JP3499050B2 - レトルト用ポリプロピレン樹脂組成物およびそれを用いたレトルト処理ポリプロピレンフィルム - Google Patents

レトルト用ポリプロピレン樹脂組成物およびそれを用いたレトルト処理ポリプロピレンフィルム

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JP3499050B2 JP17084895A JP17084895A JP3499050B2 JP 3499050 B2 JP3499050 B2 JP 3499050B2 JP 17084895 A JP17084895 A JP 17084895A JP 17084895 A JP17084895 A JP 17084895A JP 3499050 B2 JP3499050 B2 JP 3499050B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はレトルト用ポリプロ
ピレン樹脂組成物およびそれを用いたレトルト処理ポリ
プロピレンフィルムに関する。詳しくは、押出成形した
時、フィッシュアイの発生がなく、かつ透明性、アンチ
ブロッキング性、滑り性が良好で、レトルト加圧熱水処
理した後も透明性の良好なフィルムを与えることのでき
るポリプロピレン樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリプロピレンの押出フィルムは外観は
もちろん、機械的性質、包装特性等のフィルム特性が優
れていることから、食品包装、繊維包装等に多く使用さ
れている。特に、食品包装分野では、常温長期保存を前
提としたレトルト食品のカレーや豆腐をはじめとして種
々の食品で利用されている。レトルト処理とは包装食品
の加熱殺菌を内容物の味覚、風味、外観などを損なわな
いように行う殺菌処理のことである。包装材の最内層の
シーラント層としてはポリプロピレン系フィルムを用い
た複合フィルムがこの分野の主流になりつつある。
【0003】従来、レトルト用フィルムとしてエチレン
−プロピレン共重合体に耐熱性フィルム、およびアルミ
箔を張り合わせたレトルト食品包装体が良く知られてお
り、フィッシュアイ、低温での耐衝撃性を改良すること
が盛んに行われている。
【0004】近年、レトルトパウチなどでさらに透明性
を要求される用途にも使用されはじめており、透明性、
アンチブロッキング性、滑り性のバランスのとれたフィ
ルムの開発のためアンチブロッキング剤等の安定剤処方
の確立が望まれている。
【0005】従来、ポリプロピレン樹脂組成物には、触
媒残渣に起因した酸の発生によるロール等の腐食のた
め、中和剤が用いられている。中和剤として、ステアリ
ン酸金属化合物、特にステアリン酸カルシウムが多く用
いられ、中和剤としてだけでなく、樹脂の溶融時の流動
性改良剤として広く用いられている。
【0006】また、ポリプロピレン樹脂組成物の押出フ
ィルムは、フィルム同志の密着、いわゆるブロッキング
が起こりやすい。その改良方法としては、アンチブロッ
キング剤としてBET法比表面積200m2 /g以下、
嵩比重0.2以上のゼオライト、シリカ等の無機粒子
(特開昭56−4642号公報)、また粒子表面のOH
基量が200μmol/g以下であるゼオライト、シリ
カ等の無機粒子(特開平4−22044号公報)が提案
されており、上記粒子は一般的な包装に限らず、レトル
ト分野でも通常使用されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記の方
法では、十分なアンチブロッキング性を得るために必要
な添加量まで上記無機粒子を添加すると、フィルムの透
明性、光沢が悪化する。また、透明性を改良しようとし
て粒径の小さな無機粒子を添加すると、PPパウダーと
の分散性が悪くなりフィッシュアイを発生する場合があ
る。さらに、上記無機粒子を添加した押出フィルムをレ
トルト滅菌処理した場合、ヘイズの悪化が大きく、さら
にステアリン酸金属化合物系の中和剤を使用した場合、
さらに透明性が悪化する問題があった。
【0008】本発明は、従来のかかる欠点を解消し、フ
ィッシュアイが発生せず、アンチブロッキング性、透明
性、滑り性のバランスが良好で、かつレトルト滅菌処理
した後も透明性が良好なレトルト用ポリプロピレン樹脂
組成物およびそれを用いたレトルト処理ポリプロピレン
フィルムを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記問題を
解決して透明性、アンチブロッキング性、滑り性が良好
で、溶融押出成形後に40℃以上、140℃以下の温度
のレトルト加圧熱水処理後のヘイズが良好なレトルト用
ポリプロピレン樹脂組成物を開発すべく鋭意検討し本発
明を完成した。
【0010】すなわち、本発明は、結晶性ポリプロピレ
ン100重量部に対して、中和剤としてハイドロタルサ
イトおよび/または水酸化金属化合物を0.01〜1.
