JP3010210B1 - マトリックスメタロプロテアーゼ産生阻害剤 - Google Patents

マトリックスメタロプロテアーゼ産生阻害剤

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JP3010210B1
JP3010210B1 JP10248145A JP24814598A JP3010210B1 JP 3010210 B1 JP3010210 B1 JP 3010210B1 JP 10248145 A JP10248145 A JP 10248145A JP 24814598 A JP24814598 A JP 24814598A JP 3010210 B1 JP3010210 B1 JP 3010210B1
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隆 佐藤
祥浩 三巻
豊 指田
晃 伊東
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農林水産省果樹試験場長
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Abstract

【要約】 【解決手段】 フラボノイドを含有する、マトリックス
メタロプロテアーゼまたはその前駆体の産生を阻害する
ための薬剤。 【効果】 フラボノイドを利用することにより、マトリ
ックスメタロプロテアーゼまたはその前駆体の産生を阻
害することができる。従って、フラボノイドを投与する
ことにより、マトリックスメタロプロテアーゼ関連疾患
を予防および/または治療することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マトリックスメタ
ロプロテアーゼ産生阻害剤に関し、より詳細には、フラ
ボノイドを含有する、マトリックスメタロプロテアーゼ
またはその前駆体の産生を阻害するための薬剤に関す
る。
【0002】
【従来の技術】関節軟骨の主な機能は負荷の均等化およ
び運動時の低摩擦化である。その機能の維持には軟骨細
胞由来の細胞外マトリックスが重要であり、その組成は
軟骨コラーゲンとプロテオグリカンを主成分とする。軟
骨コラーゲンはおもにII型より構成され、これに加えて
微量成分としてのIX、XおよびXI型があるが、これらの
うちXI型はコラーゲンの網目構造の形成や安定化に重要
な役割を担うと考えられている。一方、プロテオグリカ
ンの最も典型的なものは軟骨型プロテオグリカンと呼ば
れるもので、コンドロイチン硫酸およびケラタン硫酸な
どが糖を介してコアプロテインに結合し、さらにコアプ
ロテインはヒアルロン酸にリンクプロテインを介し非共
有結合した分子量250万以上の巨大分子を形成してい
る。また、軟骨ではコラーゲンの80%以上を占めるII型
コラーゲンが網目状の構造をとり、この網目を埋めるよ
うにヒアルロン酸とプロテオグリカンが存在し軟骨マト
リックスを形成している。
【0003】これらのマトリックス成分の破壊を伴う疾
患として、原因および発生機序の詳細が未だ不明な慢性
関節リウマチ(RA)や加齢と共に発症頻度の増加する変形
性関節症(OA)などが知られている。軟骨破壊をもたらす
のは軟骨マトリックスを分解するプロテアーゼであり、
なかでも中性に至適pHをもつマトリックスメタロプロテ
アーゼ(MMP)が重要な役割を果たすとされている。事
実、実験的関節炎モデルやRAおよびOAの滑膜や軟骨中に
は、MMPの局在が確認されている。通常MMP産生組織には
このMMPと特異的に結合し不活性化する組織性メタロプ
ロテアーゼインヒビター(TIMP)が存在し、細胞外マトリ
ックスの分解を調節しているが、RAおよびOAではMMPとT
IMPの発現に大きな差があり、その不均衡により関節軟
骨破壊が亢進するとされている。このMMP産生の亢進
は、主に滑液中に存在する炎症性サイトカインであるイ
ンターロイキン1(IL-1)や腫瘍壊死因子(TNFα)により誘
発されると理解されている。従って、MMP産生を阻害す
ることにより、RAやOAを予防および治療することができ
ると考えられる。これまでのところ、MMP産生を阻害す
る物質としてはデキサメタゾンが知られているが、この
化合物は誘発感染症、続発性副腎皮質機能不全や消化性
潰瘍などの副作用が強く、軟骨マトリックス成分の破壊
を伴う疾患の予防および/または治療薬としては使用さ
れていない。
【0004】MMPはその構造および基質特異性の違いか
ら、1)コラゲナーゼ群(MMP-1,-8および-13)、2)ゼ
ラチナーゼ群(MMP-2および-9)、3)ストロムライシン
群(MMP-3および-10)、4)膜結合型MMP(MMP-14,-15,-16
および-17) 、5)その他(MMP-7,-11,および-12)の5つ
のグループに分類される。これらの酵素は着床、発生・
形態形成、ガン細胞の転移・浸潤、RAやOAなどにおいて
細胞外マトリックス分解の面から密接に関わることが認
められている。これらMMPのうちその基質特異性の違い
などから1、2および3群の酵素がOAやRAにおいて骨破
壊ひいては関節の機能損失をもたらすとされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、マトリック
スメタロプロテアーゼの産生を阻害する薬剤を提供する
ことを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、フラボノ
イドが関節破壊疾患に関与する炎症性サイトカインであ
るインターロイキン1のマトリックスメタロプロテアー
ゼ類の誘導を阻害することを見い出し、本発明を完成さ
せるに至った。すなわち、本発明は、フラボノイドを含
有する、マトリックスメタロプロテアーゼまたはその前
駆体の産生を阻害するための薬剤を提供する。本発明の
薬剤は、マトリックスメタロプロテアーゼ関連疾患の予
防および/または治療薬として利用できる。また、本発
明は、上記の薬剤が添加されている食品も提供する。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のマトリックスメタロプロテアーゼまたはその前
駆体の産生を阻害するための薬剤はフラボノイドを含有
する。フラボノイドは柑橘類に由来するものであるとよ
い。柑橘類に由来するフラボノイドは他の植物に由来す
