JP4361261B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
本発明は、耐候性、表面性、押出し成形性、各種2次加工性に優れた熱可塑性樹脂組成物を表面層に使用した手摺、竹垣、ノボリ旗、突っ張り棒及び物干し竿から選ばれる成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
スチレン系樹脂は機械的特性や加工特性に優れることから自動車、住宅建材、家庭電機製品、包装材などの様々な用途に使用されている。近年では、環境問題などから塩化ビニル樹脂の代替素材として、住宅建材などで多く使用されているが、塩化ビニル樹脂に比較して、ビカット軟化点が高く、押出し成形や各種2次加工が困難であることや、耐候性、表面性に劣ることが指摘されている。
そこで、屋外用途などには、耐候性を向上させたスチレン系樹脂のAES樹脂やASA樹脂が使用されている。これらの樹脂で2次加工性の向上のために、ビカット軟化点を低下させるには、補強ゴム量を増加させることが容易に推測できる。しかし、これらの補強ゴム量を増加させると、発色性が悪化すると共に、金属滑性が低下し、押出し成形性も悪化する。その発色性や耐候性を改良する手法は、報告されているが(例えば特許文献5参照)、実施例記載の組成物では、2次加工性が容易ではない。
【0003】
【特許文献5】
特開2002−138177号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、耐候性、表面性、押出し成形性、各種2次加工性に優れた熱可塑性樹脂を表面層に使用した手摺、竹垣、ノボリ旗、突っ張り棒及び物干し竿から選ばれる成形品を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、スチレン系樹脂100重量部、アクリル系重合体5〜100重量部からなり、ISO306条件下におけるビカット軟化点が60〜86℃、ISO178条件下における曲げ弾性率が1,000〜1,8000MPaである熱可塑性樹脂組成物を表面層に使用した手摺、竹垣、ノボリ旗、突っ張り棒及び物干し竿から選ばれる成形品に関するものである。
本発明におけるスチレン系樹脂とは、少なくとも芳香族ビニル単量体を含むビニル系重合体であり、芳香族ビニル単量体を1種または2種以上を重合させて得られる共重合体、芳香族ビニル単量体と共重合可能な他の単量体を共重合した共重合体、ゴム状重合体に少なくとも芳香族ビニル単量体を含むビニル化合物をグラフト重合させて得られるグラフト重合体等が挙げられる。これらのうち、芳香族ビニル単量体、および不飽和ニトリル単量体を含む単量体混合物の共重合体、ゴム状重合体に該共重合体をグラフト重合させて得られるグラフト重合体、および共重合体、グラフト重合体の混合物が好ましい。これらの共重合体、およびグラフト重合体は、2種類以上を組み合わせて用いることも可能である。
【0006】
芳香族ビニル単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロルスチレン等が挙げられる。好ましくは、スチレンである。
不飽和二トリル単量体としては、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等が挙げられる。好ましくは、アクリロニトリルである。
その他、芳香族ビニル単量体と共重合可能な単量体としては、N−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミドなどのマレイミド系単量体、および不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体等が挙げられる。
【0007】
不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体としては、メチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、メチルフェニルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート等のアルキルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等のアルキルアクリレートが挙げられる。好ましくは、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、ブチルアクリレートである。
【0008】
グラフト重合体は、ゴム状重合体の存在下に、少なくとも芳香族ビニル単量体を含むビニル化合物をグラフト重合させて得ることができる。芳香族ビニル単量体に加えて、これらと共重合可能な単量体であれば、他の単量体も併せて使用することができる。
