JP3010941B2 - 油揚げの製造方法 - Google Patents

油揚げの製造方法

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JP3010941B2 JP4298104A JP29810492A JP3010941B2 JP 3010941 B2 JP3010941 B2 JP 3010941B2 JP 4298104 A JP4298104 A JP 4298104A JP 29810492 A JP29810492 A JP 29810492A JP 3010941 B2 JP3010941 B2 JP 3010941B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、丸大豆から得られる
豆乳を主原料として用いた油揚げの製造方法に係り、特
に内部が非常に細かなスポンジ状組織で、また外皮はき
めの細かな柔らかい表皮組織を持ち、かつ風味の良い油
揚げの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、油揚げを製造する方法として
は、原料に丸大豆を用いて油揚げを製造する方法と、大
豆から蛋白成分だけを分離した分離大豆蛋白を用いて油
揚げを製造する方法との2つの方法が知られている。
【0003】ここで、丸大豆を用いて油揚げを製造する
にあたっては、まず丸大豆を水に浸漬させて膨潤させ、
このように膨潤された丸大豆にさらに水を加えて、これ
を磨砕し、必要により消泡剤等を加えて呉を得た後、こ
の呉を加熱処理し、さらに加水して、おからを分離させ
て豆乳を得た後、この豆乳に凝固剤を加えて凝固させ、
その後、これを割砕し、脱水プレスして成形し、これを
フライして油揚げを製造するようにしていた。
【0004】しかし、上記のようにして製造された油揚
げは、その内部の組織が空隙を有する海綿状で、また表
皮組織は硬いガラス状のものであり、これを乾燥させた
ものは、湯戻りが悪い等の問題があった。
【0005】一方、分離大豆蛋白を用いて油揚げを製造
する方法は、丸大豆から得られる豆乳の代わりに、上記
分離大豆蛋白に油脂を加えたエマルジョン生地を主原料
として用いて油揚げを製造するものであった。
【0006】ここで、このように分離大豆蛋白を用いて
製造した油揚げは、組織的には内外部共均一に細かなス
ポンジ状組織になっており、乾燥させたものの湯戻り復
元性に優れているが、大豆由来の優れた風味が乏しく、
風味の点では丸大豆を用いたものに比べて劣る等の問題
があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、油揚げを
製造する場合における上記のような問題を解決すること
を課題とするものである。
【0008】すなわち、この発明においては、油揚げを
製造するにあたり、内部が非常に細かなスポンジ状組織
で、かつ外皮はきめの細かな柔らかい表皮組織を有し、
乾燥させたものにおける湯戻り復元性に優れると共に、
大豆由来の優れた風味を有する油揚げが安定して得られ
るようにすることを課題とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明においては、上
記のような課題を解決するため、丸大豆から得られる豆
乳を主原料として用いた油揚げの製造方法において、上
記豆乳中にベーキングパウダーと凝固剤とを加え、これ
凝固させて油揚げ生地を調製するようにしたのであ
る。
【0010】ここで用いる丸大豆は、産地,種類,新旧
を問わず一般的に用いられるものであればどのようなも
のでもかまわず、リポキシゲナーゼ欠損大豆等のように
遺伝子操作により改質を行ったようなものや、丸大豆を
圧偏した全脂大豆でもあってもよい。
【0011】また、記丸大豆を用いて豆乳を製造するに
あたっては、一般に用いられている方法であればよく、
丸大豆を水に浸漬させ、丸大豆が充分に水をすって膨潤
するのに充分な時間、例えば、丸大豆を一昼夜程度浸漬
させて膨潤させた後、この膨潤した丸大豆にさらに水を
加えて磨砕し、必要により消泡剤等を加えて呉を得た
後、この呉を加熱処理し、さらに加水し、おからを分離
