JP3573899B2 - 非水電解質二次電池 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、非水電解質二次電池に関する。
【0002】
【従来技術】
近年の電子機器の小型化、薄型化、軽量化の進歩は目ざましいものがあり、とりわけOA分野においてはデスクトップ型からラップトップ型、ノートブック型へと小型軽量化している。加えて、電子手帳、電子スチールカメラ等の新しい小型電子機器の分野も出現し、さらには従来のハードディスク、フロッピーディスクの小型化に加えて新しいメモリーメディアであるメモリーカードの開発も進められている。このような電子機器の小型化、薄型化、軽量化の波の中で、これらの電力をささえる二次電池にも高性能化が要求されてきている。
このような要望の中、鉛蓄電池やニッカド電池に関わる高エネルギー密度電池としてリチウム二次電池の開発が急速に進められてきた。
【0003】
これらに用いる負極活物質としては、リチウム金属を電極として用いると、高起電力が得られ、軽量で高密度化しやすいが、充放電によって、デンドライトが生成し、これが電解液を分解するなどの悪影響を与え、さらに、このデンドライトが成長すると正極に達し、電池内短絡を起こすという問題点があった。そこで、リチウム合金を負極として用いると、このような問題は緩和されるが、二次電池として満足できるような容量が得られなかった。このため、負極活物質として、リチウムを吸蔵放出でき、安全性の高い炭素材料を用いることが提案され、今日まで多くの研究がなされてきた。たとえば、特開平2−66856に負極活物質として、フルフリル樹脂を1100℃で燃焼した導電性炭素材料を用いることが提案されている。また、特開昭61−277515には、芳香族ポリイミドを不活性雰囲気下で2000℃以上の温度で熱処理して得られる導電性炭素材料を負極活物質に用いることが開示されている。さらに、特開平4−1115457には易黒鉛性球状炭素を黒鉛化したものを負極物質に用いることが開示されている。さらに、特開昭61−77275ではフェノール系高分子を熱処理したポリアセン構造の絶縁性、あるいは半導体性の炭素材料を電極に用いた二次電池が開示されている。
【0004】
一方、正極活物質としては、TiS、MoS、Co、V、MnO、CoOなどの遷移金属酸化物、あるいは遷移金属カルコゲン化合物などがあり、無機材料を活物質とした例が数多く研究されてきた。さらに、最近では高エネルギー化のために作動電圧が4Vを示す、リチウムコバルト酸化物、リチウムニッケル酸化物等、LiMOで示される層状構造を有する複合酸化物、または、LiMで示されるスピネル構造を有する複合酸化物が提案されている(特公昭63−59507、特公平8−21431)。これらの複合酸化物は、炭酸塩、水酸化物、硝酸塩等を出発原料として、高温で焼成することにより合成される。これらの中で、特にスピネルLiMnは、従来の活物質に比べて、高い電位を有しているとともに、資源的に豊富でかつ安価なマンガン酸化物を原料としているため、正極材料として有望視されてきた。しかし、LiMnを正極とした場合、初期放電容量は100〜120mAh/gが得られるが、充放電サイクルに伴い、容量が低下するという問題があり、種々の検討が行われてきた。
【0005】
例えば、LiMnとLiCoO、LiNiOの混合体正極(特開平4−171660、USP5429890)、LiMnとMnO複合正極(特開平5−36409)、LiMnとMn複合正極(特公平7−66833)などの複数の活物質を用いる正極系などが挙げられるが、LiMnとLiCoO、LiNiOの混合体は、Mn系とCo系、またはNi系の種類の異なる活物質の混合であり、電位の平坦性の欠け、LiCoO、LiNiOの混合比を上げれば、コストの上昇は逃れられない。一方、LiMnとMnO複合正極、LiMnとMn複合正極は、単なる混合体ではなく、両者の複合体から一粒子が形成されており、安定した作製が困難であるなどの欠点があった。
【0006】
