタン、ジオキソランなどの非水系有機溶媒に
溶解してなるリチウムイオン伝導性電解液が好適であ
る。上記のリチウム塩の酸基はポリアニリン合成時に使
用するドーパントとしてのプロトン酸と異なつていても
差し支えない。
第2図は、ボタン型電池に適用したこの発明のポリア
ニリン電池の構造例を示す。この図において、1は電池
ケースであり、共にステンレス鋼などからなる皿型の負
極端子板2と正極端子板3とを向かい合わせ、両者の周
縁部を合成ゴムや合成樹脂などの弾性絶縁材料からなる
環状ガスケツト4を介在して嵌合圧着することにより、
偏平な密閉容器を構成している。
このケース1の内部には、負極端子板2にステンレス
ネツトなどの集電体6を介して接合したリチウムまたは
リチウム合金からなる負極5と、正極端子板3にステン
レスネツトなどの集電体6を介して接合した前記特定の
正極7と、両極5,7間に介在するポリプロピレン不織布
および多孔性ポリプロピレンフイルムなどの多孔性絶縁
材料からなるセパレータ8とが、非水有機電解液に浸漬
された状態で装填されている。
この発明は図示したボタン型電池に限らず、種々の形
態および構造のポリアニリン/リチウム系電池に適用で
きる。
〔発明の効果〕
この発明によれば、ポリアニリンを主体とする正極
に、リチウム電極に対する放電電圧3.8〜2.5Vの範囲に
おける放電容量の対電圧分布曲線に特定のピークが現れ
るものを用いていることから、高容量で放電寿命が長
く、かつ高エネルギー密度で負荷特性にすぐれたポリア
ニリン電池を提供できる。
また、この発明において、正極のポリアニリンとし
て、プロトン酸を含む反応媒体中でアニリンまたはその
水溶性塩を酸化剤によつて酸化重合した重合体からな
る、一次粒子の形状が棒状または球状のポリアニリン粉
末を用いることにより、上記特定性状の正極を容易に入
手できる。中でも、上のプロト酸として過塩素酸または
ホウフツ化水素酸を、酸化剤として重クロム酸アンモニ
ウムまたは二酸化マンガンを用いることにより、上記特
定性状の正極に用いるのに好適なポリアニリン粉末が得
られる。
また、上記のプロトン酸が特に過塩素酸であつて、ポ
リアニリン粉末の一次粒子の形状が棒状である態様、上
記のプロトン酸がホウフツ化水素酸、酸化剤が二酸化マ
ンガンであり、かつ二酸化マンガン/アニリンのモル比
が0.95〜1.42の範囲にあつて、ポリアニリン粉末の一次
粒子の形状が球状である態様、さらに一次粒子の形状が
球状であるポリアニリン粉末と炭素粉末の混合物からな
る正極を有する態様とすることにより、それぞれより高
容量で高エネルギー密度のポリアニリン電池を得ること
ができる。
さらに、上記の酸化剤が特に二酸化マンガンである場
合に、酸化重合時の温度条件や重合後の洗浄条件を特定
する方法によれば、導電助剤を含まないときでも成形体
内部の導通が良好であるうえに、導電助剤との混合性に
もすぐれ、また良好な成形性を有して、成形後の粒子の
脱落や溶出が少ないといつた特徴を持つた棒状粒子のポ
リアニリン粉末を得ることができ、この粉末を前記特定
性状の正極として用いることにより、特に高容量ですぐ
れた負荷特性やサイクル特性を示し、また自己放電が少
