JP3003717B2 - 車両の後輪操舵装置 - Google Patents
車両の後輪操舵装置Info
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- JP3003717B2 JP3003717B2 JP10342991A JP10342991A JP3003717B2 JP 3003717 B2 JP3003717 B2 JP 3003717B2 JP 10342991 A JP10342991 A JP 10342991A JP 10342991 A JP10342991 A JP 10342991A JP 3003717 B2 JP3003717 B2 JP 3003717B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、4輪操舵車両の後輪操
舵装置に関するものであり、特に、車両制動時における
車両のスキッドまたはロックを防止するためのアンチス
キッドブレーキ制御システム、あるいは、車両の発進
時、急加速時における駆動輪の空転を防止するためのト
ラクション制御システムのようなスリップ制御装置を備
え、このスリップ制御装置の作動に伴って後輪転舵特性
を補正するように構成された4輪操舵車両において、上
記スリップ制御停止時における車両の走行安定性を確保
することができる後輪操舵装置に関する。
舵装置に関するものであり、特に、車両制動時における
車両のスキッドまたはロックを防止するためのアンチス
キッドブレーキ制御システム、あるいは、車両の発進
時、急加速時における駆動輪の空転を防止するためのト
ラクション制御システムのようなスリップ制御装置を備
え、このスリップ制御装置の作動に伴って後輪転舵特性
を補正するように構成された4輪操舵車両において、上
記スリップ制御停止時における車両の走行安定性を確保
することができる後輪操舵装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、前輪を転舵する前輪転舵機構
と、後輪を転舵する後輪転舵機構とを備え、前輪の転舵
角および車速に応じて後輪の転舵角を変化させ、低速走
行時では後輪を前輪に対して逆位相に転舵することによ
り小廻り性を向上させ、高速走行時では後輪を前輪に対
して同位相に転舵することにより、車両の横滑りを防止
して走行安定性を向上させるようにした車速感応型4輪
操舵車両が知られている。
と、後輪を転舵する後輪転舵機構とを備え、前輪の転舵
角および車速に応じて後輪の転舵角を変化させ、低速走
行時では後輪を前輪に対して逆位相に転舵することによ
り小廻り性を向上させ、高速走行時では後輪を前輪に対
して同位相に転舵することにより、車両の横滑りを防止
して走行安定性を向上させるようにした車速感応型4輪
操舵車両が知られている。
【0003】また、制動時における各車輪の回転速度の
落ちこみ状態を検出して、各車輪と路面との間の最大摩
擦力を確保するように各車輪のブレーキ装置に対する作
動油圧(ブレーキ液圧)を制御し、これによって急制動
時あるいは低μ路走行中の制動時に生じる車輪のスキッ
ドまたはロックを防止するように構成されたアンチスキ
ッドブレーキ制御システム(以下「ABS」と略称す
る)が知られている。
落ちこみ状態を検出して、各車輪と路面との間の最大摩
擦力を確保するように各車輪のブレーキ装置に対する作
動油圧(ブレーキ液圧)を制御し、これによって急制動
時あるいは低μ路走行中の制動時に生じる車輪のスキッ
ドまたはロックを防止するように構成されたアンチスキ
ッドブレーキ制御システム(以下「ABS」と略称す
る)が知られている。
【0004】さらに、発進時または急加速時における駆
動輪のスリップ状態を検出することにより、駆動輪と路
面との間の最大摩擦力を確保できるようにエンジンのス
ロットル開度と駆動輪のブレーキ装置に対する作動油圧
を制御し、これによって、発進時または急加速時におけ
る駆動輪の路面グリップ力を確保するように構成された
トラクション制御システム(以下「TRC」と略称す
る)が知られている。
動輪のスリップ状態を検出することにより、駆動輪と路
面との間の最大摩擦力を確保できるようにエンジンのス
ロットル開度と駆動輪のブレーキ装置に対する作動油圧
