JP2000173598A - 電極の製造方法および電池 - Google Patents

電極の製造方法および電池

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JP2000173598A
JP2000173598A JP10347622A JP34762298A JP2000173598A JP 2000173598 A JP2000173598 A JP 2000173598A JP 10347622 A JP10347622 A JP 10347622A JP 34762298 A JP34762298 A JP 34762298A JP 2000173598 A JP2000173598 A JP 2000173598A
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conductive polymer
electrode
compound
battery
transition metal
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Junichi Maruta
順一 丸田
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Japan Storage Battery Co Ltd
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Abstract

(57)【要約】 【課題】オキシ水酸化ニッケル、LiMnO2やV25
などの遷移金属化合物は初期放電容量は非常に高いが、
サイクル寿命特性が良好でないため、サイクル寿命性能
の向上が望まれている。 【解決手段】導電性高分子の合成原料となる化合物を溶
解した溶液中に、遷移金属化合物を備えた電極を浸漬し
た後、導電性高分子の合成原料となる化合物を重合反応
させて高分子を合成し、この高分子にドービング剤をド
ーピングした導電性高分子を電極中に形成させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は非水電解質電池に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、ポータブル電子機器の発達にとも
ない、高性能電池の開発が望まれている。負極に炭素材
料を、正極に層状構造を有する複合酸化物であるコバル
ト酸リチウムを用いたリチウムイオン電池は、作動電圧
が高く、エネルギー密度が高い非水電解質電池として実
用化されている。しかし、コバルト酸リチウムは資源的
に乏しくかつ高価なため、その代替物質としてリチウム
含有マンガン複合酸化物あるいはニッケル酸リチウムが
提案されている。これらの複合酸化物は、平均作動電圧
が4V付近である、いわゆる4V系リチウム二次電池用
の正極活物質である。一方、3V以下の低電圧で作動す
るICの開発が進んでいることや、電池の安全性の観点
から、今後3V系非水電解質二次電池の需要が増大する
ものと推測される。しかしながら、3V系非水電解質二
次電池用正極活物質として一般に知られるのは、LiM
nO2やV25のみであり、それらの物質にしても、放
電容量やサイクル寿命特性の面で、問題点を多く有して
いるために、メモリーバックアップ用など、非常に限ら
れた用途でのみ使用されているのが現状である。
【0003】一方、オキシ水酸化ニッケルが、3V系非
水電解質二次電池用正極活物質として利用できること
が、最近報告されている(電気化学会第64回大会、講
演番号3A06)。この報告によると、オキシ水酸化ニ
ッケルの理論放電容量が約290mAh/gであるのに
対して、95%以上の利用率に相当する、285mAh
/gもの高い初期放電容量を示しており、ノートパソコ
ン用電源など、高エネルギー密度の電池を必要とする用
途にも十分利用可能であるといえる。しかし、このオキ
シ水酸化ニッケルは、サイクル寿命特性が良好でないと
いう欠点を有している。このサイクル寿命性能の向上
が、実用化のための大きな問題点となっており、その解
決策が待たれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前述したように、オキ