ゴム状重合体としては、ガラス転移温度が0℃以下のものであれば用いることができる。具体的にはポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム等のジエン系ゴム、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル系ゴム、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合ゴム、シリコンゴム、スチレン−ブタジエンブロック共重合ゴム、スチレン−イソプレンブロック共重合ゴム、シリコン−アクリル複合ゴムおよびそれらの水素添加物等を使用することができる。
【0009】
これらの重合体の中で、好ましくはポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル系ゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合ゴム、シリコン−アクリル複合ゴムである。
共重合体としては、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−α−メチルスチレン共重合体、アクリロニトリル−N−フェニルマレイミド−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブチルアクリレート−スチレン共重合体、およびアクリロニトリル−メチルメタクリレート−スチレン共重合体等が挙げられる。
【0010】
グラフト重合体としては、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−EPDM−スチレン共重合体、アクリロニトリル−(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブチルアクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブチルアクリレート−EPDM−スチレン共重合体、およびアクリロニトリル−ブチルアクリレート−(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体等が挙げられる。
【0011】
共重合体、グラフト重合体は、それぞれ1種、または2種以上を混合して用いることができる。
スチレン系樹脂の製造方法は、特に限定されないが、塊状重合、乳化重合や懸濁重合等で製造する方法がある。グラフト重合体の製造方法としては、特に限定はされないが、乳化重合、懸濁重合、塊状重合、溶液重合、およびこれらの重合法の組み合わせ等の方法がある。
本発明におけるスチレン系樹脂は、この他、芳香族ビニル単量体配合量、および分子量等の組成、および衝撃値、および強度等の物性に特に制限はされることはない。
【0012】
本発明におけるアクリル系重合体とは、不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体、グラフト結合性単量体を必須成分とした重合体であり、必要に応じて他の単量体や多官能架橋性単量体を重合できる。不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体としては、アルキルメタクリレート、アルキルアクリレート等が挙げられるが、アルキルアクリレート等が含有されていることが好ましく、更にはメチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレートが含有されることが好ましい。
【0013】
アクリル系重合体の構造としては、単層構造でも多層構造体でも構わない。多層構造体とは、少なくとも1層以上の軟質重合体層と硬質重合体層を有し、最外層が硬質重合体層からなる2層以上の多層構造体である。軟質重合体層と硬質重合体層を有していれば何層でもかまわないが、好ましい構造としては、最内層が軟質重合体層、最外層が硬質重合体層である2層構造体、最内層が硬質重合体層、中間層が軟質重合体層、最外層が硬質重合体層である3層構造体および最内層が硬質重合体層、中間内層が軟質重合体層、中間外層が硬質重合体層、最外層が硬質重合体層である4層構造体である。
【0014】
各層の比率は特に指定しないが、2層構造体の場合、軟質重合体層50〜90重量部、硬質重合体層10〜50重量部が好ましく、3層構造体の場合、最内硬質重合体層3〜35重量部、中間軟質重合体層20〜94重量部および最外硬質重合体層3〜45重量部が好ましく、4層構造の場合、最内硬質重合体層4〜30重量部、中間軟質重合体層10〜90重量部、中間硬質重合体層2〜20重量部、最外硬質重合体層4〜40重量部が好ましい。
【0015】
多層構造の軟質重合層には、アクリル酸アルキルエステル単量体を含むことが好ましく、更にメチルメタクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等が好ましく、更にはブチルアクリレート、n−ブチルアクリレートが好ましい。
多層構造の硬質重合層には、メタクリル酸アルキルエステル単量体を含むことが好ましく、更にメチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、メチルフェニルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート等のアルキルメタクリレートが好ましく、更にはメチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレートが好ましい。これらは2種類以上を共重合することもできる。
