JP6954128B2 - 溶断シール用ポリプロピレン系フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、溶断シール用ポリプロピレン系フィルムに関し、さらに詳しくは、高い溶断シール強度を有し、耐衝撃性と透明性とが互いに優れる溶断シール用ポリプロピレン系フィルムに関する。
フィルムからなる包装袋には、融着箇所や形状の違いによって、三方シール袋、四方シール袋、ピロー袋、底折スタンド袋、ガゼット袋など、様々な種類がある。
例えば、珈琲豆や茶葉、パンなどの包装に広く用いられているガゼット袋は、製袋時にフィルムを折り返してマチを作ることで、内容物を充填した際に直方体に近い形状をとることができ、自立も可能な包装形態である。また、三方シール袋や底折スタンド袋などは2つの側面で構成されるのに対し、ガゼット袋は4つの側面で構成されるため、ディスプレイ効果にも優れている。
特に、菓子パンや食パン包装用のガゼット袋においては、「内容物が比較的軽く、極端に高いシール強度が求められない」、「シール部面積が小さく、ディスプレイ性を妨げない」、「シールと切断が同時に行われる」という点から、シール加工法としては溶断シールが用いられることが多い。
ポリプロピレン系材料は、その耐熱性や包装適性、更には経済性や環境問題適応性などにより、溶断シールに適したパン包装用フィルムとして汎用されてきた。
近年、菓子パン、食パン用包材等の食品包装に対して意匠性が求められており、その要求に応えるべくマット調フィルムの開発が盛んに行われてきた。マット調を付与する方法の一例として、フィルム表面に凹凸を発生させる目的で、プロピレン−エチレンブロック共重合体を用いる手法が挙げられる(例えば、特許文献1、2参照)。プロピレン−エチレンブロック共重合体を用いることで、本来の目的であるマット調付与のみならず、耐衝撃性の向上までもが見込まれる。
しかしこれは、従来からある透明なポリプロピレン系フィルムは、マット調フィルムに比べて耐衝撃性が劣るということを意味する。従来のポリプロピレン系材料を主材とする限りは、透明性と耐衝撃性は相反するフィルム特性であった。
耐衝撃性に優れていることは、外装・内装の区別が無い単体包装のままで店頭に陳列される、パン包材の様な包装形態においては好ましく、透明性と耐衝撃性とが互いに優れた溶断シール用ポリプロピレン系フィルムの登場を、市場は待ち望んでいた。
特開平7−233291号公報 特開2007−45050号公報
本発明は、高い溶断シール強度を有し、耐衝撃性と透明性とが互いに優れる溶断シール用ポリプロピレン系フィルムを提供することを目的とする。
本発明者は、前述の特性を併せ持つポリプロピレン系材料及びそのフィルムを開発すべく鋭意研究した結果、特定のポリプロピレン樹脂を特定の層に含むフィルムにより、上記目的を達成し得ることを見出し、これらの知見に基づき本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の溶断シール用ポリプロピレン系フィルムを提供するもので、高い溶断シール強度を有し、耐衝撃性と透明性とが互いに優れる溶断シール用ポリプロピレン系フィルムを提供するものである。
[1]シール層と基材層の少なくとも2層からなる積層フィルムであって、下記(i)〜(iii)の条件を満たし、厚さ30μmの試験片を用いて測定したヘイズ(HAZE)が20%以下であることを特徴とする溶断シール用ポリプロピレン系フィルム。
(i)シール層が、α−オレフィン含有量が1〜5重量%であるプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)50〜90重量%とエチレン−α−オレフィン共重合体(B)50〜10重量%からなる。
(ii)基材層が、α−オレフィン含有量が1〜5重量%であるプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)0〜20重量%と、プロピレン単独重合体又はα−オレフィン含有量が1重量%未満であるプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体であるプロピレン重合体(C)60〜95重量%と、下記(d1)〜(d2)を満たすプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D)5〜20重量%からなる。
(d1)プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D)は、α−オレフィン含有量が10〜40重量%である。
(d2)プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D)のMFR(230℃、2.16kg荷重)が0.5〜5g/10分である。
(iii)積層フィルムの総厚が20〜50μmであり、総厚に対するシール層の厚み比率が5〜20%である。
[2]プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)は、MFR(230℃、2.16kg荷重)が1.0〜20g/10分であることを特徴とする[1]に記載の溶断シール用ポリプロピレン系フィルム。
[3]エチレン−α−オレフィン共重合体(B)は、密度が0.860〜0.910g/cmであることを特徴とする[1]又は[2]に記載の溶断シール用ポリプロピレン系フィルム。
[4]さらに、脂肪酸アマイド系の滑剤を、積層フィルムを構成する樹脂の総重量に対して、0.03〜0.5重量部含有することを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1項に記載の溶断シール用ポリプロピレン系フィルム
本発明のポリプロピレン系フィルムは、高い溶断シール強度を有し、耐衝撃性と透明性とが互いに優れるという、従来には見られなかった格別の効果を発現するものである。したがって、内容物の視認性が求められる各種包装フィルムとして用いることができ、とりわけ、溶断シール加工にて製袋を行う包装フィルムに好ましく用いることができる。
以下に、本発明の実施形態について詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例であり、これらの内容に本発明は限定されるものではない。
[構成成分]
[プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)]
本発明で用いるプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)は、プロピレンとα−オレフィンとのランダム共重合体であり、プロピレンとの共重合成分であるα−オレフィンは1種又は2種以上の組み合わせでもよい。α−オレフィンは、好ましくはエチレン又は炭素数4〜18のα−オレフィン、より好ましくはエチレン又は炭素数4〜10のα−オレフィン、さらに好ましくはエチレン又は1−ブテンである。具体的には、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ヘキセン等を挙げることができる。
なお、α−オレフィンの含有量は、1〜5重量%の範囲であることが必要である。1重量%以上であると、低温シール性の発現が見込まれ、一方、5重量%以下であると、重合体生産時のベタツキやカッティング不良などの生産トラブルを回避することができる。
プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)のメルトフローレート(MFR(230℃、2.16kg荷重))は、1.0〜20g/10分の範囲であることが好ましい。より好ましいMFRの範囲としては1.5〜15g/10分であり、さらに好ましくは2.0〜10g/10分である。1.0g/10分以上であると、流動性が十分となり、溶融押出成形加工時において押出機の負荷が高すぎるなどの問題が回避され、一方、20g/10分以下であると、フィルム同士の熱融着後の引き剥がし抗力であるヒートシール強度が十分に得られ、シーラントとしての特性を満たし、適するものとなる。