さらに、LiMnのMn原子の一部を他の原子Xで置換したLiMn(2−n)を正極活物質に用いる試み(特開平2−139861、特開平2−199770、特開平2−278661など)が、多数行われてきた。これらは、LiMnの原料であるリチウム、マンガンの炭酸塩、水酸化物、硝酸塩等にX含有化合物を混合して、熱処理を加えることによって合成するわけであるが、LiMnでも高純度のものを安定して合成するのが難しいことから、さらに、組成、純度の揃ったものを安定して合成するのは一層難しい。さらに、Mnを他の原子Xに置換すると、サイクル特性に効果が認められるものもあったが、容量自体が低下したりして、高容量でサイクル特性の優れたものはいまだに得られていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、正極の改良により、高容量で、サイクル特性の優れた非水電解質二次電池を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するためには、正極活物質としてLiMnとLiMn(2−a)(前式中、XはIIA、IIIA、IVA、VA、VIA、VIIA、VIII、IB、IIB、IIIB、IVBおよびVB元素よりなる群から選ばれた少なくとも1種類の元素を表わす。また、aは0<a≦1.0の範囲の数である。)との混合物を用いるとよいことを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明においては、正極活物質として、高容量だが、サイクル特性に問題のあるLiMnに容量は若干劣るがサイクル特性に優れたLiMn(2−a)を混合すると、サイクル特性は向上するが、容量低下は生ぜず、高容量で、サイクル特性の優れた非水電解質二次電池が得られた。また、前記Xの種類によっては、例えばXがFe、Ni、Zn等の場合にはLiMnを単独に用いた場合より、さらに高容量化する場合がある。
【0009】
前記のような効果が生ずる原因は、必ずしも明らかではないが、LiMnおよびLiMn(2−a)(Xおよびaは前記に同じ。また、以下も同じ。)のわずかに異なる結晶同士が、適度に混ざり合うことによって、それぞれの結晶中に部分的な歪みが生じ、リチウムイオンの拡散が容易となり、放電時のイオンの拡散律速による過電圧が減少したため放電電圧が上昇し、また、充電時のイオンの脱ドープも円滑に行われるようになったためではないかと推測される。しかも、構造の大きく異なる活物質を混合したわけではないため、混合も容易で再現性の高い安定した特性が得られる。ただし、混合する両者の粒径は、両者の均一な混合、または分散性等の観点から特に重要であり、平均粒径が好ましくは10μm以下、最大粒径が好ましくは20μm以下、さらに、これらの範囲内で平均粒径および/または最大粒径の粒径範囲が異なる方が好ましい。
【0010】
LiMnとLiMn(2−a)の混合比は、LiMn(2−a)が好ましくは20〜80重量%である。
LiMn(2−a)の混合比が20重量%未満では、両者を混合する利点が充分に生じない。
特に前記のように、LiMnとLiMn(2−a)の混合比、平均粒径および/または最大粒径を最適化すると、LiMnにLiMn(2−a)を添加することにより、サイクル特性が向上するだけでなく、容量低下も全く生じなかった。
前記LiMnとLiMn(2−a)との混合活物質は、所定の大きさの粒径(平均粒径および/または最大粒径)の前記各活物質を所定量の混合比で、乾式、または湿式ボールミル法等により均一に混合処理して作製することができる。
【0011】
前記LiMnは、前述のとおり、リチウムの水酸化物(LiOH)、リチウム塩(LiCO、LiNO、LiOH)、酸化物(LiO、Liなど)と、マンガンの酸化物(MnO、Mn、Mnなど)、水酸化物〔Mn(OH)、MnOOH〕等との混合物を、空気中、真空中、不活性ガス雰囲気中にて、原料によって異なる所定の温度で焼成するものである。具体的な合成例としては、LiCOとMnをLi/Mnモル比1/2で混合して、850℃で10時間焼成する例、LiCOとMnOをLi/Mnモル比1/2で混合して、430〜520℃で焼成する例、LiNOとMnOをLi/Mnモル比1/2で混合して、260℃および300〜500℃および550〜850℃の多段階に分けて、それぞれ10〜50時間程度熱処理を行なう例(特開平7−97216)などが挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0012】
