JP4461510B2 - 電圧非直線性抵抗体磁器およびバリスタ - Google Patents

電圧非直線性抵抗体磁器およびバリスタ Download PDF

Info

Publication number
JP4461510B2
JP4461510B2 JP16048599A JP16048599A JP4461510B2 JP 4461510 B2 JP4461510 B2 JP 4461510B2 JP 16048599 A JP16048599 A JP 16048599A JP 16048599 A JP16048599 A JP 16048599A JP 4461510 B2 JP4461510 B2 JP 4461510B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
less
oxide
range
weight
terms
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP16048599A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2000348912A (ja
Inventor
正仁 古川
武史 野村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TDK Corp filed Critical TDK Corp
Priority to JP16048599A priority Critical patent/JP4461510B2/ja
Publication of JP2000348912A publication Critical patent/JP2000348912A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4461510B2 publication Critical patent/JP4461510B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)
  • Thermistors And Varistors (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、亜鉛を含む酸化物を含有する電圧非直線性抵抗体磁器およびそれを用いたバリスタに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、サイリスタ、トランジスタあるいは集積回路などの半導体素子および半導体回路に関する技術が急速に発展してきている。それに伴い、計測、制御、通信機および電力機器などの広い分野において半導体素子および半導体回路が使用されるようになり、これらの機器の小型化および高性能化が急速に進展している。ところが、一方で、これらの機器およびその部品の耐電圧性能、耐サージ性能あるいは耐ノイズ性能は十分ではなく、異常なサージあるいはノイズから保護する必要がある。そこで、一般には、バリスタを用いることにより異常なサージあるいはノイズからそれらの機器およびその部品を保護している。
【0003】
バリスタには、例えば、炭化ケイ素(SiC),酸化チタンストロンチウム(SrTiO3 )あるいは亜鉛(Zn)を含む酸化物などをそれぞれ主成分とする電圧非直線性抵抗体磁器を用いたものが知られている。中でも、亜鉛を含む酸化物を用いたものは、一般に、制限電圧が低く、電圧非直線指数が大きいなどの特徴を有しているので、半導体素子のように過電流耐量の小さなもので構成される機器を過電圧から保護するのに適している。よって、最近では、この亜鉛を含む酸化物を用いたバリスタが炭化ケイ素を用いたものに代わり広く利用されるようになっている。
【0004】
なお、この亜鉛を含む酸化物を用いたバリスタでは、電圧非直線性抵抗体磁器に添加物としてコバルト(Co)およびアルミニウム(Al)の他、希土類元素およびその他の元素、またはビスマス(Bi),アンチモン(Sb)およびその他の元素などを含むことにより各種の特性を得ている。最近では、低電圧化による薄型化および小型化が進んでおり、特に機械的強度の改善が望まれている。通常、機械的強度を向上させるには、ホットプレスを用いて製造したり、原料粉末の粒径を小さくして焼成温度を下げ結晶粒径を小さくしたり、あるいは種々の添加物を添加して結晶粒径を小さくするなどの方法がとられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ホットプレスを用いて製造すると製造コストがかかり、製造工程も通常の製品に比べて長くなり、しかも設備的にも高価なものとなってしまうので、結果的に製品が高価となってしまうという問題があった。また、原料粉末を微粉化すると、製造する際に原料の取り扱いが難しく、かつ原料を微粉化する工程が新たに必要となるので、製造が難しく煩雑となってしまうという問題があった。更に、デバイスの小型化および薄型化の観点からは、電圧非直線性抵抗体磁器の単位厚さ当たりのバリスタ電圧を向上させる必要があった。
【0006】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、薄型化しても機械的強度を簡単にかつ安価に向上させることができる電圧非直線性抵抗体磁器およびそれを用いたバリスタを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の電圧非直線性抵抗体磁器は、亜鉛を含む酸化物を含有するものであって、コバルト(Co)を酸化コバルト(CoO)に換算して0.2重量%以上5重量%以下の範囲内で含み、アルミニウム(Al)を酸化アルミニウム(Al 2 3 )に換算して0.001重量%以上0.05重量%以下の範囲内で含み、ランタン(La),セリウム(Ce),プラセオジム(Pr),ネオジム(Nd),サマリウム(Sm),ユウロピウム(Eu),ガドリニウム(Gd),テルビウム(Tb),ジスプロシウム(Dy),ホルミウム(Ho),エルビウム(Er),ツリウム(Tm),イッテルビウム(Yb)およびルテチウム(Lu)からなる群のうちの少なくとも1種の希土類元素を含むと共に、その含有量は、その希土類元素をRとするとR 2 3 で表される酸化物に換算し希土類元素の合計で0.2重量%以上5重量%以下の範囲内であり、炭素(C)の含有量が7重量ppmよりも多く31重量ppm未満のものである。