を制御し、これによって、発進時または急加速時におけ
る駆動輪の路面グリップ力を確保するように構成された
トラクション制御システム(以下「TRC」と略称す
る)が知られている。
【0005】またさらに、ABSを備えた4輪操舵車両
において、急制動時の車両の操安性を向上させるため
に、ABSの作動または非作動に基づいて、後輪転舵特
性を変更するように、ABSと後輪操舵装置との協調制
御を行なうものが提案されている。このような4輪転舵
車両の後輪操舵装置は、ABSの作動時に、車速等の関
数として定められた通常走行時の所定の後輪転舵特性を
同位相方向に補正することにより、急制動時の車両の尻
振りなどを防止するものである(例えば特開昭62−1
2471号公報参照)。
において、急制動時の車両の操安性を向上させるため
に、ABSの作動または非作動に基づいて、後輪転舵特
性を変更するように、ABSと後輪操舵装置との協調制
御を行なうものが提案されている。このような4輪転舵
車両の後輪操舵装置は、ABSの作動時に、車速等の関
数として定められた通常走行時の所定の後輪転舵特性を
同位相方向に補正することにより、急制動時の車両の尻
振りなどを防止するものである(例えば特開昭62−1
2471号公報参照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述のよう
な後輪操舵装置とスリップ制御装置との協調制御におい
ては、ABSの動作状態から路面μの高低を検出し、こ
の検出に基づいて後輪転舵特性を補正している。そして
ABSの作動が停止すると、路面状態の判定機能も停止
するため、ABSの作動停止とともに上記補正も解除し
ている。したがって摩擦係数μが頻繁に変化する路面を
走行中に制動を行なった場合、ABSの作動開始および
停止が頻繁に行なわれることになるから、そのたびに後
輪転舵特性が変更され、かえって車両の走行安定性が損
われるという問題があった。
な後輪操舵装置とスリップ制御装置との協調制御におい
ては、ABSの動作状態から路面μの高低を検出し、こ
の検出に基づいて後輪転舵特性を補正している。そして
ABSの作動が停止すると、路面状態の判定機能も停止
するため、ABSの作動停止とともに上記補正も解除し
ている。したがって摩擦係数μが頻繁に変化する路面を
走行中に制動を行なった場合、ABSの作動開始および
停止が頻繁に行なわれることになるから、そのたびに後
輪転舵特性が変更され、かえって車両の走行安定性が損
われるという問題があった。
【0007】本発明は上述の点に鑑みてなされたもの
で、後輪操舵装置とスリップ制御装置との協調制御を行
なっている車両において、スリップ制御装置の動作が停
止した場合の車両の走行安定性を確保することができる
後輪操舵装置を提供することを目的とする。
で、後輪操舵装置とスリップ制御装置との協調制御を行
なっている車両において、スリップ制御装置の動作が停
止した場合の車両の走行安定性を確保することができる
後輪操舵装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明では、A
BS、TRC等のスリップ制御装置の作動に伴って後輪
転舵特性を補正する第1の補正手段と、上記スリップ制
御装置の作動中における路面状態に応じて上記後輪転舵
特性を路面摩擦係数が低い程同位相方向に変更するよう
補正する第2の補正手段と、上記スリップ制御装置の作
動停止時に、上記第2の補正手段による補正状態を保持
する手段とを設けることによって上記課題を解決するも
のである。
BS、TRC等のスリップ制御装置の作動に伴って後輪
転舵特性を補正する第1の補正手段と、上記スリップ制
御装置の作動中における路面状態に応じて上記後輪転舵
特性を路面摩擦係数が低い程同位相方向に変更するよう
補正する第2の補正手段と、上記スリップ制御装置の作
動停止時に、上記第2の補正手段による補正状態を保持
する手段とを設けることによって上記課題を解決するも
のである。
【0009】請求項2の発明では、解除されずに保持さ
れた上記第2の補正手段による補正状態を、次回のスリ
ップ制御装置の作動開始に伴う路面状態判定によって更
新する手段を備えていることを特徴とする。さらに請求
