JP4161422B2 - 非水電解液二次電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、非水電解液二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、種々の電子機器の飛躍的進歩と共に、長時間連続して使用でき、且つ経済的な電源として再充電可能な二次電池の研究が進められている。代表的な二次電池としては、鉛蓄電池、アルカリ蓄電池、リチウム二次電池等が知られている。特に、リチウム二次電池は、高出力、高エネルギー密度等の利点を有している。
【0003】
このようなリチウム二次電池は、リチウムイオンと可逆的に電気化学反応する活物質を含有する正極と、リチウム金属、リチウム合金又はリチウムをドープ、脱ドープすることが可能な材料を含有する負極と、非水電解液とから構成される。
【0004】
一般に、負極に用いられる負極活物質としては、例えば、金属リチウム、LiAl等のリチウム合金、ポリアセチレンやポリピロール等のリチウムをドープすることができる導電性高分子、リチウムイオンを結晶中に取り込んだ層間化合物等が挙げられる。
【0005】
一方、正極に用いられる正極活物質としては、金属酸化物、金属硫化物或いはポリマー等が用いられ、例えば、TiS2,MoS2,NbSe2,V2O5等が挙げられる。特に、高い放電電位を有する正極活物質としては、LiXMn2O4,LixMyO2(MはNiまたはCoであり、Xの値は充放電によって変化するが、合成時にはx≒1,y≒1である。)等が提案されている。また、これらに代表されるような複合酸化物に他の元素を1種類、あるいは数種類加えることによって得られる混合物、或いは固溶体も提案されている。
【0006】
これらの材料を用いたリチウム二次電池の放電反応では、負極においてリチウムイオンが非水電解液中に溶け出すとともに、正極において正極活物質にリチウムイオンが取り込まれる反応が進行する。逆に、充電反応では、上記放電反応の逆反応が進行し、正極においてリチウムイオンが脱離する。
【0007】
すなわち、リチウム二次電池では、負極からのリチウムイオンが正極活物質に出入りする反応を繰り返すことによって充放電を繰り返すことができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、高い放電電位と高いエネルギー密度を持つ正極活物質としてLixCoyO2からなる複合酸化物を用いた非水電解液二次電池が実用化されている。
【0009】
しかしながら、この複合酸化物の原材料であるコバルトは、資源的に希少であり、また商業的に利用可能な鉱床が数少ない国に偏在しているため、高価で、価格変動が大きく、且つ将来的には供給不安の伴うものである。
【0010】
そのため、このような非水電解液二次電池のより広範囲な普及を図るために、より安価で、資源的にも豊富な原材料から、しかも性能的に優れた正極活物資が望まれていた。
【0011】
このような課題を解決するために、LixCoyO2と同等な放電電位及びエネルギー密度を有する正極活物質として、例えば、LixNiO2やLixMn2O4等が提案されている。ニッケルは、コバルトに比べれば安価な材料であるが、更に安価で供給不安の少ない原材料を用いて正極活物質を製造することがより望ましいのは言うまでもない。一方、マンガンは、コバルトやニッケルよりも更に安価であり、資源的にも非常に豊富である。特に、マンガンは、マンガン乾電池やアルカリマンガン乾電池やリチウム一次電池の材料として、二酸化マンガンが大量に流通しており、材料供給の面からも非常に不安の少ない材料である。
【0012】
そこで、マンガンを原料とする正極活物質の研究が、近年盛んに行われている。各種マンガン原料とリチウム原料より合成されるリチウムとマンガンとの複合酸化物(以下、リチウムマンガン複合酸化物と称する。)には、種々のものが報告されているが、例えば、スピネル型結晶構造を有するLixMnyO4(x≒1,y≒2)が挙げられる。このLixMnyO4(x≒1,y≒2)で示されるリチウムマンガン複合酸化物は、電気化学的に酸化することによりリチウムに対して3V以上の電位を示し、148mAh/gの理論充放電容量を有する材料である。
【0013】
