JP2999847B2 - 非水系電解液電池 - Google Patents

非水系電解液電池

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竜司 大下
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  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、正極と、リチウムを活
物質とする負極と、非水系電解液とを備えた非水系電解
液電池に関り、特にその非水系電解液の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】負極活物質としてリチウムを用いるリチ
ウム電池は、特に高エネルギー密度を有するために注目
されており、活発な研究が行われている。
【0003】この種電池の正極材料としてはマンガン等
の金属酸化物が主に用いられるが、これらの電圧は通常
3V以上と非常に高く、しかもそれらの金属酸化物自身
が一種の触媒作用を有していることから、特に正極上で
の電解液の分解反応が起こり易い。その結果、正極や負
極表面にそれらの重合物や分解生成物などが付着し、電
池を長期保存した場合に電池の内部インピーダンスが上
昇し放電特性が低下したり、二次電池のサイクル特性の
劣化を引き起こすなどの問題がある。従って高電圧を持
つ正極と電解液との反応を抑制することはこの種電池の
実用化において重要な課題となっている。
【0004】従来、この種電池の電解液に用いられる有
機溶媒としては1,2−ジメトキシエタン(DME)、
テトラヒドロフラン(THF)、1,3−ジオキソラン
(DOXL)などの低粘度エーテル系溶媒や、プロピレ
ンカーボネート(PC)、γ−ブチロラクトン(γ−B
L)などの環状エステルあるいは環状ラクトン等がある
が、上記のような問題を解決する目的で、例えば2−メ
チル−テトラヒドロフラン(2Me−THF)や4−メ
チル−1,3−ジオキソラン(4Me−DOXL)など
のように、エーテル系溶媒の一部を置換した誘導体など
を用いることが提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】然し乍ら、上述したよ
うな方法でも十分に有効な手段とは言い難く、特に高電
圧となる正極側では電解液の分解反応が起こり易い。し
かも、電池が過充電された場合には正極上でガス発生等
を伴った電解液の分解反応が一気に進行し、電池性能を
大きく劣化させるばかりでなく安全性の点でも問題とな
る。
【0006】そこで本発明は、この種電池に使用される
電解液の分解反応を抑制し、電池の保存特性や、二次電
池の充放電サイクル特性を向上させると同時に、電池が
過充電された場合でも性能を劣化させることなく安全性
を確保できるような耐酸化性に優れた電解液を提案する
ものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、正極と、リチ
ウムを活物質とする負極と、少なくとも1種類のビピリ
ジン類を含む非水系電解液とから構成されている。
【0008】
【作用】本発明のように、ビピリジン類を含む電解液を
使用すると、上記した電解液に関する諸問題が改善さ
れ、保存等による電池の内部インピーダンスの上昇が抑
えられると共に、サイクル特性も向上する。
【0009】また、電池が過充電された場合にも急激な
電池電圧の上昇やそれに伴う電解液の分解によるガス発
生などがほぼ完全に抑えられ、極めて信頼性の高い非水
電解液電池を実現することができる。
【0010】
【実施例】以下に、本発明の実施例につき詳述する。
【0011】[実施例1]図1は本発明を扁平形非水系
電解液二次電池に応用した場合の断面図を示している。
【0012】リチウム金属からなる負極2は負極集電体
7の内面に圧着されており、この負極集電体7はフェラ
イト系ステンレス鋼(SUS430)からなる断面略コ
字状の負極缶5の内底面に固着されている。
【0013】上記負極缶5の周端はポリプロピレン製の
絶縁パッキング8の内部に固定されており、絶縁パッキ
ング8の外周にはステンレスからなり、上記負極缶5と
は反対方向に断面略コ字状をなす正極缶4が固定されて
いる。この正極缶4の内底面には正極集電体6が固定さ
れており、この正極集電体6の内面には正極1が固定さ
れている。この正極1と上記負極2との間には、本発明
の骨子とする電解液が含浸されたセパレータ3が介装さ
れている。
【0014】ところで上記負極1は、予めリチウムを含
有させたマンガン酸化物と、導電剤としてのアセチレン
