JP2984251B1 - 耐震性能の優れた露出型固定柱脚 - Google Patents

耐震性能の優れた露出型固定柱脚

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JP2984251B1
JP2984251B1 JP18612998A JP18612998A JP2984251B1 JP 2984251 B1 JP2984251 B1 JP 2984251B1 JP 18612998 A JP18612998 A JP 18612998A JP 18612998 A JP18612998 A JP 18612998A JP 2984251 B1 JP2984251 B1 JP 2984251B1
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Abstract

【要約】 【課題】 露出型固定柱脚において、製作が容易でしか
もコストの安価な平板形状をしたベースプレートを用
い、ベースプレート最外縁のみが基礎部コンクリートに
接するつま先立ち状態を防止し、アンカーボルトの耐力
を有効に活用し、柱脚全体の耐震性能を向上させる。 【解決手段】平板形状のベースプレート2の4隅にアン
カーボルト3を配置し、アンカーボルト3のねじ部3a
がベースプレートの下面から下方へ突出しないようにア
ンカーボルト3を設置し、ベースプレート2のボルト孔
2aのボルトクリアランスを埋める金物5を用いてアン
カーボルト3のベースプレート板厚内での曲げ変形を拘
束し、ベースプレート2がつま先立ち変形を起こさない
条件式(θ1 ≧0.8θ0 )に基づいて、アンカーボル
トの配置位置(L1 )、アンカーボルトの剛性・耐力
(アンカーボルトの軸径D・ボルト長Lab)、ベースプ
レートの板厚(tbp)を決定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建造物の鉄骨柱を
コンクリート基礎に固定するために用いられる耐震性能
の優れた露出型固定柱脚に関するものである。
【0002】
【従来技術と発明が解決しようとする課題】露出型固定
柱脚は、鉄骨柱の下部にベースプレートを溶接接合し、
このベースプレートをアンカーボルトを介してコンクリ
ート基礎に定着させる構造であり、その工法には、ハイ
ベース工法、NCベース工法、ベースパック工法などが
ある。これらの工法は、それぞれ特有の固定方法を持つ
柱脚である。一般に、柱脚は鉄骨柱側から曲げモーメン
トが作用すると、鉄骨柱の下部に接合されたベースプレ
ートの圧縮側の最外縁のみが基礎部コンクリートに接し
たつま先立ち状態となる。即ち、図9(a) に示すよう
に、アンカーボルト3の初期伸び剛性に対してベースプ
レート2の曲げ剛性が高い柱脚、また鉄骨柱1の柱側部
からベースプレート2の最外縁までの距離が短い柱脚に
おいては、アンカーボルト3の応力が弾性範囲にあって
も、つま先立ち状態となる。さらに、アンカーボルト3
のねじ部の降伏以降は、伸び剛性が激減するため、ねじ
部の降伏以降につま先立ちとなる場合もある。
【0003】このようなつま先立ち状態では、ベースプ
レート2の角部のナイフエッジが基礎部コンクリートに
無限大となる圧縮応力として働き、基礎部コンクリート
の早期破壊を誘発し、柱脚としての耐震性能が低下する
問題があった。
【0004】また、図12(a) に示すように、引張側の
アンカーボルトにおいて、アンカーボルトのねじ部3a
がベースプレート2の下面から下方へ突出した状態で
は、柱脚の曲げ回転に伴い、ねじ部3aが局部的な曲げ
引張り変形を受けるため、柱脚の最大耐力が低下する問
題もある。
【0005】そこで、ベースプレート2の角部のナイフ
エッジによる基礎部コンクリートの早期破壊を回避する
ために、図14に示すように、部分的にベースプレート
の板厚を薄くする手段が採られている。即ち、柱脚の回
転剛性に関与するベースプレートの曲げ剛性は、柱隅角
部周辺の曲げ剛性が支配的となるため、対辺の板厚を激
減させることで、所定の回転剛性を有し、かつベースプ
レートの圧縮側のつま先立ちを回避できる。あるいは、
つま先立ち状態であってもナイフエッジとならず、支圧