次にLiMn(2−a)は、前述のとおり、これまでMn置換元素Xについて、数多くの検討がなされてきたが、本発明においては、Xが、IIA、IIIA、IVA、VA、VIA、VIIA、VIII、IB、IIB、IIIB、IVBおよびVB元素よりなる群から選ばれた少なくとも1種類の元素が好ましく、この中で特に、特にMnに原子径が近く、スピネル構造に大きな歪みを生じさせず、原子量が比較的小さいので、容量密度的に有利であり、更にLiの出入り時に歪みが小さいV、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、B、PおよびMgよりなる群から選ばれた少なくとも一種類の元素であるものがより好ましい。
また、Xの添加量であるaの値は、0<a≦1.0が好ましい。aの数値が、前記範囲外の場合には、スピネル構造の歪みが不安定であり、好ましくない。
LiMn(2−a)の合成方法は、LiMnの場合と同様であり、リチウム源、マンガン源、そしてX源としてXの化合物(酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩など)を混合して、所定の温度で熱処理することによって得られる。
【0013】
正極には前記LiMnとLiMn(2−a)の他に、導電性高分子などの他の活物質を含有してもよい。LiMn、LiMn(2−a)などの無機活物質は、それだけでは導電性が悪く、自己成形性がないため、導電助剤、結着剤を大量に添加する必要がある。その点、導電性高分子材料は軽量性、加工性などの利点を持ち合わせている。導電性高分子を正極に用いた例としては、ポリアセチレン(特開昭56−136489)、ポリピロール(第25回電池討論会講演要旨集P2561,1984)、ポリアニリン(特開昭62−108459)などがある。しかし、これらは、密度が低いために、体積当りのエネルギー密度が低いという欠点を持っている。従って、無機活物質、導電性高分子の互いの欠点を補う方法として、導電性高分子と無機活物質の複合体電極が提案されてきた(特開昭63−102162、特開昭63−314763、特開平3−298067、特開平4−322057、特開平6−68866、特開平6−318452)。このように、導電性高分子との複合化は、本発明においても効果的である。
【0014】
前記LiMnとLiMn(2−a)は、上記導電性高分子を含有しない場合には、結着剤を溶解した溶媒中で、必要に応じて導電剤を加え混合分散して、集電体上に塗布乾燥して正電極を作製する。結着剤としては、テフロン、ポリエチレン、ニトリルゴム、ポリブタジエン、ブチルゴム、ポリスチレン、スチレン/ブタジエンゴム、ニトロセルロース、シアノエチルセルロース、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロプレン、ポリビニルピリジンなどが挙げられ、これらは、単独で用いられたり、または混合、さらに、共重合などによって、耐電解液性を強化して用いられる。従って、結着剤の種類は、電解液に溶解、または反応しないものであれば、限定されるものではない。これらの結着剤の含有量は、1〜20重量%が好ましい。正極には、電極活物質の他に導電剤を含有させてもよい。該導電剤としては、構成された電池系内において化学変化を起こさない電子伝導性材料であれば何でもよく、天然黒鉛、人造黒鉛などが、通常用いられており、含有量は1〜20重量%が好ましい。
【0015】
以下、前記のような正極活物質を含有する正極を用いた非水電解質二次電池の構成について説明する。
1.負極活物質
本発明の電池に用いられる負極材料(負極活物質)としては、リチウム金属、Pb、Bi、Snなどの低融点金属とLiとの合金、Li−Al合金などのリチウム合金、炭素材料などが用いられる。これらの中で炭素材料が最も好ましく、この例としては、フェノール、ポリイミドなどの合成高分子、天然高分子を400〜800℃の還元雰囲気で焼成することにより得られる絶縁性乃至半導体炭素体、石炭、ピッチ、合成高分子、あるいは天然高分子を800〜1300℃での還元雰囲気で焼成することにより得られる導電性炭素体、コークス、ピッチ、合成高分子、天然高分子を2000℃以上の温度で還元雰囲気下焼成することにより得られるもの、および天然黒鉛などの黒鉛系炭素体が挙げられ、これらに限定されるものではなく、さらにこれらは単独、あるいは二種類以上を混合して用いてもよい。炭素体のシート化は、炭素体と前記正極の場合と同様な結着剤から湿式抄紙法を用いたり炭素材料に適当な結着剤を混合した塗料から塗布法により作製される。電極はこれを必要に応じて集電体に塗布、接着、圧着等の方法により担持することにより製造することができる。
【0016】
2.集電体
