JP4379969B2 - ポリエチレン組成物およびそのフィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリエチレン組成物およびそのフィルムに関する。さらに詳細には、フィルムにした場合に光沢性、透明性等の外観に優れ、かつ耐ブロッキング性、滑り性等の取り扱い性に優れたポリエチレン組成物およびそのフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、プラスチックフィルムを用いた包装用材料が持つ取り扱い易さ等の特徴が評価され、エチレン系樹脂等を用いたプラスチックフィルムの需要が伸びて来ている。包装用材料に用いるフィルムの特性としては、フィルム成形時の成膜加工性が良いこと、内容物が明瞭に見えること等に関係してフイルムの光沢性や透明性等の外観が優れること、製袋時に取り扱い易いことや充填時、特に自動充填時に袋の口が開き易いこと等に関係してフィルムの耐ブロッキング性、滑り性等に優れることが要求される。
【0003】
このようなフィルムに用いられるエチレン系樹脂としては、エチレン−α−オレフィン共重合体が好適に用いられるが、フィルムの外観と透明性の点から、エチレン−α−オレフィン共重合体を単独で使用することは困難である。これを改良するために、高圧ラジカル重合法により得られる低密度ポリエチレンを混合することが報告されている。
例えば、特開昭62−10150号公報には、触媒の存在下、高圧イオン重合法により得られたエチレン−α−オレフィン共重合体と高圧ラジカル重合法により得られたスウェル比(SR)が1.70以上の低密度ポリエチレンを含有するインフレーションフイルム用樹脂組成物が開示され、そのインフレーションフィルムは成形加工性と光学的性質に優れると記載されているが、その光沢性や透明性の点で満足できるものではなかった。また、高圧イオン重合法により得られたエチレン−α−オレフィン共重合体は、成形加工時の発煙、ガスの発生の原因となる揮発成分を含んでいる。
【0004】
そこで、高圧イオン重合法で製造されたエチレン−α−オレフィン共重合体に替えて、気相重合法で製造されたエチレン−α−オレフィン共重合体を使用することが報告されている。実質的に溶媒の不存在下で重合が進む気相重合法により得られるエチレン−α−オレフィン共重合体は、成形加工時の発煙、ガスの発生の原因となる揮発成分の含有量が低いという利点がある。
例えば、特公昭62−38375号公報には、気相重合法で製造されたエチレン−α−オレフィン共重合体と高圧ラジカル重合法により製造された低密度ポリエチレンからなり、メルトフローレートが0.25g/10分以下である樹脂組成物が開示されている。しかし、その樹脂組成物から得られるフィルムは、透明性や光沢性の点で満足できるものではなかった。
【0005】
また、一般に気相重合法で製造されたエチレン−α−オレフィン共重合体はブロッキング等の原因となる冷キシレン可溶部(CXS成分)が多いため、製膜後のフィルムの光沢性や透明性等の外観と耐ブロッキング性、滑り性等の取り扱い性のバランスに関して、改良が望まれていた。
【0006】
以上のような状況の中で、揮発成分の含有量が少なく成形加工時に発煙、ガスの発生等の問題が無く、光沢性や透明性等の外観に優れ、かつ耐ブロッキング性、滑り性等の取り扱い性に優れた材料が望まれていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、チーグラー・ナッタ系触媒を用いて気相重合法により得られたエチレン−α−オレフィン共重合体を用い、光沢性や透明性等の外観に優れ、耐ブロッキング性、滑り性等の取り扱い性にも優れ、かつそれらのバランスが優れた樹脂組成物及びそのフィルムを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、気相重合法により得られた特定のエチレン−α−オレフィン共重合体と、高圧ラジカル重合法により得られた特定の低密度ポリエチレン、特定量の抗ブロッキング剤成分及び滑剤成分を含有する樹脂組成物が本発明の目的を達成することを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、触媒の存在下、気相重合法により得られるエチレン−α−オレフィン共重合体成分(A)60〜90重量%と高圧ラジカル重合法により得られる低密度ポリエチレン成分(B)40〜10重量%(成分(A)と成分(B)の合計を100重量%とする。)の合計100重量部に対して、抗ブロッキング剤成分(C)0.05〜0.60重量部及び滑剤成分(D)0.07〜0.35重量部を含有するポリエチレン組成物であり、
該エチレン−α−オレフィン共重合体成分(A)が、
(A−1)メルトフローレート(MFR):0.3〜5.0g/10分
(A−2)メルトフローレート比(MFRR):20以上
(A−3)密度:0.910〜0.930g/cm3
(A−4)冷キシレン可溶部(CXS)(重量%)が式(1)に示される範囲
1.5×10-4×d-125×MFR0.5+0.3<CXS 式(1)
であり、
該低密度ポリエチレン成分(B)が、
(B−1)メルトフローレート(MFR):0.1〜10g/10分
(B−2)スウェル比(SR):1.40〜1.60
であるポリエチレン組成物に係るものである。
また、本発明は、上記エチレン−α−オレフィン共重合体組成物からなるフィルムに係るものである。
以下、本発明につき詳細に説明する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明における触媒の存在下に行う気相重合法とは、実質的に溶媒が存在せず、固相及び気相下において重合が進行して重合体を製造する方法であれば特に何ら制限はない。縦型反応器や横型反応器等の公知の反応器を用いることができ、それらは撹拌機を有していても、有していなくても良く、またそれらを複数個用いても良い。そして、その製造方法は連続式でも回分式でも良い。重合圧力は常圧〜40kg/cm2、重合温度は55〜95℃の範囲で任意の値を選ぶことができる。
