JP3403856B2 - 有機電解質電池 - Google Patents

有機電解質電池

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JP3403856B2
JP3403856B2 JP08633595A JP8633595A JP3403856B2 JP 3403856 B2 JP3403856 B2 JP 3403856B2 JP 08633595 A JP08633595 A JP 08633595A JP 8633595 A JP8633595 A JP 8633595A JP 3403856 B2 JP3403856 B2 JP 3403856B2
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信雄 安東
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    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、負極にポリアセン系骨
格構造を有する不溶不融性基体、正極に金属酸化物を用
いた、高容量かつ高電圧を有する有機電解質電池に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、導電性高分子、遷移金属酸化物等
を正極とし、負極にリチウム金属あるいはリチウム合金
を用いた二次電池がエネルギー密度が高いことから、N
i−Cd電池、鉛電池に代る電池として提案されてい
る。しかし、これら二次電池は繰り返し充放電を行うと
正極、あるいは負極の劣化による容量低下が大きく実用
に問題が残されている。特に負極の劣化はデントライト
と呼ばれるこけ状のリチウム結晶の生成を伴い、充放電
の繰り返しにより終局的にはデントライトがセパレータ
を貫通し、電池内部でショートを引き起こし、場合によ
っては電池が破裂する等、安全面においても問題があっ
た。
【0003】近時、上記問題点を解決すべく、グラファ
イト等の炭素材料を負極に用い、正極にLiCoO2
のリチウム含有金属酸化物を用いた電池が提案されてい
る。該電池は、電池組立後、充電する事により正極のリ
チウム含有金属酸化物より負極にリチウムを供給し、更
に放電では負極リチウムを正極に戻すという、いわゆる
ロッキングチェア型電池である。該電池は高電圧、高容
量を特長とするものの、その容量は最大80〜90mA
h/cc(電極、セパレータ、集電材の総体積基準)程
度であり、リチウム電池の特徴である高エネルギ−密度
を得るに至っていない。一方、芳香族系縮合ポリマーの
熱処理物であって水素原子/炭素原子の原子比が0.5
〜0.05であるポリアセン系骨格構造を有する不溶不
融性基体は、一般の炭素材料に比べ大量にリチウムをド
ープする事が可能であるが、該不溶不融性基体を負極、
正極にリチウム含有酸化物を用いた上記ロッキングチェ
ア型の電池を組み立てた場合、炭素材料に比べ高容量が
得られるものの、その容量には不満足な点が残されてい
た。上記問題点を解決する為に、本願と同一の出願人に
係る、特願平5−259403号は未だ未公開ながら、
正極,負極並びに電解液としてリチウム塩の非プロトン
性有機溶媒溶液を備えた有機電解質電池であって、
(1)正極が金属酸化物を含み(2)負極が芳香族系縮
合ポリマーの熱処理物であって水素原子/炭素原子の原
子比が0.5〜0.05であるポリアセン系骨格構造を
有する不溶不融性基体(以下PAS)であり、(3)負
極PASに対し、電池内に含まれる総リチウム量が50
0mAh/g以上であり、かつ負極由来のリチウムが1
00mAh/g以上である事を特徴とする有機電解質電
池が提案されている。該電池は高容量であるものの、円
筒型等の実用電池を組む場合、実用的かつ簡便な負極由
来のリチウムの担持法が求められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは上記問題
点に鑑み、鋭意研究を続けた結果本発明を完成したもの
であって、本発明の目的は高容量かつ高電圧を有する二
次電池を提供するにある。本発明の他の目的は長期に亘
って充放電が可能で、安全性に優れた二次電池を提供す
るにある。本発明の更に他の目的は内部抵抗が低い二次