【0016】
その他共重合可能な単量体としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレンなどの核アルキル置換スチレン、α−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレンなどのα−アルキル置換スチレン等の芳香族ビニル単量体が挙げられる。
グラフト結合性単量体としては、ジビニル化合物、ジアリル化合物、ジアクリル化合物、ジメタクリル化合物などの一般的に用いられる架橋剤が使用できる。
【0017】
多官能架橋性単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸などのアリルエステルが挙げられる。
アクリル系重合体が多層構造体の場合の重量平均粒子径は、特に特定しないが、0.05〜0.4μmであることが好ましい。更に0.08〜0.35μmが好ましく、更には0.1〜0.3μmが好ましい。
重量平均粒子径を測定する方法としては、透過電子顕微鏡写真を用いて、約1000個の粒子径サイズをカウントする方法が用いられる。
【0018】
アクリル系重合体は、スチレン系樹脂100重量部に対して、5〜100重量部の範囲で用いられるが、5重量部未満の場合、耐候性が低下し、100重量部を超える場合、各種2次加工性が困難となる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ISO測定条件下におけるビカット軟化点が86℃以下に調整されるが、ここで言うISO測定条件とは、ISO306に準拠した測定条件であり、具体的な条件は、昇温速度50±5℃/時間、試験荷重50±1N、針入度1±0.1mm、測定開始温度40℃、サンプル形状4mm×10mm×10mmである。ビカット軟化点の下限は特に設定していないが、60℃以上が好ましい。ビカット軟化点が85℃を超える場合、各種2次加工性が困難となる。
【0019】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ISO測定条件下における曲げ弾性率が1,800MPa以下に調節されることが好ましい。ここで言うISO測定条件とは、ISO178に準拠した測定条件であり、具体的な条件は、試験速度2mm/min、支点間距離64mm、サンプル形状4mm×10mm×80mmである。曲げ弾性率は、ひずみ0.05%、0.25%に相当するたわみを計算式(1)から算出し、それぞれのたわみに相当する荷重を、測定結果から読み取り、計算式(2)で応力を計算し、計算式(3)から算出する。
【0020】
【数1】
【0021】
曲げ弾性率の下限は特に設定していないが、1,000MPa以上が好ましい。曲げ弾性率が1,800MPaを超える場合には、各種2次加工性が困難となる。
本発明における高分子複合体とは、架橋剤により、少なくとも部分的に架橋された複合体であり、ビニル系単量体を共重合した複合共重合体、ゴム状重合体にビニル系単量体をグラフト重合した複合グラフト重合体、および複合共重合体、複合グラフト重合体が混合した混合物等が挙げられ、それぞれ1種、または2種以上を溶融混合して用いることができる。
ビニル系単量体とは、芳香族ビニル単量体、不飽和ニトリル単量体、不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体、およびマレイミド系単量体等が挙げられ、これらは1種または2種以上で用いられる。
【0022】
架橋剤としては、特に制限がなく、公知の架橋剤が使用できる。例えば、テトラメチルチウラムダイサルファイド、テトラエチルチウラムダイサルファイド等のチウラム系化合物、モーフォリンダイサルファイド等のモーフォリン系化合物、ジフェニルグアニジン等のグアニジン系化合物、メルカプトベンゾチアゾール、ベンゾチアジルダイサルファイド、およびシクロヘキシルベンゾチアジルスルフェンアミド等のチアゾール系化合物等の硫黄加硫系、またはジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−ヘキシン−3、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン等の有機過酸化物加硫系等が使用される。
【0023】
これらの架橋剤の配合量は、特に制限がないが、一般的には架橋剤はビニル系単量体、またはゴム状重合体に対して、0.1〜2.0重量%程度用いることが好ましい。
複合共重合体としては、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブチルアクリレート−スチレン共重合体、アクリロニトリル−N−フェニルマレイミド−スチレン共重合体、およびメチルメタクリレート−スチレン共重合体等が挙げられる。これらのうち、アクリロニトリル−スチレン共重合体、およびアクリロニトリル−スチレン共重合体にスチレン重合体が混合された混合物等が好ましい。
【0024】
複合グラフト重合体としては、アクリロ二トリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−グリシジルメタクリレート−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、およびアクリロニトリル−ブチルアクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体等が挙げられる。
【0025】
これらのうち、アクリロニトリル−(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−グリシジルメタクリレート−スチレン共重合体、およびアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体が好ましい。複合共重合体、複合グラフト重合体は、それぞれ1種、または2種以上を混合して用いることができる。
これらのうち、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、およびアクリロニトリル−スチレン共重合体が混合された混合物等が好ましい。これらの複合体の結合状態は、特に制限がなく、ランダム、またはブロック等のいずれでも良い。これらの複合体の製造方法は、特に制限がなく、公知の重合方法により製造することができる。
【0026】
高分子複合体は、スチレン系樹脂、およびアクリル系重合体100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲で用いられるが、好ましくは、1〜8重量部である。高分子複合体が0.1重量部未満の場合、表面性への効果が少なく、10重量部を超える場合、表面性および押出し成形性が悪化する。
本発明におけるスチレン系樹脂には、芳香族ビニル単量体、不飽和ニトリル単量体および不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体のうち1種または2種以上を重合させて得られるビニル系共重合体が含有され、これらのうち不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体が含有されることが好ましく、更にアルキルアクリレートが含有されることが好ましい。
【0027】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、必要に応じて他の熱可塑性樹脂を、またその他に滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、難燃剤、紫外線吸収剤、光安定剤、着色剤、分散剤、発泡剤、充填剤、あるいは熱可塑性樹脂において一般的に用いられるその他の配合剤、添加剤を配合することも可能である。これらのうち、他の熱可塑性樹脂、滑剤、充填剤、紫外線吸収剤、および光安定剤等を配合することが好ましい。
【0028】
他の熱可塑性樹脂としては、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエステル、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルスルホン、フッ素樹脂、シリコン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルエラストマー、ポリカプロラクトン、芳香族ポリエステルエラストマー、ポリアミド系エラストマー等が挙げられる。
【0029】
これら熱可塑性樹脂の配合量は、熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して、0〜100重量部が好ましい。滑剤としては、脂肪酸金属塩、ポリエチレンワックス、酸変性ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等が挙げられる。滑剤の配合量は、熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して、0.1〜50重量部が好ましい。
充填剤とは、金属酸化物、金属水酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属珪酸塩、炭素、セルロースを主体とする有機物から選ばれる1種以上であり、金属酸化物としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化アンチモン、酸化スズ、珪藻土等が挙げられる。
【0030】
水酸化物としては、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等が挙げられる。金属炭酸塩としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、ハイドロタルサイト等が挙げられる。金属硫酸塩としては、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等が挙げられる。
