JP2963816B2 - 廃水処理用触媒、その製造方法、および、その触媒を用いた廃水の処理方法 - Google Patents

廃水処理用触媒、その製造方法、および、その触媒を用いた廃水の処理方法

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JP2963816B2
JP2963816B2 JP4120880A JP12088092A JP2963816B2 JP 2963816 B2 JP2963816 B2 JP 2963816B2 JP 4120880 A JP4120880 A JP 4120880A JP 12088092 A JP12088092 A JP 12088092A JP 2963816 B2 JP2963816 B2 JP 2963816B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、有機物および/また
は無機物を含む廃水の湿式酸化処理に用いられ、それら
を分解するための触媒、および、その触媒の製造方法に
関し、さらには、廃水を触媒の存在下に湿式酸化処理す
る方法に関する。
【0002】
【従来の技術】廃水の処理方法には、活性汚泥法と呼ば
れる生物化学的方法とチンマーマン法と呼ばれる湿式酸
化処理が知られている。活性汚泥法は、有機物の分解に
長時間を要し、しかも藻類、バクテリアの生育に適した
濃度に廃水を希釈することが必要であるため、処理施設
の設置面積が広大になる欠点がある。
【0003】チンマーマン法は、高温、高圧下で廃水を
酸素ガスの存在下で処理し、廃水中の有機物を分解させ
る方法である。この方法において、反応速度を早めるこ
とを目的として各種の酸化触媒を使用する方法が提案さ
れている。ここで使用される酸化触媒は、パラジウム、
白金等の貴金属化合物をアルミナ、シリカ、シリカゲ
ル、活性炭等の担体に担持した触媒である。
【0004】一般に、処理しようとする廃水に含有され
る成分の種類が常に同じであることはまれであり、たと
えば、窒素や硫黄やハロゲンを含まない有機物以外に窒
素含有化合物、硫黄含有化合物、有機ハロゲン化合物な
どが廃水に含まれている場合も多く生じる。しかしなが
ら、上に挙げた方法では、アミン化合物、アミド化合
物、アミノ酸化合物等の窒素含有化合物を含む廃水の処
理に関しては、処理効率が十分満足できるものではな
い。また、上記従来の触媒系は、耐久性に劣り、実用的
でない。
【0005】アミン含有廃水は、通常、アニオン性高分
子凝集剤を用いた凝集処理方法で処理されている。この
方法は、アニオン性高分子凝集剤によりアミンを凝集さ
せ、生成した沈殿(またはスラッジ)を廃水から除去す
るものである。また、活性炭、活性白土、シリカゲル、
複合酸化物ゲル等の各種吸着剤に廃水を接触させ、アミ
ンを吸着剤に吸着させて廃水から除去する吸着剤法が試
みられている。
【0006】一方、従来、硫黄を含む化合物を含有する
廃水の処理は、硫黄化合物の形態によって、それぞれ異
なった方法で行われている。例えば、有機硫黄化合物を
含む廃水の場合は、一般に生物処理が多く行われている
が、チオフェン等の汚泥中の生物に対して悪影響を及ぼ
す化合物が含有されている場合には、生物処理法は適用
できず、燃焼処理などを行うこととなる。
【0007】また、製紙、パルプ製造工場の木材蒸解廃
水、鉄鋼業のコークス炉廃水、繊維洗浄廃水、エチレ
ン、BTX等の石油化学製品製造プラント廃水、石炭ガ
ス化工場、石油精製工場、レーヨン製造工場、染色整理
工場等の廃水のように、硫化ソーダ等の硫化物を含有す
る廃水の処理は、該廃水中に塩化鉄を加えて硫化鉄とし
て硫黄イオンを固定化した後、固液分離によって硫化鉄
を除去し、一方、分離液はpH調整された後、生物処理
をして放流するという方法が多く用いられている。ま
た、パルプ製造工場の木釜廃水、写真現像廃水、金属処
理廃水、亜硫酸ガス吸収アルカリ廃水等のように、亜硫
酸塩やチオ硫酸塩を含有する廃水の処理に関しては、中
和沈澱処理を行った後、生物処理を行って放流すること
が一般的である。
【0008】さらに、有機ハロゲン化合物についてみる
と、有機ハロゲン化合物は、その安定性から、従来、様
々な用途に用いられてきた。これらは不燃性で脱脂力が
大きいことより、金属、機械、電子工業での脱脂洗浄
剤、ドライクリーニング用洗浄剤として大量に使用され
ている。しかしその反面、これらの物質は様々なところ
で問題を引き起こしている。一般的に有機ハロゲン化合
物は難分解性のため、環境への蓄積が進み、全国各地で
の地下水汚染が顕在化してきている。また、有機ハロゲ
ン化合物の一部は人体に対して発ガン性を有することが
判明し、例えば、トリクロロエチレン、テトラクロロエ
チレン、1,1,1-トリクロロエタンなどは人への健康影響
への懸念から平成元年度には水質汚濁防止法による規制
対象項目となっている。
【0009】これらの有機ハロゲン化合物の処理につい
ては、様々な方法が提案、若しくは使用されているが、
これらを大別すると非分解的方法と分解的方法に大別さ
れる。非分解的方法に関しては、充填塔ストリッピン
グ、曝気、加熱などによる揮散法や、活性炭や高分子に
よる吸着法が挙げられるが、揮散法に関しては、操作自
体は非常に簡便でコスト的にも低いが、液中の有機ハロ
ゲン化合物が大気中に放散されるのみで、根本的な有機
ハロゲン化合物の環境汚染の解決にはなっていない。吸
着法に関しても、吸着後の回収工程や吸着剤の処理工程
などの二次処理が必要となる。
【0010】また、分解的方法に関しては、照射法、微
生物分解法、酸化還元法などが挙げられるが、半導体を
触媒として用いた光分解法や放射線を用いた放射線照射
法に代表される照射法は未だ実験段階であり、実用化に
は至っていない。微生物分解法は、処理時間が長いこと
および処理効率が不安定なことから、実用化については
問題視されている。酸化還元法についてはオゾンや過酸
化水素などの酸化剤を用いる方法や鉄による還元分解な
どの方法が試みられている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前述の凝集
処理方法により生成したスラッジは、アミンを含んでい
るのでそのまま廃棄できない。このため、スラッジ中の
アミンを分解するための処理が必要になる。その上、高
分子凝集剤は高価であり、処理のためのコストが大きく
なる。
【0012】吸着剤法によれば、アミンの除去率が十分
満足できるものではなく、吸着剤の吸着能力が低下しや
すいので吸着剤の耐久性にも問題がある。また、硫黄を
含む化合物を含有する廃水の処理を生物処理法および/
または燃焼処理法によって行うに際しては、下記のよう
な問題点がある。生物処理を行う方法では、生物に対し
て悪影響を及ぼさないように廃水原液を水で希釈する等
の調整をする必要がある。このため、処理廃水量も多く
なり、生物処理設備も大きくしなければならないためコ
スト面等に問題点がある。
【0013】また、燃焼処理法では、廃水の発熱量が、
低い場合には、補助燃料を投入する必要があり、また、
多量の硫黄を含むために、硫黄酸化物が多量に発生し、
脱硫装置を設ける必要がある。次に、硫化物のような硫
黄を含む化合物を含有する廃水の処理に際して、塩化鉄
を加えて硫化鉄として除去する方法には、硫化鉄を主成
分とする汚泥が発生し、また処理プロセスとしても薬液
注入、固液分離、pH調整、生物処理と煩雑である。
【0014】廃水中に有機ハロゲン化合物が高濃度で存
在する場合には、前述の非分解的方法および分解的方
法、いずれの場合についても効率的に処理する方法が発
明されていない。揮散法では大気中に大量の有機ハロゲ
ン化合物が放出されることになり、根本的な解決方法に
はなっておらず、吸着法では高濃度の場合に破過時間が
短くなって実用的ではない。分解法に関しても高効率で
分解するのは実用化には至っておらず、また有害な分解
生成物が二次的に発生するという問題点もあり、実用的