0重量部と、平均粒径が0.1〜5.0μmで、かつB
ET法比表面積が20m2 /g以下、吸油量が50ml
/100g以下である球状の無機系不活性物質を0.0
1〜0.8重量部配合してなるレトルト用ポリプロピレ
ン樹脂組成物である。また、本発明は、このレトルト用
ポリプロピレン樹脂組成物を、押出成形してなる40℃
以上、140℃以下の温度でのレトルト処理(加圧熱水
処理)後のヘイズとレトルト処理前のヘイズとの比が
2.0以下であり、しかもレトルト処理後のヘイズが
6.0%以下であるレトルト処理ポリプロピレンフィル
ムである。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明において結晶性ポリプロピ
レンとしては、結晶性のポリプロピレンであるかぎり特
に制限はないが、アイソタクティックポリプロピレンで
13C−NMRで測定したアイソタクティックペンタッ
ド分率が0.90以上の高立体規則性のものが好まし
く、またシンジオタクティックポリプロピレンでは13
−NMRで測定したシンジオタクティックペンタッド分
率が0.70以上の高立体規則性のものが好ましく利用
される。
【0012】また、アイソタクティックポリプロピレン
とシンジオタクティックポリプロピレンの混合物であっ
てもよい。その場合、好ましい結晶性ポリプロピレンと
しては、シンジオタクティックポリプロピレンまたはシ
ンジオタクティックポリプロピレンの共重合体、あるい
は、それらのポリマー100重量部に対して0〜200
重量部のアイソタクティックポリプロピレンまたはアイ
ソタクティックポリプロピレンの共重合体を混合したも
のが例示される。また、エチレンまたは炭素数4以上の
α−オレフィンとの共重合体も利用でき、アイソタクテ
ィックポリプロピレン、シンジオタクティックポリプロ
ピレンともに共重合体中の他のオレフィンとしてのエチ
レンまたは炭素数4以上のα−オレフィンの含量として
は6重量%以下のものが好ましく利用される。
【0013】これら結晶性ポリプロピレンの分子量とし
ては230℃で測定したメルトフローインデックスが
0.01〜100g/10min、好ましくは0.1〜
50g/10minを利用すると押出フィルムの物性の
点で好ましい。
【0014】本発明において中和剤としては、ハイドロ
タルサイトおよび/または水酸化金属化合物であり、ハ
イドロタルサイトとしては一般に市販されている協和化
学(株)製ハイドロタルサイトDHT−4A、水酸化金
属化合物としては水酸化アルミニウム、水酸化マグネシ
ウム、水酸化鉛等が挙げられ、一般に市販されている協
和化学(株)製キスマー5A等が用いられる。
【0015】本発明における中和剤の添加割合として
は、結晶性ポリプロピレン100重量部に対して、0.
01〜1.0重量部である。0.01重量部より少ない
と触媒残渣の中和効果が不十分であり、ロール等への腐
食の問題が生じる。また1.0重量部より多く用いても
特に中和効果の向上があるわけでなく、内容物への析出
等が発生し、安全衛生上問題となる。また、中和剤とし
て一般的なステアリン酸金属化合物を使用した場合、ボ
イド、浮き出し等が原因と考えられる、レトルト処理後
のヘイズの大幅な悪化が見られる。
【0016】本発明における球状の無機系不活性物質と
は、平均粒径が0.1〜5.0μmで、BET法比表面
積が20m2 /g以下、吸油量が50ml/100g以
下である球状のアンチブロッキング剤であり、結晶性ポ
リプロピレン100重量部に対して0.01〜0.8重
量部の範囲で添加する。
【0017】ここで球状の無機系不活性物質とは、本発
明の結晶性ポリプロピレン中で不活性であり、それと反
応しない有機系の物質であれば特に限定しないが、好ま
しくは、シリカ、ゼオライトが一般的に使用できる。こ
の無機系のシリカ、ゼオライトは、市場で入手でき、以
下の特性を有するものであればそのまま利用できる。
【0018】本発明における球状の無機系不活性物質と
してはBET法で測定した比表面積が少なくも20m2
/g以下である事が必要で、好ましくは10m2 /g以
下である。比表面積が20m2 /gを越えると、不活性
物質の表面の形状に凹凸が生じ、不活性物質とポリプロ
ピレン樹脂との密着性が悪化するためであると思われる