るものとは著しく異なる特徴を有する。その特徴の一つ
は他の植物にはないポリメトキシフラボノイド(PMFs)を
含むことである。柑橘類は、柑橘類がミカン区に属する
シイクワシャー (Citrus depressa) 、タチバナ(C.tac
hibana)、コウジ(C.leiocarpa)、ギリミカン(C.tar
diva)、ジミカン(C.succosa)、シカイカン、キシュ
ウ(C.kinokuni)、コベニミカン(C.erythrosa)、ス
ンキ(C.sunki)、チチユウカイマンダリン(C.delicio
sa)、キング(C.nobilis)、ポンカン(C.retuculat
a)、ダンシータンジェリン(C.tangerina)、ユズ区に
属するハナユ(C.hanayu)、コウライタチバナ(C.nipp
okoreana)からなる群より選択することができる。フラ
ボノイドはポリアルコキシフラボノイドであるとよく、
好ましくは、下記の一般式(I)で表される化合物であ
る。
【0008】
【化3】
【0009】(式中、R1は水素原子または炭素数1〜
6の低級アルキル基を表し、R2、R3およびR4は各々
独立に水素原子または炭素数1〜6のアルコキシ基を表
し、R5は炭素数1〜6の低級アルキル基を表す。) 好ましいポリアルコキシフラボノイドはポリメトキシフ
ラボノイドであり、より好ましくは、下記の一般式(I
I)で表される化合物である。
【0010】
【化4】
【0011】(式中、R1は水素原子またはメチル基を
表し、R2、R3およびR4は各々独立に水素原子または
メトキシ基を表す。) 上記の一般式(II)で表される化合物の一例を以下の表
1に示す。
【0012】
【表1】
【0013】これらのメトキシフラボノイドは細胞毒性
が低いという利点を有する。フラボノイドは植物界に広
く分布している化合物であり、Two new polimethoxylat
ed flavones, a class of compounds with potential a
nticancer activity, isolated from cold pressed dan
cy tangerin peel oil solids (Jie Chem et al. J. A
gric Food Chem. 1997, 45, 364-368)に記載されてい
るような方法で植物から抽出・分離することができる。
【0014】マトリックスメタロプロテアーゼまたはそ
の前駆体としては、コラゲナーゼ群の酵素(MMP-1, -8お
よび-13)、ゼラチナーゼ群の酵素(MMP-2および-9) 、ス
トロムライシン群の酵素(MMP-3および-10)、膜結合型マ
トリックスメタロプロテアーゼ群の酵素(MMP-14, -15,
-16および-17)、マトリライシン(MMP-7) 、メタロエラ
スターゼ(MMP-12)、およびそれらの前駆体などが挙げら
れる。本発明の薬剤は、マトリックスメタロプロテアー
ゼ関連疾患の予防および/または治療薬として利用する
ことができる。マトリックスメタロプロテアーゼ関連疾
患としては、慢性関節リウマチ、変形性関節症、がん、
動脈硬化症、動脈瘤、肝硬変、潰瘍、骨粗鬆症、肺線維
症、糸球体腎炎、歯周炎などが挙げられる。
【0015】本発明の薬剤を医薬品として使用する際に
は、予防および/または治療上有効な量のフラボノイド
が製薬学的に許容できる担体または希釈剤とともに製剤
化されるとよい。その他にも、結合剤、吸収促進剤、滑
沢剤、乳化剤、界面活性剤、酸化防止剤、防腐剤、着色
剤、香料、甘味料などを添加してもよい。このような医
薬製剤において、有効成分であるフラボノイドの担体成
分に対する割合は、0.1〜10重量%であるとよく、
好ましくは0.5〜1.0重量%である。医薬製剤の剤
形としては、顆粒剤、細粒剤、錠剤、カプセル剤、丸
剤、軟膏、ゲル、ペースト、クリーム、噴霧剤、溶液
剤、懸濁液剤などを挙げることができ、その投与経路と
しては、経口投与の他、静脈内投与、筋肉内投与、皮下
投与、関節膣などの非経口投与など種々の投与経路を挙
げることができる。
【0016】本発明の医薬品は、有効成分であるフラボ
ノイドの量に換算して、通常、100〜1000mgの投与量
で、一日1〜数回程度投与することができるが、この投
与量および投与頻度は、病状、性別,投与経路などに応
じて適宜変更されうる。また、本発明の薬剤を食品に添
加してもよい。本明細書において、「食品」とは、栄養
素を1種以上含む天然物およびその加工品をいい、あら
ゆる飲食物を含む。本発明の薬剤を添加する食品として
は、チョコレート、ビスケット類、飴菓子などの菓子
類、ジュースなどの清涼飲料、牛乳、ヨーグルトなどの
乳酸飲料などを挙げることができる。
【0017】
【実施例】本発明を以下の実施例により具体的に説明す
るが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されること
はない。 〔製造例1〕柑橘類の一種であるシイクワシャー(Citr
us depressa)の果皮のフラベドの部分を剥皮し、これ
をアセトン中に液浸し、粗フラボノイド抽出液を得る。
これを濃縮乾固した後、50%メタノールに溶かし、オク
タデシルシリカゲルを担体とする逆相系カラム、溶離液
としてメタノール−10mMリン酸(4:6→6:4)を用い、紫
外線吸収検出器(340nm)でモニターしながら分取を行
う。得られた分画を濃縮乾固することで目的のフラボノ
イドを得た。
【0018】タンゲレチン: 無色針状結晶(クロロホルム、メタノール混液より再結
晶) mp.150-151o EI-MS m/z 372[M]+ (C20H20O7) IR νmax(KBr)cm-1:2945,2835,1645,1605,1580,1510,14
80,1460,1420,1400,1365,1305,1260,1215,1175,1130,11
05,1065,1025,1015,1000,965,945,935,890,825,795. UV λmax(EtOH)nm:322,272.1 H-NMR(CDCl3)δ 7.87(2H,d,J=8.9Hz),7.02(2H,d,J=8.9
Hz),6.59(1H,s),4.09(3H,s),4.02(3H,s),3.94(3H×2,
s),3.88(3H,s).13 C-NMR(CDCl3)δ 177.3(C=O),162.3(C),161.2(C),151.