正負極集電体としては、例えば、ステンレス鋼、金、白金、ニッケル、アルミニウム、モリブデン、チタン等の金属シート、金属箔、金属鋼、パンチングメタル、エキスパンドメタル、あるいは金属メッキ繊維、金属蒸着線、金属含有合成繊維等からなる網や不織布があげられる。なかでも電気伝導度、化学的、電気化学安定性、経済性、加工性等を考えるとアルミニウム、ステンレスを用いることが特に好ましい。さらに好ましくは、その軽量性、電気化学的安定性からアルミニウムが好ましい。
【0017】
前記正極集電体層、および負極集電体層の表面は粗面化してあることが好ましい。粗面化を施すことにより活物質層の接触面積が大きくなるとともに、密着性も向上し、電池としてのインピーダンスを下げる効果がある。また、塗料溶液を用いての電極作製においては、粗面化処理を施すことにより活物質と集電体の密着性を大きく向上させることができる。粗面化処理としてはエメリー紙による研磨、ブラスト処理、化学的あるいは電気化学的エッチングがあり、これにより集電体を粗面化することができる。特にステンレス鋼の場合はブラスト処理、アルミニウムの場合はエッチング処理したエッチドアルミニウムが好ましい。アルミニウムはやわらかい金属であるためブラスト処理では効果的な粗面化処理を施すことができなくアルミニウム自体が変形してしまう。これに対してエッチング処理はアルミニウムの変形やその強度を大きく下げることなくミクロのオーダーで表面を効果的に粗面化することが可能であり、アルミニウムの粗面化としては最も好ましい方法である。
【0018】
3.非水電解液
電解質塩としては、LiClO、LiAsF、LiPF、LiBF、LiBr、LiCFSO、LiN(CFSO、LiC(CFSOなどが挙げられ、特に限定されるものではない。電解質濃度としては、使用する電極、電解液によって異なるが、0.1から10mol/リットルが好ましい。
【0019】
電解液を構成する溶媒としては、たとえば、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタンなどのエーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類、アセトニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル類、ジメチルスルホキシスルホランなどの硫黄化合物、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネートなどの鎖状炭酸エステル類、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネートなどの環状炭酸エステル類などが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、また、これらは単独でも、2種類以上を混合して用いても良い。
【0020】
本発明の非水電解質二次電池は、高分子固体電解質を用いる場合にも大きな効果があり、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリルなどのポリマーマトリックスとして、これらに電解質塩を溶解した複合体、あるいは、さらに溶媒を含有するゲル架橋体、低分子量ポリエチレンオキサイド、クラウンエーテルなどのイオン解離基をポリマー主鎖にグラフト化した高分子固体電解質、高分子量重合体に前記電解液を含有させたゲル状高分子固体電解質などがあげられる。
【0021】
4.セパレーター
本発明の非水電解質二次電池においてはセパレーターを使用することもできる。セパレーターとしては、電解質溶液のイオン移動に対して低抵抗であり、且つ、溶液保持に優れたものを使用するのがよい。そのようなセパレーター例としては、ガラス繊維フィルター、ポリエステル、テフロン、ポリフロン、ポリプロピレン等の高分子繊維からなる不織布フィルター、ガラス繊維とそれらの高分子繊維を混用した不織布フィルターなどを挙げることができる。
【0022】
【実施例】
実施例1
LiCO、Mnを1:2のモル比で混合して、空気中で850℃10時間焼成して、平均粒径4.4μm(最大粒径15.8μm)のLiMnを合成した。また、LiCO、MnおよびFeを、1:1.5:0.5のモル比で混合し、空気中で750℃8時間焼成して、平均粒径8.9μm(最大粒径22.0μm)のLiMn1.5Fe0.5を合成した。そしてLiMn1.5Fe0.5が10重量%(LiMnとLiMn1.5Fe0.5の総重量に対するLiMn1.5Fe0.5の重量%)になるように混合して、メタノール中でボールミルを用いて均一に分散した後、溶媒を乾燥除去して両者の混合活物質を得た。