が、レトルト処理前の透明性が良好であっても、レトル
ト処理後の透明性の悪化が著しい。
【0019】また、不活性物質の吸油量は、50ml/
100g以下であることが必要で、好ましくは30ml
/100g以下である。吸油量が、50ml/100g
を越えると、滑剤が不活性物質に吸着されやすくなり、
滑り性が低下したり、不活性物質の表面の細孔のためヘ
イズが悪化する。
【0020】また、球状の無機系不活性物質の好ましい
平均粒径は0.1〜5.0μmであり、0.5〜4.0
μmがさらに好ましい。この平均粒径が0.1μm未満
のものでは、アンチブロッキング性が不十分であり、
5.0μm超過のものでは、滑り性、アンチブロッキン
グ性が特に改良されるわけでもなく、透明性が失われ好
ましくない。
【0021】また、形状については、なるだけ真球状に
近く、表面に凹凸のないものが好ましいが目安として
は、球状粒子の最も長い径と最も短い径との比が5以
下、好ましくは2以下、表面の凹凸としては、(BET
法比表面積)/(平均粒径と真密度より求めた計算比表
面積)が50以下、好ましくは30以下である。形状が
不定形なものであれば、特にフィルム中にボイドが発生
しやすく、さらに粒径によってはフィッシュアイが多量
に発生することになる。また、フィッシュアイが発生し
なくても、レトルト処理後のヘイズとレトルト処理前の
ヘイズとの比が2.0より大きくなり、レトルト処理後
のヘイズが悪化する。
【0022】添加量については、上述したとおり結晶性
ポリプロピレン100重量部に対して0.01〜0.8
重量部であり、好ましくは0.05〜0.5重量部であ
る。添加量が0.8重量部を越えて添加してもアンチブ
ロッキング性が特に向上するわけでもなく、むしろ透明
性が悪化する。また0.01重量部未満では、透明性は
良好であるが、アンチブロッキング性が悪化する。
【0023】本発明の特徴は、特定の中和剤、アンチブ
ロッキング剤を用いることにより、透明性、アンチブロ
ッキング性、滑り性のバランスが良好で、レトルト処理
後のヘイズとレトルト処理前のヘイズとの比が2.0を
越えず、しかもレトルト処理後のヘイズが6.0以下の
透明性良好な押出フィルムが得られることである。該ヘ
イズの比が2.0以下であってもレトルト処理後のヘイ
ズが6.0を越えているものは、透明性が悪く好ましく
ない。
【0024】本発明において上記組成物を得る方法とし
て、公知の任意の方法で均一分散させて得ることができ
る。例えば、押出溶融ブレンド法、バンバリーブレンド
法などである。また、マスターバッチとして添加しても
かまわない。また、本発明の組成物には、さらに一般的
に用いられているアンチブロッキング剤、スリップ剤、
安定剤、造核剤などの添加剤は、必要に応じて適宜添加
することができる。
【0025】本発明のレトルト用ポリプロピレンフィル
ムは、上記組成物をTダイ法、またはインフレーション
法等の公知の方法によって製膜することによって得られ
る未延伸フィルムであり、成形方法は特に限定しない。
また、フィルムの厚みも特に限定はしないが、5〜20
0μmが好ましく、さらに好ましくは15〜100μm
である。
【0026】本発明のレトルト用ポリプロピレンフィル
ムは、その他のフィルム、例えばポリプロピレン二軸延
伸フィルム、未延伸ナイロンフィルム、延伸ナイロンフ
ィルム、延伸ポリテレフタール酸エチルフィルム、アル
ミ箔、紙類等とドライラミネート、または押出ラミネー
ト等の公知の方法によって形成された複合フィルム、ま
たはTダイ法或いはインフレーション法等による共押出
複合フィルムにして使用が可能であり、未延伸フィルム
層の厚みは特に限定しないが、5〜200μmが好まし
く、更に好ましくは15〜100μmである。
【0027】本発明の組成物を用いて押出成形して得ら
れたフィルムは製膜後の透明性、滑り性、アンチブロッ
キング性が良好で、内容物の加熱圧水殺菌処理後のヘイ
ズと該処理前のヘイズとの比が2.0以下で、レトルト
処理後のヘイズが6.0%以下であるようなレトルト処
理後も透明性に優れたレトルト処理ポリプロピレンフィ
ルムとなる。該フィルムは、レトルト処理前後において
極めて安定して透明性が良好であるため、透明性の要求
されるレトルトパウチなどの用途にも使用できるフィル