3(C),148.4(C),147.7(C),144.1(C),138.1(C),127.7(CH
×2),123.8(C),114.9(C),114.5(CH×2),106.7(CH),62.2
(OMe),62.0(OMe),61.8(OMe),61.6(OMe),55.5(OMe).
【0019】ノビレチン: 無色針状結晶(クロロホルム、メタノール混液より再結
晶) mp.137-138o EI-MS m/z 402[M]+ (C21H22O8) IR νmax(KBr)cm-1:2950,2840,1640,1585,1565,1510,14
80,1460,1415,1410,1365,1335,1300,1275,1255,1220,12
05,1170,1145,1100,1075,1035,1030,1015,965,950,905,
860,835,810,800. UV λmax(EtOH)nm:331,271,250.1 H-NMR(CDCl3)δ 7.55(1H,dd,J=8.5,2.1Hz),7.39(1H,d,
J=2.1Hz),6.97(1H,d,J=8.5Hz),6.59(1H,s),4.08(3H,s),
4.01(3H,s),3.96(3H,s),3.94(3H,s),3.93(3H×2,s).13 C-NMR(CDCl3)δ 177.2(C=O),160.9(C),151.9(C),151.
3(C),149.2(C),148.3(C),147.6(C),144.0(C),137.9(C),
123.9(C),119.5(CH),114.8(C),111.2(CH),108.5(CH),10
6.8(CH),62.2(OMe),61.9(OMe),61.7(OMe),61.6(OMe),5
6.0(OMe),55.9(OMe).
【0020】5−デメチルノビレチン: 淡黄色粉末 EI-MS m/z 388[M]+ (C20H20O8) IR νmax(KBr)cm-1:3420,2945,2830,1640,1610,1585,15
10,1480,1460,1435,1430,1415,1365,1340,1265,1225,11
90,1170,1145,1115,1065,1035,1030,1015,960,850,835,
795.1 H-NMR(CDCl3)δ 12.53(s,OH),7.58(1H,dd,J=8.6,2.0H
z),7.42(1H,d,J=2.0Hz),6.99(1H,d,J=8.6Hz),6.60(1H,
s),4.11(3H,s),3.98(3H×2,s),3.96(3H,s),3.95(3H,s).13 C-NMR(CDCl3)δ 182.9(C=O),163.9(C),153.0(C),152.
5(C),149.5(C),149.4(C),145.7(C),136.6(C),132.9(C),
123.7(C),120.1(CH),111.3(C),108.8(CH),107.0(C),10
4.0(CH),62.0(OMe),61.7(OMe),61.1(OMe),56.1(OMe),5
6.0(OMe).
【0021】シネンセチン: 白色粉末 EI-MS m/z 372[M]+ (C20H20O7) IR νmax(KBr)cm-1:2990,2935,2820,1635,1595,1505,14
85,1460,1445,1425,1415,1345,1320,1285,1265,1255,12
45,1215,1205,1200,1165,1145,1115,1095,1060,1020,98
5,955,865,835,815,785,760.1 H-NMR(CDCl3)δ 7.50(1H,dd,J=8.5,2.1Hz),7.32(1H,d,
J=2.1Hz),6.96(1H,d,J=8.5Hz),6.79(1H,s),6.58(1H,s),
3.99(3H,s),3.98(3H,s),3.97(3H,s),3.95(3H,s),3.91(3
H,s).13 C-NMR(CDCl3)δ 177.1(C=O),161.1(C),157.6(C),154.
5(C),152.6(C),151.8(C),149.3(C),140.3(C),124.1(C),
119.6(CH),112.9(C),111.2(CH),108.7(CH),107.4(CH),9
6.2(CH),62.2(OMe),61.5(OMe),56.3(OMe),56.1(OMe),5
6.0(OMe).
【0022】6−デメトキシタンゲレチン: 白色粉末 EI-MS m/z 342[M]+ (C19H18O6) IR νmax(KBr)cm-1:3000,2945,2845,1635,1600,1570,15
05,1460,1420,1405,1375,1340,1305,1295,1255,1245,12
10,1185,1175,1135,1110,1045,1030,875,960,930,880,8
40,810,800.1 H-NMR(CDCl3)δ 7.87(2H,d,J=9.0Hz),7.01(2H,d,J=9.0
Hz),6.58(1H,s),6.43(1H,s),3.99(3H,s),3.97(3H,s),3.
94(3H,s),3.87(3H,s).13 C-NMR(CDCl3)δ 177.8(C=O),162.1(C),160.6(C),156.
4(C),156.3(C),151.9(C),130.8(C),127.6(CH×2),123.9
(C),114.4(CH×2),109.1(C),106.9(CH),92.6(CH),61.5
(OMe),56.6(OMe),56.3(OMe),55.4(OMe).
【0023】6−デメトキシノビレチン: 白色粉末 EI-MS m/z 372[M]+ (C20H20O7) IR νmax(KBr)cm-1:2930,2845,1635,1595,1575,1505,14
55,1435,1420,1400,1375,1340,1320,1295,1275,1255,12
30,1210,1205,1170,1135,1120,1105,1040,1035,1015,96
5,945,855,835,800,795.1 H-NMR(CDCl3)δ 7.58(1H,dd,J=8.5,2.1Hz),7.42(1H,d,
J=2.1Hz),6.98(1H,d,J=8.5Hz),6.61(1H,s),6.44(1H,s),
4.00(3H,s),3.98(3H,s),3.97(3H,s),3.95(3H×2,s).13 C-NMR(CDCl3)δ 177.8(C=O),160.5(C),156.5(C),156.
