JP3001002U - 高速駆動装置に適した回転運動可能な工具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 工具の冷却の改善を可能にする。 【構成】 工具ヘッド３が、冷却媒体に用いられる、盲
孔として形成された中央の流入通路４を備えており、該
流入通路を起点にして、工具ヘッドの作業面に開口する
複数の流出通路５が延びている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、高速駆動装置に適した回転運動可能な工具であって、該工具に外部 から冷却媒体が供給可能であり、工具の一方の端部が、駆動装置に設けられた適 当なチャック装置に工具を保持するためのシャンクを有しており、工具の他方の 端部が、アクティブな作業面を備えた工具ヘッドを有している形式のものに関す る。

【０００２】

【従来の技術】

比較的大きな切削加工出力が要求される工具、または極めて高い回転数によっ て運転される工具は、充分に冷却されなければならない。このために、通常では 、適当な冷却媒体、一般に水またはいわゆる「穿孔水」（Ｂｏｈｒｗａｓｓｅｒ ）が工具に案内されて、これにより、加工しようとする面と、工具の作業面とが 冷却される。

【０００３】 ドイツ民主共和国特許第２６７６９２号明細書に基づき、フライスのカッタヘ ッドのような比較的大きな直径を有する、回転式の切削加工用工具のカッティン グエッジを冷却することが公知である。この場合、冷却媒体は、工具の背面から 意図的に環状室内に噴射される。この環状室には、半径方向に延びるウェブが設 けられていて、これらのウェブは工具の回転方向で見て、それぞれ供給通路の入 口開口の背後で前記環状室に突入している。引き続き冷却媒体は、前記環状室か ら複数の通路を介してさらに搬送される。これらの通路はシャンクから斜め外方 に向かって、周面に配置されたカッティングエッジにまで延びている。つまりこ の流入個所は、これらのカッティングエッジにおける流出個所よりも小さな直径 を有している。横断面が狭められ、しかも、工具の回転時における遠心力によっ て助成されることに基づき、圧力増大が生じる。この高められた圧力は冷却媒体 を外方に向かって駆出する。このような形式の冷却媒体案内は比較的手間がかか り、比較的大きな直径の工具にしか適さず、さらに、その構造に基づき一方の回 転方向にしか適さない。

【０００４】 さらに冷却通路付き穿孔器において、穿孔器の主カッティングエッジを連続的 に冷却することが公知である（「Ｔｅｃｈｎｉｃａ」 ２０／１９８０、第１７ ６２頁）。この場合、工具シャンクから、冷却液体が圧力下に、カッティングエ ッジ範囲に案内される。冷却液の供給は、シャンク端部に配置された環状供給部 を介して行なわれる。この環状供給部は、穿孔器の内部冷却通路に冷却液を案内 し、ひいては冷却液をカッティングエッジ範囲に直接案内する。または別の可能 性では、シャンクが中央の供給通路と、この供給通路を起点として延びる側方の 通路とを備えており、その側方の通路を介して冷却液がカッティングエッジ範囲 に案内される。この場合でも、冷却媒体は、内部に位置する通路を介して供給さ れる。

【０００５】 冒頭で述べた形式の工具、つまり冷却媒体の外部供給を行なうような工具が、 穿孔やフライス加工や研削や研磨のために使用されて、最大３０００００ｒｐｍ の回転数域で運転されるような歯科分野では、工具と形成個所とを冷却するため に、一般に、水・空気混合物が供給される。この水・空気混合物は、工具により 渦流が生ぜしめられることに基づき、工具先端の周りに微細な霧状体を形成する 。

【０００６】 慣用の構造の工具の場合には、特に工具が比較的大きな負荷を受けると、充分 な冷却作用が保証されず、これにより、工具の早期の摩耗および／または加工し ようとする材料の許容し得ない程の過熱が生ぜしめられるおそれがある。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】

