JP2984361B2 - 耐衝撃性グラフト共重合体及び樹脂組成物 - Google Patents

耐衝撃性グラフト共重合体及び樹脂組成物

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JP2984361B2
JP2984361B2 JP2321620A JP32162090A JP2984361B2 JP 2984361 B2 JP2984361 B2 JP 2984361B2 JP 2321620 A JP2321620 A JP 2321620A JP 32162090 A JP32162090 A JP 32162090A JP 2984361 B2 JP2984361 B2 JP 2984361B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は耐衝撃性、表面硬度並びに表面外観に優れた
成形物を与えるポリオルガノシロキサン系グラフト共重
合体及び耐衝撃性樹脂組成物に関するものである。
更に詳しくは、本発明はポリオルガノシロキサンゴム
成分とポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分とか
らなる複合ゴムにビニル系単量体をグラフト重合させて
得られたポリオルガノシロキサン系グラフト共重合体に
関するものであり、更に、表面硬度並びに表面外観等の
優れた耐衝撃性樹脂組成物に関するものである。
[従来の技術] 一般に耐衝撃性樹脂は、ゴム層とマトリックス層とか
ら形成され、そのゴム層には出来るだけガラス転移温度
(以下Tgと略記する)の低い樹脂を用いることが、衝撃
エネルギーを吸収する上で有利であるといわれている。
このことはTgが−55℃であるポリブチルアクリレート樹
脂を用いる耐衝撃性樹脂より、Tgが−80℃であるポリブ
タジエン樹脂をゴムとして用いる樹脂、即ちABS樹脂の
ほうが、同一ゴム含量において耐衝撃性が優れているこ
とからも明らかである。これからTgが−123℃であるポ
リジメチルシロキサンを耐衝撃性樹脂のゴム源として利
用出来るならばABS樹脂を上回る優れた樹脂が出来ると
考えられる。ところが一般にポリオルガノシロキサンは
ビニル系単量体との反応性に乏しく、両者の間の化学結
合の形成が困難であった。これら両成分の結合形成に関
し数々の方法が開示されているが、いずれも満足すべき
ものとは言えなかった。
例えば、米国特許3898300号明細書には、ビニルシロ
キサンまたはアリルシロキサンを含有するポリジメチル
シロキサンポリマーのエマルジョン中で、ビニル系単量
体を重合させることによりグラフト共重合体が形成され
て衝撃強度が改善されることが開示されている。
また、米国特許4071577号明細書にはビニル基含有シ
ロキサンを用いて衝撃強度を更に改善する方法が開示さ
れている。前記米国特許明細書には、ポリジメチルシロ
キサン−メルカプトプロピルシロキサン共重合体の場
合、メルカプト基の含有量により衝撃強度が大きく変化
すること、即ち、メルカプト基を介したグラフト共重合
体の存在により、衝撃特性を向上させることが開示され
ている。
更に、特開昭60−252613号公報にはメタクリロイルオ
キシ基含有ポリオルガノシロキサン共重合体が耐衝撃性
能を向上させることが開示されている。
本発明者らは、上述した如き現状に鑑み、耐衝撃性及
び表面外観等を改善するためのポリオルガノシロキサン
ゴムを用いたグラフト共重合体の樹脂組成について鋭意
検討した結果、ポリオルガノシロキサン成分とポリアル
キル(メタ)アクリレートゴム成分とからなる複合ゴム
にビニル系単量体を高効率でグラフト重合とせて得た複
合ゴム系グラフト共重合体は、種々の熱可塑性樹脂との
相溶性が良好で、前記グラフト共重合体とこれらの熱可
塑性樹脂との樹脂組成物は成形性及び流動性に優れ、そ
の成形品は耐衝撃性、耐候性、及び表面外観において著
しく改善さることを見出し特開昭64−79257号、同64−7
9255号、及び特開平1−190746号を出願した。
[発明が解決しようとする課題] しかしこれらの方法では、ポリオルガノシロキサンゴ
ムを大量に使用せざるを得ず、表面硬度が必ずしも充分
でないとか、成形外観が必ずしも満足すべきものではな
いという問題があった。
[課題解決のための手段] そこで、ポリオルガノシロキサン量を減少し、なおか
つ耐衝撃性を発現する複合ゴムについて鋭意検討した結
果、驚くべきことに複合ゴムの膨潤度を適切に制御すれ
ば、ポリオルガノシロキサンゴム量が複合ゴム中におい
て10重量%未満の領域であっても耐衝撃性を発現し、か
つ成形ポリマーの表面硬度を高く維持しつつ、成形外観
の改良を図ることが出来ることを見いだし本発明に到達
した。
即ち、本発明の要旨は、ポリオルガノシロキサンゴム
成分1〜10重量%とポリアルキル(メタ)アクリレート
ゴム成分99〜90重量%から構成され、かつ前記両成分が
相互に分離しないような構造を有し、トルエン溶媒下で
測定したゲル含量が85%以上で、膨潤度が3〜15である
平均粒子径0.08〜0.6μmの複合ゴムに1種または2種