また、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)の融点は、120〜155℃の範囲であることが好ましい。融点の範囲として、より好ましくは124〜150℃、さらに好ましくは128〜145℃である。融点が120℃以上であると、シール層の耐熱性が十分となり、ヒートシール工程において部分溶融を生じる加熱を受けた場合においても、フィルム形状を保持することができ、一方、155℃以下であると、短い時間で熱融着させることができ、シール工程の生産性を妨げず、シール層に求められる特性を見たし、適するものとなる。
なお、これらプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)の入手方法は、市販の樹脂を利用するほか、各種公知のプロピレン重合用触媒を用いて公知の重合方法によって製造されたものが利用できる。
プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)の製造方法については、特に制限はなく、従来公知のスラリー重合法、バルク重合法、気相重合法等のいずれの重合方法でも製造可能であり、また、MFRが1.0〜20g/10分の範囲内であれば、多段重合法を利用して製造することも可能である。
[エチレン−α−オレフィン共重合体(B)]
本発明で用いるエチレン−α−オレフィン共重合体(B)は、エチレンと炭素数3〜18のα−オレフィンとの共重合体であり、エチレンとの共重合成分であるα−オレフィンは1種又は2種以上の組み合わせでもよい。α−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ヘキセンなどがある。
なお、α−オレフィンの含有量は、10〜50重量%であることが必要である。この範囲内であれば、柔軟性が向上するため、耐衝撃性が良好となり、併用効果が顕著となる。
エチレン−α−オレフィン共重合体(B)の密度は、0.860〜0.910g/cmの範囲であることが好ましく、より好ましくは0.880〜0.910g/cm、さらに好ましくは0.885〜0.907g/cmの範囲である。0.860g/cm以上であると、樹脂のハンドリング性に支障を来さないため好ましく、一方、0.910g/cm以下であると、得られるフィルムの透明性を阻害せず、また、耐衝撃性の向上が見込まれるために、好ましい。
ここで、密度は、JIS K7112に準拠して測定する値である。
また、エチレン−α−オレフィン共重合体(B)のメルトフローレート(MFR)は、0.5〜10g/10分の範囲内にあることが好ましい。エチレン−α−オレフィン共重合体(B)のMFRが0.5g/10分以上であると、フィルム成形時の押出特性が良好となり、フィルムの生産性向上に影響を及ぼす可能性が高くなるため、好ましい。一方、MFRが10g/10分以下であると、ベタツキやブリードアウトが起こり難くなり、さらには、耐衝撃性の向上につながるために、好ましい。
なお、エチレン−α−オレフィン共重合体(B)のMFRは、JIS K7210:1999の附属書A表1、条件D(190℃、2.16kg荷重)に準拠して測定する値である。これらエチレン−α−オレフィン共重合体(B)の入手方法は、市販の樹脂を利用できる。
[プロピレン重合体(C)]
本発明で用いるプロピレン重合体(C)は、プロピレン単独重合体又はα−オレフィン含有量が1.0重量%未満のプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体である。プロピレンとの共重合成分であるα−オレフィンは1種又は2種以上の組み合わせでもよい。α−オレフィンは、好ましくはエチレン又は炭素数4〜18のα−オレフィン、より好ましくはエチレン又は炭素数4〜10のα−オレフィン、さらに好ましくはエチレン又は1−ブテンである。具体的には、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ヘキセン等を挙げることができる。α−オレフィンの含有量が、1.0重量%未満であるプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体又は0重量%であるプロピレン単独重合体であると、フィルムの耐熱性が十分となり、溶断シール工程において、糸状に付着する溶断シール刃への樹脂残り発生を抑制することができ、適するものとなる。
プロピレン重合体(C)のメルトフローレート(MFR(230℃、2.16kg荷重))は、1.0〜20g/10分の範囲であることが好ましい。より好ましいMFRの範囲としては1.5〜15g/10分であり、さらに好ましくは2.0〜10g/10分である。1.0g/10分以上であれば、流動性が十分となり、溶融押出成形加工時において押出機の負荷が高すぎるなどの問題が回避され、一方、20g/10分以下であると、溶断シール後のシール玉が形状を維持したまま融着・固化することにより、シール玉のエッジ部からのフィルム破断を抑制することができるので高い溶断シール強度が得られ、溶断シール袋としての特性を満たし、適するものとなる。
また、プロピレン重合体(C)の融点は、155〜170℃の範囲であることが好ましい。融点の範囲として、より好ましくは157〜168℃、さらに好ましくは159〜166℃である。155℃以上であると、フィルムの耐熱性が十分となり、溶断シール工程において、糸状に付着する溶断シール刃への樹脂残り発生を抑制することができ、一方、170℃以下であると、短い時間で溶断・融着させることができ、溶断シール工程の生産性を妨げず、溶断シール袋に求められる特性を満たし、適するものとなる。
なお、これらプロピレン重合体(C)の入手方法は、市販の樹脂を利用するほか、各種公知のプロピレン重合用触媒を用いて公知の重合方法によって製造されたものが利用できる。
プロピレン重合体(C)の製造方法については、特に制限はなく、従来公知のスラリー重合法、バルク重合法、気相重合法等のいずれの重合方法でも製造可能であり、また、MFRが1.0〜20g/10分の範囲内であれば、多段重合法を利用して製造することも可能である。
[プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D)]
本発明で用いるプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D)は、プロピレンとα−オレフィンとのランダム共重合体であり、プロピレンとの共重合成分であるα−オレフィンは1種又は2種以上の組み合わせでもよい。α−オレフィンは、好ましくはエチレン又は炭素数4〜18のα−オレフィン、より好ましくはエチレン又は炭素数4〜10のα−オレフィン、さらに好ましくはエチレン又は1−ブテンである。具体的には、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ヘキセン等を挙げることができる。
プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D)において、プロピレンとの共重合成分であるα−オレフィンの含有量は、10〜40重量%の範囲であることが必要である。α−オレフィンの含有量の範囲として、好ましくは15〜35重量%である。10重量%以上であれば、十分な耐衝撃性が確保でき、一方、40重量%以下であれば、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D)のプロピレン重合体(C)に対する相溶性が確保でき、フィルム透明性の悪化や滑剤ブリード量の低下を抑制することができる。
プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D)のメルトフローレート(MFR(230℃、2.16kg荷重))は、0.5〜5g/10分であることが必要である。MFRの範囲として、好ましくは0.5〜4g/10分である。0.5g/10分以上であれば、フィルム成形時にプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D)が配向することでフィルムの透明性を阻害せず、一方、5g/10分以下であれば、溶断シール性の低下を引き起こすことなく、また、フィルムのブリード物の主要因の一つである低分子量成分の量が抑制され、包装体内容物の汚染を回避することができる。
なお、これらプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D)の入手方法は、市販の樹脂を利用するほか、各種公知のプロピレン重合用触媒を用いて公知の重合方法によって製造されたものが利用できる。
プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D)の製造方法については、特に制限はなく、従来公知のスラリー重合法、バルク重合法、気相重合法等のいずれの重合方法でも製造可能であり、また、MFRが0.5〜5g/10分の範囲内であれば、多段重合法を利用して製造することも可能である。
さらには、プロピレン重合体(C)を製造する重合工程(i)と、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D)を製造する重合工程(ii)とが連続した、2段以上の多段重合法を利用して各重合体を製造することも可能である。この場合、得られる組成物は、プロピレン重合体(C´)とプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D´)とからなる多段重合体であり、いわゆるプロピレン−α−オレフィンブロック共重合体(E)と呼ばれるものであり、プロピレン重合体(C´)とプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D´)の混合物として得られる重合体である。なお、耐衝撃性向上の観点からは、各々が独立した重合により製造されたプロピレン重合体(C)とプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D)とを用いるよりも、各々が連続した多段重合法にて製造されたプロピレン−α−オレフィンブロック共重合体(E)を用いた方が、好ましい。
ここで、プロピレン重合体(C´)とプロピレン重合体(C)、及び、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D´)とプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D)の違いは、各々、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体(E)の構成成分か否かにおいてのみを区別するものである。したがって、本発明において、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体(E)を用いるに当たっては、プロピレン重合体(C´)は本願請求項1に記載のプロピレン重合体(C)の構成要件を、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D´)は本願請求項1に記載のプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D)の構成要件を、各々、満たす必要がある。
また、本願請求項1に記載の各構成要件を満たす限りにおいては、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体(E)に対し、さらに、プロピレン重合体(C)やプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D)を配合し、基材層を構成する樹脂組成物として用いることもできる。
[プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体(E)の製造方法]
本発明で使用するプロピレン−α−オレフィンブロック共重合体(E)は、多段重合法により得られ、プロピレン単独重合体又はα−オレフィン含有量が1重量%未満の共重合体であるプロピレン重合体(C´)と、α−オレフィン含有量が10〜40重量%であるプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D´)からなる多段重合体である。
本発明に用いるプロピレン−α−オレフィンブロック共重合体(E)は、上記の物性を有すれば、どのような製造方法によってもよいが、以下の原料、重合方法によって、好ましく製造することができる。
(1)使用原料
本発明に用いられるプロピレン−α−オレフィンブロック共重合体(E)を製造するに際し、使用される触媒としては、マグネシウム、ハロゲン、チタン、電子供与体を触媒成分とするマグネシウム担持型触媒、又は三塩化チタンを触媒とする固体触媒成分と有機アルミニウムからなる触媒、又はメタロセン触媒が使用できる。
具体的な触媒の製造法は、特に限定されるものではないが、一例として、特開2007−254671号公報に開示されたチーグラー触媒を例示することができる。
また、重合される原料オレフィンは、主原料成分であるプロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンである。α−オレフィンは、好ましくはエチレン又は炭素数4〜18のα−オレフィン、より好ましくはエチレン又は炭素数4〜10のα−オレフィン、さらに好ましくはエチレン又は1−ブテン、特に好ましくはエチレンである。具体的には、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ヘキセン等を挙げることができる。
(2)重合工程
前記触媒の存在下に行う重合工程は、プロピレン系重合体を製造する重合工程(i)、プロピレンにα−オレフィンを、α−オレフィン含有量が10〜40重量%の割合で重合させる重合工程(ii)の2段階からなる。
(2−1)重合工程(i);
重合工程(i)は、プロピレン単独かプロピレン/α−オレフィンの混合物を、前記触媒を加えた重合系に供給して、プロピレン単独重合体又はα−オレフィン含有量が1重量%未満であるプロピレン重合体(C´)を、全重合体量の、好ましくは60〜95重量%に相当する量となるように、生成させる工程である。
以下に、プロピレン重合体(C´)の製造方法について説明する。
プロピレン重合体(C´)のMFR(C´)は、水素を連鎖移動剤として用いることにより調整することができる。
具体的には、連鎖移動剤である水素の濃度を高くするとプロピレン重合体(C´)のMFR(C´)が高くなる。逆も又同様である。重合槽における水素の濃度を高くするには、重合槽への水素の供給量を高くすればよく、当業者にとって、調整は極めて容易である。
また、プロピレン重合体(C´)がプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体である場合には、α−オレフィン含有量を制御する手段として、重合槽に供給するα−オレフィンの量を制御する方法を用いるのが簡便である。具体的には、重合槽に供給するα−オレフィンのプロピレンに対する量比(α−オレフィン供給量÷プロピレン供給量)を高くすれば、得られるプロピレン重合体(C´)のα−オレフィン含有量は高くなる。逆も同様である。
重合槽に供給するプロピレンとα−オレフィン量比と得られるプロピレン重合体(C´)のα−オレフィン含有量との関係は、使用する触媒の種類によって異なるが、適宜供給量比を調整することによって、目的のα−オレフィン含有量を有するプロピレン重合体(C´)を得ることは、当業者にとって極めて容易なことである。
