JP4595205B2 - 非水電解質二次電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高い安全性を有する非水電解質二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ビデオカメラや携帯型電話機等のコードレス電子機器の発達はめざましいものがある。これらの民生用途の電源としては電池電圧が高く、高エネルギー密度を有したリチウム二次電池等の非水電解質二次電池が注目されており実用化されてきている。さらに現在、環境問題等の観点からは自動車の分野でも電気自動車やハイブリッド自動車等のクリーンエネルギーを利用する自動車の開発がなされており、この様な車載用の電源としても非水電解質二次電池が注目されており、さらなる高性能化(高エネルギー密度化、高出力化等)や低コスト化が検討されてきている。 上記電池の正極活物質としては4V程度の電池電圧を示すLiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4などのリチウム遷移金属複合酸化物が、負極活物質としてはリチウム金属やリチウムイオンを可逆的に吸蔵しうる炭素材料等が、また電解液としては4V程度の電池電圧で使用できる有機系の電解液がそれぞれ使用または検討されている。
【0003】
非水電解質二次電池の高エネルギー密度化、高出力化等の高性能化を図る際には、安全性の確保が重要な問題である。たとえばリチウム二次電池では、化学的活性の高いリチウム、可燃性の高い電解液、充電状態での熱安定性の低い酸化物正極活物質を用いてるので電池の取扱いについては細心の注意が必要となる。特に高性能のリチウム電池を市場に出す場合は、誤使用に基づく危険に対する充分な安全対策を施すことが必要となる。たとえば、電池の短絡、過充電、高温下(80℃以上)での放置等の誤使用による電池の破損等の不都合が挙げられる。誤使用に基づく不都合の原因としては電池材料間の化学反応が過熱により促進されることが挙げられる。その対策として、PTC素子の使用、融点の低いポリプロピレン、ポリエチレンをセパレ−タに用いた電池内部温度上昇に伴うセパレ−タのシャットダウン効果による過電流のカット、内部圧力上昇によって作動する電流遮断機構が安全手段として考案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このように従来から多くの安全手段が開発されているが、さらなる安全性向上のためには多種類の安全手段を開発し併用することが望まれる。
【0005】
したがって本発明は、従来と異なる手段で安全性を確保した非水電解質二次電池を提供することを解決すべき課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
従来の安全確保の手段としては上述のように熱に応答して作動するものが多く、過充電などにより電池に異常が発生した際に、その安全手段が作動するまで長時間を要する。
【0007】
ここで従来技術として熱に応答して作動する機構以外の安全手段をもつ非水電解質二次電池としては特開平10−199505号公報に開示された電極に電気化学的なドープ・脱ドープによりその導電率が著しく変化する性質をもつ導電性調節材を含有させた非水電解質二次電池がある。
【0008】
この導電性調節材は電池の正常な作動電位範囲においては良好な導電性を有し、作動範囲外の電圧において絶縁状態になる性状を有する。これにより正常な電池作動範囲では導電性調節材が良好な電子導電性を示し、良好な電池反応が行われるのに対して、充電時において過充電状態に至った場合は、物質の導電性は大きく低下し絶縁状態となる。したがって電池内部で応答性よく電流遮断機能が働き、確実に破裂・発火等を防ぐことができる。この安全手段をもつ非水電解質二次電池は過充電が生じると速やかに電流の流れを遮断でき一段と高い安全性を獲得できる。
【0009】
しかしながら、非水電解質二次電池に対して充放電を行っていなくても、80℃を超えるような高温下に非水電解質二次電池が置かれた場合に、充電状態での電極等の自己発熱(熱暴走)に至る場合があり、従来技術では、これを防ぐことは困難である。
【0010】
そこで本課題を解決する目的で本発明者らは鋭意研究の結果、高温下に放置した場合に熱暴走に至る主な原因として、充電状態の正極活物質の高温下での不安定さを発見した。つまり、高温下では正極活物質(一般的に非水電解質二次電池の正極活物質にはリチウム−金属複合酸化物が用いられる。)に含まれる酸素が脱離し、その活性な酸素と電解液等との反応により連鎖的に発熱していくと考えられる。したがってその対策として高温下においても酸素の脱離が少ない正極活物質を用いればよいことに想到しそのような正極活物質として、LiとFeとを含有するオリビン構造のリン酸化合物含有正極活物質を見出した。これは、リンと酸素との結合力が強いために、高温下においても安定な状態で存在できるものと考えられる。