シ水酸化ニッケルは、3V系非水電解質二次電池用正極
活物質の有力な候補として期待されており、初期放電容
量は非常に高い水準にあるが、サイクル寿命特性が良好
でないという欠点を有している。また、LiMnO2
25などの遷移金属化合物についても、サイクル寿命
性能の向上が望まれている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明になる電極の製造
方法は、導電性高分子の合成原料となる化合物を溶解し
た溶液中に、遷移金属化合物を備えた電極を浸漬した
導電性高分子の合成原料となる化合物を重合反応さ
せて高分子を合成し、この高分子にドービング剤をドー
ピングした導電性高分子を電極中に形成させるものであ
る。また、遷移金属化合物を備えかつ導電性高分子を含
む電極を、導電性高分子の合成原料となる化合物を溶解
した溶液中に浸漬するものであり、導電性高分子の合成
原料となる化合物の重合反応を電気化学的におこなうも
のである。さらに、導電性高分子の合成原料となる重合
反応をおこなう反応溶液中に、導電性高分子にドーピン
グされうるイオン種を含ませるものであり、導電性高分
子にドーピングされうるイオン種がアニオン種とするも
のである。また、遷移金属化合物がオキシ水酸化ニッケ
ルもしくはニッケルの一部を一種上の他の金属元素また
はカルコゲンで置換したオキシ水酸化ニッケルである
か、または、コバルト、ニッケル、マンガン、チタンお
よびバナジウムよりなる群より選ばれる遷移金属を含む
酸化物とするものである。さらに、導電性高分子が、ポ
リピロール、ポリチオフェン、ポリイソチアナフテン、
ポリフラン、ポリセレノフェン、ポリパラフェニレン、
ポリナフチレン、ポリアントラセン、ポリアニリン、ポ
リアズレン、ポリピレン、ポリカルバゾール、ポリピリ
ダジンまたはポリアセチレンもしくはそれらの置換体も
しくはそれらの共重合体とするものである。また、本発
明による電池は、上述の本発明による方法によって製造
した電極を備えるものであり、導電性高分子の合成原料
となる化合物を溶解させた電解液を用いて、遷移金属化
合物を備えた電極に、電気化学的に導電性高分子を形成
させるものである。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明による電極の製造方法は、
従来のような活物質粉末と導電剤粉末とを混合して集電
体基板に保持させるような方法とは異なり、導電性高分
子の合成原料となる化合物を溶解した溶液中に、遷移金
属化合物を備えた電極を浸漬した後、重合反応させて高
分子を形成し、この高分子をドーピング剤でドーピンク
した導電性高分子を電極中に形成させることを特徴とす
るものである。本発明になる製造方法によって得られた
電極は、導電性高分子の有する自己結着性によって、電
極中のバインダーの必要添加量を減少させることができ
る。これによって、電極中に三次元的な導電性ネットワ
ークが形成され、活物質間の電気電導性が飛躍的に向上
し、この効果により、サイクル寿命特性および高率放電
特性に優れた電極を得ることができる。本発明において
は、電極中に形成された導電性高分子が、バインダーお
よび導電剤としての働きをするため、従来の電極で使用
した導電剤は使用してもよいし、あるいは使用しなくて
もよい。ここで、遷移金属化合物を備えかつ導電性高分
子を含む電極を、導電性高分子の合成原料となる化合物
を溶解した溶液中に浸漬すると、電極中の三次元的な導
電性ネットワークがより多く形成され、より特性の優れ
た電極をえることができる。このとき重合反応を電気化
学的におこなうことによって、簡便にかつより効率的に
高分子の合成が可能となる。さらには、導電性高分子の
重合反応をおこなう反応溶液中に、高分子にドーピング
されうるイオン種、好ましくはアニオン種を含ませるこ
とによって、導電性高分子の導電性発現に必要なドーピ
ング過程を、重合反応をおこなう系と同一の反応系で簡
便に実施することができる。ここで、電極活物質として
は、種々の遷移金属化合物を使用することができるが、
好ましくは遷移金属化合物がオキシ水酸化ニッケルもし
くはニッケルの一部を一種以上の他の金属元素またはカ
