JP4369077B2 - 鉄筋コンクリート柱と梁部材の接合部の補強構造 - Google Patents
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【産業上の利用分野】
本発明は鉄筋コンクリート柱又は梁部材の補強構造及びその接合部の補強構造に関するもので、RC軸部材の軸方向に対し略直角方向に配置する補強材による補強構造を特徴とするものである。
【0002】
【従来の技術】
鉄筋コンクリート柱又は梁部材(以下RC軸部材という。)の構築又は製造は、型枠内に所定構成の鉄筋群を配置した後、コンクリートを打設することにより行われるが、この鉄筋群の構成については建築基準法等の諸規定に従って行わなければならない。上記鉄筋群のうち最も重要なことは、RC軸部材の軸方向に複数本の鉄筋を組として配置される主鉄筋群であるが、上記諸規定によれば、主として部材のせん断補強のため主鉄筋群の外周に、該RC軸部材の軸方向に対して略直角方向に補強筋(柱部材の場合は帯鉄筋、梁部材の場合はあばら鉄筋という。)の所定量を配置しなければならず、またこの配置は原則として部材全長にわたり均等間隔で配置しなければならないことが定められている。
【0003】
上記主鉄筋群の軸方向での相互の連結には様々な手段があるが、その一つとしてスリーブ継手を使用することがある。鉄筋の端部相互を公知(特公昭53−12732号、特開昭61−200246号公報参照)のスリーブ継手によって連結するものである。
該スリーブ継手は、両端に開口部を有する細長い中空管状体よりなる鉄筋用継手で、その開口部の一端部はRC軸部材の各主鉄筋の端部に結合され、他端部は連結される他の主鉄筋の端部に結合され、コンクリート部材中に埋設される。
【0004】
上記スリーブ継手を採用することにより、RC軸部材の構築又は製造に於いて、各主鉄筋相互の連結が簡易迅速に実施できるという利点がある。主鉄筋相互の連結にあたって、接合対をなす主鉄筋の軸線方向が高精度で一線上とならなければならないが、スリーブ継手を使用する場合、相手方主鉄筋は管状体である継手の他の開口部から挿入することにより接合できるので、両者の主鉄筋の軸線に少々の狂いがあっても支障なく接合することが可能なものである。これがスリーブ継手を使用するRC軸部材の構築又は製造の最大の利点である。
【0005】
上記スリーブ継手により主鉄筋が連結された構造のRC軸部材に於いても、一般の軸部材における構造と同様、RC部材軸の軸方向全長にわたり上記したように主鉄筋の略直角方向に補強材となる補強筋が配置される。この補強筋の配置は主鉄筋群のみならず埋設スリーブ継手群の外周においても均等間隔で配置されるが、埋設スリーブ継手群外周には主鉄筋群外周におけるよりも割り増しした量の補強筋の配置が推奨されている。
従来のスリーブ継手を埋設したRC軸部材の構築又は製造には、以下に述べる問題点があつた。
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
(1)埋設スリーブ継手外周に所定量の補強筋を配置する作業には困難性があった。それはスリーブ継手が埋設されている主鉄筋群(主として端部)は、スリーブ継手が主鉄筋径より太くなっており、更に注入口等の突起物が突出している場合があり、これらにより鉄筋間の間隙空間が狭くなっており、この空間内に所定量、特に割り増し量の補強筋を配置する作業には大きな困難性があり、割り増し量の補強筋を配置できない場合がしばしば生じる。
【0007】
(2)部材軸方向の略直角方向となる箇所に補強筋を所定間隔毎に配置する作業工程が煩雑であった。該補強筋は、通常、主鉄筋群の配置後、所定間隔毎に該主鉄筋群の周囲に配設することになるので、その所定位置毎に補強筋を取り付ける作業となり、上記のとおり、鉄筋間の間隙空間が狭くなっており、その分設作業は煩雑であった。
【0008】
(3)主鉄筋相互を連結するスリーブ継手部分は、該主筋鉄筋より太くなり、当該箇所の外側にせん断補強筋を配設することになるので、コンクリートの被り厚等の関係上、部材断面が大きくなり、当該部材に使用するコンクリート使用量も多くなるので部材重量は増加し、この増加した重量を支えるために鉄筋量を多くする必要が生じていた。これらはコストを増大させる原因となり、部材重量増大に伴う建物全体の重量増大、部材断面増大に伴う有効床面積の減少等多くの問題点を有していた。
