JP2985619B2 - 電圧非直線抵抗体の製造方法並びに避雷器 - Google Patents

電圧非直線抵抗体の製造方法並びに避雷器

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、主として電力分野に用
いられるZnOを主成分とする電圧非直線抵抗体及びそ
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ZnOを主成分とした非直線抵抗体(Z
nO素子)は、優れた非直線性をもち、避雷器用素子と
して広く利用されている。このZnO素子は、主成分の
ZnOに少量のBi23,Sb23,MnCO3,Cr2
3,Co23,SiO2,NiO,B23,Al(NO3)3
等の金属酸化物を添加し、混合・造粒・成形した後、焼
成・熱処理してその焼結体に電極を取り付けて構成され
たものである。
【0003】避雷器は、放電耐量特性及び課電寿命特性
が極めて重要な特性要素となる。特にギャップレス避雷
器に用いるZnO素子は、常時課電状態にあるため、素
子に微小なもれ電流が生じ、長時間の課電によってもれ
電流が次第に増加し、素子が発熱して熱暴走現象を起こ
すことがある。素子の熱暴走を防止する(寿命向上)た
めには、課電時間の経過と共にもれ電流の増加率が小さ
くなることが重要である。また、制限電圧の高いZnO
素子に対しても放電耐量特性及び課電寿命特性が優れて
いることが重要である。制限電圧とは、通常、ZnO素
子に1mAの電流が流れたときの単位厚さ当りの電圧で
示されている。ZnO素子の制限電圧は、ZnO素子の
電極間に存在する粒界層の数で決まるため単位厚さで考
えれば焼結体を構成するZnOの粒子の大きさに依存す
る。従って、ZnO素子の制限電圧を高くするには、焼
結体を構成する粒成長を抑制すれば良く、従来、粒成長
を抑制する方法として焼結温度を低くする方法、あるい
は粒成長抑制剤、例えば、SiO2 を添加する方法など
が行われていた。例えば、特公昭55−13124 号公報,特
公昭59−12001 号公報では、SiO2 の含有量が通常製
造される素子よりかなり多く添加することが開示されて
いる。一方、ZnO素子の常時課電に対して特性劣化し
ない長寿命の素子を得る方法として特開昭58−159303号
公報によれば、1050〜1300℃の高温で焼結した
ZnO素子を、500〜700℃に再加熱し、1,2時
間保持後、降温速度100〜300℃/hで室温まで再
冷却する、いわゆる、焼結後の一回の熱処理によって素
子の特性劣化を防止する方法が開示されている。また、
特開昭58−200508号公報によれば、ZnOを主成分と
し、少なくともBi23を含む組成で、1050〜13
00℃の高温で焼結したZnO素子を850〜950℃
に再加熱し、1,2時間保持後、降温速度300℃/h
で300℃まで冷却し、再度、500〜700℃に加熱
して1,2時間保持後、降温速度50〜150℃/hで
室温まで冷却する、いわゆる、焼結後2回の熱処理によ
って素子の特性劣化を防止する方法が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ZnO素子の制限電圧
を高くすることは、送配電用避雷器装置の小型化が可能
となり、経済的に有効である。
【0005】ZnO素子の制限電圧を高くする方法の一
つは、添加物のSiO2 を増量して焼結時、Zn2Si
4を生成させ、ZnOの粒成長を抑制することである
が、従来技術でSiO2 を増量して焼結したZnO素子
では、SiO2 の含有量に対する制限電圧の増加割合が
小さいため制限電圧を大幅に高くすることに対してはS
iO2の添加効果に限界があるという問題があった。更
に、多量にSiO2を添加することは、SiO2 と他の
添加物との反応による複合酸化物に変化が生じ、粒界の
析出物の絶縁特性が不均一となり、電流の局部集中を招
いてZnO素子の放電耐量を損ねるという問題があっ
た。また焼結温度を低くしてZnOの粒成長を抑制する
方法では焼結が不十分なために焼結体の放電耐量を高く
できないという問題があった。
【0006】一方、ZnO素子は、ZnO粒子の周囲を
Bi23主成分とした高抵抗の境界層が取り囲むような
構造を持っており、この境界層の抵抗は、電圧に対して
非直性を示す。