・根本的な除去方法が開発されていないのが現状であ
る。
【0015】そこで、この発明は、窒素や硫黄やハロゲ
ンを含まない有機物を分解するだけでなく、窒素含有化
合物や硫黄含有化合物や有機ハロゲン化合物をも効果的
に分解して、長期にわたって効率良く廃水処理を行うこ
とができる廃水処理用触媒を提供することを第1の課題
とし、そのような廃水処理用触媒を効率良く製造できる
製造方法を提供することを第2の課題とする。さらに、
この発明は、廃水が窒素含有化合物、硫黄含有化合物や
有機ハロゲン化合物を含む含まないに関わらず廃水を効
率良く長期にわたって処理する方法を提供することを第
3の課題とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記第1の課題を解決す
るために、この発明は、A成分として鉄とチタン、ケ
イ素およびジルコニウムよりなる群から選ばれる少なく
とも1種の元素とを含む酸化物、B成分としてコバ
ルト、ニッケル、セリウム、銀、金、白金、パラジウ
ム、ロジウム、ルテニウムおよびイリジウムよりなる群
から選ばれる少なくとも1種の元素を含有させてなる
水処理用触媒を提供する。
【0017】上記第2の課題を解決するために、この発
明は、鉄と、チタン、ケイ素およびジルコニウムよりな
る群から選ばれる少なくとも1種の元素とを含む共沈物
を得、この共沈物を焼成することにより鉄とチタン、ケ
イ素およびジルコニウムよりなる群から選ばれる少なく
とも1種の元素とを含む酸化物を得、この酸化物に、コ
バルト、ニッケル、セリウム、銀、金、白金、パラジウ
ム、ロジウム、ルテニウムおよびイリジウムよりなる群
から選ばれる少なくとも1種の元素を含有させる廃水処
理用触媒の製造方法を提供する。
【0018】上記第3の課題を解決するために、この発
明は、廃水が液相を保持する圧力下で酸素ガスの供給下
に固体触媒を用いて廃水を湿式酸化処理する廃水の処理
方法であって、前記固体触媒として、A成分として
とチタン、ケイ素およびジルコニウムよりなる群から選
ばれる少なくとも1種の元素とを含む酸化物、B成分
としてコバルト、ニッケル、セリウム、銀、金、白
金、パラジウム、ロジウム、ルテニウムおよびイリジウ
ムよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含有
させてなる触媒を用いることを特徴とする廃水の処理方
法を提供する。
【0019】この発明の処理対象となる廃水は、種々の
有機物および/または無機物を含有する廃水であり、特
に限定はされないが、窒素を含まない有機物、窒素含有
化合物、硫黄含有化合物、有機ハロゲン化合物などを含
むものである場合、この発明は特に有効である。窒素を
含まない有機物は、たとえば、アルデヒド類;アルコー
ル類;酢酸、ギ酸などの低級有機酸類などである。窒素
含有化合物は、たとえば、アミン化合物、アミド化合
物、アミノ酸化合物である。
【0020】アミン化合物とは、分子内にアミノ基を有
する化合物であれば、第1アミン、第2アミン、第3ア
ミン、第4級アンモニウム塩のいずれであってもよい。
具体的には、たとえば、メチルアミン、ジメチルアミ
ン、トリメチルアミン、プロピルアミン等のアルキルア
ミン類;エチレンジアミン、トリメチレンジアミン等の
アルキレンジアミン類;エタノールアミン、トリエタノ
ールアミン等のアルカノールアミン類といった脂肪族ア
ミン、ならびに、アニリン等の芳香族アミン、ピリジ
ン、ピコリン等の含窒素複素環化合物等が例示される。
【0021】アミド化合物とは、分子内にアミノ基と酸
基が結合した基(RCONH−)を持つ化合物である。
具体的には、たとえば、ホルムアミド、メチルホルムア
ミド、アセトアミド、エチルホルムアミド、メチルプロ
ピオンアミド、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルム
アミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリンな
どが例示される。
【0022】アミノ酸化合物とは、分子内にカルボキシ
ル基とアミノ基とを有する化合物であって、α−アミノ
酸、β−アミノ酸、γ−アミノ酸などと称されている。
具体的には、たとえば、グリシン、アラニン、バリン、
ロイシン、セリン、システイン、アスパラギン酸、グル
タミン酸、リジン、アルギニンなどの脂肪族アミノ酸;
フェニルアラニン、チロシンなどの芳香族核を持つアミ
ノ酸;ヒスチジン、トリプトファン、プロリンなどの複
素環を持つアミノ酸などが例示される。
【0023】ただし、この発明における窒素含有化合物
とは、上記の例だけに限定されるものではない。窒素含
有化合物は、水に溶解している必要はなく、浮遊懸濁状
態などの状態であってもこの発明の触媒および処理方法
で分解されうる。廃水中の窒素含有化合物は、単一化合
物で存在しても、また、複数種で混在してもよい。この
発明が適用できる廃水中の窒素含有化合物の濃度は、特
に限定されるわけではないが、通常、10〜100,0
00mg/リットルの範囲内である。
【0024】この発明における硫黄を含む化合物とは、
硫黄原子を少なくとも1つ含む硫酸(SO4 2-)以外の
無機あるいは有機の化合物であり、たとえば、硫化水
素、硫化ソーダ、硫化カリ、水硫化ソーダ、多硫化ソー
ダ等の硫化物;チオ硫酸ソーダ、チオ硫酸カリ等のチオ
硫酸類およびその塩類;亜硫酸ソーダなどの亜硫酸類お
よびその塩類;三チオン酸ソーダ等の三チオン酸、四チ
オン酸およびその塩類;エチルメカプタン、チオフェノ
ール、3、4ーメルカプトトルエン、ジメルカプロー
ル、システイン等のチオール類;ジエチルチオアセター
ル、1ーエトキシー1ー(メチルチオ)シクロペンタン
等のチオアセタール類;チオ亜硫酸メチル、チオ亜硫酸
エチル等のチオ亜硫酸類;硫化エチル、1ー(メチルチ
オ)プロパン、メチオニン等のスルフィド類;4Hーチ
イン等のチイン類;トリチオ炭酸、ジチオ炭酸Sーメチ
ルナトリウム、トリチオ炭酸ジエチル、ジチオ炭酸O−
エチルカリウム、チオ炭酸水素S−メチル等のチオ炭酸
類およびその誘導体類;チオ硫酸ナトリウム、ヘキサン
チオ酸、1−ピペリジンカルボジチオ酸、ヘキサンジチ
オ酸、O−チオ酢酸、S−チオ酢酸、ジチオ安息香酸、ジ
チオ酢酸ナトリウム、ヘキサンチオ酸S−エチル、ヘキ
サンチオ酸O−エチル、塩化ヘキサンチオイル、2−チ
オフェンカルボチオアミド、二安息香酸チオ無水物、ジ
(チオ安息香酸)無水物等のチオ酸類およびその誘導体
類;ロダン、チオシアン酸、チオシアン酸カリウム、チ
オシアン酸アンモニウム等のチオシアン、チオシアン酸
類およびその塩類;チオシアン酸メチル、チオシアン酸
エチル、チオシアン酸アリル等のチオシアン酸エステル
類;1−チオグルコース、S−メチル−5−チオ−D−
リボース等のチオ糖類;フッ化トリチアジル等のチアジ
ル化合物類;1,2−チアジン、1,3−チアジン、メ
チレンブルー等のチアジン類;1,3,4−チアジアゾ
ール、1,3−チアゾール、チオフラビン、プリムリン
等のチアゾール類;チオカルバミド、チオセミカルバジ
ド、ジチゾン等のチオカルバミド類;α−チオピラン、
γ−チオピラン、3−メチル−4H−チオピラン等のチ
オピラン類;チオフェン、メチルチオフェン、チオナフ
テン、チオフテン等のチオフェン類;ジフェニルトリス
ルフィド、ジフェニルジスルフィド、1,4−ビス(メ
チルジチオ)シクロヘキサン等のポリスルフィド類;ヘ
キサンチアール、シクロヘキサンカルボチオアルデヒド
等のチオアルデヒド類;シクロヘキサンチオン、1,3
−ジチオラン−2−チオン、2,4−ペンタンジチオン
等のチオケトン類;塩化チオニル、ジエチルスルホキシ
ド等のスルフィニル類;ヨウ化トリメチルスルホニウム
等のスルホニウム類;塩化スルフリル、スルホニルアミ
ド、ジエチルスルホン、チオフェン1,1−ジオキシド
等のスルホニル類;ドデシルベンゼンスルホン酸、p−
トルエンスルホン酸ナトリウム、ナフタリンスルホン