金属珪酸塩としては、珪酸カルシウム(ウォラストナイト、ゾノトライト)、タルク、マイカ、クレー、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサリト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ系バルン、ガラスフレーク等が挙げられる。炭素としては、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素バルン、木炭粉末等が挙げられる。セルロースを主体とした有機物としては、木粉、パルプ、もみがら粉、クルミ粉、ペーパースラッジ等が挙げられる。
【0031】
好ましくは炭酸カルシウム、タルク、マイカ、ガラス繊維、木粉から選ばれる1種以上である。充填剤の配合量は、熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して、0〜100重量部が好ましい。
その他の添加剤としては、紫外線吸収剤および光安定剤などの有機安定剤が好ましく、種類には特に制限はないが、フェノール系、イオウ系、リン系、アミン系、ベンゾフェノン系、サルチレート系、ベンゾトリアゾール系、ヒドラジン系およびエポキシ系から選ばれた1種または2種以上のものが使用される。特にフェノール系、イオウ系およびリン系の1種または2種以上と、アミン系、ベンゾフェノン系、サルチレート系およびベンゾトリアゾール系の1種または2種以上を組み合わせて用いることが好ましい。これら添加量の配合量は、樹脂組成物100重量部に対して、0.1〜10重量部が好ましい。
【0032】
本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法は、特に限定はないが、単軸もしくは2軸のベント付き押出機、プラストミル、ニーダー、バンバリーミキサー、ブラベンダーなどの熱可塑性樹脂に一般的に用いられる各種混合装置を用いることができる。これらのうち2軸のベント付き押出機による製造が望ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物を表面層に使用した成形品とは、各種一般的に熱可塑性樹脂で使用されている成形加工で成形された成形品のことであり、これらのうち押出し成形品が好ましい。裏面層の素材としては特に制限はないが、好ましくは、他の熱可塑性樹脂、金属、および木材である。成形品の形状や大きさは特に制限がないが、巾木、回り縁、手摺、サッシ枠、竹垣、デッキ材、ノボリ旗、突っ張り棒、物干し竿、およびフェンスなどが挙げられ、形状としても異型形状からシート状、パイプ状、角状、およびチューブ状などが可能である。これらのうち、2次加工等の特殊加工が施される手摺、竹垣、ノボリ旗、突っ張り棒、および物干し竿が好ましい。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下本発明について詳しく説明する。
なお下記の実施例および比較例は、本発明をさらに具体的に説明するためのものであり、以下の例に限定されるものではない。尚、実施例中の評価、各種測定は以下の方法で行った。また、組成および配合は、特に記述がない限り重量単位を示す。
【0034】
【実施例】
1.原料
(A)スチレン系樹脂
A−1:1)アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ブタジエンゴム50重量%、アクリロニトリル15重量%、スチレン35重量%、グラフト率55%、還元粘度0.26sp/c)70重量%、アクリロニトリル−スチレン共重合体(アクリロニトリル30重量%、スチレン70重量%、還元粘度0.65sp/c)22重量%、アクリロニトリル−スチレン共重合体(アクリロニトリル25重量%、スチレン75重量%、還元粘度0.46sp/c)8重量%
A−2:アクリロニトリル−スチレン−ブチルアクリレート共重合体
アクリロ二トリル24.3重量%、スチレン65.7重量%、ブチルアクリレート10重量%、還元粘度0.51sp/c
【0035】
A−3:アクリロニトリル−EPDM−スチレン共重合体
EPDM35重量%、アクリロニトリル16.5重量%、スチレン48.5重量%、グラフト率26%、還元粘度0.52sp/c
A−4:アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン共重合体
多層アクリルゴム65重量%(内層ブチルアクリレート86重量%、外層ブチルアクリレート3重量%、メチルメタクリレート11重量%)、アクリロニトリル8重量%、ブチルアクリレート3重量%、スチレン24重量%、グラフト率32%、還元粘度0.37sp/c
A−5:旭化成株式会社製 スタイラックAW30
【0036】
ここで言うグラフト率とは、ゴム状重合体にグラフト共重合した成分の、ゴム状重合体に対する重量割合として定義される。重合反応により生成した重合体をアセトンに溶解し、遠心分離器によりアセトン可溶分と不溶分とに分離する。この時、アセトンに溶解する成分は重合反応した共重合体のうちグラフト反応しなかった成分(非グラフト成分)であり、アセトン不溶分はゴム状重合体、及びゴム状重合体にグラフト反応した成分(グラフト成分)である。アセトン不溶分の重量からゴム状重合体の重量を差し引いた値がグラフト成分の重量として定義されるので、これらの値からグラフト率を求めることが出来る。