させて豆乳を得る等の方法を用いることができる。
【0012】なお、このようにして丸大豆から豆乳を得
る場合、その豆乳の濃度が3〜8ブリックス(Bx)の
範囲になるようにすることが好ましい。
【0013】また、豆乳中にベーキングパウダーを加え
る方法は、どのような方法でもかまわないが、ベーキン
グパウダーを豆乳中に均一に加えるため、ベーキングパ
ウダーを凝固剤溶液中に溶解,分散させた後、豆乳中に
この凝固剤溶液を加えるようにすることが好ましい。
【0014】ここで、豆乳に加えるベーキングパウダー
の量は、豆乳の濃度が4Bxである場合、豆乳100重
量部に対して0.005〜0.2重量部の範囲であれば
かまわないが、より均一なスポンジ状の組織になった油
揚げを得るためには0.01〜0.05重量部の範囲に
することが好ましい。
【0015】さらに、豆乳に加えるベーキングパウダー
の量が、上記豆乳100重量部に対して0.005〜
0.03重量部程度の少ない量である場合には、生地の
安定性を向上させるため、上記豆乳中にさらに植物性繊
維を加えるようにすることが好ましく、この植物性繊維
としては、例えば、粉末おから(不二製油株式会社製,
DXF−1500)等を用いることができる。
【0016】また、豆乳を凝固させるのに用いる凝固剤
としては、一般に用いられている塩化カルシウムや塩化
マグネシウム等のアルカリ土類金属塩の溶液を使用する
ことができ、またこれらを組み合わた溶液でもかまわな
い。さらに、炭酸カルシウム等をpH調整剤として用い
ることもできる。
【0017】また、上記のように豆乳を凝固させたもの
を用いて油揚げを製造するにあたっては、一般に使用さ
れている方法を用いることができ、例えば、豆乳を凝固
させたものを割砕した後、脱水プレスして、ホエー成分
を除去すると共にこれを成形した後、この成形物をフラ
イヤーによりフライして油揚げを得るようにする。
【0018】ここで、上記のように成形物をフライする
にあたり、成形物の大きさが市販インスタント食品用の
油揚げ程度の大きさであれば、220℃以下の温度でフ
ライすることができ、特に、60℃〜180℃で2段以
上の多段フライすることが好ましい。
【0019】さらに、このようにして得られた油揚げに
対しては、冷却,凍結,レトルト処理,着味,乾燥等の
処理を適宜組み合わせて行うこともできる。
【0020】
【作用】この発明においては、上記のように丸大豆から
得られた豆乳中にベーキングパウダーと凝固剤とを加
え、これを凝固させて油揚げ生地を調製するようにした
ため、この油揚げ生地をフライした場合、上記ベーキン
グパウダーの作用により、内部が非常に細かなスポンジ
状組織で、かつ外皮はきめの細かな柔らかい表皮組織に
なった油揚げが得られると共に、丸大豆を用いているた
め、大豆由来の優れた風味を有する油揚げが得られるよ
うになる。
【0021】さらに、このようにして得られた油揚げ
は、これを着味した後、乾燥させて湯戻しする際の復元
性が優れており、湯戻りが容易で、インスタント食品等
に最適に用いることができる。なお、着味を行うにあた
っては、糖類を主体とし、醤油や、必要に応じてみりん
やその他の食品添加剤を含む液状の調味液を使用するこ
とができる。
【0022】また、丸大豆から得られた豆乳中にベーキ
ングパウダーと共に植物性繊維を加えて凝固させ、油揚
げ生地を調製すると、豆乳に加えるベーキングパウダー
の量が少なくても植物性繊維の作用により、この油揚げ
生地をフライして油揚げを製造した場合における油揚げ
の伸びやその安定性がより向上すると共に、内部が非常
に細かなスポンジ状組織で、かつ外皮はきめの細かな柔
らかい表皮組織の油揚げが安定して得られるようにな
る。
【0023】
【実施例】以下、この発明の実施例に係る油揚げの製造
方法について具体的に説明するとともに、比較例を挙
げ、この実施例に係る製造方法によって得られた油揚げ
が優れていることを明らかにする。
【0024】(実施例1〜5)これらの実施例において
は、まず丸大豆100重量部を充分量の水に20時間浸
漬させて膨潤させた後、これを水切りして220重量部
の浸漬丸大豆を得た。
【0025】そして、この浸漬丸大豆15.6重量部に