3(C),151.9(C),151.8(C),149.3(C),130.8(C),124.1(C),
119.5(CH),111.2(CH),109.1(C),108.6(CH),107.2(CH),9
2.6(CH),61.5(OMe),56.6(OMe),56.3(OMe),56.0(OMe),5
5.9(OMe).
【0024】〔実施例1〕実験材料および実験方法 1.培養器具および試薬 細胞培養用プラスティック器具は岩城硝子、ダルベッコ
改変イーグル培地(DMEM)およびオリゴ(dT)プライマーは
Life Technologies,Inc、Ca2+ およびMg2+不含リン酸緩
衝生理食塩水(PBS(-))は日水製薬、胎仔ウシ血清(FBS)
はM.A.Bioproducts 製、ペニシリンG は万有製薬、硫酸
ストレプトマイシンは明治製菓、コラゲナーゼ(Clostor
idium histolycum由来, type I) はWorthington Bioche
mical Co.、トリプシンはDIFCO Laboratories Co.、ラ
クトアルブミン水解物(LAH) 、ニトロブルーテトラゾリ
ウム、5-ブロモ-4-クロロ-3- インドリルホスフェー
ト、アルカリホスファターゼ結合ロバ抗−(ヒツジ Ig
G)IgG およびデキサメタゾンはSigma、cAMP enzyme imm
unoassay system はAmershamから各々購入し使用した。
【0025】組換えヒトインターロイキン-1 α(rhIL-1
α,2×107units/mg)は大日本製薬より、ヒツジ (抗ウサ
ギ proMMP-1)抗体、ヒツジ (抗ウサギ proMMP-3)抗体お
よびヒツジ抗 (ヒト TIMP-1)抗体はカンサス大学医学部
のHideaki Nagase教授より提供を受けた。その他の試薬
は全て特級試薬を使用した。
【0026】2.ウサギ関節軟骨細胞および滑膜細胞の
分離・培養および薬物処理 1)ウサギ関節軟骨細胞の調製及び培養法 ウサギ関節軟骨細胞は、雌性日本白色種ウサギ(3週
齢、体重約400g、(株)東京実験動物より入手)の大腿
骨よりGreen らの方法 (Green, W. T. (1971) Clin. Or
thop. Rel. Res. 75, 248-260) に従って分離培養し
た。すなわち、軟骨組織をPBS(-), Hank's Balanced S
alt Solution(HBSS)および0.1%(w/v)EDTA/PBS(-)にて順
次洗浄後細切し、0.1%(w/v)EDTA/PBS(-) 中で37℃、20
分間インキュベーションした後上清を除去した。続いて
0.125%(w/v) トリプシン/DMEM 中で37℃、1 時間組織片
を攪拌しながら消化し上清を除去した後、さらに0.1%(w
/v) コラゲナーゼ/DMEM10%(v/v)FBS中で37℃、2 時間攪
拌しながら消化し、この細胞懸濁液を4℃、700 ×gで10
分間遠心分離し軟骨細胞を得た。
【0027】細胞をPBS(-)で洗浄し、再び4℃、700 ×g
で10分間遠心分離後10%(v/v)FBS/DMEMに懸濁しナイロン
メッシュ(150メッシュ)でろ過し、細胞数を調製して5%
CO2-95% air気相下、37℃にて培養した。実験には初代
培養および継代数1の細胞を使用した。滑膜細胞につい
ては、日本白色種ウサギの膝関節より滑膜を摘出し、10
0mm皿に接着させ10%(v/v)FBS/DMEM中で5% CO2-95% air
気相下、37℃にて培養した後、組織よりout growthした
ものを用いた。なお、実験には継代数が4〜6のものを用
いた。また、上記で用いた試薬には全てペニシリンG(20
0 units/ml)および硫酸ストレプトマイシン(200μg/ml)
を添加して使用した。
【0028】2)ウサギ軟骨細胞および滑膜細胞の薬物処
理方法 ウサギ軟骨細胞および滑膜細胞を24-ウェルプレートに
播種し、10%(v/v)FBS/DMEM中でコンフルエントまで培養
した。この細胞を0.2%(w/v)LAH/DMEMで洗浄後、薬物処
理を施した。なお各種フラボノイドはジメチルスルホキ
シド(DMSO)溶液としてDMSOの終濃度が0.6〜0.25%(v/v)
になるように添加した。続いて5% CO2-95%air気相下に3
7℃で24時間インキュベーション後、培養液を回収し実
験に供するまで-20℃で保存した。
【0029】3.ウエスタンブロット法 培養液に20%(w/v)トリクロロ酢酸(TCA)溶液を終濃度3.3
%(w/v)となるよう加え4℃で12時間以上保存した後、8,0
00×gで5分間遠心分離した。得られた沈殿をエーテルで
1回洗浄後エーテルを除去しLaemmliの方法 (Laemmli,
U. K. (1970) Nature 227, 680-685)に従って調製した
試料溶液に溶解した。続いて還元条件下にてSDS-PAGEを
行い、ゲルを転写用緩衝液(20mM Tris/150 mM グリシン
/20%(w/v)メタノール/0.1%(w/v)SDS(pH9.2))に浸した
ニトロセルロース膜に密着させセミドライ型転写装置を
用い200mAで1時間転写した。転写後ニトロセルロース膜
をドライミルク溶液(10%(w/v) 脂肪不含ドライミルク/1
0 mM Tris-HCl/0.9%(w/v)NaCl/0.02%(w/v)NaN3(pH7.5)
に浸し10分間のブロッキングを行い、続いてイオン交換
水およびTBS緩衝液(50mM Tris-HC1/200mM NaCl(pH7.