【0011】
本発明における触媒とは、チーグラー・ナッタ系触媒で、エチレンとα-オレフィンを共重合させることができる触媒系であり、例えば、特開平5−117317号公報、特開平9−169810号公報、特開平10−120728号公報等に記載の触媒系が挙げられる。
【0012】
実質的に溶媒が存在しない気相重合法においては、溶媒の回収、精製工程が省略でき、得られたエチレン−α−オレフィン共重合体を用いてフィルムを成形加工する時に、発煙、ガス発生の原因となる揮発成分の含有率を低くすることができる。
【0013】
本発明に記載のエチレン−α−オレフィン共重合体成分(A)とは、エチレンと1種類以上の炭素原子数3〜12個のα−オレフィンとの共重合体である。
α−オレフィンとしては、例えばプロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、4−メチル−1−ペンテン、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1等が挙げられ、好ましくはプロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1であり、さらに好ましくはブテン−1、ヘキセン−1である。
【0014】
エチレン−α−オレフィン共重合体成分(A)としては、例えばエチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−ヘキセン−1共重合体、エチレン−オクテン−1共重合体等が挙げられ、好ましくはエチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−ヘキセン−1共重合体、エチレン−オクテン−1共重合体、さらに好ましくはエチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−ヘキセン−1共重合体である。
【0015】
エチレン−α−オレフィン共重合体成分(A)のα−オレフィンの含有量は、好ましくは0.5〜30モル%であり、特に好ましくは1.0〜20モル%である。
【0016】
エチレン−α−オレフィン共重合体成分(A)のメルトフローレート(MFR)は、0.3〜5.0g/10分であり、好ましくは0.5〜3.0g/10分であり、特に好ましくは0.7〜2.5g/10分である。
【0017】
メルトフローレート(MFR)が0.3g/10分未満の場合、製膜加工時の押出し負荷が過大になりメルトフラクチャーが発生する等の問題が生じ易くなることがある。メルトフローレート(MFR)が5.0g/10分を超えた場合、フイルムの機械特性が損なわれたり、製膜安定性が不充分なことがある。
【0018】
エチレン−α−オレフィン共重合体成分(A)のメルトフローレート比(MFRR)は、20以上であり、好ましくは21以上である。
【0019】
メルトフローレート比(MFRR)が20未満の場合、製膜加工時の押出し負荷が過大になりメルトフラクチャーが発生する等の問題が生じ易くなる。
【0020】
エチレン−α−オレフィン共重合体成分(A)の密度は、0.910〜0.930g/cm3であり、好ましくは0.915〜0.930g/cm3、特に好ましくは0.918〜0.927g/cm3である。
【0021】
密度が0.910g/cm3未満の場合、耐ブロッキング性の悪化や剛性の不足等が起こり、フィルムの取り扱い性が悪くなることがある。密度が0.930g/cm3を超えた場合、フィルムの光沢性、透明性が不充分なことがある。
【0022】
エチレン−α−オレフィン共重合体成分(A)の冷キシレン可溶部(CXS)(重量%)は、式(1)に示される範囲
1.5×10-4×d-125×MFR0.5+0.3<CXS 式(1)
であり、好ましくは式(3)の範囲
1.5×10-4×d-125×MFR0.5+0.5≦CXS 式(3)
である。
【0023】
冷キシレン可溶部(CXS)が上記式(1)の下限以下の場合、製膜加工時の押出し負荷が過大になりメルトフラクチャーが発生する等の問題が生じ易くなる。上限については特に制限はない。
【0024】
本発明における高圧ラジカル重合法とは、高圧下、ラジカル発生剤を用いて重合を開始、進行させ重合体を製造する方法である。一般には槽型反応器または管型反応器を用いて、過酸化物等のラジカル発生剤の存在下、重合圧力1400〜3000kg/cm2、重合温度200〜300℃の条件下でエチレン等を重合させ、重合体を得る方法である。管型反応器を用いて得られるポリマーの方がポリマー中のミクロゲルが少なく、フィルムに用いた際、フィッシュアイ等の外観不良が発生しにくいということから、本発明の目的においては管型反応器を用いることが好ましい。メルトフローレートは分子量調節剤である水素やメタン、エタン等の炭化水素を用いることによって調節できる。スウェル比(SR)及び密度は重合圧力、重合温度を上記の範囲で任意に選択することにより調節できる。
【0025】
本発明に記載の低密度ポリエチレン成分(B)とは、高圧ラジカル重合法によりエチレンを単独重合させて得られる低密度ポリエチレンである。
低密度ポリエチレン成分(B)のメルトフローレート(MFR)は0.1〜10g/10分であり、好ましくは0.3〜8.0g/10分であり、特に好ましくは0.8〜6.0g/10分である。
【0026】