ムである。
【0028】また、本発明のレトルト用ポリプロピレン
フィルムに通常工業的に採用されている方法によってコ
ロナ放電処理、或いは火炎処理等の表面処理を施すこと
もできる。
【0029】
【実施例】本発明をさらに詳細に説明するため、以下に
実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものでは
ない。なお、実施例において各測定項目は次の方法に基
づいて測定した。 (1)吸油量:顔料試験方法のJIS−K5101に準
拠した。 (2)メルトフローインデックス:ASTM−D123
8に準拠した。 (3)ヘイズ:ASTM−D1003に準拠した。 (4)視覚透明性:東洋精機(株)製LIGHT SC
ATTERING METERを使用し、LS値(狭角
拡散透過値)を測定した。 (5)アンチブロッキング性:所定の大きさに切り取っ
たフィルムを2枚重ね合わせ、加重を20g/cm2
け、50℃の恒温室に放置した後、恒温室から取り出
し、フィルムの密着面積比率を目視で求めた。 (6)浮き出し:製膜後、50℃に加熱された循環式恒
温槽中で20日間処理を行った後のヘイズを測定した。 (7)摩擦係数(tanθ):東洋精機(株)製の摩擦
測定機を用い、下記条件で測定し、ブロック荷重の滑り
はじめる角度(θ)を読み取り、tanθで表示する。
(測定条件;傾斜スピード:2.7度/sec、ブロッ
ク面積:6.3cm×6.3cm、ブロック荷重:20
0g)製膜後、それぞれ35℃に加熱された循環式恒温
槽中で5日間加熱処理を行い、室温に取り出し1時間後
に滑り性を測定した。 (8)レトルト滅菌処理:フィルムを10cm×20c
mに切断し、120℃加圧水中で30分間レトルト処理
を行って、10分間冷却した後、23℃、相対湿度60
%の状態で2時間状態調節を行い、(2)の方法で処理
後のヘイズを測定した。 (9)フィッシュアイ:フィルム1000cm2 中の2
00μm以上のフィッシュアイの個数が10個以下では
○、10個を越えるようであれば×とした。
【0030】〔参考例〕 〔触媒の調整〕直径12mmの鋼球9kgの入った内容
積4リットルの粉砕用ポットを4個装備した振動ミルを
用意する。各ポットに窒素雰囲気中で塩化マグネシウム
300g、フタル酸ジイソブチル115ml、四塩化チ
タン60mlを加え40時間粉砕した。上記共粉砕物5
gを200mlのフラスコを入れトルエン100mlを
加え114℃で30分間攪拌処理し、次いで静置して上
澄液を除去した。次いでn−ヘプタン100mlを用い
20℃で3回、固形分を洗浄しさらに100mlのn−
ヘプタンに分散して遷移金属触媒スラリーとした。得ら
れた遷移金属触媒はチタンを1.8wt%含有し、フタ
ル酸ジイソブチルを18wt%含有していた。
【0031】〔プロピレン・エチレン共重合体の製造〕
内容積100リットルの充分に乾燥し窒素で置換し、さ
らにプロピレンで置換したジャケット付きオートクレー
ブにプロピレン25kgを装入して重合の準備とした。
一方、1リットルのフラスコにn−ヘプタン500m
l、トリエチルアルミニウム1.5ml、シクロヘキシ
ルメチルジメトキシシラン2.2mlと上記触媒調整で
得られた遷移金属触媒を固形分として0.30gを混合
して、準備した前記内容積100リットルのオートクレ
ーブに圧入した。次いで、水素及びエチレンを所定量装
入した後ジャケットに温水を通じて内温が70℃で各々
の気相濃度が、水素1.8モル%、エチレン1.5モル
%に保てるように水素、エチレンを装入しながらプロピ
レンを5kg/hで連続装入して重合し、3時間経過後
ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル6.0
mlを圧入して、さらに60℃で30分間攪拌して重合
を終了した。
【0032】〔後処理〕得られた共重合体スラリーを、
細長い部分の内径が15cm、上部の太い部分の内径が
30cm、細長い部分の長さが5m、上部の太い部分の
長さが1mの向流洗浄塔の上部に50kg/hで導入
し、下部よりはプロピレン洗浄液を100kg/hの割
合で導入し、向流洗浄塔上方より110kg/hの洗浄
液、下方より洗浄された共重合体スラリーを40kg/