(2−2)重合工程(ii);
重合工程(ii)は、重合工程(i)に引き続いて、プロピレン/α−オレフィン混合物をさらに導入して、α−オレフィン含有量が10〜40重量%のプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D´)を得る工程である。
この工程では、全重合体量の、好ましくは5〜40重量%に相当する重合体を生成させる。
以下に、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D´)の製造方法について、説明する。
プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D´)のMFR(D´)は、水素を連鎖移動剤として用いることにより、調整することができる。
具体的な制御方法は、プロピレン重合体(C´)のMFRの制御方法と同じである。
また、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D´)のα−オレフィン含有量を制御する手段として、重合槽に供給するα−オレフィンの量を制御する方法を用いるのが簡便である。具体的な制御方法は、プロピレン重合体(C´)がプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体である場合と同じである。
(3)プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体(E)のインデックスの制御方法
次に、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体(E)のインデックスの制御方法について説明する。
本発明のプロピレン−α−オレフィンブロック共重合体(E)は、プロピレン重合体(C´)とプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D´)とからなるものである。従って、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体(E)のインデックスを制御する上で考慮すべき項目は、α−オレフィン含有量[αO(E)]、MFR(E)、プロピレン系重合体(C´)とプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D´)の重量比の3つである。
まず、プロピレン重合体(C´)とプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D´)の重量比の制御方法から説明する。
プロピレン重合体(C´)とプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D´)の重量比は、プロピレン重合体(C´)を製造する重合工程(i)における製造量とプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D´)を製造する重合工程(ii)における製造量によって制御する。例えば、プロピレン重合体(C´)の量を増やして、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D´)の量を減らすためには、重合工程(i)の製造量を維持したまま、重合工程(ii)の製造量を減らせばよく、それは、重合工程(ii)の滞留時間を短くしたり、重合温度を下げたりすればよい。また、エタノールや酸素などの重合抑制剤を添加したり、元々添加している場合には、その添加量を増やしたりすることでも制御することができる。その逆も又同様である。
通常、プロピレン重合体(C´)とプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D´)の重量比は、プロピレン重合体(C´)を製造する重合工程(i)における製造量と、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D´)を製造する重合工程(ii)における製造量で定義する。
式を、以下に示す
成分(C´)の重量:成分(D´)の重量=W(C´):W(D´)
W(C´)=重合工程(i)の製造量÷(重合工程(i)の製造量+重合工程(ii)の製造量)
W(D´)=重合工程(ii)の製造量÷(重合工程(i)の製造量+重合工程(ii)の製造量)
W(C´)+W(D´)=1
(ここで、W(C´)、W(D´)は、それぞれプロピレン−α−オレフィンブロック共重合体(E)におけるプロピレン重合体(C´)とプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D´)の重量比率である。)
工業的な製造設備では、各重合槽のヒートバランスやマテリアルバランスから製造量を求めるのが通常である。また、プロピレン重合体(C´)とプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D´)の結晶性が充分異なる場合には、TREF(温度昇温溶離分別法)などの分析手法を用いて、両者を分離同定し、量比を求めることでもよい。ポリプロピレンの結晶性分布をTREF測定により評価する手法は、当業者によく知られたものであり、G.Glokner,J.Appl.Polym.Sci:Appl.Poly.Symp.;45,1−24(1990)、L.Wild,Adv.Polym.Sci.;98,1−47(1990)、J.B.P.Soares,A.E.Hamielec,Polyer;36,8,1639−1654(1995)などの文献に詳細な測定法が示されている。
次に、α−オレフィン含有量[αO(E)]の制御方法について説明する。
プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体(E)は、プロピレン重合体(C´)とプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D´)の混合物であるから、それぞれのα−オレフィン含有量の間には、以下の関係式が成立する。
αO(E)=αO(C´)×W(C´)+αO(D´)×W(D´)
(ここで、αO(E)、αO(C´)、αO(D´)は、それぞれ、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体(E)、プロピレン重合体(C´)、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D´)のα−オレフィン含有量である。)
この式は、α−オレフィン含有量に関するマテリアルバランスを示すものである。
従って、プロピレン重合体(C´)とプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D´)の重量比が決まれば、すなわち、W(C´)とW(D´)が決まれば、αO(E)は、αO(C´)とαO(D´)によって、一意的に定まる。つまり、プロピレン重合体(C´)とプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D´)の重量比、αO(C´)、αO(D´)の3つの因子を制御することにより、αO(E)を制御することができる。例えば、αO(E)を高くするためには、αO(C´)を高くしてもよいし、αO(D´)を高くしてもよい。また、αO(D´)がαO(C´)よりも高いことに留意すれば、W(C´)を小さくして、W(D´)を大きくしてもよいことも容易に理解できよう。逆方向の制御方法も同様である。