【0009】
(4)スリーブ継手の表面形状によっては、コンクリートとの付着が期待できず、設計上主鉄筋の定着長を確保することが困難な場合があった。
軸組工法のプレキャスト柱のように、継手が部材端部の有効せいの範囲に納まれば該主鉄筋の定着長さを、部材端部から有効せいだけ離れた位置から算定するので問題が生じることはないが、鉄筋先組み工法に於いては、部材端部から断面せい程度離れた位置にスリーブ継手を設ける場合、或いはプレキャスト工法でも、梁主鉄筋の継手を接合部内に設ける場合等は、継手部の付着力が期待できないと定着長さを確保することが困難となる。
【0010】
本発明は、スリーブ継手等の機械式継手を有するRC軸部材に於ける補強筋の配置方法について種々実験を重ねた結果、補強筋を部材全長にわたり均等間隔に配置することなく、同量の補強筋に於いてスリーブ継手の端部となる主鉄筋側に集約配置すること等により、従来の全量均等間隔配置の場合以上の補強効果が得られることを見い出した。
更に、RC軸部材に於いて、補強筋を主鉄筋群外周に配置すること及びその一部を埋設継手群付近に集約配置することにより、所定の効果が得られることを見い出した。本発明は、上記考えに基づいてなされたものである。
【0011】
【問題を解決するための手段】
本発明は、鉄筋コンクリート柱と梁部材の接合部の補強構造であって、梁の主筋を柱との接合部内で一体化する仕口部に於いて、該主筋の先端部に固定された定着金物の内側部分に、せん断補強筋を集中配置した鉄筋コンクリート柱と梁部材の接合部の補強構造を特徴とする。
【0013】
更に、上記接合部を左右両方向側からの梁と柱とよりなる仕口部とした鉄筋コンクリート柱と梁部材の接合部の補強構造を特徴とする。
【0014】
また、上記接合部を片方向側からの梁と柱とよりなる仕口部とした鉄筋コンクリート柱と梁部材の接合部の補強構造を特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の鉄筋コンクリート柱又は梁部材の補強構造及びその接合部の補強構造について詳述する。
【実施態様1】
この実施態様では、鉄筋コンクリート柱又は梁部材のRC軸部材途中に、付着力の期待できないスリーブ継手がある場合の実施例を示している。
本実施例では、本発明の補強構造を従来例と比較しながら、その有効性について説明する。
【0016】
RC軸部材1に於いて、部材端部の曲げせん断ひび割れにより、テンションシフトが起こり、更に継手部に付着力が期待できないと、上端主筋2の引張力は図1(a)のように変化し、定着長さが短くなる。
スリーブ継手3に於いては主筋2の径に比較してスリーブ径が太くなるので、図2のようにスリーブ継手3の小口面でコンクリート5からの反力が得られ、スリーブ継手3両端の主筋2の引張力に差(T1ーT2)が生じてもよいことになる。部材端部では、曲げひび割れのためにR1の反力は得られないので、R2からの反力の鉛直成分に釣り合う力が必要となる。せん断補強筋6がこの力を負担すればよいが、量的に不十分で、上記スリーブ継手3の両端部に位置する主筋2の基端部にせん断補強筋を集中配置することによりスリーブ継手3の両端に於ける主筋2の引張力の差(T1ーT2)に見合う大きな引張力を負担できることになる。
【0017】
継手区間の付着力に相当する引張力の差(T1ーT2)を、集約せん断補強筋7により生じさせれば、図3に示すように、見かけ上、継手区間も含めて定着長さを算定することが可能となる。
上記補強筋の材料としては、主として鉄筋が用いられるが鉄筋に限らず平帯鋼、線材等も使用される。補強材の配置態様としては、通常、主筋群外周にこれに接し、これを螺旋状に囲繞する態様、主筋群外周に接する大きさの輪状に成形した補強材リングを間隔を置いて多数段状に配置する態様、4枚程度の板材を互いにその端で連結して閉環を形成したものを段状に配置する態様等の各種態様がとられている。
【0018】
図4に示すものは、RC軸部材1の試験体8を示している。
図4(a)は、比較用の基準試験体8で、RC軸部材1にスリーブ継手3の無い通常のRC軸部材1の試験体8で、付着割裂破壊が先行するように設計している。
図4(b)は、上記図1の部材に相当するもので、RC軸部材1に端部からおよそ有効せいと同じだけ離れた位置に、主筋2の連結手段としてモルタル充填式のスリーブ継手3を設けたもので、他の条件は同図(a)の基準試験体8と同一である。