面積を確保できる。
【0006】しかし、このような形状のベースプレート
は鋳鋼品となり、鋳鋼品は製品コストが高く、問題とな
っている。
【0007】本発明は、前述のような問題点を解消すべ
くなされたもので、その目的は、製作が容易で、しかも
コストの安価な平板形状をしたベースプレートであって
も、従来のベースプレート最外縁のみが基礎部コンクリ
ートに接するつま先立ち状態を防止することができ、さ
らにアンカーボルトの耐力を有効に活用することができ
ると共に、柱脚全体の耐震性能を向上させることのでき
る露出型固定柱脚を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、鉄骨柱が溶接
接合されたベースプレートをアンカーボルトによりコン
クリート基礎に定着してなる露出型固定柱脚において、
平板形状のベースプレートの4隅にアンカーボルトを配
置し、アンカーボルトのねじ部がベースプレートの下面
から下方へ突出しないようにアンカーボルトを設置し、
ベースプレートのボルト孔のボルトクリアランスを埋め
る金物を用いてアンカーボルトのベースプレート板厚内
での曲げ変形を拘束し、前記平板形状のベースプレート
がつま先立ち変形を起こさない条件式に基づいて、アン
カーボルトの配置位置(L1 )、アンカーボルトの剛性
・耐力(アンカーボルトの軸径D・ボルト長Lab)、ベ
ースプレートの板厚(tbp)を決定して構成されている
ことを特徴とする。
【0009】条件式は、柱脚の曲げ回転角をθ0 とし、
ベースプレートの圧縮側の局部変形角をθ1 とした場
合、θ1 ≧0.8θ0 とする。この条件式は、平板形状
のベースプレートの4隅にアンカーボルトを配置し、ア
ンカーボルトのねじ部をベースプレート下面から下方へ
突出させず、ベースプレートのボルトクリアランスを埋
める金物を用いた柱脚の弾塑性挙動に関する実験結果お
よびFEM(有限要素法)による解析結果から導かれ
る。
【0010】このような条件式を用いてアンカーボルト
およびベースプレートの寸法諸元が決定された柱脚は、
短期許容耐力範囲内では、曲げモーメントにより回転す
ると、ベースプレートの圧縮側が十分に曲げ変形し、柱
脚の終局耐力範囲内では、ベースプレートの圧縮側が全
断面降伏することで塑性ヒンジが形成されるため、ベー
スプレートのつま先立ち現象が生じない。一方、条件式
を満足する柱脚は、柱脚の弾性範囲内での柱脚回転剛性
が実用上十分に高いものも含まれている。さらに、ベー
スプレートの引張側においては、柱脚の曲げ回転に伴い
アンカーボルトが伸びた状態でも、ねじ部がベースプレ
ート下面から突出せず、またベースプレート板厚内での
曲げ変形がインサート金物で拘束されているため、ねじ
部が局部的な曲げ引張りを受けることがなく、アンカー
ボルトの耐力を十分に活用することができる。
【0011】
【発明の実施の態様】以下、本発明を図示する実施の形
態に基づいて説明する。図1、図2(a) 、(b) は、本発
明の露出型固定柱脚の1実施形態を示す立面図、平面
図、側面図である。図3、図4(a) 、(b) は、アンカー
ボルト据付用架台の構造が異なる実施形態を示す立面
図、平面図、側面図である。図5は本発明のインサート
金物に偏心金物を用いた例を示す平面図および縦断面図
である。図6は偏心金物の偏心度合いの異なる種々の例
を示す平面図である。
【0012】図1〜図5において、鉄骨柱1の下部に溶
接接合されるベースプレート2は板厚tbp、板幅Bの平
板形状とし、このベースプレート2をその4隅に配置し
た4本の軸径がDでボルト長がLabのアンカーボルト3
によりコンクリート基礎4に定着する。アンカーボルト
3の上部のねじ部3aはベースプレート2の下面から下
方へ突出しないようにし、ベースプレート2のボルト孔
2aにはボルトクリアランスを埋めるインサート金物5
を挿入する。
【0013】アンカーボルト3はアンカーボルト据付用
架台6に支持させる。図1、図2においては、このアン
カーボルト据付用架台6は、4本のアンボンドスリーブ
鋼管7と、これらアンボンドスリーブ鋼管7の上下を位
置決め固定するテンプレート8、8と、上部のテンプレ
ート8上にアンボンドスリーブ鋼管7と連続するように