【0007】一般に、ZnO素子の電圧−電流特性は近
似的に下式で示される。
【0008】
【数1】
【0009】ここで、Iは電流、Vは電圧、Kは定数、
αは非直線係数を表わす。ZnO素子のαは10〜70
位である。
【0010】ZnO素子の常時課電状態で流れるもれ電
流は、αが大きい程小さい。従って、αの大きいことが
望ましい。また、長期間の課電によるもれ電流の増加を
抑制するには、焼結したZnO素子の熱処理によってZ
nO素子にγ型Bi23相を生成させることが有効であ
ることが知られている。
【0011】しかし、従来技術で、焼結したZnO素子
を500〜700℃で加熱する一回の熱処理では、Zn
O素子にγ型Bi23が生成されて特性劣化は防止でき
ても、素子の電圧−電流特性が悪いという問題があっ
た。
【0012】一方、焼結したZnO素子を二回熱処理し
てZnO素子の寿命向上を図る場合、最初の熱処理でZ
nO素子にγ型Bi23が生成されないときは、二回熱
処理を施してもZnO素子の課電寿命特性が向上しない
という問題がある。例えば、ZnOを主成分としBi2
3を含む組成でも、Sb23,MnCO3,Cr23,C
o23,SiO2,NiO,B23,Al(NO3)3 等の
多種類の金属酸化物を含むような組成では、焼結したZ
nO素子の最初の熱処理工程で、従来技術で開示されて
いるように降温速度を300℃/hにすると、ZnO素
子にγ型Bi2O3が生成されにくく、αが小さくなる場合
があるという問題があった。
【0013】このようなことから、従来技術では、高課
電率で使用する多成分系ZnO素子等に対しては、放電
耐量特性及び課電寿命特性等の信頼性の点で不充分であ
った。
【0014】本発明の目的は、放電耐量特性及び課電寿
命特性に対し、信頼性が高く、特性劣化しない制限電圧
の高い安定なZnO素子の製造法及び避雷器を提供する
ことにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、ZnOを主成
分とし、電圧非直線性を発現する添加物Bi23,Co
23,MnO,Sb23,Cr23,NiO,SiO2
GeO2,Al(NO3)3,B23等を混合する工程で、SiO
2及びGeO2を除いた添加物を混合する工程あるいは、
SiO2 および/またはGeO2 を除いた添加物を混合
する工程を経て、これら混合物を大気中800〜100
0℃で仮焼して粉砕し複合酸化物を得る。その後、複合
酸化物と複合酸化物全重量の1〜50wt%のSiO2
及びGeO2 のいずれか1種とZnOを混合・造粒して
成形体を作製する。前記成形体を1050〜1300℃
で焼結する工程とその後、この焼結体を300℃以下に
降温し、次いで800〜950℃に昇温して1ないし3
時間保持した後、300℃以下に降温する第一の熱処理を
施す工程と、再び、650〜900℃に昇温して1ない
し3時間保持した後、室温まで再冷却する第二の熱処理
を施す工程からなり、第一及び第二の熱処理工程で、高
温に保持した後の降温速度をそれぞれ100℃/h以下
及び150℃/h以下にする製造方法により達成され
る。
【0016】また、他の目的は、前記製造方法によって
作製された円盤または円筒状の形状のZnO素子の外周
面を除く端面に電極を形成し、これを碍子管またはタン
クに入れた避雷器により達成される。
【0017】
【作用】本発明のZnO素子は、主成分のZnOに電圧
非直線性を発現する添加物として、例えば、Bi23
Sb23,MnCO3,Co23,NiO,B23,A
l(NO3)3等の金属酸化物または、金属酸化物にSiO
2及びGeO2のいずれか一種を含む金属酸化物を所定の
割合で混合し、800〜1000℃で仮焼して複合酸化
物を得る。
【0018】金属酸化物を混合・仮焼して得られる効果
は、金属酸化物の仮焼による燃焼反応や酸化反応による
CO2,O2,NO2,H2O等のガスが外部に十分散逸さ
れるため成形体を焼成する工程で、ZnO素子のポイド
発生を防止することができる。また、特定の添加物が焼
結体内で偏析する恐れがなくなりZnO素子の放電耐量
が増強する。
【0019】次いで複合酸化物とSiO2及びGeO2
いずれか一種とZnOを所定の割合で混合・造粒し、所
定の形状に成形した後1050〜1300℃で1〜12
時間焼結する。