ルコゲンで置換したオキシ水酸化ニッケル、またははコ
バルト、ニッケル、マンガン、チタンおよびバナジウム
よりなる群より選ばれる金属を含む酸化物であればよ
い。導電性高分子を構成する高分子としては、ポリピロ
ール、ポリチオフェン、ポリイソチアナフテン、ポリフ
ラン、ポリセレノフェン、ポリパラフェニレン、ポリナ
フチレン、ポリアントラセン、ポリアニリン、ポリアズ
レン、ポリピレン、ポリカルバゾール、ポリピリダジン
またはポリアセチレンもしくはそれらの置換体もしくは
それらの共重合体であるとよい。また、本発明による電
池は、上述の方法によって製造した電極を備えたことを
特徴としており、これによってサイクル寿命特性および
高率放電特性に優れた電池とすることができる。特に、
導電性高分子の合成原料となる化合物を溶解させた電解
液を用いて、遷移金属化合物を備えた電極に、電気化学
的に該導電性高分子を形成させると、非常に簡便に、電
池への初回通電時に、遷移金属化合物と導電性高分子を
備えた本発明による電極を電池内に作製することができ
る。
【0007】
【実施例】以下、本発明を好適な実施例を用いて説明す
るが、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではな
い。
【0008】[実施例1]粒子径5〜50μのオキシ水
酸化ニッケルを正極活物質とし、導電剤は添加せず、結
着剤としてポリ二フッ化ビニリデンのn−メチル−2−
ピロリドン溶液(ポリ二フッ化ビニリデンが固形分とし
て5wt%)とをドライルーム内で混合して、ペースト
状にしてから集電体のアルミニウム網に塗布した後、1
00℃で乾燥して、大きさが15mm×15mmの電極
を製作した。得られた電極を正極とし、この正極板1枚
に対して、負極として同じ大きさのリチウム金属板2枚
を用い、電解液には、1Mの過塩素酸リチウムを含むエ
チレンカーボネート、ジエチルカーボネートおよび導電
性高分子の合成原料としてのピロールを体積比で47:
47:6の割合で混合した混合溶液50mlを用いて、
本発明による電池Aを製作した。
【0009】[実施例2]1Mの過塩素酸リチウムを含
むエチレンカーボネート、ジエチルカーボネートおよび
導電性高分子の合成原料としてのチオフェンを体積比で
47:47:6の割合で混合した混合溶液を電解液とし
て用いる以外は実施例1と全く同様にして、本発明によ
る電池Bを製作した。
【0010】[実施例3]1Mの過塩素酸リチウムを含
むエチレンカーボネート、ジエチルカーボネートおよび
導電性高分子の合成原料としてのフランを体積比で4
7:47:6の割合で混合した混合溶液を電解液として
用いる以外は実施例1と全く同様にして、本発明による
電池Cを製作した。
【0011】[実施例4]1Mの過塩素酸リチウムを含
むエチレンカーボネート、ジエチルカーボネートおよび
導電性高分子の合成原料としてのカルバゾールを体積比
で47:47:6の割合で混合した混合溶液を電解液と
して用いる以外は実施例1と全く同様にして、本発明に
よる電池Dを製作した。
【0012】[実施例5]活物質として、粒子径5〜5
0μのニッケル酸リチウム(LiNiO2)を用いる以
外は実施例1と全く同様にして、本発明による電池Eを
製作した。
【0013】[実施例6]活物質として、粒子径5〜5
0μのコバルト酸リチウム(LiCoO2)を用いる以
外は実施例1と全く同様にして、本発明による電池Fを
製作した。
【0014】[実施例7]活物質として、粒子径5〜5
0μのマンガン酸リチウム(LiMn24)を用いる以
外は実施例1と全く同様にして、本発明による電池Gを
製作した。
【0015】[実施例8]活物質として、粒子径5〜5
0μのマンガン(III)酸リチウム(LiMnO2
を用いる以外は実施例1と全く同様にして、本発明によ
る電池Hを製作した。
【0016】[実施例9]活物質として、粒子径5〜5
0μのチタン酸リチウム(Li4Mn512)を用いる以
外は実施例1と全く同様にして、本発明による電池Iを
製作した。
【0017】[実施例10]活物質として、粒子径5〜
50μの五酸化バナジウム(V25)を用いる以外は実
施例1と全く同様にして、本発明による電池Jを製作し
た。