図4(c)は、図3の部材の状態となることを意図した試験体8で、RC軸部材1のスリーブ継手3の両端部に位置する主筋2の基端部に集約せん断補強筋7を配設したものである。丸鋼のφ16を2本束ねて集約せん断補強筋7としている。
【0019】
図5は、本実施例の継手に使用したスリーブ継手3の長手方向の断面形状を示している。主筋径φ19用のものを連結する継手で、外径40mm、長さ260mmの筒形状のものを示している。筒状体の空間部9は、その内壁にモルタル等の注入材との付着力を高めるために適宜凹凸部10が形成されている。
空間部の両端は、解放された開口部11とされ、当該開口部11から上記主筋2を挿入し、その先端は長手方向の略中央部に至ることになる。該開口部11の端部と主筋2との隙間には、シール材12が配設される。該スリーブ継手3の周壁部13には、上記挿入された主筋2を押さえる固定ボルト14を挿入するための孔15と、該空間部9に流動性モルタル等を注入するグラウト注入孔16及び、該注入材を充填したときに押し出されてくる空気の逃げ道及び注入材が充填されたことを確認することが可能なグラウト排出孔17とが形成されている。該固定ボルト14による圧接固定及びグラウト注入孔16からのモルタル等の充填材の注入により、主筋2を固定することが可能となる。
上記試験体8では、スリーブ継手3の付着力をなくすため、グラウト注入孔16やグラウト排出孔17等の突出部を削り取り、表面にパラフィンワックスを塗布した後、ビニールテープを巻き付けている。
【0020】
図6は、加力装置18を示している。試験部分が逆対称モーメント状態となるように、連続梁形式で、部材角で制御し、変形漸増の正負繰り返し載荷試験を行った。主筋2、せん断補強筋6及び集約せん断補強筋7のひずみは、ひずみゲージで測定した。
図7は、各試験体8を上記加力装置18による載荷試験の結果を測定した主筋2のひずみ分布を示している。上記試験体8は全て付着割裂破壊したため、主筋2は降伏していない。従って、ひずみ分布は、引張力分布と同一形となる。主筋2の降伏以前でもあり、どの試験体8の端部区間でも完全なテンションシフトは起こっていない。曲げ及び曲げせん断ひび割れは生じているが、ひび割れ間の付着があるので、図8のように、端部のせん断補強筋6の引張力が主筋2の引張力と釣り合えば、主筋2の左右で引張力の差が生じても良いことになる。
【0021】
図9は、図8の△T・j=Σaw・σwi・(ixーx/2)となる釣り合い式の左辺と右辺をひずみ測定結果に基づいて、図4(a)の試験体8について示したもので、ほぼ図8の釣り合い状態を示している。
【0022】
図7(b)は、付着力を無くしたスリーブ継手3を配置し、集約せん断補強筋7を配置しなかったものの下端主鉄筋2のひずみ分布を示し、スリーブ継手3の両端部のひずみがほぼ同じとなり、図1に示した継手部の付着力が無い場合の主筋引張力分布を示している。これに対して図7(c)は、集約せん断補強筋7を配置したもので、スリーブ継手3の両端部にひずみ差が生じ、図7(a)のスリーブ継手3のない試験体8と同様の分布形で、図3に示した集約せん断補強筋7を配置した場合の主筋引張力分布を示している。
【0023】
図10は、図3に示した力の釣り合い状態を拡大した図である。A点とB点との引張力の差(△T)、集約せん断補強筋7の引張力(TISR)及びコンクリートストラットの圧縮力(C)が釣り合うものとすれば、コンクリートストラットの角度をφとすると、上記TISRと△Tの比はtanφとなる。
図11は、図4(c)に示した試験体8について、上記△Tを継手両端部の主筋ひずみ測定値の差から計算し、TISRを集約せん断補強筋7のひずみ測定値から計算したものをグラフとして示したものである。図中の斜線部分は、コンクリートストラットの方向が、部材端部の圧縮主筋位置を向いているとした場合のTISRと△Tの比を表すものである。
この実験結果は、ほぼこの線に近く、TISRに集約せん断補強筋7近傍のせん断補強筋6の引張力を加えれば、さらにこの線に近づくことから、図10に示す釣り合いが生じていることがわかる。
【0024】
スリーブ継手3両端部の設計上意図する引張力(△T)を求めれば、図10に示した釣り合いより、これに釣り合う集約せん断補強筋量を算定することができる。図12の主筋引張力分布を保証するためには、
TISR=△T・tanφ