固定されるレベル調整用鋼管9と、下部のテンプレート
8が固定される支持架台10からなる。
【0014】アンカーボルト3がアンボンドスリーブ鋼
管7内に挿通されたアンカーボルト据付用架台6をコン
クリート中に埋設し、レベル調整用鋼管9の上にベース
プレート2を載せ、インサート金物5をボルト孔2aに
挿入し、ベースプレート2から突出したねじ部3aに座
金18、11およびナット12、12を螺着し、ナット
12を締め付けることで、アンカーボルト3に初期張力
を導入する。なお、コンクリート基礎4の天端とベース
プレート2の間には無収縮モルタル13を充填する。ま
た、レベル調整用鋼管9は、厚肉鋼管を使用してもよい
し、通常の鋼管内にグラウト材を充填するようにしても
よい。
【0015】なお、図1、図3においてレベル調整用鋼
管9の上部に配置された鋼管等の部材は仮設金物19で
あり、この仮設金物19は、コンクリート打設時に、ア
ンカーボルト3のねじ部3aにコンクリートが付着しな
いように、アンカーボルト据付用架台6の据付時にアン
カーボルト3のねじ部3aに取り付けられる。コンクリ
ートが硬化すれば、この仮設金物19を取り外し、その
後、ベースプレート2を配置し、アンカーボルト3のね
じ部3aからボルト孔2a内にインサート金物5を挿入
する。
【0016】図3、図4においては、アングル材などで
アンカーボルト据付用架台6を箱状に組立て、両端にね
じの切られたアンカーボルト3の下部に螺着した上下の
ナット14で下部のテンプレート15を挟持することで
アンカーボルト3を固定し、アンカーボルト3の上部を
上部のテンプレート15に挿通させている。この場合、
アンカーボルト3の軸部には、塗料を塗布するなどのア
ンボンド処理16を施しておく。その他の構成は、図
1、図2の場合と同様である。インサート金物5は、図
5、図6に示すように、偏心度合いの異なるいくつかの
偏心金物を適宜嵌入使用すればよい。この場合、アンカ
ーボルト3の位置が若干ずれていても、インサート金物
5をベースプレート2のボルト孔2aに挿入することが
でき、ボルトクリアランスを埋めることができる。
【0017】図6は、このインサート金物5に偏心度合
いの異なるいくつかの偏心金物を用いた例であり、ベー
スプレート2の板厚より多少薄い板厚の円柱金物17に
ボルト挿通孔17aを偏心させて穿設する。このような
偏心金物であれば、ベースプレート2のボルト孔2aの
中心線とアンカーボルト3の中心軸とがずれていても、
ボルトクリアランスを簡単に埋めることができる(図5
参照)。
【0018】取り付けに際しては、図5に示すように、
アンカーボルト3の上部のねじ部3aに取り付けた円柱
金物17を水平面内で適宜回転させてボルト孔2a内に
嵌め込む。次いで、偏心していてもボルト孔2aを十分
カバーできる径の大きな特殊座金18を取り付け、この
上に通常の座金11を取り付け、ナット12をダブルで
螺着する。なお、偏心金物の円柱金物17はアンカーボ
ルト3の据付けのずれに応じて複数用意しておくのが好
ましい。
【0019】以上のように、ベースプレート2に平板
形状のものを使用し、平板形状のベースプレート2の
4隅にアンカーボルト3を配置し、アンカーボルト3
をねじ部3aがベースプレート2の下面から下方に突出
しないように設置して、従来のようにねじ部に局部的な
曲げ引張りが作用しないようにし、ベースプレート2
のボルトクリアランスを埋めるインサート金物5を用い
て、アンカーボルト3のベースプレート板厚内での曲げ
変形を拘束し、以上の〜の構成の露出型固定柱脚の
構造において、柱脚の弾塑性挙動に影響を与える力学的
要素としてのアンカーボルト3の配置位置(L1 )、ア
ンカーボルト3の性状である剛性・耐力(アンカーボル
ト3の軸径D・ボルト長Lab)、ベースプレート2の変
形・耐力性状である板厚(tbp)を次に示すように決定
し、ベースプレート2がつま先立ちしない耐震性能の優
れた露出型固定柱脚を得る。 (1) 条件式が成立する前提条件 図7に示すように、柱脚の短期許容耐力をアンカーボル
ト3のねじ部降伏時耐力よりも小さ目に設定する。ま
た、終局耐力をアンカーボルト3の軸部降伏時耐力より
も小さ目に設定する。これより、短期許容耐力時におい