なお、実際に測定値を直接得られるのは、αO(E)とαO(C´)であり、両者の測定値を使って、αO(D´)を計算することになる。従って、仮に、αO(E)を高くする操作を行う際に、αO(D´)を高くする操作、すなわち、重合工程(ii)に供給するエチレンの量を増やす操作を手段として選ぶ場合、測定値として直接確認できるのは、αO(E)であって、αO(D´)ではないが、αO(E)が高くなる原因は、αO(D´)が高くなることにあるのは自明である。
最後に、MFR(E)の制御方法について説明する。
本発明においては、MFR(D´)を以下の式で定義することにする。
MFR(D´)=exp{(log[MFR(E)]−W(C´)×log[MFR(C´)])÷W(D´)}
(ここで、logは、eを底とする対数である。MFR(E)、MFR(C´)、MFR(D´)は、それぞれ、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体(E)、プロピレン重合体(C´)、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D´)のMFRである。)
この式は、一般に粘度の対数加成則と呼ばれる経験式
log[MFR(E)]=W(C´)×log[MFR(C´)]+W(D´)×log[MFR(D´)]
を変形したものであり、当業界で日常的に使われるものである。
この式で定義するために、プロピレン重合体(C´)とプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D´)の重量比、MFR(E)、MFR(C´)、MFR(D´)は、独立ではない。故に、MFR(E)を制御するには、プロピレン重合体(C´)とプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D´)の重量比、MFR(C´)、MFR(D´)の3つの因子を制御すればよい。例えば、MFR(E)を高くするためには、MFR(C´)を高くしてもよいし、MFR(D´)を高くしてもよい。また、MFR(D´)がMFR(C´)より低い場合には、W(C´)を大きくして、W(D´)を小さくしてもMFR(E)を高くすることができることも容易に理解できよう。逆方向の制御方法も同様である。
なお、実際に測定値を直接得られるのは、MFR(E)とMFR(C´)であり、両者の測定値を使って、MFR(D´)を計算することになる。従って、仮に、MFR(E)を高くする操作を行う際に、MFR(D´)を高くする操作、すなわち、重合工程(ii)に供給する水素の量を増やす操作を手段として選ぶ場合、測定値として直接確認できるのは、MFR(E)であってMFR(D´)ではないが、MFR(E)が高くなる原因は、MFR(D´)が高くなることにあるのは自明である。
プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体の重合プロセスは、回分式、連続式のいずれの方法によっても、実施可能である。この際に、ヘキサン、ヘプタンなどの不活性炭化水素溶媒中で重合を行う方法、不活性溶媒を実質的に用いずプロピレンを溶媒として使用する方法、実質的に液体溶媒を用いずに、ガス状の単量体中で重合を行う方法、さらに、これらを組み合わせた方法を採用することができる。また、重合工程(i)と重合工程(ii)は、同一の重合槽を用いても、別個の重合槽を用いてもよい。
[その他成分]
(1)脂肪酸アマイド系の滑剤
また、本発明の溶断シール用ポリプロピレン系フィルムには、得られる積層フィルムの巻取時や製袋加工時のハンドリング性向上を目的として、脂肪酸アマイド系の滑剤を、積層フィルムを構成する樹脂の総重量100重量部に対して、好ましくは0.03〜0.5重量部添加することができる。
脂肪酸アマイド系の滑剤としては、具体的には、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミドなどが挙げられる。
脂肪酸アマイド系の滑剤の含有量が0.5重量部以下であると、フィルム表面への滑剤のブリードが適量となり、製膜時に密着する各種ロールや、製袋後の内容物に対するブリード物による汚染が起こり難いため、好ましい。また、0.03重量部以上では、滑り性向上が見込め、添加の効果が期待できる。添加量の範囲として、より好ましくは0.05〜0.4重量部である。
(2)その他の配合物
本発明の溶断シール用ポリプロピレン系フィルムには、本発明の効果を損なわない範囲で、フィルム全体又は特定の一つ以上の層の樹脂組成物に対して、本発明とは組成の異なるプロピレン−エチレンブロック共重合体やプロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体、又はスチレン系エラストマーなどを、適宜添加してもよい。
その他、酸化防止剤、紫外線吸収剤、中和剤、造核剤、光安定剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、脂肪酸アマイド系以外の滑剤、臭気吸着剤、抗菌剤、顔料、無機質及び有機質の充填剤並びに種々の合成樹脂などの公知の添加剤を、必要に応じて随時添加することができる。
[シール層を構成する樹脂の配合比率]
本発明の溶断シール用ポリプロピレン系フィルムを構成するシール層は、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)とエチレン−α−オレフィン共重合体(B)からなる。その配合比率は重量比で、(A)+(B)=100重量%とした場合に、(A)/(B)=50/50〜90/10であることが必要である。配合比率の範囲として、好ましくは、(A)/(B)=55/45〜85/15であり、より好ましくは、(A)/(B)=60/40〜80/20である。
エチレン−α−オレフィン共重合体(B)の配合比が10重量%以上であると、低温ヒートシール性の向上と、さらには易開封性の発現が見込まれ、一方、50重量%以下であると、耐熱性に優れ、最大ヒートシール強度の低下も抑制することができる。
[基材層を構成する樹脂の配合比率]
本発明の溶断シール用ポリプロピレン系フィルムを構成する基材層は、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)とプロピレン重合体(C)とプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D)からなり、その配合比率は重量比で、(A)+(C)+(D)=100重量%となる。
プロピレン重合体(C)の配合比率は、60〜95重量%の範囲であることが必要である。好ましい配合比率の範囲は、65〜90重量%であり、より好ましくは、70〜85重量%である。60重量%以上であると、十分な溶断シール強度を得ることができ一方、95重量%以下であると、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D)の配合により付与されるフィルムの耐衝撃性を阻害しない。
プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D)の配合比率は、5〜20重量%の範囲であることが必要である。好ましい配合比率の範囲は、7〜18重量%であり、より好ましくは、10〜15重量%である。5重量%以上であると、フィルムの耐衝撃性が向上し、一方、20重量%以下であると、フィルムの剛性を十分に保持することができる。
プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)の配合比率は、0〜20重量%の範囲であることが必要である。20重量%以下であると、フィルムの溶断シール強度を維持したままで、透明性向上や柔軟性付与の効果が見込まれる。
なお、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)をシール層及び基材層に配合するに当たって、本願請求項1に記載のプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)の構成要件を満たす限りにおいては、各々同一の重合体でもよく、又は、MFRや融点(又はα−オレフィン含有量)が異なる重合体でもよい。
