JP2996771B2 - ポリプロピレン組成物 - Google Patents

ポリプロピレン組成物

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、優れた透明性、外観及
び耐ブロッキング性を有するフィルムを形成するのに適
したポリプロピレン組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来よりポリプロピレンフィルムは、そ
の優れた機械的性質、及び光学的性質等のために食品を
はじめとする包装分野に広く利用されている。
【0003】しかしながら、ポリプロピレンフィルム
は、そのフィルム表面が平滑なため、フィルム同士が密
着(ブロッキング)しやすく、袋にした場合は開口性が
悪くなり作業性を損なうという欠点があった。
【0004】このブロッキング性を改良するために、通
常、二酸化ケイ素粉末をポリプロピレンに添加してフィ
ルム表面に突起を形成させることが行われている。
【0005】一方、ポリプロピレンは、三酸化チタンと
有機アルミニウム化合物に代表される触媒の存在下でプ
ロピレンまたはプロピレンと他のオレフィンとを重合し
て得られる。これまで工業的に使用されてきた触媒は、
重合活性が低く、得られたポリプロピレンは平均粒径が
小さく、微粉含有量の多い粉粒状であり、粉度分布も広
いものであった。
【0006】ところが、最近、重合活性が高く、且つ立
体規則性の高いポリプロピレンを与える高活性触媒が工
業的に使用されるようになった。この高活性触媒で得ら
れるポリプロピレンは平均粒径が大きく、粒度分布が狭
く、微粉含有量が著しく少ない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】二酸化ケイ素粉末をポ
リプロピレンに添加してフィルムを製造しようとする場
合、ポリプロピレンの平均粒径が小さく、微粉含有量の
多い粉粒状のものであれば、二酸化ケイ素の凝集が少な
く比較的分散性の良好なフィルムが得られる。しかし、
使用するポリプロピレンの平均粒径が大きく微粉含有量
の著しく少ない粒状のものであると、二酸化ケイ素が凝
集し、均一な分散状態を得ることができず、得られるフ
ィルムは透明性および外観の悪いものとなる。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記欠陥を
改良すべく鋭意研究した結果、微粉含有量の著しく少な
い粒状のポリプロピレンを用いて製造したフィルムにお
いても、特定の添加剤を併用することにより二酸化ケイ
素の分散状態が改良され、透明性および外観が良く、耐
ブロッキング性の良好なフィルムが得られたことを見い
だし、本発明を完成するに至った。
【0009】即ち、本発明は、 (1)粒子径100μm以下の粒子が1.5重量%以下
であるポリプロピレン粒状体 100重量部 (2)平均粒径が0.5〜10μmである二酸化ケイ素
粉末 0.1〜1.0重量部及び (3)平均粒径が0.1〜5μmであり、且つ粒子径1
0μm以下の粒子が98重量%以上を占めるゼオライト
粉末 0.05〜0.8重量部を含んでなるポリプロピ
レン組成物である。
【0010】本発明におけるポリプロピレン粒状体は、
粒子径100μm以下の粒子が1.5重量%以下であ
る。粒子径100μm以下の粒子が1.5重量%を越え
るポリプロピレンの場合には、本発明によらなくても耐
ブロッキング剤としての二酸化ケイ素粉末の分散性が良
好であるため、本発明の効果が十分に発揮されない。本
発明においては、粒子径100μm以下の粒子が1.0
重量%以下であるポリプロピレン粒状体を使用した場合
に本発明の効果が顕著であるために特に好適である。
【0011】本発明の効果が十分に期待できるポリプロ
ピレン粒状体は、下記式で示される粒度分布を有するも
のである。
【0012】 R(Dp)=100exp{−(Dp/De)n} (但し、Dpは、ポリプロピレン粒子の直径(μm)を
示し、R(Dp)は、積算ふるい残(重量%)、即ち、
Dpより大きい粒子の割合を示し、Deは、粒度特性数