しかしながら、これらのマンガン酸化物やリチウムマンガン複合酸化物を正極活物質として用いた非水電解液二次電池は、充放電を繰り返す場合や、室温以上の環境下で使用する場合に、電池特性の劣化が著しく大きいという欠点がある。これは、高温時にマンガン酸化物やリチウムマンガン複合酸化物が不安定化し非水電解液中にマンガンが溶出するためである。
【0014】
これらの問題点、特に充放電サイクルに伴う電池特性の劣化を抑制するための研究は多数行われている。例えば、リチウムとマンガンのモル比を僅かに変更する手法や、リチウムやマンガン以外の元素を結晶中に固溶させる手法などが提案されている。
【0015】
しかしながら、電池を室温以上の環境下で使用する場合の電池特性の劣化を抑制する手法はこれまでに見出されていない。
【0016】
特に、近年、電気自動車用又はロードレベリング用として、大型非水電解液二次電池の開発が各方面で行われている。この大型非水電解液二次電池では、電池が大型化するほど、使用時の内部発熱を無視することができなくなり、周囲の環境温度が室温付近であっても電池内部が比較的高温となる可能性がある。また、小型携帯機器用等として使用される比較的小型の電池であっても、真夏の自動車の車室内等の高温環境で使用されることもあり、電池内部が比較的高温となる場合がある。このように、室温以上の環境下で電池が使用される場合がかなり頻繁にあると考えられ、そのため、室温以上の環境下における電池特性の劣化を極力抑えることが強く要望されている。
【0017】
本発明は、上述したような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、室温以上の環境下においても電池特性の劣化が抑えられる非水電解液電池を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明の非水電解液二次電池は、マンガン酸化物又はリチウムとマンガンとの複合酸化物を含有する正極と、リチウム金属、リチウム合金又はリチウムをドープ、脱ドープすることが可能な材料を含有する負極と、非水溶媒に電解質が溶解されてなる非水電解液とを備え、上記非水電解液は、ヘキサメチレンテトラミン又はヘキサメチレンテトラミン誘導体を含有することを特徴とする。
【0019】
上述したような本発明に係る非水電解液二次電池は、非水電解液中にヘキサメチレンテトラミン又はヘキサメチレンテトラミン誘導体を含有しているので、マンガン酸化物又はリチウムとマンガンとの複合酸化物が安定化され、高温使用時における電池特性の劣化が抑えられる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0021】
本発明の非水電解液電池の一構成例を図1に示す。この非水電解液電池1は、正極2と、正極2を収容する正極缶3と、負極4と、負極4を収容する負極缶5と、正極2と負極4との間に配されたセパレータ6と、絶縁ガスケット7とを備え、正極缶3及び負極缶5内に非水電解液が充填されてなる。
【0022】
正極2は、マンガン酸化物又はリチウムマンガン複合酸化物のいずれかを正極活物質として含有する。ここで、このマンガン酸化物又はリチウムマンガン複合酸化物は、一般式AB2X4で表されるスピネル型結晶構造を有する。
【0023】
このマンガン酸化物としては、例えば、λ−MnO2、MnO2とV2O5との複合体、三成分複合酸化物であるMnO2・xV2O5(0<x≦0.3)等が挙げられる。このλ−MnO2はスピネル構造を有し、LiMn2O4スピネルに酸処理を施してLiを脱離することによって生成する。
【0024】
また、リチウムマンガン複合酸化物としては、例えば、LiXMn2-zO4(0<X≦1.33,0≦Z≦0.33)、LiMn2-yMyO4(MはGe,Ti,Ni,Zn及びFeからなる群から選ばれる金属、0<y<1)等が挙げられる。中でも、LiCo0.2Mn1.8O4は大きい放電容量の下で優れたサイクル特性が得られている。また、リチウムマンガン複合酸化物としては、例えば、LixMn2O4(0<x≦1)にLi+1,Mg2+,Zn2+等をドープしたものも挙げられる。さらに、四成分系スピネル構造のLiyMn2O4・xV2O5(0<x≦0.3,0<y≦1.5)も挙げられる。これらのリチウムマンガン複合酸化物は、高い電池電圧を発生することができて、エネルギー密度に優れた正極活物質となる。
【0025】
ところで、高い放電電位及びエネルギー密度を有する正極活物質として、LixCoyO2が広く知られており、このLixCoyO2を用いたリチウムイオン二次電池が実用化されている。しかしながら、この複合酸化物の原材料であるコバルトは、上述したように、資源的に希少であり、価格変動が大きく、且つ供給不安の伴うものである。そのため、Coを用いたLixCoyO2は、非水電解液二次電池の更なる広範囲な普及を図るには、不適当な材料である。一方、本実施の形態に係る非水電解液電池1に正極活物質として用いられるマンガン酸化物やリチウムマンガン複合酸化物は、その原材料であるマンガンがコバルトやニッケル等に比べてはるかに安価であり、資源的にも豊富なため、実用上好適な物質であるといえる。
【0026】
なお、上述した正極活物質を用いて正極2を作製するには、従来公知のバインダー樹脂、導電材、溶剤等を用いて常法に従って作製することができる。
【0027】
バインダー樹脂としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)やポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等を好ましく使用することができる。導電材としては、グラファイト等を好ましく使用することができる。
【0028】
バインダー樹脂溶解用溶剤としては、上述したようなフッ素系バインダー樹脂を溶解することができる種々の極性溶媒を使用することができ、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルホルムアミド、N−メチルピロリドンを好ましく使用することができる。特に、フッ素系バインダー樹脂としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を使用した場合には、N−メチルピロリドンを好ましく使用することができる。なお、上述した活物質とバインダー樹脂との混合割合は、電極の形状等に応じて適宜決定することができる。
【0029】
上述したような正極2は、正極缶3に収容されている。また、この正極缶3は、非水電解液電池1の外部正極となる。
【0030】
負極4は、リチウム金属、リチウム合金又はリチウムをドープ、脱ドープすることが可能な材料を主体とするものである。
【0031】
上記リチウム合金としては、例えば、リチウム−アルミニウム合金等が挙げられる。
【0032】
また、リチウムをドープ、脱ドープすることが可能な材料としては、グラファイト(黒鉛)、難黒鉛化炭素(ハードカーボン)、易黒鉛化炭素(ソフトカーボン)、カーボンブラック、活性炭等の炭素材料からなるものを、夫々単独、或いは、混合して用いることができる。この炭素粒子の粒径は、数μm〜数10μmであるのが好ましく、粒径がこの範囲より小さ過ぎても大き過ぎても、これら炭素粒子をバインダー中に均一に分散させることが困難になり、この結果、膜の電気抵抗が高くなり過ぎるおそれが有る。
【0033】
上述したような材料の他、リチウムをドープ、脱ドープ可能な材料としては、例えば、ポリアセチレン、ポリピロール等の高分子やSnO2等の酸化物が挙げられる。
【0034】
なお、上述した負極活物質を用いて負極4を作製するには、上述したような公知のバインダー樹脂、導電材、溶剤等を用いて常法に従って作製することができる。
【0035】
上述したような負極4は、負極缶5に収容されている。また、この負極缶5は、非水電解液電池1の外部負極となる。
【0036】
そして、正極2が収容された正極缶3及び負極4が収容された負極缶5の内部には、非水電解液が充填されている。この非水電解液は、電解質が非水溶媒中に溶解されてなるものである。
【0037】
電解質としては、通常の電池電解液に用いられる電解質を使用することができ、例えば、LiPF6,LiBF4,LiAsF6,LiClO4,LiCF3SO3,LiN(SO2CF3)2,LiC(SO2CF3)3,LiAlCl4,LiSiF6等のリチウム塩が挙げられる。
【0038】
非水溶媒としては、従来の非水電解液に用いられている非水溶媒を使用することができ、例えば、炭酸プロピレン、炭酸エチレン等の環状炭酸エステル、炭酸ジエチル、炭酸ジメチル等の鎖状炭酸エステル、プロピオン酸メチル、酪酸メチル等のカルボン酸エステル、γ−ブチロラクトン、スルホラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル類等を使用することができる。これらは単独で使用しても良く、複数種を混合して使用しても良い。特に、酸化安定性の点からは、炭酸エステルを含めることが好ましい。