本発明の第2の電圧非直線性抵抗体磁器は、亜鉛(Zn)を含む酸化物を含有する電圧非直線性抵抗体磁器であって、コバルト(Co)を酸化コバルト(CoO)に換算して0.2重量%以上5重量%以下の範囲内で含み、アルミニウム(Al)を酸化アルミニウム(Al 2 3 )に換算して0.001重量%以上0.05重量%以下の範囲内で含み、ビスマス(Bi)を酸化ビスマス(Bi 2 3 )に換算して0.5重量%以上5重量%以下の範囲内で含み、アンチモン(Sb)を酸化アンチモン(Sb 2 3 )に換算して1重量%以上10重量%以下の範囲内で含み、炭素(C)の含有量が10重量ppmよりも多く31重量ppm未満のものである。
【0008】
本発明の第1および第2の電圧非直線性抵抗体磁器では、炭素の含有量が31重量ppm未満となっているので、機械的強度が改善される。
【0010】
発明の第1の電圧非直線性抵抗体磁器では、炭素の含有量を20重量ppm以下とすれば機械的強度をより改善できるので好ましい。
【0011】
本発明の第2の電圧非直線性抵抗体磁器では、炭素の含有量を26重量ppm以下とすれば機械的強度をより改善できるので好ましい。
【0012】
本発明の第1のバリスタは、亜鉛を含む酸化物を含有する電圧非直線性抵抗体磁器を用いたものであって、電圧非直線性抵抗体磁器は、コバルト(Co)を酸化コバルト(CoO)に換算して0.2重量%以上5重量%以下の範囲内で含み、アルミニウム(Al)を酸化アルミニウム(Al 2 3 )に換算して0.001重量%以上0.05重量%以下の範囲内で含み、ランタン(La),セリウム(Ce),プラセオジム(Pr),ネオジム(Nd),サマリウム(Sm),ユウロピウム(Eu),ガドリニウム(Gd),テルビウム(Tb),ジスプロシウム(Dy),ホルミウム(Ho),エルビウム(Er),ツリウム(Tm),イッテルビウム(Yb)およびルテチウム(Lu)からなる群のうちの少なくとも1種の希土類元素を含むと共に、その含有量は、その希土類元素をRとするとR 2 3 で表される酸化物に換算しそれら希土類元素の合計で0.2重量%以上5重量%以下の範囲内であり、炭素(C)の含有量が7重量ppmよりも多く31重量ppm未満のものである。
本発明の第2のバリスタは、亜鉛を含む酸化物を含有する電圧非直線性抵抗体磁器を用いたものであって、電圧非直線性抵抗体磁器は、コバルト(Co)を酸化コバルト(CoO)に換算して0.2重量%以上5重量%以下の範囲内で含み、アルミニウム(Al)を酸化アルミニウム(Al 2 3 )に換算して0.001重量%以上0.05重量%以下の範囲内で含み、ビスマス(Bi)を酸化ビスマス(Bi 2 3 )に換算して0.5重量%以上5重量%以下の範囲内で含み、アンチモン(Sb)を酸化アンチモン(Sb 2 3 )に換算して1重量%以上10重量%以下の範囲内で含み、炭素(C)の含有量が10重量ppmよりも多く31重量ppm未満のものである。
【0013】
すなわち、本発明の第1および第2のバリスタは、本発明の第1あるいは第2の電圧非直線性抵抗体磁器を用いたものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
(第1の実施の形態)
本実施の形態に係る電圧非直線性抵抗体磁器は、亜鉛を含む酸化物を最大含有物である主成分として例えば90重量%以上含んでいる。この電圧非直線性抵抗体磁器は、また、添加物として表1に示した元素を含んでいる。すなわち、コバルトと、アルミニウムと、ランタン(La),セリウム(Ce),プラセオジム(Pr),ネオジム(Nd),サマリウム(Sm),ユウロピウム(Eu),ガドリニウム(Gd),テルビウム(Tb),ジスプロシウム(Dy),ホルミウム(Ho),エルビウム(Er),ツリウム(Tm),イッテルビウム(Yb)およびルテチウム(Lu)からなる群のうちの少なくとも1種の希土類元素と、カリウム(K),ルビジウム(Rb)およびセシウム(Cs)からなる群のうちの少なくとも1種のアルカリ金属元素と、クロム(Cr)と、マグネシウム(Mg),カルシウム(Ca),ストロンチウム(Sr)およびバリウム(Ba)からなる群のうちの少なくとも1種のアルカリ土類金属元素と、ケイ素とを含んでいる。
【0016】
【表1】
Figure 0004461510
【0017】
これら添加物の元素のうちの少なくとも一部は亜鉛を含む酸化物に含まれ、残りの一部は亜鉛を含む酸化物の粒界に存在している。亜鉛を含む酸化物の粒界に存在する添加物は、どのような状態で存在していてもよい。例えば、添加物のうちの1種類の元素で酸化物を構成していてもよく、複数の元素で酸化物を構成していてもよい。なお、これらの添加物を含む理由は次の通りである。コバルト,希土類元素およびアルカリ土類金属元素は非直線特性を向上させるためであり、アルミニウムは制限電圧を低くしかつ漏れ電流を少なくするためであり、アルカリ金属元素およびクロムはサージ寿命を改善するためであり、ケイ素は高温高湿中での負荷寿命を改善するためである。
【0018】
また、これら添加物の好ましい含有量は先の表1に示した通りである。すなわち、コバルトは酸化コバルト(CoO)に換算して0.2重量%以上5重量%以下の範囲内であることが好ましい。0.2重量%未満であると十分に非直線特性を向上させることができず、5重量%を超えるとサージ寿命が低下してしまうからである。アルミニウムは酸化アルミニウム(Al2 3 )に換算して0.001重量%以上0.05重量%以下の範囲内であることが好ましい。0.001重量%未満であると十分に制限電圧を低くすることができず、0.05重量%を超えると漏れ電流が増大してしまうからである。希土類元素は、希土類元素をRとするとR2 3 で表される酸化物に換算し希土類元素の合計で0.2重量%以上5重量%以下の範囲内であることが好ましい。0.2重量%未満であると十分に非直線特性を向上させることができず、5重量%を超えるとサージ寿命が低下してしまうからである。
【0019】
アルカリ金属元素は、酸化物(K2 O,Rb2 O,Cs2 O)に換算しアルカリ金属元素の合計で0.01重量%以上0.5重量%以下であることが好ましい。0.01重量%未満であると十分にサージ寿命を延長することができず、0.5重量%を超えると焼結が阻害され焼結状態が悪化してしまうからである。クロムは酸化クロム(Cr2 3 )に換算して0.03重量%以上0.5重量%以下であることが好ましい。0.03重量%未満であると十分にサージ寿命を向上させることができず、0.5重量%を超えると焼結が阻害され焼結状態が悪化してしまうからである。
【0020】
アルカリ土類金属元素は、酸化物(MgO,CaO,SrO,BaO)に換算しアルカリ土類金属元素の合計で0.02重量%以上0.5重量%以下の範囲内であることが好ましい。0.02重量%未満であると十分に非直線特性を向上させることができず、0.5重量%を超えると高温高湿中での負荷寿命において劣化しやすくなるからである。ケイ素は二酸化ケイ素(SiO2 )に換算して0.005重量%以上0.1重量%以下の範囲内であることが好ましい。0.005重量%未満であると高温高湿中での負荷寿命を十分に向上させることができず、0.1重量%を超えるとサージ寿命が低下してしまうからである。