メルトフローレート(MFR)が0.1g/10分未満の場合、フィルムの光沢性が不充分であることがあり、メルトフローレート(MFR)が10g/10分を超えた場合、フイルムの機械特性が損なわれたり、製膜安定性が不充分であることがある。
【0027】
低密度ポリエチレン成分(B)のスウェル比(SR)は、1.40〜1.60であり、好ましくは1.45〜1.58、さらに好ましくは上記範囲において式(2)の関係を満たすものであり、特に好ましくは上記範囲において式(4)の関係を満たすものである。
−0.09(logMFR)2+0.23logMFR+1.35
<SR<
−0.09(logMFR)2+0.23logMFR+1.50 式(2)
−0.09(logMFR)2+0.23logMFR+1.40
<SR<
−0.09(logMFR)2+0.23logMFR+1.48 式(4)
【0028】
低密度ポリエチレン成分(B)のスウェル比(SR)が1.40未満の場合も、1.60を超えた場合も、フィルムの透明性及び光沢性が不充分であることがある。
【0029】
低密度ポリエチレン成分(B)の密度は特に限定されないが、好ましくは0.900〜0.935g/cm3であり、特に好ましくは0.915〜0.930g/cm3である。
【0030】
本発明のポリエチレン組成物のメルトテンション(MT)は1.8〜5.5gであり、好ましくは2.0〜5.0gである。メルトテンション(MT)が1.8g未満の場合、フイルムの製膜性安定性及び光沢性が劣ることがあり、メルトテンション(MT)が5.5gを超えた場合、フィルムの光沢性が劣ることがある。
【0031】
気相重合法により得られるエチレン−α−オレフィン共重合体成分(A)と高圧ラジカル重合法により得られる低密度ポリエチレン成分(B)の配合量(配合割合)は、成分(A)が60〜90重量%で、成分(B)が40〜10重量%であり、好ましくは成分(A)が65〜85重量%で、成分(B)が35〜15重量%である。但し、成分(A)と成分(B)の合計が100重量%である。
【0032】
本発明に記載の抗ブロッキング剤成分(C)とは、樹脂同士の互着、融着を防ぎ、さらには樹脂がより大きな塊となることを防ぐことができるものであって、樹脂と併用されるものである。特にシート状、フィルム状の樹脂同士の互着、融着、さらには塊となることを防ぐことができるものである。
【0033】
本発明に記載の抗ブロッキング剤成分(C)としては、特に限定されるものではなく、例えば無機系の抗ブロッキング剤や有機系の抗ブロッキング剤が挙げられる。
無機系の抗ブロッキング剤としては、合成抗ブロッキング剤や天然の抗ブロッキング剤が挙げられる。無機系の合成抗ブロッキング剤としては、例えば合成シリカ、結晶質または非晶質のアルミノ珪酸塩の粉末等が挙げられ、好ましくは結晶質または非晶質のアルミノ珪酸塩の粉末である。また、無機系の天然の抗ブロッキング剤としては、例えば二酸化珪素、クレー、タルク、珪藻土、長石、カオリン、ゼオライト、カオリナイト、ウォラストナイト、セリサイト等を粉砕、焼成して得られるものが挙げられる。なお、これらの表面をステアリン酸等の高級脂肪酸、チタンカップリング剤、シランカップリング剤等の表面処理剤により処理して使用してもよい。
【0034】
有機系の抗ブロッキング剤としては、合成抗ブロッキング剤が挙げられ、例えば架橋アクリル系樹脂、架橋ポリエチレン系樹脂、架橋ポリスチレン系樹脂、架橋シリコーン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂等の粉末が挙げられる。好ましくは架橋ポリメタクリル酸メチルの粉末である。有機系の抗ブロッキング剤も無機系の抗ブロッキング剤と同様に、これらの表面をステアリン酸等の高級脂肪酸、チタンカップリング剤、シランカップリング剤等の表面処理剤により処理して使用してもよい。
【0035】
抗ブロッキング剤(C)として、上記記載の抗ブロッキング剤成分を二種類以上併用してもよい。
【0036】
本発明に記載のポリエチレン組成物における抗ブロッキング剤成分(C)の配合量(配合割合)は成分(A)と成分(B)の合計100重量部に対して、0.05〜0.60重量部、好ましくは0.05〜0.40重量部である。抗ブロッキング剤(C)の配合量が0.05重量部未満の場合、フィルムの耐ブロッキング性が不充分なことがあり、抗ブロッキング剤(C)の配合量が0.60重量部を超える場合、フィルムの光学的性質が悪化することがある。
【0037】
抗ブロッキング剤成分(C)としては、フイルムの外観、耐ブロッキング性において、より好ましくは平均粒子径が1〜10μmであり、かつ円形度係数が0.600以上であるものであり、さらに好ましくは平均粒子径が3〜6μmであり、かつ円形度係数が0.630以上であるものである。また、異なる平均粒径のもの及び異なる円形度係数のものを二種類以上併用してもよい。
【0038】
本発明記載の円形度係数とは、例えば光学顕微鏡により観察された像を写真に撮り、その像をイメージアナライザーで処理し、下記式により算出される円形度係数Sにより規定される。
S=4π×A/L2
(A:画像の面積、L:周囲長)
この円形度係数は画像が円形に近い場合は1に近くなる。上記抗ブロッキング剤成分(C)の場合、円形度係数Sは、0.600〜1.000であることが好ましい。より好ましくは0.630〜1.000で、さらに好ましくは0.700〜1.000である。
【0039】
本発明に記載の滑剤成分(D)とは、樹脂同士が接触した時、樹脂同士が滑り易くなるように樹脂と併用されるものであって、特にシート状、フィルム状の樹脂同士が滑り易く、取り扱い易くなるように樹脂と併用されるものである。
【0040】
滑剤成分(D)としては、特に限定されないが、公知の脂肪酸アミド化合物、例えば飽和脂肪酸アミド、不飽和脂肪酸アミド、飽和脂肪酸ビスアミド及び不飽和脂肪酸ビスアミド等が挙げられる。
