JP2924329B2 - 非水電解液二次電池 - Google Patents
非水電解液二次電池Info
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- Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)
Description
し、さらに詳しくはこの電池のサイクル寿命および低温
における容量特性の改良に関するものである。
レス化が急速に進んでおり、これらの駆動用電源として
小形・軽量で、高エネルギー密度を有する二次電池への
要望が高い。このような点で非水電解液系の二次電池、
特にリチウム二次電池はとりわけ高電圧・高エネルギー
密度を有する電池として期待が大きい。
に市場には優れた特能を有するニッケル−カドミウム蓄
電池(ニカド電池)や、鉛蓄電池が存在する関係上、上
記の非水電解液二次電池の正極活物質には高エネルギー
密度、すなわち高容量かつ高電圧のものが望まれる。こ
の要望を満たすものとしてLiCoO2やLiMn2O4
系の4Vの高電圧を示す材料が挙げられる。
リチウム合金やリチウムイオンを吸蔵・放出できる炭素
材などが検討されている。しかし金属リチウムには充放
電に伴う樹枝状生成物(デンドライト)による短絡の問
題があり、リチウム合金には充放電に伴う膨脹収縮に起
因した電極の崩れなどの問題があって、最近ではこれら
の問題の生じない炭素材がリチウム二次電池の負極とし
て有望視されている。
合、充電時に負極表面に生成される活性なデンドライト
と非水溶媒とが反応して一部溶媒の分解反応を引き起こ
し、それが充電効率を下げることは良く知られている。
これを解消するものとして特開昭57−170463号
公報ではエチレンカーボネートが充電効率に優れている
ことに着目し、このエチレンカーボネートとプロピレン
カーボネートとの混合溶媒を用いることが、さらに特開
平3−55770号公報では電池の低温特性を改良する
ためエチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの
混合溶媒に2メチルテトラヒドロフラン、1,2−ジメ
トキシエタン、4メチル1,3−ジオキソランなどを混
合した溶媒を非水電解液の溶媒成分として用いることが
提案されている。
効率は最大でも98〜99%程度にとどまり、依然とし
てこの課題は解決されていない。これは負極にリチウム
合金を用いた場合でも同様である。
用いた場合、充電反応は電解液中のリチウムイオンが炭
素材の層間にインターカレートするという反応であるた
め、リチウムのデンドライトは生成されず、上記のよう
な負極表面での溶媒の分解反応は生じないはずである。
しかし、実際には充電効率は100%に満たず、負極に
リチウムもしくはリチウム合金を用いた場合と同様の課
題が残る。
負極に用いた場合のような負極表面における溶媒の分解
反応によるものではなく、負極炭素材の層間にリチウム
がインターカレートするときに、リチウムのみならずリ
チウムを配位した溶媒も共に層間に引きこまれ、その
際、一部溶媒の分解反応を引き起こすことによると考え
た。つまり、分子半径が大きい溶媒は負極炭素材の層間
にスムーズにインターカレートされずに負極材料の層間
の入口で分解されるということである。
いられる溶媒としては、プロピレンカーボネート,エチ
レンカーボネートなどの環状炭酸エステル類が良いとさ
れている。
媒に求められる要件として、誘電率が大、すなわち溶質
である無機塩を多量に溶解できることが挙げられる。上
述したプロピレンカーボネート,エチレンカーボネート
はこの要件を満たすものであるが、反面、これらはいず
れも環状構造を持ち、分子半径が大きいため、負極に炭
素材を用いた場合、充電時に上記溶媒の分解反応を伴う
という問題点を持つ。
材の層間に入り易く、充電時の分解反応は起こりにくい
が、逆にこれらの溶媒は誘電率が比較的低く、溶質であ