【0021】
更に、この電圧非直線性抵抗体磁器は、炭素(C)の含有量が少ない方が機械的強度および非直線特性を向上させることができ、できれば炭素を含まない方がより好ましい。ここでは、炭素の含有量を31重量ppm未満とすることにより、その効果を十分に得ることができるようになっている。なお、より高い効果を得るには炭素の含有量を20重量ppm以下とする方が好ましく、15重量ppm以下とすれば更に好ましい。但し、一方で、炭素の含有量が少なくなると単位厚さ当たりのバリスタ電圧が低くなってしまうので、薄型化する場合には炭素の含有量があまり少なくなりすぎるのは好ましくなく、例えば、7重量ppmよりも多い方が好ましい。
【0022】
なお、この電圧非直線性抵抗体磁器は、全体の組成が上述した範囲内にあれば完全に均質でなくてもよく、例えば異相を含んでいてもよい。また、この電圧非直線性抵抗体磁器の結晶粒径は、例えば、5μm以上200μm以下の範囲内であり、10μm以上100μm以下の範囲内であれば好ましい。
【0023】
このような構成を有する電圧非直線性抵抗体磁器は、例えば、次のようにして製造することができる。
【0024】
図1はその製造方法の工程を表すものである。まず、原料粉末として、酸化亜鉛(ZnO)の粉末と、上述した添加物の元素を含む酸化物あるいは水酸化物または炭酸塩の粉末とを用意し、添加物の含有量が上述した通りとなるようにそれぞれを秤取る。次いで、例えば、この原料粉末に純水と必要に応じて分散剤とを加えて混合する(ステップS1)。その際、原料粉末の平均粒径は例えば0.1μm以上5.0μm以下とする。均一に混合することが容易であり、取り扱いも容易にできるからである。
【0025】
続いて、例えば、この混合した原料粉末を乾燥させ、粉砕し(ステップS2)、バインダと必要に応じて分散剤とを添加して造粒し(ステップS3)、乾燥させる(ステップS4)。その際、バインダには、ポリビニルアルコール(PVA;以下、PVAと言う),エチルセルロース,ナイロンなどの有機バインダまたは純水などを用いる。
【0026】
そののち、例えば、造粒し乾燥させたものを加圧成形し(ステップS5)、大気雰囲気中において300℃以上800℃以下の範囲内の温度において加熱しバインダを除去する(ステップS6)。この加熱時間は例えば0.5時間以上5時間以下とする。なお、この脱バインダは、大気よりも酸素分圧の高い雰囲気中で行ってもよく、純酸素雰囲気中において行ってもよい。
【0027】
バインダを除去したのち、例えば、1000℃以上1450℃以下の範囲内まで昇温し、その温度で焼成する(ステップS7)。この焼成時間は例えば0.5時間以上5時間以下とする。また、この焼成は、大気中で行ってもよく、大気よりも酸素分圧の高い雰囲気中、あるいは純酸素雰囲気中において行ってもよい。更に、脱バインダ後であれば密閉した容器中で焼成してもよく、昇温の際に窒素ガスあるいはアルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気中としてもよい。なお、脱バインダ工程(ステップS6)と焼成工程(ステップS7)とは、連続して行っても不連続に別々に行ってもよい。これにより、本実施の形態に係る電圧非直線性抵抗体磁器が得られる。
【0028】
このようにして製造される電圧非直線性抵抗体磁器は、例えば、バリスタを構成する材料として好ましく用いられる。
【0029】
図2はバリスタ10の一構成例を表すものである。このバリスタ10は、例えば、一対の対向面を有する円板状の電圧非直線性抵抗体11と、この電圧非直線性抵抗体11の対向面に対してそれぞれ設けられた一対の電極12,13とを備えている。この電圧非直線性抵抗体11は、本実施の形態に係る電圧非直線性抵抗体磁器により構成されている。また、電極12,13は、例えば、銀などの金属により構成されている。
【0030】
このバリスタ10は、上述したようにして電圧非直線性抵抗体11が形成されたのち、その対向面に例えば銀ペーストが印刷され、例えば500℃以上700℃以下の温度で焼き付けられることにより、製造される。
【0031】
また、このバリスタ10は、例えば、次のようにして用いられ、作用する。
【0032】
図3はこのバリスタ10を用いた電気回路の一構成例を表すものである。この電気回路は、例えば、電子レンジあるいは電話器などの電子機器21を電源線22を介して図示しない電源に接続するものであり、バリスタ10は電源線22に対して電子機器21と並列に接続される。これにより、電源線22を介して例えば雷サージが侵入した場合、バリスタ10により雷サージ電圧aがバリスタの制限電圧bに制限され、電子機器21にはバリスタ電圧bが印加される。よって、電子機器21に過電圧が印加されることが回避される。
【0033】
また、ここでは、バリスタ10の電圧非直線性抵抗体11における炭素の含有量が31重量ppm未満となっているので、機械的強度および非直線特性が高くなっている。よって、厚さを薄くしても割れあるいは欠けがなく、高い信頼性を有している。更に、電圧非直線性抵抗体11における炭素の含有量を7重量ppmよりも多くするようにすれば、単位厚さ当たりのバリスタ電圧が高くなり、薄型化が可能となる。
【0034】
なお、ここでは、電子機器21を電源に対して接続する電源線22にバリスタ10を配置するようにしたが、アース線と電源線との間に配置する場合や、あるいは電話回線などの信号線に配置する場合もある。
【0035】
このように本実施の形態によれば、電圧非直線性抵抗体磁器における炭素の含有量を31重量ppm未満とするようにしたので、簡単かつ安価に機械的強度および非直線特性を向上させることができる。よって、この電圧非直線性抵抗体磁器を用いてバリスタを構成すれば、機械的強度および非直線性を高くすることができ、薄いものであっても割れあるいは欠けの発生を防止することができる。よって、信頼性を向上させることができると共に、小型化および低価格化を図ることができる。
【0036】
特に、炭素の含有量を7重量ppmよりも多くするようにすれば、単位厚さ当たりのバリスタ電圧を高くすることができ、薄型化を図ることができる。また、炭素の含有量を20重量ppm以下、更には15重量ppm以下とするようにすれば、より機械的強度および非直線性を高くすることができる。
【0037】
(第2の実施の形態)