【0011】
以上の知見に基づいて以下の発明を行った。すなわち、本発明の非水電解質二次電池は、リチウムイオンを吸蔵乃至は放出できる正極活物質をもつ正極と、リチウムイオンを吸蔵乃至は放出できる負極とを有する非水電解質二次電池において、前記正極活物質は、少なくともLiとFeとを含有するオリビン構造のリン酸化合物含有正極活物質と、リチウム金属複合酸化物と、をもち、前記正極および前記負極の少なくとも一方は、電気化学的なドープ・脱ドープにより導電率が著しく変化する性質をもちその導電率の低下により前記非水電解質二次電池に流れる電流を遮断する導電性調節材をもち、前記正極活物質は、前記リン酸化合物含有正極活物質を、高温下で発生する酸素の量が電池の熱暴走を引き起こさない割合含有することを特徴とする。
【0012】
そして、前記導電性調節材はP型ドープ可能な物質であって、前記正極に含有されていることが好ましい。P型ドープ可能な物質としてはその導電性が発現する電池電圧範囲が広く4V級の無機系リチウム含有複合酸化物とのマッチング(電池としての使用電圧範囲の調整)が容易であることからポリアニリン又はポリピロールであることが好ましい。
【0013】
また、前記導電性調節材は、前記正極活物質の表面に存在することが好ましい。正極活物質の表面に導電性調節材を存在させることで非常時に導電性調節材の導電性が低下したときにより確実に電流の流れを遮断することができるからである。
【0014】
そしてまた前記リン酸化合物含有正極活物質は、一般式LiMxFe1-xPO4(M:鉄以外の一種以上の金属元素、0≦x≦0.5)で表されることが好ましい。また、前記正極活物質は、さらにリチウムマンガン含有複合酸化物、リチウムニッケル含有複合酸化物およびリチウムコバルト含有複合酸化物のいずれか1種以上を含有することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の非水電解質二次電池をリチウム二次電池に適用した実施形態に基づいて説明する。なお、本発明は、以下の実施形態により限定されるものではない。
【0016】
本実施形態のリチウム二次電池は、正極と負極と電解液とその他必要に応じた要素とからなる。本実施形態のリチウム二次電池は、その形状には特に制限を受けず、コイン型、円筒型、角型等、種々の形状の電池として使用できる。本実施形態では、円筒型のリチウム二次電池に基づいて説明を行う。
【0017】
本実施形態のリチウム二次電池は、正極および負極をシート形状として両者をセパレータを介して積層し渦巻き型に多数回巻き回した巻回体を空隙を満たす電解液とともに所定の円筒状のケース内に収納したものである。正極と正極端子部とについて、そして負極と負極端子部とについては、それぞれ電気的に接合されている。
【0018】
正極は、リチウムイオンを充電時には放出し且つ放電時には吸蔵することができる正極活物質をもつ。正極活物質は、少なくともLiとFeとを含有するオリビン構造のリン酸化合物含有正極活物質を含有する。リン酸化合物含有正極活物質としては、一般式LiMxFe1-xPO4(M:鉄以外の一種以上の金属元素、0≦x≦0.5)で表される化合物が例示できる。ここでMで表される金属元素としてはCo、Ni、Mn、Mg、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Cu、Zn、Ga、Al、Li等が例示でき、そのなかでもCo、Ni、Mnが高エネルギー密度の理由から好ましい。このリン酸化合物含有正極活物質はリンと酸素との結合が強く高温下においても活性な酸素の発生が抑制できる。したがって、好ましいリン酸化合物含有正極活物質の含有割合としては高温下(電池の安定性を要求される最高の温度)で発生する酸素の量が電池の熱暴走を引き起こさない最低限の割合以上である。たとえば、110℃以下の温度において安定なリチウム二次電池を必要とする場合には全体の正極活物質に対して25/85以上、さらには1/3以上リン酸化合物含有正極活物質を含有させることで安定性の高い電池を得ることができる。
【0019】
リン酸化合物含有正極活物質以外に正極活物質として公知のリチウム−金属複合酸化物等の一般的に正極活物質に用いられる物質を含有させることができる。なお、正極活物質のすべてをリン酸化合物含有正極活物質とすることができることはいうまでもない。なお、正極活物質にリン酸化合物含有正極活物質を含有させることの副次的な効果としてコバルト等の高価な元素の含有量を低下できコストを低下できる。