酸、スルファニル酸、スルホ安息香酸、メチルオレン
ジ、ベンゼンジチオスルホン酸等のスルホン酸類および
その塩類;メタンスルホン酸エチル等のスルホン酸誘導
体類;1−ピペリジンスルフィン酸等のスルフィン酸類
およびその塩類;硫酸ジメチル、硫酸水素メチル等のサ
ルフェート類;フェニルスルファミド酸等のスルファミ
ド酸類およびその誘導体類等が含まれる。これらは、水
性媒体中に可溶であっても、また懸濁物質として存在し
ていても良い。また、硫酸が廃水中に含まれていても処
理には差し支えない。
【0025】この発明における有機ハロゲン化合物と
は、その分子内に少なくとも1個以上のハロゲン原子を
含有する有機化合物であればよく、例えば塩化メチル、
塩化エチル、ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、
テトラクロロエチレン、1,1,1-トリクロロエタン、塩化
ビニル等の脂肪族有機塩素化合物;臭化メチル、臭化エ
チル、臭化ビニル等の脂肪族有機臭素化合物;モノクロ
ロベンゼン、ジクロロベンゼン、塩化ベンジル等の芳香
族有機塩素化合物;臭化ベンジル、臭化ベンジリデン等
の芳香族有機臭素化合物;およびトリクロロフルオロメ
タン、ジクロロフルオロメタン等のフロンが例示される
が、これらの有機ハロゲン化合物に限定されるものでは
ない。
【0026】以下に、この発明にかかる廃水処理用触媒
について詳しく説明する。この発明の廃水処理用触媒の
特徴は、触媒A成分として、鉄(以下、成分(i)と言
う。)と、チタン、ケイ素およびジルコニウムよりなる
群から選ばれる少なくとも1種の元素(以下、成分(i
i)と言う。)とを含む酸化物を用いている点である。
触媒A成分は、たとえば、成分(i)の酸化物粉末と成
分(ii)の酸化物粉末の混合物である。好ましくは、成
分(i)と(ii)のうちの一方の元素を含む溶液から得
られる沈殿物と、それらの他方の元素を含む難溶性塩
(その他方の元素を含む水溶性塩から得られる沈殿物ま
たはその他方の元素を含む酸化物であることができる)
とをよく混合し、その混合物を焼成して得られた酸化物
を触媒A成分として用いる。この混合物の焼成物は、成
分(i)と成分(ii)が前記酸化物粉末同士の混合物よ
りも緊密に混合された形で酸化物を形成したものであ
る。さらに好ましくは、成分(i)と成分(ii)の元素
を含む溶液から得られる共沈物を焼成した酸化物を触媒
A成分として用いる。この共沈物の焼成物は、成分
(i)の酸化物と成分(ii)の酸化物を単に混合したも
のではなく、成分(i)と(ii)が緊密に混合された形
で酸化物を形成したものであり、構成する各成分単独の
酸化物には見られない特異な物性が発現するものと認め
られる。
【0027】この発明の触媒では、A成分としての上述
の酸化物に、触媒B成分としてコバルト、ニッケル、
セリウム、銀、金、白金、パラジウム、ロジウム、ルテ
ニウムおよびイリジウムよりなる群から選ばれる少なく
とも1種の元素を含有させている。この発明の触媒で
は、各触媒成分の比率は、触媒A成分が90〜99.9
5重量%、触媒B成分が金属または化合物の形で0.0
5〜10重量%の範囲が適当である。触媒B成分が上記
範囲外では酸化活性が不充分であるおそれがあり、ま
た、触媒A成分が上記範囲外では耐熱水性および耐酸性
に劣ることがあり、触媒寿命の点で好ましくない。な
お、触媒A成分中、成分(i)が酸化物として4.95
〜95重量%および成分(ii)が酸化物として4.95
〜95重量%(ただし、成分(i)と成分(ii)の合計
は90〜99.95重量%である)であることが好まし
い。この範囲を外れると耐熱水性および耐酸性に劣るこ
とがあり、触媒寿命の点で好ましくない。
【0028】この発明の触媒の形状としては、特に限定
はされず、たとえば、ペレット状、粒状、球状もしくは
リング状のもの、または、ハニカムなどの一体構造体
等、種々のものを用いることができる。懸濁物を含む廃
水を扱う場合には、固形物や沈殿等により触媒層での閉
塞が起こる可能性があるため、ハニカム状のものが特に
好ましい。
【0029】粒状の触媒としては、平均粒径1〜10m
m、好ましくは2〜7mmである。平均粒径が1mm未
満であると圧力損失が増加し、また10mmよりも大き
い場合には充分な幾何学的表面積をとれず、充分な処理
能力が得られなくなり、好ましくない。BET法比表面
積は5〜200m2/g、好ましくは10〜80m2/g
で、5m2/g未満の場合には被処理分子と触媒との接
触効率が低下し、また200m2/gよりも大きい場合
には固体触媒の機械的強度が弱くなるので好ましくな
い。ペレット状の触媒としては、平均径が1〜10m
m、好ましくは3〜8mmで、長さ2〜15mm、好ま
しくは3〜10mmである。平均径が1mm未満、また
は長さが2mm未満であると圧力損失が増大する恐れが
あり、また平均径が10mmよりも大きいもしくは長さ
が15mmよりも大きい場合には充分な幾何学的表面積
がとれず、接触効率が低下し、充分な処理能力が得られ
なくなるおそれがあるため、好ましくない。ペレット状
触媒のBET法比表面積は粒状の場合と同様の範囲内に
あるものが好ましい。ハニカム状触媒の形状としては、
貫通孔の相当直径が2〜20mm,セル肉厚が0.1〜
3mmおよび開孔率が50〜90%の範囲が好ましい。
更に、相当直径が2.5〜15mm、セル肉厚が0.5
〜3mmおよび開孔率が50〜90%の範囲内にあるこ
とが特に好ましい。相当直径が2mm未満である場合に
は圧力損失が大きく、また相当直径が20mmを越える
場合には、圧力損失は小さくなるが、接触率が低下して
触媒活性が低くなる。セル肉厚が0.1mm未満の場合
には圧力損失が小さくなり、触媒を軽量化できるという
利点があるが、触媒の機械的強度が低下することがあ
る。セル肉厚が3mmを越える場合には機械的強度は充
分であるが、圧力損失が大きくなることがある。開孔率
についても上記と同様の理由から50〜90%が好まし
い。
【0030】次に、この発明にかかる、廃水処理用触媒
の製造方法について説明する。触媒A成分は、共沈を利
用して作るのが好ましいが、他の製造方法により複合酸
化物などとして形成してもよい。触媒A成分を共沈法で
調製する方法をA成分がTiO2 −Fe2 3 化合物
(TiO2 とFe2 3 が上述のように緊密に混合され
た形で酸化物を形成したもの。以下同様)である場合を
例にとり、以下に説明する。
【0031】硫酸チタンと硝酸鉄を水に溶解させて十分
混合したのち、アンモニア水を添加して沈殿を生成させ
る。この沈殿をろ別して洗浄し、乾燥後、300〜75
0℃の温度で焼成する。この方法は、具体的にはたとえ
ば以下のごとく実施される。すなわち、上記チタン源お
よび鉄源の化合物をTiO2 とFe2 3 の重量比が所
定量になるようにとり、酸性の水溶液状態でチタンおよ
び鉄を酸化物換算して1〜100g/l の濃度として10
〜100℃に保つ。この溶液を攪拌しながら、この中へ
中和剤としてアンモニア水を滴下し、10分間ないし3
時間、pH2〜10にて、チタンおよび鉄よりなる共沈
化合物(共沈物)を生成させる。生成した共沈物を濾別
し、よく洗浄したのち、80〜140℃で1〜10時間
乾燥し、300〜750℃で1〜10時間焼成してTi
2 −Fe2 3 化合物を得ることができる。
【0032】この発明において、共沈法により触媒A成
分を得るには、成分(i)および(ii)の元素を水に溶
解させる必要がある。成分(i)の元素を水に溶解させ
るには、たとえば、水溶性鉄化合物を水に溶解させれば
よい。成分(ii)の元素を水に溶解させるには、たとえ
ば、これらの元素の水溶性化合物やゾルを水に溶解させ
ればよい。
【0033】水溶性鉄化合物(鉄源)としては、たとえ
ば、硝酸鉄、硫酸鉄、塩化鉄などの無機性の鉄化合物お
よびシュウ酸鉄、クエン酸鉄などの有機性鉄化合物など
の中から選ぶことができる。水溶性チタン化合物または
ゾル(チタン源)としては、たとえば、塩化チタン類、