【0018】[実施例11]活物質として、粒子径5〜
50μのニッケル酸ナトリウム(NaNiO2)を用い
る以外は実施例1と全く同様にして、本発明による電池
Kを製作した。
【0019】[実施例12]活物質として、粒子径5〜
50μのニッケル(II)酸リチウム(Li2NiO2
を用いる以外は実施例1と全く同様にして、本発明によ
る電池Lを製作した。
【0020】[従来例1]粒子径5〜50μのオキシ水
酸化ニッケルを正極活物質とし、導電剤としてアセチレ
ンブラック(5wt%)と、結着剤としてポリ二フッ化
ビニリデンのn−メチル−2−ピロリドン溶液(ポリ二
フッ化ビニリデンが固形分として9wt%)とをドライ
ルーム内で混合して、ペースト状にしてから集電体のア
ルミニウム網に塗布した後、100℃で乾燥して、大き
さが15mm×15mmの電極を製作した。得られた電
極を正極とし、この正極板1枚に対して、負極として同
じ大きさのリチウム金属板2枚を用い、電解液には、1
Mの過塩素酸リチウムを含むエチレンカーボネートおよ
びジエチルカーボネートを体積比で1:1の割合で混合
した混合溶液50mlを用いて、比較のための従来例に
よる電池Mを製作した。
【0021】[従来例2]粒子径5〜50μのニッケル
酸リチウム(LiNiO2)を正極活物質を用いる以外
は従来例1と全く同様にして、従来例による電池Nを製
作した。
【0022】[従来例3]粒子径5〜50μのコバルト
酸リチウム(LiCoO2)を正極活物質を用いる以外
は従来例1と全く同様にして、従来例による電池Oを製
作した。
【0023】[従来例4]粒子径5〜50μのマンガン
酸リチウム(LiMn24)を正極活物質を用いる以外
は従来例1と全く同様にして、従来例による電池Pを製
作した。
【0024】[従来例5]粒子径5〜50μのマンガン
(III)酸リチウム(LiMnO2)を正極活物質と
して用いる以外は従来例1と全く同様にして、従来例に
よる電池Qを製作した。
【0025】[従来例6]粒子径5〜50μのチタン酸
リチウム(Li4Ti512)を正極活物質として用いる
以外は従来例1と全く同様にして、従来例による電池R
を製作した。
【0026】[従来例7]粒子径5〜50μの五酸化バ
ナジウム(V25)を正極活物質として用いる以外は従
来例1と全く同様にして、従来例による電池Sを製作し
た。
【0027】[従来例8]粒子径5〜50μのニッケル
酸ナトリウム(NaNiO2)を正極活物質を用いる以
外は従来例1と全く同様にして、従来例による電池Tを
製作した。
【0028】[従来例9]粒子径5〜50μのニッケル
(II)酸リチウム(Li2NiO2)を正極活物質を用
いる以外は従来例1と全く同様にして、従来例による電
池Uを製作した。
【0029】[電池評価試験]上記方法によって得られ
た各電池を25℃、0.5mA/cm2の電流密度で定
電流にて充放電をおこなった。いずれの電池も、充電か
ら開始した。同様にして、30サイクル充放電を繰り返
した。
【0030】[評価結果]表1は、各活物質の1サイク
ル目および30サイクル経過後の放電容量値およびその
初期放電容量に対する容量保持率を示している。なお、
ここで「容量保持率」を、30サイクル目の放電容量/
1サイクル目の放電容量(単位:%)と定義する。
【0031】
【表1】
【0032】まず、正極活物質としてオキシ水酸化ニッ
ケルを用いた電池A、B、C、DおよびMを比較する。
初回の充電時には、従来電池Mではほとんど通電されな
いままに設定終止電圧である4.2Vに達した。これ
は、オキシ水酸化ニッケルがすでに充電状態の活物質で
あることを考慮すると、合理的な結果であるといえる。
しかし、本発明による電池A、B、CおよびDをみる
と、初回の充電時にも、設定終止電圧に達するまで相当
量の電気量が通電されている。これは、活物質であるオ
キシ水酸化ニッケルの反応に起因するものではなく、電
池系中に含まれるピロール、チオフェン、フランまたは
カルバゾールなどの重合反応に対応するものであると考
えられる。これら高分子はアニオンもしくはカチオンに
よってドーピングすることにより、その電子伝導性が著
しく向上するが、電池の電解液中では、電解質支持塩に
由来するアニオンもしくはカチオンが豊富に存在し、電