【0020】
公知のリチウム−金属複合酸化物としては、たとえば、Li(1-Y)NiO2、Li(1-Y)MnO2、Li(1-Y)Mn2O4、Li(1-Y)CoO2や、各々にLi、Al、そしてCr等の遷移金属を添加または置換した材料等である。この正極活物質の例示におけるYは0〜1の数を示す。なお、これらのリチウム−金属複合酸化物を正極活物質として用いる場合には単独で用いるばかりでなくこれらを複数種類混合して用いることもできる。
【0021】
正極は前述の正極活物質を結着材、導電材等の公知の添加材と混合した後に金属箔等からなる集電体上に塗布され正極合材層が形成される。
【0022】
負極については、リチウムイオンを充電時には吸蔵し、かつ放電時には放出する負極活物質を用いることができれば、その材料構成で特に限定されるものではなく、公知の材料構成のものを用いることができる。たとえば、リチウム金属、グラファイト又は非晶質炭素等の炭素材料等である。そのなかでも特に炭素材料を用いることが好ましい。比表面積が比較的大きくでき、リチウムの吸蔵、放出速度が速いため大電流での充放電特性、出力・回生密度に対して良好となる。特に、出力・回生密度のバランスを考慮すると、充放電に伴ない電圧変化の比較的大きい炭素材料を使用することが好ましい。また、このような炭素材料を負極活物質に用いることで、より高い充放電効率と良好なサイクル特性とが得られる。
【0023】
このように負極活物質として炭素材料を用いた場合には、これに必要に応じて導電材および結着材を混合して得られた負極合材が集電体に塗布されてなるものを用いることが好ましい。
【0024】
そして正極又は負極の少なくとも一方には導電性調節材をもつ。導電性調節材は電気化学的なドープ・脱ドープにより導電率が著しく変化する性質をもつ物質である。導電性調節材としてはポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセン、ポリアズレン、ポリフェニレンビニレン等の導電性高分子、および電気化学的に充放電ができ導電率が変化する材料であればよい。導電率の変化としては高電圧側および低電圧側の2つの閾電圧を外れるとその導電性が低下する(さらに好ましくは絶縁体になる)ものが好ましい。高電圧側の閾電圧は主に過充電時の電流の流れを遮断するものである。低電圧側の閾電圧は主に過放電時に電流を遮断し電池を保護するためのものである。なお、本発明の本来の目的を達成するには少なくとも高電圧側の閾電圧を前述した導電性調節材がもつ必要がある。この閾電圧の設定は正極、負極等の電池材料によって適正な値が存在する。
【0025】
非常時に電池の電流を効率的に遮断するために導電性調節材は電池内部の電流の流れに対して直列に接続することが好ましい。たとえば、導電性調節材は、正極活物質の表面に存在させたり、集電体を有する正極・負極の場合には集電体と正極活物質又は負極活物質との間に設けたりすることができる。また、適正な導電性調節材を用いることで正極又は負極に含まれる結着材および導電材の一部又は全部を置換することができる。
【0026】
導電性調節材としてはP型ドープ可能な物質であって、前記正極に含有されていることが好ましい。P型ドープ可能な物質として正極に含有させることで、導電性調節材を正極における電池化学反応に寄与させることが可能となるからである。この場合に導電性調節材はポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリパラフェニレン、ポリアセン、ポリフェニレンビニレンが例示できる。この中で高分子の材質としてはポリアニリン又はポリピロールであること好ましい。ポリアニリン又はポリピロールは、その導電性が発動する電池電圧範囲(すなわち閾電圧の範囲)が広いため、4V級の無機系リチウム含有複合酸化物とのマッチング(電池としての使用電圧範囲の調整)が容易である。さらに導電性高分子の性状として可溶性であることが好ましい。可溶性の導電性高分子材料を用いれば、製造時点で導電性高分子材料が活物質等を均一に覆うことが容易となるからである。その結果、導電性が低下する電圧範囲に電池電圧が至った場合に、確実に電気的な絶縁を保つことができる。
【0027】
電解液は、有機溶媒に支持塩を溶解させたものである。
【0028】
有機溶媒は、通常リチウム二次電池の電解液の用いられる有機溶媒であれば特に限定されるものではなく、例えば、カーボネート類、ハロゲン化炭化水素、エーテル類、ケトン類、ニトリル類、ラクトン類、オキソラン化合物等を用いることができる。特に、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等及びそれらの混合溶媒が適当である。