△T =2σy・ar・ls/(lーd)
aISR;集約せん断補強筋の断面積
σISR;集約せん断補強筋に許容する応力度
とすると
aISR=2σy・ar・ls・tanφ/(lーd)/σISR
となる。
【0025】
上記△Tの反力としては、コンクリート圧縮ストラットの水平分力を期待し、その強度に依存する。△Tの反力をコンクリートの支圧力に期待するとすれば、
△T≦ALC・fLC
ALC;スリーブ端部の支圧面積
fLC;支圧強度
となり、上記fLCを、PC規準を参考に最大2.0Fc(Fc;コンクリートの設計基準強度)程度期待できると考えると、
TISR≦ALC・2.0Fc・tanφ
aISR≦ALC・fLC・tanφ/σISR
となる。
上記式より、集約せん断補強筋量の上限値を求めることができることになる。
【0026】
他方、図10に示す力の釣り合いが確保できても、集約せん断補強筋7を高強度化して断面積を小さくできるという保証にはならない。それは、集約せん断補強筋7の伸びが大きくなり、図10に示すメカニズムが保証されない可能性が高くなるからである。
【0027】
図13は、図4(a)〜(c)に示した試験体8と、該試験体8の最大耐力時のひび割れ状況を示した図である。試験体8の最終破壊モードは付着割裂破壊であるが、集約せん断補強筋7を配置したものは、主筋2に沿うひび割れが少ないことがわかる。最大せん断力も10%程度大きくなった。
集約せん断補強筋7を配置することは、付着割裂耐力を大きくする効果があることが認められた。
【0028】
図14は、上記同様、図4(a)〜(c)に示した試験体8のせん断力相対変位曲線を示している。図14(b)に示すように、スリーブ継手3に付着力がなくとも、せん断力には殆ど差異はなかった。また、図14(c)に示すように、集約せん断補強筋7がある場合は、せん断力が高くなった。
【0029】
【実施態様2】
部材端部に継手がある場合には、上記実施例1と同様、部材端部のd(有効せい)の範囲に納まっていれば、付着設計上問題はない。継手の両端部に集約せん断補強筋7を配置することで、この集約せん断補強筋7が大きな引張力を負担し、スリーブ継手3部も含めて主筋2をコアコンクリートに押しつける力が大きくなり、摩擦力も増大し、付着割裂強度が大きくなる。
【0030】
【実施態様3】
図15は、梁19、20の梁主筋を柱21との接合部内で継ぐ仕口部での実施例を示している。
左側の梁19に配筋された梁主筋2と右側の梁20に配筋された梁主筋2とを柱21の上部に於いて、スリーブ継手3を介して継いでいる状態を示している。
スリーブ継手3の長さに比較して接合部幅が十分であれば、上記で説明した考え方が適用できることになる。
接合部内では、圧縮ストラットの角度が大きくなり易いので、集約せん断補強筋量は多くなる。しかし、柱主筋が集約せん断補強筋7に替わって引張力を負担できれば、集約せん断補強筋7が全ての引張力を負担する必要はない。接合部内は複雑であるが、上記考え方を適用することができる。
【0031】
【実施態様4】
図16は、梁22の梁主筋25を柱23の接合部内で一体化する仕口部での連結状態の他の実施例を示し、定着金物の内側部分に集約せん断補強筋7を配設した例を示している。
定着プレート24を先端に螺合したネジ節鉄筋を定着筋25とし、これを定着する部材内に所定の長さをのみ込ませ、定着プレート24の支圧強度と定着筋25の付着強度によって定着するものである。
鉄筋コンクリート梁部材の定着筋25の上記定着プレート24の内側に集約せん断補強筋7を配設する。
図16(a)、(b)は、片方側のみの梁22と柱23との接合部を示し、梁22から延出した定着筋25は、柱23の主筋間より柱の上部へ挿入され、その先端部は、定着プレート24により定着される。該定着プレート24の内側には、集約せん断補強筋7が配設され、上記同様、集約せん断補強筋7が引張力を負担することが可能となる。
【0032】
図16(c)は、左右の梁26、27と柱28との接合部を示し、左右の梁26、27から延出した定着筋25は、各々柱28の主筋間より柱上部へ挿入され、その先端部は、定着プレート24により定着される。該定着プレート24の内側には、各々集約せん断補強筋7が配設され、上記同様、集約せん断補強筋7が引張力を負担することが可能となる。