【0041】
飽和脂肪酸アミドとしては、例えばパルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド等が挙げられ、好ましくはベヘニン酸アミドである。不飽和脂肪酸アミドとしては、例えばオレイン酸アミド、エルカ酸アミド等が挙げられ、好ましくはエルカ酸アミドである。飽和脂肪酸ビスアミドとしては、例えばエチレンビスパルミチン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド等が挙げられ、好ましくはエチレンビスステアリン酸アミドである。不飽和脂肪酸ビスアミドとしては、例えばエチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミド等が挙げられ、好ましくはエチレンビスオレイン酸アミドである。
【0042】
上記記載の滑剤成分(D)は二種以上を併用してもよい。二種以上の滑剤成分(D)を用いる場合は、不飽和脂肪酸アミド及び飽和または不飽和脂肪酸ビスアミドの混合系が好ましい。
【0043】
本発明に記載のポリエチレン組成物における滑剤成分(D)の配合量(配合割合)は成分(A)と成分(B)の合計100重量部に対して、0.07〜0.35重量部であり、好ましくは0.1〜0.30重量部である。滑剤成分(D)の配合量が0.07重量部未満の場合、フィルムの耐ブロッキング性、滑り性が不充分であることがあり、滑剤成分(D)の配合量が0.35重量部を超える場合、滑剤のブリード多過によりフィルムの光学的性質等が悪化することがある。
【0044】
本発明に記載のポリエチレン組成物を製造する方法は、公知のいずれの方法も用いることができ特に限定されるものではなく、本発明で用いる各成分を均一に溶融混練することにより得られる。例えばタンブラーブレンダー、ヘンシェルミキサーなどで混合した後、更に単軸押出機、多軸押出機で溶融混練造粒する方法、またはニーダーやバンバリーミキサーなどで溶融混練後、押出機を用いて造粒する方法等が挙げられる。
【0045】
また、エチレン−α−オレフィン共重合体成分(A)及び/または低密度ポリエチレン成分(B)に抗ブロッキング剤成分(C)及び/または滑剤成分(D)を高濃度で溶融混合してマスターペレットとした後、そのマスターペレットをエチレン−α−オレフィン共重合体成分(A)及び/または低密度ポリエチレン成分(B)に必要量配合して、本発明のポリエチレン組成物を得ることもできる。
【0046】
本発明に記載のポリエチレン組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で必要に応じて、さらに種々の樹脂を少なくとも一種以上を配合してもよい。例えば、剛性を改良するために高密度ポリエチレンを用いることができ、また衝撃強度を改良するために低密度エラストマー等のポリオレフィン系樹脂を用いることができる。
【0047】
本発明のポリエチレン組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で必要に応じて通常使用される安定剤、帯電防止剤、加工性改良剤等の公知の添加剤を含有させてもよい。
【0048】
安定剤としては、フェノール系安定剤、ホスファイト系安定剤等が挙げられる。フェノール系安定剤としては、例えば2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(IRGANOX 1010)及びn−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3,5’−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート(IRGANOX 1076)等が挙げられる。また、ホスファイト系安定剤としては、例えばビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト及びトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト等が挙げられる。
【0049】
帯電防止剤としては、例えば炭素原子数8〜22個の脂肪酸グリセリンエステル、ソルビタン酸エステル及びポリエチレングリコールエステル等が挙げられる。また、加工性改良剤としては、脂肪酸金属塩が挙げられ、例えばステアリン酸カルシウム等が挙げられる。
【0050】
本発明のポリエチレン組成物からなるフィルムは、空冷インフレーション成形法、水冷インフレーション成形法などのインフレーション加工法により得ることができる。フィルムの厚みは通常5〜200μmである。
フィルムの厚みが50μm未満の場合、高圧ラジカル重合法により得られる低密度ポリエチレン成分(B)はメルトフローレート(MFR)が3.0〜10g/10分、好ましくは3.0〜8.0g/10分であるものが、光沢性、透明性等の外観と耐ブロッキング性、滑り性等の取り扱い性のバランスにおいて、より好ましい。
フィルムの厚みが50μm以上の場合、高圧ラジカル重合法により得られる低密度ポリエチレン成分(B)はメルトフローレート(MFR)が0.1〜3.0g/10分であるものが、光沢性、透明性等の外観と耐ブロッキング性、滑り性等の取り扱い性のバランスにおいて、より好ましい。
【0051】
フィルムの成形加工は、本発明のポリエチレン組成物を単独で成形加工してフィルムとしてもよいし、他の熱可塑性樹脂組成物と積層成形加工してフィルムとしてもよい。積層成形加工してフィルムとする場合は、本発明のポリエチレン組成物からなる層が最外層の両側または片側になるように積層成形加工することが好ましい。
【0052】
積層成形加工法としては、例えば、共押出インフレーション成形加工法、ドライラミネーション成形加工法またはサンドイッチラミネーション成形加工法等が挙げられる。