対してさらに35重量部の水を加えた後、これをグライ
ンダー(ナガサキ機械株式会社製)を用いて磨砕して呉
を得た。
【0026】次に、上記のようにして得られた呉を生蒸
気により96℃で40秒間加熱処理した後、これに36
重量部の水を加え、おから絞り機(高井製作所株式会社
製)を用いて120メッシュで分離し、濃度4Bx,品
温71℃の豆乳21.3重量部を得た。
【0027】そして、この豆乳を凝固させるにあたり、
凝固液として塩化カルシウム溶液を用いるようにし、上
記豆乳100重量部に対し、塩化カルシウム溶液5.6
3重量部と一緒にベーキングパウダー(三菱化成食品株
式会社製,ベーキングパウダーウルトラ)を加えるよう
にした。
【0028】ここで、塩化カルシウム溶液と一緒にベー
キングパウダーを加えるにあたり、実施例1においては
0.01重量部、実施例2においては0.02重量部、
実施例3においては0.03重量部、実施例4において
は0.04重量部、実施例5においては0.09重量部
のベーキングパウダーを上記塩化カルシウム溶液に各々
溶解,分散させるようにした。
【0029】また、上記のようにして豆乳を凝固させた
後は、これらをを公知の方法で割砕して壊し、連続油揚
げ生地成形装置(ソーエーマシーン株式会社製)を用い
て、脱水プレスし、ホエー成分を除去すると共に成形
し、幅62mm,長さ49mm,厚さ7mmの脱水成形
物を得た。
【0030】次に、このようにして得られた脱水成形物
をフライヤー(ソーエーマシーン株式会社製)に入れ
て、1段目60℃,2段目160℃の条件で2段階のフ
ライを行った後、砂糖、醤油、水アメを主成分とする調
味液で着味し、その後80℃で熱風乾燥させて乾燥油揚
げを得た。
【0031】(比較例)この比較例においては、凝固液
として用いる塩化カルシウム溶液にベーキングパウダー
を加えなようにし、それ以外は、上記実施例1〜5の場
合と同様にして油揚げ及び乾燥油揚げを得た。
【0032】ここで、上記実施例1〜5及び比較例に示
すようにして油揚げ及び乾燥油揚げを製造した場合にお
いて、上記のように脱水成形物をフライヤーに入れてフ
ライした際における油揚げ伸び具合とその安定性、また
製造された各油揚げの内部組織及び外皮の状態、さらに
各乾燥油揚げの湯戻し復元性を調べ、その結果を下記の
表1に示した。
【0033】なお、同表において、脱水成形物をフライ
ヤーに入れてフライした際における安定性については、
サイズが揃っている場合を○,やや不揃いの場合を△,
不揃いの場合を×で、また乾燥油揚げの湯戻し復元性に
ついては、3分以内で完全に復元した場合を○,不完全
だが復元した場合を△,復元しなかった場合を×で示し
た。
【0034】
【表1】
【0035】この結果から明らかなように、実施例1〜
5のように豆乳を凝固させるにあたって、凝固剤溶液中
にベーキングパウダーを加えて油揚げ及び乾燥油揚げを
製造した場合、凝固剤溶液中にベーキングパウダーを加
えなかった比較例のものに比べ、得られた油揚げは一定
範囲で適切な伸びを示し、またその内部組織が均一なス
ポンジ状になると共に外皮がソフトできめ細かな状態と
なり、さらに乾燥油揚げの湯戻し復元性も向上した。
【0036】なお、上記実施例1〜5のように凝固剤溶
液中にベーキングパウダーを加えて油揚げを製造する場
合、加えるベーキングパウダーの量が多くなるに連れ
て、得られた油揚げの伸びが少なくなり、サイズも小さ
くなるが、安定性が向上し、またその内部組織がより均
一なスポンジ状になると共に外皮がよりソフトできめ細
かな状態になった。
【0037】また、上記実施例1〜5のようにして製造
された油揚げは、その原料に丸大豆を用いているため、
いずれも大豆由来の優れた風味に有し、風味の点でも満
足できるものであった。
【0038】(実施例6〜11)これらの実施例におい
ては、豆乳を凝固させるにあたり、上記実施例1の場合
と同様に、豆乳100重量部に対し、塩化カルシウム溶
液5.63重量部と一緒にベーキングパウダー(三菱化
成食品株式会社製,ベーキングパウダーウルトラ)を
0.01重量部加えると共に、さらに植物性繊維として
粉末おから(不二製油株式会社製,DXF−1500)