項3の発明では、解除されずに保持された上記第2の補
正手段による補正状態を、車両旋回時の横加速度が所定
値以上になったとき解除する手段を備えていることを特
徴とする。
れた上記第2の補正手段による補正状態を、次回のスリ
ップ制御装置の作動開始に伴う路面状態判定によって更
新する手段を備えていることを特徴とする。さらに請求
項3の発明では、解除されずに保持された上記第2の補
正手段による補正状態を、車両旋回時の横加速度が所定
値以上になったとき解除する手段を備えていることを特
徴とする。
【0010】
【実施例】以下、図面を参照して、本発明の実施例につ
いて詳細に説明する。
いて詳細に説明する。
【0011】図1は本発明の実施例に係わる車輪の後輪
操舵装置を概略的に示す全体構成図である。図1におい
て、車両1の左右の前輪2FL、2FRは前輪操舵機構
Aにより連係され、また、左右の後輪2RL、2RRは
後輪操舵機構Bにより連係されている。
操舵装置を概略的に示す全体構成図である。図1におい
て、車両1の左右の前輪2FL、2FRは前輪操舵機構
Aにより連係され、また、左右の後輪2RL、2RRは
後輪操舵機構Bにより連係されている。
【0012】前輪操舵機構Aは、一対のナックルアーム
3FL、3FRおよびタイロッド4FL、4FRと、こ
れらタイロッド4FL、4FRを互いに連結しているリ
レーロッド5Fとから構成されている。前輪操舵機構A
には、リレーロッド5Fに連結されたラック(図示は省
略)とステアリングシャフト7に連結されたピニオン6
とを備えたラックアンドピニオン式のステアリング機構
Cが連係されており、前輪操舵機構Aは、ハンドル8の
操作変位量、すなわちハンドル舵角に応じてリレーロッ
ド5Fを左右方向に変位させ、左右の前輪2FL、2F
Rを転舵させるように構成されている。
3FL、3FRおよびタイロッド4FL、4FRと、こ
れらタイロッド4FL、4FRを互いに連結しているリ
レーロッド5Fとから構成されている。前輪操舵機構A
には、リレーロッド5Fに連結されたラック(図示は省
略)とステアリングシャフト7に連結されたピニオン6
とを備えたラックアンドピニオン式のステアリング機構
Cが連係されており、前輪操舵機構Aは、ハンドル8の
操作変位量、すなわちハンドル舵角に応じてリレーロッ
ド5Fを左右方向に変位させ、左右の前輪2FL、2F
Rを転舵させるように構成されている。
【0013】後輪操舵機構Bは、一対のナックルアーム
3RL、3RRおよびタイロッド4RL、4RRと、こ
れらタイロッド4RL、4RRを互いに連結しているリ
レーロッド5Rと、左右の後輪2RL、2RRを転舵さ
せるための駆動源として働くサーボモータ10と、サー
ボモータ10の駆動力をリレーロッド5Rに伝達するた
めの連係機構11とを備えており、サーボモータ10を
正転または逆転させることにより、連係機構11を介し
てリレーロッド5Rを左右方向に変位させて、左右の後
輪2RL、2RRを転舵させるように構成されている。
3RL、3RRおよびタイロッド4RL、4RRと、こ
れらタイロッド4RL、4RRを互いに連結しているリ
レーロッド5Rと、左右の後輪2RL、2RRを転舵さ
せるための駆動源として働くサーボモータ10と、サー
ボモータ10の駆動力をリレーロッド5Rに伝達するた
めの連係機構11とを備えており、サーボモータ10を
正転または逆転させることにより、連係機構11を介し
てリレーロッド5Rを左右方向に変位させて、左右の後
輪2RL、2RRを転舵させるように構成されている。
【0014】また、後輪操舵機構Bは、連係機構11に
介装されてサーボモータ10とリレーロッド5Rとの連
係を解除するためのクラッチ12と、リレーロッド5R
と車体との間に介装されてリレーロッド5Rを常時中立
方向に付勢しているスプリング9aよりなる中立保持手
段9とを備えたフェイルセイフ機構を備えており、サー
ボモータ10の故障時等のフェイル時には、クラッチ1
2を解放して、中立保持手段9によりリレーロッド5R
を強制的に中立位置に保持し、これによって、車両を通
常の前輪操舵車両として運転しうるように構成されてい
る。
介装されてサーボモータ10とリレーロッド5Rとの連
係を解除するためのクラッチ12と、リレーロッド5R
と車体との間に介装されてリレーロッド5Rを常時中立