【0053】
共押出インフレーション成形加工法とは、本発明のポリエチレン組成物とその他の樹脂とを共押出しする加工法であり、二層以上の共押出フィルムを得ることができる。共押出インフレーション成形加工法において用いることができるその他の樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド、ポリエステル等を挙げることができる。
【0054】
ドライラミネーション成形加工法またはサンドイッチラミネーション成形加工法とは、本発明のポリエチレン組成物を単独または共押出で成形加工して得られたフィルムとその他のフィルムまたはシートとを積層する加工法であり、積層フィルムまたは積層シートを得ることができる。ドライラミネーション成形加工法またはサンドイッチラミネーション成形加工法において用いることができるその他のフィルムまたはシートとしては、例えば、延伸または未延伸のポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミドなどのフィルムまたはシート、アルミ箔、セロハン、紙、さらにはその複合フィルムまたはシート等を挙げることができる。
【0055】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0056】
試片調整(メルトフローレート(MFR)、メルトフローレート比(MFRR)、スウェル比(SR)及び密度測定用試料)
メルトフローレート(MFR)、メルトフローレート比(MFRR)、スウェル比(SR)及び密度測定用の試片は下記の方法で調整した。
成分(A)及び成分(B):あらかじめ押出機を用いて170〜250℃において溶融押出して試片を調整した。
組成物:成分(A)、成分(B)、抗ブロッキング剤成分(C)及び滑剤成分(D)を配合して、あらかじめ押出機を用いて170〜250℃において溶融押出して試片を調整した。
【0057】
評価は下記の方法に従って行なった。
(1)発煙評価
(株)ユニオン社製φ30mm押出機にTダイスを装着し、各ヒーターの温度を290℃に設定した。本押出機よりスクリュー回転数100rpmで各樹脂を押出し、1分間に発生する煙を捕集し、(株)日本カノマックス社製デジタル粉塵計MODEL3411を用いて発煙量を測定した。これを5回繰り返したものを平均して得られた数値を発煙量とし、CMP単位で示した(1CMP=0.01mg/m3、但しφ0.3μmステアリン酸粒子換算)。この数値が小さいほど発煙量が少ないことを示す。
【0058】
(2)円形度係数
円形度係数の算出方法について以下に示す。
光学顕微鏡により800倍で観察し、粒子が20個以上写っている像を写真に撮り、その像をイメージアナライザー(東洋紡績(株)製Image Analyzer V10)で処理し、下記式により円形度係数Sを算出した。
S=4π×A/L2
(A:画像の面積、L:周囲長)
【0059】
(3)メルトフローレート(MFR)
JIS K 6760に規定された方法に従った。荷重2.16kg、温度190℃で行った。
【0060】
(4)メルトフローレート比(MFRR)
JIS K 6760に規定された方法に従った。荷重2.16kg、温度190℃で行ったMFR値を、荷重21.6kg、温度190℃で行ったMFR値で除した値を求め、メルトフローレート比(MFRR)とした。
【0061】
(5)スウェル比(SR)
JIS K 7210に規定されたメルトフローレート測定装置を用い、荷重2.16kg、測定温度190℃でのメルトフローレート測定時に押出したストランドの直径Dを測定し、オリフィスの直径D0との比D/D0を求め、スウェル比(SR)とした。
【0062】
(6)密度(d)
JIS K 6760に規定された方法に従った。
【0063】
(7)冷キシレン可溶部(CXS)
米国のCode of federal regulations,Foodand Drugs Administrationの§175.1520に規定された方法に従った。
【0064】
(8)メルトテンション(MT)
東洋精機社製メルトテンションテスターを用い、内径2.1mm、L/D=4のオリフィスで、ピストンの降下速度5.5mm/分、測定温度190℃の条件で測定した。
【0065】
(9)ヘイズ(霞み度)
ASTM D1003に規定された方法に従った。この値が小さいほど透明性が優れることを示す。
【0066】
(10)LSI(透視感)
成形フィルムを23±2℃、50±5%RHで24時間以上状態調整した後、東洋精機社製LSI試験機により±0.4゜〜1.2゜の散乱透過光を測定し、透視感の尺度とした。この値が小さいほど透視感が優れることを示す。
【0067】
(11)グロス(光沢)
JIS Z 8741に規定された方法に従った。この値が大きいほど光沢が優れることを示す。
【0068】
(12)剪断ブロッキング
成形フィルムを23±2℃、50±5%RHで24時間以上状態調整した後、成形フィルムを二枚重ね合わせ、40℃に調整されたオーブン中、400g/cm2の荷重下、7日間密着させた後、クロスヘッド速度一定型引張試験機にて引張速度200mm/分の条件で、フィルム密着面50cm2を剪断的に引き剥がすのに要する最大応力を測定し、耐ブロッキング性の尺度とした。この値が小さいほど耐ブロッキング性が優れることを示す。
【0069】
(13)動摩擦係数
テスター産業社製、摩擦係数測定器を使用し、250mm(長さ)×100mm(幅)の試料フィルムを滑り板に、重さ200gのスレッド下面に試料フィルム100mm(長さ)×70mm(幅)をそれぞれ取り付けた。スレッドを滑り板の上に載置し、その上に300gの分銅を置いた。滑り速度700mm/分の条件で70mm滑り板を移動させ、摩擦力を測定した。