電池を提供するにある。本発明の更に他の目的は製造が
容易な二次電池を提供するにある。本発明の更に他の目
的は以下の説明から明らかにされよう。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、正極に金
属酸化物、負極にポリアセン系骨格構造を有する不溶不
融性基体を用い、かつ、電池内のリチウム量を適切に制
御すると共に、負極由来の担持法(ドープ法)を選択す
ることにより本発明を完成した。すなわち、本発明は、
正極,負極並びに電解液としてリチウム塩の非プロトン
性有機溶媒溶液を備えた有機電解質電池であって、
(1)正極がリチウム含有金属酸化物を含み(2)負極
が芳香族系縮合ポリマーの熱処理物であって水素原子/
炭素原子の原子比が0.5〜0.05であるポリアセン
系骨格構造を有する不溶不融性基体(PAS)であり、
(3)負極PASに対し、電池内に含まれる総リチウム
量が500mAh/g以上であり、かつ正極へ供給する
ために電池上部以外の電極断面方向に配置したリチウム
が100mAh/g以上であり、負極由来のリチウム
が、電池組立後に正極リチウム含有金属酸化物より負極
PASに担持させたものであり、かつ正極には電極断面
方向に配置したリチウムよりリチウムを担持させる事を
特徴とする有機電解質電池である。
【0006】本発明における芳香族系縮合ポリマーと
は、芳香族炭化水素化合物とアルデヒド類との縮合物で
ある。芳香族炭化水素化合物としては、例えば、フェノ
ール,クレゾール,キシレノール等の如き、いわゆるフ
ェノール類が好適である。例えば、下記式
【化1】 (ここで、xおよびyはそれぞれ独立に、0、1又は2
である)で表されるメチレン・ビスフェノール類である
ことができ、或いはヒドロキシ・ビフェニル類、ヒドロ
キシナフタレン類であることもできる。これらの内、実
用的にはフェノール類、特にフェノールが好適である。
本発明における芳香族系縮合ポリマ−として、上記のフ
ェノール性水酸基を有する芳香族炭化水素化合物の1部
をフェノール性水酸基を有さない芳香族炭化水素化合
物、例えば、キシレン、トルエン、アニリン等で置換し
た変成芳香族系縮合ポリマー例えばフェノールとキシレ
ンとホルムアルデヒドとの縮合物を用いることもでき、
また、メラミン、尿素で置換した変成芳香族系ポリマー
を用いることもできる。また、フラン樹脂も好適であ
る。また、アルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、ア
セトアルデヒド、フルフラール等のアルデヒドを使用す
ることができるが、ホルムアルデヒドが好適である。フ
ェノールホルムアルデヒド縮合物としては、ノボラック
型又はレゾール型或はそれらの混合物のいずれであって
もよい。
【0007】本発明における不溶不融性基体は、上記芳
香族系ポリマ−を熱処理する事により得られ、特公平1
−44212号公報、特公平3−24024号公報等に
記載されているポリアセン系骨格構造を有する不溶不融
性基体は全て用いることができ、例えば、次のようにし
て製造することもできる。該芳香族系縮合ポリマーを、
非酸化性雰囲気下(真空も含む)中で、400°C〜8
00°Cの適当な温度まで徐々に加熱する事により、水
素原子/炭素原子の原子比(以下H/Cと記す)が0.
50〜0.05、好ましくは0.35〜0.10の不溶
不融性基体を得ることができる。また、特公平3−24
024号公報等に記載されている方法で、600m2
g以上のBET法による比表面積を有する不溶不融性基
体を得ることもできる。例えば、芳香族系縮合ポリマー
の初期縮合物と無機塩、例えば塩化亜鉛を含む溶液を調
製し、該溶液を加熱して型内で硬化する。かくして得ら
れた硬化体を、非酸化性雰囲気化(真空も含む)中で、
350°C〜800°Cの温度まで、好ましくは400
°C〜750°Cの適当な温度まで徐々に加熱した後、
水あるいは希塩酸等によって充分に洗浄することによ
り、上記H/Cを有し、かつ、例えば600m2 /g以
上のBET法による比表面積を有する不溶不融性基体を
得ることもできる。
【0008】本発明に用いる不溶不融性基体は、X線回
折(CuKα)によれば、メイン・ピークの位置は2θ
で表して24°以下に存在し、また該メイン・ピークの