硫酸チタンなどの無機性チタン化合物およびシュウ酸チ
タン、テトライソプロピルチタネートなどの有機性チタ
ン化合物などの中から選ぶことができる。
【0034】水溶性ケイ素化合物またはゾル(ケイ素
源)としては、たとえば、コロイド状シリカ、水ガラ
ス、四塩化ケイ素などの無機性のケイ素化合物およびテ
トラエチルシリケートなどの有機性ケイ素化合物などの
中から選ぶことができる。水溶性ジルコニウム化合物ま
たはゾル(ジルコニウム源)としては、たとえば、オキ
シ塩化ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、硫酸ジルコニ
ウムなどの無機性ジルコニウム化合物およびシュウ酸ジ
ルコニウムなどの有機性ジルコニウム化合物などの中か
ら選ぶことができる。
【0035】これらの原料中には、微量の不純物、混入
物のあるものもあるが、得られる化合物の物性に大きく
影響を与えるものでない限り、問題とならない。これら
の原料のうち、チタン源、ケイ素源およびジルコニウム
源のうちの少なくとも1種と鉄源を水に溶解し、アンモ
ニア、尿素、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの
塩基を添加してpHを変化させることにより沈殿を生じ
させる。生成した沈殿は、成分(i)と(ii)の元素を
含む共沈物であり、通常、水酸化物である。この沈殿を
乾燥してから、焼成し、酸化物にする。必要に応じて、
得られた酸化物を粉砕し、成型してもよい。この焼成
は、たとえば、300〜750℃で1〜10時間(より
好ましくは2〜6時間)空気流通下で行うことが好まし
い。
【0036】上記の方法で調製されたA成分(たとえば
TiO2 −Fe2 3 化合物)を用いて、たとえば、以
下に示す方法により完成触媒が得られる。一例を示せ
ば、TiO2 −Fe2 3 化合物の粉体に成型助剤を加
え、適量の水を添加しつつ混合、混練した後、成型機で
ペレット状、球状、ハニカム状等の適宜の形状に成形す
る。
【0037】成型物を50〜120℃で乾燥した後、3
00〜750℃、好ましくは350〜700℃で1〜1
0時間、好ましくは2〜6時間空気流通下で焼成して成
型体を得ることができる。得られた成型体に触媒B成分
のそれぞれの金属塩の水溶液を含浸させた後、乾燥し、
焼成することにより、この発明の廃水処理用触媒が得ら
れる。一方、A成分(たとえばTiO2 −Fe2 3
合物の粉体)に上記B成分の金属塩の水溶液を成型助剤
と共に加え、混練し、成型したのち、乾燥し、焼成する
こともできる。その焼成条件は、たとえば、上記成型物
の焼成の場合と同じである。
【0038】なお、B成分の金属塩をA成分の共沈前ま
たは共沈後に添加してもよい。触媒B成分の出発原料と
しては、コバルト、ニッケル、セリウム、銀、金、白
金、パラジウム、ロジウム、ルテニウムおよびイリジウ
ムよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素の、酸
化物、水酸化物、無機酸塩、有機酸塩などが挙げられ、
たとえば、アンモニウム塩、シュウ酸塩、硝酸塩、硫酸
塩、または、ハロゲン化物などから選ばれる。
【0039】B成分の元素は、金属または酸化物、硫化
物等の化合物の状態で担持されている。この発明の廃水
の処理方法を実施するには、たとえば、従来の廃水の処
理方法で通常使用されている単管円筒式湿式酸化反応器
などが用いられ、処理される廃水によっては、多管式湿
式酸化反応器等が用いられる。
【0040】これらの反応器内に、たとえば、従来のや
り方と同様にして、この発明の廃水処理用触媒を配置
し、廃水を湿式酸化処理するのである。つぎに、廃水の
処理条件の一例を説明する。まず、窒素含有化合物を含
む廃水の場合、廃水の処理時の温度は、廃水の液相状態
を保持させるために、臨界温度よりも低い温度に設定す
る必要がある。臨界温度未満の温度で適宜選択し、該温
度において廃水が液相を保持する圧力以上に雰囲気の圧
力を設定するのである。このような圧力は、たとえば、
1〜200kgf/cm2 である。この発明によれば、廃水
処理時の温度は、たとえば、100〜370℃の範囲内
とすることができるが、従来の湿式酸化処理の場合に比
べて50℃程度低い温度に設定することが可能であり、
この温度範囲内で有機物などの二酸化炭素、水などへの
分解、窒素含有化合物中の窒素の窒素ガスへの分解が行
われる。
【0041】廃水の処理のための反応に際しては、酸素
ガスが存在している必要があるが、装置のコンパクト化
等の特殊な場合を除き、価格の安価な空気が好ましい。
酸素ガスの量は、理論酸素量の1〜1.5倍量が好まし
い。なお、廃水中に、廃水の汚濁要因となるその他の有
機物等の酸素消費物質(以下、「TOD成分」と記す)
が存在する場合には、このTOD成分の酸化分解に必要
な理論酸素量も加味される。
【0042】湿式酸化処理時の廃水のpHは、酸性領域
からアルカリ性領域までの間で適宜設定すればよいが、
たとえば、pH1〜14とされる。つぎに、硫黄含有化
合物を含む廃水の場合、湿式酸化反応は、上記触媒の存
在下に350℃以下の温度かつ廃水が液相を保持する圧
力下、好ましくは、180℃未満の温度かつ10kg/
cm2・G未満の圧力下、無機の硫黄を含む化合物が無
機塩、炭酸ガス、水、窒素ガス等に酸化分解されるのに
必要な理論酸素量の1〜5倍量の酸素ガスの存在下実施
される。なお、廃水中に含まれるTOD成分の酸化分解
に必要な理論酸素量も加味して存在させる。該湿式酸化
によって、無機の硫黄化合物を構成している硫黄原子は
硫酸イオンに酸化され無害化されるものと考えられる。
【0043】この発明においては、硫黄を含む化合物を
含有する廃水の処理後のpHは、中性からアルカリ性の
範囲になるように処理前あるいは処理中にアルカリ成分
を供給しpHを調整することが好ましい。これは、硫黄
を含む化合物の固体触媒による酸化反応が特に中性から
アルカリ性で加速されるためでもある。また、硫酸が存
在する酸性条件下における湿式酸化処理では湿式酸化反
応管材質の腐食が激しくなり、装置の耐久性が著しく損
なわれる恐れがあるためでもある。
【0044】最後に、有機ハロゲン化合物を含む廃水の
場合、この発明において、湿式酸化反応は、特定の触媒
の存在下、廃水を100〜370℃の範囲内、かつ該廃
水が液相を保持する圧力下、廃水中に含有される有機ハ
ロゲン化合物が炭酸ガス、水、および溶解塩類や灰分な
どに酸化されるのに必要な理論酸素量以上の酸素ガスの
存在下実施される。なお、この発明によって、有機ハロ
ゲン化合物を処理した場合、該廃水中のハロゲン原子は
ハロゲンイオンとなって無害化される。すなわち、有機
塩素化合物中の塩素原子はCl- に、有機フッ素化合物
中のフッ素原子はF- に、有機臭素化合物中の臭素原子
はBr- となって無害化される。
【0045】この発明において、廃水中にあらかじめ、
湿式酸化処理によって発生するハロゲンイオンと対をな
す陽イオンを発生する化合物を当量もしくはそれ以上に
添加し、塩を形成させることが好ましい。たとえば、ナ
トリウム、カリウムなどのアルカリ金属化合物を添加す
ることが、より好ましい。アルカリ金属化合物を廃水中
に添加することによって、廃水が処理中に酸性条件とな
って、反応管の耐久性を損なうことを防止するだけでな
く、反応速度も促進され、より迅速な処理が可能とな
る。アルカリ金属化合物は、溶解して塩基性になるもの
であればどのようなものを用いてもよく、例えば、水酸
化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、酢酸
ナトリウムなどが挙げられる。酢酸ナトリウムなどの有
機酸を含む塩を廃水中に添加した場合、酢酸イオンも有
機ハロゲン化合物と同様に、二酸化炭素と水に分解され
る。
【0046】この発明における酸素含有ガスは、いずれ
の酸素濃度のものを用いてもよい。酸素含有ガスの酸素
濃度が高いほうが反応速度が促進され、より迅速な処理