【0029】
例に挙げたこれらの有機溶媒のうち、特に、カーボネート類、エーテル類からなる群より選ばれた一種以上の非水溶媒を用いることにより、支持塩の溶解性、誘電率および粘度において優れ、電池の充放電効率も高いので、好ましい。
【0030】
支持塩は、その種類が特に限定されるものではないが、LiPF6、LiBF4、LiClO4およびLiAsF6から選ばれる無機塩、該無機塩の誘導体、LiSO3CF3、LiC(SO3CF3)2、LiN(SO3CF3)2、LiN(SO2C2F5)2およびLiN(SO2CF3)(SO2C4F9)から選ばれる有機塩、並びにその有機塩の誘導体の少なくとも1種であることが好ましい。
【0031】
これらの支持塩の使用により、電池性能をさらに優れたものとすることができ、かつその電池性能を室温以外の温度域においてもさらに高く維持することができる。支持塩の濃度についても特に限定されるものではなく、用途に応じ、支持塩および有機溶媒の種類を考慮して適切に選択することが好ましい。
【0032】
セパレータは、正極および負極を電気的に絶縁し、電解液を保持する役割を果たすものである。たとえば、多孔性合成樹脂膜、特にポリオレフィン系高分子(ポリエチレン、ポリプロピレン)の多孔膜を用いればよい。なおセパレータは、正極と負極との絶縁を担保するため、正極および負極よりもさらに大きいものとするのが好ましい。
【0033】
ケースは、特に限定されるものではなく、公知の材料、形態で作成することができる。
【0034】
ガスケットは、ケースと正負の両端子部の間の電気的な絶縁と、ケース内の密閉性とを担保するものである。たとえば、電解液にたいして、化学的、電気的に安定であるポリプロピレンのような高分子等から構成できる。
【0035】
【実施例】
(リチウム二次電池の作製)
〔正極〕
表1で示す各試験例の組成で、正極活物質としてのリン酸化合物含有正極活物質およびその他リチウム含有複合酸化物と、導電性調節材としてのN−メチル−2−ピロリドンに対して可溶なポリアニリンと、導電材としてのグラファイトと、必要に応じて結着材としてのPVDFとを溶剤としてのN−メチル−2−ピロリドン中に混合してペーストを作製した。このペーストをAl箔製の集電体上の両面に所定の重量、膜厚で塗布し、乾燥した後に、所定の膜厚に加圧成形した。この電極を幅5.4cm、長さ86cmにカットし、電流取り出し用のリードタブ溶接部として長さ方向の25mm分の電極合材を掻き取った。この電極の有効反応面積は5.4cm×83.5cm×2=901.8cm2である。なお、表中および本文中の「%」はすべて質量百分率であり、正極活物質組成式中の比は質量比である。
【0036】
〔負極〕
負極活物質としてのメソフェーズ系カーボンを90%と、結着材としてのPVDFを10%とを溶剤としてのN−メチル−2−ピロリドン中に混合してペーストを作製した。このペーストをCu箔製の集電体上両面に所定の重量、膜厚で塗布し、乾燥した後に、所定の膜厚に加圧成形した。この電極を幅5.6cm、長さ90.5cmにカットし、電流取り出し用のリードタブ溶接部として長さ方向に0.5cm分の電極合材を掻き取った。この電極の有効反応面積は5.6cm×90cm×2=1008cm2である。
【0037】
〔非水電解液〕
エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとを体積比3:7で混合した溶媒に、LiPF6を1mol/Lの濃度で溶解させ、電解液を調製した。
【0038】
〔電池の組み立て〕
上記の正極、負極及び電解液を使用して、18650サイズの電池を組み立てた。なお、セパレ−タにはポリエチレン製の微多孔膜を使用した。
【0039】
(リチウム二次電池の安全性評価試験)
〔過充電評価〕
5.5mA/cm2の一定電流で充電して電池の状態を観察した(電池に加えられる上限電圧として12V、通電時間の最大として12時間とした。)。そして電池に異常がない場合には○と、熱暴走のみが生じた場合には△と、熱暴走と電池の破損とが併せて生じた場合には×とそれぞれ評価した。
【0040】
〔高温放置評価〕
電池を4.2Vの満充電の状態(室温にて充電を1.1mA/cm2の一定電流で4.2Vまでおこない、その後、4.2Vの定電圧で合計4時間充電を行った)とした後に、110℃の恒温層内にて1日放置して、電池の様子を観察した。評価方法は前述の過充電評価と同様の基準にて行った。
【0041】
(安全性の特性評価結果)