hで取り出す。取り出された共重合体スラリーは、内径
20cm、長さ60mの外側管内に1kg/cm2 ゲー
ジのスチームを通じて加熱できる2重管を経て大気圧に
保たれたサイクロンに放出し、得られたパウダーはさら
に、50℃、60mmHgで10時間乾燥して13.3
kgのアイソタクティックプロピレン・エチレン共重合
体が得られた。このようにして得られた共重合体のメル
トフローインデックスは3.7g/10min、融点1
46.8℃、エチレン含有率3.0wt%であった。
【0033】実施例1 参考例で得たアイソタクティックプロピレン・エチレン
共重合体100重量部にリン系酸化防止剤0.05重量
部、フェノール系酸化防止剤0.15重量部、中和剤と
して協和化学(株)製ハイドロタルサイトDHT−4A
を0.03重量部、アンチブロッキング剤としてアドマ
テックス(株)社製の球状シリカSO−C5(平均粒径
1.8μm、BET法比表面積2〜4m2 /g、吸油量
16ml/100g)0.12重量部を20リットルヘ
ンシェルで2分間混合し、65mmφ押出機で造粒し
た。このペレットを40mmφTダイにて樹脂温度25
0℃で溶融押し出しを行い、厚み60μmの未延伸フィ
ルムを得た。得られたフィルムを用い、上記した処方に
よりレトルト滅菌処理を施し、該処理の前後のヘイズを
測定したところその比は1.64で、処理後のヘイズは
5.4であった。その評価結果を表1に示す。
【0034】実施例2 実施例1で用いたアンチブロッキング剤の添加量を0.
08重量部とした以外は実施例1と同様にした。その評
価結果を表1に示す。
【0035】実施例3 実施例1で用いたアンチブロッキング剤の添加量を0.
30重量部とした以外は実施例1と同様にした。その評
価結果を表1に示す。
【0036】実施例4 中和剤として協和化学(株)製ハイドロタルサイトDH
T−4Aに代え協和化学(株)製キスマー5Aを0.0
3重量部用いた以外は実施例1と同様にした。その評価
結果を表1に示す。
【0037】比較例1 中和剤として協和化学(株)製ハイドロタルサイトDH
T−4Aに代え堺化学(株)製ステアリン酸カルシウム
Cを0.05重量部用いた以外は実施例1と同様にし
た。その評価結果を表1に示す。この場合、レトルト滅
菌処理後のヘイズが悪化した。
【0038】比較例2 アンチブロッキング剤としてアドマテックス(株)社製
の球状シリカSO−C5(平均粒径1.8μm、BET
法比表面積2〜4m2 /g、吸油量16ml/100
g)に代え富士シリシア化学(株)製不定形シリカサイ
リシア350(粒径1.8μm、BET比表面積300
2 /g、吸油量310ml/100g)を用いた以外
は実施例1と同様にした。その評価結果を表1に示す。
この場合、多数のフィッシュアイがフィルム中発生し
た。
【0039】比較例3 アンチブロッキング剤としてアドマテックス(株)社製
の球状シリカSO−C5(平均粒径1.8μm、BET
法比表面積2〜4m2 /g、吸油量16ml/100
g)に代え富士シリシア化学(株)製不定形シリカサイ
リシア730(粒径3.0μm、BET比表面積700
2 /g、吸油量95ml/100g)を用いた以外は
実施例1と同様にした。その評価結果を表1に示す。こ
の場合、滑り性およびレトルト滅菌処理後のヘイズが悪
化した。
【0040】比較例4 アンチブロッキング剤としてアドマテックス(株)社製
の球状シリカSO−C5(平均粒径1.8μm、BET
法比表面積2〜4m2 /g、吸油量16ml/100
g)に代え水澤化学(株)製球状AMT−シリカ♯30
0B(粒径3.0μm、BET比表面積400〜600
2 /g、吸油量60ml/100g)を用いた以外は
実施例1と同様にした。その評価結果を表1に示す。こ
の場合、製膜後の透明性が不良であった。
【0041】比較例5 アドマテックス(株)社製の球状シリカSO−C5(平
均粒径1.8μm、BET法比表面積2〜4m2 /g、
吸油量16ml/100g)であるアンチブロッキング
剤の添加量を0.005重量部とした以外は実施例1と
同様にした。その評価結果を表1に示す。この場合、透
明性は良好であったが、アンチブロッキング性が著しく
悪化した。
【0042】比較例6 アドマテックス(株)社製の球状シリカSO−C5(平