動摩擦係数μk=Fk/P
Fk:動摩擦力(g)、P:スレッドの重量+分銅の重量(g)
この値が小さいほど滑り性が優れることを示す。
【0070】
実施例、比較例に使用した気相重合法により得られたエチレン−α−オレフィン共重合体成分(A)の物性を表1に、高圧ラジカル重合法により得られた低密度ポリエチレン成分(B)の物性を表2にそれぞれ示した。
【0071】
実施例1、比較例1
成分(A)、成分(B)、抗ブロッキング剤成分(C)と滑剤成分(D)、さらにステアリン酸カルシウムをタンブルミキサーで混合して、表3に示した組成である各ポリエチレン組成物を得た。なお、抗ブロッキング剤成分(C)と滑剤成分(D)はそれぞれ成分(A)と成分(B)をベースにした5〜10重量%のマスターバッチとして配合した。抗ブロッキング剤成分(C)は、円形度係数が0.725である平均粒子径5.0μmの合成アルミ珪酸塩を用い、滑剤成分(D)は、エルカ酸アミドとエチレンビスステアリン酸アミドを80/20の割合で混合したものを用いた。ステアリン酸カルシウムは、発煙成分となり得る中和剤であり、成分(A)と成分(B)の合計100重量に対して0.18重量部を添加した。
【0072】
次いで各ポリエチレン組成物をプラコー社製50mmφ押出機、ダイ125mmφ、リップ2.0mmのインフレーション成形機により、加工温度200℃、押出量25kg/hr、ブロー比1.8の条件で製膜して厚み20μmのフィルムを得た。
【0073】
得られたフィルムの物性を表3にそれぞれ示した。気相重合法により得られたエチレン−ブテン−1共重合体を用いた実施例1は、高圧イオン重合法により得られたエチレン−ブテン−1共重合体を用いた比較例1に比べて、成形加工中の揮発成分(発煙)が少なく成形加工時の取り扱いに優れることを示した。
【0074】
実施例2、比較例2
実施例1及び比較例1と同様に気相重合法により得られたエチレン−ブテン−1共重合体と高圧イオン重合法により得られたエチレン−ブテン−1共重合体について、製膜は行なわず、揮発成分(発煙)量の比較を行なった。本サンプルには、中和剤として揮発成分(発煙)となりうるステアリン酸カルシウムに替え、揮発成分(発煙)となり難いハイドロタルサイトを0.05重量部添加し評価を行なった。表3に示す結果のように気相重合法により得られたエチレン−ブテン−1共重合体である実施例2は、高圧イオン重合法により得られたエチレン−ブテン−1共重合体である比較例2に比べて、成形加工中の揮発成分(発煙)が少なく成形加工時の取り扱いに優れることを示した。
【0075】
実施例3〜5、比較例3〜7
成分(A)、成分(B)、抗ブロッキング剤成分(C)と滑剤成分(D)をタンブルミキサーで混合して表4、5、6に示した組成である各ポリエチレン組成物を得た。なお、抗ブロッキング剤成分(C)と滑剤成分(D)はそれぞれ成分(A)と成分(B)をベースにした5〜10重量%のマスターバッチとして配合した。抗ブロッキング剤成分(C)は、円形度係数が0.747である平均粒子径3.0μmの合成アルミ珪酸塩と円形度係数が0.725である平均粒子径5.0μmの合成アルミ珪酸塩を混合して平均粒子径3.8μmに調整したものを用い、滑剤成分(D)は、エルカ酸アミドとエチレンビスステアリン酸アミドを80/20の割合で混合したものを用いた。
【0076】
次いで各ポリエチレン組成物をプラコー社製50mmφ押出機、ダイ125mmφ、リップ2.0mmのインフレーション成形機により、加工温度200℃、押出量25kg/hr、ブロー比1.8の条件で製膜して厚み20μmのフィルムを得た。
【0077】
得られたフィルムの物性を表4〜6にそれぞれ示した。実施例3がフィルムの外観及び取り扱い性について優れ数値を示したのに対し、比較例3は成分(B)のスウェル比(SR)が本発明の要件を満足しないため、比較例4は成分(B)のスウェル比(SR)が本発明の要件を満足しないため、ヘイズ(透明性)、LSI(透視感)及びグロス(光沢)等のフィルムの外観に関する数値が不充分であった。
【0078】
実施例4がフィルムの外観及び取り扱い性について優れた数値を示したのに対し、比較例5は抗ブロッキング剤成分(C)が本発明の要件を満足しないため、耐ブロッキング性や滑り性等の取り扱い性に関する数値が不充分であり、比較例6は抗ブロッキング剤成分(C)が本発明の要件を満足しないため、ヘイズ(透明性)、LSI(透視感)及びグロス(光沢)等のフィルムの外観に関する数値が不充分であった。また、比較例7は成分(A)と成分(B)の配合割合及び滑剤性分(D)が本発明の要件を満足しないため、耐ブロッキング性や滑り性等のフィルムの取り扱い性に関する数値が不充分であった。実施例5はフィルムの外観及び取り扱い性について優れた数値を示した。
【0079】
実施例6
抗ブロッキング剤成分(C)として円形度係数が0.739である平均粒子径4.0μmの架橋ポリメタクリル酸メチルと円形度係数が0.737である平均粒子径6.0μmの架橋ポリメタクリル酸メチルを混合して平均粒子径4.7μmに調整したものを用いた以外は実施例5と同様の方法でポリエチレン組成物を得、厚み20μmのフィルムを製膜した。ポリチレン組成物の組成および得られたフィルムの物性を表6に示した。実施例6はフィルムの外観及び取り扱い性において優れた数値を示した。
【0080】
実施例7
実施例5と同様の方法でポリエチレン組成物を得、厚み30μmのフィルムを製膜した。ポリエチレン組成物の組成および得られたフィルムの物性を表6に示した。実施例7はフィルムの外観及び取り扱い性において優れた数値を示した。
【0081】
実施例8、比較例8