・ブラックと、結着剤としてのフッ素樹脂とを85:1
0:5の重量比で混合して使用したものを加圧成形し、
250〜350℃で熱処理して作製した。一方、上記負
極は2はリチウム圧延板を所定寸法に打ち抜くことによ
り作製した。そして、EC(エチレンカーボネート)と
PCとDMEの混合溶媒(体積比で4:4:2)に、溶
質としてLiCF3SO3を1モル/lの割合で溶解した
ものに、ビピリジン類としてヨウ化 N,N’-ジメチル−
4,4’−ビピリジンを0.01モル/lの割合で添加した
ものを用い、外径24.0mm、厚み3.0 mmの本発
明電池(A)を作製した。
【0015】また、比較例として、ビピリジン類を添加
しない電解液を使用して同様の電池を作製し、これを比
較電池(U)とした。
【0016】図2に本発明電池(A)と比較電池(U)
の充放電サイクル特性を示す。充放電条件は、充電が2
mAで終止電圧3.5V、放電が2mAで4時間とし、
放電時間内に2.4Vに達した電池を寿命とした。この
図2から明らかなように、本発明電池(A)は比較電池
(U)に比べサイクル寿命が増加し、サイクル特性が向
上していることがわかる。
【0017】この実施例1における上記した電解液は、
下式に示すように、正極1で酸化されて酸化体となり、
またその酸化体は負極2で還元されて還元体となり、こ
の反応が繰り返し行われる。
【0018】
【化1】
【0019】[実施例2]溶質としてLiPF6を1モ
ル/lの割合で溶解したものを用いた以外は実施例1の
本発明電池(A)及び比較電池(U)と同様の電池を作
製し、それぞれ本発明電池(B)及び比較電池(V)と
した。
【0020】図3に、本発明電池(B)と比較電池
(V)の充放電サイクル特性を示す。この図3から明ら
かな如く、本発明電池(B)は比較電池(V)に比べサ
イクル寿命が増加し、サイクル特性が向上していること
を知ることができる。
【0021】[実施例3]ECとPCとEME(エトキ
シメトキシエタン)の混合溶媒(体積比で5:3:2)
に、溶質としてLiPF6を1モル/lの割合で溶解し
たものを電解液として用いた以外は実施例1の本発明電
池(A)及び比較電池(U)と同様の電池を作製し、そ
れぞれ本発明電池(C)及び比較電池(W)とした。
【0022】図4に本発明電池(C)と比較電池(W)
の充放電サイクル特性を示す。この図4から、本発明電
池(C)は比較電池(W)に比べサイクル寿命が増加
し、サイクル特性が向上していることが明らかであろ
う。
【0023】[実施例4]ビピリジン類として2,2’−
ビピリジンを用いた以外は実施例2の本発明電池(B)
と同様の電池を作製し、これを本発明電池(D)とし
た。またこの本発明電池(D)の比較例としては実施例
2の比較電池(V)を用いた。
【0024】表1に本発明電池(D)と比較電池(V)
とを通常の充電終止電圧よりも高い4Vに20日間保持
した場合の電池の内部インピーダンスと厚みの変化を示
す。この表1から本発明電池(D)の方が比較電池
(V)に比べて過充電状態での電池の内部インピーダン
スや厚みの増加が小さく、信頼性に優れることが分か
る。
【0025】
【表1】
【0026】尚、ビピリジン類としては上述した以外の
種々のアルキル基やベンジル基などによる置換体や、塩
素、臭素などを対イオンとするビピリジニウム塩を使用
しても同様の効果が発揮できる。また、電解液中に添加
する量は電池内の総電解液量によっても異なるが、一般
に1×10−3モル/l以上の添加で実際の効果が期待
でき、とくに1×10−2モル/lから1モル/lの範
囲内が望ましい。
【0027】本発明は以上の説明から明らかなように、
ビピリジン類を含む電解液を使用することによって、電
解液に関わる諸問題が大きく改善され、保存等による電
池の内部インピーダンスの上昇が抑えられると共に、サ
イクル特性も向上する。また電池が過充電された場合に
も急激な電池電圧の上昇やそれに伴う電解液の分解によ
るガス発生などがほぼ完全に抑えられ、極めて信頼性の
高い非水電解液電池を実現することができる。
【0028】この理由を考察するに、電池電圧が上昇し
た場合にはビピリジンの酸化反応により電解液の分解反
応が抑制されるためと考えられる。更に、ビピリジンは
酸化還元反応の可逆性に優れるため、酸化されたビピリ
ジンは電解液中を拡散し負極側で再び還元されることに
より繰り返し使用され、抑制効果が持続すると考えられ
る。
【0029】尚、こうした抑制剤を実際に使用する場合
には、電池の充電電圧よりも貴で、かつ、用いる電解液
の分解電圧よりも卑な酸化電位を持つ物質を選択するこ
とが必要である。その値は、正極、負極に使用する活物