5))にて数回洗浄し1%(w/v)BSA/PBS(-)で希釈したウサ
ギproMMP-1およびproMMP-3に対する1次抗体溶液に4℃で
12時間以上浸した。1次抗体結合後ブロッキングおよび
洗浄を同様に行い、アルカリホスファターゼ標識の2次
抗体の溶液に室温で1時間浸した後TBS緩衝液にて数回洗
浄した。このニトロセルロース膜を基質溶液(0.4mM ニ
トロブルーテトラゾリウム/0.4 mM 5-ブロモ-4-クロロ-
3-インドリルホスフェート/10mM Tris-HCl/100 mM NaCl
/5mM MgCl2(pH8.0)に浸し適当な時間発色させた後、イ
オン交換水にて洗浄しStop solution (20mM Tris-HCl/5
mM EDTA(pH8.0)にて発色を停止した。
【0030】4.細胞内cAMP量の測定 ウサギ滑膜細胞に薬物を添加し、10分後に培養液を回収
した。次いで氷冷したPBS(-)にて細胞を洗浄し、さらに
氷冷した7%(w/v)TCAを加え、ただちにラバーポリスマン
で細胞を剥離し超音波破砕(200w,6秒間にて3回)を施し
た。TCAによる抽出を完全にするために細胞破砕物の懸
濁液を凍結、融解した後、4℃、1300 ×gにて5分間遠
心分離し、その上清をエーテルで2回洗浄したものをサ
ンプルとした。サンプル中のcAMP量はcAMP enzyme immu
noassay systemを用い、添付の操作法に従って測定し
た。サンプル1mlにアセチル化試薬25μlを加え、cAMPを
アセチル化した。この試料50μlに抗cAMPウサギ血清100
μlを加え、4℃で2時間インキュベーションした。次い
で、ペルオキシダーゼ標識cAMP溶液を100 μlを加え、4
℃で1時間インキュベーションした。抗体に結合しなか
ったペルオキシダーゼ標識cAMPおよびcAMPを洗浄液にて
4回洗浄した。さらに基質溶液を150μl加え、室温で振
とうしながら1時間発色させた後、1M硫酸で発色を停止
し、450nmで吸光度を測定した。cAMP量は同様に作成し
た標準曲線から算出した。
【0031】5.ゼラチンザイモグラフィー法 回収した培養液(15μl)に試料溶液 (5 μl)を添加しサ
ンプルとした。そのうち15μlについてゼラチン(0.6mg/
ml)を含む10%(w/v)アクリルアミドゲルを用いてSDS-PAG
Eを行った。その後、ゲル中からSDSを除くため2.5%(w/
v)Triton X-100を含むインキュベーション緩衝液(50mM
Tris-HCl(pH7.5)/5 mM CaCl2/1 mM ZnCl2/0.02%(w/v)Na
N3)で1時間室温にて振とした。ついで同緩衝液中で37℃
にて1.5時間インキュベーションした後、ゲルを染色液
(0.1%(w/v)クーマシーブリリアントブルー/50%(v/v) メ
タノール/20%(v/v)酢酸) 中で適当な時間染色した。そ
の後、脱色液(30%(v/v) メタノール/1%(v/v)蟻酸)中で
適当な時間脱色を行い、青い背景に対してゼラチン分解
活性のある部分を透明なバンドとして検出した。
【0032】6.ノーザンブロット法 ノビレチンによるproMMP産生の抑制が対応するmRNAの変
動を伴ったものであるか否かをノーザンブロット法にて
検討した。 1)総RNAの抽出 細胞からの総RNAの抽出はChomczynskiおよびSacchiの方
法(Chomczynski, P.and Sacchi, N.(1987) Anal. Bioc
hem, 162, 156-159)に従い、ISOGENを用いて行った。
【0033】細胞を60または100mm dishにて10%(v/v)FB
S/DMEMでconfluentまで培養し、serum-freeの条件下で
熱ショックおよび薬物処理を施した。培養液を完全に回
収後、1mlのISOGENを加え細胞を溶解した。細胞溶解液
をラバーポリスマンで集めて0.2mlのCHCL3を加え激しく
振とうし、室温にて5分間放置した後、4℃、12,000xg
で15分間遠心分離した。水層(上層)を新しいチューブ
に写し、同量の2-propanolを加えて振とうした後、室温
にて10分間放置し同様に遠心分離した。上清を除去し得
た総RNA沈殿を75%(v/v)EtOHで洗浄後、RNase-free減菌
精製水に溶解し-80℃にて保存した。
【0034】2)Norher blotting法 総RNA(10μg)をdenaturing solution(56%(v/v)formamid
e/22%(v/v)formaldehyde/0.1mM ethidium bromide/MOPS
buffer(20 mM MOPS/1 mM EDTA/1 mM AcONa))を加えて6
5℃、15分間熱変性後、氷冷し10 x dye mix loading bu
ffer(0.2%(w/v)bromophenol blue/10 mM EDTA/50%(v/v)
glycerol)を加えてサンプルした。サンプルをMOPS buff
erおよび6.6%(v/v)formaldehydeを含んだ1%(w/v)アガロ
ースゲルにて電動泳動した後、10 x SSC(1 x SSC; 0.15
M NaCl/0.015M クエン酸ナトリウム(pH 7.0))中でナイ
ロンメンブラン(DUPONT社製)に転写し、さらにFuna-UV-
Linker(フナコシ社製)を用いUV照射によりRNAを固定し
た。この際RNAが無傷であることをエチジウムブロマイ
ドの染色パターンにて確認した。
【0035】3)ランダムプライマー法およびハイブリ
ダイゼーション法 メンブランはランダムプライマー法により合成した[32
P]標識CDNAを用いてハイブリダイゼーションを行っ
た。つまりメンブランをhybridization buffer(50%(v/