てアンカーボルト3は弾性状態にあり、柱脚回転剛性は
ほぼ一定値と見なせる。一方、短期許容耐力を越え終局
耐力に至る間では、柱軸力を考慮してつま先立ち状態の
検討をする。従って、図8に示すMN相関図の低軸力域
における終局曲げ耐力が若干減少する。 (2) つま先立ち状態を回避する条件式 (2-1) 短期許容耐力時 図9(b) に示すように、鉄骨柱1が曲げモーメントを受
けて回転した場合、θ 1 =θ0 のときはベースプレート
の圧縮側がつま先立ち状態とならない。ここで、θ
1 は、ベースプレート2の圧縮側を全幅有効な片持ち梁
と見なしたときの最大曲げ撓み式で算出した式(2)で
表せられる変形角とすれば、図7に示す実験およびFE
M(有限要素法)による解析で得られたつま先立ちの有
無が判定できる応力中心間距離jから判断し、式(1)
のθ1 ≧0.8θ0 を満足すれば、つま先立ちを回避で
きる。
【0020】なお、応力中心間距離jは、図9(a) に示
すように、j=M/T(M:曲げモーメント、T:引張
側アンカーボルト軸力実測値)で求められ、つま先立ち
する場合には、応力中心間距離jは、引張側アンカーボ
ルト位置からベースプレートの圧縮側最外縁までの距離
となる。
【0021】表1は、アンカーボルトねじ部降伏時の荷
重ステップP1(図10(b) 参照)におけるベースプレ
ートのつま先立ちの有無に関する判定結果を示したもの
であり、図10(a) に示す各荷重ステップにおける応力
中心間距離の実測値から判断し、θ1 ≧0.8θ0 であ
れば、アンカーボルトがベースプレートに先行して降伏
する柱脚であっても、またベースプレートがアンカーボ
ルトに先行して降伏する柱脚であっても、ベースプレー
トはつま先立ちしていないと言える。一方、ベースプレ
ートがアンカーボルトに先行して降伏する柱脚(表1に
おける試験体名No.9、10)は、アンカーボルトねじ部降
伏時には既にベースプレートは全幅全断面降伏してお
り、また図10(a) に示す応力中心間距離の実測値から
判断して最大荷重時においてもつま先立ちしていないこ
とがわかる。これらの実験結果から、短期許容耐力をア
ンカーボルトねじ部降伏時耐力よりも小さ目に設定すれ
ば、短期許容耐力時において柱脚タイプ(アンカーボル
ト降伏先行型またはベースプレート降伏先行型)に係わ
らず、θ1 ≧0.8θ0 を満足するように寸法諸元が決
定された柱脚は、ベースプレートのつま先立ちを回避で
きる。
【表1】 一方、柱脚の曲げ回転角θ0 は、アンカーボルト3の伸
び剛性Kab、ベースプレート2の引張側の曲げ剛性
bp、インサート金物5の圧縮剛性Ki から式(3)で
算出することができる。
【0022】アンカーボルト3の伸び剛性Kabは、ねじ
部3aのKab0 と軸部3bのKab1に分けて式(4)で
大略算出できるが、ねじの剪断変形等が把握しにくいた
め、実物の引張り試験結果から得られた伸び剛性を基本
とする。
【0023】また、式(5)に示すベースプレート2の
引張側の曲げ剛性Kbpは、アンカーボルト3からの引張
力による局所的な面外変形の影響を考慮するためのもの
である。ここでは、面外変形に関与する領域のベースプ
レートをL0 を有効幅とした直交交差する二つの片持ち
梁にモデル化し、その等価スパンLe を実験結果から得
た(6)の評価式を用いて算出する。なお、柱長期軸力
による影響を無視した回転剛性Kbsは、式(7)で表さ
れる。
【数1】 (2-2) 終局耐力時 図11に示すように、圧縮反力Cに対して、ベースプレ
ートの全幅圧縮側が全断面降伏する場合は、つま先立ち
を回避できる。この検討においては、圧縮合力の作用点
は、ベースプレートの圧縮側の最外縁とする。式(8)
で算出したベースプレートの全幅全断面降伏時圧縮反力
P が式(9)で表せられる柱軸力Nを考慮したアンカ
ーボルトねじ部降伏時圧縮反力Cy よりも小さいことを
確認する。
【数2】 以上の(1)〜(9)式を用いて、θ1 ≧0.8θ0
満足するように、アンカーボルト3の配置位置L1 、ア
ンカーボルト3の軸径D・ボルト長Lab、ベースプレー
ト2の板厚tbpを決定する。このようにして求められた
具体的な寸法諸元を表2に示す。
【表2】 以上のように寸法諸元の決定された平板形状のベースプ