他に41〜46°の間にブロードな他のピークが存在す
る。すなわち、上記不溶不融性基体は芳香族系多環構造
が適度に発達したポリアセン系骨格構造を有し、かつア
モルファス構造をとると示唆され、リチウムを安定にド
ーピングできることから電池用活物質として有用であ
る。H/Cが0.50を越える場合、芳香族系多環構造
が充分に発達していないため、リチウムのドーピング、
脱ドーピングがスムーズに行うことができず、電池を組
んだ時、充放電効率が低下する。また、H/Cが0.0
5以下の場合、本発明の電池の容量が低下し好ましくな
い。
【0009】本発明の負極は上記不溶不融性基体(以下
PAS)より成り、粉末状、粒状、短繊維状等の成形し
やすい形状にあるPASをバインダーで成形したもので
ある。バインダーとしては、ポリ四フッ化エチレン、ポ
リフッ化ビニリデン等の含フッ素系樹脂、ポリプロピレ
ン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂がを用いる事ができ
るが、好ましくフッ素系バインダ−が好ましく、更には
フッ素原子/炭素原子の原子比(以下、F/Cと記す)
が1.5未満0.75以上であるフッ素系バインダーが
好ましく、特に、1.3未満0.75以上のフッ素系バ
インダーが好ましい。上記フッ素系バインダーとして
は、例えば、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン
−3フッ化エチレン共重合体、エチレン−4フッ化エチ
レン共重合体、プロピレン−4フッ化エチレン共重合体
等が挙げられ、更に主鎖の水素をアルキル基で置換した
含フッ素系ポリマ−も用いることできる。ポリフッ化ビ
ニリデンの場合、F/Cは1であり、フッ化ビニリデン
−3フッ化エチレン共重合体の場合、フッ化ビニリデン
のモル分率が50%の時、80%の時それぞれF/Cは
1.25、1.1となり、更にプロピレン−4フッ化エ
チレン共重合体の場合、プロピレンのモル分率が50%
の時、F/Cは0.75となる。中でも、ポリフッ化ビ
ニリデン、フッ化ビニリデンのモル分率が50%以上の
フッ化ビニリデン−3フッ化エチレン共重合体が好まし
く、実用的にはポリフッ化ビニリデンが好ましい。これ
らバインダーを用いた場合、PASの有するリチウムの
ドープ能(容量)を充分に利用することができる。
【0010】本発明の有機電解質電池の正極としては、
LiX CoO2 、 LiX NiO2 、LiX MnO2 、L
X FeO2 等のLiX y Z (Mは金属、二種以上
の金属でも良い)の一般式で表され得る、リチウムを電
気化学的にドープ、脱ドープが可能なリチウム含有金属
酸化物を用いる。特にリチウム金属に対し4V以上の電
圧を有するリチウム含有酸化物が好ましい。中でも、リ
チウム含有コバルト酸化物、リチウム含有ニッケル酸化
物が好ましい。本発明における正極は、上記活物質、及
び必要に応じて導電材、バインダーを加え成形したもの
であり、導電材、バインダーの種類、組成等は適宜設定
すればよい。
【0011】導電剤の種類は、金属ニッケル等の金属粉
末でもよいが、例えば、活性炭、カーボンブラック、ア
セチレンブラック、黒鉛等の炭素系のものが特に好まし
い。混合比は活物質の電気伝導度、電極形状等により異
なるが、活物質に対して2〜40%加えるのが適当であ
る。また、バインダーの種類は、後述の本発明にて用い
る電解液に不溶のものであればよく、例えば、SBR等
のゴム系バインダー、ポリ四フッ化エチレン、ポリフッ
化ビニリデン等の含フッ素系樹脂、ポリプロピレン、ポ
リエチレン等の熱可塑性樹脂が好ましく、その混合比は
20%以下とするのが好ましい。
【0012】本発明に用いる正極、負極の電極形状は、
目的とする電池により、板状、フィルム状、円柱状、あ
るいは、金属箔上に成形するなど、種々の形状をとるこ
とが出来る。特に、金属箔上に成形したものは集電体一
体電極として、種々の電池に応用できることから好まし
い。
【0013】本発明の電池は、上記PASを負極に用
い、かつ電池内に含まれるリチウム量を適切に制御する
事により従来の電池に比べ、容量を大幅に向上すること
ができる。本発明において電池内の総リチウム量とは正
極由来のリチウム、電解液由来のリチウム、負極由来の
リチウムの総計である。正極由来のリチウムとは、(電
池組立時正極に含まれるリチウム)+(リチウム源より
正極に供給されたリチウム)−(負極に供給されたリチ
ウム)である。また、電解液由来のリチウムとは、セパ
レータ、正極、負極等に含まれる電解液中のリチウムで
ある。また、負極由来のリチウムとは、本発明の負極P
ASに、電池完成時に、正極からの供給により担持され
ているリチウムである(正極由来のリチウム、電解液由
来のリチウム以外のリチウムである)。本発明におい
て、負極由来のリチウムは、電解液を注液し電池を組立
後、定電流或いは定電圧等の電気化学的手法を用い、正
極リチウム含有酸化物より負極PASに下記に記載の範
囲の所定量のリチウムを担持させる。正極にはリチウム
金属より電気化学的にリチウムを担持させる。具体的に
は、例えば、円筒型電池を組む場合、正極と負極をセパ
レーターを介して巻き取り電解液を注液した後、正極に
接続された電極断面方向に配置したリチウムより、正極
にリチウムが担持される。正極と電極断面方向に配置し
たリチウムは、好ましくは、抵抗体で接続するのが良
い。抵抗体は正極と電極断面方向に配置したリチウムと
の間に流れる電流を制御するために用いる事ができ、そ
の抵抗値は電池容量、電池形状により異なるが、大きす
ぎると電流値が小さくなり正極へのリチウムの担持に時
間がかかり、小さすぎると電流値が大きくなり金属リチ
ウムが析出する場合がある。好ましくは0.1〜100
00Ωが良く、市販の固定抵抗等を用いても良いが、例
えば線径の細いステンレスワイヤーを所定の抵抗分の長
さだけ用いても良い。電極断面方向に配置したリチウム
は、例えば、円筒型電池を、正極、セパレータ、負極を
巻き取って作成する場合、巻き取り電極ユニット上部、
あるいは、下部であり、図1のように正極、セパレー
タ、負極を積層し、電池を組み立てる場合、電極面を下
面あるいは上面とした時、側面A,B,C,Dの4方向
である。リチウム金属の集電体は酸化にも還元にも耐性
のある導電性物質を用いることが好ましく、例えば、ス
テンレス、白金などを用いることができる。更に、リチ
ウム金属の集電体は、リチウム金属の電極板から一番離
れた位置に少なくともその一部が配置されることが、リ
チウムをスムーズに担持させることができ好ましい。ま
た、リチウムとして、例えば、メッシュ状、網目状、多
孔体等の形状にある導電体にリチウム金属を埋め込んだ
ものを用いること、渦巻き状に巻いたリチウム金属を用
いることも、スムーズにリチウムを担持させる上で好ま
しい。リチウム量は下記に限定されるが、電池ケース内
にて正極にリチウムを担持する場合、予め決定されたリ
チウム量に相当する、リチウムを配置する。電解液の注
液から正極リチウム含有酸化物より負極PASにリチウ
ムを担持させ始める時間は、早い方がよく1日以内、好
ましくは1時間以内が良い。また、負極由来のリチウム
量は特に限定されないが,電極断面方向に配置したリチ
ウム量より多いことが好ましい。通常この一連の操作は
室温にて行うが、例えば40℃ぐらいの高温になると短
時間での操作が可能である。本発明において、正極リチ
ウム含有酸化物に電極断面方向に配置したリチウムと正
極との短絡によりリチウムを担持させる事が終了したと
き、電池完成とする。負極リチウムの担持方法として
は、電池組立前に担持させる、すなわち、あらかじめ負
極PASに所定のリチウムを担持させた後、電池を組み
立てる方法もあるが、電池生産において、その工程が煩
雑になる事から、好ましくない。
【0014】本発明において電池内の総リチウム量は、
負極PASに対し500mAh/g以上,好ましくは6
00mAh/g以上であり、500mAh/g未満の場
合、容量が充分に得られない。また、本発明における正
極に供給されるリチウム量は負極由来のリチウムと同じ
か、もしくは小さく負極PASに対し100mAh/g
以上、好ましくは150mAh/g以上であり、100
mAh/g未満の場合、たとえ総リチウム量が負極PA
Sに対し500mAh/g以上であったとしても充分な
容量が得られない。また、正極にリチウム含有酸化物を
用いる場合においては、正極に供給されるリチウム量は
負極PASに対し600mAh/g以下にすることが、