したがって、本考案の課題は、冒頭で述べた形式の、高速駆動装置に適した回 転運動可能な工具を改良して、上記欠点を取り除き、工具の冷却の改善が可能と なるような工具を提供することである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

この課題を解決するために本考案の構成では、工具ヘッドが、冷却媒体に用い られる、盲孔として形成された中央の流入通路を備えており、該流入通路を起点 にして、工具ヘッドの作業面に開口する複数の流出通路が延びているようにした 。

【０００９】

【考案の効果】

本考案によれば、回転数が高い場合、つまり、工具の高回転時に、作業範囲に おいて、ポンプ作用を生ぜしめる吐出・吸込み範囲が形成される。回転数が高い 場合には、供給された冷却媒体を工具の中央に配置された流入通路で吸込み、か つ半径方向外側に向かって延びる流出通路または斜め外方に向かって延びる流出 通路を介してこの冷却媒体を再び流出させるような空気流が生ぜしめられる。こ れにより、内部からの極めて良好な工具冷却が達成される。さらに、工具の作業 面（カッティングエッジ）が、作業面の範囲で流出通路から流出する冷却媒体に よって冷却される。この冷却作用は、工具の回転数が高くなれば高くなるほど一 層有効となる。

【００１０】

【実施例】

図１は、本考案による工具の第１実施例の縦断面を部分的に示している。この 工具１は、特に歯科用器具に用いられるのに適しており、円筒形のシャンク２を 有している。このシャンクは公知の形式で、駆動装置に設けられた適当なチャッ ク装置に差込み可能である。この工具１は、シャンク２とは反対側に、円錐形の 工具ヘッド３を有している。この工具ヘッドは、盲孔として形成された中央の流 入通路４と、この流入通路に接続された、半径方向外側に向かって延びる複数の 流出通路５とを有している。図面から判るように、これらの流出通路５は、工具 長手方向軸線に対して横方向に延びる複数の平面内に位置していて、回転時にア ンバランスが生じないように工具ヘッド周面に配置されている。工具ヘッド３の 周面で各平面に複数の流出通路が設けられていると有利である。

【００１１】 図２は、本考案による工具の第２実施例を示している。この工具はボール状の 工具ヘッド６を備えている。この工具ヘッドはやはり中央の流入通路７を有して いる。この流入通路は、工具ヘッドのほぼ真ん中に設けられた、横方向に延びる 貫通した流出通路８に接続されている。

【００１２】 図４は、本考案による工具の第３実施例を示している。この工具は円筒形の工 具ヘッド９を備えている。この工具ヘッドもやはり中央に位置する流入通路１０ を有している。この流入通路は、工具ヘッドの上側部分に配置された３つの流出 通路１１と、工具軸線に対して任意の角度を成して延びる（この実施例では斜め 下方に向けられている）３つの流出通路１２とに接続されている。これらの流出 通路１１，１２は、回転時にアンバランスが生じないように配置されている。

【００１３】 図６および図７は、本考案による工具のさらに別の有利な実施例の横断面を示 している。図４および図５に示した実施例と同様に、これらの実施例の工具もカ ッティングエッジを備えている。これらの実施例の特徴は、流出通路１７，１８ が、工具ヘッドの中央に配置された流入通路１５，１６に対して中心軸線が互い に交差するように延びているのではなく、これらの流入通路を起点として流入通 路に対して接線方向で延びていることである。図７に示した実施例の場合には、 流出通路は湾曲して配置されている。この湾曲部分は、矢印で示した回転方向１ ９とは逆向きになるように形成されている。これにより図６に示した実施例に比 べて、冷却媒体のより良好な流出が達成され、ひいては、より効果的な洗浄作用 が達成される。

【００１４】 これらの実施例は、外側の作業面の冷却と相俟って、効果的な内部冷却が行な われる工具を例示するための１実施例にすぎない。図３に示したダイヤモンド被 覆された作業面１３を有する工具の場合でも、カッティングエッジ（図４および 図５における作業面１４、ならびに図６および図７における作業面）を備えた工 具の場合でも、前記利点が得られる。