v)formamide/5 x SSC/0.1%(w/v)SDS/1 x Denhardt's so
lutuion/0.02 M リン酸ナトリウム/0.02%(w/v)denature
d salmon sperm DNA)中で42℃、2時間プレハイブリダ
イゼーションを行った後、[32P]標識CDNAを含むhybri
dization buffer中で42℃、over nightでハイブリダイ
ゼーションを実施した。ハイブリダイゼーション終了
後、メンブランを1x SSC/0.1%(w/v)SDSおよび0.1 x SS
C/0.1%(w/v)SDSで適当な時間洗浄した。その後、メンブ
ランを乾燥させて-80℃でX-ray film(コニカ社製)に
適当な時間露光した。
【0036】7.タンパク質生合成活性の測定 Confluentのウサギ関節滑膜細胞(24-multiwell plate)
を37℃または42℃で一定時間培養後、培養液を[3H]-a
mino acids mixture(1μCi/ml)を含む1mlの0.2%(w/
v)LAH/MEM/non A.A. に交換し、37℃で2時間インキュ
ベーションした。インキュベーション終了後、培養液を
ただちに回収し、0.2mlの冷60%(w/v)TCAを加え4℃でov
er nightで放置し、10,000 x gで10分間遠心分離した
後、沈渣を1mlの10%(w/v)TCAで3回洗浄した(medium画
分)。一方、細胞は冷PBS(-)で3回洗浄し、10%(w/v)TCA
を0.5ml添加し30分間放置した後、0.5mlのエタノール:
エーテル(3:1) 溶液で1回洗浄し、over nightで風乾し
た(cell画分)。Medium画分およびcell画分ともに0.5ml
の0.5N NaOHに溶解した後、放射活性を液体シンチレー
ションカウンターにて測定した。
【0037】8.プロスタグランジンE産生に対する作
用の測定法 慢性関節リウマチ病巣では、MMP の増加に加えて、滑膜
細胞を産生源とする、炎症メディエーターであるPGE2
生の亢進が報告されている。そこで、ノビレチンのPGE2
産生に対する作用を以下のような方法で検討した。Pent
landとNeedlemanの方法(Pentland, A. P. and Needlema
n, P. (1986) J.Clin. Invest. 77, 246-251)に従っ
た。すなわち、回収した培養液50μlおよびPGE2標準液5
0μl(3.125〜200pg)に[3H]PGE2溶液50μl(1.44 MBq)
およびPGE2抗血清60μlを加え混和後、4℃で18時間反
応させた。抗体に結合しなかった遊離の[3H]PGE2をde
xtranで被覆したcharcoal溶液(0.025%(w/v)dextran/0.2
5%(w/v)charcoal/0.9%(w/v)NaCl))500μlに吸着させ、
4℃、1,600×gで15分間遠心分離後、上清500μlの放射
活性を液体シンチレーションカウンター(Aloka LSC-100
0、LSC-3500)で測定した。
【0038】9.滑膜細胞の増殖への影響の測定法 慢性関節リウマチの特徴のひとつに関節滑膜の異常増殖
に起因するパヌス形成がある。そこで、滑膜細胞の増殖
に対するノビレチンの作用を検討した。細胞増殖能の測
定は、Ahmedら(Ahmed, S. A, Gogal, R. M. and Walsh,
J. E.J. Immunol. Methods. (1994) 170. 211-224)の
方法(alamar Blue assay)によりcell counting kit(DOJ
INDO製)を用い、添付の操作方法に従って測定した。す
なわち、ウサギ滑膜細胞を96-well plateに細胞数1×1
04 cells/mlで播種し、5% CO2-95% air気相下、37℃で
2時間培養後、薬物処理を10%(v/v)FBS/DMEMにて施し、
48時間後にalamar Blue試薬を加え、4時間発色後570nm
で吸光度を測定した。
【0039】実験結果および考察 1.ウサギ関節滑膜細胞および関節軟骨のマトリックス
メタロプロテアーゼ産生に対するフラボノイド類の影響
(ゼラチンザイモグラフィー、図1および2) 6種のフラボノイド類 (5-デメチルノビレチン、タンゲ
レチン、ノビレチン、8-デメトキシノビレチン (シネン
セチン) 、6-デメトキシタンゲレチンおよび6-デメトキ
シノビレチン)についてproMMP-2(ゼラチナーゼA)産生に
及ぼす作用を検討した(図1)。ProMMP-2は、細胞培養
系において無刺激下に産生される事が知られているもの
であり、一方proMMP-9はインターロイキン1や腫瘍壊死
因子αなどの炎症性サイトカインの刺激により誘導され
るものである。図1のレーン1はコントロール、レーン
2は0.64%DMSO 、レーン3はIL-1α(1 ng/ml) 、レーン
4はIL-1α+0.64%DMSO 、レーン5および6はIL-1α+
5-デメチルノビレチン(32および64μM)、レーン7およ
び8はIL-1α+タンゲレチン(32 および64μM)、レーン
9および10はIL-1α+ノビレチン(32 および64μM)、
レーン11はデキサメタゾン(2μM)、レーン12および
13はIL-1α+シネンセチン(32 および64μM)、レーン
14および15はIL-1α+6-デメトキシタンゲレチン(3
2 および64μM)、レーン16および17はIL-1α+6-デ
メトキシノビレチン(32 および64μM)を示す。図1に示
すように、タンゲレチン、ノビレチンおよびシネンセチ
ンが濃度依存にIL-1αにより誘導したproMMP-9産生を強
く抑制した。なかでもノビレチンの作用は顕著であり、
その作用はMMP産生に対して強い抑制作用を示すことで
知られるデキサメタゾンのそれとほぼ同様であった。一
