JP2001326108A - 電圧非直線抵抗体およびその製造方法 - Google Patents

電圧非直線抵抗体およびその製造方法

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JP2001326108A
JP2001326108A JP2000146055A JP2000146055A JP2001326108A JP 2001326108 A JP2001326108 A JP 2001326108A JP 2000146055 A JP2000146055 A JP 2000146055A JP 2000146055 A JP2000146055 A JP 2000146055A JP 2001326108 A JP2001326108 A JP 2001326108A
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voltage
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bismuth
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Akio Hori
昭夫 堀
Tomoaki Katou
智明 加東
Masatomi Okumura
正富 奥村
Yoshio Takada
良雄 高田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電圧非直線性に優れエネルギー耐量の高い電
圧非直線抵抗体を得る。 【解決手段】 酸化亜鉛を主成分とした電圧非直線抵抗
体を、酸化亜鉛を主成分として酸化ビスマス、酸化ケイ
素を添加し、焼成してなる敷砂とともに熱処理すると、
抵抗体表面層に酸化ビスマス相が偏析し、かつ表面層の
酸化ビスマス中に含まれるケイ素の濃度が焼結体内部よ
り高くなる。これにより過剰の酸素原子を含むγ型酸化
ビスマス相を表面相に安定して偏析させることができ、
表面層の抵抗が大きくなり、また高電界による酸素原子
の表面・粒界からの離脱を抑制し、エネルギー耐量を向
上させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電圧非直線抵抗体
およびその製造方法に関し、くわしくは、酸化亜鉛を主
成分とする焼結体からなり、たとえば、避雷器、サージ
アブソーバーなどに使用する電圧非直線抵抗体に関す
る。
【0002】
【従来の技術】図2は、一般的な酸化亜鉛バリスタ(電
圧非直線抵抗体)の全体の構成を示す模式図である。一
般的な酸化亜鉛バリスタ1は、主成分である酸化亜鉛
に、電圧非直線性の発現に必須である酸化ビスマスをは
じめ、電気特性の改善に有効な添加物(酸化ニッケル、
酸化コバルト、酸化マンガン、酸化クロム、酸化アンチ
モン、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化ホウ素、希
土類酸化物など)を添加した組成物を混合し、造粒、成
形、焼成の各工程を経て得た焼結体に側面高抵抗層3を
形成し、焼結体の両端面を研磨し、金属アルミニウム溶
射などにより電極2を形成することによって構成されて
いる。
【0003】図3は、一般的な電圧非直線抵抗体の電圧
−電流特性を示す図である。通常の状態では素子に電流
はほとんど流れないが、雷、開閉機器のサージなどが発
生した場合は素子に瞬時に大電流が流れ、電圧の上昇を
防ぐ。このように電圧非直線抵抗体(避雷器)は系統電
圧をある電圧以下に抑え、送変電機器を保護する役割を
果たしている。
【0004】たとえば、特開昭58−75802号公報
に記載されている電圧非直線抵抗体およびその製法で
は、研磨した少なくとも一方の端面に酸化ビスマスを塗
布し、500〜800℃で熱処理を行ない、端面の表面
層にビスマスを拡散させ、これにアルミニウムを溶射し
て電極2を形成する。酸化ビスマスを拡散させることに
より、表面層の電気抵抗を減少させ、この部分の課電時
における発熱を抑える。このようにして電圧非直線抵抗
体1の課電に対する安定性を増し、特性劣化を小さくし
ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】電圧非直線抵抗体は以
上の方法によって作製されるが、焼結体を研磨すること
により表面や粒界からの酸素の脱離などを伴う表面劣化
層が形成され、表面層が低抵抗になる。このため過渡異
常過電圧が生じたときに、電極のコンタクト部と焼結体
の境界部で部分放電が発生すやすくなるという問題が生
じる。また、特開昭58−75802号公報に記載され
ているビスマスを表面層に拡散させる方法を採用した場
合、課電に対する安定性を増し、特性劣化を小さくする
ことはできるが、部分放電の問題を解決することはでき
ない。
【0006】本発明は上記のような問題を解決するため
になされたもので、素子表面層の電気抵抗を増加させ、
過渡異常電圧に対するエネルギー耐量を向上させた電圧
非直線抵抗体とその製造方法を提供することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、酸化亜鉛を主
成分とした焼結体からなる電圧非直線抵抗体において、
抵抗体表面層に酸化ビスマス相が偏析しており、かつ表
面層の酸化ビスマス相中に含まれるケイ素の濃度が焼結
体内部より高いことを特徴とする電圧非直線抵抗体(請
求項1)、酸化亜鉛を主成分とした焼結体を、酸化亜鉛
を主成分として、酸化ビスマスおよび酸化ケイ素を添加
し、焼成した敷砂とともに熱処理することを特徴とする
電圧非直線抵抗体の製造方法(請求項2)、熱処理を8
00〜1100℃で酸素雰囲気中で行なう請求項2記載
の電圧非直線抵抗体の製造方法(請求項3)、ならびに
敷砂が、酸化亜鉛を主成分として、酸化ビスマスを0.
1〜5モル%、酸化ケイ素を0.5〜5モル%添加し、
焼成した敷砂である請求項2または3記載の電圧非直線
抵抗体の製造方法(請求項4)にかかわる。
【0008】
【発明の実施の形態】電圧非直線抵抗体 本発明による電圧非直線抵抗体は表面層にビスマスとケ
イ素が偏析しているので、表面層の電気抵抗が大きい。
また、過渡異常電圧が生じたときも、電極端部と焼結体
の境界部における部分放電の発生を抑えることができ
る。以上の効果により、過渡異常電圧に対するエネルギ
ー耐量の高い電圧非直線抵抗体を得ることができる。
【0009】本発明の電圧非直線抵抗体は、酸化亜鉛を
主成分とした焼結体からなる。焼結体の酸化亜鉛の含有
量は、バリスタ電圧および電圧非直線性の改善の点か
ら、ZnOに換算して、たとえば、原料中に90〜97
モル%、好ましくは92〜96モル%含有されるように
調整することが望ましい。酸化亜鉛源としては、たとえ
ば、数平均粒径0.1〜0.5μmの酸化亜鉛粒子を使
用することができる。酸化亜鉛粒子としては、たとえ
ば、通常の金属亜鉛を高温で大気中で酸化する乾式法で
製造した工業用製品を使用することができる。
【0010】本発明の電圧非直線抵抗体は、抵抗体表面
層に酸化ビスマス相が偏析している。抵抗体表面層の酸
化ビスマスの含有量は、たとえば3.7〜38重量%、
好ましくは6〜17重量%であることができる。抵抗体
内部の酸化ビスマスの含有量は、たとえば2.5〜25
重量%、好ましくは4〜11重量%であることができ
る。酸化ビスマスの配合量は、たとえば、原料中に0.
1〜5モル%、好ましくは0.2〜2モル%含有される
ように調整することが望ましい。酸化ビスマスの配合量
が5モル%より多い場合には、酸化亜鉛粒子の異常粒成
長の原因となる傾向がある。また、0.1モル%より少
ない場合には、漏れ電流が増加する傾向がある。
【0011】本発明の電圧非直線抵抗体は、バリスタ電
圧を増加させる性質を有する酸化アンチモンを含有する
ことができる。酸化アンチモンの配合量は、たとえば、
原料中に0.5〜5モル%、好ましくは0.75〜2モ
ル%含有されるように調整することが望ましい。酸化ア
ンチモンの配合量が5モル%より多い場合には、バリス
タ電圧が高くなるが、酸化亜鉛と酸化アンチモンの反応
物である電気絶縁性のスピネル粒子が多く存在するよう
になり、通電が大きく制限されるため、不均一性が増し
て電圧非直線性が劣化する傾向がある。一方、0.5モ
ル%より少ない場合には、バリスタ電圧を増加させる効
果が充分に発現されなくなる傾向がある。
【0012】本発明の電圧非直線抵抗体は、バリスタ電
圧を増加させるとともに電圧非直線性を改善する性質を
有する酸化ケイ素を含有し、表面層の酸化ビスマス相中
に含まれるケイ素の濃度が焼結体内部に含まれるケイ素
の濃度より高い。抵抗体表面層の酸化ケイ素の含有量
は、たとえば0.2〜21重量%、好ましくは0.5〜
9重量%であることができる。抵抗体内部の酸化ケイ素
の含有量は、たとえば0.05〜3.5重量%、好まし
くは0.1〜1.5重量%であることができる。
【0013】酸化ケイ素の配合量は、たとえば、原料中
に0.5〜5モル%、好ましくは0.75〜2モル%含
有されるように調整することが望ましい。酸化ケイ素の
配合量が5モル%より多い場合には、バリスタ電圧が高
くなるが、酸化亜鉛と酸化ケイ素の反応物である電気絶
縁性のケイ酸亜鉛粒子が多く存在するようになり、通電
パスが大きく制限されるため、不均一性が増して電圧非
直線性が劣化する傾向がある。一方、0.5モル%より
少ない場合には、バリスタ電圧を増加させる効果が充分
に発現されなくなる傾向がある。
【0014】本発明の電圧非直線抵抗体に、Eu、G
d、Tb、Dy、Ho、Y、Er、Tm、YbまたはL
uの少なくとも1種類以上の希土類元素を添加すること
によって、粒界に析出粒子が形成するので、バリスタ電
圧を増加させることができる。また、同時に微量の希土
類元素が酸化亜鉛粒子内へ固溶し、酸化亜鉛結晶粒の抵
抗値が減少するので、大電流域制限電圧比を小さくする
ことができる(たとえば特許第2872588号公報参
照)。
【0015】本発明の電圧非直線抵抗体に、酸化クロ
ム、酸化ニッケル、酸化コバルトまたは酸化マンガンを
添加することによって、電圧非直線性を改善することが
できる。酸化クロム、酸化ニッケル、酸化コバルトおよ
び酸化マンガンの原料としては、通常、粉砕などした数
平均粒径が1μm以下の粒子を用いることが望ましい。
充分な電圧非直線性を得るためには、これらの成分の配
合量は、それぞれCr23、NiO、Co34、Mn3
4に換算して、たとえば、原料中に0.1〜5モル
%、好ましくは0.2〜2モル%含有されるように調整
することが望ましい。これらの成分の配合量が0.1モ
ル%より少ない場合には、電圧非直線性を改善する効果
が小さい傾向がある。また、5モル%より多い場合に
は、電圧非直線性が低下する傾向がある。
【0016】本発明の電圧非直線抵抗体に、硝酸アルミ
ニウム(Al(NO33)を添加することによって、酸
化亜鉛粒子の電気抵抗を下げ、電圧非直線性を改善する
ことができる。硝酸アルミニウムの配合量は、たとえ
ば、原料中に0.001〜0.01モル%(Al23
換算すると0.0005〜0.005モル%)含有され
るように調整することが望ましい。アルミニウムイオン
は、イオン半径がZn2+のイオン半径よりも小さいの
で、格子の歪みの許容範囲内でZnO粒子内に固溶し、
+3価のイオンであるAlが+2価のイオンであるZn
と置換することにより、その電子的効果によってZnO
結晶粒子内部が低抵抗化し、その結果、大電流域制限電
圧比が改善される。
【0017】本発明の電圧非直線抵抗体に、ホウ酸を添
加することによって、酸化ビスマスを、より低融点化さ
せ、その流動性をよくし、粒子間などに存在する微細孔
(ポア)を有効に減ずる役割を果たさせることができ
る。ホウ酸の配合量は、たとえば、原料中に0.01〜
0.1モル%含有されるように調整することが望まし
い。
【0018】電圧非直線抵抗体の製造方法 本発明の電圧非直線抵抗体は、酸化亜鉛を主成分とした
焼結体を、特定の敷砂とともに熱処理することによって
製造することができる。たとえば、図4に示すように敷
砂を敷いた上に焼結体を設置し、さらに焼結体上に敷砂
を散布した状態で熱処理することによって、本発明の電
圧非直線抵抗体を製造することができる。熱処理は、た
とえば、酸素雰囲気中で800〜1100℃で行なうこ
とができる。熱処理したのちに、電極を形成することに
よって、電圧非直線抵抗体とすることができる。電極
は、金属溶射、たとえば、アルミニウム溶射などにより
形成することができる。
【0019】酸化亜鉛を主成分とした焼成体は、たとえ
ば、以下の方法によって製造することができる。ボール
ミルなどの手段で各原料の数平均粒径を適宜調整し、十
分に混合したのち、一旦乾燥し、たとえば、ポリビニル
アルコール水溶液などのバインダを加えメッシュを通し
て整粒し、これを金型に移して、たとえば、200〜5
00kgf/cm2程度の加圧力で一軸加圧を施し、所
定形状の粉末成形体を作製する。粉末成形体からバイン
ダを除去するために、該当粉末成形体をあらかじめ60
0℃程度の温度で加熱することによって、素子を得るこ
とができる。これの側面に酸化ビスマス、酸化ケイ素、
酸化アンチモン、バインダおよび溶媒を混合したペース
トを塗布し、1050〜1200℃で焼成を行なうこと
により、素子側面に高抵抗層を形成することができる。
つぎに焼結体の両端面を研磨する。
【0020】本発明では、酸化亜鉛を主成分として、酸
化ビスマスおよび酸化ケイ素を添加し、焼成した敷砂を
使用する。本発明で使用する敷砂は、酸化亜鉛、酸化ビ
スマスおよび酸化ケイ素を配合した原料を焼成した焼結
体を潰砕することによって、製造することができる。酸
化ビスマスの添加量は、たとえば、原料中に0.1〜5
モル%含有されるように調整することが望ましい。酸化
ケイ素の添加量は、たとえば、原料中に0.5〜5モル
%含有されるように調整することが望ましい。敷砂の大
きさはハンドリングの点から1〜5mmが望ましい。敷
砂は、たとえば素子(酸化亜鉛を主成分とする焼結体)
100重量部に対して0.5〜10重量部、好ましくは
2〜3重量部使用することができる。
【0021】
【実施例】以下に、本発明の電圧非直線抵抗体およびそ
の製造方法を実施例に基づいてさらに詳細に説明する
が、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではな
い。
【0022】素子(酸化亜鉛を主成分とした焼結体)の
製造 酸化イットリウム、酸化ビスマス、酸化クロム、酸化ニ
ッケル、酸化コバルト、酸化マンガンおよび酸化ケイ素
の含有量をそれぞれ0.5モル%、酸化アンチモンの含
有量を1.2モル%、酸化ホウ素の含有量を0.08モ
ル%となるように調整し、アルミニウムを硝酸塩水溶液
として0.004モル%添加した酸化亜鉛に、水を加
え、ボールミルを用いて湿式混合粉砕し、乾燥した。
【0023】これにバインダとして3%ポリビニルアル
コール水溶液を全粉末に対して6重量%になるよう添加
し、整粒した。得られた粉末を金型に投入し、400k
gf/cm2の加圧力で一軸加圧成形し、直径92m
m、厚さ34mmの成形体を得た。この成形体からポリ
ビニルアルコールを除去するために、600℃で5時間
加熱した。
【0024】これに酸化ビスマス27重量%、酸化ケイ
素31重量%および酸化アンチモン42重量%の混合粉
100重量部に対して、エチルセルロース40重量部、
モノブチルエーテル110重量部ならびに酢酸n−ブチ
ル30重量部を混合したペーストを側面に塗布し、焼成
を1150℃で5時間行ったのち、研磨加工を行なっ
て、直径76mm、厚さ20mmの素子を得た。
【0025】実施例1および比較例1 前記の素子と同じ組成の焼結体を作製し、これを潰砕し
て数平均粒径2mmの敷砂を作製した。敷砂を敷いた上
に研磨加工した素子を設置し、その上に敷砂を散布した
(図3)。この状態で酸素雰囲気中で900℃で5時間
加熱した。加熱後、溶射でアルミニウム電極を形成し
た。これに波高値1500Aの方形波を素子が破壊する
まで印加し、単位体積あたりの積算エネルギーを求め
た。
【0026】加熱処理を行なわなかった素子(比較例
1)と比較すると、敷砂とともに加熱処理した素子(実
施例1)の単位体積あたりの積算エネルギーは大きくな
り、エネルギー耐量が向上した(表1)。実施例1およ
び比較例1の素子表面を二次イオン質量分析計を用いて
深さ方向の分析を行なった。実施例1の結果を図5およ
び比較例1の結果を図6に示す。図5および図6中、各
グラフの横軸は、素子の表面から深さ方向への距離を示
し、縦軸は、素子の表面から深さ方向への各距離におけ
るBi、SiまたはZnの濃度(二次イオン出力分析計
の出力)を示す。実施例1の素子表面にはビスマスとケ
イ素が偏析しており、亜鉛やその他の元素は偏析してい
なかった。熱処理する前の素子(比較例1)の表面には
偏析している元素は検出されなかった(図5)。
【0027】酸化亜鉛に添加されたビスマスは主に酸化
ビスマスの形態で焼結体中に存在しており、素子表面に
酸化ビスマス相が偏析していることがわかった。ケイ素
は酸化亜鉛と反応してジンクシリケート(Zn2Si
4)の形態で存在していた。しかし、実施例1では、
亜鉛は表面層に偏析していないので、表面に偏析したケ
イ素はジンクシリケート相として存在していなかった。
したがって、表面に偏析したケイ素は表面に偏析した酸
化ビスマス相に固溶した形態で存在していることがわか
った。
【0028】前述したように加工による表面劣化は表面
や粒界からの酸素の脱離などを伴う。γ型酸化ビスマス
は不定比化合物であり過剰の酸素を含むので、γ型酸化
ビスマスを表面層に偏析させることにより、表面や粒界
に酸素を供給し表面層を高抵抗化することができる。ま
た、γ型酸化ビスマス中に含まれる過剰な酸素は大きな
電界による表面・粒界からの酸素の脱離を抑制し、電極
と焼結体のあいだの放電を抑えることができる。しか
し、γ型酸化ビスマスはビスマスと酸素だけでは安定な
相にはならないので、酸化ビスマスだけを表面に偏析さ
せてもγ型酸化ビスマスを形成することはできない。そ
こで、酸化ビスマスにケイ素を固溶させることにより、
安定なγ型酸化ビスマスを表面に形成することができ
る。
【0029】実施例2 酸化亜鉛粉末に酸化ビスマスを2.5モル%、酸化ケイ
素を2.5モル%添加し、ボールミルで混合したあと、
成形し、1150℃で焼成して得た焼結体を潰砕して敷
砂を作製した。敷砂を敷いた上に研磨加工した素子を設
置し、その上に敷砂を散布した。この状態で酸素雰囲気
中で900℃で5時間加熱した。加熱後、溶射でアルミ
ニウム電極を形成した。これに波高値1500Aの方形
波を素子が破壊するまで印加し、単位体積あたりの積算
エネルギーを求めた。
【0030】加熱処理を行なわなかった素子(比較例
1)と比較すると、敷砂とともに加熱処理した素子(実
施例2)の単位体積あたりの積算エネルギーは大きくな
り、エネルギー耐量が向上した(表1)。また、実施例
2の素子表面を二次質量分析計を用いて深さ方向の分析
を行なった。実施例1と同様に素子表面にはビスマスと
ケイ素が偏析しており、亜鉛やその他の元素は偏析して
いないことを確認した。
【0031】実施例3 実施例1と同様の方法で敷砂を作製した。敷砂を敷いた
上に研磨加工した素子を設置し、その上に敷砂を散布し
た。この状態で酸素雰囲気中で1100℃で5時間加熱
したのち、溶射でアルミニウム電極を形成した。これに
波高値1500Aの方形波を素子が破壊するまで印加
し、単位体積あたりの積算エネルギーを求めた。
【0032】加熱処理を行なわなかった素子(比較例
1)と比較すると、敷砂とともに加熱処理した素子(実
施例3)の単位体積あたりの積算エネルギーは大きくな
り、エネルギー耐量が向上した(表1)。また、実施例
3の素子表面を二次イオン質量分析計を用いて深さ方向
の分析を行なった。実施例1と同様に素子表面にはビス
マスとケイ素が偏析しており、亜鉛やその他の元素は偏
析していないことを確認した。
【0033】実施例4 実施例2と同様の方法で敷砂を作製した。敷砂を敷いた
上に研磨加工した素子を設置し、その上に敷砂を散布し
た。この状態で酸素雰囲気中で1100℃で5時間加熱
したあと、溶射でアルミニウム電極を形成した。これに
波高値1500Aの方形波を素子が破壊するまで印加
し、単位体積あたりの積算エネルギーを求めた。
【0034】加熱処理を行なわなかった素子(比較例
1)と比較すると、敷砂とともに加熱処理した素子(実
施例4)の単位体積あたりの積算エネルギーは大きくな
り、エネルギー耐量が向上した(表1)。また、実施例
4の素子表面を二次イオン質量分析計を用いて深さ方向
の分析を行なった。実施例1と同様に素子表面にはビス
マスとケイ素が偏析しており、亜鉛やその他の元素は偏
析していないことを確認した。
【0035】
【表1】
【0036】
【発明の効果】本発明の電圧非直線抵抗体(請求項1)
では、酸化亜鉛を主成分とした焼結体からなる電圧非直
線抵抗体において、抵抗体表面層に酸化ビスマス相が偏
析しており、かつ表面層の酸化ビスマス相中に含まれる
ケイ素の濃度が焼結体内部より高いので、表面層にケイ
素を固溶した安定なγ型酸化ビスマス相を形成すること
ができ、エネルギー耐量を向上させることができる。
【0037】本発明の電圧非直線抵抗体の製造方法(請
求項2、3または4)では、酸化亜鉛を主成分とした電
圧非直線抵抗体を、酸化亜鉛を主成分として酸化ビスマ
スおよび酸化ケイ素を添加し、焼成した敷砂とともに熱
処理するので、表面層にケイ素を固溶した安定なγ型酸
化ビスマス相を形成することができ、エネルギー耐量を
向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態による電圧非直線抵抗体
を示す模式図である。
【図2】 一般的な酸化亜鉛電圧非直線抵抗体の構造を
示す模式図である。
【図3】 一般的な酸化亜鉛電圧非直線抵抗体の電流−
電圧特性を示すグラフである。
【図4】 本発明の一実施の形態による電圧非直線抵抗
体の熱処理方法の一例を示す模式図である。
【図5】 本発明の一実施の形態による電圧非直線抵抗
体のビスマス、ケイ素および亜鉛の元素分布を示すグラ
フである。
【図6】 従来の電圧非直線抵抗体のビスマス、ケイ素
および亜鉛の元素分布を示すグラフである。
【符号の説明】
1 電圧非直線抵抗体、2 アルミニウム電極、3 側
面高抵抗層、4 ケイ素が固溶した酸化ビスマス相、5
敷砂、6 酸化亜鉛を主成分とした焼結体。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 奥村 正富 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 高田 良雄 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 Fターム(参考) 4G030 AA12 AA22 AA25 AA28 AA29 AA32 AA35 AA36 AA37 AA42 AA43 BA04 CA01 CA02 5E034 CA01 CB01 CC03 DA03 DB17 DE12

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化亜鉛を主成分とした焼結体からなる
    電圧非直線抵抗体において、抵抗体表面層に酸化ビスマ
    ス相が偏析しており、かつ表面層の酸化ビスマス相中に
    含まれるケイ素の濃度が焼結体内部より高いことを特徴
    とする電圧非直線抵抗体。
  2. 【請求項2】 酸化亜鉛を主成分とした焼結体を、酸化
    亜鉛を主成分として、酸化ビスマスおよび酸化ケイ素を
    添加し、焼成した敷砂とともに熱処理することを特徴と
    する電圧非直線抵抗体の製造方法。
  3. 【請求項3】 熱処理を酸素雰囲気中で800〜110
    0℃で行なう請求項2記載の電圧非直線抵抗体の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 敷砂が、酸化亜鉛を主成分として、酸化
    ビスマスを0.1〜5モル%、酸化ケイ素を0.5〜5
    モル%添加し、焼成した敷砂である請求項2または3記
    載の電圧非直線抵抗体の製造方法。
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