レート2およびアンカーボルト3を用い、アンカーボル
ト3のねじ部3aがベースプレート2の下面から下方に
突出せず、かつベースプレート2のボルトクリアランス
がインサート金物5で埋められた柱脚は、柱脚の短期許
容耐力および終局許容耐力範囲内ではベースプレート2
の圧縮側のつま先立ちが生じることがなく、基礎部コン
クリートの早期破壊を誘発せず、高い耐震性能が期待で
きる。
【0024】また、条件式を満足する柱脚は、短期許容
耐力範囲内において建物層間変形角が1/200以下に
収まる程度に高い回転剛性を有するものも含まれる。そ
の値は、アンカーボルト3の伸び剛性Kab、ベースプレ
ート2の引張側の曲げ剛性K bp、インサート金物5の圧
縮剛性Ki 、および柱長期軸力を考慮した評価式で算出
できる。なお、上記から求められる好ましいθ0 の値
は、0.005rad 以下である。
【0025】さらに、図12(b) に示すように、ベース
プレート2の引張側において、柱脚の曲げ回転に伴いア
ンカーボルト3が伸びた状態でもねじ部3aがベースプ
レート2の下面から突出することがなく、かつベースプ
レート板厚内の曲げ変形がインサート金物5で拘束され
ているため、アンカーボルト3の耐力を十分に活用する
ことができる。
【0026】また、以上はベースプレートの4隅にアン
カーボルトを1本づつ配設した例について説明したが、
これに限定されることなく、図13に示すように、ベー
スプレート2の4隅にアンカーボルト3をそれぞれ2本
づつ、3本づつ、4本づつ、あるいは5本づつ配設して
も有効であることは、実験結果およびFEM解析結果か
ら容易に類推することができる。この場合、アンカーボ
ルト3の配置位置(L 1 )はアンカーボルト群の重心位
置を用いればよい。
【0027】なお、ここで用いられるベースプレート2
およびインサート金物5の材質は、同種類の鋼板が用い
られることが好ましい。また、座金18は用いられても
座金11が用いられない場合のあることはいうまでもな
い。
【0028】
【発明の効果】本発明の露出型固定柱脚は、平板形状の
ベースプレートの4隅にアンカーボルトを配置し、アン
カーボルトのねじ部がベースプレートの下面から下方へ
突出しないようにアンカーボルトを設置し、ベースプレ
ートのボルト孔のボルトクリアランスを埋める金物を用
いてアンカーボルトのベースプレート板厚内での曲げ変
形を拘束し、前記平板形状のベースプレートがつま先立
ち変形を起こさない条件式に基づいて、アンカーボルト
の配置位置、アンカーボルトの剛性・耐力、ベースプレ
ートの板厚を決定して構成されているため、次のような
効果を奏することができる。 (1) 平板形状のベースプレートを用いても、柱脚の短期
許容耐力および終局耐力範囲内においてベースプレート
のつま先立ち状態を防止することができ、基礎部コンク
リートの早期破壊を解消することができ、耐震性能の高
い柱脚を得ることができる。 (2) 平板形状のベースプレートの使用が可能となり、鋳
鋼品と比較して、柱脚製造コストを大幅に低減すること
ができる。 (3) 実験結果とFEM解析結果により、ベースプレート
がつま先立ちを起こさない状態にしてアンカーボルトお
よびベースプレートの寸法諸元を決定することができ、
わざわざ実大実験を行う必要がないため、耐震性能の高
い柱脚を容易に短時間に製作することができ、コストの
低減および工期の短縮が図られる。 (4) アンカーボルトのねじ部に局部的な曲げ変形が生じ
ることがないため、アンカーボルトの軸部の耐力を有効
に利用することができ、柱脚全体の性能を高めることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の露出型固定柱脚の1実施形態を示す立
面図である。
【図2】(a) は図1の平面図、(b) は図1の側面図であ
る。
【図3】本発明の露出型固定柱脚のアンカーボルト据付
用架台の構造が異なる実施形態を示す立面図である。
【図4】(a) は図3の平面図、(b) は図3の側面図であ
る。
【図5】本発明のインサート金物に偏心金物を用いた例
を示す平面図および縦断面図である。
【図6】図5の偏心金物の偏心度合いの異なる種々の例
を示す平面図である。