が可能となるが、空気によっても充分な処理効率は得ら
れるので、酸素含有ガスの酸素濃度は、コストなどの条
件によって適宜決定すればよい。
【0047】
【作用】この発明にかかる廃水処理用触媒において、B
成分は、コバルト、ニッケル、セリウム、銀、金、白
金、パラジウム、ロジウム、ルテニウムおよびイリジウ
ムよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であ
る。A成分は、鉄と、チタン、ケイ素およびジルコニウ
ムよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素とを含
む酸化物である。この触媒は、廃水の湿式酸化処理の際
に、廃水が窒素含有化合物、硫黄含有化合物、有機ハロ
ゲン化合物を含んでいても、長期にわたって触媒機能が
保持される。
【0048】このような触媒を用いて廃水の湿式酸化処
理を行うことにより、廃水が窒素含有化合物や硫黄含有
化合物や有機ハロゲン化合物を含んでいてもこれを含ま
ないときと同様に長期にわたって効率良く廃水を処理で
きる。しかも、窒素含有化合物中の窒素が窒素ガスにま
で分解されるので、従来法のような後処理が不要にな
る。
【0049】
【実施例】以下に、この発明の具体的な実施例にかかる
触媒調製例と廃水処理例と、比較例にかかる触媒調製例
と廃水処理例を示すが、この発明は下記実施例に限定さ
れない。 −調製例1− チタンおよび鉄からなる化合物を以下に述べる方法で調
製した。チタン源としては下記の組成を有する硫酸水溶
液を用いた。
【0050】 TiOSO4 … 250g/l (TiO2 換算) 全H2 SO4 …1,100g/l 水100リットルに硝酸第二鉄〔Fe(NO3)3 ・9H
2 O〕5.41kgを溶解させ、上記組成の硫酸チタニル
(酸化硫酸チタン)硫酸水溶液5リットルを添加しつつ
よく混合した。これを約30℃の温度に維持しつつよく
攪拌しながらアンモニア水を徐々に滴下し、pHが8に
なるまで加え、さらにそのまま放置して15時間静置し
て沈殿(ゲル)を生成させた。
【0051】このゲルをろ別し、水洗後、120℃で1
0時間乾燥した。次に、空気雰囲気下で700℃で5時
間焼成した。得られた粉体はX線回折分析によればTi
2 とFe2 3 からなっており、その重量比は、蛍光
X線法によりTiO2 :Fe 2 3 =53.9:46.
1であった。ここで得られた粉体を用いて以下に述べる
方法で触媒を調製した。
【0052】水と前記粉体と澱粉を混合し、ニーダーで
よく練り合わせた。この混練物を成型機で粒径5mmφ、
長さ6mmのペレット状に成型し、空気雰囲気下500℃
で3時間焼成した。こうして得られたペレットに硝酸パ
ラジウム水溶液を含浸させ、120℃で6時間乾燥後、
400℃で3時間焼成した。
【0053】得られた完成触媒は、蛍光X線法による分
析で重量比で(TiO2 −Fe2 3 化合物):Pd=
98:2の組成であった。 −調製例2− 水80リットルに硝酸第二鉄〔Fe(NO3)3 ・9H2
O〕6.57kgとオキシ硝酸ジルコニウム(硝酸ジルコ
ニル)〔ZrO(NO3)2 ・2H2 O〕2.17kgを溶
解し混合した。これを約30℃の温度に維持しつつよく
攪拌しながらアンモニア水を徐々に滴下し、pHが8に
なるまで加え、さらにそのまま放置して15時間静置し
て沈殿(ゲル)を生成させた。
【0054】このゲルを濾別し、水洗後、120℃で1
0時間乾燥した。次に、空気雰囲気下で700℃で5時
間焼成した。得られた粉体はX線回折分析によればZr
2 とFe2 3 からなっており、その重量比は、蛍光
X線法によりZrO2 :Fe 2 3 =43.5:56.
5であった。ここで得られた粉体を用いて以下に述べる
方法で触媒を調製した。
【0055】水と前記粉体と澱粉を混合し、ニーダーで
よく練り合わせた。この混練物を成型機で粒径5mmφ、
長さ6mmのペレット状に成型し、空気雰囲気下500℃
で3時間焼成した。こうして得られたペレットに硝酸ル
テニウム水溶液を含浸させ、120℃で6時間乾燥後、
400℃で3時間焼成した。
【0056】得られた完成触媒は、蛍光X線法による分
析で重量比で(ZrO2 −Fe2 3 化合物):Ru=
95:5の組成であった。 −調製例3− 水100リットルに硝酸第二鉄〔Fe(NO3)3 ・9H
2 O〕6.07kgを溶解させ、調製例1で使用した組成
の硫酸チタニル(酸化硫酸チタン)硫酸水溶液4リット
ルとオキシ硝酸ジルコニウム〔ZrO(NO3)2 ・2H
2 O〕1.34kgを溶解し混合した。これを約30℃の
温度に維持しつつよく攪拌しながらアンモニア水を徐々
に滴下し、pHが8になるまで加え、さらにそのまま放
置して15時間静置して沈殿(ゲル)を生成させた。
【0057】このゲルをろ別し、水洗後、120℃で1
0時間乾燥した。次に、空気雰囲気下で700℃で5時
間焼成した。得られた粉体はX線回折分析によればTi
2 、ZrO2 とFe2 3 からなっており、その重量
比は、蛍光X線法によりTiO2 :ZrO2 :Fe2
3 =35.5:21.9:42.6であった。ここで得
られた粉体を用いて以下に述べる方法で触媒を調製し
た。
【0058】水と前記粉体と澱粉を混合し、ニーダーで
よく練り合わせた。この混練物を成型機で粒径5mmφ、
長さ6mmのペレット状に成型し、空気雰囲気下500℃
で3時間焼成した。こうして得られたペレットに硝酸白
金水溶液を含浸させ、120℃で6時間乾燥後、400
℃で3時間焼成した。
【0059】得られた完成触媒は、蛍光X線法による分
析で重量比で(TiO2 −ZrO2 −Fe2 3 化合
物):Pt=99:1の組成であった。 −調製例4、5− 調製例1において、TiO2 /Fe2 3 の重量比を下
記のように変えた粉体を用いたこと以外は調製例1に準
じて触媒を調製した。
【0060】 −調製例6〜8− 調製例3において、得られたTiO2 −ZrO2 −Fe
2 3 化合物ペレットに各々塩化金酸水溶液、硝酸ロジ
ウム水溶液、硝酸イリジウム水溶液を含浸させ、120
℃で6時間乾燥後、400℃で3時間焼成した。
【0061】得られた完成触媒は、蛍光X線法による分
析で以下に示す組成(重量比)であった。 調製例6…(TiO2 −ZrO2 −Fe2 3 化合物):Au=90:10 調製例7…(TiO2 −ZrO2 −Fe2 3 化合物):Rh=99:1 調製例8…(TiO2 −ZrO2 −Fe2 3 化合物):Ir=95:5 −処理例1〜8− 調製例1〜8で得られた各触媒を用いて、以下のような
方法で湿式酸化による廃水処理を行った。
【0062】ステンレス製反応管に触媒(1000c
c)を充填し、反応管の下部から予熱混合された廃水お
よび酸素濃度約21%の空気を5000時間連続して導
入して、反応管の入口部と出口部でCOD(Cr)濃
度、全窒素量を測定し、それぞれの除去率を求めた。な
お、処理に供した廃水は、ジメチルホルムアミド150
00mg/リットルを含んでおり、COD(Cr)濃度
は20000mg/リットルであった。
【0063】反応条件は、反応温度200℃、反応圧力
40kg/cm2 G、廃水供給量2リットル/時間、空気量
230Nリットル/時間であった。得られた結果を表1
に示す。
【0064】
【表1】
【0065】表1にみるように、上記反応条件で500
0時間の連続運転において、COD(Cr)および全窒
素量の除去率の低下は認められなかった。 −処理例9〜13− 処理例1に準じて、調製例1〜5で得られた各触媒を用
いて湿式酸化による廃水処理を行った。処理に供した廃
水は、グリシン20000mg/リットルを含んでお
り、COD(Cr)濃度は19000mg/リットルで
あった。
【0066】反応条件は、反応温度200℃、反応圧力
40kg/cm2 G、廃水供給量2リットル/時間、空気量
160Nリットル/時間であった。得られた結果を表2
に示す。
【0067】
【表2】
【0068】表2にみるように、上記反応条件で300