[フィルムの厚み]
本発明の溶断シール用ポリプロピレン系フィルムは、少なくともシール層と基材層の2層からなる積層フィルムである。なお、本発明の効果を損なわない限りにおいて、シール層と基材層の間や、基材層を挟んでシール層の反対面へ、更に1層以上を設けた積層フィルムとしてもよい。この場合、設ける層は、主としてポリプロピレン樹脂から構成されていることが好ましい。
この積層フィルムの総厚は、20〜50μmの範囲にあることが必要である。好ましい総厚の範囲は、25〜45μmである。総厚が20μ以上であれば、輸送や店頭陳列における包装体内容物を十分に保護することができ、一方、50μm以下であれば、生産性の高い製膜速度にてフィルムを得ることが可能である。
また、積層フィルムの総厚に対するシール層の厚み比率は、総厚を100%とした場合に、5〜20%であることが必要である。好ましいシール層の厚み比率の範囲は、10〜15%である。シール層の厚み比率が5%以上であれば、十分なヒートシール強度を得ることができ、一方、20%以下であれば、積層フィルムの剛性や溶断シール強度に対する影響を最小限に抑えることができ、溶断シール用フィルムとしての性能を如何なく発揮することができる。
[フィルム成形]
本発明の溶断シール用ポリプロピレン系フィルムは、高い溶断シール強度を有し、耐衝撃性と透明性とが互いに優れ、主として未延伸フィルムとして用いると、その効果が充分に発揮される。
該フィルムは、溶融押出製膜して得ることができ、一般に工業的に行われているキャスト法、インフレーション法などで製造できる。得られるフィルムは高度の透明性を有し、厚さ30μmの試験片を用いて測定したヘイズ(HAZE)が20%以下であることを特徴とする。
なお、脂肪酸アマイド系の滑剤や、各樹脂を配合するにあたっては、各層に適した配合で、事前に配合して溶融混練の上でペレット化したものをフィルム成形機に供給してもよく、又は、フィルム成形機に供給する際に配合してフィルムとしてもよい。
また、フィルムの表面には、表面の濡れ適性向上のためにコロナ放電処理、火炎処理、オゾン処理などを行うことも可能である。
以下、実施例及び比較例によって本発明を更に詳しく説明するが、本発明は、実施例のみに限定して解釈されるものではない。なお、本発明の詳細な説明及び実施例中の各項目の物性測定や分析値などは、下記の方法に従ったものである。
[樹脂物性]
(1)メルトフローレートMFR(単位:g/10分):
JIS K7210:1999の附属書A表1、条件M(230℃、2.16kg荷重)に準拠して測定した。
(2)融点(単位:℃)
示差走査熱量計(DSC)を用い、一旦200℃まで温度を上げて熱履歴を消去した後、10℃/分の降温速度で40℃まで温度を降下させ、再び昇温速度10℃/分にて測定した際の、吸熱ピークトップの温度を融点(Tm)とした。
(3)プロピレン−エチレンブロック共重合体(E)中のエチレン含有量
重合工程(i)終了時に得られたプロピレン重合体(C´)、及び、重合工程(ii)を経て、得られたプロピレン−エチレンブロック共重合体(E)における各々のエチレン含有量は、プロトン完全デカップリング法により、以下の条件に従って測定した13C−NMRスペクトルを解析することにより求めた。
機種:日本電子(株)製、GSX−400又は同等の装置(炭素核共鳴周波数100MHz以上)
溶媒:o−ジクロロベンゼン+重ベンゼン(4:1(体積比))
濃度:100mg/mL
温度:130℃
パルス角:90°
パルス間隔:15秒
積算回数:5,000回以上
スペクトルの帰属は、例えば、Macromolecules 17,1950 (1984)などを参考に行えばよい。上記条件により測定されたスペクトルの帰属は、下記表1の通りである。表中Sαα等の記号は、Carmanら(Macromolecules 10, 536 (1977))の表記法に従い、Pはメチル炭素、Sはメチレン炭素、Tはメチン炭素をそれぞれ表わす。
Figure 0006954128
以下、「P」を共重合体連鎖中のプロピレン単位、「E」をエチレン単位とすると、連鎖中には、PPP、PPE、EPE、PEP、PEE、及びEEEの6種類のトリアッドが存在し得る。Macromolecules 15,1150 (1982)などに記されているように、これらトリアッドの濃度と、スペクトルのピーク強度とは、以下の(1)〜(6)の関係式で結び付けられる。
[PPP]=k×I(Tββ) (1)
[PPE]=k×I(Tβδ) (2)
[EPE]=k×I(Tδδ) (3)
[PEP]=k×I(Sββ) (4)
[PEE]=k×I(Sβδ) (5)
[EEE]=k×{I(Sδδ)/2+I(Sγδ)/4} (6)
ここで[ ]は、トリアッドの分率を示し、例えば[PPP]は、全トリアッド中のPPPトリアッドの分率である。したがって、
[PPP]+[PPE]+[EPE]+[PEP]+[PEE]+[EEE]=1 (7)
である。また、kは定数であり、Iはスペクトル強度を示し、例えば、I(Tββ)は、Tββに帰属される28.7ppmのピークの強度を意味する。
上記(1)〜(7)の関係式を用いることにより、各トリアッドの分率が求まり、さらに下式によりエチレン含有量が求まる。
エチレン含有量(モル%)=([PEP]+[PEE]+[EEE])×100
なお、エチレン含有量のモル%から重量%への換算は、以下の式を用いて行う。
エチレン含有量(重量%)=(28×X/100)/{28×X/100+42×(1−X/100)}×100
ここで、Xは、モル%表示でのエチレン含有量である。
[フィルム物性]
(1)フィルム厚み(単位:μm)
フィルムの厚みは、ミツトヨ社製シックネスゲージを用いて測定した。
(2)ヘイズ(HAZE)(単位:%)
フィルムのヘイズ(HAZE)は、ASTM D−1003に準拠して測定した。
(3)耐衝撃性(単位:kJ/m)
雰囲気温度23℃にて、JIS P8134に準拠した装置を使用し、得られた値をフィルムの耐衝撃性の尺度とした。具体的には、製膜から7日経過したフィルム試験片を直径50mmのホルダーに固定し、25.4mmの半球型の金属製貫通部で打撃させ、貫通破壊に要した仕事量(J)を測定し、フィルム厚みで除して求めた。
(4)滑り性(動摩擦係数)
製膜後、40℃のオーブン内に7日間静置したフィルムを用い、JIS K−7125に準拠して、対となるフィルムの基材層同士の動摩擦係数を測定した。
この値が小さい程、フィルムが良く滑るということを意味する。フィルム成形加工における巻取時の密着抑制や、製袋加工におけるフィルムの搬送性向上といった観点から、動摩擦係数は0.3以下であることが好ましい。
(5)ヒートシール強度(単位:N/15mm)
製膜後、雰囲気温度23℃にて7日間保管したフィルムを、180mm(MD)×80mm(TD)の短冊状に裁断し、これをTDにシール層を内側にして二つ折りにし、折り目から20mmの位置において対向する2辺を5mm巾で熱圧着した。なおシール条件は、シール温度90℃及び130℃の2水準、シール圧2.0kg/cm(0.196MPa)、シール時間1.0秒にて測定した。
得られた部分融着サンプルをTDが15mm巾となる様に短冊状に切り取り、これをショッパー型引張試験機(テスター産業社製)で300mm/分の速度で引張り、熱融着部を引き剥がすのに有した力を測定し、ヒートシール強度とした。
(6)溶断シール強度(単位:N/15mm)
製膜後、7日間保管したフィルムロール2本を、繰り出されたフィルムのシール層同士が対向するように装着し、さらにフィルムを2つ折りにした状態で、自動製袋機(トタニ技研工業社製)に供給した。そして、溶断シール温度300度、製袋速度120袋/分にて製袋を行った。得られた袋のシール部を15mm幅に裁断し、これを23℃雰囲気下、引張速度300mm/分の条件で、引き剥がすのに要した最大荷重をテンシロン引張試験器にて測定し、溶断シール強度とした。
