JP3005323B2 - ポリプロピレン組成物 - Google Patents

ポリプロピレン組成物

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JP3005323B2 JP3167071A JP16707191A JP3005323B2 JP 3005323 B2 JP3005323 B2 JP 3005323B2 JP 3167071 A JP3167071 A JP 3167071A JP 16707191 A JP16707191 A JP 16707191A JP 3005323 B2 JP3005323 B2 JP 3005323B2
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邦義 大垣
光春 新名
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、優れた透明性、外観及
び耐ブロッキング性を有するフィルムを形成するのに適
したポリプロピレン組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来よりポリプロピレンフィルムは、そ
の優れた機械的性質、及び光学的性質等のために食品を
はじめとする包装分野に広く利用されている。
【0003】しかしながら、ポリプロピレンフィルム
は、そのフィルム表面が平滑なため、フィルム同士が密
着(ブロッキング)しやすく、袋にした場合は開口性が
悪くなり作業性を損なうという欠点があった。
【0004】このブロッキング性を改良するために、通
常、二酸化ケイ素粉末等の耐ブロッキング剤をポリプロ
ピレンに添加してフィルム表面に突起を形成させること
が行われている。
【0005】一方、ポリプロピレンは、三塩化チタンと
有機アルミニウム化合物に代表される触媒の存在下でプ
ロピレンまたはプロピレンと他のオレフィンとを重合し
て得られる。これまで工業的に使用されてきた触媒は、
重合活性が低く、得られたポリプロピレンは平均粒径が
小さく、微粉含有量の多い粉粒状であり、粒度分布も広
いものであった。
【0006】ところが、最近、重合活性が高く、且つ立
体規則性の高いポリプロピレンを与える高活性触媒が工
業的に使用されるようになった。この高活性触媒で得ら
れるポリプロピレンは平均粒径が大きく、粒度分布が狭
く、微粉含有量が著しく少ない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】二酸化ケイ素粉末等の
耐ブロッキング剤をポリプロピレンに添加してフィルム
を製造しようとする場合、ポリプロピレンの平均粒径が
小さく、微粉含有量の多い粉粒状のものであれば、耐ブ
ロッキング剤の凝集が少なく比較的分散性の良好なフィ
ルムが得られる。しかし、使用するポリプロピレンの平
均粒径が大きく微粉含有量の著しく少ない粒状のもので
あると、耐ブロッキング剤が凝集し、均一な分散状態を
得ることができず、得られるフィルムは透明性および外
観の悪いものとなる。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、この原因
について研究した結果、ポリプロピレン粒状体の製造工
程において使用される多くの溶媒、例えば、触媒の希釈
用溶媒、懸濁用溶媒、アタクチックポリプロピレンの洗
浄用溶媒、触媒不活性化溶媒等が得られるポリプロピレ
ン粒状体中に含浸され、この溶媒が原因で耐ブロッキン
グ剤が凝集することを見いだし、本発明を完成するに至
った。
【0009】即ち、本発明は、 (1)加熱減量が400ppm以下であり、粒子径10
0μm以下の粒子が1.5重量%以下であるポリプロピ
レン粒状体 100重量部 (2)耐ブロッキング剤 0.
1〜1.0重量部を含んでなるポリプロピレン組成物で
ある。
【0010】本発明におけるポリプロピレン粒状体の加
熱減量は、70℃で4時間、真空度760mmHgでの
真空乾燥を行い、その前後の重量を測定して次式により
求めた値である。
【0011】
【数2】 加熱減量の成分は、ポリプロピレン製造工程で使用され
る溶媒であり、具体的にはプロパン、ブタン、ペンタ
ン、ヘキサン、へプタン、キシレン、トルエン等の触媒
の希釈用溶媒、懸濁用溶媒、アタクチックポリプロピレ
ンの洗浄用溶媒であり、また水、メタノール、エタノー
ル、プロピレンオキサイド等の触媒不活性化溶媒であ
る。
【0012】本発明においては、上記の加熱減量が40
0ppm以下でなければならない。加熱減量が400p
pmを越える場合には、ポリプロピレン粒状体と耐ブロ
ッキング剤との混練中に耐ブロッキング剤が凝集し、透
明性、外観および耐ブロッキング性の優れたフィルムを
得ることができない。上記の加熱減量は好適には350
ppm以下であることが好ましい。
【0013】また、本発明におけるポリプロピレン粒状
体は、粒子径100μm以下の粒子が1.5重量%以下
である。粒子径100μm以下の粒子が1.5重量%を
越えるポリプロピレンの場合には、本発明によらなくて
も耐ブロッキング剤の分散性が良好であるため、本発明
の効果が十分に発揮されない。本発明においては、粒子
径100μm以下の粒子が1.0重量%以下であるポリ
プロピレン粒状体を使用した場合に本発明の効果が顕著
であるために特に好適である。
【0014】本発明の効果が十分に期待できるポリプロ
ピレン粒状体は、下記式で示される粒度分布を有するも
のである。
【0015】R(Dp)=100exp{−(Dp/D
e)n} (但し、Dpは、ポリプロピレン粒子の直径(μm)を
示し、R(Dp)は、積算ふるい残(重量%)、即ち、
Dpより大きい粒子の割合を示し、Deは、粒度特性数
で、R(Dp)=36.8重量%のときの粒子径を示
し、それぞれ、100≦Dp≦1200、R(Dp)=
0〜100、100≦De≦800およびn≧2.5で
ある。)で表される粒度分布を有し、粒子径100μm
以下の粒子が1.5重量%以下であり、且つ粒子径12
00μm以上の粒子が1重量%以下であるポリプロピレ
ン粒状体である。
【0016】本発明におけるポリプロピレンとしては、
プロピレンの単独重合体;エチレン、ブテン−1、ペン