で、R(Dp)=36.8重量%のときの粒子径を示
し、それぞれ、100≦Dp≦1200、R(Dp)=
0〜100、100≦De≦800およびn≧2.5で
ある。)で表される粒度分布を有し、粒子径100μm
以下の粒子が1.5重量%以下であり、且つ粒子径12
00μm以上の粒子が1重量%以下であるポリプロピレ
ン粒状体である。
【0013】本発明におけるポリプロピレンとしては、
プロピレンの単独重合体;エチレン、ブテン−1、ペン
テン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1
などのα−オレフィンの共重合成分として40重量%以
下、好ましくは20重量%以下含有するプロピレンとα
−オレフィンの二元以上のブロックまたはランダム共重
合体;及び、これらの重合体同士またはこれらの重合体
とポリエチレン等の他のオレフィン重合体との混合物を
用いることができる。
【0014】本発明で用いられる二酸化ケイ素粉末は、
平均粒径が0.5〜10μmの範囲であれば、従来より
耐ブロッキング剤として用いられてきた公知のものが何
等制限なく使用できる。平均粒径が上記の下限より小さ
いと凝集を起こし、樹脂中での分散性が悪くなり、逆に
上記の上限よりも大きいとフィルム表面の突起が大きく
なりすぎ、透明性を阻害する。二酸化ケイ素粉末の平均
粒径は、本発明のポリプロピレン組成物から得られるフ
ィルムの透明性、外観及び耐ブロッキング性を勘案する
と、1〜5μmの範囲であることが好ましい。
【0015】本発明で用いられるゼオライト粉末は、平
均粒径が0.1〜5μmの範囲であり、且つ粒子径10
μm以下の粒子98重量%以上を占めるものであれば、
公知のものが何等制限されずに用いうる。平均粒径が上
記の範囲をはずれた場合、或いは粒子径10μm以下の
粒子が98重量%未満の場合には、ゼオライト粉末自体
の耐ブロッキング剤としての作用が低下し、また、前記
した耐ブロッキング剤としての二酸化ケイ素粉末の分散
性を良好にすることができないため、二酸化ケイ素粉末
の凝集により透明性が低下したり外観不良となる。
【0016】ゼオライト粉末の耐ブロッキング剤として
の効果を十分に発揮させ、且つ二酸化ケイ素粉末の分散
性を良好とするためには、ゼオライト粉末の平均粒径は
0.3〜3μmの範囲であることが好ましく、粒子径1
0μm以下の粒子が99重量%以上を占めることが好ま
しい。
【0017】本発明に於けるゼオライト粉末は、天然お
よび合成のいずれも使用しうる。更に、これらのゼオラ
イトは加熱処理したものであってもよい。
【0018】以上に述べた二酸化ケイ素粉末およびゼオ
ライト粉末のポリプロピレン粒状体への配合量は次のと
おりである。二酸化ケイ素粉末は、ポリプロピレン粒状
体100重量部に対して0.1〜1.0重量部、好まし
くは0.2〜0.8重量部であり、ゼオライト粉末は、
0.05〜0.8重量部、好ましくは0.08〜0.5
重量部の範囲である。また、二酸化ケイ素粉末に対する
ゼオライト粉末の混合比は重量比で0.05〜2.0の
範囲で使用するのが好ましい。
【0019】二酸化ケイ素粉末及びゼオライト粉末の配
合量が上記の範囲外の場合には、ポリプロピレン組成物
から得られるフィルムの透明性及び耐ブロッキング性を
ともに満足させることができず、好ましくない。
【0020】また、本発明においては、二酸化ケイ素粉
末及びゼオライト粉末に加えてステアリン酸金属塩を配
合することもフィルムの透明性を良くするうえで効果的
である。ステアリン酸金属塩としては、ステアリン酸マ
グネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ア
ルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸ナトリウ
ム、ステアリン酸カリウム等のステアリン酸金属塩が使
用しうるが、本発明においてはステアリン酸アルミニウ
ムを用いた場合に、ポリプロピレン組成物から得られた
フィルムの透明性の点で優れた効果が得られる。ステア
リン酸金属塩の配合量は、ポリプロピレン粒状体100
重量部に対し、0.01〜0.1重量部の範囲から選択
するのが好適である。
【0021】本発明において、ポリプロピレン粒状体、
二酸化ケイ素粉末およびゼオライト粉末の配合方法は、
ポリプロピレンへの無機充填剤或いは各種添加剤を配合
する公知の方法が何等制限なく採用される。なお、本発
明においては、上記した各成分の他に熱安定剤、滑剤、
塩素捕捉剤等の各種の添加剤を適宜配合することができ
る。
【0022】
【効果】本発明によれば、微粉の少ないポリプロピレン
粒状体を用いた場合においても、耐ブロッキング剤とし
ての二酸化ケイ素粉末の分散性が良好である。このた
め、フィルムに成形した場合に分散不良のために凝集し
た二酸化ケイ素粉末に起因する外観不良及び透明性の低
下がなく、しかも良好な耐ブロッキング性が得られる。
【0023】
【実施例】本発明の実施例を以下に示すが、本発明はこ
れらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【0024】なお、フィルム物性は次の方法によって測
定した。
【0025】(1)透明性:ASTM−D−1003準
じ、ヘイズ(%)を測定した。
【0026】(2)外観 :目視により耐ブロッキング
剤の凝集した粒子数の著しく多いものを1、少ないもの
を4とする4段階評価を行った(4が外観良好)。
【0027】(3)ブロッキング性:フィルムを幅2c
mの短冊状とし2枚を長さ5cm重ね、70g/cm2
の荷重をかけ、40℃、24時間放置後、引張試験機で
剪断剥離するときの荷重を読み取って評価した。
【0028】実施例 ポリプロピレン粒状体(メルトインデックス8.0g/
10分)100重量部及びステアリン酸アルミニウム
0.03重量部に、表1に示した添加剤を配合し、ヘン
シェルミキサーで混合した後、40mmΦ押出機にて混
練してペレット化し、このペレットを用いてインフレー
ションフィルム成形機(山口製作所製50mmΦ)にて
樹脂温度210℃、冷却水温20℃で厚さ30μmのイ
ンフレーションフィルムを成形し、得られたフィルムの
透明性、外観ブロッキング性を評価した。結果を表1に
示した。
【0029】なお、実施例で使用したポリプロピレン粒
状体、二酸化ケイ素粉末及びゼオライト粉末は次のもの
である。
【0030】 ポリプロピレン粒状体:平均粒径 450μm 粒子径100μm以下の粒子 0.05重量% 粒子径1200μm以上の粒子 0.1重量% De=490,n=5 二酸化ケイ素粉末:サイロイド72(商品名:富士デビソン(株)製) 平均粒径 3μm ゼオライト粉末A:シルトンAMT−08(商品名:水沢化学(株)製) 平均粒径 0.85μm 粒子径10μm以下の粒子 100重量% ゼオライト粉末B:シルトンAMT−15S(商品名:水沢化学(株)製) 平均粒径 1.5μm 粒子径10μm以下の粒子 100重量%
【0031】
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭56−72034(JP,A) 特開 昭57−18747(JP,A) 特開 昭57−3840(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 23/10 - 23/16 C08J 5/18

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(1)粒子径100μm以下の粒子が1.
    5重量%以下であるポリプロピレン粒状体 100重量
    部 (2)平均粒径が0.5〜10μmである二酸化ケイ素
    粉末 0.1〜1.0重量部及び (3)平均粒径が0.1〜5μmであり、且つ粒子径1
    0μm以下の粒子が98重量%以上を占めるゼオライト
    粉末 0.05〜0.8重量部を含んでなるポリプロピ
    レン組成物。
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