ないポリアニリン電池が得られる。
〔実施例〕
つぎに、この発明の実施例を記載してより具体的に説
明する。なお、以下%とあるのは重量%であることを意
味する。
実施例1 アニリン14.0gおよび42%HBF4水溶液31.4gを水190gに
溶解してA液とし、別に(HN42Cr2O712.6gおよび42%
HBF4水溶液78.4gを水200gに溶解してB液とし、このB
液をA液に系内を2℃に冷却しつつ撹拌しながら2時間
かけて滴下し、滴下終了後の混合液をさらに2℃にて3
時間撹拌した。
つぎに、液中に生成した黒緑色の析出物をガラスフイ
ルターにてろ別し、これを水およびアセトンでそれぞれ
充分に洗浄し、得られた粉末を80℃にて3時間真空乾燥
し、さらに100℃にて5時間真空乾燥してポリアニリン
粉末を得た。このポリアニリン粉末を電子顕微鏡で観察
したところ、その一次粒子は平均粒子径0.5μmの球状
粒子であつた。
このポリアニリン粉末139mg(脱ドープ状態でのポリ
アニリンとして100mg)を直径15mmの金型を用いて1.4ト
ンの圧力で圧縮成形したものを正極し、負極として厚さ
0.8mm、直径15mmのリチウム箔、セパレータとして微孔
性ポリプロピレンフイルムにポリプロピレン不織布を重
ねた厚さ0.375mmのシート、電解液としてプロピレンカ
ーボネートにLiBF4を1モル/濃度で溶解した有機電
解液7mlを、それぞれ使用し、ポリアニリン評価用ビー
カー電池A1を作製した。
比較例1 1モル/濃度のアニリンと2モル/濃度のHBF4
含む水溶液中で、白金板(2×2cm)上に電圧0.8V(対
飽和カロメル電極)で定電位電解重合を行つてポリアニ
リンを合成した。このポリアニリンの粉末を集め、アセ
トンおよび水で充分に洗浄したのち、室温で真空乾燥を
行つてポリアニリン粉末を得た。このポリアニリン粉末
の一次粒子は繊維状をなしており、平均粒子径は判定不
能であつた。
このポリアニリン粉末130mg(脱ドープ状態でのポリ
アニリンとして100mg)を用いて実施例1と同様に圧縮
成形したものを正極とした以外は、実施例1と同様にし
てポリアニリン電池B1を作製した。
上記の実施例1と比較例1のポリアニリン電池A1,B1
について、それぞれ3.8Vまで充電したのち、定電圧電源
と電流計とからなる放電装置に接続し、まず定電圧電源
を3.78Vとして電流計により流れる電流を測定し、続い
て上記定電圧電源を3.76V、3.74V、……と各20mVの電圧
幅で順次低下させて、2.50Vまで同様に電流を測定し
た。この電流測定値を積分することによつて各20mVの電
圧幅で放電できた電気量を求めたところ、第3図で示す
結果が得られた。同図中のA1,B1は、それぞれ電池の符
号に対応している。
第3図より、実施例1のポリアニリン電池A1では、リ
チウム電極に対する放電電圧3.8〜2.5Vの範囲における
放電容量の対電圧分布曲線が3.0Vの主ピークP1と3.57V
の副ピークP2を有し、副ピーク/主ピークの高さ比率が
0.48を示し、この発明の正極特性を有することが判る。
これに対し、比較例1の電池1では、同分布曲線が3.0V
の主ピークPを有するのみで副ピークを有さず、かつ3.