成分(A)、成分(B)、抗ブロッキング剤成分(C)と滑剤成分(D)、さらにステアリン酸カルシウムをタンブルミキサーで混合して、表7に示した組成である各ポリエチレン組成物を得た。なお、抗ブロッキング剤成分(C)と滑剤成分(D)はそれぞれ成分(A)と成分(B)をベースにした5〜10重量%のマスターバッチとして配合した。抗ブロッキング剤成分(C)は、円形度係数が0.725である平均粒子径5.0μmの合成アルミ珪酸塩を用い、滑剤成分(D)は、エルカ酸アミドとエチレンビスステアリン酸アミドを80/20の割合で混合したものを用いた。ステアリン酸カルシウムは、発煙成分となり得る中和剤であり、成分(A)と成分(B)の合計100重量部に対して0.18重量部を添加した。
【0082】
次いで各ポリエチレン組成物をプラコー社製50mmφ押出機、ダイ125mmφ、リップ2.0mmのインフレーション成形機により、加工温度200℃、押出量25kg/hr、ブロー比1.8の条件で製膜して厚み80μmのフィルムを得た。
【0083】
得られたフィルムの物性を表7にそれぞれ示した。気相重合法により得られたエチレン−ブテン−1共重合体を用いた実施例8は、高圧イオン重合法により得られたエチレン−ブテン−1共重合体を用いた比較例8に比べて、成形加工中の揮発成分(発煙)が少なく成形加工時の取り扱いに優れることを示した。
【0084】
実施例9、比較例9
実施例8及び比較例9と同様に気相重合法により得られたエチレン−ブテン−1共重合体と高圧イオン重合法により得られたエチレン−ブテン−1共重合体について、製膜は行なわず、揮発成分(発煙)量の比較を行なった。本サンプルには、中和剤として揮発成分(発煙)となりうるステアリン酸カルシウムに替え、揮発成分(発煙)となり難いハイドロタルサイトを0.05重量部添加し評価を行なった。表7に示す結果のように気相重合法により得られたエチレン−ブテン−1共重合体である実施例9は、高圧イオン重合法により得られたエチレン−ブテン−1共重合体である比較例9に比べて、成形加工中の揮発成分(発煙)が少なく成形加工時の取り扱いに優れることを示した。
【0085】
実施例10〜14、比較例10〜15
成分(A)、成分(B)、抗ブロッキング剤成分(C)と滑剤成分(D)をタンブルミキサーで混合して表8〜10に示した組成である各ポリエチレン組成物を得た。なお、抗ブロッキング剤成分(C)と滑剤成分(D)はそれぞれ成分(A)と成分(B)をベースにした5〜10重量%のマスターバッチとして配合した。抗ブロッキング剤成分(C)は、円形度係数が0.747である平均粒子径3.0μmの合成アルミ珪酸塩と円形度係数が0.725である平均粒子径5.0μmの合成アルミ珪酸塩を混合して平均粒子径3.8μmに調整したものを用い、滑剤成分(D)は、エルカ酸アミドとエチレンビスステアリン酸アミドを80/20の割合で混合したものを用いた。
【0086】
次いで各ポリエチレン組成物をプラコー社製50mmφ押出機、ダイ125mmφ、リップ2.0mmのインフレーション成形機により、加工温度200℃、押出量25kg/hr、ブロー比1.8の条件で製膜して厚み80μmのフィルムを得た。
【0087】
得られたフィルムの物性を表8〜10にそれぞれ示した。実施例10がフィルムの外観及び取り扱い性について優れた数値を示したのに対し、比較例10及び11は成分(B)のスウェル比(SR)が、また、比較例12は成分(A)と成分(B)の配合割合が本発明の要件を満足しないため、ヘイズ(透明性)、LSI(透視感)及びグロス(光沢)等のフィルムの外観に関する数値が不充分であった。
【0088】
また、比較例13は抗ブロッキング剤成分(C)が本発明の要件を満足しないため、耐ブロッキング性や滑り性等に関する数値が不充分であり、比較例14は抗ブロッキング剤成分(C)が本発明の要件を満足しないため、ヘイズ(透明性)、LSI(透視感)及びグロス(光沢)等のフィルムの外観に関する数値が不充分であり、比較例15は滑剤成分(D)が本発明の要件を満足しないため、耐ブロッキング性や滑り性等のフィルムの取り扱い性に関する数値が不充分であった。実施例11〜14はフィルムの外観及び取り扱い性について優れた数値を示した。
【0089】
実施例15、比較例16
実施例12及び比較例7と同様の方法でポリエチレン組成物を得、厚み150μmのフィルムを製膜した。ポリエチレン組成物の組成および得られたフィルムの物性を表11に示した。実施例15がフィルムの外観及び取り扱い性について優れた値を示したのに対し、比較例16は成分(B)のスウェル比(SR)が本発明の要件を満足しないため、ヘイズ(透明性)、LSI(透視感)及びグロス(光沢)等のフィルムの外観に関する数値が不充分であった。
【0090】
【表1】
A1〜A6:住友化学工業株式会社製のチーグラー触媒を用いて気相重合法により得られたエチレン−ブテン−1共重合体
A7及びA8:住友化学工業株式会社製のチーグラー触媒を用いて高圧イオン重合法により得られたエチレン−ブテン−1共重合体
*式(1’)=1.5×10-4×dー125×MFR0.5+0.3
【0091】
【表2】
B1〜B8:住友化学工業株式会社製、高圧ラジカル重合法により得られた低密度ポリエチレン
【0092】
【表3】
ABA:抗ブロッキング剤成分(C)の含量(重量部)(成分(A)と成分(B)の合計100重量部に対する値)
SA :滑剤成分(D)の含量(重量部)(成分(A)と成分(B)の合計100重量部に対する値)
【0093】
【表4】
ABA:抗ブロッキング剤成分(C)の含量(重量部)(成分(A)と成分(B)の合計100重量部に対する値)
SA :滑剤成分(D)の含量(重量部)(成分(A)と成分(B)の合計100重量部に対する値)
【0094】
【表5】
ABA:抗ブロッキング剤成分(C)の含量(重量部)(成分(A)と成分(B)の合計100重量部に対する値)