方向に付勢しているスプリング9aよりなる中立保持手
段9とを備えたフェイルセイフ機構を備えており、サー
ボモータ10の故障時等のフェイル時には、クラッチ1
2を解放して、中立保持手段9によりリレーロッド5R
を強制的に中立位置に保持し、これによって、車両を通
常の前輪操舵車両として運転しうるように構成されてい
る。
【0015】また、車両1には、ハンドル舵角を検出す
るための舵角センサ13と、車速を検出するための車速
センサ14と、サーボモータ10の回転位置を検出する
ためのエンコーダ17と、リレーロッド5Rの変位を検
出するための後輪舵角センサ18とが設けられている。
さらに、舵角センサ13、車速センサ14、エンコーダ
17および後輪舵角センサ18の検出結果が入力される
コントロールユニットU1が設けられ、コントロールユ
ニットU1は上記センサの検出結果に基づいてサーボモ
ータ10の回転を制御するようになっている。
るための舵角センサ13と、車速を検出するための車速
センサ14と、サーボモータ10の回転位置を検出する
ためのエンコーダ17と、リレーロッド5Rの変位を検
出するための後輪舵角センサ18とが設けられている。
さらに、舵角センサ13、車速センサ14、エンコーダ
17および後輪舵角センサ18の検出結果が入力される
コントロールユニットU1が設けられ、コントロールユ
ニットU1は上記センサの検出結果に基づいてサーボモ
ータ10の回転を制御するようになっている。
【0016】すなわち、コントロールユニットU1は、
車速感応式の後輪転舵制御装置を内蔵しており、後輪転
舵制御装置は、所定の転舵比特性に基づいて前輪2F
L、2FRに対する後輪2RL、2RRの転舵比を、車
速センサ14によって検出された車速Vの関数とする所
定の転舵比特性をもって設定するとともに、設定された
後輪転舵比K=θR/θF(θFは前輪転舵角、θRは後輪
転舵角)と舵角センサ13により検出されたハンドル舵
角θHとに基づいて目標後輪転舵角を設定する。
車速感応式の後輪転舵制御装置を内蔵しており、後輪転
舵制御装置は、所定の転舵比特性に基づいて前輪2F
L、2FRに対する後輪2RL、2RRの転舵比を、車
速センサ14によって検出された車速Vの関数とする所
定の転舵比特性をもって設定するとともに、設定された
後輪転舵比K=θR/θF(θFは前輪転舵角、θRは後輪
転舵角)と舵角センサ13により検出されたハンドル舵
角θHとに基づいて目標後輪転舵角を設定する。
【0017】コントロールユニットU1は、このように
して設定された目標後輪転舵角に基づき、サーボモータ
駆動回路を介してサーボモータ10を作動させ、エンコ
ーダ17によって検出されるサーボモータ10の回転位
置および後輪舵角センサ18によって検出されるリレー
ロッド5Rの変位を後輪転舵制御装置により監視しつ
つ、後輪2RL、2RRを転舵させるようになってい
る。
して設定された目標後輪転舵角に基づき、サーボモータ
駆動回路を介してサーボモータ10を作動させ、エンコ
ーダ17によって検出されるサーボモータ10の回転位
置および後輪舵角センサ18によって検出されるリレー
ロッド5Rの変位を後輪転舵制御装置により監視しつ
つ、後輪2RL、2RRを転舵させるようになってい
る。
【0018】次に図2は、図1に示す車両に搭載された
アンチスキッドブレーキ制御システムの概要を示す全体
構成図である。
アンチスキッドブレーキ制御システムの概要を示す全体
構成図である。
【0019】図2において、車両1の左右の前輪2F
L、2FRおよび左右の後輪2RL、2RRには、各車
輪と一体的に回転するディスクロータ23aと、制動油
圧(ブレーキ液圧)が供給されたときに各ディスクロー
タ23aの回転を制動するキャリバ23bとを有するブ
レーキ装置23がそれぞれ配置されている。
L、2FRおよび左右の後輪2RL、2RRには、各車
輪と一体的に回転するディスクロータ23aと、制動油
圧(ブレーキ液圧)が供給されたときに各ディスクロー
タ23aの回転を制動するキャリバ23bとを有するブ
レーキ装置23がそれぞれ配置されている。
【0020】車両1は、制動操作時、すなわち、ブレー
キペダル踏みこみ時に、各ブレーキ装置23に対する制
動油圧を個々に可変調整するように構成されたABSを