実用的である。本発明における正極由来のリチウム、電
解液由来のリチウムは上記条件を満たしていればよい
が、正極由来のリチウムが負極PASに対し300mA
h/g以上であることが好ましい。
【0015】本発明に用いる電解液を構成する溶媒とし
ては非プロトン性有機溶媒が用いられる。非プロトン性
有機溶媒としては、例えば、エチレンカーボネイト、プ
ロピレンカーボネイト、ジメチルカーボネート、ジエチ
ルカーボネート、γ−ブチロラクトン、アセトニトリ
ル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソ
ラン、塩化メチレン、スルホラン等が挙げられ、更に、
これら非プロトン性有機溶媒の二種以上の混合液も用い
ることができる。
【0016】また、上記の混合又は単一の溶媒に溶解さ
せる電解質は、リチウムイオンを生成しうる電解質のい
ずれでも良い。このような電解質としては、例えばLi
I、LiClO4 、LiAsF6 、LiBF4 、LiP
6 、又はLiHF2 等が挙げられる。上記の電解質及
び溶媒は充分に脱水された状態で混合され、電解液とす
るのであるが、電解液中の電解質の濃度は電解液による
内部抵抗を小さくするため少なくとも0.1モル/l以
上とするのが好ましく、通常0.2〜1.5モル/lと
するのが更に好ましい。
【0017】電池外部に電流を取り出すための集電体、
あるいはリード端子としては、例えば、炭素、白金、ニ
ッケル、ステンレス、アルミニウム、銅等を用いること
が出来、箔状、ネット状の集電体を用いる場合、電極を
集電体上に成形することにより集電体一体型電極として
用いることもできる。
【0018】次に図面により本発明の実施態様の一例を
説明する。図2は本発明に係る電池の基本構成説明図で
ある。図2において、(1)は正極であり、(2)は負
極である。(3),(3′)は集電体であり、電極は該
集電体の上に成形されている。リード端子(8),
(8′)は電圧降下を生じないように集電体に接続され
ており、その一端は、電池ケース(6)、トップ蓋
(7)に接続される。(9)はリチウムユニットであ
り、(10)はリチウムユニットのリチウム部集電体で
あり、抵抗(11)を介して正極集電体(3)に接続さ
れ、正極(1)とリチウム金属(9)の間には、電解液
が満たされている。(5)は電解液が含浸されたセパレ
ータであり、該電解液には、ドーピングされうるイオン
を生成し得る前述の化合物が非プロトン性有機溶媒に溶
解されている。電解液は通常液状であり、セパレータに
含浸されるが、セパレータなしに、漏液を防止するため
ゲル状又は固体状にして用いることもできる。(4)は
正負両極の接触(電池ケースとトップ蓋)を阻止する事
を目的として配置された絶縁パッキンである。
【0019】該セパレータは、電解液或は電極活物質等
に対し、耐久性のある連通気孔を有する電子伝導性のな
い多孔体であり、通常ガラス繊維、ポリエチレン或はポ
リプロピレン等からなる布、不織布或は多孔体が用いら
れる。好ましくは、3次元連通気孔を有するガラス繊
維、ポリエチレン或はポリプロピレン等からなる不織布
或は多孔体セパレータであり、リチウム担持時間が短く
なる効果が得られる。セパレータの厚さは電池の内部抵
抗を小さくするため薄い方が好ましいが、電解液の保持
量、流通性、強度等を勘案して決定される。正負極及び
セパレータは電池ケース(6)内に実用上問題が生じな
いように固定される。電極の形状、大きさ等は目的とす
る電池の形状、性能により適宜決められる。図3は本発
明に係る電池のリチウムユニットの基本構成説明図であ
る。図3において、(12)はリチウム金属であり、
(10)はその集電体である。また、(13)は(1
2)のリチウム金属と正極(1)、負極(2)及び電池
ケース(6)が直接に接触することを防ぐための絶縁キ
ャップである。(10)の集電体と正極端子(3)は抵
抗(11)を介して接続されている。また、電極ユニッ
トとリチウム金属(12)との間に、電解液を保液した
多孔質ポリプロピレン製不織布などを挿入しても良い。
矢印Eで示しているように、リチウムユニットの中心部
には負極端子(8’)と、電池ケース(6)の低部を溶
接するために、直径4mm程度の穴が開けてある。ま
た、抵抗(11)は市販の固定抵抗等を用いても良い
