JP2789714B2 - 電圧依存性非直線抵抗体磁器組成物およびバリスタの製造方法 - Google Patents

電圧依存性非直線抵抗体磁器組成物およびバリスタの製造方法

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JP2789714B2 JP1246818A JP24681889A JP2789714B2 JP 2789714 B2 JP2789714 B2 JP 2789714B2 JP 1246818 A JP1246818 A JP 1246818A JP 24681889 A JP24681889 A JP 24681889A JP 2789714 B2 JP2789714 B2 JP 2789714B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は電気機器,電子機器で発生する異常高電圧,
ノイズ,静電気などから機器の半導体及び回路を保護す
るためのコンデンサ特性とバリスタ特性を有する電圧依
存性非直線抵抗体磁器組成物およびバリスタの製造方法
に関するものである。
従来の技術 従来、各種の電気機器,電子機器における異常高電圧
の吸収,ノイズの除去,火花消去,静電気対策のために
電圧依存性非直線抵抗特性を有するSiCバリスタや、ZnO
系バリスタなどが使用されている。このようなバリスタ
の電圧−電流特性は近似的に次式のように表すことがで
きる。
I=(V/C)α ここで、Iは電流、Vは電圧、Cはバリスタ固有の定
数、αは電圧−電流非直線指数である。
SiCバリスタのαは2〜7程度、ZnO系バリスタではα
が50にもおよぶものがある。このようなバリスタは比較
的高い電圧の吸収には優れた性能を有しているが、誘電
率が低く、固有の静電容量が小さいため、バリスタ電圧
以下の比較的低い電圧の吸収にはほとんど効果を示さ
ず、また誘電損失tanδが5〜10%と大きい。
一方、これらの低電圧のノイズなどの除去には見かけ
の誘電率が5×104程度で、tanδが1%前後の半導体コ
ンデンサが利用されている。しかし、このような半導体
コンデンサはサージなどによりある限度以上の電圧また
は電流が印加されると、静電容量が減少したり破壊した
りして、コンデンサとしての機能を果たさなくなったり
する。
そこで最近になってSrTiO3を主成分とし、バリスタ特
性とコンデンサ特性の両方の機能を有するものが開発さ
れ、コンピュータなどの電子機器におけるIC,LSIなどの
半導体素子の保護に利用されている。
発明が解決しようとする課題 上記のSrTiO3を主成分とするバリスタとコンデンサの
両方の機能を有する素子は、ZnO系バリスタに比べ誘電
率が約10倍と大きいが、αやサージ耐量が小さく、バリ
スタ電圧を低くすると特性が劣化しやすいといたった欠
点を有していた。
そこで本発明では、誘電率が大きく、バリスタ電圧が
低く、αが大きいと共にサージ耐量が大きい電圧依存性
非直線抵抗体磁器組成物およびバリスタの製造方法を提
供することを目的とするものである。
課題を解決するための手段 上記の問題点を解決するために本発明では、 Sr1-xBaxTiO3(0.001≦x≦0.300)(以下第1成分と
呼ぶ)を90.000〜99.998mol%,Nb2O5,Ta2O5,WO3,Dy2O3,
Y2O3,La2O3,CeO2,Sm2O3,Pr6O11,Nd2O3のうち少なくとも
1種類以上(以下第2成分と呼ぶ)を0.001〜5.000mol
%,Al2O3,Sb2O3,BaO,BeO,PbO,B2O3,Cr2O3,Fe2O3,CdO,K2
O,CaO,Co2O3,CuO,Cu2O,Li2O,LiF,MgO,MnO2,MoO3,Na2O,N
aF,NiO,Rh2O3,SeO2,Ag2O,SiO2,SiC,SrO,Tl2O3,ThO2,TiO
2,V2O5,Bi2O3,ZnO,ZrO2,SnO2のうち少なくとも1種類以
上(以下第3成分と呼ぶ)を0.001〜5.000mol%含有し
てなる主成分100重量部と、SrTiO360.000〜32.500mol
%,SiO240.000〜67.5mol%からなる混合物を1200〜1300
℃で焼成してなる添加物(以下第4成分と呼ぶ)0.001
〜10.000重量部とからなる電圧依存性非直線抵抗体磁器
組成物を得ることにより、問題を解決しようとするもの
である。
また、上記主成分と添加物とからなる組成物を1100℃
以上で焼成したバリスタの製造方法、さらにはその焼成
後、還元性雰囲気中で1200℃以上で焼成し、その後酸化
性雰囲気中で900〜1300℃で焼成したバリスタの製造方
法を提供しようとするものである。
作用 上記の発明において、第1成分は主たる成分であり、
SrTiO3のSrの一部をCaで置換することにより、粒界に形
成される高抵抗層がサージに対して強くなる。
また、第2成分は主に第1成分の半導体化を促進する
金属酸化物である。さらに、第3成分は誘電率,α,サ
ージ耐量の改善に寄与するものであり、第4成分はバリ
スタ電圧の低下,誘電率の改善に有効なものである。特
に、第4成分は融点が1230〜1250℃と比較的低いため、