(7)引張弾性率(単位:MPa)
製膜後、雰囲気温度23℃にて7日間保管したフィルムを、150mm(MD)×15mm(TD)の短冊状に裁断した後、MDの両端をチャック間距離:100mmとなるように固定し、クロスヘッド速度:1mm/分の条件にて引張弾性率を測定した。なお、引張弾性率の計算方法は、JIS K7127に準拠した。
[使用樹脂]
実施例及び比較例に使用した各樹脂を以下に示す。
[プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)]
A−1;
日本ポリプロ(株)製、商品名:ノバテックPP、グレード名:FX4G
チーグラー・ナッタ触媒によるプロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体
MFR=5.0g/10分、Tm=128℃
[エチレン−α−オレフィン共重合体(B)]
B−1;
日本ポリエチレン(株)製、商品名:カーネル、グレード名:KS340T
メタロセン触媒によるエチレン−α−オレフィン共重合体
MFR=3.5g/10分(ただし、190℃、2.16kg荷重)、密度:0.880g/cm
[プロピレン重合体(C)]
C−1;
日本ポリプロ(株)製、商品名:ノバテックPP、グレード名:FB3B
チーグラー・ナッタ触媒によるプロピレン単独重合体
MFR=7.5g/10分、Tm=161℃
[プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D)]
D−1;
エクソンモービル社製、商品名:Vistamaxx6102
メタロセン触媒によるプロピレン−エチレンランダム共重合体
MFR=3g/10分、エチレン含有量=16重量%
D−2
エクソンモービル社製、商品名:Vistamaxx3000
メタロセン触媒によるプロピレン−エチレンランダム共重合体
MFR=8g/10分、エチレン含有量=11重量%
[プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体(E)]
後記製造例で製造されたポリプロピレン樹脂(E−1)、(E−2)を使用した。
[プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体(E)の製造例]
プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体(E)として、プロピレン−エチレンブロック共重合体(E)の製造を以下のとおり行った。
1.触媒組成の分析
以下の製造例において、触媒組成の分析は、以下のようにして行った。
(1)Ti含有量:
試料を精確に秤量し、加水分解した上で比色法を用いて測定した。予備重合後の試料については、予備重合ポリマーを除いた重量を用いて含有量を計算した。
(2)ケイ素化合物含有量:
試料を精確に秤量し、メタノールで分解した。ガスクロマトグラフィーを用いて標準サンプルと比較することにより、得られたメタノール溶液中のケイ素化合物濃度を求めた。
メタノール中のケイ素化合物濃度と試料の重量から、試料に含まれるケイ素化合物の含有量を計算した。予備重合後の試料については、予備重合ポリマーを除いた重量を用いて含有量を計算した。
2.予備重合触媒の調製
(1)固体成分の調製
撹拌装置を備えた容量10Lのオートクレーブを充分に窒素で置換し、精製したトルエン2Lを導入した。ここに、室温で、Mg(OEt)を200g投入し、TiClを1Lゆっくりと添加した。温度を90℃に上げて、フタル酸ジ−n−ブチルを50ml導入した。その後、温度を110℃に上げて3hr反応を行った。反応生成物を精製したトルエンで充分に洗浄した。
次いで、精製したトルエンを導入して全体の液量を2Lに調整した。室温でTiClを1L添加し、温度を110℃に上げて2hr反応を行った。反応生成物を精製したトルエンで充分に洗浄した。更に、精製したn−ヘプタンを用いて、トルエンをn−ヘプタンで置換し、固体成分のスラリーを得た。
このスラリーの一部をサンプリングして乾燥した。分析したところ、固体成分のTi含有量は2.7重量%であった。
次に、撹拌装置を備えた容量20Lのオートクレーブを充分に窒素で置換し、上記固体成分のスラリーを固体成分として100g導入した。精製したn−ヘプタンを導入して、固体成分の濃度が25g/Lとなる様に調整した。SiClを50ml加え、90℃で1hr反応を行った。反応生成物を精製したn−ヘプタンで充分に洗浄した。
その後、精製したn−ヘプタンを導入して液レベルを4Lに調整した。ここに、ジメチルジビニルシランを30ml、i−PrSi(OMe)を30ml、EtAlのn−ヘプタン希釈液をEtAlとして80g添加し、40℃で2hr反応を行った。反応生成物を精製したn−ヘプタンで充分に洗浄し、固体触媒を得た。
得られた固体触媒のスラリーの一部をサンプリングして乾燥し、分析を行った。固体触媒には、Tiが1.2重量%、i−PrSi(OMe)が8.9重量%、含まれていた。
(2)予備重合
上記で得られた固体触媒を用いて、以下の手順により予備重合を行った。
上記のスラリーに精製したn−ヘプタンを導入して、固体触媒の濃度が20g/Lとなる様に調整した。スラリーを10℃に冷却した後、EtAlのn−ヘプタン希釈液をEtAlとして10g添加し、280gのプロピレンを4hrかけて供給した。プロピレンの供給が終わった後、更に30分反応を継続した。
次いで、気相部を窒素で充分に置換し、反応生成物を精製したn−ヘプタンで充分に洗浄した。得られたスラリーをオートクレーブから抜き出し、真空乾燥を行って予備重合触媒を得た。
この予備重合触媒は、固体触媒1gあたり2.5gのポリプロピレンを含んでいた。分析したところ、この予備重合触媒のポリプロピレンを除いた部分には、Tiが1.0重量%、i−PrSi(OMe)が8.3重量%含まれていた。
この予備重合触媒を用いて、以下の手順に従って、プロピレン−エチレンブロック共重合体(E)の製造を行った。
3.プロピレン−エチレンブロック共重合体(E)の製造
[製造例A−1]
内容積2mの流動床型重合槽が2個直列に繋がった2槽連続重合設備を用いて、プロピレン−エチレンブロック共重合体の製造を行った。
使用するプロピレン、エチレン、水素、窒素は、一般的な精製触媒を用いて精製したものを使用した。第1重合槽におけるプロピレン重合体(C´)の製造量、及び、第2重合槽におけるプロピレン−エチレンランダム共重合体(D´)の製造量は、重合槽の温度制御に使用する熱交換器の冷却水温度の値から求めた。
(1)重合工程(i):プロピレン重合体(C´)の製造
第1重合槽を用いてプロピレンの単独重合を行った。重合温度は65℃、全圧は3.0MPaG、パウダーホールド量は40kgとした。重合槽に連続的にプロピレン、水素、及び、窒素を供給し、プロピレン及び水素の濃度がそれぞれ70.83mol%、0.49mol%となる様に調整した。助触媒として、EtAlを5.0g/hの速度で連続的に供給した。第1重合槽におけるプロピレン重合体(C´)の製造量が20.0kg/hとなる様に、上記で得られた予備重合触媒を重合槽に連続的に供給した。生成したプロピレン重合体(C´)は連続的に抜き出しを行い、パウダーホールド量が40kgで一定となる様に調整した。第1重合槽から抜き出したプロピレン重合体(C´)は、第2重合槽に連続的に供給し、プロピレン−エチレンランダム共重合体(D´)の製造を引き続いて行った。
第1重合槽で生成したプロピレン重合体(C´)の一部を抜き出して分析したところ、MFR(C´)は3.9g/10分であった。また、プロピレン重合体(C´)の製造量を供給した触媒量(但し予備重合触媒に含まれるポリプロピレンを除く)で割った値から触媒活性を計算したところ、重合工程(i)における触媒活性は、22kg−PP/g−触媒であった。