が、例えば図4に示す様に、線径の細いステンレスワイ
ヤー(15)を所定の抵抗分の長さだけ用いても良い。
その際、ワイヤーは細く、また、電池ケース(6)や電
極と接触しやすいので、補強と絶縁を兼ねて絶縁シール
テープ(16)で覆う方がよい。本発明の電池形状は上
記例示の、円筒型に限定されるものではなく、角形、箱
型等が挙げられ、その形状は特に限定されない。
【0020】
【発明の効果】本発明の有機電解質電池は、負極にPA
S、正極に金属酸化物を用い、かつ電池内のリチウム
量、負極PAS由来のリチウム量の両者を適切に制御
し、かつ、負極PAS由来のリチウムの担持方法を適切
に選択することにより、高容量、高電圧かつ低内部抵抗
の電池であり、また、製造も容易な電池である。以下、
実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
【0021】
【実施例】
実施例1 厚さ0.5mmのフェノール樹脂成形板をシリコニット
電気炉中に入れ窒素雰囲気下で10℃/時間の速度で昇
温し、650℃まで熱処理し、不溶不融性基体(PAS
と記す)を合成した。かくして得られたPAS板をディ
スクミルで粉砕することにより平均粒径約15μmのP
AS粉体を得た。H/C比は0.22であった。次に上
記PAS粉末100重量部と、ポリフッ化ビニリデン粉
末10重量部をN,N−ジメチルホルムアミド90重量
部に溶解した溶液100重量部とを充分に混合する事に
よりスラリーを得た。該スラリーをアプリケーターを用
い厚さ10μmの銅箔(負極集電体)上に塗布し、乾
燥、プレスし、両面にPASを塗布した厚さ190μm
のPAS負極を得た。LiCoO2 100部、グラファ
イト5部対し、ポリフッ化ビニリデン粉末10重量
部、、N,N−ジメチルホルムアミド90重量部に溶解
した溶液50重量部を充分に混合する事によりスラリー
を得た。該スラリーをアプリケーターを用い厚さ20μ
mのアルミ箔(正極集電体)上に塗布し、乾燥、プレス
し、両面にLiCoO2 を塗布した厚さ210μmの正
極1を得た。
【0022】上記正極1(5.0×43cm2 ),負極
(5.2×48cm2 )とを用い、セパレーターとして
は、厚さ25μm、幅5.2cmのポリプロピレンセパ
レータ用いて、図1のような正極、セパレータ、負極の
位置関係にて円筒型電池を組んだ。正極端子としては厚
さ150μm、幅5mmのアルミニウム端子、負極端子
としては正極端子と同サイズのニッケルを用い、それぞ
れ電極の端にとりつけた。また、電極ユニットの断面方
向である電池ケースの下部(図2に示す位置)にリチウ
ムユニットを設置した。リチウムユニットは図3に示す
ように、直径15mmで中心に直径4mmの穴が有り、
長さ10mm、幅5mmの端子の付いたステンレスメッ
シュに、直径15mmで中心に直径4mmの穴の有るリ
チウム金属を圧着(315mAh/g相当)したリチウ
ム部と、このリチウム部の底面と高さ方向を覆う厚さ3
00μmのポリプロピレン製のキャップ(底面には中心
に直径15mmの穴が有る)より成っている。該リチウ
ム部の端子と該正極端子を、抵抗値が1000及び20
00Ωの抵抗体で接続させ、それぞれセル1及び2とし
た。セルはそれぞれ2本ずつ組んだ。リチウム部の端子
と正極端子を継なぐ抵抗を含めた線は、電池ケース及び
電極と短絡しないようテフロン製テープにより被覆し
た。また電解液としてはプロピレンカーボネートとジエ
チルカーボネートの1:1(重量比)混合液に、1モル
/lの濃度にLiPF6 を溶解した溶液を用いた。上記
電池に電解液を注液して1時間後に0.25mA/cm
2 の定電流にて、負極PASに対して330mAh/g
に相当する電気量を通じ、負極PASに330mAh/
gのリチウムを正極よりドーピングした。電池内の負極
PASに対する総リチウム量は、1130mAh/gで
あった。セル1を組立後20日で分解したところ、リチ
ウムの析出は無く、完全にリチウムは無くなっていた。
セル2を組立後40日で分解したところ、リチウムの析
出は無く、完全にリチウムは無くなっていた。上記電池
に0.25mA/cm2 の定電流で電池電圧が4.3V
になるまで充電し、続いて0.25mA/cm2 の定電
流で電池電圧が2.5Vになるまで放電した。この4.