安全性評価(過充電試験および高温放置試験)の結果を表1に示す。導電性調節材を含有する電池(試験例3〜19)ではすべて過充電試験の評価が○であった。これは過充電が生じたときに速やかにポリアニリンが電流を遮断したためと考えられる。
【0042】
しかしながら、導電性調節材を含有していても正極活物質にリン酸化合物含有正極活物質を含有しない電池(試験例3、4)では高温放置試験における評価は△または×であった。
【0043】
それに対して正極活物質として種々のリン酸化合物含有正極活物質を含有する電池(試験例5〜19)では、高温放置試験における評価はすべて○であった。
【0044】
当然、導電性調節材とリン酸化合物含有正極活物質との双方を欠く電池(試験例1、2)では過充電試験および高温放置試験の双方とも評価は△又は×であった。
【0045】
したがって、電気化学的なドープ・脱ドープによりその導電率が著しく変化する性質をもつ導電性調節材としてのポリアニリンと高温時において活性な酸素の放出がすくないリン酸化合物含有正極活物質とを含有する正極を用いることにより、種々の条件下において安全性の高い非水電解質二次電池を得ることができた。
【0046】
また、副次的な効果として導電性調節材としてポリアニリンを合材中に含有させることにより結着材としてのPVDFのすべてと導電材としてのグラファイトの一部とを置換することができた。
【0047】
【表1】
【0048】
【発明の効果】
本発明で得られる非水電解質二次電池は、正極活物質として少なくともLiとFeとを含有するオリビン構造のリン酸化合物含有正極活物質をもち、さらに正極および負極の少なくとも一方に、電気化学的なドープ・脱ドープにより導電率が著しく変化する性質をもちその導電率の低下により非水電解質二次電池に流れる電流を遮断する導電性調節材をもつことによって、充放電下において電池に異常が起きた場合、即座に応答でき、さらに高温下に電池が放置された場合においても熱暴走に至らない非水電解質二次電池を提供することが可能となる。
Claims (8)
- リチウムイオンを吸蔵乃至は放出できる正極活物質をもつ正極と、リチウムイオンを吸蔵乃至は放出できる負極とを有する非水電解質二次電池において、
前記正極活物質は、少なくともLiとFeとを含有するオリビン構造のリン酸化合物含有正極活物質と、リチウム金属複合酸化物と、をもち、
前記正極および前記負極の少なくとも一方は、電気化学的なドープ・脱ドープにより導電率が著しく変化する性質をもちその導電率の低下により前記非水電解質二次電池に流れる電流を遮断する導電性調節材をもち、
前記正極活物質は、前記リン酸化合物含有正極活物質を、高温下で発生する酸素の量が電池の熱暴走を引き起こさない割合含有することを特徴とする非水電解質二次電池。 - 前記導電性調節材はP型ドープ可能な物質であって、前記正極に含有されている請求項1に記載の非水電解質二次電池。
- 前記導電性調節材はポリアニリン又はポリピロールである請求項2に記載の非水電解質二次電池。
- 前記導電性調節材は、前記正極活物質の表面に存在する請求項2又は3に記載の非水電解質二次電池。
- 前記リン酸化合物含有正極活物質は、一般式LiMxFe1−xPO4(M:鉄以外の一種以上の金属元素、0≦x≦0.5)で表される請求項1〜4のいずれかに記載の非水電解質二次電池。
- 前記正極活物質は、リチウムマンガン含有複合酸化物、リチウムニッケル含有複合酸化物およびリチウムコバルト含有複合酸化物のいずれか1種以上を含有する請求項1〜5のいずれかに記載の非水電解質二次電池。
- 前記リン酸化合物含有正極活物質は、前記正極活物質全体に対して質量比で25/85以上含まれる請求項1〜6のいずれかに記載の非水電解質二次電池。
- 前記正極活物質は、リチウムマンガン含有複合酸化物を含む請求項1〜7のいずれかに記載の非水電解質二次電池。
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JPH10188985A (ja) * | 1996-12-27 | 1998-07-21 | Ricoh Co Ltd | 非水電解質二次電池 |
JPH10199508A (ja) * | 1997-01-14 | 1998-07-31 | Ricoh Co Ltd | 非水電解質二次電池 |
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JPH09134724A (ja) * | 1995-11-07 | 1997-05-20 | Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> | 非水電解質二次電池 |
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