る無機塩を溶解しにくいという欠点がある。また比較的
低沸点のものが多く、電池を構成する際にその取扱いが
難しいなどの課題をもつ。そのため、単独では電解液の
溶媒として用いにくい。
エステル類を混合して用いると、それぞれ単独で用いた
場合に生じていた上記の問題は解消され、常温での電池
の充放電特性は改良できる。しかし低温における電池の
充放電特性の改良には不十分である。通常、リチウム電
池では低温特性を向上させるために電解液中の溶媒に低
凝固点かつ低粘度のエーテル類を付加させるという方法
を取るが、この場合に環状エーテル類を用いると電池の
充電時に上述したような溶媒の分解反応を伴うこととな
る。
で、長寿命であって、しかも低温での容量保持率に優れ
た非水電解液二次電池を提供することを主たる目的とし
たものである。
て好ましい非水電解液の溶媒組成を提供することを目的
としている。
に述べた目的を達成するため本発明は、環状炭酸エステ
ル,鎖状エステル,鎖状エーテルの3成分系混合溶媒を
電解液の溶媒に用いるものである。特に溶媒成分のうち
エステル中に占める環状炭酸エステルの割合が体積比で
20%以上50%以下であり、全溶媒に占める鎖状エー
テルの割合を体積比で20%以上40%以下とすること
により、非水電解液二次電池用の好ましい非水電解液を
見出したものである。
る無機塩を多量に溶かすことにより電解液の電導度を上
げることに効果があり、鎖状エステルは電池の充電時に
リチウムを配位して容易に炭素材の層間に入り得るた
め、溶媒の分解を抑えることができる。さらに低凝固点
かつ低粘度の鎖状エーテルをこれらに混合することによ
り、電解液の凝固点および粘度を下げ、その結果優れた
低温特性を発揮するものである。
エーテルを混合しても効果があるが、環状構造の溶媒は
その分子半径が大きいため、上記したような分解反応が
充電時におこり、充電効率を下げるため、エーテルとし
ては鎖状エーテルの使用が不可欠である。
る。実施例においては円筒形の電池を構成して評価を行
った。
極を示し、活物質であるLiCoO2に導電材としてカ
ーボンブラックを、結着材としてポリ四フッ化エチレン
の水性ディスパージョンを重量比で100:3:10の
割合で混合したものをアルミニウム箔の両面に塗着,乾
燥し、圧延した後所定の大きさに切断したものである。
これには2のチタン製リード板をスポット溶接してい
る。なお結着剤のポリ四フッ化エチレンの水性ディスパ
ージョンの混合比率は、その固形分で計算している。3
は負極で炭素質材料を主材料とし、これとアクリル系結
着剤とを重量比で100:5の割合で混合したものをニ
ッケル箔の両面に塗着,乾燥し、圧延した後所定の大き
さに切断したものである。これにも4のニッケル製の負
極リード板をスポット溶接している。5はポリプロピレ
ン製の微孔性フィルムからなるセパレータで、正極1と
負極3との間に介在し、全体が渦巻状に捲回されて極板
群を構成している。この極板群の上下の端にはそれぞれ
ポリプロピレン製の絶縁板6,7を配して鉄にニッケル
メッキしたケース8に挿入する。そして正極リード2を
チタン製の封口板10に、負極リード4をケース8の底
部にそれぞれスポット溶接した後、所定量の電解液をケ
ース内に注入し、ガスケット9を介して電池を封口して
完成電池とする。この電池の寸法は直径14mm,高さ5
0mmである。11は電池の正極端子であり、負極端子は
電池ケース8がこれを兼ねている。
るエチレンカーボネート(以下ECという)、鎖状エス
テルであるジエチルカーボネート(以下DECとい
う)、鎖状エーテルである1,2−ジメトキシエタン
(以下DEMという)、環状エーテルであるテトラヒド
ロフラン(以下THFという)の4成分を組合せて調整
した以下に示す4種類の混合溶媒系について、上記に示
した円筒形電池A〜Dでの試作を行った。なお電解液の
溶質には六フッ酸リチウムを用い、それぞれ1モル/l
の濃度になるように調整した。
る。
流100mA,充電終止電圧4.2V、放電終止電圧3.