備えており、このABSは、車両1の減速度を検出する
ための加速度センサ24と、各車輪にそれぞれ設けられ
て、各車輪速度をそれぞれ検出する車輪速度センサ25
と、これら各センサ24、25の検出結果が入力される
コントロールユニットU2と、コントロールユニットU
2から出力される制御信号に基づいて各ブレーキ装置2
3に供給される制動油圧を可変制御する油圧制御弁26
と、これら油圧制御弁26に対して所定の圧力に設定さ
れたブレーキ液を供給するための油圧ユニット(図示は
省略)とから構成されている。
キペダル踏みこみ時に、各ブレーキ装置23に対する制
動油圧を個々に可変調整するように構成されたABSを
備えており、このABSは、車両1の減速度を検出する
ための加速度センサ24と、各車輪にそれぞれ設けられ
て、各車輪速度をそれぞれ検出する車輪速度センサ25
と、これら各センサ24、25の検出結果が入力される
コントロールユニットU2と、コントロールユニットU
2から出力される制御信号に基づいて各ブレーキ装置2
3に供給される制動油圧を可変制御する油圧制御弁26
と、これら油圧制御弁26に対して所定の圧力に設定さ
れたブレーキ液を供給するための油圧ユニット(図示は
省略)とから構成されている。
【0021】コントロールユニットU2は、車輪速度セ
ンサ25によって検出される各車輪2FL、2FR、2
RL、2RRの回転速度のうちの所定の車輪の回転速
度、例えば最も速い車輪の回転速度に基づいて、車輪と
路面とが最適の制動力を生じさせるような、車速Vに対
して所定のスリップ率を有する基準回転速度を設定し、
この基準回転速度と各車輪速度センサ25により検出さ
れた各車輪の回転速度とを比較して、各車輪のスキッド
またはロックを防止するように、油圧制御弁26により
各車輪に対するブレーキ液圧を制御する。
ンサ25によって検出される各車輪2FL、2FR、2
RL、2RRの回転速度のうちの所定の車輪の回転速
度、例えば最も速い車輪の回転速度に基づいて、車輪と
路面とが最適の制動力を生じさせるような、車速Vに対
して所定のスリップ率を有する基準回転速度を設定し、
この基準回転速度と各車輪速度センサ25により検出さ
れた各車輪の回転速度とを比較して、各車輪のスキッド
またはロックを防止するように、油圧制御弁26により
各車輪に対するブレーキ液圧を制御する。
【0022】一方、ABSのコントロールユニットU2
からは、図1および図2に示すように、後輪操舵装置の
コントロールユニットU1に対して、ABSの作動状態
および路面μの状態を示す信号Sが出力されており、コ
ントロールユニットU1は、各ブレーキ装置23のAB
S作動状態および制御状態に応じて、前輪2FL、2F
Rに対する後輪2RL、2RRの転舵比特性を設定変更
するように構成されている。
からは、図1および図2に示すように、後輪操舵装置の
コントロールユニットU1に対して、ABSの作動状態
および路面μの状態を示す信号Sが出力されており、コ
ントロールユニットU1は、各ブレーキ装置23のAB
S作動状態および制御状態に応じて、前輪2FL、2F
Rに対する後輪2RL、2RRの転舵比特性を設定変更
するように構成されている。
【0023】図3は、コントロールユニットU1が内蔵
する後輪転舵制御装置により設定される転舵比特性を示
す線図である。図3において、曲線IはABSが作動し
ていない状態で、車速Vに基づいて設定される通常の転
舵比特性を示し、曲線IIはABS作動により通常の転舵
比Kが一定値である補正値KAにより補正された状態を
示す。なおこの補正値KAは、後輪駆動車(FR車)に
おいては正の値であり、したがって曲線IIは図3に示す
ように曲線Iの転舵比Kよりも同相側に補正された状態
となるが、前輪駆動車(FF車)においては補正値KA
を負の値として、曲線Iの転舵比Kよりも逆相側に補正
される。
する後輪転舵制御装置により設定される転舵比特性を示
す線図である。図3において、曲線IはABSが作動し
ていない状態で、車速Vに基づいて設定される通常の転
舵比特性を示し、曲線IIはABS作動により通常の転舵
比Kが一定値である補正値KAにより補正された状態を
示す。なおこの補正値KAは、後輪駆動車(FR車)に