以上鉄筋同士の接合にスリーブ継手(スリーブ充填法、スリーブ圧着法、スリーブねじ締め付け法)を使用した実施例で説明したが、上記スリーブ継手は、機械式継手の一手段にすぎず、他の機械式継手もある。例えば、カプラーとねじ付き鉄筋により鉄筋相互を連結する継手である。従って、上記実施例ではスリーブ継手に沿って説明したが、本願発明の対象となるのはスリーブ継手に限定されるものではなく、他の機械式継手も上記実施例同様の効果を奏するものであり、本発明の対象の範囲内のものである。
【0033】
【発明の効果】
本発明の鉄筋コンクリート柱又は梁部材の補強構造及びその接合部の補強構造は、上記実施態様に示した構成により、従来のRC軸部材と比較して、以下の利点を有する。
【0034】
(1)所定量の補強材を配置する作業が、一部集中配置となったため、その分、作業が容易に遂行できるようになった。
(2)集約せん断補強筋の所定位置への配置により、主筋群外周に配置した補強材量を同−条件としたとき、部材の継手埋設部位のせん断補強及びRC軸部材の接合部でのせん断補強等の補強効果を一層増大することができる。
【0035】
(3)従来、スリーブ継手部分は、主筋径より太くなり、更に当該箇所の外側に補強筋を配設することになるので、コンクリートの被り厚等の関係上、部材断面が大きくなり、当該部材に使用するコンクリート使用量も多くなる。これに対し、本発明は、補強筋の配置をスリーブ継手の部材周囲に配設するのを止めて、スリーブ継手の端部となる主鉄筋側に集約配置したので、同一量の補強筋で、部材断面を大きくする必要がなく、部材断面が大きくなることに伴う直接的および間接的不利益が改善される。
(4)補強材によるせん断補強等の補強効果は従来のもの以上となった。
【0036】
(5)スリーブ継手部に付着力が無い場合でも、継手両端部に配置した集約せん断補強筋がその付着力を補うことができることとなった。
(6)定着プレートと集約せん断補強筋との組み合わせによってもせん断力に対して有効であることがわかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)主筋引張力分布図。
(b)スリーブ継手を配置したRC軸部材の側断面図。
【図2】スリーブ継手部の釣り合い関係を示す側面図。
【図3】スリーブ継手と集約せん断補強筋とを配置したRC軸部材の側断面図。
【図4】(a)基準試験体の側断面図。
(b)スリーブ継手部を設けた試験体の側断面図。
(c)スリーブ継手部と集約せん断補強筋とを設けた試験体の側断面図。
【図5】スリーブ継手の側断面図。
【図6】加力装置の側面図。
【図7】主筋のひずみ分布図。
【図8】釣り合い式の説明図。
【図9】試験体(a)における主筋のひずみ測定の分布図。
【図10】スリーブ継手部と集約せん断補強筋の位置での釣り合い関係を示す説明図。
【図11】試験体(c)における主筋のひずみ測定の分布図。
【図12】集約せん断補強筋量決定の説明図。
【図13】試験体のひび割れ状況を示した側面図。
【図14】試験体のせん断力相対変位曲線を示す図。
【図15】梁と梁との接合部の実施例の側面図。
【図16】(a)梁と柱との接合部の他の実施例の側面図。
(b)梁と柱との接合部の他の実施例の平面図。
(c)梁と柱との接合部の他の実施例の平面図。
【符号の説明】
1・・RC軸部材
2・・主筋
3・・スリーブ継手
4・・補強筋
5・・コンクリート
6・・せん断補強筋
7・・集約せん断補強筋
8・・試験体
9・・空間部
10・・凹凸部
11・・開口部
12・・シール材
13・・周壁部
14・・固定ボルト
15・・孔
16・・グラウト注入孔
17・・グラウト排出孔
18・・加力装置
19、20・・梁
21・・柱
22・・梁
23・・柱
24・・定着プレート
25・・定着筋
26、27・・梁
28・・柱
Claims (3)
- 梁の主筋を柱との接合部内で一体化する仕口部に於いて、該主筋の先端部に固定された定着金物の内側部分にせん断補強筋を集中配置したことを特徴とする鉄筋コンクリート柱と梁部材の接合部の補強構造。
- 接合部を左右両方向側からの梁と柱とよりなる仕口部としたことを特徴とする請求項1に記載の鉄筋コンクリート柱と梁部材の接合部の補強構造。
- 接合部を片方向側からの梁と柱とよりなる仕口部としたことを特徴とする請求項1に記載の鉄筋コンクリート柱と梁部材の接合部の補強構造。
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