【0037】
還元粘度とは、熱可塑性樹脂をアセトンに溶解し、これを遠心分離機によりアセトン可溶分、およびアセトン不溶分に分離し、熱可塑性樹脂におけるゴム状重合体にグラフトしていない成分(非グラフト成分)であるアセトン可溶分0.25gを2−ブタノン50mlにて溶解した溶液を、30℃にてCannon−Fenske型毛細管中の流出を測定することにより得られる。
【0038】
(B)アクリル系重合体
B−1:2層構造体、重量平均粒子径0.3μm(呉羽化学工業株式会社製 パラロイドEXL2315)
B−2:2層構造体、重量平均粒子径0.5μm(呉羽化学工業株式会社製 パラロイドEXL2314)
B−3:3層構造体、重量平均粒子径0.11μm
B−4:単層構造体、旭化成株式会社製 デルペット 560F
B−3の詳細を表1にまとめた。記載の分析方法は以下のとおり行った。
【0039】
アクリル系重合体の平均粒子径:透過型電子顕微鏡写真より求めた。
メチルエチルケトン膨潤度:アクリル系重合体のパウダー約2gにメチルエチルケトン30mlを加え25℃で12時間浸したのち1時間振とうし、5℃、23000rpmで1時間遠心分離した。上澄み液をデカンテーションして除いたのち、新たにメチルエチルケトン30mlを加え25℃で1時間振とうし、5℃、23000rpmで1時間遠心分離した。上澄み液を除去した膨潤体重量(W1)を測定し、その後100℃で6時間真空乾燥した残留物の重量(W2)を測定した。膨潤度をW1/W2とした。
【0040】
(C)その他
C−1:城北化学工業株式会社製 JF77
C−2:城北化学工業株式会社製 JF90
C−3:ゼオン化成株式会社製 レビタルマットエース AM−808
C−4:GEスペシャリティケミカル製 Blendex−MAT
C−5:日本油脂株式会社製 モディパ−A4400
以上の原料を表2記載の比率で配合し、設定温度240℃で樹脂温度250〜260℃となる条件にて、L/D33の2軸押出機を用い、溶融混練を行った。
【0041】
2.測定項目
1)ビカット軟化点:ISO306に準拠した測定を行い、測定結果からビカット 軟化点を記載した。
2)曲げ弾性率:ISO178に準拠した測定を行い、測定結果から曲げ弾性率を 計算し記載した。
3)耐候性:射出成形品プレート片をスガ試験機株式会社製 サンシャインスーパーロングライフウェザーメーター WEL−SUN−HCH型を用い、63℃、12分/60分の降雨有り条件下で1000時間暴露し、スガ試験機株式会社製 S&M COLOUR COMPUTER MODEL SM−5を用い非暴露自材片との色差(ΔE)を測定し、3.0未満の場合を○、3.0以上の場合を×とした。また、暴露片は村上色彩技術研究所製 GLOSS METER MODEL GM−26Dを用い、60°視野の光沢を測定し、非暴露自材片との保持率を算出し、保持率が60%未満の場合には×、60%以上の場合を○とした。
【0042】
4)表面性:特開昭55−150327号公報の成形方法にて、節部を有する疑竹を成形した際に、成形品全体が均一な光沢の場合には○、成形品全体が不均一で表面むらがある場合には×とした。
5)押出し成形性:特開昭55−150327号公報の成形方法にて、容易に押出し成形が可能な場合には○、押出し成形が困難な場合には×とした。
6)2次加工性:特開昭55−150327号の成形方法にて、節部を形成した際に、容易に節部の加工が可能な場合には○、節部の加工が困難な場合には×とした。
【0043】
表2に示すように本発明に規定する条件を満たさない場合には、耐候性、表面性、押出し成形性、2次加工性において悪いが、スチレン系樹脂100重量部とアクリル系重合体5〜100重量部からなり、ISO測定条件下におけるビカット軟化点が86℃以下に調節された熱可塑性樹脂組成物は、本発明の効果が現れていることがわかる。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
【発明の効果】
以上、本発明によれば、耐候性、表面性、押出し成形性、各種2次加工性に優れた熱可塑性樹脂を表面層に使用した手摺、竹垣、ノボリ旗、突っ張り棒及び物干し竿から選ばれる成形品を提供できる。
Claims (2)
- スチレン系樹脂100重量部、アクリル系重合体5〜100重量部からなり、ISO306条件下におけるビカット軟化点が60〜86℃、ISO178条件下における曲げ弾性率が1,000〜1,8000MPaである熱可塑性樹脂組成物を表面層に使用した手摺、竹垣、ノボリ旗、突っ張り棒及び物干し竿から選ばれる成形品。
- 該スチレン系樹脂が、少なくとも芳香族ビニル単量体、不飽和ニトリル単量体および不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体のうち1種または2種以上を重合させて得られるビニル系共重合体を含有していることを特徴とする請求項1に記載の成形品。
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