本実施の形態に係る電圧非直線性抵抗体磁器は、第1の実施の形態と添加物の元素が異なり、かつ炭素の最適含有量が異なることを除き、第1の実施の形態と同一の構成を有しており、同様にして製造され、同様にして用いられ、同様に作用する。よって、ここでは、図1乃至図3を参照し、同一の構成要素には同一の符号を付して、同一部分についての詳細な説明を省略する。
【0038】
この電圧非直線性抵抗体磁器は、亜鉛を含む酸化物を最大含有物である主成分として例えば80重量%以上含んでいる。この電圧非直線性抵抗体磁器は、また、添加物として表2に示した元素を含んでいる。すなわち、コバルトと、アルミニウムと、ビスマス(Bi)と、アンチモン(Sb)と、クロムとマンガン(Mn)およびニッケル(Ni)からなる群のうちの少なくとも1種と、銀(Ag)と、ケイ素とを含んでいる。第1の実施の形態と同様に、これら添加物の元素のうちの少なくとも一部は亜鉛を含む酸化物に含まれ、残りの一部は亜鉛を含む酸化物の粒界に存在している。亜鉛を含む酸化物の粒界に存在する添加物は、第1の実施の形態と同様に、どのような状態で存在していてもよい。
【0039】
【表2】
Figure 0004461510
【0040】
なお、これらの添加物を含む理由は次の通りである。コバルトおよびアンチモンは非直線特性を向上させるためであり、アルミニウムはバリスタ電圧を低くしかつ漏れ電流を少なくするためであり、ビスマスは非直線特性を向上させると共に焼結性を向上させるためであり、クロム,マンガン,ニッケルおよび銀はサージ寿命,温度特性および1mm当たりのバリスタ電圧V1mA /mm のばらつきを改善するためであり、ケイ素は高温高湿中での負荷寿命を改善するためである。
【0041】
また、これら添加物の好ましい含有量は先の表2に示した通りである。すなわち、コバルトは酸化コバルト(CoO)に換算して0.2重量%以上5重量%以下の範囲内であることが好ましい。0.2重量%未満であると十分に非直線特性を向上させることができず、5重量%を超えるとサージ寿命が低下してしまうからである。アルミニウムは酸化アルミニウム(Al2 3 )に換算して0.001重量%以上0.05重量%以下の範囲内であることが好ましい。0.001重量%未満であると十分に制限電圧を低くすることができず、0.05重量%を超えると漏れ電流が増大してしまうからである。ビスマスは酸化ビスマス(Bi2 3 )に換算して0.5重量%以上5重量%以下の範囲内であることが好ましい。0.5重量%未満であると十分に焼結させることができず、5重量%を超えると非直線性が低下してしまうからである。
【0042】
アンチモンは酸化アンチモン(Sb2 3 )に換算して1重量%以上10重量%以下であることが好ましい。1重量%未満であると十分な非直線性を得ることができず、10重量%を超えると焼結が阻害されてしまうからである。クロム,マンガンおよびニッケルは酸化物(Cr2 3 ,MnO,NiO)に換算しそれらの合計で0.2重量%以上3重量%以下であることが好ましい。0.2重量%未満であると十分にサージ寿命を向上させることができず、3重量%を超えると焼結が阻害されてしまうからである。
【0043】
銀は酸化銀(Ag2 O)に換算して0.02重量%以上0.5重量%以下の範囲内であることが好ましい。0.02重量%未満であると添加の効果を得られず、0.5重量%を超えると非直線性が低下してしまうからである。ケイ素は二酸化ケイ素(SiO2 )に換算して0.005重量%以上0.5重量%以下の範囲内であることが好ましい。0.005重量%未満であると高温高湿中での負荷寿命を十分に向上させることができず、0.5重量%を超えるとサージ寿命が低下してしまうからである。
【0044】
更に、この電圧非直線性抵抗体磁器は、第1の実施の形態と同様に、機械的強度および非直線特性については炭素の含有量の少ない方が好ましく、できれば炭素を含まない方がより好ましい。一方、薄型化を考えると炭素の含有量があまり少なくなりすぎるのは好ましくない。ここでは、炭素の含有量を31重量ppm未満とすることにより、機械的強度および非直線特性に十分に高くできるようになっており、より高い効果を得るには炭素の含有量を26重量ppm以下とする方が好ましく、19重量ppm以下とすれば更に好ましい。また、薄型化を考えた場合には、炭素の含有量は10重量ppmよりも多い方が好ましい。
【0045】
このように本実施の形態によれば、電圧非直線性抵抗体磁器における炭素の含有量を31重量ppm未満とするようにしたので、第1の実施の形態と同一の効果を得ることができる。特に、炭素の含有量を10重量ppmよりも多くするようにすれば、単位厚さ当たりのバリスタ電圧を高くすることができ、薄型化を図ることができる。また、炭素の含有量を26重量ppm以下、更には19重量ppm以下とするようにすれば、より機械的強度および非直線性を高くすることができる。
【0046】
【実施例】
更に、本発明の具体的な実施例について詳細に説明する。
【0047】
(第1の実施例)
まず、原料粉末として、酸化亜鉛(ZnO)を97.1g、酸化コバルト(Co3 4 )を1.5g、酸化アルミニウム(Al2 3 )を0.002g、水酸化ランタン(La(OH)3 )を0.14g、酸化プラセオジム(Pr6 11)を0.9g、炭酸カリウム(K2 CO3 )を0.07g、酸化クロム(Cr2 3 )を0.08g、炭酸マグネシウム(MgCO3 )を0.08g、炭酸カルシウム(CaCO3 )を0.1gおよび二酸化ケイ素(SiO2 )を0.02gそれぞれ秤取り、それらをポリイミド製のポットに入れ、純水を加えて酸化ジルコニウム製のボールを用い回転台に載せて混合した。表3に原料粉末として混合した混合物とその混合量をそれぞれ示す。
【0048】
【表3】
Figure 0004461510
【0049】
次いで、混合した原料粉末を蒸発皿に移し、乾燥機で乾燥させ、粉砕したのち、バインダを添加しながら造粒し、蒸発皿に移して乾燥させた。なお、その際、バインダの種類を変化させ、バインダにPVAを用いたもの、エチルセルロースを用いたもの、あるいは純水を用いたものをそれぞれ作製した。続いて、造粒し乾燥させたものを成形密度3〜4g/cm3 、直径12.0mm、厚さ1.5mmの円板状に加圧成形し、大気雰囲気中において2時間加熱し、バインダを除去した。なお、その際、脱バインダ温度を変化させ、バインダの種類が同じものについて800℃,700℃または600℃でそれぞれバインダを除去した。
【0050】
そののち、窒素ガス雰囲気中において1200℃まで昇温を行い、大気雰囲気中において1290℃で4時間焼成を行った。これにより、9種類の電圧非直線性抵抗体磁器の試料(実施例11〜19)を得た。
【0051】
この得られた試料(実施例11〜19)について残留している炭素の含有量をそれぞれ調べた。ここでは、堀場製作所製の炭素・硫黄分析装置(EMIA520)を用い、試料を酸素気流中において高周波加熱により燃焼させ、赤外線吸収方により測定した。それらの結果をバインダの種類および脱バインダ温度条件と共に表4にそれぞれ示す。このように、バインダの種類と脱バインダの温度とを異ならせることにより、残留する炭素の含有量に違いが生じていた。
【0052】
【表4】
Figure 0004461510
【0053】
また、同様にして得られた他の試料(実施例11〜19)について、対向面に銀ペーストをそれぞれ印刷し、600℃で焼き付けて、バリスタをそれぞれ作製した。そののち、作製したバリスタについて、1mm当たりのバリスタ電圧V1mA /mm と、1mAから10mAにおける電圧非直線指数α10とをそれぞれ測定した。なお、電圧非直線指数α10は、数1に示した式によって求められる。それらの結果についても表4に合わせてそれぞれ示す。また、1mm当たりのバリスタ電圧V1mA /mm と炭素の含有量との関係を図4に、電圧非直線指数α10と炭素の含有量との関係を図5にそれぞれ示す。
【0054】
【数1】
α10=log(10/1)/log(V10mA/V1mA
10mA;10mAにおけるバリスタ電圧
1mA ;1mAにおけるバリスタ電圧
【0055】
更に、同様にして得られた他の試料(実施例11〜19)について、縦2mm、横4mm、厚さ0.4mmの大きさに加工し、デジタル荷重試験器を用いJIS(R1601)に従って抗折強度試験をそれぞれ行った。それらの結果についても表4に合わせてそれぞれ示す。また、抗折強度と炭素の含有量との関係を図6に示す。加えて、これらの試料(実施例11〜19)について、結晶粒径を調べたところ、いずれも15μm〜20μm程度の大きさであった。
【0056】
なお、本実施例11〜19に対する比較例11として、バインダにPVAを用い、脱バインダ温度を400℃としたことを除き、本実施例11〜19と同一の条件で電圧非直線性抵抗体磁器の試料を作製した。この試料についても、本実施例11〜19と同様にして、残留している炭素の含有量、1mm当たりのバリスタ電圧V1mA /mm 、1mAから10mAにおける電圧非直線指数α10および抗折強度をそれぞれ測定した。それらの結果を表4および図4乃至図6にそれぞれ合わせて示す。また、この試料についても結晶粒径を調べたところ、実施例11〜19と同様に、15μm〜20μmの大きさであった。
【0057】
これらの結果から、炭素の含有量が少ない方が電圧非直線指数α10が大きくなり、かつ抗折強度が大きくなることが分かった。例えば、炭素の含有量を31重量ppm未満とすれば、抗折強度を約6.4kgf/mm2 よりも大きく従来と同等あるいはそれ以上とすることができる。また、炭素の含有量を20重量ppm以下とすれば、抗折強度を約8.0kgf/mm2 以上とすることができ、炭素の含有量を15重量ppm以上とすれば、抗折強度を約8.5kgf/mm2 以上とすることができる。一方、炭素の含有量が少なくなると1mm当たりのバリスタ電圧V1mA /mm が低くなり、素子の薄型化が難しくなることも分かった。例えば、炭素の含有量を7重量ppmよりも少なくすると、バリスタ電圧V1mA /mm は約148V/mmよりも低くなってしまう。
【0058】
すなわち、炭素の含有量を31重量ppm未満とすれば、非直線特性および機械的強度を改善することができ、薄くしても割れあるいは欠けの発生を防止でき、信頼性を向上させることができると共に、小型化および低価格化を図れることが分かる。また、炭素の含有量を7重量ppmよりも多くすれば、単位厚さ当たりのバリスタ電圧を高くすることができ、素子の薄型化を図れることが分かる。
【0059】
(第2の実施例)
まず、原料粉末として、酸化亜鉛(ZnO)を89.1g、酸化コバルト(Co3 4 )を1.2g、酸化アルミニウム(Al2 3 )を0.006g、酸化ビスマス(Bi2 3 )を2.5g、酸化アンチモン(Sb2 3 )を5.9g、酸化クロム(Cr2 3 )を0.6g、炭酸マンガン(MnCO3 )を1.2g、酸化ニッケル(NiO)を0.005g、酸化銀(Ag2 O)を0.1gおよび二酸化ケイ素(SiO2 )を0.1gそれぞれ秤取り、それらをポリイミド製のポットに入れ、純水を加えて酸化ジルコニウム製のボールを用い回転台に載せて混合した。表5に原料粉末として混合した混合物とその混合量をそれぞれ示す。
【0060】
【表5】
Figure 0004461510
【0061】
次いで、混合した原料粉末を第1の実施例と同様にして乾燥させ、粉砕したのち、バインダを添加しながら造粒し、乾燥させた。その際、第1の実施例と同様に、バインダの種類を変化させ、バインダにPVAを用いたもの、エチルセルロースを用いたもの、あるいは純水を用いたものをそれぞれ作製した。続いて、造粒し乾燥させたものを第1の実施例と同様にして加圧成形し、バインダを除去した。その際、第1の実施例と同様に脱バインダ温度を変化させ、バインダにPVAまたは純水を用いたものについては800℃,700℃または600℃でそれぞれバインダを除去し、バインダにエチルセルロースを用いたものについては800℃または700℃でそれぞれバインダを除去した。
【0062】
そののち、大気雰囲気中において1290℃で焼成を行った。これにより、8種類の電圧非直線性抵抗体磁器の試料(実施例21〜28)を得た。この得られた試料(実施例21〜28)について、第1の実施例と同様にして、残留している炭素の含有量をそれぞれ調べた。その結果を表6に示す。第1の実施例と同様に、バインダの種類と脱バインダの温度とが異なることにより、残留する炭素の含有量に違いが生じていた。
【0063】
【表6】
Figure 0004461510
【0064】
また、同様にして得られた他の試料(実施例21〜28)について、第1の実施例と同様にして、1mm当たりのバリスタ電圧V1mA /mm 、1mAから10mAにおける電圧非直線指数α10および抗折強度をそれぞれ測定した。それらの結果を表6に合わせてそれぞれ示すと共に、バリスタ電圧V1mA /mm と炭素の含有量との関係を図7に、電圧非直線指数α10と炭素の含有量との関係を図8に、抗折強度と炭素の含有量との関係を図9にそれぞれ示す。更に、本実施例21〜28についても結晶粒径を調べたところ、第1の実施例と同様に、いずれも15μm〜20μm程度の大きさであった。
【0065】