均粒径1.8μm、BET法比表面積2〜4m2 /g、
吸油量16ml/100g)であるアンチブロッキング
剤の添加量を1.0重量部とした以外は実施例1と同様
にした。その評価結果を表1に示す。この場合、製膜後
の透明性が著しく悪化した。
【0043】実施例5 アンチブロッキング剤としてアドマテックス(株)社製
の球状シリカSO−C5(平均粒径1.8μm、BET
法比表面積2〜4m2 /g、吸油量16ml/100
g)に代えアドマテックス(株)社製の球状シリカSO
−C3(平均粒径1.1μm、BET法比表面積8〜1
0m2 /g、吸油量16ml/100g)0.3重量部
とした以外は実施例1と同様にした。その評価結果を表
1に示す。
【0044】実施例6 実施例1で用いたアイソタクティックプロピレン・エチ
レン共重合体に代え、特開平2−41303公報の方法
に従い、イソプロビリデン(シクロペンタジエニル)フ
ルオレニルジルコニウムジクロリドおよびメチルアミノ
キサンからなる触媒を用いて製造したジンジオタクティ
ックポリプロピレン単独重合体(メルトフローインデッ
クス4.2g/10分、シンジオタクティックペンタッ
ド分率0.92、1,2,4−トリクロルベンゼンで測
定した重量平均分子量と数平均分子量との比(MW/M
N)は2.2、融点149.3℃、以下SPPと略称す
る。)を用いた以外は実施例1と同様にした。その評価
結果を表1に示す。
【0045】実施例7 実施例1で用いたアイソタクティックプロピレン・エチ
レン共重合体に代え、実施例7で用いたSPP80重量
部に参考例と同様の方法により製造したアイソタクティ
ックプロピレン・エチレン共重合体(メルトフローイン
デックス8.0g/10分、融点142.6℃、エチレ
ン含有率4.2wt%)20重量部をブレンドしたもの
を用いた以外は実施例1と同様にした。その評価結果を
表1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】
【発明の効果】本発明における特定組成の中和剤と特定
形状のアンチブロッキング剤を併用することにより成形
体の透明性、アンチブロッキング性、滑り性が良好で、
製膜後のレトルト滅菌処理後も良好な透明性を有するフ
ィルムを与えることのできるポリプロピレン樹脂組成物
が得られ、産業上優位である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 今林 良人 大阪府高石市高砂1丁目6番地 三井東 圧化学株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−17637(JP,A) 特開 平5−309727(JP,A) 特開 平6−87984(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 23/00 - 23/36 C08K 3/00 - 13/08 C08J 5/18 B65B 55/04

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】結晶性ポリプロピレン100重量部に対し
    て、中和剤としてハイドロタルサイトおよび/または水
    酸化金属化合物を0.01〜1.0重量部と、平均粒径
    が0.1〜5.0μmで、かつBET法比表面積が20
    2 /g以下、吸油量が50ml/100g以下である
    球状の無機系不活性物質を0.01〜0.8重量部配合
    してなるレトルト用ポリプロピレン樹脂組成物。
  2. 【請求項2】請求項1記載の球状の無機系不活性物質
    が、シリカ、ゼオライト系の無機化合物粒子であるレト
    ルト用ポリプロピレン樹脂組成物。
  3. 【請求項3】請求項1記載のレトルト用ポリプロピレン
    樹脂組成物を、押出成形してなる40℃以上、140℃
    以下の温度でのレトルト処理(加圧熱水処理)後のヘイ
    ズとレトルト処理前のヘイズとの比が2.0以下であ
    り、しかもレトルト処理後のヘイズが6.0%以下であ
    るレトルト処理ポリプロピレンフィルム。
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