方、恒常的に産生されるproMMP-2の産生は、全く影響を
受けなかった。
【0040】さらに、ウサギ軟骨細胞においても同様に
検討した(図2)。図2のレーン1はコントロール、レ
ーン2は0.64%DMSO 、レーン3はIL-1α(1 ng/ml) 、レ
ーン4はIL-1α+0.64%DMSO 、レーン5および6はIL-1
α+5-デメチルノビレチン(32 および64μM)、レーン7
および8はIL-1α+タンゲレチン(32 および64μM)、レ
ーン9および10はIL-1α+ノビレチン(32 および64μ
M)、レーン11はデキサメタゾン(2μM)、レーン12お
よび13はIL-1α+シネンセチン(32 および64μM)、レ
ーン14および15はIL-1α+6-デメトキシタンゲレチ
ン(32 および64μM)、レーン16および17はIL-1α+
6-デメトキシノビレチン(32 および64μM)を示す。図2
に示すようにタンゲレチン、ノビレチンおよびシネセチ
ンに加えて5-デメチルノビレチンが濃度依存的なproMMP
-9産生抑制作用を示した。一方、proMMP-2の産生は、全
く影響を受けなかった。
【0041】これらの実験系では、5-デメチルノビレチ
ンと6-デメトキシノビレチンは培養中に結晶として析出
が観察され、真の用量依存性を観察することができない
可能性がある、しかし、これも溶解度の特性とすればそ
れぞれの薬物の作用特性とも言える。以下、proMMP-9産
生抑制作用の顕著であったノビレチンについて詳細な検
討結果を記載する。
【0042】2.ウサギ関節滑膜細胞のproMMP産生に対
するノビレチンの作用(ウエスタンブロット法、図3) 図3において、レーン1は0.2%DMSO、レーン2はコント
ロール、レーン3〜5はノビレチン(それぞれ、16、32
および64μM)、レーン6はIL-1α(1 ng/ml)+0.2%DMS
O、レーン7はIL-1α、レーン8〜12はIL-1α+ノビ
レチン(それぞれ、4 、8 、16、32および64μM)および
レーン13はIL-1α+デキサメタゾン (2μM)を示す。
パネルAはproMMPs-2 および-9、パネルBはproMMP-1/
コラゲナーゼ、パネルCはproMMP-3/ストロムライシン
1に対するものである。図3に示すように、ノビレチン
はウサギ関節滑膜細胞においてIL-1αにより誘導したpr
oMMP-9、proMMP-1 (プロコラゲナーゼ)およびproMMP-3
(プロストロムライシン 1)産生を濃度依存的 (4〜64μ
M)に抑制した。
【0043】3.ウサギ関節軟骨細胞の細胞内cAMPにお
よぼすノビレチンの影響(図4) ノビレチンはホスフォジエステラーゼ阻害作用を有する
ことが知られていることから、当該試験薬の細胞内cAMP
におよぼす作用を検討した。図4において、縦軸はcAMP
の産生量を表し、横軸の1はコントロール、2〜4はノ
ビレチン(それぞれ、3.2 、32および100 μM)、および
5はプロスタグランジン E1(1 ng/ml)を示す。図4に示
すように、ウサギ関節軟骨細胞にノビレチンを添加し10
分後の細胞内cAMPを測定すると高濃度(32μM<)におい
て明らかなcAMPの増加が観察された。ノビレチンは従来
in vitro系においてアデニル酸シクラーゼを直接阻害す
ることが知られているが、上記の実験結果はノビレチン
が細胞膜を透過して細胞内アデニル酸シクラーゼを直接
に抑制することも示している。一般にcAMPはMMP産生に
対して抑制的に作用することが知られており、上述した
ノビレチンのproMMs産生抑制作用が細胞内cAMP増加作用
に起因したものであるか否かについても興味がもたれ
る。
【0044】以上に示したようにノビレチンをはじめと
する幾つかのフラボノイドには関節滑膜細胞や関節軟骨
細胞におけるマトリックスメタロプロテアーゼ産生を濃
度依存的に抑制することが判明した。当該酵素はOAやRA
における軟骨基質の破壊と密接に関連しており、上記の
フラボノイドが関節破壊防御薬として有効であることを
示していると言える。さらに、MMPはがん細胞の移転・
浸潤とも密接に関わっており、上記のフラボノイドはガ
ン細胞へも有効に作用すると考えられる。
【0045】4.ウサギ関節滑膜細胞のproMMP産生に対
するノビレチンの作用(ノーザンブロット法、図5) 図5に示すように、ノビレチンはほぼ濃度依存的にproM
MP-1およびproMMP-3 mRNA の発現を抑制し、先の実験に
おけるノビレチンによる酵素タンパク質の減少はそれぞ
れのmRNA発現の抑制に起因するものであることが示され
た。また、このノビレチンのMMP 産生抑制作用は、関節
滑膜と隣接する関節軟骨細胞においても同様に観察され
た。
【0046】5.[3H]アミノ酸混合物の取り込み(図
6) 図6に示すように、ノビレチンは無刺激の細胞への[3H]
アミノ酸混合物取り込みにより検討したタンパク質生合
成に対して抑制傾向を示したが、IL-1αにて刺激した細
胞ではこの抑制傾向もほとんど認められなかった。この
事実は、上記の実験で示したノビレチンのproMMP産生抑
制作用が当該酵素産生に特異的であることを示してい
る。図6中、*、**および***は、それぞれ、P<
0.05、0.01および0.001 で、コントロールの細胞と有意
差があることを示している。
【0047】6.プロスタグランジンE産生に対する作
用(図7) 図7に示すように、ノビレチンはMMP産生抑制を示す濃
度よりも極めて低い濃度においてもIL-1αが誘導したPG
E2産生をほぼ完全に抑制した。図7中、***は、P<
0.001 で、コントロールの細胞と有意差があることを示
しており、###は、P<0.001 で、IL-1α処理細胞と
有意差があることを示している。
【0048】7.滑膜細胞の増殖への影響(図8) 図8に示すように、ノビレチンは、増殖期のウサギ滑膜