【0020】複合酸化物にSiO2及びGeO2のいずれ
か一種を複合酸化の全重量の1〜50wt%添加し、Z
nOと混合・造粒・成形して焼成したZnO素子の制限
電圧(V1mA)は、210〜300V/mmとなる。
【0021】ZnO素子の制限電圧が高くなる理由は、 (1)複合酸化物とSiO2及びGeO2のいずれか一種と
ZnOとの混合工程で、SiO2 又はGeO2 が均一に
分散し、造粒・成形を経て焼成時にSiO2 及びGeO
2 がZnOと容易に反応が進行し、Zn2SiO4又はZ
2GeO4が粒界に均一に生成してZnOの粒成長を抑
制する。
【0022】(2)これによりZnO素子の単位厚さ当り
のZnO粒子の数が多くなるためである。
【0023】ここで、SiO2又はGeO2の混合量を複
合酸化物の全重量の1wt%より少なくすると、Zn2
SiO4又はZn2GeO4の生成量が少ないためZnO
の粒成長の抑制効果が悪くなりZnO素子の制限電圧を
顕著に高くできなくなる。
【0024】また、SiO2又はGeO2の混合量を複合
酸化物の全重量の50wt%を超えるとZn2SiO4
はZn2GeO4の生成量が過剰となりZnO素子自体の
実効抵抗が大きくなって放電耐量特性がかなり悪くな
る。
【0025】一方、成形体の焼成温度が低温になるほど
ZnOの粒成長がしにくくなるため、SiO2又はGe
2の混合量に依存して素子の制限電圧をさらに高くす
ることができるが、焼成温度が1050℃より低温にな
るとZnO素子の焼結密度が小さくなりすぎて放電耐量
特性が低下する。
【0026】逆に、成形体の焼成温度を高くするとZn
Oの粒成長が促進されるが、SiO2又はGeO2 の混合
量を増量してZnOの粒成長を抑制させZnO素子の制
限電圧を高くすることができる。しかし、焼成温度を1
300℃を超える温度で成形体を焼成するとZnO素子
の熱変形及び割れが生じて満足な素子が得られない。こ
のことから、ZnO素子成形体の焼成温度は1050〜
1300℃の範囲、また、SiO2又はGeO2の混合量
は、複合酸化物の全重量の1〜50wt%が好ましい。
【0027】焼成したZnO素子は複数回の熱処理を施
すことにより課電寿命特性を安定化することができる。
本発明では図2に示す焼成と熱処理パタ−ンにする。
【0028】ZnOを主成分とし、複合酸化物とSiO
2および/またはGeO2とZnOを混合・造粒・成形し
た成形体は、先ず、1050〜1300℃で1〜12時
間焼成する。この焼成工程での昇・降温速度は、ZnO
素子が熱破壊しない300℃/h以下にする。焼成終了
時は300℃以下まで降温させ、素子の結晶,粒界構造
の安定化を図る。300℃以下までの降温後、保持時間
Tをもってもしくは直ちに、熱処理工程に入る。
【0029】第一の熱処理工程では焼成したZnO素子
を800〜950℃まで昇温して1〜3時間の熱処理を
施し、ZnO素子にγ型Bi23を生成させる。素子に
γ型Bi23を生成させると素子の寿命特性が向上す
る。その理由は必ずしも明確ではないが次のように推察
される。
【0030】(1)長時間課電によるZnO素子の特性劣
化は、ZnO素子を窒素ガス中で熱処理すると同様な特
性劣化が起こること、特性劣化した素子を空気中で熱処
理すると特性が元に戻ることなどの理由から、境界層や
ZnO結晶粒子表面などに存在する酸素イオンが課電時
の素子の発熱によって外部へ散逸し、この結果、境界層
の静電ポテンシャルが低下(バリスタ電圧が低下)した
ものと考えられる。
【0031】(2) γ型Bi23は、一般にα型Bi
23,β型Bi23,δ型Bi23に比べて結晶性が高
く、内部欠陥が少なく、体積が大きいなどの理由からZ
nO結晶の境界層をつたう酸素の拡散を防ぐ効果があ
る。このため、ZnO粒子表面に存在する酸素イオンの
移動が阻止されて外部への酸素の散逸が少なくなり、Z
nO素子が課電に対して安定になる。
【0032】第一の熱処理工程におけるZnO素子の降
温速度は、ZnO素子にγ−Bi2O3を生成させるため1
00℃/h以下とする。100℃/hを超えるとγ−Bi
2O3が生成しなくなる。また、第一の熱処理でBi23
を溶解することにより、焼成したZnO素子の中のボイ
ドを低減し、バリスタ電圧の低下を防止してZnO素子
の特性劣化を防止する効果がある。800℃以下ではZ
nO素子粒界のBi層が充分溶解しないし、95
0℃以上ではZnO結晶の熱活性化が高くなりすぎてB
3層の溶解が粒界領域にとどまらないこと、およ
び、ZnO粒界に吸着した酸素イオンの散逸が起こり易
くなること等で思わしくない。
【0033】また、熱処理時間は、1時間以下ではその
温度に保持した効果が少なく、3時間以上ではZnO結
晶の活性化の問題が起きる。
【0034】次に第二の熱処理として、第一の熱処理で
の降温が300℃以下に達した後、適当な保持時間T
で、もしくは直ちに650〜900℃まで昇温し、この
温度に1〜3時間保持して降温する。
【0035】この第二の熱処理により、第一の熱処理で
γ型Bi23に変態し得なかった残部のBi23をγ型
Bi23に変態させる。このときの温度650〜900
℃はBi23がγ型Bi23に変化するのに必要な温度
であり、その時の保持時間1〜3時間は前述と同様の理
由から決められる。
【0036】また、第二の熱処理の降温速度は150℃
/h以下にする。これは、ZnO素子の熱歪みを除去し
て素子の特性を向上させるのに効果がある。
【0037】第二の熱処理と同様の熱処理を、さらに何
回か繰り返すことも有効である。
【0038】
【実施例】
〈実施例1〉出発原料として純度99.9%以上のZn
O95.17モル%、Bi230.7モル%,Sb231.
0モル%,MnCO30.5モル%,Co231.0モル
%,Cr230.5モル%,NiO1.0モル%,B23
0.12モル%,Al(NO3)30.01 モル%になるよう
に各粉末を所定量だけ秤量し、ZnOを除いた他の添加
物をパールミルで混合,乾燥して空気中850℃・2h
仮焼し、その後、仮焼物を粉砕して複合酸化物を作製し
た。このとき仮焼温度を800℃未満とすると添加物成
分同士の反応が不十分となってZnO素子焼結体にボイ
ドが多発した。また1000℃を超える温度で仮焼する
と添加物が還元され電圧非直線性を発現させる添加物と
しての効果が得られなかった。次に、各添加物を秤量し
た総重量に相当する複合酸化物を秤量し、続いて複合酸
化物の重量の1,5,10,30,60wt%に相当す
るSiO2を秤量した後、複合酸化物とSiO2とZnO
をボールミルで混合して、SiO2量の異なる5種類の
造粒粉を作製した。
【0039】造粒粉を加圧成形後、空気中1190℃で
約4h焼結した。このときの昇・降温速度は約70℃/
hとして室温で降温して冷却した。焼結後のZnO素子
の形状寸法はφ33×30tである。次に焼結体を85
0℃に加熱して2時間保持した後、約70℃/hの降温
速度で室温まで冷却(第一の熱処理)し、再び第一の熱
処理と同じ熱処理条件(第二の熱処理)で焼結体を熱処
理して得られた焼結体に電極を取り付けてZnO素子を
作製した。作製したZnO素子の制限電圧(V1mA)と
放電耐量特性を図1及び図3に示す。
【0040】放電耐量特性は、ZnO素子に2msの方
形波電流を通電して、素子が破壊に至る最大注入エネル
ギで評価した。
【0041】図1より複合酸化物に混合するSiO2
が増加するに伴ってZnO素子の制限電圧V1mA はほぼ
比例的に増大し、SiO2 の混合量が50wt%では、
SiO2量が同じである従来素子(複合酸化物中にSiO2
が含まれている場合)に比べて制限電圧は約1.4 倍に
増大する。
【0042】一方、本発明によるZnO素子の放電耐量
は、図3に示すようにSiO2 の混合量が30wt%以
下の範囲では、放電耐量の値に大きな変化がなく約25
0j/cc以上である。しかし、SiO2 の混合量が50
wt%を超えると放電耐量が低下してくるため、200
J/cc以上の放電耐量を必要とする場合は複合酸化物に
混合するSiO2を50wt%以下にすることが望まし
い。
【0043】従来素子の放電耐量は、SiO2混合量(複
合酸化物中のSiO2量)が20wt%以下の範囲では図1
に見られるように本発明による制限電圧より低いにもか
かわらず本発明による素子の放電耐量とほぼ同じ値であ
り、SiO2 の混合量が20wt%を超えると放電耐量
はかなり低下する。
【0044】〈実施例2〉出発原料として純度99.9
%以上のZnO93.67モル%,Bi230.7モル
%,Sb231.0モル%,MnCO30.5モル%,C
231.0モル%,Cr230.5モル%,SiO21.
5モル%,NiO1.0モル%,B230.12モル%,A
l(NO3)30.01 モル%になるように各粉末を所定量
だけ秤量してパールミルで混合し、空気中850℃で仮
焼した後、仮焼物を粉砕してSiO2 を含有する複合酸
化物を作製した。
【0045】次に各添加物の総重量に相当する複合酸化
物を秤量し、続いて、複合酸化物の重量1,5,10,
30,60wt%に相当するSiO2 を秤量して複合酸
化物とSiO2 とZnOをボールミルで混合してSiO
の混合量が異なる5種類の造粒粉を作製した。
【0046】造粒粉の加圧成形・焼成及び熱処理は実施
例1と同じ条件で実施してZnO素子(寸法:φ33×
30t)を作製した。
【0047】SiO2を含有する複合酸化物に再びSi
2を複合酸化物の重量の1〜60wt%混合した場合
のZnO素子の制限電圧(V1mA)と放電耐量特性を図4
及び図5に示す。
【0048】SiO2の混合量が増大するに伴ってZn
O素子の制限電圧は増大し、SiO2の混合量が50w
t%の時の制限電圧は約300V/mmになる。
【0049】この値は、実施例1で作製したZnO素子
のうちSiO2 の混合量が50wt%であるときの制限電
圧(290V/mm)と比べて大差ない。
【0050】この例でみられるように複合酸化物中にS
iO2が1.5モル%含まれている場合では、複合酸化物
中にSiO2 が含まれていてもいなくてもZnO素子制
限電圧はあまり変化しないことを示している。
【0051】一方、ZnO素子の放電耐量特性は、図5
に示すように、SiO2 混合量の増大に伴なって僅か低
下する傾向を示しているが、SiO2 混合量が1〜30
wt%の範囲では約250J/cc以上であり、SiO2
量による放電耐量に大きな変化はない。しかし、SiO
2 量が、30wt%を超えると放電耐量特性は、低下し
てくる。また、実施例1及び2で作製したZnO素子の
放電耐量特性は、両者を比較して大差ない。
【0052】図6は、実施例1及び2で作製したZnO
素子を空気中120℃に加熱した状態におけるZnO素
子の制限電圧(V1mA)の低下率(室温時の制限電圧−1
20℃加熱時の制限電圧)/室温時の制限電圧×100
(%))を示したものである。
【0053】実施例1及び2で作製したZnO素子の制
限電圧の低下率は、SiO2 混合量が1〜50wt%の
範囲において、それぞれ約14〜15及び約6〜7%で
あり、SiO2 量の増減による制限電圧の低下率に大き
な変化はない。しかし、実施例2で作製したZnO素子
の120℃加熱によるZnO素子の制限電圧の低下率
は、実施例1で作製したZnO素子に比べて約1/2小
さい。これより、SiO2を含む複合酸化物に再びSiO
2 を混合することによってZnO素子の温度特性が大幅
に改善される。
【0054】〈実施例3〉実施例1及び実施例2で作製
した5種類のZnO素子のうち、複合酸化物にSiO2
を10wt%混合したZnO素子(焼成のまま)の熱処
理条件と課電寿命特性の関係を調べた。
【0055】実施例1及び実施例2で示した熱処理条件
と同じ方法で熱処理したZnO素子(実施例1の素子
A,実施例2の素子B)と第一の熱処理工程において、
降温速度を100℃/hを超える300℃/hにして冷
却した従来の熱処理方法によるZnO素子Cを120℃
に加熱し、課電率90%(制限電圧(V1mA)×0.9×
1/√2)の交流電圧(実効値)を長期課電したときの
もれ電流の経時変化を図7に示す。Cは、約50hでも
れ電流が増大し、素子が熱暴走した。AはBよりもれ電
流が約1.3 倍程度大きいがA,B共にもれ電流の増加
がなく、長寿命化が達成されている。なお、第一の熱処
理を施した段階の素子について、X線回折法により、γ
型Bi23生成の有無を調べた結果、従来の熱処理方法
による素子Cではγ型Bi23の生成がなく、本発明の
熱処理方法による素子A,Bでは、γ型Bi23が確実
に生成されていることが確認された。
【0056】〈実施例4〉実施例2で作製したZnO素
子のうち複合酸化物にSiO2 を10wt%混合した焼
成のままのZnO素子を実施例1で示した第一及び第二
の熱処理工程のうち第一熱処理工程の加熱温度を75
0,800,900,950,1000℃に変え、降温
速度を70℃/hとして2回熱処理した後に電極を形成
し、実施例3と同様の条件で交流課電を印加した。この
ときのZnO素子にながれるもれ電流の経時変化を図8
に示す。
【0057】素子の第一の熱処理工程での加熱温度が7
50及び1000℃の場合は、図8に示すD及びEに示
すように短時間で熱暴走現象を起こした。この理由は、
750℃ではZnO素子に含まれているBi23が溶解し
なかったこと、及び1000℃ではZnO素子にγ型B
23が生成しなかったことなどによるものと判断され
た。
【0058】加熱温度が800,900及び950℃の
場合は、図8のF,G及びHに示すように950℃が8
00及び900℃に比べてもれ電流が大きくなるが、い
ずれも長時間課電によるもれ電流の増加がほとんどなく
素子の長寿命化が達成されている。従って、第一の熱処
理工程の加熱温度は800〜950℃の間が望ましい。
【0059】〈実施例5〉実施例2で作製したZnO素
子のうち複合酸化物にSiO2 を10wt%混合した焼
成のままのZnO素子を実施例1で示した第一及び第二
の熱処理工程のうち第二の熱処理工程の加熱温度を60
0,650,750,900,950℃として2回熱処
理した。その後、ZnO素子に電極を形成し、実施例3
と同様の条件で交流課電を印加した。このときのZnO
素子に流れるもれ電流の経時変化を図9に示す。
【0060】第二の熱処理工程での加熱温度が600及
び950℃の場合は、図5のI,Jに示すようにもれ電
流が大きく、いずれも短時間で熱暴走した。これに対
し、加熱温度650,750及び900℃で加熱した素
子は、K,L,Mに示すようにもれ電流に若干の違いが
あるが、いずれの素子も長時間課電によるもれ電流の増
加がほとんどなく、長期課電に耐える。このことから、
第二の熱処理による素子の加熱温度は650〜900℃
が望ましい。なお、実施例1から5において、複合酸化
物中のSiO2または後から添加するSiO2のいずれか
または両方をGeO2にかえた場合も同様の効果が得られ
た。
【0061】〈実施例6〉実施例4で作製した素子(図
8の特性Gの素子)と同条件で作製した素子の側面にガ
ラスを焼付けて電極を形成し、3個を積層して碍子管に
納め、図10に示すAC8.4KV 変圧器油中用避雷器
を作製した。図で1は碍子管、2は電圧非直線抵抗体、
3は金属板、4は金属質ナット、5は電極端子、6は金
属質キャップである。素子の寿命特性により、この避雷
器は実使用条件で百年の寿命が保証される。
【0062】
【発明の効果】本発明によれば、複合酸化物と複合酸化
物にSiO2 を混合・造粒・成形する製造プロセスの適
正化とZnO素子の焼結後の再加熱温度及び降温速度の
組合せの適正化による二回の熱処理方法を実現したこと
によって、従来方法より制限電圧が高く放電耐量及び課
電寿命特性に優れたZnO素子及び避雷器の生産ができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による素子の制限電圧を従来方法のもの
と比較した特性図。
【図2】本発明による焼結と熱処理パ一タンの説明図。
【図3】本発明による素子の注入エネルギ耐量を従来方
法のものと比較した特性図。
【図4】本発明による素子の制限電圧の特性図。
【図5】本発明による素子の注入エネルギ耐量の特性
図。
【図6】本発明による素子の加熱によるAC制限電圧低
下率の特性図。
【図7】本発明による素子の寿命特性を従来方法のもの
と併せて示す特性図。
【図8】本発明における第一の熱処理の加熱温度を変え
たときの素子の寿命特性図。
【図9】本発明における第二の熱処理の加熱温度を変え
たときの素子の寿命特性図。
【図10】本発明による電圧非直線抵抗体を用いた避雷
器の構造を示す説明図。
【符号の説明】
1…碍子管、2…電圧非直線抵抗体、3…金属質当板、
4…金属質ナット、5…電極端子、6…金属質キャッ
プ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 元脇 成久 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株式会社 日立製作所 日立研究所内 (72)発明者 ▲高▼橋 研 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株式会社 日立製作所 日立研究所内 (72)発明者 白川 晋吾 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株式会社 日立製作所 日立研究所内 (72)発明者 大和田 伸一 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株式会社 日立製作所 日立研究所内 (72)発明者 山崎 武夫 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株式会社 日立製作所 日立研究所内 (56)参考文献 特開 昭54−54297(JP,A) 特開 昭57−13706(JP,A) 特開 昭57−169203(JP,A) 特開 平4−322402(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01C 7/02 - 7/22

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ZnOを主成分とする原料に電圧非直線性
    を発現させるBi23及びSb23,MnCO3,Cr2
    3,Co23,B23,Al(NO3)3を含む成分とS
    iO2および/またはGeO2 を添加し、混合,造粒,
    成形及び焼成工程を経て焼結体を得る電圧非直線抵抗体
    の製造方法において、前記添加成分のうちSiO2 及び
    GeO2 を除いた成分を混合・仮焼して第一の複合酸化
    物を得るかまたは前記添加成分のうちSiO2 またはG
    eO2 を除いた成分を混合・仮焼して第二の複合酸化物
    を得た後、前記第一および第二の複合酸化物とSiO2
    および/またはGeO2 の単独酸化物とZnOを混合し
    造粒,成形及び焼成することを特徴とする電圧非直線抵
    抗体結体の製造方法。
  2. 【請求項2】請求項1において、前記添加物の原料混合
    粉を大気中800〜1000℃で仮焼して前記複合酸化
    物を得る電圧非直線抵抗体の製造方法。
  3. 【請求項3】請求項1において、前記複合酸化物と前記
    SiO2またはGeO2のいずれかを混合する工程でSi
    2及びGeO2の混合重量は、前記複合酸化物全重量の
    1〜50wt%である電圧非直線抵抗体の製造方法。
  4. 【請求項4】請求項1,2または3において、前記複合
    酸化物と前記SiO2またはGeO2とZnOを混合・造
    粒・成形し、前記成形体を1050〜1300℃で焼結
    した後、前記焼結体を300℃以下に降温し、次いで8
    00〜950℃に昇温して1〜3時間保持した後、10
    0℃/h以下の降温速度で300℃以下に降温する第一
    の熱処理を施す工程と再び、650〜900℃に昇温し
    て1〜3時間保持した後、150℃/h以下の降温速度
    で室温まで冷却する第二の熱処理を施す工程の複数回の
    熱処理を含む電圧非直線抵抗体の製造方法。
  5. 【請求項5】請求項1,2,3または4において、作製
    した円盤または円筒状の焼結体の外周面を除く端面に電
    極を形成して成る電圧非直線抵抗体を、碍子管またはタ
    ンクに入れて形成した避雷器。
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