0時間の連続運転において、COD(Cr)および全窒
素量の除去率の低下は認められなかった。 −処理例14〜18− 処理例1に準じて、調製例1〜5で得られた各触媒を用
いて湿式酸化による廃水処理を行った。処理に供した廃
水は、エタノールアミン10000mg/リットルを含
んでおり、COD(Cr)濃度は12000mg/リッ
トルであった。
【0069】反応条件は、反応温度200℃、反応圧力
40kg/cm2 G、廃水供給量2リットル/時間、空気量
140Nリットル/時間であった。得られた結果を表3
に示す。
【0070】
【表3】
【0071】表3にみるように、上記反応条件で300
0時間の連続運転において、COD(Cr)および全窒
素量の除去率の低下は認められなかった。 −比較調製例1− 調製例1において、硝酸第二鉄の水溶液を用いなかった
こと以外は、調製例1と同様にして触媒を得た。得られ
た完成触媒の組成は、重量比でTiO2 :Pd=98:
2であった。
【0072】−比較調製例2− 調製例1で使用した組成の硫酸チタニル(酸化硫酸チタ
ン)硫酸水溶液4リットルにオキシ硝酸ジルコニル〔Z
rO(NO3)2 ・2H2 O〕1.44kgを溶解し混合し
た。これを約30℃の温度に維持しつつよく攪拌しなが
らアンモニア水を徐々に滴下し、pHが8になるまで加
え、さらにそのまま放置して15時間静置して沈殿(ゲ
ル)を生成させた。
【0073】得られたゲルをろ別し、水洗後、120℃
で10時間乾燥した。次に、空気雰囲気下で700℃で
5時間焼成した。得られた粉体の組成は、TiO2 :Z
rO 2 =60.2:39.8(重量比)であった。ここ
で得られた粉体を用いて以下に述べる方法で触媒を調製
した。水と前記粉体と澱粉を混合し、ニーダーでよく練
り合わせた。この混練物を成型機で粒径5mmφ、長さ6
mmのペレット状に成型し、空気雰囲気下500℃で3時
間焼成した。
【0074】こうして得られたペレットに硝酸鉄水溶液
を含浸させ、120℃で6時間乾燥後、400℃で3時
間焼成した。得られた完成触媒は、重量比で(TiO2
−ZrO2 化合物):Fe2 3 =85:15の組成で
あった。 −比較処理例1、2− 処理例1において、比較調製例1、2で得られた各触媒
を用いたこと以外は、処理例1と同様にして湿式酸化に
よる廃水処理を行った。
【0075】得られた結果を表4に示す。
【0076】
【表4】
【0077】表4にみるように、成分(i)を含まない
触媒を用いた比較処理例1、および、B成分として鉄を
含む触媒を用いた比較処理例2では、COD(Cr)除
去率、全窒素の除去率ともに、この発明の触媒を用いた
場合よりも低く、500時間の連続運転においてCOD
(Cr)および全窒素の除去率に大幅な低下が認められ
た。
【0078】−調製例9− 水100リットルに調製例1において用いた組成の硫酸
チタニル水溶液9リットルと硫酸第一鉄水溶液〔FeS
4 ;360g/リットル〕4リットルを添加しつつよ
く混合した。これを約30℃の温度に維持しつつよく攪
拌しながらアンモニア水を徐々に滴下し、pHが7にな
るまで加え、さらにそのまま放置して20時間静置して
沈殿(ゲル)を生成させた。
【0079】このゲルをろ別し、水洗後、120℃で1
2時間乾燥した。次に、空気雰囲気下で700℃で6時
間焼成した。得られた粉体はX線回折分析によればTi
2 とFe2 3 からなっており、その重量比は、蛍光
X線法によりTiO2 :Fe 2 3 =75.0:25.
0であった。ここで得られた粉体を用いて以下に述べる
方法で触媒を調製した。
【0080】水と前記粉体と澱粉を混合し、ニーダーで
よく練り合わせた。この混練物を成型機で平均粒径5mm
の球状に成型し、空気雰囲気下500℃で3時間焼成し
た。こうして得られた球状成型体に硝酸ルテニウム水溶
液を含浸させ、120℃で6時間乾燥後、400℃で4
時間焼成した。得られた完成触媒は、蛍光X線法による
分析で重量比で(TiO2 −Fe2 3 化合物):Ru
=99.7:0.3の組成であった。
【0081】−処理例19− 調製例9で得られた各触媒を用いて、下記の組成よりな
る廃水を処理した。 pH 13 Na2 S 8% NaSH 3% Na2 CO3 3% TOD 100000mg/リットル 湿式酸化塔のステンレス製反応管に触媒(500cc)
を充填し、反応管の下部から予熱混合された廃水および
空気を1000時間連続して導入して、反応管の入口部
と出口部でS2-イオン、チオ硫酸イオンおよびCOD
(Cr)の濃度を測定した。
【0082】反応条件は、反応温度150℃、反応圧力
9kg/cm2 G、廃水供給量0.5リットル/時間、空気
量200Nリットル/時間〔O2/TOD(空気中の酸
素量/全酸素消費量)=1.2の割合〕であった。その
結果、COD(Cr)3000mg/リットル以下、硫
化物イオン0.1mg/リットル以下、チオ硫酸イオン
4500mg/リットル以下である処理水が安定して得
られた。
【0083】−比較処理例3− 処理例19に準じ、処理例19と同様の条件下において
湿式酸化塔内には触媒を充填せずに空塔として実験を行
った。その結果、処理水の水質は、COD(Cr)23
000mg/リットルとなり、また硫化物イオンは20
mg/リットル、チオ硫酸イオンは30000mg/リ
ットルが残留していた。 −処理例20− 処理例19に準じ、処理例19と同様の条件下におい
て、湿式酸化塔内の触媒を変更して、下記のような廃水
の処理を行った。
【0084】 pH 13 Na2 2 3 1.7% NaOH 1.0% TOD 8600mg/リットル 本処理例において用いた触媒は調製例9で得られた触媒
であり、これを0.5リットル湿式酸化塔1内に充填し
た。以上のようにして処理を行った結果、COD(C
r)70mg/リットル以下、チオ硫酸イオン100m
g/リットル以下の処理水が安定して得られた。
【0085】−比較処理例4− 処理例20に準じ、処理例20と同様の条件下において
湿式酸化塔内には触媒を充填せずに空塔として実験を行
った。その結果、COD(Cr)4300mg/リット
ル、チオ硫酸イオンは6000mg/リットルが残留し
ていた。 −処理例21− 処理例19に準じ、処理例19と同様の条件下におい
て、湿式酸化塔内の触媒を変更して、下記のような廃水
の処理を行った。
【0086】 pH 13 Na2 S 2.4% Na2 2 3 0.9% Na2 SO3 0.2% NaOH 0.5% TOD 25000mg/リットル 本処理例で用いた触媒は、調製例9で得られた触媒であ
り、これを0.5リットル湿式酸化塔1内に充填した。
以上のようにして処理を行った結果、COD(Cr)2
30mg/リットル以下、チオ硫酸イオン350mg/
リットル以下の処理水が安定して得られた。なお、硫化
物イオンおよび亜硫酸イオンは0.01mg/リットル
以下であった。
【0087】−比較処理例5− 処理例21に準じ、処理例21と同様の条件下において
湿式酸化塔内は触媒を充填せずに空塔として実験を行っ
た。その結果、COD(Cr)7200mg/リット
ル、硫化物イオン5mg/リットル、チオ硫酸イオンは
10000mg/リットルが残留していた。なお、亜硫
酸イオンは0.01mg/リットル以下であった。
【0088】−調製例10− 水100リットルに調製例1において用いた組成の硫酸
チタニル水溶液7リットルと硝酸第二鉄〔Fe(N
3 3 ・9H2 O〕3.80kgを添加しつつよく混合
した。これを約30℃の温度に維持しつつよく攪拌しな
がらアンモニア水を徐々に滴下し、pHが7になるまで
加え、さらにそのまま放置して16時間静置して沈殿
(ゲル)を生成させた。
【0089】このゲルをろ別し、水洗後、120℃で2
0時間乾燥した。次に、空気雰囲気下で700℃で6時
間焼成した。得られた粉体はX線回折分析によればTi
2 とFe2 3 からなっており、その重量比は、蛍光
X線法によりTiO2 :Fe 2 3 =70.0:30.