【0039】
ところで、この非水電解液電池1では、上述したように、マンガン酸化物やリチウムマンガン複合酸化物を正極活物質として用いている。これらの材料は、高放電電位、高放電容量を実現し、また、材料供給の面からも不安の少ない、優れた活物質材料である。
【0040】
しかしながら、マンガン酸化物やリチウムマンガン複合酸化物を正極活物質として用いた非水電解液電池1を室温以上の環境下で使用した場合に、マンガン酸化物やリチウムマンガン複合酸化物が不安定化し、非水電解液中にMnが溶出してしまい、電池特性が著しく劣化してしまうという問題がある。
【0041】
そこで、この非水電解液電池1では、非水電解液中にヘキサメチレンテトラミン又はその誘導体を含有している。非水電解液中にヘキサメチレンテトラミン又はその誘導体を含有させることで、非水電解液電池1を室温以上の環境下で使用した場合における、電池特性の劣化を抑制することができる。
【0042】
非水電解液中にヘキサメチレンテトラミン又はその誘導体を含有させることで、高温環境下での使用時における、電池特性の劣化が抑制される理由は必ずしも明らかではないが、非水電解液中に存在する微量の不純物あるいは充放電に伴い非水電解液中に生ずる物質と、ヘキサメチレンテトラミン又はその誘導体とが選択的に反応することにより、上述した不純物や充放電に伴い生ずる物質と正極活物質との反応による正極活物質の劣化が抑制されるためではないかと推測される。
【0043】
このようなヘキサメチレンテトラミン又はその誘導体は、非水電解液中に0.01重量%〜10重量%の割合で含有されていることが好ましい。ヘキサメチレンテトラミン又はその誘導体の含有量が非水電解液の0.01重量%よりも少ないと、非水電解液電池1の特性劣化を抑える効果が十分でない。また、ヘキサメチレンテトラミン又はその誘導体の含有量が非水電解液の10重量%よりも多いと、上述したような反応とは異なる反応が起こり、保存中における内部インピーダンスが上昇してしまう。従って、ヘキサメチレンテトラミン又はその誘導体の含有量を上述のようにすることで、内部インピーダンスを上昇させることなく、室温以上の環境下で使用した場合の電池特性の劣化を抑制することができる。
【0044】
なお、内部インピーダンスの上昇が電池特性に与える影響を考慮すると、ヘキサメチレンテトラミン又はその誘導体の含有量は、非水電解液の0.01重量%〜5重量%とすることがより好ましい。
【0045】
セパレータ6は、正極2と、負極4とを離間させるものであり、この種の非水電解液電池1のセパレータとして通常用いられている公知の材料を用いることができる。
【0046】
絶縁ガスケット7は、負極缶5に組み込まれ一体化されている。この絶縁ガスケット7は、負極缶5及び正極缶3内に充填された非水電解液の漏出を防止するためのものである。
【0047】
上述したような本実施の形態に係る非水電解液電池1では、非水電解液中にヘキサメチレンテトラミン又はその誘導体を含有しているので、室温以上の環境下で使用した場合における電池特性の劣化を抑制することができる。
【0048】
そして、このような非水電解液電池1は、例えば3V以上の比較的大きな放電電圧で用いられるときに、マンガンの溶出量が多くなるため、マンガン溶出に伴う特性劣化を効果的に抑制することができ、特に好適である。
【0049】
上述した実施の形態では、二次電池を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、一次電池についても適用可能である。また、本発明の電池は、円筒型、角型、コイン型、ボタン型等、その形状については特に限定されることはなく、また、薄型、大型等の種々の大きさにすることができる。
【0050】
【実施例】
非水電解液中にヘキサメチレンテトラミンを含有する非水電解液二次電池を作製し、非水電解液中にヘキサメチレンテトラミンを含有しない非水電解液二次電池とで、電池特性の比較評価を行った。
【0051】
〈実施例〉