なお、本実施例21〜28に対する比較例21として、バインダにエチルセルロースを用い、脱バインダ温度を600℃としたことを除き、本実施例21〜28と同一の条件で電圧非直線性抵抗体磁器の試料を作製した。また、他の比較例22として、バインダにPVAを用い、脱バインダ温度を400℃としたことを除き、本実施例21〜28と同一の条件で電圧非直線性抵抗体磁器の試料を作製した。これらの試料についても、本実施例21〜28と同様にして、残留している炭素の含有量、1mm当たりのバリスタ電圧V1mA /mm 、1mAから10mAにおける電圧非直線指数α10および抗折強度をそれぞれ測定した。それらの結果を表6および図7乃至図9にそれぞれ合わせて示す。また、これらの試料についても結晶粒径を調べたところ、実施例21〜28と同様に、それぞれ15μm〜20μmの大きさであった。
【0066】
これらの結果から、本実施例についても炭素の含有量が少ない方が電圧非直線指数α10が大きくなり、かつ抗折強度が大きくなることが分かった。例えば、炭素の含有量を31重量ppm未満とすれば、抗折強度を約5.8kgf/mm2 よりも大きく従来と同等あるいはそれ以上とすることができる。また、炭素の含有量を26重量ppm以下とすれば、抗折強度を約6.3kgf/mm2 以上とすることができ、炭素の含有量を19重量ppm以上とすれば、抗折強度を約6.5kgf/mm2 以上とすることができる。一方、炭素の含有量が少なくなると1mm当たりのバリスタ電圧V1mA /mm が低くなり、素子の薄型化が難しくなることも分かった。例えば、炭素の含有量を10重量ppmよりも少なくすると、バリスタ電圧V1mA /mm は約179V/mmよりも低くなってしまう。
【0067】
すなわち、炭素の含有量を31重量ppm未満とすれば、非直線特性および機械的強度を改善することができ、薄くしても割れあるいは欠けの発生を防止でき、信頼性を向上させることができると共に、小型化および低価格化を図れることが分かる。また、炭素の含有量を10重量ppmよりも多くすれば、単位厚さ当たりのバリスタ電圧を高くすることができ、素子の薄型化を図れることが分かる。
【0068】
なお、以上の実施例においては、本発明の電圧非直線性抵抗体磁器の1組成についてそれぞれ具体的に述べたが、他の組成についても同様の結果を得ることができる。
【0069】
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は、上記実施の形態および実施例に限定されるものではなく、種々変形することができる。例えば、上記実施の形態および実施例では、添加物としての元素を具体的に説明したが、本発明は、上述した全ての元素を含んでいる必要はなく、また、上述した元素以外の元素を含んでいてもよい。
【0070】
また、上記実施の形態では、本発明の電圧非直線性抵抗体磁器を用いたバリスタ10の用途について具体的に説明したが、本発明は、上述した以外にも、サージあるいはノイズを排除したい場合に広く用いることができる。
【0071】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1ないし請求項のいずれか1に記載の電圧非直線性抵抗体磁器によれば、炭素の含有量を31重量ppm未満とするようにしたので、簡単かつ安価に機械的強度および非直線特性を向上させることができるという効果を奏する。
【0072】
特に、求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の電圧非直線性抵抗体磁器によれば、少なくとも1種の希土類元素を含、炭素の含有量を7重量ppmよりも多くするようにしたので、単位厚さ当たりのバリスタ電圧を高くすることができるという効果を奏する。
【0073】
また、請求項に記載の電圧非直線性抵抗体磁器によれば、少なくとも1種の希土類元素を含、炭素の含有量を20重量ppm以下とするようにしたので、機械的強度および非直線特性をより向上させることができるという効果を奏する。
【0074】
さらに、請求項5ないし請求項7のいずれか1項に記載の電圧非直線性抵抗体磁器によれば、ビスマスとアンチモンとを含、炭素の含有量を10重量ppmよりも多くするようにしたので、単位厚さ当たりのバリスタ電圧を高くすることができるという効果を奏する。
【0075】
加えて、請求項に記載の電圧非直線性抵抗体磁器によれば、ビスマスとアンチモンとを含、炭素の含有量を26重量ppm以下とするようにしたので、機械的強度および非直線特性をより向上させることができるという効果を奏する。
【0076】
更にまた、請求項8ないし請求項14のいずれか1に記載のバリスタによれば、本発明の電圧非直線性抵抗体磁器を用いるようにしたので、簡単かつ安価に機械的強度を向上させることができる。従って、例えば、薄いものであっても割れあるいは欠けの発生を防止することができ、信頼性を向上させることができると共に、小型化および低価格化を図ることができるという効果を奏する。
【0077】
特に、請求項8ないし請求項11のいずれか1項または請求項12ないし請求項14のいずれか1項に記載のバリスタによれば、電圧非直線性抵抗体磁器が少なくとも1種の希土類元素を含み、かつ電圧非直線性抵抗体磁器における炭素の含有量を7重量ppmよりも多くするようにしたので、また、電圧非直線性抵抗体磁器がビスマスとアンチモンとを含み、かつ電圧非直線性抵抗体磁器における炭素の含有量を10重量ppmよりも多くするようにしたので、単位厚さ当たりのバリスタ電圧を高くすることができ、薄型化を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る電圧非直線性抵抗体磁器の製造工程を表す流れ図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る電圧非直線性抵抗体磁器を用いたバリスタの構成を表す断面図である。
【図3】図2に示したバリスタを用いた電気回路の構成を表す回路図である。
【図4】本発明の第1の実施例における1mm当たりのバリスタ電圧V1mA /mm と炭素の含有量との関係を表す特性図である。
【図5】本発明の第1の実施例における電圧非直線指数α10と炭素の含有量との関係を表す特性図である。
【図6】本発明の第1の実施例における抗折強度と炭素の含有量との関係を表す特性図である。
【図7】本発明の第2の実施例における1mm当たりのバリスタ電圧V1mA /mm と炭素の含有量との関係を表す特性図である。
【図8】本発明の第2の実施例における電圧非直線指数α10と炭素の含有量との関係を表す特性図である。
【図9】本発明の第2の実施例における抗折強度と炭素の含有量との関係を表す特性図である。
【符号の説明】
10…バリスタ、11…電圧非直線性抵抗体、12,13…電極、21…電子機器、22…電源線