おいては正の値であり、したがって曲線IIは図3に示す
ように曲線Iの転舵比Kよりも同相側に補正された状態
となるが、前輪駆動車(FF車)においては補正値KA
を負の値として、曲線Iの転舵比Kよりも逆相側に補正
される。
【0024】さらに図3の曲線IIIは、ABS作動時に
おける路面状態に応じて変更される補正値KBにより、
曲線IIよりも同相側に転舵比が補正された状態を示す。
この補正値KBは、図4に示すように、ABS作動時に
おける車輪速度の落ちこみ状態に基づいてコントロール
ユニットU2により判定される路面μの関数として設定
される。図4は、制動時の車体減速度が例えば−0.2G
に相当する路面μの値よりも高μ路であれば補正値KB
はゼロとなることを示している。このようにして補正さ
れたABS作動時の転舵比KTは、FR車の場合、KT=
K+KA+KBとなり、FF車の場合はKT=K−KA+K
Bとなるが、通常の場合、KAの絶対値はKBよりも小さ
い。
おける路面状態に応じて変更される補正値KBにより、
曲線IIよりも同相側に転舵比が補正された状態を示す。
この補正値KBは、図4に示すように、ABS作動時に
おける車輪速度の落ちこみ状態に基づいてコントロール
ユニットU2により判定される路面μの関数として設定
される。図4は、制動時の車体減速度が例えば−0.2G
に相当する路面μの値よりも高μ路であれば補正値KB
はゼロとなることを示している。このようにして補正さ
れたABS作動時の転舵比KTは、FR車の場合、KT=
K+KA+KBとなり、FF車の場合はKT=K−KA+K
Bとなるが、通常の場合、KAの絶対値はKBよりも小さ
い。
【0025】本実施例では、ABSが停止した場合、補
正値KAによる補正は直ちに解除されるが、路面μ判定
に基づく補正値KBによる補正は解除されずにABS作
動停止時のKBの値がそのまま保持され、次回のABS
作動開始に伴う路面μの判定によって更新されるように
なっている。しかしながら、補正値KBは、車両旋回時
の横加速度(横G)の絶対値が、現在認識されている路
面μの値からは考えられない値(例えば0.3G)以上と
なったとき、キャンセルされるようになっている。
正値KAによる補正は直ちに解除されるが、路面μ判定
に基づく補正値KBによる補正は解除されずにABS作
動停止時のKBの値がそのまま保持され、次回のABS
作動開始に伴う路面μの判定によって更新されるように
なっている。しかしながら、補正値KBは、車両旋回時
の横加速度(横G)の絶対値が、現在認識されている路
面μの値からは考えられない値(例えば0.3G)以上と
なったとき、キャンセルされるようになっている。
【0026】次にコントロールユニットU1による後輪
転舵特性の補正ルーチンについて、図5のフローチャー
トを参照して説明する。
転舵特性の補正ルーチンについて、図5のフローチャー
トを参照して説明する。
【0027】図5において、まずステップS1で車速セ
ンサ14の出力から車速Vを読みこみ、ステップS2で
この車速Vに対応する転舵比Kを設定する。次のステッ
プS3ではABSが作動されたか否かを調べ、ABSが
作動していなければ直接ステップS8へ進んで転舵比K
T=Kとして演算を実行する。次にステップS3におい
てABSが作動されたと判定された場合は、ステップS
4で一定の補正値KAを設定し、かつステップS5で路
面μを読みこみ、ステップS6で図4のマップからμの
関数としての補正値KBを設定する。次のステップS7
ではABSの作動が停止したか否かを調べ、ABSが作
動中であれば、ステップS8で転舵比KTを式KT=K±
KA+KBにより演算する。一方、ステップS7において
ABSの作動が停止したと判定されたときにはステップ
S9へ進み、補正値KAをキャンセルするとともに、ス
テップS10で横Gの絶対値が所定値GO以上になった
か否かを調べ、横Gの絶対値が所定値GO未満であれば
ステップS8で転舵比KT=K+KBとして演算する。そ
してこの補正値KBの値は、次回のABS作動開始時に
おけるステップS6のμ判定に基づいて更新される。ま
た、ステップS10の判定で、横Gの絶対値が所定値G
O以上となったことが検出されたときは、車両の走行が
安定状態にあるとしてステップS11で補正値KBをキ