以上のビニル系単量体をグラフト重合してなるポリオル
ガノシロキサン系グラフト共重合体(A)にあり、更
に、ポリオルガノシロキサン系グラフト共重合体(A)
とポリカーボネート樹脂及び/または、ポリエステル樹
脂(B)とを配合してなる耐衝撃性樹脂組成物、及び、
ポリオルガノシロキサン系グラフト共重合体(A)と、
芳香族アルケニル化合物、シアン化ビニル化合物及び
(メタ)アクリル酸エステルからなる群から選ばれた少
なくとも1種のビニル系単量体70〜100重量%と、これ
らと共重合可能な他のビニル系単量体0〜30重量%を重
合して得られる単独重合体または共重合体(C)とを配
合してなる耐衝撃性樹脂組成物にある。
上記複合ゴムの代わりに、ポリオルガノシロキサンゴ
ム成分及びポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分
のいずれか一種類、あるいはこれらの単純混合物をゴム
源として使用しても本発明の樹脂組成物の有する特徴は
得られず、本発明に係るポリオルガノシロキサンゴム成
分とポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分が相互
に複合一体化された上記複合ゴムの利用により、初めて
優れた耐衝撃性、表面硬度、並びに成形表面外観とを有
する成形物が得られる。
また複合ゴムを構成するポリオルガノシロキサンゴム
成分が10重量%を越えると、得られる樹脂組成物からの
成形物の成形表面外観が悪化し、またポリアルキル(メ
タ)アクリレートゴム成分が99重量%を越えると、得ら
れる樹脂組成物の耐衝撃性が悪化する。
膨潤度は、ゴムの弾性率と関係するパラメーターであ
る。耐衝撃性能を有効に発現させるためには低い弾性率
である必要がありしかも、十分強靭である必要がある。
このような耐衝撃性樹脂のゴムに必要な性質は、ゴムの
溶媒吸収能力即ち膨潤度で示される。
ポリオルガノシロキサンとポリアルキル(メタ)アク
リレートとの複合ゴムにおいても、この膨潤度は重要な
因子であり、膨潤度が小さいと複合ゴムの弾性率が高く
なり耐衝撃性能が悪化する。逆に、膨潤度が大きくなる
と、複合ゴムの弾性率が低下し耐衝撃性能が向上する
が、複合ゴムの強靭性が低下するために、樹脂表面の硬
度の低下・成形外観の不良を起こす。そこで、複合ゴム
の膨潤度について詳細に検討した結果、ポリアルキル
(メタ)アクリレートを90重量%以上含むポリオルガノ
シロキサンとポリアルキル(メタ)アクリレートとの複
合ゴムでは、一般に考えられている範囲より固い領域即
ち、膨潤度を3〜15の範囲で制御すれば耐衝撃性能と表
面硬度とのバランスの取れた樹脂が得られることを見い
だした。即ち、トルエン溶媒下で複合ゴム1grが23℃で2
4時間後に吸蔵されるトルエンの重量が3gr〜15grの場合
にバランスの取れた樹脂が得られることを見い出したも
のである。しかもこの複合ゴムのゲル含量は85重量%以
上でなければならない。
更に好ましくは、膨潤度が4〜14の範囲であり、かつ
ゲル含量が90重量%以上である。
複合ゴムの膨潤度が3未満となると耐衝撃性が低下す
る。また、膨潤度が15を越えると樹脂の表面硬度が低下
する。複合ゴムのゲル含量が85重量%未満となった場合
も表面硬度が低下すると同時に耐衝撃性も若干低下す
る。また、上記複合ゴムの平均粒子径は0.08〜0.6μm
の範囲にあることが必要である。平均粒子径が0.08μm
未満であると得られる成形物の耐衝撃性が悪化し、また
平均粒子径が0.6μmを越えると得られる成形物の耐衝
撃性が悪化するとともに、成形物表面外観が悪化する。
このような平均粒子径を有する複合ゴムを製造するに
は、乳化重合法が最適である。
ところで、本発明において用いられる上記の平均粒子
径を有するポリオルガノシロキサン系グラフト共重合体
(A)は、ポリオルガノシロキサンゴムまたは、ポリオ
ルガノシロキサンゴムとポリアルキル(メタ)アクリレ
ートゴムとの複合ゴムに、ビニル系単量体をグラフト重
合させたポリオルガノシロキサン系グラフト共重合体で
ある。このようなポリオルガノシロキサン系グラフト共
重合体を製造するには、上記のように乳化重合法が最適
である。
前記グラフト共重合体の調製に使用するポリオルガノ
シロキサンゴムは、以下に示すオルガノシロキサン及び
ポリオルガノシロキサンゴム用架橋剤(以下架橋剤
(I)という)を用いて乳化重合により調製することが
でき、その際、更にポリオルガノシロキサンゴム用グラ
フト交叉剤(以下グラフト交叉剤(I)という)を併用
することもできる。
オルガノシロキサンとしては、3員環以上の各種の環
状体が挙げられ、好ましく用いられるのは、3〜6員環
のものである。たとえばヘキサメチルシクロトリシロキ
サン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デスメチ
ルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサ
シロキサン、トリメチルトリフェニルシクロトリシロキ