【００１５】 ここで述べた利点は、この工具を特に歯科分野において使用する場合に、つま り歯科用穿孔器駆動装置のために用いられるような工具において得られる。しか しながら、本考案による工具の使用は、このような使用分野限定されるものでは ない。本考案による工具は、他の分野において使用される工具のために用いられ ても有利である。したがって、本考案による工具の冷却は、工作機械において、 例えば高周波スピンドルに用いられる工具においても実施することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案による工具の第１実施例を示した図であ
る。

【図２】本考案による工具の第２実施例を示した図であ
る。

【図３】図２のＩＩＩ−ＩＩＩ線に沿って示した横断面
図である。

【図４】図５のＩＶ−ＩＶ線に沿って示した第３実施例
の縦断面図である。

【図５】図４に示した実施例の横断面図である。

【図６】本考案による工具の別の実施例を示した横断面
図である。

【図７】本考案による工具のさらに別の実施例を示した
横断面図である。

【符号の説明】

１ 工具、 ２ シャンク、 ３ 工具ヘッド、 ４
流入通路、 ５ 流出通路、 ６ 工具ヘッド、 ７
流入通路、 ８ 流出通路、 ９ 工具ヘッド、 １０
流入通路、 １１，１２ 流出通路、 １３，１４
作業面、 １５，１６ 流入通路、 １７，１８ 流出
通路、 １９ 回転方向

Claims (9)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 高速駆動装置に適した回転運動可能な工
   具であって、該工具に外部から冷却媒体が供給可能であ
   り、工具の一方の端部が、駆動装置に設けられた適当な
   チャック装置に工具を保持するためのシャンク(２)を有
   しており、工具の他方の端部が、アクティブな作業面
   （１３，１４）を備えた工具ヘッド（３，６，９）を有
   している形式のものにおいて、工具ヘッド(３，６，９)
   が、冷却媒体に用いられる、盲孔として形成された中央
   の流入通路（４，７，１０，１５，１６）を備えてお
   り、該流入通路を起点にして、工具ヘッドの前記作業面
   （１３，１４）に開口する複数の流出通路（５，８，１
   １，１２，１７，１８）が延びていることを特徴とす
   る、高速駆動装置に適した回転運動可能な工具。
2. 【請求項２】 工具ヘッド（３，９）の周面に、シャン
   ク長手方向軸線に対して横方向に延びる複数の流出通路
   （５，８，１１，１２，１７，１８）が設けられてい
   る、請求項１記載の工具。
3. 【請求項３】 流出通路（５）が、シャンク長手方向軸
   線に対して横方向に延びる複数の平面に分配されて配置
   されている、請求項２記載の工具。
4. 【請求項４】 流出通路（１２）の少なくとも１部が、
   工具軸線に対して９０°とは異なる角度を成して配置さ
   れている、請求項１から３までのいずれか１項記載の工
   具。
5. 【請求項５】 流出通路（１７，１８）が流入通路（１
   ５，１６）を起点として該流入通路に対して接線方向に
   延びている、請求項１から３までのいずれか１項記載の
   工具。
6. 【請求項６】 流出通路（１７，１８）が、工具の回転
   方向とは逆向きに湾曲して配置されている、請求項５記
   載の工具。
7. 【請求項７】 流出通路（８）が、工具ヘッド（６，
   ９）を横断する通路として形成されている、請求項１か
   ら４までのいずれか１項記載の工具。
8. 【請求項８】 流出通路（５，８，１１，１２）が孔に
   よって形成されている、請求項１から７までのいずれか
   １項記載の工具。
9. 【請求項９】 前記工具が、歯科用駆動装置のための穿
   孔用工具、フライス加工用工具または研削用工具として
   使用されるようになっている、請求項１から８までのい
   ずれか１項記載の工具。