を加えるようにした。
【0039】ここで、上記のように塩化カルシウム溶液
やベーキングパウダーと一緒に豆乳に粉末おからを加え
るにあたり、実施例6においては0.025重量部、実
施例7においては0.05重量部、実施例8においては
0.10重量部、実施例9においては0.15重量部、
実施例10においては0.20重量部、実施例11にお
いては0.30重量部の粉末おからを加えるようにし
た。
【0040】そして、このように塩化カルシウム溶液や
ベーキングパウダーと一緒に粉末おからを豆乳に加える
以外は、上記実施例1の場合と同様にして各油揚げ及び
乾燥油揚げを製造した。
【0041】そして、これら実施例6〜11のようにし
て油揚げ及び乾燥油揚げを製造した場合において、上記
実施例1〜5の場合と同様に、脱水成形物をフライヤー
に入れてフライした際における伸び具合とその安定性、
また製造された各油揚げの内部組織と外皮の状態、さら
に各乾燥油揚げの湯戻し復元性を調べ、その結果を下記
の表2に示した。
【0042】なお、脱水成形物をフライヤーに入れてフ
ライした際における安定性及び乾燥油揚げの湯戻し復元
性については、表1の場合と同様にして評価を行った。
【0043】
【表2】
【0044】この結果から明らかなように、豆乳中に加
えるベーキングパウダーの量を少なくした場合において
も、さらに豆乳中に粉末おからを加えることにより、得
られた油揚げの安定性が向上し、またその内部組織がよ
り均一なスポンジ状になると共に外皮がソフトできめ細
かな状態となり、また乾燥油揚げの湯戻し復元性も向上
した。
【0045】また、上記実施例6〜11のようにして製
造された油揚げも、その原料に丸大豆を用いているた
め、いずれも大豆由来の優れた風味に有し、風味の点で
も満足できるものであった。
【0046】
【発明の効果】以上詳述したように、この発明において
は、丸大豆から得られる豆乳を主原料として用いた油揚
げの製造方法において、上記豆乳中にベーキングパウダ
と凝固剤とを加え、これを凝固させて油揚げ生地を調
製するようにしたため、この油揚げ生地をフライした場
合、上記ベーキングパウダーの作用により、内部が非常
に細かなスポンジ状組織で、かつ外皮はきめの細かな柔
らかい表皮組織の油揚げが得られると共に、丸大豆を用
いているため大豆由来の優れた風味を有する油揚げが得
られるようになった。
【0047】また、このようにして得られた油揚げを乾
燥させたものは、湯戻り復元性に優れており、湯戻りが
容易で、インスタント食品等に最適に用いることができ
た。
【0048】さらに、丸大豆から得られた豆乳中にベー
キングパウダーと共に植物性繊維を加えて凝固させ、油
揚げ生地を調製すると、豆乳に加えるベーキングパウダ
ーの量が少なくても植物性繊維により、この油揚げ生地
をフライして油揚げを製造した場合における油揚げの伸
びやその安定性がより向上すると共に、内部が非常に細
かなスポンジ状組織で、かつ外皮はきめの細かな柔らか
い表皮組織の油揚げが安定して得られるようになった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 赤坂 武志 大阪府泉佐野市鶴原1821 (56)参考文献 特開 昭53−26342(JP,A) 特開 昭54−32646(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23L 1/20

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 丸大豆から得られる豆乳を主原料として
    用いた油揚げの製造方法において、上記豆乳中にベーキ
    ングパウダーと凝固剤とを加え、これを凝固させて油揚
    げ生地を調製することを特徴とする油揚げの製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の油揚げの製造方法にお
    いて、上記豆乳中にさらに植物性繊維を加えたことを特
    徴とする油揚げの製造方法。
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