サン、テトラメチルテトラフェニルシクロテトラシロキ
サン、オクタフェニルシクロテトラシロキサン等が挙げ
られる。これらは単独でまたは二種以上混合して用いら
れる。これらの使用量は、ポリオルガノシロキサンゴム
成分中50重量%以上好ましくは70重量%以上である。
架橋剤(I)としては、3官能性または4官能性のシ
ラン系架橋剤、たとえばトリエトキシフェニルシラン、
テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ
n−プロポキシシラン、テトラブトキシシラン等が用い
られる。特に4官能性の架橋剤が好ましく、この中でも
テトラエトキシシランが特に好ましい。架橋剤の使用量
はポリオルガノシロキサンゴム成分中0.1〜30重量%で
ある。
なお、グラフト交叉剤(I)とはポリオルガノシロキ
サンゴム重合に一緒に重合してゴム構造中に組み込まれ
るための官能基即ち珪素についたアルコキシ基と、該ゴ
ム重合時には反応せず、その後のポリオルガノシロキサ
ンゴム存在下でのポリアルキル(メタ)アクリレートゴ
ム重合時に反応したポリアルキル(メタ)アクリレート
ゴムとポリオルガノシロキサンゴムとの間にグラフト結
合を形成させる官能基例えば重合性不飽和二重結合やメ
ルカプト基等の両者を有する単量体を言う。このような
グラフト交叉剤(I)としては、次式 CH2=CR2−COO−(CH2pSiR′nO(3−n)/2 (I−1) CH2=CH−SiR′nO(3−n)/2 (I−2) または HS−(CH2−SiR′nO(3−n)/2 (I−3) (各式中R′はメチル基、エチル基、プロピル基または
フェニル基を、R2は水素原子またはメチル基、nは0,1
または2、pは1〜6の数を示す。)で表される単位を
形成しうる化合物等が用いられる。式(I−1)の単位
を形成しうる(メタ)アクリロイルオキシシロキサン
は、グラフト効率が高いため有効なグラフト鎖を形成す
ることが可能であり、耐衝撃性発現の点で有利である。
特に、メタクリロイルオキシシロキサンが好ましい。メ
タクリロイルオキシシロキサンの具体例としては、β−
メタクリロイルオキシエチルジメトキシメチルシラン、
γ−メタクリロイルオキシプロピルメトキシジメチルシ
ラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメ
チルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメ
トキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルエト
キシジエチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピ
ルジエトキシメチルシラン、δ−メタクリロイルオキシ
ブチルジエトキシメチルシラン等が挙げられる。
グラフト交叉剤の使用量はポリオルガノシロキサンゴ
ム成分中の0〜10重量%である。
このポリオルガノシロキサンゴムの製造法は、たとえ
ば米国特許第2891920号明細書、同第3294725号明細書等
に記載された方法を用いることができる。本発明の実施
では、たとえばオルガノシロキサンと架橋剤(I)及び
所望によりグラフト交叉剤(I)の混合液を、アルキル
ベンゼンスルホン酸等のスルホン酸系乳化剤の存在下
で、たとえばホモジナイザー等を用いて水と剪断混合す
る方法により製造することが好ましい。アルキルベンゼ
ンスルホン酸は、オルガノシロキサンの乳化剤として作
用すると同時に重合開始剤ともなるので好適である。こ
の際、アルキルベンゼンスルホン酸金属塩などを併用す
るとグラフト重合を行う際にポリマーを安定に維持する
のに効果があるので好ましい。重合を行った後、水酸化
ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等のアル
カリ水溶液により中和し重合を停止させる。
次に上記ポリオルガノシロキサン系複合ゴムのもう一
つの構成成分であるポリアルキル(メタ)アクリレート
ゴム成分は以下に示すアルキル(メタ)アクリレート、
ポリアルキル(メタ)アクリレートゴム用架橋剤(以下
架橋剤(II)という)及びポリアルキル(メタ)アクリ
レートゴム用グラフト交叉剤(以下グラフト交叉剤(I
I)という)を用いて合成することができる。アルキル
(メタ)アクリレートとしては、たとえばメチルアクリ
レート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレー
ト、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアク
リレート等のアルキルアクリレート及びヘキシルメタア
クリレート、2−エチルヘキシルメタアクリレート、n
−ラウリルメタアクリレート等のアルキルメタクリレー
トが挙げられ、特にn−ブチルアクリレートの使用が好
ましい。
架橋剤(II)としては、たとえばエチレングリコール
ジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレ
ート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4
−ブチレングリコールジメタクリレート等が挙げられ
る。
なお、グラフト交叉剤(II)とはポリアルキル(メ
タ)アクリレートゴム重合時に一緒に重合してゴム構造
中に組み込まれるための官能基と、ゴム重合時には反応
せずに残って、その後のゴムへのグラフトのためのゴム
存在下での単量体の重合時に反応してグラフト鎖を形成
させるための官能基の両者を有する、即ち反応性の異な
る複数の重合性官能基を有する単量体をいう。かかるグ
ラフト交叉剤(II)としては、たとえばアリルメタクリ
レート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシア
ヌレート等が挙げられる。アリルメタクリレートは架橋
剤(II)としても用いることができる。これら架橋剤
(II)及びグラフト交叉剤(II)は単独または二種以上
併用して用いられる。これら架橋剤(II)及びグラフト
交叉剤(II)の合計の使用量はポリアルキル(メタ)ア
クリレートゴム成分中0.1〜から10重量%であり、アリ
ルメタクリレートを架橋剤(II)及びグラフト交叉剤
(II)の両方の目的で使用する場合は、0.2から20重量
%用いればよい。
ポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分の重合
は、予じめ調製されたポリオルガノシロキサンラテック
ス中のゴム成分にアルキル(メタ)アクリレートゴム用
単量体を含浸させてから行うことが好ましい。すなわ
ち、ポリオルガノシロキサンゴムのラテックス中へ上記
アルキル(メタ)アクリレート、架橋剤(II)及びグラ
フト交叉剤を添加し重合することにより、ポリオルガノ
シロキサン成分とポリアルキル(メタ)アクリレート成
分とが入り組んだ構造を作り、複合化し実質上両成分が
分離できない複合ゴムラテックスが得られる。
ポリアルキル(メタ)アクリレートゴム用単量体がポ
リオルガノシロキサンゴムの粒子中に含浸した状態でこ
れらの単量体をラジカル重合することにより形成された
ポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分とポリオル
ガノシロキサンゴム成分とが互いに絡み合った状態で各
々架橋しているため相互に分離できない状態となり、本
発明で言う複合ゴムが得られる。なお、ポリオルガノシ
ロキサンゴム成分形成時にグラフト交叉剤(I)を用い
た場合には更にポリオルガノシロキサンゴム成分とポリ
アルキル(メタ)アクリレートゴム成分の間にも結合が
生じる。
即ち、ラジカル重合は通常の方法に従えばよく、過酸
化物を用いる方法、アゾ系開始剤を用いる方法、酸化剤
・還元剤を組み合わせたレドックス系開始剤を用いる方
法などがある。
この中で、レドックス系開始剤を用いる方法が好まし
く、特に、硫酸第一鉄・エチレンジアミン四酢酸二ナト
リウム塩・ロンガリット・ヒドロパーオキサイドを組み
合わせたスルホキシレート系開始剤が好ましい。
なお本発明の実施に際しては、ポリオルガノシロキサ
ンゴム成分の主骨格がジメチルシロキサンの繰り返し単
位を有し、ポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分
の主骨格がn−ブチルアクリレートの繰り返し単位を有
する複合ゴムが好ましく用いられる。
このようにして乳化重合により調製された複合ゴム
は、ビニル系単量体とグラフト重合が可能であり、かく
して本発明に係るポリオルガノシロキサン系グラフト共
重合体(A)が得られる。
グラフト重合に使用するビニル系単量体としては、ス
チレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香
族アルケニル化合物;メチルメタクリレート、2−エチ
ルヘキシルメタクリレート等のメタクリル酸エステル;
メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアク
リレート等のアクリル酸エステル;アクリル酸、メタク
リル酸等の有機酸;アクリロニトリル、メタクリロニト
リル等のシアン化ビニル化合物などの各種ビニル系単量
体が挙げられる。これらは、単独でまたは二種以上組み
合わせて用いられる。
ポリオルガノシロキサン系グラフト共重合体における
複合ゴムとビニル系単量体との割合は、このポリオルガ
ノシロキサン系グラフト共重合体の重量を基準にしてポ
リオルガノシロキサン系ゴムが30〜95重量%、好ましく
は40〜90重量%、ビニル系単量体が5〜70重量%、好ま
しくは10〜60重量%である。ビニル系単量体が5重量%
未満では、得られたグラフト共重合体を他の樹脂と配合
する場合、樹脂中でのグラフト共重合体の分散が十分で
なく、また、70重量%を超えると衝撃強度発現性が低下
するので好ましくない。グラフト重合時においては、上
記ビニル系単量体の複合ゴムへの添加は、一段もしくは
多段で行ってもよい。
このようにしてラテックスとして得られるポリオルガ