SA :滑剤成分(D)の含量(重量部)(成分(A)と成分(B)の合計100重量部に対する値)
【0095】
【表6】
ABA:抗ブロッキング剤成分(C)の含量(重量部)(成分(A)と成分(B)の合計100重量部に対する値)
SA :滑剤成分(D)の含量(重量部)(成分(A)と成分(B)の合計100重量部に対する値)
【0096】
【表7】
ABA:抗ブロッキング剤成分(C)の含量(重量部)(成分(A)と成分(B)の合計100重量部に対する値)
SA :滑剤成分(D)の含量(重量部)(成分(A)と成分(B)の合計100重量部に対する値)
【0097】
【表8】
ABA:抗ブロッキング剤成分(C)の含量(重量部)(成分(A)と成分(B)の合計100重量部に対する値)
SA :滑剤成分(D)の含量(重量部)(成分(A)と成分(B)の合計100重量部に対する値)
【0098】
【表9】
ABA:抗ブロッキング剤成分(C)の含量(重量部)(成分(A)と成分(B)の合計100重量部に対する値)
SA :滑剤成分(D)の含量(重量部)(成分(A)と成分(B)の合計100重量部に対する値)
【0099】
【表10】
ABA:抗ブロッキング剤成分(C)の含量(重量部)(成分(A)と成分(B)の合計100重量部に対する値)
SA :滑剤成分(D)の含量(重量部)(成分(A)と成分(B)の合計100重量部に対する値)
【0100】
【表11】
ABA:抗ブロッキング剤成分(C)の含量(重量部)(成分(A)と成分(B)の合計100重量部に対する値)
SA :滑剤成分(D)の含量(重量部)(成分(A)と成分(B)の合計100重量部に対する値)
【0101】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、フィルムの成形加工時の発煙が少なく、フィルムの光沢性、透明性等の外観および耐ブロッキング性、滑り性等の取り扱い性に優れ、さらにそれらのバランスも高度に優れるポリエチレン組成物を提供できる。
また、本発明は、上記のような優れた特性を有する良好なフィルムを提供できる。
また、本発明のフィルムは、優れた特性を生かして、例えば食品、繊維、医薬品、肥料、雑貨品、工業用品等の包装材料用として、また農業用被覆剤及び建築用被覆剤として最適に使用できる。
Claims (10)
- 触媒の存在下、気相重合法により得られるエチレン−α−オレフィン共重合体成分(A)60〜90重量%と高圧ラジカル重合法により得られる低密度ポリエチレン成分(B)40〜10重量%(成分(A)と成分(B)の合計を100重量%とする。)の合計100重量部に対して、抗ブロッキング剤成分(C)0.05〜0.60重量部及び滑剤成分(D)0.07〜0.35重量部を含有し、かつ、
該エチレン−α−オレフィン共重合体成分(A)が、
(A−1)メルトフローレート(MFR):0.3〜5.0g/10分
(A−2)メルトフローレート比(MFRR):20以上
(A−3)密度:0.910〜0.930g/cm3
(A−4)冷キシレン可溶部(CXS)(重量%)が式(1)に示される範囲
1.5×10-4×d-125×MFR0.5+0.3<CXS 式(1)
であり、
該低密度ポリエチレン成分(B)が、
(B−1)メルトフローレート(MFR):0.1〜10g/10分
(B−2)スウェル比(SR):1.40〜1.60
であることを特徴とするポリエチレン組成物。 - メルトテンションが1.8〜5.5gであることを特徴とする請求項1記載のポリエチレン組成物。
- 低密度ポリエチレン成分(B)の
(B−3)スウェル比(SR)が、式(2)に示される範囲
−0.09(logMFR)2+0.23logMFR+1.35
<SR<
−0.09(logMFR)2+0.23logMFR+1.50 式(2)であることを特徴とする請求項1又は2記載のポリエチレン組成物。 - エチレン−α−オレフィン共重合体成分(A)が、
(A−1)メルトフローレート(MFR):0.5〜3.0g/10分
(A−2)メルトフローレート比(MFRR):21以上
(A−3)密度:0.915〜0.930g/cm3
(A−4)冷キシレン可溶部(CXS)(重量%)が式(3)に示される範囲
1.5×10-4×d-125×MFR0.5+0.5≦CXS 式(3)
であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリエチレン組成物。 - 低密度ポリエチレン成分(B)が、
(B−1)メルトフローレート(MFR):0.3〜8.0g/10分
(B−2)スウェル比(SR):1.45〜1.58
であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリエチレン組成物。 - 抗ブロッキング剤成分(C)の平均粒子径が1〜10μm、円形度係数が0.600以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のポリエチレン組成物。
- 滑剤成分(D)が有機脂肪酸アミド系の滑剤であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のポリエチレン組成物。
- 請求項1〜7のいずれかに記載のポリエチレン組成物からなることを特徴とするフィルム。
- 該低密度ポリエチレン成分(B)の(B−1)メルトフローレート(MFR)が3.0〜8.0g/10分であり、かつ、厚みが50μm未満であることを特徴とする請求項8記載のフィルム。
- 該低密度ポリエチレン成分(B)の(B−1)メルトフローレート(MFR)が0.1〜3.0g/10分未満であり、かつ、厚みが50μm以上であることを特徴とする請求項8記載のフィルム。
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