【0023】
ポリフッ化ビニリデン(PVDF)3.5重量部をN−メチルピロリドン37重量部に溶解して、上記混合活物質51.5重量部、導電性黒鉛8重量部を加えて、ロールミル法にて、不活性雰囲気下で混合分散して、正極用塗料を調製した。これを、大気中にてドクターブレードを用いて、20μmAl箔上に塗布し、130℃20分間乾燥させ、ロールプレスして、膜厚50μmの正極を作製した。
以上のように作製した正極(Φ20mm)と、対極にLi金属、セパレーターとしてポリプロピレン多孔膜を用いて、コインセルを作製した。そして、電解液にLiPFのエチレンカーボネート/ジメチルカーボネート(5/5、体積比)溶液2.0mol/リットルを用いて、以下のようにして充放電試験を行った。すなわち北斗電工製HJ−201B充放電測定装置を用いて、1.5mAの電流で電池電圧が4.2Vになるまで充電し、10分の休止後、1.5mAの電流で、電池電圧が3.0Vまで放電し、10分の休止という充放電を繰り返し、初期と200サイクル目の放電容量(mAh)を表1に示した。
【0024】
実施例2
実施例1において、LiMn1.5Fe0.5の混合比を20重量%とした以外は同様である。
【0025】
実施例3
実施例1において、LiMn1.5Fe0.5の混合比を50重量%とした以外は同様である。
【0026】
実施例4
LiCO、Mn、CoCOを、1:1.9:0.1のモル比で混合し、空気中で850℃10時間焼成して、平均粒径5.0μm(最大粒径16.1μm)のLiMn1.9Co0.1を合成した。これを、80重量%の比率で、実施例1と同様にLiMnと混合して、混合活物質を作製し、塗布電極を作製して評価した。
【0027】
実施例5
実施例4において、LiMn1.9Co0.1の混合比を90重量%とした以外は同様にして実施した。
【0028】
実施例6
LiCO、MnおよびNiCOを、1:1.2:0.8のモル比で混合し、空気中で850℃10時間焼成して、平均粒径5.4μm(最大粒径16.5μm)のLiMn1.2Ni0.8を合成した。これを、30重量%の比率で、実施例1と同様にLiMnと混合して、混合活物質を作製し、塗布電極を作製し正極とした。さらに、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)3重量部を、N−メチルピロリドン65重量部に溶解して、天然黒鉛32重量部を加えて、ロールミル法にて、不活性雰囲気下で混合分散して、負極用塗料を調製した。これを、大気中にて、ドクターブレードを用いて、20μm銅箔上に塗布し、120℃20分間乾燥させ、膜厚85μmの負極を作製した。
これらの正極、負極を用いて、以下実施例1と同様に電池を作製して電池特性を評価した。
【0029】
実施例7
LiCO、MnおよびMgCOを、1:1.5:0.5のモル比で混合し、空気中で900℃10時間焼成して、平均粒径6.6μm(最大粒径18.5μm)のLiMn1.5Mg0.5を合成した。これを、40重量%の比率で、実施例6と同様にLiMnと混合して、混合活物質を作製し、塗布電極を作製して評価した。
【0030】
実施例8
LiCO、MnおよびNHVOを、1:1.1:0.9のモル比で混合し、空気中で900℃10時間焼成して、平均粒径12.2μm(最大粒径28.5μm)のLiMn1.10.9を合成した。これを、20重量%の比率で、実施例6と同様にLiMnと混合して、混合活物質を作製し、塗布電極を作製して評価した。
【0031】
実施例9
LiCO、MnおよびBを、1:1.6:0.4のモル比で混合し、空気中で900℃10時間焼成して、平均粒径8.1μm(最大粒径17.9μm)のLiMn1.60.4を合成した。これを、50重量%の比率で、実施例1と同様にLiMnと混合して、混合活物質を作製し、塗布電極を作製し正極とした。さらにポリフッ化ビニリデン(PVDF)3重量部を、N−メチルピロリドン65重量部に溶解して、コークス2500℃焼成品32重量部を加えて、ロールミル法にて、不活性雰囲気下で混合分散して、負極用塗料を調製した。これを、大気中にて、ドクターブレードを用いて、20μm銅箔上に塗布し、120℃20分間乾燥させ、膜厚85μmの負極を作製した。