ノシロキサン系グラフト共重合体(A)を塩化カルシウ
ムまたは硫酸マグネシウムなどの金属塩を溶解した熱水
中に投入し、塩析・凝固することにより分離回収するこ
とが出来る。
本発明において得られるポリオルガノシロキサン系グ
ラフト共重合体は、それ自身でも耐衝撃性樹脂となり得
るが、種々の熱可塑性樹脂とも混合して用いることが出
来る。
混合し得る熱可塑性樹脂としては、ポリカーボネート
樹脂及び/または、ポリエステル樹脂と、芳香族アルケ
ニル化合物、シアン化ビニル化合物及び(メタ)アクリ
ル酸エステルからなる群から選ばれた少なくとも1種の
ビニル系単量体70〜100重量%とこれらと共重合可能な
他のビニル系単量体0〜30重量%を重合して得られる単
独重合体または共重合体[以下単に重合体(C)という
場合がある]である。
本発明に用いられるポリカーボネート樹脂はジヒドロ
キシジアリールアルカンから得られ、任意に枝わかれし
ていても良い。
これらポリカーボネート樹脂は公知の方法により製造
されるものであり、一般にジヒドロキシ及び/またはポ
リヒドロキシ化合物をホスゲンまたは炭酸のジエステル
と反応させることにより製造される。適当なジヒドロキ
シジアリールアルカンは、ヒドロキシ基に関しオルトの
位置にアルキル基、塩素原子または臭素原子を有するも
のも含む。ジヒドロキシアリールアルカンの好ましい具
体例としては4,4′−ジヒドロキシ−2,2−ジフェニルプ
ロパン(ビスフェノールA)、テトラメチルビスフェノ
ールA及びビス−(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジ
イソプロピルベンゼン等が挙げられる。
また分岐したポリカーボネート樹脂は、例えばジヒド
ロキシ化合物の一部を、例えば、その0.2〜2モル%を
ポリヒドロキシ化合物で置換することに依り製造され
る。
ポリヒドロキシ化合物の具体例としては、フロログリ
シノール、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロ
キシフェニル)−ヘプテン−2,4,6−ジメチル−2,4,6−
トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ベンゼン、1,1,1
−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)エタン並びに2,2
−ビス[4−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−シクロ
ヘキシル]−プロパン等が挙げられる。
本発明において用いられるポリエステル樹脂とは、
(a) 芳香族ジカルボン酸および二価フェノールまた
は低級脂肪族ジオールまたは脂環式ジオールから得られ
る芳香族ポリエステルまたは、(b) 芳香族ヒドロキ
シカルボン酸から得られる芳香族ポリエステルまたは、
(c) (a)及び(b)の共重合体を主な構成成分と
するものをいう。
上記の芳香族ジカルボン酸は、次式で示される。
HO−CO−R4−CO−OH [式中、R4は置換もしくは非置換のフェニレン基または
次式 (式中Zは、直接結合または、−CH2−もしくは−CO−
を表す。)で示される基または、ナフチレン基を示す] ここで、フェニレン基の置換基としては、たとえば、
塩素,臭素,メチル基等が挙げられ、置換フェニレン基
は1〜4個の置換基で置換されていてもよい。この芳香
族ジカルボン酸の例としては、たとえば、テレフタル
酸,イソフタル酸,ジフェニル−m,m′−ジカルボン
酸,ジフェニル−p,p′−ジカルボン酸,ジフェニルメ
タンm,m′−ジカルボン酸,ジフェニルメタン−p,p′−
ジカルボン酸,ベンゾフェノン−4,4′−ジカルボン
酸,ナフタレンジカルボン酸等が挙げられるが、これら
は単独もしくは二種以上混合して用いることができる。
また、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸
も少量混合して使用してもさしつかえない。
次に、二価のフェノールとしては、たとえば、ヒドロ
キノン,レゾルシン,ジヒドロキシナフタレン,ビフェ
ニルジオール,1,8−ジヒドロキシアントラキノン等や次
式: (式中、R5は酸素原子、硫黄原子、−CO−−SO2−、ま
たはハロゲンで置換されていてもよい炭素数5以下のア
ルキレン基を表す) で示される二価フェノール、たとえば、2,2−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノール
A),4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′
−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4′−ジヒドロ
キシジフェニルスルフィド、4,4′−ジヒドロキシジフ
ェニルケトン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルメタ
ン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−エタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−ブタン、1,1−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2,2,2−トリクロロ
エタン等が挙げられ、これらを単独でもしくは、二種以
上混合して使用しても良い。
低級脂肪族ジオールとしては、炭素数2〜6のアルキ
レンジオールであり、エチレングリコール、プロピレン
グリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオ
ール、1,6−ヘキサンジオール等が挙げられ、脂環式ジ
オールとしてはシクロヘキサンジオール、シクロヘキサ
ンジメタノール等が挙げられる。これらは単独、または
二種以上混合して使用しても良い。
上記の芳香族ヒドロキシカルボン酸としては、 HO−R6−CO−OH [式中、R6はフェニレン基または次式 (式中Xは、直接結合または、炭素数5以下のアルキレ
ン基を表す)で示される基または、ナフチレン基を示
す]で示される芳香族ヒドロオキシカルボン酸が挙げら
れる。
そのような芳香族ヒドロキシカルボン酸としては、m
−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、2−
ヒドロキシ−6−ナフトエ酸2−(4′−ヒドロキシフ
ェニル)−2−(4′カルボキシフェニル)−プロパ
ン、4−ヒドロキシフェニル−4−カルボキシフェニル
エーテル等が挙げられ、これらは単独でもしくは二種以
上混合して使用しても良い。
これらポリエステル樹脂の中でも、特にポリエチレン
テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ1,
4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレートの場合
に本発明の効果が好ましく発揮される。
本発明に用いられる重合体(C)の一方の原料である
芳香族アルケニル化合物、シアン化ビニル化合物及び
(メタ)アクリル酸エステルからなる群から選ばれるビ
ニル系単量体の具体例としては、次のものが挙げられ
る。
芳香族アルケニル化合物としては、スチレン、α−メ
チルスチレン、ビニルトルエン等が挙げられ、シアン化
ビニル化合物の具体例としてはアクリロニトリル、メタ
クリロニトリルなどが挙げられる。また、アクリル酸エ
ステルの例としては、メチルアクリレート、エチルアク
リレート、ブチルアクリレートなどが挙げられ、メタク
リル酸エステルの例としては、メチルメタクリレート、
2−エチルヘキシルメタクリレートなどが挙げられ、こ
れらは単独でまたは二種類以上組み合わせて用いられ
る。
共重合可能な他のビニル系単量体は、所望により用い
られるものであり、その使用量は全ビニル系重合体中30
重量%までである。共重合可能なビニル系単量体の具体
例としては、エチレン、酢酸ビニル等が挙げられる。
本発明において、ポリオルガノシロキサン系グラフト
共重合体と熱可塑性樹脂との混合物からなる樹脂組成物
の場合、ポリオルガノシロキサン系グラフト共重合体を
5重量%以上用いなければならない。ポリオルガノシロ
キサン系グラフト共重合体が5重量%未満の場合は、耐
衝撃性などの改善効果が少ない。
本発明の樹脂組成物は、上記成分(A)と(B)また
は、(A)と(C)をバンバリーミキサー、ロールミ
ル、二軸押出機等の公知の装置を用い機械的に混合しペ
レット状に賦形して調製すればよい。
押し出し賦形されたペレットは、幅広い温度範囲で成
形可能であり、成形には、通常の射出成形機が用いられ
る。
さらに本発明の樹脂には、必要に応じて繊維強化剤・
充填剤・可塑剤・難燃剤・滑剤・顔料などを配合しう
る。
以下実施例により本発明を説明する。なお、実施例中
『部』および『%』は、特に断らない限り『重量部』
『重量%』を意味する。なお、アイゾット衝撃強度の測
定は、ASTM D 258の方法によった。また、樹脂の表
面硬度の測定は、ASTM D 785の方法によるロックウ
エル硬度測定によった。
例1(参考) グラフト共重合体(S−1)の製造: テトラエトキシシラン2部、γ−メタクリロイルオキ
シプロピルジメトキシメチルシラン0.5部及びオクタメ
チルシクロテトラシロキサン97.5部を混合し、シロキサ
ン混合物100部を得た。ドデシルベンゼンスルホン酸ナ
トリウム及びドデシルベンゼンスルホン酸をそれぞれ1
部を溶解した蒸留水200部に上記混合シロキサン100部を
加え、ホモミキサーにて10,000rpmで予備撹拌した後、
ホモジナイザーにより200Kg/cm2の圧力で乳化、分散さ
せ、オルガノシロキサンラテックスを得た。この混合液
を、コンデンサー及び撹拌翼を備えたセパラブルフラス
コに写し、撹拌混合しながら80℃で5時間加熱した後20
℃で放置し、48時間後に水酸化ナトリウム水溶液でこの
ラテックスのpHを7.5に中和し、重合を完結しポリオル
ガノシロキサンラテックス−1を得た。得られたポリオ
ルガノシロキサンゴムの重合率は88.5%であり、ポリオ
ルガノシロキサンゴムの平均粒子径は0.24μmであっ
た。
上記ポリオルガノシロキサンゴムラテックス−1(ゴ
ム成分含量:29%)を17部採取し、撹拌器を備えたセパ
ラブルフラスコに入れ、蒸留水200部を加え、窒素置換
をしてから50℃に昇温し、n−ブチルアクリレート1.9
部、アリルメタクリレート93.1部及びtert−ブチルヒド
ロペルオキシド0.23部の混合液を仕込み30分間撹拌し、
この混合液をポリオルガノシロキサンゴム粒子に浸透さ
せた。次いで、硫酸第1鉄0.002部、エチレンジアミン
四酢酸二ナトリウム塩0.006部、ロンガリット0.26部及
び蒸留水5部の混合液を仕込みラジカル重合を開始さ
せ、その後内温70℃で2時間保持し重合を完了して複合
ゴムラテックスを得た。このラテックスを一部採取し、
複合ゴムの平均粒子径を測定したところ0.26μmであっ
た。又、このラテックスを乾燥し、複合ゴムの固形物を
得、トルエンで90℃、12時間抽出し、ゲル含量を測定し
たところ92.8重量%であった。又、複合ゴムのトルエン
に対する膨潤度を室温24時間で測定したところ10.3であ
った。
この複合ゴムラテックスにクメンヒドロペルオキシド
0.48部とn−オクチルメルカプタン1部、メチルメタク
リレート199部との混合液を70℃にて90分間にわたり滴
下し、その後70℃で2時間保持し、複合ゴムへのグラフ
ト重合を完了した。メチルメタクリレートの重合率は、
99.8%であった。
得られたグラフト共重合体ラテックスを塩化カルシウ
ム1.5重量%の熱水600部中に滴下し、凝固、分離し洗浄
したのち75℃で16時間乾燥し、複合ゴム系グラフト共重
合体(以下、S−1と称する)の乾粉を295部得た。
このようにして得られたS−1粉を一軸押出機により
240℃で賦形し、乾燥したのち射出成形機(住友重機械
工業(株)製、プロマット165/75型)に供給し、シリン
ダー温度240℃金型温度60℃で射出成形して各種試験片
を得た。この試験片により1/4″アイゾット衝撃強度(2
3℃)を測定したところ9.4Kg・cm/cmであり、ロックウ
エル硬度はRスケールで105であった。
例2〜4(参考),比較例1〜2(参考) グラフト共重合体S−1の製造に於て、複合ゴム作成
時のアリルメタクリレート量を変化させ、複合ゴム膨潤
度と耐衝撃性との関係について検討した。
すなわち、ポリオルガノシロキサンゴムラテックス−
1を用い、第1表に示すようにn−ブチルアクリレー
ト、アリルメタクリレートを仕込み、他の重合条件はグ
ラフト共重合体S−1の製造時と同様の操作を行なっ
た。その結果第1表に示す複合ゴム膨潤度の結果を得、
各実施例で作成した耐衝撃メチルメタクリレート樹脂の
アイゾット衝撃値及びロックウエル硬度は第1表に示す
ようになり、複合ゴム膨潤度が3〜15の範囲内でのみ耐
衝撃性及びロックウエル硬度が高い事が判る。
例5〜6(参考),比較例3〜4(参考) 上記ポリオルガノシロキサンラテックス−1を用い、
ポリオルガノシロキサンとブチルアクリレート及びアリ
ルメタクリレートから成る複合ゴムのポリオルガノシロ
キサン含量の影響について検討した。
すなわち、第2表に示す割合でポリオルガノシロキサ
ンとブチルアクリレート及びアリルメタクリレートを仕
込み例1に示すと同様の重合を実施した。
得られた複合ゴムの膨潤度及びゲル含量は第2表に示
す通りであり、各実施例で作成した耐衝撃性メタクリレ
ート樹脂のアイゾット衝撃値及びロックウエル硬度は第
2表に示すようになり、ポリオルガノシロキサン含量が
複合ゴム中の1〜10重量%でのみ耐衝撃性及びロックウ
エル硬度が高い事が判る。
例7〜9(本発明) グラフト共重合体S−1の製造に於て作成した複合ゴ
ムラテックス312部にスチレン30部、アクリロニトリル1
0部及びクメンヒドロペルオキシド0.1部の混合液を70℃
で1時間滴下し、その後70℃で2時間保持し複合ゴムへ
のグラフト重合を完了した。
得られたグラフト共重合体ラテックスを塩化カルシウ
ム1.5重量%の熱水600部中に滴下し凝固、分離し洗浄し
たのち乾燥しグラフト共重合体S−2を得た。
このグラフト共重合体S−2を第3表に示す割合でア
クリロニトリル−スチレン共重合体(アクリロニトリル
含量:27重量%でクロロホルム中25℃での還元粘度(ηs
p/c)が0.59dl/gr)と混合し例1と同様に押出賦形し、
射出成形して各種試験片を得て物性を評価した結果を第
3表に示す。
例10〜14(参考),比較例5〜8(参考) 即ち、第四表に示す量のポリオルガノシロキサンラテ
ックス−1を仕込み、n−ブチルアクリレート、アリル
メタクリレートをそれぞれ、第四表に示す量だけ仕込
み、その他の条件は例1と同様に行い複合ゴムを作成し
た。複合ゴムの物性を第四表に示す。
この複合ゴム25部に、スチレン18部,アクリロニトリ
ル7部及びクメンヒドロパーオキシド0.1部の混合液を6
5℃で30分間にわたり滴下しその後、70℃で1時間反応
温度を維持し複合ゴムへの一段目のグラフト重合を完了