57Vにおける高さが主ピークPの0.20程度であることが
判る。
つぎに、第3図の結果を横軸が電気量、縦軸が電圧と
なるように書き直したところ、第4図で示す平衡電圧曲
線が得られた。この第4図から、ポリアニリンの脱ドー
プ状態に規格化したときの容量が判るが、従来品に相当
する比較例1の電池B1ではポリアニリン100mgに当たり1
0mAhの電気量であるのに対し、この発明の実施例1の電
池A1では同電気量が14.2mAhとなり高容量であることが
判る。
さらに、前記の各20mVの電圧幅での放電電流の減衰曲
線より、みかけの拡散係数を求めたところ、第5図の結
果が得られた。この第5図より、比較例1の電池1では
拡散係数が低く負荷特性が悪いのに対し、実施例1の電
池A1では上記の電池B1よりも約2〜3倍拡散係数が大き
く負荷特性にすぐれていることが判る。
実施例2 アニリン14.0gおよび60%HClO4水溶液25gを水190gに
溶解してA液とし、このA液に(NH42Cr2O712.6gおよ
び60%HClO4水溶液63gが水210gに溶解されてなるB液を
系内を2℃に冷却しつつ撹拌しながら2時間かけて滴下
し、滴下終了後の液をさらに2℃にて3時間撹拌した。
つぎに、液中に析出した黒緑色の析出物をガラスフイ
ルターにてろ別し、これを水およびアセトンで充分に洗
浄し、得られた粉末を室温で真空乾燥し、さらに100℃
にて5時間の真空乾燥を行つてポリアニリン粉末を得
た。このポリアニリン粉末の一次粒子は平均直径0.1μ
mで平均長さ0.5μmの棒状粒子であつた。
このポリアニリン粉末50mg(脱ドープ状態でのポリア
ニリンとして42mg)を実施例1と同様にして圧縮成形し
たものを正極とし、負極として50mAhのLi0.56Al合金、
電解液としてジメトキシエタンとプロピレンカーボネー
トの当モル混合液にLiBF4を2モル/濃度で溶解した
有機電解液130μをそれぞれ用いた以外は、実施例1
と同様にしてポリアニリン電池A2を作製した。
実施例3 アニリン10g、42%HBF4水溶液67.1g(MnO2のモル数の
3倍)、蒸留水150mlを300mlのセパラブルフラスコ中で
撹拌混合しながら、恒温槽中にて3℃に冷却した、MnO2
(90%含有)10.3g(アニリンのモル数の等倍)を約1
時間かけて徐々に加えた。この際反応熱によりフラスコ
中の温度は3〜15℃の間で変化した。MnO2の添加後、さ
らにそのまま撹拌を1時間続けた。
重合終了後、暗緑色の懸濁物であるポリアニリンをろ
過した。これを250mlの蒸留水で1回、250mlのアセトン
で4回、洗浄とろ過を繰り返したのち、100℃にて5時
間真空乾燥を行つてポリアニリン粉末9.2gを得た。この
ポリアニリン粉末の一次粒子は平均直径0.15μmで平均
長さ0.5μmの棒状粒子であつた。
つぎに、このポリアニリン粉末を正極材料とした以外
は、実施例2と同様にしてポリアニリン電池A3を作製し
た。
比較例2 実施例2のアニリン−過塩素酸水溶液からなるA液を
用い、比較例1と同様にして定電位電解重合を行つてポ
リアニリンを合成した。このポリアニリンを正極材料と
した以外は、実施例2と同様にしてポリアニリン電池B2
を作製した。
実施例4 42%HBF4水溶液84.1g、蒸留水138ml、MnO2(90%含
有)13.0g(アニリンのモル数の1.25倍)を用いるほか
は、実施例3と同様にして、ポリアニリン粉末12.5gを
得た。このポリアニリン粉末の一次粒子は、粒子径0.24
〜0.35μmの球状粒子であつた。
つぎに、このポリアニリン粉末50mgと平均粒子径44μ
mの炭素粉末5mgとの混合物を実施例1と同様にして圧
縮成形したものを正極とし、電解液としてジメトキシエ
タンとプロピレンカーボネートとの当モル混合液にLiBF
4を2モル/濃度で溶解した有機電解液130μを用い
た以外は、実施例2と同様にしてポリアニリン電池A4を
作製した。
実施例5 正極材料にポリアニリン粉末50mgを単独で用いた以外
は、実施例4と同様にしてポリアニリン電池A5を作製し
た。
実施例6 42%HBF4水溶液に代えて60%HClO4水溶液67.3gを用い
て合成した一次粒子が棒状のポリアニリン粉末を使用し
た以外は、実施例4と同様にしてポリアニリン電池A6を
作製した。
実施例7 正極材料にポリアニリン粉末50mgを単独で用いた以外
は、実施例6と同様にしてポリアニリン電池A7を作製し
た。
比較例3 比較例1における電解酸化を1mAの定電流放電にて行
つて合成したポリアニリン粉末50mgと炭素粉末(実施例
4と同じ)5mgとの混合物を正極材料とした以外は、実
施例4と同様にしてポリアニリン電池B3を作製した。
比較例4 正極材料としてポリアニリン粉末50mgを単独で用いた
以外は、比較例3と同様にしてポリアニリン電池B4を作
製した。
上記の実施例2〜7のポリアニリン電池A2〜A7と比較
例2〜4のポリアニリン電池B2〜B4につき、実施例1と
同様にして放電電圧3.8〜2.5Vの範囲における放電容量
の対電圧分布曲線(ただし、負極にLiAlを用いているた
め、電池電圧に0.38Vを加算し、対Liの電圧として表現
している)を作成したところ、ポリアニリン電池A2〜A7
はいずれも上記曲線に3.0V付近の主ピークと3.6V付近の
副ピークを有してかつ副ピーク/主ピークの高さ比率が
0.25以上であつた、これに対し、ポリアニリン電池B2〜
B4では、同曲線に3.0付近の主ピークを有するのみで副
ピークを有さず、かつ3.6V付近における高さが主ピーク
の0.2程度であつた。
つぎに、上記のポリアニリン電池A2〜A7およびB2〜B4
につき、それぞれ正極が負極に対して3.3Vになるまで50
0μAで定電流充電したのち2.0Vになるまで300μAで定
電流放電することを1サイクルとする充放電試験を行
い、3サイクル目で放電容量を測定したところ、下記第
1表の結果が得られた。
また、上記の放電試験における3サイクル目の放電曲
線を、電池A2,A3,B2については第6図に、電池A4〜A7,B
3,B4については第7図に示す。
さらに、上記の実施例4におけるMnO2/アニリンのモ
ル比を種々異ならせて合成したポリアニリン粉末を用い
てそれぞれ実施例4と同様にして作製した電池につい
て、前記同様の充放電試験を行つて3サイクル目の放電
容量を測定し、上記モル比と放電容量との関係を調べた
ところ、第8図で示す結果が得られた。
上記第1表の結果から、この発明のポリアニリン電池
A2〜A7はいずれも従来のポリアニリン電池B2〜B4に比べ
て遙かに高容量であることが判る。また、第6図より、
化学酸化重合法において酸化剤として(NH42Cr2O7
たはMnO2を用いるとともにプロトン酸としてHClO4を用
いて合成した一次粒子が棒状のポリアニリン粉末を正極
材料としたこの発明のポリアニリン電池A2,A3が、高容
量かつ高エネルギー密度で負荷特性にもすぐれることが
判る。
一方、上記第1表および第7図より、正極材料として
ポリアニリン粉末と炭素粉末を併用した場合の効果は、
電池A4とA5、A6とA7、B3とB4のそれぞれの比較から、ポ
リアニリン粉末の一次粒子が球状である場合(電池A4)
に非常に顕著に現れるのに対して、同一次粒子が棒状
(A6)や繊維状(B3)である場合には僅かであることが
判る。
さらに、第8図より、一次粒子が球状のポリアニリン
粉末を正極材料として用いる場合に、プロトン酸として
HBF4、酸化剤としてMnO2を用いて、かつMnO2/アニリン
のモル比を0.95〜1.42の範囲に設定して合成されたポリ
アニリン粉末を使用することにより、高容量のポリアニ
リン電池を提供できることが判る。
実施例8 アニリン10g、42%HBF4水溶液84g(MnO2のモル数の3
倍)、蒸留水138mlを、300mlのセパラブルフラスコ中
で、撹拌混合しならが、恒温槽中にて3℃に冷却した。
フラスコ内の液温を3℃に保ちつつ、MnO2(90%含有)
13g(アニリンのモル数の1.25倍)を徐々に加えた。約
1時間かけてMnO2の投入を終え、さらにそのまま撹拌を
1時間続けた。重合終了後、暗緑色の懸濁物であるポリ
アニリンをろ別した。ろ液のpHは約1であつた。
このポリアニリン粉末をpH1.7に調整したHBF4水溶液2
50ml中で撹拌洗浄を約1時間行つたのち、再度ろ過し
た。このとき、ろ液のpHは1.8であつた。さらに、この
ポリアニリンを250mlのアセトン中にて同様に撹拌洗
浄、ろ過を6回繰り返し、80℃で5時間減圧乾燥するこ
とにより、平均直径0.3μm、平均長さ2.0μmの棒状粒
子よりなるポリアニリン粉末12.3gを得た。
このポリアニリン粉末を直径13mmの錠剤に成形し、4
端子法で測定した電導度は、9.4S/cmであつた。また、
アンモニア水による脱ドープ処理前後の重量変化から求
めたドーピング率は、42.2%であつた。第9図に、この
ポリアニリン粉末の倍率10,000倍〔第9図(a)〕、倍
率5,000倍〔第9図(b)〕の各電子顕微鏡写真図を示
す。
実施例9 重合温度を3℃から−4.5℃に変更した以外は、実施
例8と同様にして、平均直径0.2μm、平均長さ1.5μm
の棒状粒子よりなるポリアニリン粉末12.5gを得た。こ
のポリアニリン粉末を用いて実施例8と同様に電導度お
よびドーピング率を調べたところ、電導度は3.8S/cm、
ドーピング率は42.0%であつた。
実施例10 重合温度を3℃から16℃に変更した以外は、実施例8
と同様にして、ポリアニリン粉末11.8gを得た。このポ
リアニリン粉末を用いて実施例8と同様に電導度および
ドーピング率を調べたところ、電導度は1.1S/cm、ドー
ピング率は39.4%であつた、また、このポリアニリン粉
末の倍率10,000倍および倍率5,000倍の各電子顕微鏡写
真図を、それぞれ第10図(a)および第10図(b)に示
す。これらの写真図からも明らかなように、このポリア
ニリン粉末は、実施例8,9とは異なつて、不定形の粒子
形状を有していた。
比較例5 アニリン9.31g、42%HBF441.8gに蒸留水を加えて100m
lとした。これを100mlのビーカー中に移し、45×45mmの
白金板2枚を投入して、温度25℃にて300mAで定電流電
解を行つた。通電量12,700クーロンにて終了し、陽極に
析出したポリアニリンを極板からはがし取つて、pH1.7
のHBF4水溶液150ml中で撹拌洗浄し、ろ過を2回繰り返
した。最終的なろ液のpHは1.7であつた。
その後、150mlのアセトンを用いて実施例8と同様に
処理して、長繊維構造のポリアニリン5.97gを得た。こ
のポリアニリンを用いて実施例8と同様に電導度および
ドーピング率を調べたところ、電導度は4.2S/cm、ドー
ピング率は41.6%であつた。このポリアニリンの倍率1
0,000倍および倍率2,500倍の各電子顕微鏡写真図を、そ
れぞれ第11図(a)および第11図(b)に示す。
実施例11 実施例8で得たポリアニリン粉末を1.5gずつ分取し、
所定pHのHBF4水溶液中で撹拌した。所定のpHになるまで
適宜NaOHを滴下し、pH調整を行い、塩を除くために最低
2回ろ過および液の交換を行つた。pHが安定するまで10
日間この操作を続けた。
このように処理した各ポリアニリン粉末30mgを直径10
mmの金型にて500kg/cm2で圧縮成形して、厚さ0.4mmのペ
レツトとし、これを白金網を集電材にして正極とした。
また、ポリプロピレン製不織布をセパレーターに、厚さ
200μmのリチウム箔をステンレスネツトを集電材にし
て負極とした。これらの正極、セパレーターおよび負極
の3者をポリプロピレン製多孔板ではさみ、これらを1
モル/のLiBF4を溶解させたプロピレンカーボネート
中に浸漬し、ポリアニリン二次電池用のテストセルとし
た。
このテストセルを用い、充電終止電圧3.68V、放電終
止電圧2.38V、充放電電流1.0mAで充放電試験を行い、サ
イクル特性を調べた。その結果を、水洗時のpHをパラメ
ータとして、第12図に示す。図中、曲線−aはpH0未
満、曲線−bはpH0.8(プロツト:△)とpH1.7(プロツ
ト:□)、曲線−cはpH2.42、曲線−dはpH3.02、曲線
−eはpH3.72である。
この第12図の結果から明らかなように、水洗時の平衡
pHが1.7以下(曲線a,b)となる場合に、初期サイクル特
性が非常に良好なものとなることがわかる。
実施例12 実施例8で得たポリアニリン粉末を用い、実施例11と
同様にしてポリアニリン二次電池用のテストセルを組
み、このセルを用いて、充電終止電圧3.9V、放電終止電
圧2.0V、放電電流1.0mAにてサイクル性能試験を行つ
た。その結果を第13図に示す。
この第13図から明らかなように、サイクル初期から88
mA・h/gという高い放電容量を示すとともに、140サイク
ルまでほぼ安定した特性を示している。なお、140サイ
クルを超えたのちの劣化は、負極のリチウムがデンドラ
イトを生じ、不織布やセパレーターを貫通したためのも
のと思われる。
つぎに、上記同様のセルを使用し、充電終止電圧3.68
V、放電終止電圧2.38V、充放電電流10mAおよび2.0mAで
充放電試験を行つて、上記の各電流値での放電容量を、
下記の容量で調べた。これらの試験結果を、後記の第2
表に示す。
<放電容量> 1.0mAでの放電容量は30〜40サイクルの間の10サイク
ルの平均値を求め、また2.0mAでの放電容量はその後の
5サイクルの平均値を求めた。各放電容量は、電池セツ
ト時のドーパントを含めたポリアニリン重量を基準とし
た。
実施例13 実施例9で得たポリアニリン粉末を用い、実施例11と
同様にしてポリアニリン二次電池用のテストセルを組
み、このセルを用いて、以下実施例12と同様にして、放
電容量を調べた。その結果を第2表に示す。
実施例14 実施例8で得たポリアニリン粉末を圧縮成形する際に
10重量%のカーボンを添加した以外は、実施例11と同様
にしてポリアニリン二次電池用のテストセルを組み、こ
のセルを用いて、以下実施例12と同様にして、放電容量
を調べた。その結果を第2表に示す。
比較例6 比較例5で得たポリアニリン粉末を用い、実施例11と
同様にしてポリアニリン二次電池用のテストセルを組
み、このセルを用いて、以下実施例12と同様にして、放
電容量を調べた。その結果を第2表に示す。
上記の第2表から、この発明の実施例12〜14のポリア
ニリン二次電池は、高容量で負荷特性にすぐれ、前記し
たサイクル特性が良好であるという結果と合わせて、格
段にすぐれた電池性能を発揮するものであることが明ら
かである。なお、上記実施例12〜14の電池は、いずれも
実施例1〜7の場合と同様にして求めた放電容量の対電
圧分布曲線から、3.0V付近の主ピークと3.6V付近の副ピ
ークを有して、かつ副ピーク/主ピークの高さ比率が0.