解重合反応にあわせて、ドーピングも同じ電池系中でお
こなわれるものと考えられる。図1は、本発明による電
池Aおよび従来電池Mについて、それぞれ種々の放電電
流における定電流放電特性を示したものである。本発明
による電池Aは、正極板に導電剤を含まないにも関わら
ず、同じ放電電流においても、電極の内部抵抗に起因す
る電圧低下がより小さくなった。したがって、本発明に
よる電池Aにおいては、1サイクル目の充電時にピロー
ルが重合しポリピロールが形成された上、電解液中の電
解質支持塩アニオンがドープされて優れた導電性が発現
しているものと考えられる。また放電電流が大きいとき
にも電圧低下がより少なく、高率放電特性が優れている
ことがわかる。本発明による電池B、CおよびDにおい
ても同様の結果が得られた。いずれの場合においても正
極板中に導電性高分子のネットワークが形成され、活物
質粒子間の電子伝導性が著しく向上したためであるとみ
られる。各電池の30サイクル経過後の容量保持率を比
較すると、従来電池Mでは初期放電容量に比べてわずか
30%程度の値にまで低下しているが、一方本発明によ
る電池A、B、CおよびDでは、いずれの場合において
も30サイクル経過後の容量保持率は70%を上回って
いる。ここで用いた正極活物質であるオキシ水酸化ニッ
ケルは、充放電サイクルの経過とともに、充放電時の体
積変化によって活物質間の接触が徐々に緩慢になり、電
子伝導性が低下することがサイクル寿命劣化の一因であ
ると考えられている。ここで、本発明による電極のよう
に、導電性高分子を電極中に含むことによって、活物質
間の電子伝導性が向上するだけでなく、電極中上で直接
重合反応を進行させて導電性高分子を生成させることに
よって、導電性高分子が電極内で三次元的なネットワー
クとして形成され、電極の機械的強度の向上も期待でき
る。これにより、活物質の体積変化に対する耐性の強い
電極、すなわち、サイクル寿命特性に優れた電極とする
ことができる。これには、高分子材料の有する自己結着
性の性質も寄与している。さらには、たとえば実施例1
と従来例1との電極作製条件を比較すればわかるよう
に、本発明のように導電性高分子を電極に含ませれば、
他にカーボンや金属粉末などの導電剤を必要としない
か、あるいは導電剤の使用量を低減できるため、その分
活物質を多く充填して電極のエネルギー密度を向上させ
ることができ、比較的比表面積の大きなそれらの導電材
料を含まないことから、PVdFなどのバインダーの添
加量も減らすことができる。これによって、さらに高エ
ネルギー密度の電極を作製することができる。表1によ
ると、正極活物質としてオキシ水酸化ニッケル以外の遷
移金属化合物を用いた電池においても、実施例5と従来
例2、実施例6と従来例3、実施例7と従来例4、実施
例8と従来例5、実施例9と従来例6、実施例10と従
来例7、実施例11と従来例8、ならびに実施例12と
従来例9、それぞれを比較しても、本発明による電池に
おいては初期充電で導電性高分子が電極中に形成され、
優れたサイクル寿命特性を有する電池となることが確認
できる。ここで、本発明による電池の有する優れたサイ
クル寿命特性および高率放電特性は、導電性高分子の合
成原料となる化合物を溶解した溶液中に、遷移金属化合
物を備えた電極を浸漬した後に重合反応をさせて高分子
を合成し、この高分子をドーピング剤でドーピングする
ことにより導電性高分子を形成させるという、本発明独
自の手法による電極の作製方法に起因するため、電極に
含まれる正極活物質は、上記の実施例に記載した以外の
遷移金属化合物であっても、何ら本発明の効果にかわり
はない。また、導電性高分子は、上記実施例で示した以
外のものでも本発明の電極に適用でき、なかでもポリパ
ラフェニレン、ポリイソチアナフテン、ポリセレノフェ
ン、ポリナフチレン、ポリアントラセン、ポリアニリ
ン、ポリピレン、ポリアズレンまたはポリアセチレンを
用いると、効率的に各導電性高分子を電極中に形成さ
せ、上記実施例と同様に、サイクル寿命特性および高率
放電特性に優れた電極とすることができる。
【0033】
【発明の効果】本発明になる製造方法によって得られた
電極は、導電性高分子の有する自己結着性によって、電
極中のバインダーの必要添加量を減少させることができ