誘電前後の温度で焼成すると液相となり、その他の成分
の反応を促進すると共に粒子の成長を促進する。そのた
め粒界部分に第3成分が偏析しやすくなり、粒界が高抵
抗化され易くなり、バリスタ機能およびコンデンサ機能
が改善される。また、粒成長が促進されるためバリスタ
電圧が低くなり、粒径の均一性が向上するため特性の安
定性が良くなり、特にサージ耐量が改善される。
実施例 以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
まず、SrTiO3,SiO2を下記の第1表に示すように組成
比を種々変えて秤量し、ボールミルなどで24Hr混合す
る。次に、乾燥した後、下記の第1表に示すように温度
を種々変えて焼成し、再びボールミルなどで24Hr粉砕し
た後、乾燥し第4成分とする。次いで、第1成分,第2
成分,第3成分,第4成分を下記の第1表に示した組成
比になるように秤量し、ボールミルなどで30Hr混合した
後、乾燥し、ポリビニルアルコールなどの有機バインダ
ーを10wt%添加して造粒した後、1(t/cm2)のプレス
圧力で10φ×1t(mm)の円板状に成形し、1100℃で4Hr
焼成し脱バインダーする。次に、第1表に示したように
温度と時間を種々変えて焼成(第1焼成)し、その後還
元性雰囲気、例えば、N2:H2=9:1のガス中で温度と時間
を種々変えて焼成(第2焼成)する。さらにその後、酸
化性雰囲気中で温度と時間を種々変えて焼成(第3焼
成)する。
上記のようにして得られた第1図および第2図に示す
焼結体1の両平面に外周を残すようにしてAgなどの導電
性ペーストをスクリーン印刷などにより塗布し、570℃,
5minで焼成し、電極2,3を形成する。次に、半田などに
よりリード線(図示せず)を取り付け、エポキシなどの
樹脂(図示せず)を塗装する。このようにして得られた
素子の特性を下記の第2表に示す。
なお、第2表において、誘電率は1KHzでの静電容量か
ら計算したものであり、αは α=1/log(V10mA/V1mA) (ただし、V1mA,V10mAは1mA,10mAの電流を流した時に素
子の両端にかかる電圧でもある。)で評価した。また、
サージ耐量はパルス性の電流を印加した後のV1mAの変化
率が±10%以内である時の最大のパルス性電流値により
評価している。
本発明において、第1成分のSr1-xBaxTiO3のxの範囲
を規定したのは、xが0.001よりも小さいと効果を示さ
ず、0.300を超えると格子欠陥が発生しにくくなるため
半導体化が促進されず、粒界にBaが単一相として析出す
るため、組織が不均一になり、V1mAが高くなりすぎて特
性が劣化するためである。さらに、第2成分は0.001mol
%未満では効果を示さず、5.000mol%を超えると粒界に
偏析して粒界の高抵抗化を抑制し、粒界に第2相を形成
することから特性が劣化するためである。また、第3成
分は0.001mol%未満では効果を示さず、5.000mol%を超
えると粒界に偏析して第2相を形成することから特性が
劣化するためである。そして、第4成分はSrTiO3とSiO2
の2成分系の相図のなかで最も融点の低い領域の物質で
あり、その範囲外では融点が高くなるためである。ま
た、第4成分の添加量は、0.001重量部未満では効果を
示さず、10.000重量部を超えると粒界の抵抗は高くなる
が粒界の幅が厚くなるため、静電容量が小さくなると共
にV1mAが高くなり、サージに対して弱くなるためであ
る。さらに、第4成分の焼成温度を規定したのは、低融
点の第4成分が合成される温度が1200℃であるためであ
る。そして、第1焼成の温度を規定したのは、第4成分
の融点が1230〜1250℃であるため、1100℃以上の温度で
焼成すると第4成分が液相に近い状態になって焼成が促
進されるためであり、1100℃未満では第4成分による液
相焼結効果がないためである。また、第2焼成の温度を
規定したのは、1200℃未満では第1焼成後の焼結体が十
分に還元されず、バリスタ特性,コンデンサ特性が共に
劣化するためである。さらに、第3焼成の温度を規定し
たのは、900℃未満では粒界の高抵抗化が十分に進まな
いため、V1mAが低くなりすぎバリスタ特性が劣化するた
めであり、1300℃を超えると静電容量が小さくなりすぎ
コンデンサ特性が劣化するためである。また、第1焼成
の雰囲気は酸化性雰囲気でも還元性雰囲気でも同様の効
果があることを確認した。
また、本実施例では添加物の組み合わせについては、
第1成分としてSr1-xBaxTiO3(0.001≦x≦0.300)、第
2成分としてNb2O5,Ta2O5,WO3,Dy2O3,Y2O3,La2O3,CeO2,
Sm2O3,Pr6O11,Nd2O3、第3成分としてAl2O3,PbO,B2O3,C
r2O3,Fe2O3,CdO,K2O,Co2O3,CuO,Cu2O,Li2O,MgO,MnO2,Mo
O3,NiO,SeO2,Ag2O,SiC,Tl2O3,Bi2O3,ZrO2、第4成分と
してSrTiO3,SiO2についてのみ示したが、第3成分とし
てSb2O3,BaO,BeO,CaO,LiF,Na2O,NaF,Rh2O3,SiO2,SrO,Th