0Vとし、20℃で充放電をくり返し、放電容量が初期
の50%に劣化した時点で試験を終了し、そのサイクル
数をサイクル寿命とした。
であり、ECの凝固点は36.4℃であるので、電池D
のみ45℃で充放電を行った。
の条件で初期の数サイクルを20℃で充放電した後、充
電状態で試験を停止し、温度を−10℃に変えて放電
し、その放電容量の大きさで評価した。
温特性を図3にそれぞれ示す。図2よりサイクル寿命特
性のよい順にC−A−B−Dとなった。これは充電時
に、負極では炭素材の層間ヘリチウムイオンがインター
カレートするが、その際にリチウムイオンに配位した溶
媒分子も共に層間に引きこまれるため、環状構造を持
ち、分子の大きい溶媒は一部分解すると考えられる。環
状構造を持つ溶媒の含有率が大きい電池B(環状炭酸エ
ステルと環状エーテルの和が70%)、電池D(環状炭
酸エステル100%)の特性が悪いのはそのためである
と考えられる。
C−Dとなった。電池Cに関してはECの混合比率が高
く、ECの融点が36.4℃であることから電解液がか
なり増粘し、そのため分極が大きくなって放電容量が小
さいと考えられる。また、電池Dは高凝固点のECを単
独で用いたため、−10℃では全く放電できなかった。
エーテル類を加えた場合、その環状,鎖状構造の如何に
かかわらず、良好な低温特性を示したことから、低粘性
の溶媒を加えることが低温特性の改善に効果的であるこ
とがわかった。
性共に良好であったのはAの環状炭酸エステル,鎖状エ
ステル,鎖状エーテルの混合系であった。
カーボネート(以下PCという)、鎖状エステルである
メチルアセテート(以下MAという)、鎖状エーテルで
あるジプロピルエーテル(以下DPEという)、環状エ
ーテルである2メチル−テトラヒドロフラン(以下MT
HFという)の4成分を組合せて調整した以下に示す4
種類の混合溶媒系について円筒形電池E〜Hの試作を行
った。なお電解液の溶質にはホウフッ化リチウムを用
い、それぞれ1モル/lの濃度になるように調整した。
実施例1と異なる溶質を用いた理由は、六フッ化リン酸
リチウムはMTHFと反応して液の変色反応を起こすか
らである。
とした。
低温特性を図5にそれぞれ示す。図4よりサイクル寿命
特性はそのよい順に電池G−E−F−Hとなり、実施例
1と同様の結果であった。すなわち溶媒,溶質の種類を
変えても実施例1で得られたとほぼ同じ結果が得られ
た。
E−F−G−Hとなり、これも実施例1で得られた結果
と同じであった。実施例1で環状炭酸エステルに用いた
ECの代わりに実施例2では凝固点が−49.2℃のP
Cを用いたが、他の3種類の溶媒のほうがさらに低凝固
点および低粘度であったため、PCの混合比率が大きい
GとHの特性が悪い結果となった。また、全体的に実施
例1に比べて低温特性が劣るのは溶質の性質によるもの
であり、ホウフッ化リチウムを用いると、電解液の電導
度は六フッ化リン酸リチウムを用いた場合の5割程度に
なるためである。しかし六フッ化リン酸リチウムは溶媒
と反応を起こすことがあり、溶媒との組合せによって
は、使用が難しい事がある。以上のことから実施例1と
同様、電池Eの環状炭酸エステル,鎖状エステル,鎖状
エーテルの混合系がサイクル寿命特性,低温特性共に良
好という結果が得られた。
MEの3成分を組合せて調整した、以下に示す6種類の
混合溶媒系について、円筒形電池I〜Nの試作を行っ
た。電解液の溶質も実施例1と同様六フッ化リン酸リチ
ウムを用い、それぞれ1モル/lの濃度になるように調
整した。
にした。
低温特性を図7にそれぞれ示す。図6よりサイクル寿命
特性はそのよい順に電池N−M−L−K−J−Iとな
り、環状炭酸エステルであるECの混合比率が大になる
ほどサイクル特性は悪くなる。特にI,Jの環状炭酸エ
ステルをエステル全体の60%以上加えた場合には特性
が悪い。
よく、I,J,Nが悪いという結果となった。電池I,
JはECの混合比率が高いために低温で電解液が増粘し
て電池の分極が大となり、その結果放電容量が小さくな
ったと考えられる。一方、電池Nが悪い理由は、誘電率
の高いECの混合比率が小さいために低温で所定量の溶
質を溶かす能力がなくなり、溶質の析出が起こって液抵
抗が大きくなり、分極の増加を引き起こしたためと考え
られる。
20〜50%程度が適当な範囲と考えられる。
DMEの3成分を組合せて調整した以下に示す5種類の
混合溶媒系について円筒形電池O〜Sの試作を行った。
電解液の溶質も実施例1,3と同様六フッ化リン酸リチ
ウムを用い、それぞれ1モル/lの濃度になるように調
整した。
にした。