テン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1
などのα−オレフィンを共重合成分として40重量%以
下、好ましくは20重量%以下含有するプロピレンとα
−オレフィンの二元以上のブロックまたはランダム共重
合体;及び、これらの重合体同士またはこれらの重合体
とポリエチレン等の他のオレフィン重合体との混合物を
用いることができる。
【0017】本発明で用いられる耐ブロッキング剤は、
従来より耐ブロッキング剤として用いられてきた公知の
化合物が何等制限なく採用できる。一般には、二酸化ケ
イ素;タルク;チョウ石、ウンモ、カオリン、ゼオライ
ト等のアルミノシリケート等の無機化合物粉末をあげる
ことができる。
【0018】本発明においては耐ブロッキング剤の平均
粒径が0.5〜10μmの範囲、好ましくは0.3〜5
μmの範囲であることが、本発明のポリプロピレン組成
物から得られるフィルムの透明性、外観及び耐ブロッキ
ング性を勘案すると好適である。
【0019】以上に述べた耐ブロッキング剤のポリプロ
ピレン粒状体への配合量は、ポリプロピレン粒状体10
0重量部に対して0.1〜1.0重量部、好ましくは
0.2〜0.8重量部である。 耐ブロッキング剤の配
合量が上記の範囲外の場合には、ポリプロピレン組成物
から得られるフィルムの透明性及び耐ブロッキング性を
ともに満足させることができず、好ましくない。
【0020】また、本発明においては、二酸化ケイ素粉
末及びアルミノシリケート粉末に加えてステアリン酸金
属塩を配合することもフィルムの透明性を良くするうえ
で効果的である。ステアリン酸金属塩としては、ステア
リン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステア
リン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸
ナトリウム、ステアリン酸カリウム等のステアリン酸金
属塩が使用しうるが、本発明においてはステアリン酸ア
ルミニウムを用いた場合に、ポリプロピレン組成物から
得られたフィルムの透明性の点で優れた効果が得られ
る。ステアリン酸金属塩の配合量は、ポリプロピレン粒
状体100重量部に対し、0.01〜0.1重量部の範
囲から選択するのが好適である。
【0021】本発明において、ポリプロピレン粒状体お
よび耐ブロッキング剤の配合方法は、ポリプロピレンへ
の無機充填剤或いは各種添加剤を配合する公知の方法が
何等制限なく採用される。なお、本発明においては、上
記した各成分の他に熱安定剤、滑剤、塩素補捉剤等の各
種の添加剤を適宜配合することができる。
【0022】
【効果】本発明によれば、微粉の少ないポリプロピレン
粒状体を用いた場合においても、耐ブロッキング剤の分
散性が良好である。このため、フィルムに成形した場合
に分散不良のために凝集した耐ブロッキング剤の凝集に
起因する外観不良及び透明性の低下がなく、しかも良好
な耐ブロッキング性が得られる。
【0023】
【実施例】本発明の実施例を以下に示すが、本発明はこ
れらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【0024】なお、フィルム物性は次の方法によって測
定した。
【0025】(1)透明性:ASTM−D−1003に
準じ、ヘイズ(%)を測定した。
【0026】(2)外観 :目視により耐ブロッキング
剤の凝集した粒子数の著しく多いものを1、少ないもの
を4とする4段階評価を行った(4が外観良好)。
【0027】(3)ブロッキング性:フィルムを幅2c
mの短冊状とし2枚を長さ5cm重ね、70g/cm2
の荷重をかけ、40℃、24時間放置後、引張試験機で
剪断剥離するときの荷重を読み取って評価した。
【0028】実施例 表1に示した加熱減量を有するポリプロピレン粒状体
(メルトインデックス8.0g/10分)100重量部
及びステアリン酸アルミニウム0.03重量部に、耐ブ
ロッキング剤として二酸化ケイ素およびアルミノシリケ
ートを配合し、ヘンシェルミキサーで混合した後、40
mmφ押出機にて混練してペレット化し、このペレット
を用いてインフレーションフィルム成形機(山口製作所
製50mmφ)にて樹脂温度210℃、冷却水温20℃
で厚さ30μmのインフレーションフィルムを成形し、
得られたフィルムの透明性、外観、ブロッキング性を評
価した。結果を表1に示した。
【0029】なお、実施例で使用したポリプロピレン粒
状体、二酸化ケイ素粉末及びアルミノシリケート粉末は
次のものである。
【0030】ポリプロピレン粒状体:平均粒径 450
μm 粒子径100μm以下の粒子 0.05重量% 粒子径1200μm以上の粒子 0.1重量% De=460,n=5 二酸化ケイ素粉末:サイロイド72(商品名:富士デビ
ソン(株)製) 平均粒径 3μm アルミノシリケート粉末:シルトンAMT-08(商品名:水
沢化学(株)製) 平均粒径 0.85μm 粒子径10μm以下の粒子 100重量%
【0031】
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭56−72034(JP,A) 特開 昭57−3840(JP,A) 特開 昭57−18747(JP,A) 特開 昭58−225142(JP,A) 特開 昭61−159434(JP,A) 特開 昭59−25805(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 23/10 - 23/14 C08F 10/00 - 10/14 C08F 6/00 - 6/28 C08J 5/18

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(1)70℃で4時間、真空度760mm
    Hgで真空乾燥を行ない、その前後の重量変化から、下
    記式で求められる加熱減量が400ppm以下であり、
    粒子径100μm以下の粒子が1.5重量%以下である
    ポリプロピレン粒状体
    100重量部 (2)耐ブロッキング剤 0.1〜1.0重量部 を含んでなるポリプロピレン組成物。 【数1】
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