ャンセルする。したがってステップS8における演算で
はKT=Kとなる。
ンサ14の出力から車速Vを読みこみ、ステップS2で
この車速Vに対応する転舵比Kを設定する。次のステッ
プS3ではABSが作動されたか否かを調べ、ABSが
作動していなければ直接ステップS8へ進んで転舵比K
T=Kとして演算を実行する。次にステップS3におい
てABSが作動されたと判定された場合は、ステップS
4で一定の補正値KAを設定し、かつステップS5で路
面μを読みこみ、ステップS6で図4のマップからμの
関数としての補正値KBを設定する。次のステップS7
ではABSの作動が停止したか否かを調べ、ABSが作
動中であれば、ステップS8で転舵比KTを式KT=K±
KA+KBにより演算する。一方、ステップS7において
ABSの作動が停止したと判定されたときにはステップ
S9へ進み、補正値KAをキャンセルするとともに、ス
テップS10で横Gの絶対値が所定値GO以上になった
か否かを調べ、横Gの絶対値が所定値GO未満であれば
ステップS8で転舵比KT=K+KBとして演算する。そ
してこの補正値KBの値は、次回のABS作動開始時に
おけるステップS6のμ判定に基づいて更新される。ま
た、ステップS10の判定で、横Gの絶対値が所定値G
O以上となったことが検出されたときは、車両の走行が
安定状態にあるとしてステップS11で補正値KBをキ
ャンセルする。したがってステップS8における演算で
はKT=Kとなる。
【0028】以上がABSを備えた4輪操舵車両におけ
るABS作動開始および作動停止に伴う後輪転舵特性の
補正および補正解除の制御ルーチンであり、ABS作動
停止時における車両の走行安定性を確保することができ
る。なお、TRCを備えた4輪操舵車両においても、同
様の後輪転舵特性の補正および補正解除を行なうことが
できる。
るABS作動開始および作動停止に伴う後輪転舵特性の
補正および補正解除の制御ルーチンであり、ABS作動
停止時における車両の走行安定性を確保することができ
る。なお、TRCを備えた4輪操舵車両においても、同
様の後輪転舵特性の補正および補正解除を行なうことが
できる。
【0029】
【発明の効果】本発明による車両の後輪操舵装置は、ス
リップ制御装置の作動に伴って判定される路面状態に応
じた後輪転舵特性の補正を、スリップ制御装置の作動停
止時には解除せずにその補正状態を保持し、車両走行状
態が安定化した場合のみ、上記補正を解除するようにし
ているので、スリップ制御装置の作動が停止しても後輪
転舵比特性は大きく変化せず、したがって車両挙動の変
化を防止して走行安定性を確保することができる。
リップ制御装置の作動に伴って判定される路面状態に応
じた後輪転舵特性の補正を、スリップ制御装置の作動停
止時には解除せずにその補正状態を保持し、車両走行状
態が安定化した場合のみ、上記補正を解除するようにし
ているので、スリップ制御装置の作動が停止しても後輪
転舵比特性は大きく変化せず、したがって車両挙動の変
化を防止して走行安定性を確保することができる。
【図1】本発明の実施例に係る車両の後輪操舵装置を概
略的に示す全体構成図である。
略的に示す全体構成図である。
【図2】図1に示す車両に搭載されたアンチスキッドブ
レーキ制御システムの概要を示す全体構成図である。
レーキ制御システムの概要を示す全体構成図である。
【図3】図1に示す後輪操舵装置において設定される転
舵比特性を示す線図である。
舵比特性を示す線図である。
【図4】路面μに対応する転舵比補正値を示すマップで
ある。
ある。
【図5】ABSの作動開始および作動停止に伴う後輪転
舵特性の補正および補正解除の制御ルーチンを示すフロ
ーチャートである。
舵特性の補正および補正解除の制御ルーチンを示すフロ
ーチャートである。