Claims (14)

  1. 亜鉛(Zn)を含む酸化物を含有する電圧非直線性抵抗体磁器であって、
    コバルト(Co)を酸化コバルト(CoO)に換算して0.2重量%以上5重量%以下の範囲内で含み、
    アルミニウム(Al)を酸化アルミニウム(Al 2 3 )に換算して0.001重量%以上0.05重量%以下の範囲内で含み、
    ランタン(La),セリウム(Ce),プラセオジム(Pr),ネオジム(Nd),サマリウム(Sm),ユウロピウム(Eu),ガドリニウム(Gd),テルビウム(Tb),ジスプロシウム(Dy),ホルミウム(Ho),エルビウム(Er),ツリウム(Tm),イッテルビウム(Yb)およびルテチウム(Lu)からなる群のうちの少なくとも1種の希土類元素を含むと共に、その含有量は、前記希土類元素をRとするとR 2 3 で表される酸化物に換算し前記希土類元素の合計で0.2重量%以上5重量%以下の範囲内であり、
    炭素(C)の含有量が7重量ppmよりも多く31重量ppm未満である
    ことを特徴とする電圧非直線性抵抗体磁器。
  2. 更に、
    マグネシウム(Mg),カルシウム(Ca),ストロンチウム(Sr)およびバリウム(Ba)のうちの少なくとも1種のアルカリ土類金属元素をそのアルカリ土類金属元素の酸化物(MgO,CaO,SrO,BaO)に換算し前記アルカリ土類金属元素の合計で0.02重量%以上0.5重量%以下の範囲内で含む
    ことを特徴とする請求項1記載の電圧比直線性抵抗体磁器。
  3. 更に、
    カリウム(K),ルビジウム(Rb)およびセシウム(Cs)からなる群のうちの少なくとも1種のアルカリ金属元素を前記アルカリ金属元素の酸化物(K 2 O,Rb 2 O,Cs 2 O)に換算し前記アルカリ金属元素の合計で0.01重量%以上0.5重量%以下の範囲内で含み、
    クロム(Cr)を酸化クロム(Cr 2 3 )に換算して0.03重量%以上0.5重量%以下の範囲内で含み、
    ケイ素(Si)を酸化ケイ素(SiO 2 )に換算して0.005重量%以上0.1重量%以下の範囲内で含む
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電圧非直線性抵抗体磁器。
  4. 炭素の含有量が20重量ppm以下である
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の電圧非直線性抵抗体磁器。
  5. 亜鉛(Zn)を含む酸化物を含有する電圧非直線性抵抗体磁器であって、
    コバルト(Co)を酸化コバルト(CoO)に換算して0.2重量%以上5重量%以下の範囲内で含み、
    アルミニウム(Al)を酸化アルミニウム(Al 2 3 )に換算して0.001重量%以上0.05重量%以下の範囲内で含み、
    ビスマス(Bi)を酸化ビスマス(Bi2 3 )に換算して0.5重量%以上5重量%以下の範囲内で含み、
    アンチモン(Sb)を酸化アンチモン(Sb2 3 )に換算して1重量%以上10重量%以下の範囲内で含み、
    炭素(C)の含有量が10重量ppmよりも多く31重量ppm未満である
    ことを特徴とする電圧非直線性抵抗体磁器。
  6. 更に、
    クロム(Cr),マンガン(Mn)およびニッケル(Ni)のうちの少なくとも1種をその酸化物(Cr 2 3 ,MnO,NiO)に換算しそれらの合計で0.2重量%以上3重量%以下の範囲内で含み、
    銀(Ag)を酸化銀(Ag 2 O)に換算して0.02重量%以上0.5重量%以下の範囲内で含み、
    ケイ素(Si)を酸化ケイ素(SiO 2 )に換算して0.005重量%以上0.1重量%以下の範囲内で含む
    ことを特徴とする請求項5記載の電圧非直線性抵抗体磁器。
  7. 炭素の含有量が26重量ppm以下である
    ことを特徴とする請求項または請求項に記載の電圧非直線性抵抗体磁器。
  8. 亜鉛(Zn)を含む酸化物を含有する電圧非直線性抵抗体磁器を用いたバリスタであって、
    前記電圧非直線性抵抗体磁器は、
    コバルト(Co)を酸化コバルト(CoO)に換算して0.2重量%以上5重量%以下の範囲内で含み、
    アルミニウム(Al)を酸化アルミニウム(Al 2 3 )に換算して0.001重量%以上0.05重量%以下の範囲内で含み、
    ランタン(La),セリウム(Ce),プラセオジム(Pr),ネオジム(Nd),サマリウム(Sm),ユウロピウム(Eu),ガドリニウム(Gd),テルビウム(Tb),ジスプロシウム(Dy),ホルミウム(Ho),エルビウム(Er),ツリウム(Tm),イッテルビウム(Yb)およびルテチウム(Lu)からなる群のうちの少なくとも1種の希土類元素を含むと共に、その含有量は、前記希土類元素をRとするとR 2 3 で表される酸化物に換算し前記希土類元素の合計で0.2重量%以上5重量%以下の範囲内であり、
    炭素(C)の含有量が7重量ppmよりも多く31重量ppm未満である
    ことを特徴とするバリスタ。
  9. 前記電圧非直線性抵抗体磁器は、更に、
    マグネシウム(Mg),カルシウム(Ca),ストロンチウム(Sr)およびバリウム(Ba)のうちの少なくとも1種のアルカリ土類金属元素をそのアルカリ土類金属元素の酸化物(MgO,CaO,SrO,BaO)に換算し前記アルカリ土類金属元素の合計で0.02重量%以上0.5重量%以下の範囲内で含む
    ことを特徴とする請求項8記載のバリスタ。
  10. 前記電圧非直線性抵抗体磁器は、更に、
    カリウム(K),ルビジウム(Rb)およびセシウム(Cs)からなる群のうちの少なくとも1種のアルカリ金属元素を前記アルカリ金属元素の酸化物(K 2 O,Rb 2 O,Cs 2 O)に換算し前記アルカリ金属元素の合計で0.01重量%以上0.5重量%以下の範囲内で含み、
    クロム(Cr)を酸化クロム(Cr 2 3 )に換算して0.03重量%以上0.5重量%以下の範囲内で含み、
    ケイ素(Si)を酸化ケイ素(SiO 2 )に換算して0.005重量%以上0.1重量%以下の範囲内で含む
    ことを特徴とする請求項8または請求項9に記載のバリスタ。
  11. 前記電圧非直線性抵抗体磁器は、炭素の含有量が20重量ppm以下である
    ことを特徴とする請求項8ないし請求項10のいずれか1項に記載のバリスタ。
  12. 亜鉛(Zn)を含む酸化物を含有する電圧非直線性抵抗体磁器を用いたバリスタであって、
    前記電圧非直線性抵抗体磁器は、
    コバルト(Co)を酸化コバルト(CoO)に換算して0.2重量%以上5重量%以下の範囲内で含み、
    アルミニウム(Al)を酸化アルミニウム(Al 2 3 )に換算して0.001重量%以上0.05重量%以下の範囲内で含み、
    ビスマス(Bi)を酸化ビスマス(Bi2 3 )に換算して0.5重量%以上5重量%以下の範囲内で含み、
    アンチモン(Sb)を酸化アンチモン(Sb2 3 )に換算して1重量%以上10重量%以下の範囲内で含み、
    炭素(C)の含有量が10重量ppmよりも多く31重量ppm未満である
    ことを特徴とするバリスタ。
  13. 前記電圧非直線性抵抗体磁器は、更に、
    クロム(Cr),マンガン(Mn)およびニッケル(Ni)のうちの少なくとも1種をその酸化物(Cr 2 3 ,MnO,NiO)に換算しそれらの合計で0.2重量%以上3重量%以下の範囲内で含み、
    銀(Ag)を酸化銀(Ag 2 O)に換算して0.02重量%以上0.5重量%以下の範囲内で含み、
    ケイ素(Si)を酸化ケイ素(SiO 2 )に換算して0.005重量%以上0.1重量%以下の範囲内で含む
    ことを特徴とする請求項12記載のバリスタ。
  14. 前記電圧非直線性抵抗体磁器は、炭素の含有量が26重量ppm以下である
    ことを特徴とする請求項12または請求項13に記載のバリスタ。
JP16048599A 1999-06-08 1999-06-08 電圧非直線性抵抗体磁器およびバリスタ Expired - Lifetime JP4461510B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP16048599A JP4461510B2 (ja) 1999-06-08 1999-06-08 電圧非直線性抵抗体磁器およびバリスタ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP16048599A JP4461510B2 (ja) 1999-06-08 1999-06-08 電圧非直線性抵抗体磁器およびバリスタ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000348912A JP2000348912A (ja) 2000-12-15
JP4461510B2 true JP4461510B2 (ja) 2010-05-12