0であった。ここで得られた粉体を用いて以下に述べる
方法で触媒を調製した。
【0090】水と前記粉体と澱粉を混合し、ニーダーで
よく練り合わせた。この混練物を成型機で平均粒径6mm
の球状に成型し、空気雰囲気下500℃で4時間焼成し
た。こうして得られた球状成型体に塩化白金酸水溶液を
含浸させ、120℃で6時間乾燥後、400℃で6時間
焼成した。得られた完成触媒は、蛍光X線法による分析
で重量比で(TiO2 −Fe2 3 化合物):Pt=9
9.6:0.4の組成であった。
【0091】−処理例22− 調製例10で得られた触媒を用いて、以下のような方法
で、湿式酸化法による廃水処理を行った。ステンレス製
反応管に触媒(3000cc)を充填し、反応管の下部か
ら予熱混合された廃水および空気を500時間連続して
導入して、反応管の入口部と出口部でTOC濃度、チオ
フェンの量、ドデシル硫酸ナトリウムの量を測定し、処
理効率を求めた。
【0092】なお、処理に供した廃水の性状は、チオフ
ェン3.5g/リットル、ドデシル硫酸ナトリウム20
g/リットル、その他油分16.2g/リットル、TO
C21.7g/リットルで、カセイソーダを添加してp
H13とした。反応条件は、反応温度240℃、反応圧
力70kg/cm2・G、廃水の空間速度0.9/hr
(空塔基準)、廃水の線速度6m/hrであり、空気は
2/TOD(空気中の酸素量/全酸素消費量)=1.
0で反応管に導入した。
【0093】得られた結果は、チオフェン除去率97.
0%、ドデシル硫酸ナトリウム除去率89.5%、TO
C除去率82.0%で、処理水のpHは8であった。 −比較処理例6− 処理例22に準じ、処理例22と同様の条件下において
反応管中に触媒を充填せず、空塔として湿式酸化処理実
験を行った。
【0094】得られた結果は、チオフェン除去率42.
0%、ドデシル硫酸ナトリウム除去率37.0%、TO
C除去率34.5%で、処理水のpHは11であった。 −調製例11− 水100リットルに調製例1において用いた組成の硫酸
チタニル水溶液5リットルと硝酸第二鉄〔Fe(N
3 3 ・9H2 O〕10.66kgおよび硝酸セリウム
〔Ce(NO3 3 ・6H2 O〕1.32kgを添加しつ
つよく混合した。これを約30℃の温度に維持しつつよ
く攪拌しながらアンモニア水を徐々に滴下し、pHが8
になるまで加え、さらにそのまま放置して24時間静置
して沈殿(ゲル)を生成させた。
【0095】このゲルをろ別し、水洗後、120℃で1
6時間乾燥した。次に、空気雰囲気下で700℃で6時
間焼成した。得られた粉体はX線回折分析によればTi
2 とFe2 3 とCeO2 とからなっており、その重
量比は、蛍光X線法によりTiO2 :Fe2 3 :Ce
2 =31.2:52.6:16.2であった。ここで
得られた粉体を用いて以下に述べる方法で触媒を調製し
た。
【0096】水と前記粉体と澱粉を混合し、ニーダーで
よく練り合わせた。この混練物を成型機で平均粒径5mm
の球状に成型し、空気雰囲気下500℃で4時間焼成し
た。こうして得られた球状成型体に硝酸ルテニウム水溶
液を含浸させ、120℃で6時間乾燥後、450℃で4
時間焼成した。得られた完成触媒は、蛍光X線法による
分析で重量比で(TiO2 −Fe2 3 −CeO2 化合
物):Ru=99.4:0.6の組成であった。
【0097】−処理例23− 調製例11で得られた触媒を用い、100mg/リット
ルの臭化エチルを含有する廃水を以下のようにして処理
を行った。湿式酸化塔のチタン製反応管に触媒(500
cc)を充填し、反応管の下部から予熱混合された廃水
および空気を1000時間連続して導入して、反応管の
入口部と出口部で臭化エチル濃度と臭素濃度を測定し
た。
【0098】反応条件は、反応温度270℃、反応圧力
80kg/cm2 G、廃水供給量0.5リットル/時間、空
気量10Nリットル/時間であった。このようにして処
理した結果、臭化エチルの除去率は99%であり、処理
液中にはGC−ECD法で測定したところ、臭化エチル
以外の有機臭素化合物は検出されなかった。また、処理
水中の臭素イオン濃度は73mg/リットルであった。
なお、排ガス中には臭化エチルは検出されなかった。
【0099】−調製例12− 水100リットルに調製例1において用いた組成の硫酸
チタニル水溶液5リットルと硝酸第二鉄〔Fe(N
3 3 ・9H2 O〕7.56kgを添加しつつよく混合
した。これを約30℃の温度に維持しつつよく攪拌しな
がらアンモニア水を徐々に滴下し、pHが7になるまで
加え、さらにそのまま放置して16時間静置して沈殿
(ゲル)を生成させた。
【0100】このゲルをろ別し、水洗後、120℃で2
0時間乾燥した。次に、空気雰囲気下で700℃で6時
間焼成した。得られた粉体はX線回折分析によればTi
2 とFe2 3 からなっており、その重量比は、蛍光
X線法によりTiO2 :Fe 2 3 =45.5:54.