した。その後、スチレン36部,アクリロニトリル14部,t
−ドデシルメルカプタン0.5部及びクメンヒドロパーオ
キシド0.3部の混合液を70℃で60分間にわたり滴下しそ
の後、70℃で2時間反応温度を維持し複合ゴムへの二段
目のグラフト重合を完了した。
得られたポリオルガノシロキサン系グラフト共重合体
ラテックスを例1と同様に、凝固・乾燥した。このポリ
マーを押し出し・賦形した後射出成形して各種試験片を
得て物性評価を行い第四表の結果を得た。
ポリオルガノシロキサンラテックスを用いない場合
は、耐衝撃性が不良である。また、ポリオルガノシロキ
サン含量が、複合ゴム中の10重量%を越えると、成形物
の表面硬度が低下し、好ましく無いことが判かる。
また、アリルメタクリレートの使用量により、複合ゴ
ムの膨潤度を変化させることが出来るが、膨潤度が15を
越えると成形物の表面硬度が低下し、膨潤度が3を下回
ると耐衝撃性が不良となることが判る。
例15〜17(本発明)比較例9〜10 例7〜9で得たグラフト共重合体S−2とポリカーボ
ネート樹脂(三菱化成工業(株)7022PJ)とを第5表に
示す割合で混合し、260℃で押し出し賦形、射出成形を
実施し、成形試片の評価を行った。その結果、ポリカー
ボネート樹脂単独の場合に比し、低温下での耐衝撃性が
向上することが判る。
実施例18〜21,比較例11〜13 グラフト共重合体S−1の製造において作成したポリ
オルガノシロキサンラテックス−1を用い、実施例5,6
比較例3,4と同様のグラフト共重合体を作成した。ただ
し、今回は、複合ゴムにグラフトする単量体組成を、ク
メンヒドロペルオキシド0.2部、メチルメタクリレート5
0部との混合液とした点のみが異なる。
得られた複合ゴムの膨潤度及びゲル含量は、第6表に
示すとうりであり、このグラフト共重合体を第6表に示
す割合で、PBT樹脂(三菱レイヨン(株)タフペットN
−1000)と混合し、アイゾット衝撃値を求め第6表に示
す結果を得た。
ポリオルガノシロキサン含量が複合ゴム中1〜10重量
%でのみ耐衝撃性及びロックウエル硬度が高いことが判
る。
例22〜25(本発明),比較例14〜16 前記ポリオルガノシロキサンラテックス−1を用い、
例5,6比較例3,4と同様のグラフト共重合体を作成した。
ただし、今回は、複合ゴムにグラフトする単量体組成
を、クメンヒドロペルオキシド0.2部、メチルメタクリ
レート50部との混合液とした点のみが異なる。
得られた複合ゴムの膨潤度及びゲル含量は、第7表に
示すとうりであり、このグラフト共重合体を第7表に示
す割合で、PBT樹脂(三菱レイヨン(株)タフペットN
−1000)及びポリカーボネート樹脂(三菱化成工業7022
PJ)と混合し、アイゾット衝撃値を求め第7表に示す結
果を得た。ポリオルガノシロキサン含量が複合ゴム中1
〜10重量%でのみ耐衝撃性及びロックウエル硬度が高い
ことが判る。
[発明の効果] 本発明に依り、本発明で規定する特定の耐衝撃性ポリ
オルガノシロキサン系グラフト共重合体により、耐衝撃
性、表面硬度に優れた成形物が与えられ、また、特定の
樹脂と混合することにより、上記物理特性に優れた樹脂
組成物を得ることが出来る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // C08F 291/02 C08F 291/02 (56)参考文献 特開 平2−209951(JP,A) 特開 平2−209956(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08L 51/04 C08L 25/00 - 25/18 C08L 33/20,33/06

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリオルガノシロキサンゴム成分1〜10重
    量%とポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分99〜
    90重量%よりなり、前記両成分が相互に分離しない構造
    を有し、トルエン溶媒下で測定したゲル含量が85%以上
    であり、膨潤度が3〜15である平均粒子径0.08〜0.6μ
    mの複合ゴムに、1種又は2種以上のビニル系単量体を
    グラフト重合してなるポリオルガノシロキサン系グラフ
    ト共重合体5重量%以上と、熱可塑性樹脂95重量%以下
    (ただし0%を除く)とを配合してなる耐衝撃性樹脂組
    成物。
  2. 【請求項2】熱可塑性樹脂が芳香族アルケニル化合物、
    シアン化ビニル化合物及び(メタ)アクリル酸エステル
    からなる群から選ばれた少なくとも1種のビニル系単量
    体100〜70重量%とこれらビニル系単量体と共重合可能
    な他のビニル系単量体0〜30重量%とよりなるビニル系
    単量体を重合して得られる単独重合体または共重合体で
    ある請求項1項記載の耐衝撃性樹脂組成物。
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