JP5424524B2 - スチレン系樹脂組成物、及び該樹脂組成物からなる成形体 - Google Patents
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Description
すなわち本発明は、芳香族ビニル単量体40〜65重量%、不飽和ニトリル単量体30〜50重量%、および不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体5〜10重量%(但し、芳香族ビニル単量体、不飽和ニトリル単量体、および不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体の合計が100重量%である。)を共重合してなるビニル系共重合体(A)とアル
キル(メタ)アクリレートゴム成分及びポリオルガノシロキサン成分からなる複合ゴム状重合体(Ca)を含むグラフト共重合体(B)とからなるスチレン系樹脂組成物であって、アセトン可溶分中の芳香族ビニル化合物単位の割合(MS)が45〜65重量%であり、サンシャインスーパーロングライフウェザーメーター: WEL−SUN−HCH型を用い、ブラックパネル温度63℃、18分/120分の降雨有り条件下で2000時間暴露した後の光沢保持率が94%以上であることを特徴とするスチレン系樹脂組成物に関する。
本発明におけるスチレン系樹脂組成物は、ビニル系共重合体(A)とグラフト共重合体(B)との混合物からなり、ビニル系共重合体(A)は、芳香族ビニル単量体、不飽和ニトリル単量体、および不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体からなる共重合体である。ビニル系共重合体(A)には、これらの単量体以外にも共重合可能な他の単量体を共重合体することもできる。
ビニル系共重合体(A)の製造方法としては、特に限定はされないが、塊状重合、乳化重合、懸濁重合、溶液重合、およびこれら重合法の組み合わせ等の方法が挙げられる。
ビニル系重合体(A)の組成は特に限定されないが、芳香族ビニル単量体40〜65重量%、不飽和ニトリル単量体30〜50重量%、および不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体5〜60重量%(但し、芳香族ビニル単量体、不飽和ニトリル単量体、および不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体の合計が100重量%である。)であることが好ましい。
ゴム状重合体(C)の重量平均粒子径は特に限定されないが、0.05〜1μmが好ましく、0.07〜0.5μmが特に好ましく、0.08〜0.3μmが更に好ましい。
ゴム状重合体(C)は、アルキル(メタ)アクリレートゴム成分とポリオルガノシロキサン成分からなる複合ゴム状重合体(Ca)であることが好ましい。
複合ゴム状重合体(Ca)の製造方法としては、特に限定はされないが、ポリオルガノシロキサンラテックス成分にアルキル(メタ)アクリレート、および多官能アルキル(メタ)アクリレートからなるアルキル(メタ)アクリレート成分を含浸させた後に重合させることにより製造することができる(例えば、特許3218195号公報参照)。複合ゴム状重合体(Ca)の重量平均粒子径は特に限定されないが、0.05〜1μmが好ましく、0.07〜0.5μmが特に好ましく、0.08〜0.3μmが更に好ましい。
芳香族ビニル化合物単位の割合は、スチレン系樹脂組成物をアセトンに溶解し、これを遠心分離機によりアセトン可溶分、及びアセトン不溶分に分離し、フーリエ変換赤外分光光度計(以下、FT−IRと略すことがある。)により検出する。FT−IRには、アセトン可溶分およびアセトン不溶分をそれぞれ圧縮成形等により、0.01〜0.08μmのフィルムに作製したサンプルが使用される。
MS=1.0/(A+E+1.0)×100 ・・・ 式(1)
但し、A=AA/SS×0.27599
E=EE/SS×0.0438+0.005
AA=A2−(A1−A3)×(A2−A3)/(A1−A3)−A3
SS=S2−(S1−S3)×(S2−S3)/(S1−S3)−S3
EE=E2−(E1−E3)×(E2−E3)/(E1−E3)−E3
他の熱可塑性樹脂としては、PMMA、MMAグラフトアクリルゴム、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエステル、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルスルホン、フッ素樹脂、シリコン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、PMMA、ポリエステルエラストマー、ポリカプロラクトン、芳香族ポリエステルエラストマー、ポリアミド系エラストマー、ASグラフトポリエチレン、ASグラフトポリプロピレン等が挙げられ、特にPMMA、MMAグラフトアクリルゴムが好ましく、スチレン系樹脂組成物100重量部に対して、10〜150重量部配合されることが好ましい。MMAグラフトアクリルゴムとしては、2層構造でも多層構造でも構わない。
本発明のスチレン系樹脂組成物は、2層成形体の表皮に使用されることが好ましい。2層成形体とは、2種類の樹脂で構成される成形体であり、特に制限はないが、主に製品裏面となるベース材と製品表面となる表皮材から構成される。成形方法としては、特に制限はなく、熱可塑性樹脂で使用される成形方法が適用される。例えば、射出成形、押出成形、シート押出成形、ブロー成形、およびカレンダ成形などが好ましい。製品としては、特に制限されることなく、各種製品への展開が可能であるが、太陽光や蛍光灯を直接的又は間接的に受ける製品への展開が好ましく、更に屋外に使用されることが好ましい。例えば、エクステリアデッキ、ラティスフェンス、雨樋、サッシ、門、エアコンダクトカバー、エアコン室外機、自動車外装部などが好ましい。
なお、下記の実施例および比較例は、本発明をさらに具体的に説明するためのものであり、これらの実施例等に何ら限定されるものではない。
また、実施例中の評価、各種測定は以下の方法で行った。更に、組成および配合は、特に記述がない限り重量単位を示す。
1.原料
(A)ビニル系共重合体
A−1:
アクリロニトリル27重量%、スチレン63重量%、ブチルアクリレート10重量%、還元粘度0.51のアクリロニトリル−スチレン−ブチルアクリレート共重合体
A−2:
アクリロニトリル39重量%、スチレン51重量%、ブチルアクリレート10重量%、還元粘度0.42のアクリロニトリル−スチレン−ブチルアクリレート共重合体
A−3:
アクリロニトリル10重量%、スチレン40重量%、メチルメタクリレート50重量%、還元粘度0.57のアクリロニトリル−スチレン−メチルメタクリレート共重合体
A−4:
アクリロニトリル20重量%、スチレン70重量%、ブチルアクリレート10重量%、還元粘度0.50のアクリロニトリル−スチレン−ブチルアクリレート共重合体
A−5:
アクリロニトリル40重量%、スチレン60重量%、還元粘度0.58のアクリロニトリル−スチレン共重合体
A−6:
アクリロニトリル30重量%、スチレン70重量%、還元粘度0.65のアクリロニトリル−スチレン共重合体
A−7:
アクリロニトリル20重量%、スチレン80重量%、還元粘度0.67のアクリロニトリル−スチレン共重合体
B−1:
ASグラフトアクリルゴム
ASグラフトアクリルゴムは、まずシードラテックスを製造してからASをグラフトする。
まず反応器内にイオン交換水248.3重量部、16%濃度のジヘキシルスルホコハク酸ナトリウム水溶液0.05重量部を仕込み、かきまぜながら窒素置換を十分に行った後、昇温して内温を75℃にした。この反応器に過硫酸アンモニウム0.02重量部添加後、メタクリル酸メチル8重量部、アクリル酸ブチル2重量部の混合物を50分間で連続的に添加した。添加後、さらに過硫酸アンモニウム0.01重量部を添加してから75℃で45分間反応を続けた。重合率は99%であり、ラテックスの粒子径は0.17μmであった。
B−2:
ASグラフトシリコーン・アクリル複合ゴム(三菱レイヨン株式会社製:メタブレンSX−006)
B−3:
MMAグラフトアクリルゴム(ローム・アンド・ハース・ジャパン株式会社製:EXL2315)
B−4:
MMAグラフトアクリルゴム(株式会社カネカ製:FM−50)
D−1:
紫外線吸収剤(城北化学工業株式会社製:JF77)
D−2:
耐光剤(城北化学工業株式会社製:JF90)
D−3:
カーボンブラック(三菱化学株式会社製:CB−960)
(E)その他熱可塑性樹脂
E−1:
PMMA(旭化成ケミカルズ株式会社製 デルペット70H)
表1、2に示す配合で混合し、設定温度240℃の二軸押出機で混練溶融させてペレットを作製した。得られたペレットを設定温度250℃、金型温度60℃の条件下で長さ90mm、巾50mm、厚み2.5mmの射出成形品プレート片を作製し、耐候性を評価した。結果を表1、2に示す。
〔比較例1〜9〕
表3に示す配合で混合し、実施例1〜4と同様にして、ペレットを作製し、得られたペレットを実施例1〜4と同様にして射出成形品プレート片を作製し、耐候性を評価した。結果を表3に示す。
1)耐候性:
サンシャインスーパーロングライフウェザーメーター: WEL−SUN−HCH型を用い、ブラックパネル温度63℃、18分/120分の降雨有り条件下で2000時間暴露し、コニカミノルタセンシング株式会社製:色彩色差計;CR−300を用い非暴露自材片との色差(ΔE)を測定し、5未満の場合を○、5以上の場合を×とした。また、スガ試験機株式会社製:携帯光沢計HG−268を用い光沢を測定し非暴露からの光沢保持率を計算し、94%以上の場合を○、94%未満の場合を×とした。
樹脂組成物をアセトンに溶解し、これを遠心分離機によりアセトン可溶分、及びアセトン不溶分に分離し、アセトン可溶分を圧縮成形により、0.01〜0.08μmのフィルムを作製し、日本分光工業株式会社製:FT/IR−7000により、2262cm-1の吸光度(A1)、2238〜2242cm-1のピーク吸光度(A2)、2222cm-1の吸光度(A3)、1792cm-1の吸光度(E1)、1734〜1738cm-1のピーク吸光度(E2)、1661cm-1の吸光度(E3)、1617cm-1の吸光度(S1)、1600〜1606cm-1のピーク吸光度(S2)、および1575cm-1の吸光度(S3)を検出し、下記式(1)より求めた。
MS=1.0/(A+E+1.0)×100 ・・・ 式(1)
但し、A=AA/SS×0.27599
E=EE/SS×0.0438+0.005
AA=A2−(A1−A3)×(A2−A3)/(A1−A3)−A3
SS=S2−(S1−S3)×(S2−S3)/(S1−S3)−S3
EE=E2−(E1−E3)×(E2−E3)/(E1−E3)−E3
表1〜3で本発明のスチレン系樹脂組成物は、促進暴露試験で色差(ΔE)、光沢保持率のバランスに優れていることがわかり、本発明の条件を満たさない場合には、耐候性において本発明のスチレン系樹脂組成物より劣ることがわかる。
Claims (3)
- 芳香族ビニル単量体40〜65重量%、不飽和ニトリル単量体30〜50重量%、および不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体5〜10重量%(但し、芳香族ビニル単量体、不飽和ニトリル単量体、および不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体の合計が100重量%である。)を共重合してなるビニル系共重合体(A)とアルキル(メタ)アクリレートゴム成分及びポリオルガノシロキサン成分からなる複合ゴム状重合体(Ca)を含むグラフト共重合体(B)とからなるスチレン系樹脂組成物であって、アセトン可溶分中の芳香族ビニル化合物単位の割合(MS)が45〜65重量%であり、サンシャインスーパーロングライフウェザーメーター: WEL−SUN−HCH型を用い、ブラックパネル温度63℃、18分/120分の降雨有り条件下で2000時間暴露した後の光沢保持率が94%以上であることを特徴とするスチレン系樹脂組成物。
- ビニル系共重合体(A)が、アクリロニトリル−スチレン−ブチルアクリレート共重合体(Aa)であることを特徴とする請求項1に記載のスチレン系樹脂組成物。
- 請求項1または2に記載のスチレン系樹脂組成物が、2層成形体の表皮層を形成していることを特徴とする樹脂成形体。
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