る。また、電極中に存在する導電性高分子によって、電
極中に三次元的な導電性ネットワークが形成され、活物
質間の電気電導性が飛躍的に向上し、この効果により、
サイクル寿命特性および高率放電特性に優れた電極を得
ることができる。さらに、遷移金属化合物を備えかつ導
電性高分子を含む電極を、導電性高分子の合成原料とな
る化合物を溶解した溶液中に浸漬すると、電極中の三次
元的な導電性ネットワークがより多く形成され、より特
性の優れた電極をえることができる。
【0034】本発明になる製造方法によって作製した電
極を使用した電池では、従来の課題であったオキシ水酸
化ニッケルのサイクル寿命性能の向上を達成することが
でき、また、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウ
ム、マンガン酸リチウムなどの遷移金属複合酸化物につ
いても、サイクル寿命特性の向上が実現できる。したが
って、高容量かつ長寿命の高性能非水電解質電池を提供
できる。
【0035】それゆえに本発明の工業的価値は極めて大
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による電池Aおよび従来電池Mの、種々
の放電電流における定電流放電特性を示した図。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】導電性高分子の合成原料となる化合物を溶
    解した溶液中に、遷移金属化合物を備えた電極を浸漬し
    た後、上記導電性高分子の合成原料となる化合物を重合
    反応させて電極中に高分子を形成させることを特徴とす
    る電極の製造方法。
  2. 【請求項2】遷移金属化合物を備えかつ導電性高分子を
    含む電極を、導電性高分子の合成原料となる化合物を溶
    解した溶液中に浸漬することを特徴とする請求項1記載
    の電極の製造方法。
  3. 【請求項3】導電性高分子の合成原料となる化合物の重
    合反応を電気化学的におこなうことを特徴とする請求項
    1および2記載の電極の製造方法。
  4. 【請求項4】導電性高分子の合成原料となる化合物の重
    合反応をおこなう反応溶液中に、該導電性高分子にドー
    ピングされうるイオン種を含ませたことを特徴とする請
    求項1、2および3記載の電極の製造方法。
  5. 【請求項5】導電性高分子にドーピングされうるイオン
    種がアニオン種であることを特徴とする請求項4記載の
    電極の製造方法。
  6. 【請求項6】遷移金属化合物がオキシ水酸化ニッケルも
    しくはニッケルの一部を一種以上の他の金属元素または
    カルコゲンで置換したオキシ水酸化ニッケルであること
    を特徴とする請求項1、2、3、4および5記載の電極
    の製造方法。
  7. 【請求項7】電極活物質が、コバルト、ニッケル、マン
    ガン、チタンおよびバナジウムよりなる群から選ばれる
    遷移金属を含む酸化物であることを特徴とする請求項
    1、2、3、4および5記載の電極の製造方法。
  8. 【請求項8】導電性高分子を構成する高分子が、ポリピ
    ロール、ポリチオフェン、ポリイソチアナフテン、ポリ
    フラン、ポリセレノフェン、ポリパラフェニレン、ポリ
    ナフチレン、ポリアントラセン、ポリアニリン、ポリア
    ズレン、ポリピレン、ポリカルバゾール、ポリピリダジ
    ンまたはポリアセチレンもしくはそれらの置換体もしく
    はそれらの共重合体であることを特徴とする請求項1、
    2、3、4、5、6および7記載の電極の製造方法。
  9. 【請求項9】請求項1、2、3、4、5、6、7または
    8記載の方法によって製造した電極を用いることを特徴
    とする電池。
  10. 【請求項10】導電性高分子の合成原料となる化合物を
    溶解させた電解液を用いて、遷移金属化合物を備えた電
    極に、電気化学的に導電性高分子を形成させたことを特
    徴とする請求項9記載の電池。
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