O2,TiO2,V2O5,ZnO,SnO2を用いた組成の組み合わせでも
同様の効果が得られることを確認した。また、第2成分
および第4成分については、それぞれ2種類以上を所定
の範囲で組み合わせて用いても差支えないことを併せて
確認した。
なお、第1成分,第2成分,第3成分,第4成分を11
00℃以上で焼成するだけでも第4成分が液相となり、そ
の他の成分の反応を促進すると共に粒子の成長を促進す
るため、粒界部分に第3成分が偏析しやすくなり、粒界
が高抵抗化され易くなり、バリスタ機能およびコンデン
サ機能が改善されるという効果がある。
発明の効果 以上に示したように本発明によれば、第4成分による
液相焼結効果により粒子径が大きいため、バリスタ電圧
が低く、誘電率εおよびαが大きく、粒子径のばらつき
が小さいため、サージ電流が素子に均一に流れ、また、
Baによって粒界が効果的に高抵抗化されるため、サージ
耐量が大きくなるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明による素子を示す正面図、第2図は本発
明による素子を示す断面図である。 1……焼結体、2,3……電極。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Sr1-xBaxTiO3(0.001≦x≦0.300)を90.0
    00〜99.998mol%,Nb2O5,Ta2O5,WO3,Dy2O3,Y2O3,La2O3,C
    eO2,Sm2O3,Pr6O11,Nd2O3のうち少なくとも1種類以上を
    0.001〜5.000mol%,Al2O3,Sb2O3,BaO,BeO,PbO,B2O3,Cr2
    O3,Fe2O3,CdO,K2O,CaO,Co2O3,CuO,Cu2O,Li2O,LiF,MgO,M
    nO2,MoO3,Na2O,NaF,NiO,Rh2O3,SeO2,Ag2O,SiO2,SiC,Sr
    O,Tl2O3,ThO2,TiO2,V2O5,Bi2O3,ZnO,ZrO2,SnO2のうち少
    なくとも1種類以上を0.001〜5.000mol%含有してなる
    主成分100重量部と、SrTiO360.000〜32.500mol%,SiO24
    0.000〜67.5mol%からなる混合物を1200℃以上で焼成し
    てなる添加物0.001〜10.000重量部とからなることを特
    徴とする電圧依存性非直線抵抗体磁器組成物。
  2. 【請求項2】Sr1-xBaxTiO3(0.001≦x≦0.300)を90.0
    00〜99.998mol%,Nb2O5,Ta2O5,WO3,Dy2O3,Y2O3,La2O3,C
    eO2,Sm2O3,Pr6O11,Nd2O3のうち少なくとも1種類以上を
    0.001〜5.000mol%,Al2O3,Sb2O3,BaO,BeO,PbO,B2O3,Cr2
    O3,Fe2O3,CdO,K2O,CaO,Co2O3,CuO,Cu2O,Li2O,LiF,MgO,M
    nO2,MoO3,Na2O,NaF,NiO,Rh2O3,SeO2,Ag2O,SiO2,SiC,Sr
    O,Tl2O3,ThO2,TiO2,V2O5,Bi2O3,ZnO,ZrO2,SnO2のうち少
    なくとも1種類以上を0.001〜5.000mol%含有してなる
    主成分100重量部と、SrTiO360.000〜32.500mol%,SiO24
    0.000〜67.5mol%からなる混合物を1200℃以上で焼成し
    てなる添加物0.001〜10.000重量部とからなる組成物
    を、1100℃以上で焼成したことを特徴とするバリスタの
    製造方法。
  3. 【請求項3】Sr1-xBaxTiO3(0.001≦x≦0.300)を90.0
    00〜99.998mol%,Nb2O5,Ta2O5,WO3,Dy2O3,Y2O3,La2O3,C
    eO2,Sm2O3,Pr6O11,Nd2O3のうち少なくとも1種類以上を
    0.001〜5.000mol%,Al2O3,Sb2O3,BaO,BeO,PbO,B2O3,Cr2
    O3,Fe2O3,CdO,K2O,CaO,Co2O3,CuO,Cu2O,Li2O,LiF,MgO,M
    nO2,MoO3,Na2O,NaF,NiO,Rh2O3,SeO2,Ag2O,SiO2,SiC,Sr
    O,Tl2O3,ThO2,TiO2,V2O5,Bi2O3,ZnO,ZrO2,SnO2のうち少
    なくとも1種類以上を0.001〜5.000mol%含有してなる
    主成分100重量部と、SrTiO360.000〜32.500mol%,SiO24
    0.000〜67.5mol%からなる混合物を1200℃以上で焼成し
    てなる添加物0.001〜10.000重量部とからなる組成物を1
    100℃以上で焼成した後、還元性雰囲気中で1200℃以上
    で焼成し、その後酸化性雰囲気中で900〜1300℃で焼成
    したことを特徴とするバリスタの製造方法。
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