(2)重合工程(ii):プロピレン−エチレンランダム共重合体(D´)の製造
第2重合槽を用いてプロピレンとエチレンのランダム共重合を行った。重合温度は65℃、全圧は2.0MPaG、パウダーホールド量は40kgとした。重合槽に連続的にプロピレン、エチレン、水素、及び、窒素を供給し、プロピレン、エチレン、及び、水素の濃度がそれぞれ62.00mol%、9.43mol%、3.57mol%となる様に調整した。重合抑制剤であるエタノールを連続的に供給する事によって、第2重合槽におけるプロピレン−エチレンランダム共重合体(D´)の製造量が5.0kg/hとなる様に調整した。こうして生成したプロピレン−エチレンブロック共重合体(E)は連続的に抜き出しを行い、パウダーホールド量が40kgで一定となる様に調整を行った。第2重合槽から抜き出したプロピレン−エチレンブロック共重合体(E)は、更に乾燥機に移送し、充分に乾燥を行った。
生成したプロピレン−エチレンブロック共重合体(E)の一部を分析したところ、MFR(E)は3.8g/10分、エチレン含有量Et(E)は4.6重量%であった。重合工程(i)の製造量と重合工程(ii)の製造量から、プロピレン重合体(C´)の重量比率W(C´)とプロピレン−エチレンランダム共重合体(D´)の重量比率W(D´)を求めたところ、それぞれ、0.80、0.20であった。
こうして得られたW(C´)、W(D´)、Et(E)、MFR(C´)、MFR(E)から、プロピレン−エチレンランダム共重合体(D´)のエチレン含有量E(D´)及びMFR(D´)を計算した。計算には以下の式を使用した。
Et(D´)={Et(E)−Et(C´)×W(C´)}÷W(D´)
MFR(D´)=exp{(log[MFR(E)]−W(C´)×log[MFR(C´)])÷W(D´)}
(ここで、プロピレン重合体(C´)は、プロピレン単独重合体なのでE(C´)は0重量%である。また、上記の2式は、前記段落[0041]と[0043]に記載したものを、Et(D´)、MFR(D´)について、整理し直したものである。)
エチレン含有量[Et(D´)]は23.0重量%、MFR(D´)は3.4g/10分であった。
[製造例E−2]
表2に記載の条件を用いた他は、上記製造例E−1と同様にして、プロピレン−エチレンブロック共重合体(E)の製造を行った。結果を表2に示す。
4.プロピレン−エチレンブロック共重合体(E)のペレット化
上記製造方法にて得られたプロピレン−エチレンブロック共重合体(E−1)、又は(E−2)100重量部に対して、テトラキス[メチレン−3−(3´,5´−ジ−t−ブチル−4´−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン0.05重量部、トリス(2,4−ジ−t―ブチルフェニル)ホスファイト0.05重量部、ステアリン酸カルシウム0.05重量部を加えて、タンブラーにてそれぞれ混合し均一化し、得られた混合物を、35mm径の二軸押出機により230℃で溶融混練し、ペレット化した。その混練条件を下記に示す。
(混練条件)
混練機:東芝機械(株)製35mm径同方向二軸混練機
混練温度:230℃
スクリュー回転数:250rpm
フィーダー回転数:50rpm
Figure 0006954128
[実施例1〜5及び比較例1〜10]
サテライト押出機20mmφ、メイン押出機35mmφを有する2層Tダイ(ダイ幅300mm、リップ開度0.8mm)を用いて、サテライトをシール層、メインを基材層として、260℃で溶融押出しを行った。なお、シール層、基材層の各層を構成する樹脂100重量部に対して、ポリプロピレン(融点142℃、MFR=8g/10分)をベースとしたエルカ酸アマイド4重量%マスターバッチを3部添加し、溶融押出しを行った。これを、35℃に温調され、20m/分で回転する#200梨地表面加工された冷却ロールにて冷却固化させて、総厚30μmの2種2層未延伸フィルムを得た。
実施例、比較例の各フィルム構成や、得られたフィルムの物性を、表3に示す。
Figure 0006954128
[実施例と比較例の結果の考察]
表3から明らかなように、本発明による溶断シール用ポリプロピレン系フィルムは、高い溶断シール強度を有するのみならず、耐衝撃性と透明性とが互いに優れる(実施例1〜5)。
一方で、本発明の要件を満たさない溶断シール用ポリプロピレン系フィルムは、各評価項目をバランス良く満足できない。(比較例1〜10)。
以上の結果より、本発明の各実施例においては、各比較例と比して、溶断シール用ポリプロピレン系フィルムの各性能がバランス良く、おしなべて顕著に優れており、本発明の構成の合理性と有意性及び従来技術に対する卓越性を明示しているといえる。
本発明の溶断シール用ポリプロピレン系フィルムは、高い溶断シール強度を有するだけではなく、更には、優れた透明性と耐衝撃性とを同時に呈する。
すなわち、溶断シール用ポリプロピレン系フィルムとして要求される加工適性や機械物性のみならず、透明性にも秀でており、今まさに市場から求められている、溶断シール用ポリプロピレン系フィルムとして、有効に用いることができる。

Claims (4)

  1. シール層と基材層の少なくとも2層からなる積層フィルムであって、下記(i)〜(iii)の条件を満たし、厚さ30μmの試験片を用いて測定したヘイズ(HAZE)が20%以下であることを特徴とする溶断シール用ポリプロピレン系フィルム。
    (i)シール層が、α−オレフィン含有量が1〜5重量%であるプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)50〜90重量%とエチレン−α−オレフィン共重合体(B)50〜10重量%からなる。
    (ii)基材層が、α−オレフィン含有量が1〜5重量%であるプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)0〜20重量%と、プロピレン単独重合体又はα−オレフィンエチレン含有量有量が1重量%未満であるプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体であるプロピレン重合体(C)60〜95重量%と、下記(d1)〜(d2)を満たすプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D)5〜20重量%からなる。
    (d1)プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D)は、α−オレフィン含有量が10〜40重量%である。
    (d2)プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D)のMFR(230℃、2.16kg荷重)が0.5〜5g/10分である。
    (iii)積層フィルムの総厚が20〜50μmであり、総厚に対するシール層の厚み比率が5〜20%である。
  2. プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)は、MFR(230℃、2.16kg荷重)が1.0〜20g/10分であることを特徴とする請求項1に記載の溶断シール用ポリプロピレン系フィルム。
  3. エチレン−α−オレフィン共重合体(B)は、密度が0.860〜0.910g/cmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の溶断シール用ポリプロピレン系フィルム。
  4. さらに、脂肪酸アマイド系の滑剤を、積層フィルムを構成する樹脂の総重量に対して、0.03〜0.5重量部含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の溶断シール用ポリプロピレン系フィルム
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