【図7】本発明で用いる条件式を得るための実験装置
と、この実験結果および有限要素法による解析結果を示
すグラフである。
【図8】図5の実験における柱脚の曲げモーメントと柱
軸力の相関を示すグラフである。
【図9】(a) はベースプレートのつま先立ち状態を示す
立面図、(b) はベースプレートのつま先立ちの無い状態
を示す立面図、(c) は本発明で用いる平板形状のベース
プレートの寸法を示す平面図および側面図である。
【図10】(a) は、各荷重ステップにおける応力中心間
距離をアンカーボルト降伏タイプとベースプレート降伏
タイプとで比較したグラフ、(b) は、アンカーボルト降
伏タイプとベースプレート降伏タイプの荷重と変位の関
係を示すグラフである。
【図11】本発明の露出型固定柱脚の終局耐力時の状態
を示す立面図である。
【図12】(a) は従来のアンカーボルトにおけるねじ部
での局部曲げ変形を示す断面図、(b) は本発明のアンカ
ーボルトにおける局部曲げ変形を示す断面図である。
【図13】本発明のベースプレートにおけるアンカーボ
ルトの他の配置例を示す平面図および側面図である。
【図14】従来における鋳鋼製のベースプレートであ
り、(a) は平面図、(b) は縦断面図である。
【符号の説明】
1……鉄骨柱 2……ベースプレート 2a…ボルト孔 3……アンカーボルト 3a…ねじ部 3b…軸部 4……コンクリート基礎 5……インサート金物 6……アンカーボルト据付用架台 7……アンボンドスリーブ鋼管 8……テンプレート 9……レベル調整管 10……支持架台 11……座金 12……ナット 13……無収縮モルタル 14……ナット 15……テンプレート 16……アンボンド処理 17……円柱金物(偏心金物) 17a…偏心ボルト挿通孔 18……特殊座金 19……仮設金物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 黒須 廣 東京都中央区銀座6丁目2番10号 株式 会社巴コーポレーション内 (72)発明者 内山 政彦 東京都中央区銀座6丁目2番10号 株式 会社巴コーポレーション内 (72)発明者 佐藤 浩幸 東京都中央区銀座6丁目2番10号 株式 会社巴コーポレーション内 (72)発明者 新井 聡 東京都中央区銀座6丁目2番10号 株式 会社巴コーポレーション内 (56)参考文献 特開 平10−169012(JP,A) 特開 平9−268653(JP,A) 特開 平9−203116(JP,A) 特開 平9−203051(JP,A) 特開 平9−132941(JP,A) 特開 平7−173872(JP,A) 特開 平2−274944(JP,A) 特開 平2−256740(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) E04B 1/58 511 E02D 27/00 E04B 1/24

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉄骨柱が溶接接合されたベースプレート
    をアンカーボルトによりコンクリート基礎に定着してな
    る露出型固定柱脚において、 平板形状のベースプレートの4隅にアンカーボルトを配
    置し、アンカーボルトのねじ部がベースプレートの下面
    から下方へ突出しないようにアンカーボルトを設置し、
    ベースプレートのボルト孔のボルトクリアランスを埋め
    る金物を用いてアンカーボルトのベースプレート板厚内
    での曲げ変形を拘束し、前記平板形状のベースプレート
    がつま先立ち変形を起こさない条件式に基づいて、アン
    カーボルトの配置位置、アンカーボルトの剛性・耐力、
    ベースプレートの板厚を決定して構成されていることを
    特徴とする耐震性能の優れた露出型固定柱脚。
  2. 【請求項2】 条件式は、柱脚の回転角をθ0 とし、ベ
    ースプレートの局部変形角をθ1 とした場合、θ1
    0.8θ0 であることを特徴とする請求項1に記載の耐
    震性能の優れた露出型固定柱脚。
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