Family

ID=15715968

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP16048599A Expired - Lifetime JP4461510B2 (ja) 1999-06-08 1999-06-08 電圧非直線性抵抗体磁器およびバリスタ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4461510B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20160130653A (ko) * 2015-05-04 2016-11-14 주식회사 아모텍 바리스터 세라믹 및 이의 제조방법

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3908611B2 (ja) * 2002-06-25 2007-04-25 Tdk株式会社 電圧非直線性抵抗体磁器組成物および電子部品

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20160130653A (ko) * 2015-05-04 2016-11-14 주식회사 아모텍 바리스터 세라믹 및 이의 제조방법
KR101968992B1 (ko) * 2015-05-04 2019-04-15 주식회사 아모텍 바리스터 세라믹 및 이의 제조방법

Also Published As

Publication number Publication date
JP2000348912A (ja) 2000-12-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101159241B1 (ko) 고온 작동을 위한 산화아연 서지 어레스터
JP3493384B2 (ja) 電圧非直線性抵抗素子およびその製造方法
JPS5823722B2 (ja) 電圧非直線性抵抗体磁器の製造法
JP2007173313A (ja) 電流−電圧非直線抵抗体
JP2004026562A (ja) 電圧非直線性抵抗体磁器組成物および電子部品
JP3710062B2 (ja) 電圧非直線性抵抗体磁器組成物、電子部品および積層チップバリスタ
JP4461510B2 (ja) 電圧非直線性抵抗体磁器およびバリスタ
JPH07320908A (ja) 酸化亜鉛系バリスタの製造方法および酸化亜鉛系バリスタ
JPH0834136B2 (ja) 電圧非直線抵抗体
JPH07201531A (ja) 電圧非直線性抵抗体磁器組成物および電圧非直線性抵抗体磁器
JP2789714B2 (ja) 電圧依存性非直線抵抗体磁器組成物およびバリスタの製造方法
JPH09134808A (ja) 電圧非直線抵抗体及びその製造方法及びその電圧非直線抵抗体を塔載した避雷器
JP5301853B2 (ja) 酸化亜鉛チップバリスタ
KR102612982B1 (ko) 고전압 ZnO 바리스터 및 그의 조성물
JPS63312616A (ja) 半導体磁器組成物
JP2830322B2 (ja) 電圧依存性非直線抵抗体磁器組成物およびバリスタの製造方法
JP3598177B2 (ja) 電圧非直線性抵抗体磁器
JPH07201532A (ja) 電圧非直線性抵抗体磁器組成物および電圧非直線性抵抗体磁器
JP7359329B1 (ja) 酸化アンチモン代替酸化亜鉛素子
JP2727693B2 (ja) 電圧依存性非直線抵抗体磁器組成物およびバリスタの製造方法
JP2510961B2 (ja) 電圧非直線抵抗体
JP2808775B2 (ja) バリスタの製造方法
JP2001326108A (ja) 電圧非直線抵抗体およびその製造方法
JP4183100B2 (ja) 電圧非直線性抵抗体磁器組成物
JP2004288667A (ja) 電圧非直線性抵抗体磁器組成物、電子部品および積層チップバリスタ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060522

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080418

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080502

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080701

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090415

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100126

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100208

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130226

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4461510

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140226

Year of fee payment: 4

EXPY Cancellation because of completion of term