細胞の増殖を濃度依存的に抑制した。図6中、**は、
P<0.01で、コントロールの細胞と有意差があることを
示しており、##および###は、P<0.01および0.00
1 で、IL-1α処理細胞と有意差があることを示してい
る。以上、ノビレチンはウサギ関節滑膜細胞において、
proMMP産生を抑制するのみならず、炎症メディエーター
であるPGE2産生をも抑制した。さらに、パヌス形成とも
関連する滑膜細胞の増殖抑制作用も有することが確認さ
れた。これらの事実は、関節破壊保護物質としてノビレ
チンが有効であることを示している。
【0049】
【発明の効果】フラボノイドを利用することにより、マ
トリックスメタロプロテアーゼまたはその前駆体の産生
を阻害することができる。従って、フラボノイドを投与
することにより、マトリックスメタロプロテアーゼ関連
疾患を予防および/または治療することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、ウサギ関節滑膜細胞のproMMP-2および
proMMP-9産生におよぼすフラボノイドの影響を示す。
【図2】図2は、ウサギ関節軟骨細胞のproMMP-2および
proMMP-9産生におよぼすフラボノイドの影響を示す。
【図3】図3は、ウサギ関節滑膜細胞のproMMP産生にお
よぼすノビレチン濃度の影響を示す。
【図4】図4は、ウサギ関節軟骨細胞の3', 5'-cyclic
AMP 産生におよぼすノビレチンの影響を示す。
【図5】図5は、ウサギ関節滑膜細胞のproMMP-1および
proMMP-3の定常状態mRNAレベルにおよぼすノビレチンの
影響を示す。
【図6】図6は、ウサギ関節滑膜細胞の[3H]アミノ酸混
合物取り込みにおよぼすノビレチンの影響を示す。
【図7】図7は、ウサギ関節滑膜細胞のPGE2産生におよ
ぼすノビレチンの影響を示す。
【図8】図8は、IL-1α、ノビレチン、インドメタシン
およびデキサメタゾンで処理したウサギ関節滑膜細胞の
増殖を示す。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI A61P 9/14 A61K 31/00 609K 11/00 611 13/12 613G 19/04 619B 19/10 619E 35/04 635B 43/00 643D A61K 35/78 35/78 K // C07D 311/30 C07D 311/30 311/32 311/32 (72)発明者 石和 淳 東京都八王子市堀之内1432−1 東京薬 科大学 薬学部内 (72)発明者 佐藤 隆 東京都八王子市堀之内1432−1 東京薬 科大学 薬学部内 (72)発明者 三巻 祥浩 東京都八王子市堀之内1432−1 東京薬 科大学 薬学部内 (72)発明者 指田 豊 東京都八王子市堀之内1432−1 東京薬 科大学 薬学部内 (72)発明者 伊東 晃 東京都八王子市堀之内1432−1 東京薬 科大学 薬学部内 (56)参考文献 特開 平8−104628(JP,A) 特開 平7−25761(JP,A) 特開 昭49−110868(JP,A) 特開 昭50−102380(JP,A) 特開 平5−111365(JP,A) Anticancer Resear ch,18(3A),p.1435−1440 (1998May−Jun) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 31/35 C07D 311/00 - 311/32 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の一般式(I)で表されるポリアル
    コキシフラボノイドを含有する、マトリックスメタロプ
    ロテアーゼまたはその前駆体の産生を阻害するための薬
    剤。 【化1】 (式中、R1は水素原子または炭素数1〜6の低級アル
    キル基を表し、R2、R3およびR4は各々独立に水素原
    子または炭素数1〜6のアルコキシ基を表し、R5は炭
    素数1〜6の低級アルキル基を表す。)
  2. 【請求項2】 ポリアルコキシフラボノイドが下記の一
    般式(II)で表されるポリメトキシフラボノイドである
    請求項1記載の薬剤。 【化2】 (式中、R11は水素原子またはメチル基を表し、R12
    13およびR14は各々独立に水素原子またはメトキシ基
    を表す。)
  3. 【請求項3】 一般式(I)で表される化合物が、 5-
    デメチルノビレチン、タンゲレチン、ノビレチン、8-デ
    メトキシノビレチン、6-デメトキシタンゲレチンおよび
    6-デメトキシノビレチンからなる群より選択される請求
    項1記載の薬剤。
  4. 【請求項4】 マトリックスメタロプロテアーゼまたは
    その前駆体が、コラゲナーゼ群の酵素、ゼラチナーゼ群
    の酵素、ストロムライシン群の酵素、膜結合型マトリッ
    クスメタロプロテアーゼ群の酵素、マトリライシン、メ
    タロエラスターゼ、およびそれらの前駆体からなる群よ
    り選択される請求項1記載の薬剤。
  5. 【請求項5】 マトリックスメタロプロテアーゼ関連疾
    患の予防および/または治療薬として使用する請求項1
    記載の薬剤。
  6. 【請求項6】 マトリックスメタロプロテアーゼ関連疾
    患が、慢性関節リウマチ、変形性関節症、がん、動脈硬
    化症、動脈瘤、肝硬変、潰瘍、骨粗鬆症、肺線維症、糸
    球体腎炎、および歯周炎からなる群より選択される請求
    項5記載の薬剤。
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Cited By (4)

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