質や電解液の種類により異なるが、ビピリジン誘導体の
置換基の種類を選択することで種々の電位に対し効果を
発現できる。
【0030】以上のような効果により電解液の耐酸化性
は飛躍的に高まり、電池の保存特性や二次電池でのサイ
クル特性が向上するだけでなく、電池の過充電に対して
も信頼性を高めることができると考えられる。
【0031】
【発明の効果】上記したように本発明は、正極と、リチ
ウムを活物質する負極と、非水系電解液とを備えた非水
系電解液電池において、その非水系電解液に少なくとも
1種類のビピリジン類を含むものを使用しているので、
この種電池に使用される電解液の耐酸化性を向上させ、
電池の保存特性及び充放電サイクル特性を向上させると
共に、過充電に対する信頼性を向上し得るものであり、
その工業的価値は極めて大である。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明電池の1例である扁平形の非水系電解
液二次電池の半断面図を、第2〜4図は充放電サイクル
特性をそれぞれ示す。また表1は過充電試験による内部
インピーダンスと電池厚み変化を示す。
【図1】本発明を扁平形の非水系電解液二次電池に採用
した場合の断面図である。
【図2】本発明実施例1の充放電サイクル特性を示す曲
線図である。
【図3】本発明実施例2の充放電サイクル特性を示す曲
線図である。
【図4】本発明実施例3の充放電サイクル特性を示す曲
線図である。
【符号の説明】
1 正極 2 負極 3 セパレータ
フロントページの続き (72)発明者 大下 竜司 守口市京阪本通2丁目18番地 三洋電機 株式会社内 (72)発明者 古川 修弘 守口市京阪本通2丁目18番地 三洋電機 株式会社内 (56)参考文献 特開 昭62−15770(JP,A) 特開 昭63−301467(JP,A) 特開 平1−186564(JP,A) 特開 平2−297860(JP,A) 特開 平3−59964(JP,A) 特開 平3−147274(JP,A) 特開 昭49−108525(JP,A) 特開 昭56−147370(JP,A) 特開 平3−46771(JP,A) 特開 平3−285271(JP,A) 特開 平4−206274(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01M 10/40 H01M 6/16 JICSTファイル(JOIS)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 正極と、リチウムを活物質とする負極
    と、非水系電解液とを備えた非水系電解液電池におい
    て、上記非水系電解液中に少なくとも1種類のビピリジ
    ンまたはその誘導体を含むことを特徴とする非水系電解
    液電池。
  2. 【請求項2】 上記少なくとも1種類のビピリジンまた
    はその誘導体が、2,2’−ビピリジン、4,4’−ビ
    ピリジン及びそれらの誘導体であることを特徴とする請
    求項1項記載の非水系電解液電池。
  3. 【請求項3】 上記非水系電解液の溶質として、トリフ
    ルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3),
    ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6),テトラ
    フルオロホウ酸リチウム(LiBF4),ヘキサフルオ
    ロヒ酸リチウム(LiAsF6),ヘキサフルオロアン
    チモン酸リチウム(LiSbF6)よりなる群から選ば
    れたリチウム塩を用いることを特徴とする請求項1、ま
    たは請求項2記載の非水系電解液電池。
  4. 【請求項4】 上記正極が、マンガン酸化物、コバルト
    酸化物、またはニッケル酸化物からなることを特徴とす
    る請求項1、請求項2、または請求項3記載の非水系電
    解液電池。
  5. 【請求項5】 前期負極が、リチウム金属あるいはリチ
    ウムの吸蔵・放出が可能な合金、酸化物、カーボン材料
    などからなることを特徴とする請求項1、請求項2、請
    求項3、または請求項4記載の非水系電解液電池。
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JP4374661B2 (ja) * 1999-06-30 2009-12-02 パナソニック株式会社 非水電解液二次電池
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