これらの正極、負極を用いて、以下実施例1と同様に電池を作製して電池特性を評価した。
【0032】
実施例10
LiCO、Mn、Pを、1:1.5:0.5のモル比で混合し、空気中で900℃10時間焼成して、平均粒径5.1μm(最大粒径15.6μm)のLiMn1.50.5を合成した。これを、50重量%の比率で、実施例1と同様にLiMnと混合して、混合活物質を作製し、塗布電極を作製し正極とした。さらにポリフッ化ビニリデン(PVDF)3重量部を、N−メチルピロリドン65重量部に溶解して、ポリイミド1000℃焼成品32重量部を加えて、ロールミル法にて、不活性雰囲気下で混合分散して、負極用塗料を調製した。これを、大気中にて、ドクターブレードを用いて、20μm銅箔上に塗布し、120℃20分間乾燥させ、膜厚85μmの負極を作製した。
これらの正極、負極を用いて、以下実施例1と同様に電池を作製して電池特性を評価した。
【0033】
実施例11
LiCO、Mn、ZnCOを、1:1.5:0.5のモル比で混合し、空気中で900℃10時間焼成して、平均粒径5.0μm(最大粒径15.2μm)のLiMn1.5Zn0.5を合成した。これを、60重量%の比率で、実施例1と同様にLiMnと混合して、混合活物質を作製した。次に、以下のような化学重合法によって、導電性高分子であるポリアニリンを重合した。5.9N、HSO−aq450ml/アニリン20.4g溶液を、5℃以下に冷却し、5.9N、HSO−aq50ml/過硫酸アンモニウム11.5g溶液を滴下し、滴下終了後、2時間3〜5℃で撹拌し、濾過、水、メタノールの順で十分洗浄し、このポリアニリンを20mol%ヒドラジン−水和物メタノール溶液に加え、1日撹拌後、濾取、洗浄、乾燥して目的のポリアニリンを得た。
上記ポリアニリンの6重量部をN−メチルピロリドン40重量部に溶解して、上記混合活物質54重量部を加えて、ロールミル法にて、不活性雰囲気下で混合分散して、正極用塗料を調製した。これを、大気中にて、ドクターブレードを用いて、20μmAl箔上に塗布し、120℃20分間乾燥させ、ロールプレスして、膜厚50μmの正極を作製した。さらに、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)3重量部を、N−メチルピロリドン65重量部に溶解して、コークス2500℃焼成品32重量部を加えて、ロールミル法にて、不活性雰囲気下で混合分散して、負極用塗料を調製した。これを、大気中にて、ドクターブレードを用いて、20μm銅箔上に塗布し、120℃20分間乾燥させ、膜厚85μmの負極を作製した。
これらの正極、負極を用いて、以下実施例1と同様に電池を作製して電池特性を評価した。
【0034】
実施例12
LiCO、Mn、Crを、1:1.6:0.4のモル比で混合し、空気中で850℃10時間焼成して、平均粒径6.0μm(最大粒径17.4μm)のLiMn1.6Cr0.4を合成した。これを、50重量%の比率で、実施例1と同様にLiMnと混合して、混合活物質を作製し、塗布電極を作製し正極とした。
次に、LiPFを20重量部、エチレンカーボネート/ジメチルカーボネート(5/5体積比)70重量部を混合し、電解液を調製した。これに、ポリオキシエチレンアクリレート12.8重量部、トリメチルプロパンアクリレート0.2重量部、ベンゾインイソプロピルエーテル0.02重量部を添加して混合溶解し、光重合性溶液を調製した。
上記正極、および実施例9で作製した負極を50×80mmに裁断して、上記光重合性溶液を浸透させ、高圧水銀灯を照射して、電解液を固体化した。これらを積層して、発電要素部に均一に圧力をかけつつ、三辺を熱封止した後、残りの一辺を減圧下、封止して電池を作製した。
充放電試験は北斗電工製HJ−201B充放電測定装置を用いて、5mAの電流で、電池電圧が3.0〜4.2Vで充放電を繰り返した。この際の、初期と200サイクル目の放電容量を表2に示した。
【0035】
比較例1
実施例1において、正極活物質をLiMnのみとした以外は同様である。
比較例2
実施例1において、正極活物質をLiMn1.5Fe0.5のみとした以外は同様である。
比較例3
実施例4において、正極活物質をLiMn1.9Co0.1のみとした以外は同様である。
比較例4
実施例6において、正極活物質をLiMn1.2Ni0.8のみとした以外は同様である。
比較例5
実施例7において、正極活物質をLiMn1.5Mg0.5のみとした以外は同様である。
比較例6
実施例8において、正極活物質をLiMn1.10.9のみとした以外は同様である。
比較例7
実施例9において、正極活物質をLiMn1.60.4のみとした以外は同様である。
比較例8
実施例10において、正極活物質をLiMn1.50.5のみとした以外は同様である。
比較例9
実施例11において、正極活物質をLiMn1.6Zn0.4のみとした以外は同様である。
比較例10
実施例12において、正極活物質をLiMnのみとした以外は同様である。
比較例11
実施例12において、正極活物質をLiMn1.6Cr0.4のみとした以外は同様である。
【0036】
【表1】
Figure 0003573899
【0037】
【表2】
Figure 0003573899
【0038】
以下、本発明の実施態様を示す。
1.正極、非水電解液を含有する電解質層およびリチウムを吸蔵放出可能な負極
を有する二次電池において、正極活物質が、少なくともLiMnおよび
LiMn(2−a)(前式中、XはIIA、IIIA、IVA、VA、VIA、 VIIA、VIII、IB、IIB、IIIB、IVBおよびVB元素よりなる群から選ばれた少なくとも1種類の元素を表わす。また、aは0<a≦1.0の範囲の数である。)の両者を含有することを特徴とする非水電解質二次電池。
2.LiMnおよびLiMn(2−a)(Xおよびaは前記に同じ)が粒状物であって、該粒状物の粒径が平均粒径で10μm以下、最大粒径で20μm以下である前記1の非水電解質二次電池。
3.LiMnおよびLiMn(2−a)(Xおよびaは前記に同じ)の平均粒径および/または最大粒径の粒径範囲が異なるものである前記2の非水電解質二次電池。
4.LiMnおよびLiMn(2−a)の混合比が、LiMn(2−a)が20〜80重量%である前記1〜3の非水電解質二次電池。
5.正極活物質が、所定の大きさの粒径(平均粒径および/または最大粒径)のLiMnとLiMn(2−a)を、所定量の混合比で、乾式または湿式ボールミル法等により均一に混合処理して作製されたものである前記1〜4の非水電解質二次電池。
6.正極が導電性高分子をさらに含有するものである前記1〜5の非水電解質二次電池。
7.負極活物質が炭素材料である前記1〜6の非水電解質二次電池。
8.電解質層が高分子固体電解質である前記1〜7の非水電解質二次電池。
【0039】
【効果】
1.請求項1〜5
高容量で、サイクル特性の優れた非水電解質二次電池が得られた。
2.請求項6
導電性高分子との複合化により、特に高容量化された非水電解質二次電池が得られた。
3.請求項7
本発明で用いる正極は、高分子固体電解質とのマッチングも優れており、高分子固体電解質を用いることによる容量の低下は見られなかった。

Claims (7)

  1. 正極、非水電解液を含有する電解質層およびリチウムを吸蔵放出可能な負極を有する非水電解質二次電池において、正極活物質が少なくとも
    (i)LiMn

    (ii)LiMn(2−a)(前式中、XはIIA、IIIA、IVA、VA、VIA、VIIA、VIII、IB、IIB、IIIB、IVBおよびVB元素よりなる群から選ばれた少なくとも1種類の元素を表わす。また、aは0<a≦1.0の範囲の数である。)
    との混合物であることを特徴とする非水電解質二次電池。
  2. LiMnおよびLiMn(2−a)(Xおよびaは前記に同じ)が粒状物であって、該粒状物の粒径が平均粒径で10μm以下、最大粒径で20μm以下である請求項1記載の非水電解質二次電池。
  3. LiMnおよびLiMn(2−a)中のLiMn(2−a)の混合比が、20〜80重量%である請求項1または2記載の非水電解質二次電池。
  4. LiMn(2−a)のXが、V、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、B、PおよびMgよりなる群から選ばれる少なくとも1種類の元素である請求項1、2または3記載の非水電解質二次電池。
  5. 正極が導電性高分子を含有するものである請求項1、2、3または4記載の非水電解質二次電池。
  6. 負極が炭素負極である請求項1、2、3、4または5記載の非水電解質二次電池。
  7. 電解質層が高分子固体電解質である請求項1、2、3、4、5または6記載の非水電解質二次電池。
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