5であった。ここで得られた粉体を用いて以下に述べる
方法で触媒を調製した。
【0101】水と前記粉体と澱粉を混合し、ニーダーで
よく練り合わせた。この混練物を成型機で貫通孔の相当
直径10mm、セル肉厚1mm、開孔率83%のハニカ
ム状に成型し、空気雰囲気下500℃で4時間焼成し
た。こうして得られたハニカム状成型体に硝酸パラジウ
ム水溶液を含浸させ、120℃で6時間乾燥後、400
℃で4時間焼成した。
【0102】得られた完成触媒は、蛍光X線法による分
析で重量比で(TiO2 −Fe2 3 化合物):Pd=
99.3:0.7の組成であった。 −処理例24− 調製例12で得られた触媒を湿式酸化塔内に500cc
充填し、ジクロロベンゼン50mg/リットルを含有す
るモデル廃水を用いて処理実験を行った。ただし、本処
理例において、反応器入口温度は230℃、反応圧力は
60kg/cm2G、廃水供給量は0.5リットル/Hr、空
気量は5リットル/Hrであった。
【0103】このようにして処理を行った結果、ジクロ
ロベンゼンの除去率89%であり、処理水中にはジクロ
ロベンゼン以外の有機塩素化合物は認められなかった。
また、処理水中の塩素イオン濃度は21mg/リットル
であった。なお、排ガス中にはジクロロベンゼンは検出
されなかった。 −処理例25− 処理例24に準じ、処理例24と同様の条件下におい
て、酸素濃度を70%としたガスを用いて、処理例24
と同様のモデル廃水の処理実験を行った。
【0104】このようにして処理を行った結果、ジクロ
ロベンゼンの除去率94%であり、処理水中にはジクロ
ロベンゼン以外の有機塩素化合物は認められなかった。
また、処理水中の塩素イオン濃度は54mg/リットル
であった。なお、排ガス中にはジクロロベンゼンは検出
されなかった。 −調製例13− 調製例12で得られたチタン−鉄酸化物のハニカム状成
型体に、調製例12と同様にして硝酸ロジウム水溶液を
含浸させ、120℃で6時間乾燥後、400℃で3時間
焼成して、触媒を得た。
【0105】−処理例26− 調製例13で得られた触媒をそれぞれ湿式酸化塔内に充
填し、廃水処理実験を行った。なお、モデル廃水として
トリクロロエチレン500mg/リットルを含有する廃
水を用いた。本モデル廃水中には塩素イオンは含有され
ていない。反応は250℃、70kg/cm2Gの条件で行
い、その結果、トリクロロエチレンの除去率は95%で
あった。
【0106】−比較処理例7− 処理例26に準じ、処理例26と同様の条件下におい
て、湿式酸化塔内を空塔として処理例26と同様の廃水
を処理した。その結果、トリクロロエチレンの除去率は
32%であった。 −調製例14− 水100リットルに、調製例1で用いた硫酸チタニル水
溶液4リットルを添加し、よく混合した。これを約30
℃の温度に維持しつつよく攪拌しながらアンモニア水を
徐々に滴下し、pHが8になるまで加え、さらにそのま
ま放置して15時間静置して沈殿(ゲル)を生成させ
た。
【0107】このゲルをろ別し、水洗後、鉄の水酸化物
(FeOOH)1.67kgを加え、ニーダーでよく練
り合わせ、120℃で10時間乾燥した。次に、空気雰
囲気下で700℃で5時間焼成した。得られた粉体はX
線回折分析によればTiO2 とFe2 3 からなってお
り、その重量比は、蛍光X線法によりTiO2 :Fe 2
3 =40:60であった。
【0108】ここで得られた粉体を用いて以下に述べる
方法で触媒を調製した。水と前記粉体と澱粉を混合し、
ニーダーでよく練り合わせた。この混練物を成型機で粒
径5mmφ、長さ6mmのペレット状に成型し、空気雰囲気
下500℃で3時間焼成した。こうして得られたペレッ
トに硝酸ルテニウム水溶液を含浸させ、120℃で6時
間乾燥後、400℃で3時間焼成した。
【0109】得られた完成触媒は、蛍光X線法による分
析で重量比で(TiO2 −Fe2 3 化合物):Ru=
98:2の組成であった。 −処理例27− 調製例14で得られた触媒を用いて、以下のような方法
で湿式酸化による廃水処理を行った。
【0110】ステンレス製反応管に触媒(1000c
c)を充填し、反応管の下部から予熱混合された廃水お
よび酸素濃度約21%の空気を5000時間連続して導
入して、反応管の入口部と出口部でCOD(Cr)濃
度、全窒素量を測定し、それぞれの除去率を求めた。な
お、処理に供した廃水は、ジメチルホルムアミド150
00mg/リットルを含んでおり、COD(Cr)濃度
は20000mg/リットルであった。
【0111】反応条件は、反応温度200℃、反応圧力
40kg/cm2 G、廃水供給量2リットル/時間、空気量
230Nリットル/時間であった。得られた結果を表5
に示す。 −処理例28− 処理例1に準じて、調製例14で得られた触媒を用いて
湿式酸化による廃水処理を行った。処理に供した廃水
は、グリシン20000mg/リットルを含んでおり、
COD(Cr)濃度は19000mg/リットルであっ
た。
【0112】反応条件は、反応温度200℃、反応圧力
40kg/cm2 G、廃水供給量2リットル/時間、空気量
160Nリットル/時間であった。得られた結果を表5
に示す。 −処理例29− 処理例1に準じて、調製例14で得られた触媒を用いて
湿式酸化による廃水処理を行った。処理に供した廃水
は、エタノールアミン10000mg/リットルを含ん
でおり、COD(Cr)濃度は12000mg/リット
ルであった。
【0113】反応条件は、反応温度200℃、反応圧力
40kg/cm2 G、廃水供給量2リットル/時間、空気量
140Nリットル/時間であった。得られた結果を表5
に示す。
【0114】
【表5】
【0115】
【発明の効果】この発明の廃水処理用触媒は、窒素を含
まない有機物を分解するだけでなく窒素含有化合物中の
窒素を窒素ガスにまで分解することができる。この触媒
を用いることにより、廃水が窒素含有化合物を含む含ま
ないに関わらず、長期にわたって効率良く廃水処理を行
うことができる。
【0116】この発明の廃水処理用触媒によれば、硫黄
を含む化合物および廃水中のその他の汚染物質を効率良
く酸化分解し、無機塩、炭酸ガス、水および灰分等に転
換せしめることが可能である。そして、後処理として、
生物処理を全く必要とせず、処理した廃水を直接放流で
きるか、あるいは後処理として生物処理を必要として
も、生物に対して悪影響を与える物質は分解されてお
り、湿式酸化処理後の廃水をpH以外について調整する
必要がない。このため、処理廃水量も少なくなり、かつ
生物処理設備も全く必要なくなるか、あるいは従来の設
備と比較して非常に小さくなり、処理プロセスが簡素化
され、設備投資や、ランニングコストの面においても有
利となる。
【0117】この発明によれば、廃水中に含有される有
機ハロゲン化合物を有害物質の二次的な生成なしに炭酸
ガス、水、および溶解塩類や灰分等に効率よく転換せし
め、無害化することが可能である。この発明の廃水処理
用触媒の製造方法によれば、上記のような優れた廃水処
理用触媒を効率良く製造できる。
【0118】この発明の廃水の処理方法によれば、廃水
が窒素含有化合物や硫黄含有化合物や有機ハロゲン化合
物を含む含まないに関わらず廃水を効率良く長期にわた
って処理することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C02F 1/74 101 C02F 1/74 101 (72)発明者 宍田 健一 兵庫県姫路市網干区興浜字西沖992番地 の1 株式会社日本触媒 触媒研究所内 (72)発明者 塩田 祐介 兵庫県姫路市網干区興浜字西沖992番地 の1 株式会社日本触媒 触媒研究所内 (56)参考文献 特開 昭62−132591(JP,A) 特開 昭63−158189(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B01J 21/00 - 38/74 C02F 1/58 C02F 1/70 - 1/78

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 A成分として鉄とチタン、ケイ素およ
    びジルコニウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種
    の元素とを含む酸化物、B成分としてコバルト、ニ
    ッケル、セリウム、銀、金、白金、パラジウム、ロジウ
    ム、ルテニウムおよびイリジウムよりなる群から選ばれ
    る少なくとも1種の元素を含有させてなる廃水処理用触
    媒。
  2. 【請求項2】 A成分を90〜99.95重量%、B成
    分を0.05〜10重量%(A成分とB成分の合計は1
    00重量%である)の各割合で含み、A成分中、鉄が酸
    化物として4.95〜95重量%、チタン、ケイ素およ
    びジルコニウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種
    の元素が酸化物として4.95〜95重量%(ただし、
    鉄の酸化物とチタン、ケイ素およびジルコニウムよりな
    る群から選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物の合計
    は90〜99.95重量%である)である請求項1記載
    の廃水処理用触媒。
  3. 【請求項3】 鉄とチタン、ケイ素およびジルコニウム
    よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素とを含む
    酸化物に、コバルト、ニッケル、セリウム、銀、金、白
    金、パラジウム、ロジウム、ルテニウムおよびイリジウ
    ムよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含有
    させる廃水処理用触媒の製造方法。
  4. 【請求項4】 鉄とチタン、ケイ素およびジルコニウム
    よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素とを含む
    共沈物を得、この共沈物を焼成することにより鉄とチタ
    ン、ケイ素およびジルコニウムよりなる群から選ばれる
    少なくとも1種の元素とを含む酸化物を得たのち、この
    酸化物に、コバルト、ニッケル、セリウム、銀、金、白
    金、パラジウム、ロジウム、ルテニウムおよびイリジウ
    ムよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含有
    させる請求項3記載の廃水処理用触媒の製造方法。
  5. 【請求項5】 廃水が液相を保持する圧力下で酸素ガス
    の供給下に固体触媒を用いて廃水を湿式酸化処理する廃
    水の処理方法であって、前記固体触媒として、A成分と
    して鉄とチタン、ケイ素およびジルコニウムよりなる
    群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む酸化物
    、B成分としてコバルト、ニッケル、セリウム、
    銀、金、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウムおよ
    びイリジウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種の
    元素を含有させてなる触媒を用いることを特徴とする廃
    水の処理方法。
  6. 【請求項6】 廃水が窒素含有化合物を含むものである
    請求項記載の廃水の処理方法。
  7. 【請求項7】 廃水が硫黄含有化合物を含むものである
    請求項または記載の廃水の処理方法。
  8. 【請求項8】 廃水が有機ハロゲン化合物を含むもので
    ある請求項からまでのいずれかに記載の廃水の処理
    方法。
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