低温特性を図9にそれぞれ示す。図8よりサイクル寿命
特性はそのよい順に電池O−P−Q−R−Sとなり、鎖
状エーテルの混合比率が大きくなるほどサイクル寿命特
性は悪くなった。これは上述したような電池の充電時に
負極で起こる溶媒分解反応とは別に、正極に高い電位を
示す化合物を用いるために、溶媒が酸化分解されること
によるものである。一般にエーテル類のほうがエステル
類よりも高電位で不安定なため、エーテルの一部が充電
時に酸化分解され、サイクル寿命が短くなったと考えら
れる。電池Sが特に悪い特性を示したことから、上記エ
ーテルの分解反応はエーテルが溶媒全体の50%以上含
まれた場合に顕著に発生すると云える。従って溶媒中の
エーテルの混合比率は40%以下が適当であるという結
果が得られた。次に図9より低温特性はそのよい順に電
池S−R−Q−P−Oとなり、鎖状エーテルの混合比率
が大きいほど溶媒の粘度が下がり、低温時の放電容量が
大きくなるという結果であった。また、鎖状エーテルの
最適混合比率は全溶媒に対してその20%以上であっ
て、それ以下では効果が得られなかった。以上サイクル
寿命特性と低温特性の2点から考えると、鎖状エーテル
の最適混合比率は溶媒全体の20〜40%であると言え
る。
正極に高電位を示すリチウム複合酸化物を、負極に炭素
材を用いたリチウム二次電池の電解液の溶媒として環状
炭酸エステル,鎖状エステル,鎖状エーテルの3成分混
合系を用いた場合、良好なサイクル寿命特性および低温
特性を示す最適な混合比率は環状炭酸エステルがエステ
ル中の20〜50%、環状エーテルが溶媒全体の20〜
40%であることがわかった。
バルト複合酸化物を用いたが、他のたとえばリチウムマ
ンガン複合酸化物などのリチウム複合酸化物を用いた場
合でも同様の結果が得られた。また、上記複合酸化物と
して酸化物中のCoあるいはMnを他の遷移金属で一部
置換したものでも同じ結果が得られた。
化リン酸リチウムとホウフッ化リチウムを用いたが、他
のリチウム含有塩、例えば過塩素酸リチウム,六フッ化
ヒ酸リチウムなどであってもよい。
ルにエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートを
用いたが、他の環状炭酸エステル、たとえばブチレンカ
ーボネートなどでもよく、二種以上の混合物としてもよ
い。
トとメチルアセテートを用いたが、他の鎖状エステル、
たとえばジプロピルカーボネートやメチルエチルカーボ
ネート,エチルアセテートなどであってもよく、二種以
上の混合物としてもよい。
シエタンとジプロピルエーテルを用いたが、他の鎖状エ
ーテル類、エトキシ・メトキシエタンなどでも良く、二
種以上の混合物としてもよい。
よれば電解液溶媒に環状炭酸エステル,鎖状エステル,
鎖状エーテルの3成分系混合溶媒を用いることにより、
サイクル寿命特性と低温特性に優れた非水電解液二次電
池を提供することができる。
命を示す図
の推移を示す図
命を示す図
の推移を示す図
命を示す図
の推移を示す図
命を示す図
の推移を示す図
Claims (6)
- 【請求項1】リチウムイオンを吸蔵・放出できる炭素材
からなる負極と、非水電解液と、リチウム複合酸化物か
らなる正極とを備え、上記非水電解液の溶媒に環状炭酸
エステルと鎖状エステルと鎖状エーテルを含むことを特
徴とする非水電解液二次電池。 - 【請求項2】電解液の溶媒成分である環状炭酸エステル
にエチレンカーボネートもしくはプロピレンカーボネー
トのうち少なくとも一つを含む請求項1に記載の非水電
解液二次電池。 - 【請求項3】電解液の溶媒成分である鎖状エステルにジ
メチルカーボネート,ジエチルカーボネート,メチルフ
ォルメート,メチルアセテートおよびエチルアセテート
の群のうちの少なくとも一つを含む請求項1に記載の非
水電解液二次電池。 - 【請求項4】電解液の溶媒成分である鎖状エーテルに
1,2ジメトキシエタンもしくはジプロピルエーテルの
うち少なくとも一つを含んでいる請求項1に記載の非水
電解液二次電池。 - 【請求項5】電解液の溶媒成分のうちエステル中に占め
る環状炭酸エステルの割合が体積比で20%以上50%
以下であり、全溶媒に占める鎖状エーテルの割合が20
%以上40%以下である請求項1〜4のうちのいずれか
に記載の非水電解液二次電池。 - 【請求項6】非水電解液はその溶質に、六フッ化リン酸
リチウム、もしくはホウフッ化リチウムのうち少なくと
も一つを含む請求項1〜5のいずれかに記載の非水電解
液二次電池。
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