1 車両 2FL 左前輪 2FR 右前輪 2RL 左後輪2RR 右後輪 9 中立保持手段 10 サーボモータ 13 ハンドル舵角センサ 14 車速センサ 18 後輪舵角センサ 23 ブレーキ装置 24 加速度センサ 25 車輪速度センサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 村井 健 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツ ダ株式会社内 (72)発明者 能田 裕行 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツ ダ株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−126673(JP,A) 特開 昭62−241775(JP,A) 特開 昭62−238171(JP,A) 特開 昭62−12471(JP,A) 特開 平1−109181(JP,A) 特開 昭62−71761(JP,A) 特開 平1−215673(JP,A)
Claims (3)
- 【請求項1】 車両制動時における車輪のスキッドまた
はロックを防止するためのアンチスキッドブレーキ制御
システム等のスリップ制御装置を備えた4輪操舵車両の
後輪操舵装置において、 上記スリップ制御装置の作動に伴って後輪転舵特性を補
正する第1の手段と、 上記スリップ制御装置の作動中における路面状態に応じ
て上記後輪転舵特性を路面摩擦係数が低い程同位相方向
に変更するよう補正する第2の補正手段と、 上記スリップ制御装置の作動停止時に、上記第2の補正
手段による補正状態を保持する手段とを備えていること
を特徴とする車両の後輪操舵装置。 - 【請求項2】 上記第2の補正手段による補正を、次回
のスリップ制御装置の作動開始に伴う路面状態判定によ
って更新する手段を備えていることを特徴とする請求項
1記載の車両の後輪操舵装置。 - 【請求項3】 上記第2の補正手段による補正を、車両
旋回時の横加速度が所定値以上になったとき解除する手
段を備えていることを特徴とする請求項1記載の車両の
後輪操舵装置。
Priority Applications (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10342991A JP3003717B2 (ja) | 1991-04-09 | 1991-04-09 | 車両の後輪操舵装置 |
KR1019920005811A KR960005851B1 (ko) | 1991-04-09 | 1992-04-08 | 4륜조타차량의 후륜조타장치 |
DE69206025T DE69206025T2 (de) | 1991-04-09 | 1992-04-09 | Hinterradlenkung für ein Fahrzeug mit Vierradlenkung. |
EP92106178A EP0508431B1 (en) | 1991-04-09 | 1992-04-09 | Rear wheel turning system for four-wheel-steered vehicle |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10342991A JP3003717B2 (ja) | 1991-04-09 | 1991-04-09 | 車両の後輪操舵装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04310472A JPH04310472A (ja) | 1992-11-02 |
JP3003717B2 true JP3003717B2 (ja) | 2000-01-31 |
Family
ID=14353797
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10342991A Expired - Fee Related JP3003717B2 (ja) | 1991-04-09 | 1991-04-09 | 車両の後輪操舵装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3003717B2 (ja) |
-
1991
- 1991-04-09 JP JP10342991A patent/JP3003717B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH04310472A (ja) | 1992-11-02 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |