JP3289599B2 - 酸化亜鉛バリスタの製造方法 - Google Patents

酸化亜鉛バリスタの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸化亜鉛バリスタ
の製造方法に関するものである。詳しくは、酸化亜鉛を
主成分とする焼結体からなり、漏れ電流が低減され、長
寿命でサージアブソーバなどに好適に使用し得る酸化亜
鉛バリスタの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、避雷器などに用いられる酸化亜鉛
バリスタは、酸化亜鉛を主成分とし、この酸化亜鉛に、
電圧非直線性の発現に必須であるといわれる酸化ビスマ
スをはじめとし、電気特性の改善に必要な添加物を添加
して混合した組成物を、造粒、成形及び焼成の各工程を
経て焼結体を形成し、図3の斜視図に示すように、酸化
亜鉛バリスタ14は、焼結体15の側面に側面高抵抗層
17を形成し、上下面にアルミニウムなどからなる電極
16を設けることによって作製される。
【0003】酸化亜鉛を主成分とする粒子自体は単に抵
抗体として作用し、酸化亜鉛粒子間の境界部分で電圧非
直線性を示すことが、G.DMahan,L.M.Le
vinson&H.R.Phyillip「Theor
y of connduction in ZnO v
aristors」、J.Appl.Phys.Vo
l.50、No.4、p2799(1979)(文献
1)によって明らかにされている。上記文献1における
実験は、ポイント電極を用いて、このポイント電極をZ
nO粒界を隔てて置いた場合と、そうでない場合の電流
−電圧特性の違いを見たものである。また、ZnO粒界
間の境界部分(結晶粒界)の数がバリスタ電圧を決定す
ることが、T.H.Gupta「Applicatio
n of Zinc Oxide Varistor
s」、J.Am.Ceram.Soc、Vol.73、
No.7、p1817〜p1840(1990)(文献
2)において、実験で確認されている。
【0004】図4は、例えば、避雷器用酸化亜鉛バリス
タの電流−電圧特性を示す図であり、この電流−電圧特
性で重要なことは、避雷器の規格によって定まる大電流
側の制限電圧、例えば、V10kAと実際にバリスタに印加
されている電圧VSとの比(V1 0kA/VS)で、この比が
できるだけ小さい方がよい。しかし、VSを高くすると
課電率(VS/V1mA)が大きくなるので、後述するよう
に避雷器は短寿命となるなどの問題がある。
【0005】酸化亜鉛バリスタに直流または交流の電圧
を印加すると、一般にバリスタに流れる漏れ電流は時間
とともに増大し、バリスタは発熱し、ついには劣化に至
るといった寿命の問題があった。特に、ギャップレスの
酸化亜鉛型避雷器の場合、漏れ電流の増大によるバリス
タの劣化は極めて重要な問題であり、このため、従来は
あらかじめ漏れ電流の増加を見込んで、課電率をできる
だく小さくする(VSを小さくする、すなわち低電圧印
加にする)などの方法によって漏れ電流の増加を緩慢化
し、バリスタの長寿命化を確保する方法がとられてき
た。
【0006】しかし、避雷器の保護性能向上という点か
らは、VSを小さくして長寿命を確保するという方法は
望ましくない。優れた寿命特性を有する酸化亜鉛バリス
タとは、図3において、バリスタ電圧(V1mA)が高
く、V1mA/V10μAの値(以下、この値を平坦率と称
す)が小さいものである。なお、10μA、1mA及び
10kAの電流値はバリスタの寸法、規格によって適宜
設定するものである。
【0007】平坦率は、上記文献1及び2に記載されて
いるように、酸化亜鉛結晶粒界に形成されているショッ
トキー障壁によって決まるといわれており、酸化亜鉛の
結晶粒界の見かけの電気抵抗が大きくなるほど、平坦率
は小さくなる。平坦率を改善するためには酸化亜鉛結晶
粒界の見かけの電気抵抗を高めればよいことが示され
る。
【0008】例えば、この発明の発明者等が先に出願し
た特願平6−250670号によれば、酸化亜鉛を主成
分とし、酸化ビスマスを含む酸化亜鉛バリスタ組成物
を、第1焼成を実施した後、950℃以上で、かつ第1
焼成の焼成温度以下で第2焼成を行うことによって、酸
化亜鉛結晶粒界の見かけの電気抵抗を高め、平坦性を改
善している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、従来の
酸化亜鉛バリスタは課電率が高くなると、短寿命になる
という問題があった。本発明は、このような問題を解決
するためになされたもので、バリスタ電圧が高く、平坦
性に優れた、漏れ電流が小さい長寿命の酸化亜鉛バリス
タを得ることを目的とするものである。
【0010】
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
酸化亜鉛を主成分とし酸化ビスマスを含む酸化亜鉛バリ
スタ組成物を、昇温過程、温度保持過程および降温過程
を経て焼成し、焼結する酸化亜鉛バリスタの製造方法
あって、この全過程または少なくとも温度保持過程を含
む過程を酸素分圧が2〜10気圧の雰囲気中として焼成
し、焼結する酸化亜鉛バリスタの製造方法である。
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】請求項2に係る発明は、酸化亜鉛を主成分
とし酸化ビスマスを含む酸化亜鉛バリスタ組成物を、第
1の昇温過程、温度保持過程および降温過程を経て第1
焼成し、第2の昇温過程、温度保持過程および降温過程
を経て第2焼成し、焼結する酸化亜鉛バリスタの製造方
法であって、上記第1焼成または第2焼成の少なくとも
一方の全過程あるいは少なくとも温度保持過程を含む過
程を酸素分圧が2〜10気圧の雰囲気中として焼成し、
焼結する酸化亜鉛バリスタの製造方法である。
【0016】請求項3に係る発明は、請求項1または2
記載の酸化亜鉛バリスタの製造方法において、酸化亜鉛
バリスタ組成物が、希土類元素(R)の酸化物Yb
23、Y23、Ho23またはEr23の少なくとも1
つをR23に換算して0.05〜1mol%含有するも
のである。
【0017】請求項4に係る発明は、請求項1記載の酸
化亜鉛バリスタの製造方法において、全過程または少な
くとも温度保持過程を含む過程を酸素分圧が5〜10気
圧の雰囲気中として焼成し、焼結するものである。請求
項5に係る発明は、請求項2記載の酸化亜鉛バリスタの
製造方法において、第1焼成または第2焼成の少なくと
も一方の全過程あるいは少なくとも温度保持過程を含む
過程を酸素分圧が5〜10気圧の雰囲気中として焼成
し、焼結するものである。
【0018】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を説
明する。酸化亜鉛を主成分とし、酸化ビスマスを0.5
mol%含有し、さらに酸化クロム、酸化ニッケル、酸
化コバルト、酸化マンガン及び酸化ケイ素がそれぞれ
0.5mol%、酸化アンチモンが1.2mol%、微
量添加物であるアルミニウム(硝酸塩水溶液として添
加)が0.004mol%、ほう酸が0.08mol%
含有されるように秤量した混合物を原料に用いる。
【0019】上記原料をボールミルなどを用いて混合粉
砕した後、ポリビニルアルコール水溶液などのバインダ
ーを用いてスラリーを形成し、乾燥・造粒し、顆粒を得
る。得られた顆粒を200〜500kgf/cm2のよ
うな所定の加圧力で一軸加圧成形し、粉末成形体(酸化
亜鉛バリスタ組成物)を作製する。この粉末成形体を6
00℃程度の温度で予備加熱して、バインダーを除去す
る。
【0020】次に、粉末成形体を950〜1300℃で
所定時間加熱保持し、焼成し、焼結して酸化亜鉛バリス
タを得る。
【0021】この時、焼成は、図1に示した温度線図
と、この温度線図に対応した焼成雰囲気の酸素分圧の制
御パターンに従って行う。図において、5(破線)は焼
成雰囲気が大気中であるを示し、4(実線)は焼成雰囲
気が酸素分圧1気圧以上であることを示している。パタ
ーンAは、昇温1、温度保持2、降温3の焼成過程すべ
ての焼成雰囲気が大気中の場合、パターンBは、焼成過
程すべての焼成雰囲気が酸素分圧1気圧以上、パターン
Cは、少なくとも温度保持過程における焼成雰囲気を酸
素分圧1気圧以上とし他は大気中とした場合を示してい
る。
【0022】パターンA(大気中)で焼成を行った場合
に比べ、パターンB(全過程で酸素分圧が1以上)で焼
成を行った場合、およびパターンC(少なくとも温度保
持過程の酸素分圧を1以上とする)で焼成を行った場合
には、酸化亜鉛結晶粒子間の見かけの電気抵抗が高くな
って酸化亜鉛バリスタの平坦率が小さくなり、平坦性が
改善される。この酸化亜鉛バリスタを避雷器に用いるこ
とによって、漏れ電流が低減され長寿命で信頼性の高い
避雷器が得られる。
【0023】また、温度保持過程の温度を1000〜1
300℃として、第1焼成し、さらに、温度保持過程の
温度を950℃以上であり第1焼成温度より低い温度で
第2焼成を行い、第1焼成または第2焼成の少なくとも
一方の全過程あるいは少なくとも温度保持過程を含む
程を酸素分圧が1気圧以上の雰囲気中として、焼結する
ことによって、さらに酸化亜鉛バリスタの平坦性が改善
される。この酸化亜鉛バリスタを避雷器に用いることに
よって、さらに漏れ電流が低減され、長寿命の信頼性の
高い避雷器が得られる。
【0024】また、上記粉末成形体を、希土類元素
(R)の酸化物Yb23、Y23、Ho23またはEr
23の少なくとも1つをR23に換算して0.05〜1
mol%含有するものとすることによって、酸化亜鉛バ
リスタのバリスタ電圧が増大するとともに、平坦性を改
善することができる。この希土類酸化物を含有しバリス
タ電圧が増大した酸化亜鉛バリスタを避雷器に用いるこ
とによって酸化バリスタの数を低減したコンパクトな避
雷器が得られるとともに、漏れ電流が低減された長寿命
であり信頼性の高い避雷器が得られる。
【0025】
【実施例】以下に、本発明について、実施例と比較例を
挙げて詳細に説明する。 実施例2〜5、比較例11. 酸化亜鉛を主成分とし、酸化亜鉛中に、酸化ビスマス、
酸化クロム、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化マンガ
ン及び酸化ケイ素がそれぞれ0.5mol%、酸化アン
チモンが1.2mol%、微量添加物であるアルミニウ
ム(硝酸塩水溶液として添加)が0.004mol%、
ほう酸が0.08mol%含有されるように秤量した混
合物を原料に用いた。
【0026】上記原料をボールミルを用いて混合粉砕し
た後、ポリビニルアルコール水溶液を用いてスラリーを
形成し、さらにスプレードライヤーを用いて乾燥・造粒
し、顆粒を得た。得られた顆粒を200〜500kgf
/cm2の加圧力で一軸加圧成形し、直径40mm、厚
さ10mmの粉末成形体を作製した。この粉末成形体を
600℃程度の温度で予備加熱して、バインダー(ポリ
ビニルアルコール)を除去した。
【0027】図1は、焼成における温度線図と、この温
度線図に対応した焼成雰囲気の酸素分圧の制御パターン
を示すもので、図において、1は昇温過程、2は温度保
持過程、3は降温過程、TSは温度保持過程2の温度、
5(破線)は焼成雰囲気が大気中を示し、4(実線)は
焼成雰囲気が酸素分圧1気圧以上であることを示してい
る。パターンAは、昇温1、温度保持2、降温3の焼成
過程すべての焼成雰囲気が大気中5の場合、パターンB
は、焼成過程すべての焼成雰囲気が酸素分圧1気圧以上
4、パターンCは、温度保持の過程における焼成雰囲気
のみ酸素分圧1気圧以上4とし他は大気中5とした場合
を示している。
【0028】昇温過程1は75℃/時、温度保持過程2
は5時間、降温過程3は−75℃/時、温度保持過程2
の温度TSは1150℃として、粉末成形体を焼成し、
焼結した。
【0029】表1に、本実施例の焼成雰囲気のパター
ン、酸素分圧及び焼成後の酸化亜鉛バリスタの平坦率測
定結果を比較例とともに示す。パターンA(大気中)で
焼成を行った比較例1、全過程で酸素分圧1で焼成を行
った比較例11に比べ、実施例2(酸素分圧5)、実施
例3(酸素分圧10)及び実施例4(酸素分圧2)は平
坦率が小さくなり、平坦性が改善された。
【0030】
【表1】
【0031】また、パターンC(温度保持過程のみ酸素
分圧を1以上とする)で焼成を行った実施例5(酸素分
圧2)においても比較例1、11に比べて平坦率が小さ
くなり、平坦性が改善された。
【0032】なお、本実施例2〜5、比較例11の焼成
における酸素分圧の制御は純酸素雰囲気及びその加圧に
よって行ったが、5気圧以上に加圧した加圧空気として
もよく、また、温度保持過程の温度は950〜1300
℃とするのがこのましい。
【0033】実施例6〜10. 実施例6〜10は、上記実施例2〜5で得られた粉末成
形体を予備加熱し1150℃の保持温度で第1焼成を行
った後、さらに、第1焼成の温度より低い1050℃の
保持温度で第2焼成したものであり、第1および第2焼
成におけるパターンおよび酸素分圧を表2に示すように
制御した。表2には大気中で焼成した比較例2ととも
に、焼成後の平坦率の測定結果を合わせて示している。
【0034】
【表2】
【0035】第1及び第2焼成の全過程を大気中で行っ
た比較例2(パターンA→パターンA)に比べ、第1焼
成の全過程を大気中で行った後、第2焼成の全過程を酸
素分圧2気圧で行った実施例6(パターンA→パターン
B)及び第2焼成過程の温度保持過程のみ酸素分圧2気
圧で行った実施例7(パターンA→パターンC)は平坦
率が小さくなり、平坦性が改善された。
【0036】また、第2の焼成の全過程を大気中で行
い、第1焼成の全過程を酸素分圧2気圧で行った実施例
8(パターンB→パターンA)及び第1焼成過程の温度
保持過程のみ酸素分圧2気圧で行った実施例9(パター
ンC→パターンA)、第1及び第2焼成の全過程を酸素
分圧2気圧で行った実施例10(パターンB→パターン
B)でも平坦率が小さくなり、平坦性が改善された。
【0037】なお、表2には示していないが、パターン
B→パターンC、パターンC→パターンBでもよく、ま
た、酸素分圧は1気圧以上であればよい。
【0038】上記のように、酸化亜鉛を主成分とし、酸
化ビスマスを含む酸化亜鉛バリスタ組成物の粉末成形体
を、第1焼成を実施した後、第2焼成を行うものにおい
て、第1焼成または第2焼成の少なくとも一方の焼成の
全過程または少なくとも温度保持過程の焼成雰囲気を酸
素分圧1気圧以上とすることによって、平坦性を改善す
ることができる。
【0039】実施例11〜47.酸化亜鉛を主成分と
し、酸化亜鉛中に、酸化ビスマス、酸化クロム、酸化ニ
ッケル、酸化コバルト、酸化マンガン及び酸化ケイ素が
それぞれ0.5mol%、酸化アンチモンが1.2mo
l%、微量添加物であるアルミニウム(硝酸塩水溶液と
して添加)が0.004mol%、ほう酸が0.08m
ol%、さらに、希土類酸化物Yb23、Y23、Ho
23またはEr23をR23(Rは希土類元素)に換算
して表3に示す量が含有されるように秤量した混合物を
原料に用いた。
【0040】上記希土類酸化物を混合した原料をボール
ミルを用いて混合粉砕した後、ポリビニルアルコール水
溶液を用いてスラリーを形成し、さらにスプレードライ
ヤーを用いて乾燥・造粒し、顆粒を得た。得られた顆粒
を200〜500kgf/cm2の加圧力で一軸加圧成
形し、直径40mm、厚さ10mmの粉末成形体を作製
した。この粉末成形体を600℃程度の温度で予備加熱
して、バインダー(ポリビニルアルコール)を除去した
後、1150℃で5時間、酸素分圧1気圧の焼成雰囲気
中で焼成した。
【0041】表3に示したように、得られた酸化亜鉛バ
リスタのバリスタ電圧(V1mA)は、希土類酸化物Yb2
3、Y23、Ho23およびEr23を0.05mo
l%以上含有する(実施例12〜27)と、希土類酸化
物を含有しないもの(実施例11)より増加し、また、
希土類酸化物それぞれの含有量が増えるに従って増加
し、1.0mol%含有するものは略450V/mm以
上の値が得られた(実施例15、19、23および2
7)。
【0042】
【表3】
【0043】一方、希土類酸化物の含有量が1mol%
を越えると、酸化亜鉛結晶の結晶粒子間に希土類元素、
BiおよびSbを含む酸化物粒子が多く生成されるた
め、酸化亜鉛バリスタのエネルギー耐量が低下すること
が確認された。従って、上記希土類酸化物の含有量は、
0.05〜1.0mol%であることが必要である。
【0044】表4は、上記希土類酸化物それぞれを0.
3mol%含有する粉末成形体を予備加熱した後、酸素
分圧2気圧(パターンBまたはC)で焼成したものの平
坦率を比較例(大気中焼成(パターンA))とともに示
すものである。
【0045】
【表4】
【0046】表4に示したように、大気中で焼成したも
の(比較例3、4、5および6)に比べて、全過程を酸
素分圧2気圧で焼成したパターンB(実施例28、3
0、32および34)および温度保持過程を酸素分圧2
気圧で焼成したパターンC(実施例29、31、33お
よび35)はいずれも平坦率が減少し、平坦性が改善さ
れた。
【0047】表5は、上記希土類酸化物それぞれを0.
3mol%含有する粉末成形体を予備加熱した後、第1
および第2焼成を実施したもので、第2焼成を酸素分圧
2気圧(パターンBまたはC)で焼成したもの、第1お
よび第2焼成を酸素分圧2気圧(パターンC)で焼成し
たものの平坦率を比較例(大気中焼成(パターンA))
とともに示すものである。
【0048】
【表5】
【0049】表5に示したように、第1および第2焼成
を大気中で焼成したパターンA→パターンA(比較例
7、8、9および10)に比べて、第2焼成の全過程を
酸素分圧2気圧で焼成したパターンA→パターンB(実
施例36、38、40および42)、第2焼成の温度保
持過程を酸素分圧2気圧で焼成したパターンA→パター
ンC(実施例37、39、41および43)および第1
および第2焼成の加熱保持過程を酸素分圧2気圧で焼成
したパターンC→パターンC(実施例44〜47)はい
ずれも平坦率が減少し、平坦性が改善された。
【0050】上記のように、酸化亜鉛を主成分とし、酸
化ビスマスを含み、さらに希土類酸化物Yb23、Y2
3、Ho23またはEr23をR23に換算して0.
3mol%含有する酸化亜鉛バリスタ組成物の粉末成形
体を、第1焼成を実施した後、第2焼成を行うものにお
いて、第1焼成または第2焼成の少なくとも一方の焼成
の全過程または少なくとも温度保持過程を含むの焼成雰
囲気を酸素分圧1気圧以上とすることによって、平坦性
を改善することができる。
【0051】なお、本実施例において、希土類酸化物Y
23、Y23、Ho23またはEr23をそれぞれ1
種類を0.3mol%含有する例を示したが、2種類以
上含有してもよく、2種類の含有量がR23に換算して
0.05〜1.0mol%の範囲であれば同様の効果が
得られ。
【0052】また、上記実施例6〜10および実施例3
6〜47において、第1焼成の温度保持過程は1000
〜1300℃、第2焼成の温度保持過程は950℃以上
で第1焼成の温度保持過程よりも低い温度とするのがこ
のましい。
【0053】実施例48. 図2は、本発明の一実施例になる避雷器の構造を示す構
造図である。図において、6は上記実施例2〜47の酸
化亜鉛バリスタ、7はアルミニウムなどで製作された電
界緩和用のシールド、8はエポキシ樹脂組成物などから
なる絶縁スペーサ、9は積層した酸化亜鉛バリスタ6の
複数個を支持する支持板、11は酸化亜鉛バリスタ6及
びシールド7を内部に搭載するタンク、10は絶縁スペ
ーサ8を貫通し、絶縁スペーサ8によってタンク11と
電気的に絶縁された金属線、12及び13はタンク11
の側壁に設けられた覗き窓で、タンク11は密閉された
構造を有する。破線は、従来の避雷器のタンク外形を示
している。
【0054】積層した酸化亜鉛バリスタ6の複数個を、
電気的に直列に接続して、一端を金属線10に接続し、
他端を接地したタンク11に接続し、金属線10の他端
は保護すべき機器等に接続する。
【0055】上記実施例2〜47に示した平坦性が改善
された酸化亜鉛バリスタを搭載することによって、長寿
命で高信頼性の避雷器が得られる。さらに、実施例11
〜47に示した希度類酸化物を含有するバリスタ電圧が
高い酸化亜鉛バリスタを搭載することによって、酸化亜
鉛バリスタ6の積層個数を低減することができるので、
タンク11の内容積を従来の0.7〜0.4倍程度に小
さくできる。
【0056】
【発明の効果】請求項1に係る発明によれば、酸化亜鉛
結晶粒子間の見かけの電気抵抗が高くなって酸化亜鉛バ
リスタの平坦率が小さくなり、平坦性が改善され効果が
ある。
【0057】請求項2に係る発明によれば、酸化亜鉛結
晶粒子間の見かけの電気抵抗が高くなって酸化亜鉛バリ
スタの平坦率が小さくなり、さらに平坦性が改善される
効果がある。
【0058】請求項3に係る発明によれば、酸化亜鉛バ
リスタのバリスタ電圧を増大するとともに、平坦性を改
善することができる効果がある。
【0059】請求項4および5に係る発明によれば、
化亜鉛バリスタの平坦率が小さくなり、さらに平坦性が
改善される効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例になる焼成における温度線
図と、この温度線図に対応した焼成雰囲気の酸素分圧の
制御パターンを示す図である。
【図2】 本発明の一実施例になる避雷器を示す構造図
である。
【図3】 一般的な酸化亜鉛バリスタの構造を示す模式
図である。
【図4】 一般的な酸化亜鉛バリスタの電流−電圧特性
を示す特性図である。
【符号の説明】
1 昇温過程、2 温度保持過程、3 降温過程、4
酸素分圧1気圧以上、5 大気中、6及び14 酸化亜
鉛バリスタ、7 シールド、8 絶縁スペーサ、9 支
持板、10 金属線、11 タンク、12及び13 覗
き窓、Ts 温度保持過程の温度、15 焼結体、16
電極、17 側面高抵抗層
フロントページの続き (72)発明者 高田 良雄 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三菱電機株式会社内 (56)参考文献 特開 平8−115805(JP,A) 特開 平6−13205(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01C 7/10 - 7/12 C04B 35/453

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化亜鉛を主成分とし酸化ビスマスを含
    む酸化亜鉛バリスタ組成物を、昇温過程、温度保持過程
    および降温過程を経て焼成し、焼結する酸化亜鉛バリス
    の製造方法であって、この全過程または少なくとも温
    度保持過程を含む過程を酸素分圧が2〜10気圧の雰囲
    気中として焼成し、焼結することを特徴とする酸化亜鉛
    バリスタの製造方法。
  2. 【請求項2】 酸化亜鉛を主成分とし酸化ビスマスを含
    む酸化亜鉛バリスタ組成物を、第1の昇温過程、温度保
    持過程および降温過程を経て第1焼成し、第2の昇温過
    程、温度保持過程および降温過程を経て第2焼成し、焼
    結する酸化亜鉛バリスタの製造方法であって、上記第1
    焼成または第2焼成の少なくとも一方の全過程あるいは
    少なくとも温度保持過程を含む過程を酸素分圧が2〜1
    0気圧の雰囲気中として焼成し、焼結することを特徴と
    する酸化亜鉛バリスタの製造方法。
  3. 【請求項3】 酸化亜鉛バリスタ組成物が、希土類元素
    (R)の酸化物Yb23、Y23、Ho23またはEr
    23の少なくとも1つをR23に換算して0.05〜1
    mol%含有することを特徴とする請求項1または2記
    載の酸化亜鉛バリスタの製造方法。
  4. 【請求項4】 全過程または少なくとも温度保持過程を
    含む過程を酸素分圧が5〜10気圧の雰囲気中として焼
    成し、焼結することを特徴とする請求項1に記載の酸化
    亜鉛バリスタの製造方法。
  5. 【請求項5】 第1焼成または第2焼成の少なくとも一
    方の全過程あるいは少なくとも温度保持過程を含む過程
    を酸素分圧が5〜10気圧の雰囲気中として焼成し、焼
    結することを特徴とする請求項2に記載の酸化亜鉛バリ
    スタの製造方法。
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