市販の炭酸マンガン(MnCO3)粉末と炭酸リチウム(LiCO3)粉末とをめのう乳鉢を用いて混合した。この際の混合比は、Li/Mn=1/2となるようにした。この混合粉末を電気炉を用いて常圧の空気中で800℃で加熱することでリチウムマンガン複合酸化物を得た。この試料を粉末X線回折により解析したところ、ISDDカード35−782に記載のLiMn2O4によい一致をみた。また、この得られたリチウムマンガン複合酸化物は、スピネル型結晶構造を有していた。
【0052】
得られたリチウムマンガン複合酸化物に、導電助剤としてグラファイトと、バインダーとしてポリフッ化ビニリデンとを混合し、さらにジメチルホルムアミドを適宜滴下して混練し、これを乾燥させたものを粉砕して、粉末状の正極合剤を得た。
【0053】
そして、この正極合剤をアルミニウムメッシュと共に加圧成形し、直径15.5mmの円形状に打ち抜くことにより、正極ペレットを得た。
【0054】
次に、リチウム金属箔を直径15.5mmの円形状に打ち抜くことにより負極ペレットを作製し、この負極ペレットを予め用意された電池蓋に加圧プレス装置で圧着した。
【0055】
また、プロピレンカーボネートとジメチルカーボネートとを体積比1:1で混合した混合溶媒に6フッ化リン酸リチウムを濃度1mol/lとなるように溶解させ、さらにヘキサメチレンテトラミンを1重量%の濃度で溶解して電解液を作製した。
【0056】
そして、上記正極ペレットを電池缶内に配し、その正極ペレット上にポリプロピレン製セパレータを載置した。これに、非水電解液を注液し、上記負極ペレットが圧着された電池蓋を載せ、ガスケットによりかしめて封口し、コイン型の非水電解液二次電池を作製した。
【0057】
〈比較例〉
電解液として、プロピレンカーボネートとジメチルカーボネートを体積比1:1で混合した混合溶媒に6フッ化リン酸リチウムを濃度1mol/lとなるように溶解した溶液を用いたこと以外は、実施例と同様にしてコイン型の非水電解液二次電池を作製した。
【0058】
実施例並びに比較例の電池について、充放電サイクル試験を行った。この際、電流密度0.27mA/cm2で4.2Vまで充電後、引き続き満充電まで定電圧充電を行う、定電流定電圧充電を行い、放電終止電圧は3.7Vとした。また、充放電サイクル試験中の電池温度は60℃とした。
【0059】
そして、初回放電時の放電容量を100%とし、各サイクルにおける放電容量の、初回放電時の放電容量に対する割合を計算し、これを容量保持率とした。
【0060】
実施例並びに比較例の電池について、充放電サイクル回数と容量維持率との関係を図2に示す。
【0061】
図2より明らかなように、充放電を繰り返すに従い、実施例の電池及び比較例の電池ともに容量維持率は低下していくが、非水電解液中にヘキサメチレンテトラミンを含有する実施例の電池では、非水電解液中にヘキサメチレンテトラミンを含有しない比較例の電池に比べて、容量維持率の低下が非常に小さく抑えられていることがわかる。
【0062】
従って、非水電解液中にヘキサメチレンテトラミンを含有させることで、非水電解液電池の高温使用時における、放電容量の劣化を抑制できることがわかった。
【0063】
【発明の効果】
本発明では、マンガンを含む正極活物質の室温以上の温度における劣化を抑制することができる。従って、本発明では、安価で資源的に豊富な原材料であるマンガンを用いて作製でき、かつ比較的高温環境での使用に耐えうる非水電解液二次電池を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の非水電解液電池の一構成例を示す断面図である。
【図2】充放電サイクル数と容量維持率との関係を示す図である。
【符号の説明】
1 非水電解液電池、 2 正極、 3 正極缶、 4 負極、 5 負極缶、 6 セパレータ、 7 ガスケット
Claims (2)
- マンガン酸化物又はリチウムとマンガンとの複合酸化物を含有する正極と、
リチウム金属、リチウム合金又はリチウムをドープ、脱ドープすることが可能な材料を含有する負極と、
非水溶媒に電解質が溶解されてなる非水電解液とを備え、
上記非水電解液は、ヘキサメチレンテトラミン又はヘキサメチレンテトラミン誘導体を含有すること
を特徴とする非水電解液二次電池。 - 上記正極に用いられるマンガン酸化物又はリチウムとマンガンとの複合酸化物が、スピネル型結晶構造を有すること
を特徴とする請求項1記載の非水電解液二次電池。
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