3V−2.5Vのサイクルを繰り返し、3回目の放電に
おいて、体積容量(mAh/cc)にて評価した。体積
基準としては、電極体積、セパレータ体積、集電体体積
に加え、リチウム金属の体積を含めた総計を用いた。結
果を表1に示す。
【0023】実施例2 実施例1のセル1と同様に電池を2本組み、セル3とし
た。電解液を注液して1時間後に実施例1と同様に、負
極PASに330mAh/gのリチウムを正極よりドー
ピングした。続いて、セル3の2本を40℃の恒温槽に
16日放置後1本を分解したところ、リチウムの析出は
無く、完全にリチウムは無くなっていた。電池内の負極
PASに対する総リチウム量は、1130mAh/gで
あった。実施例1と同様に、体積容量を評価した(室
温)。結果を表1に示す。
【0024】比較例1 実施例1において、電池ケース下部のリチウム部(33
0mAh/g相当のリチウム金属)と正極端子の替わり
に負極端子と1000Ωの抵抗体で接続させること以外
は実施例1のセル1と同様に電池を2本組みセル4とし
た。電解液を注液した後110日で1本を分解したとこ
ろ、リチウムの析出は無く、完全にリチウムは無くなっ
ていた。電池内の負極PASに対する総リチウム量は、
1130mAh/gであった。結果を表1に示す。
【0025】負極由来のリチウムを直接電極ユニット断
面方向に配置したリチウムとの接続により担持させるこ
とも可能であるが、時間がかかるため工業的には好まし
くない。また、電極ユニット断面方向に配置したリチウ
ムとの接続にも、適切な抵抗を選ぶことが工業的には重
要である。
【0026】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電極断面方向の説明図。
【図2】本発明に係る電池の基本構成説明図。
【図3】本発明に係るリチウムユニットの基本構成説明
図。
【図4】本発明に係る抵抗の基本構成説明図。
【符号の説明】
1 正極 2 負極 3 集電体(正極) 3’集電体(負極) 4 絶縁パッキン 5 セパレータ 6 電池ケース 7 トップ蓋 8 端子(正極) 8’端子(負極) 9 リチウムユニット 10 集電体(リチウム金属) 11 抵抗 12 リチウム金属 13 絶縁キャップ 14 セパレータ 15 ステンレスワイヤー 16 絶縁シールテープ
フロントページの続き (72)発明者 矢田 静邦 兵庫県加古郡播磨町宮西2丁目6番13号 (56)参考文献 特開 平8−255634(JP,A) 特開 平4−345771(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01M 10/40 H01M 4/02 - 4/04

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】正極,負極並びに電解液としてリチウム塩
    の非プロトン性有機溶媒溶液を備えた有機電解質電池で
    あって、 (1)正極がリチウム含有金属酸化物を含み (2)負極が芳香族系縮合ポリマーの熱処理物であって
    水素原子/炭素原子の原子比が0.5〜0.05である
    ポリアセン系骨格構造を有する不溶不融性基体(PA
    S)であり、 (3)負極PASに対し、電池内に含まれる総リチウム
    量が500mAh/g以上であり、かつ正極へ供給する
    ために電池上部以外の電極断面方向に配置したリチウム
    が100mAh/g以上であり、負極由来のリチウム
    が、電池組立後に正極リチウム含有金属酸化物より負極
    PASに担持させたものであり、かつ正極には電極断面
    方向に配置したリチウムよりリチウムを担持させる事を
    特徴とする有機電解質電池。
  2. 【請求項2】正極と電極断面方向に配置したリチウムと
    を抵抗体で接続させた事を特徴とする請求項1記載の有
    機電解質電池。
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