25以上であることが確認された。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明のポリアニリン電池に使用される正極
の放電容量の対電圧分布曲線の基本形を示す図、第2図
はこの発明のポリアニリン電池の構造例を示す縦断面
図、第3図は実施例1および比較例1のポリアニリン電
池A1,B1における正極の放電容量の対電圧分布曲線図、
第4図は上記電池A1,B1の平衡電圧曲線図、第5図は上
記電池A1,B1のみかけの拡散係数−放電電圧相関特性
図、第6図は実施例2,3および比較例2のポリアニリン
電池A2,A3,B2の放電曲線図、第7図は実施例4〜7およ
び比較例3,4のポリアニリン電池A4〜A7,B3,B4の放電曲
線図、第8図は化学酸化重合法によるポリアニリンの合
成に用いる二酸化マンガン/アニリンのモル比と該ポリ
アニリンを正極材料とした電池の放電容量との関係を示
す特性図、第9図(a),(b)は実施例8のポリアニ
リン粉末の粒子構造を示す電子顕微鏡写真図、第10図
(a),(b)は実施例10のポリアニリン粉末の粒子構
造を示す電子顕微鏡写真図、第11図(a),(b)は比
較例5のポリアニリン粉末の粒子構造を示す電子顕微鏡
写真図、第12図はこの発明のポリアニリン粉末の製法に
おける水洗時のpHをパラメータとした放電容量−サイク
ル数(充放電回数)の相関特性図、第13図は実施例12の
ポリアニリン二次電池用テストセルのサイクル特性を示
す特性図である。 P1……主ピーク、P2……副ピーク、t1……主ピークの高
さ、t2……副ピークの高さ、5……負極、7……正極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 樋口 浩之 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日 東電工株式会社内 (72)発明者 阿部 正男 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日 東電工株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−220373(JP,A) 特開 昭63−301462(JP,A) 特開 平1−131237(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01M 4/60 H01M 4/02 H01M 10/40 C08G 73/00 C08L 79/00

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】リチウムまたはリチウム合金からなる負極
    と、ポリアニリンを主体とした圧縮成形体からなる正極
    と、リチウム塩を溶解した非水系有機電解液とを用いた
    ポリアニリン電池において、上記の正極が、リチウム電
    極に対する放電電圧3.8〜2.5Vの範囲における放電容量
    の対電圧分布曲線に3.0V付近の主ピークと3.6V付近の副
    ピークとからなる主要な2つのピークを有し、かつ上記
    の副ピーク/主ピークの高さ比率が0.25以上を示すもの
    からなることを特徴とするポリアニリン電池。
  2. 【請求項2】正極のポリアニリンが、プロトン酸を含む
    反応媒体中でアニリンまたはその水溶性塩を酸化剤によ
    つて酸化重合した重合体からなる、一次粒子の形状が棒
    状または球状のポリアニリン粉末である請求項(1)に
    記載のポリアニリン電池。
  3. 【請求項3】プロトン酸が過塩素酸またはホウフツ化水
    素酸であり、酸化剤が重クロム酸アンモニウムまたは二
    酸化マンガンである請求項(2)に記載のポリアニリン
    電池。
  4. 【請求項4】プロトン酸が過塩素酸であつて、ポリアニ
    リン粉末の一次粒子の形状が棒状である請求項(3)に
    記載のポリアニリン電池。
  5. 【請求項5】プロトン酸がホウフツ化水素酸、酸化剤が
    二酸化マンガンであり、かつ二酸化マンガン/アニリン
    のモル比が0.95〜1.42の範囲にあって、ポリアニリン粉
    末の一次粒子の形状が球状である請求項(3)に記載の
    ポリアニリン電池。
  6. 【請求項6】一次粒子が粒子径0.5μm以下の球状粒子
    であるポリアニリン粉末と炭素粉末の混合物の圧縮成形
    体からなる正極を有する請求項(1)〜(3)または
    (5)のいずれかに記載のポリアニリン電池。
  7. 【請求項7】酸化剤が二酸化マンガンであつて、ポリア
    ニリン粉末の一次粒子の形状が棒状である請求項(3)
    に記載のポリアニリン電池。
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