JP2573641B2 - 排出流中の酸化剤の分解方法 - Google Patents

排出流中の酸化剤の分解方法

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JP2573641B2 JP63012464A JP1246488A JP2573641B2 JP 2573641 B2 JP2573641 B2 JP 2573641B2 JP 63012464 A JP63012464 A JP 63012464A JP 1246488 A JP1246488 A JP 1246488A JP 2573641 B2 JP2573641 B2 JP 2573641B2
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は排出流処理方法に関し、さらに詳しくは処理
されるべき排出流中の酸化剤を触媒作用で分解する方法
に関する。
種々の工業処理工程及び下水処理からの排出流は可溶
性及び不溶性の汚染物質類を含んでいる。本発明は酸化
剤である汚染物質を分解する方法を提供し、またこの方
法を用いて他の汚染物質を酸化作用により駆逐するもの
である。主として工業処理工程からの排出流中には、公
害をもたらす数多くの酸化剤が存在する。殊に、多くの
工業廃水流は、腐食性であり有害である次亜塩素酸塩を
含んでいる。次亜塩素酸塩含有水性溶液類は、漂白操作
において使用され、また塩素製造用塩水電解においてま
た塩素ガスの洗浄により副生物として生じる。次亜塩素
酸イオンの分解は、排出流がそのような工業操作から公
共水系へ放出される前に実施するのが望ましい。さらに
塩素製造用塩水電解槽からの排出流中の次亜塩素酸イオ
ンの分解は、放出前、または新鮮原料塩水と共に電解槽
へのその排出流の再循環前に、実施するのが望ましい。
次亜塩素酸イオンを分解する一方法は、排出流に対し
て、亜硫酸イオンまたは重亜硫酸イオンのような還元剤
を添加することであった。この処理は、大量の排出流の
場合には非常に経費が嵩むものである。不均一固定床触
媒を使用することが提案されてきており、数多くの触媒
が、文献に開示されてきており、例えば米国特許第3965
249号(Kinosz)明細書にはコバルト、銅、ニッケル及
びカルシウムの酸化物類を使用すること、そして米国特
許第4297333号(Crawford等)明細書には酸化ニッケル
及び二金属NiNo2O4スピネルからなる固体を使用するこ
とが記載されている。
EP−B−第82915号明細書には、概ね一般式M×NyCo3
−(x+y)O4に従う多金属コバルトスピネル触媒が記載さ
れている(Mは第IB,IIA及びIIB族の少なくとも1種の
金属であり、Nは第IA族の少なくとも1種の金属であ
り、そしてx及びyはある特定値である)。さらには、
このような多金属コバルトスピネル触媒は、第IIIA,III
B,IVA,IVB,VA,VB,VIA,VIIA族及びランタニド類、アクチ
ニド類から選択される金属の酸化物からなる変性剤をも
含みうる。このような変性剤金属酸化物の使用により、
置換コバルトスピネルのための増量剤が与えられ、ある
いは置換コバルトスピネルが適用される基体への置換コ
バルトスピネルの密着性が増加または改善されそして一
層強い被覆が与えられるようになる。
米国特許第4400304号(Clark等)明細書には、そのよ
うな触媒の商業的応用に欠点があることが記載されてい
る。次亜塩素酸塩溶液の高アルカリ性によってほとんど
の錠剤化押出触媒のバインダー担体が崩壊されると述べ
られている。この米国特許第4400304号明細書には、こ
の問題を、特製熱可塑性樹脂バインダー、例えばポリ弗
化ビニリデンで一体に結合されたある種金属(殊にコバ
ルト)の微細酸化物を用いて克服することが提案されて
いる。このようにすると触媒はアルカリ性条件に耐えう
るようになるが、特製樹脂のコストにより触媒組成物が
高価となる。
別の技術観点から、次亜塩素酸塩を酸素原子まで分解
することにより、水性系中の汚染物質の酸化を生じさせ
ることが提案されてきている。米国特許第3944487号(D
avis等)明細書には、ニッケル、コバルト、鉄またはイ
リジウムの酸化物からなる顆粒状、多孔質触媒物質が、
次亜塩素酸イオンを分解して酸素原子とする反応に触媒
作用を示し、その酸素が下水原液中の汚染物質を酸化さ
せることが開示されている。その触媒物質は焼成によっ
て再生されると言われている。
本発明は、酸化剤が工業処理工程からの排出流の一部
であるか否かにかかわらず、あるいは酸化剤が汚染物質
の酸化を助長する目的で意図的に添加されたのか否かに
かかわらず、酸化剤、例えば次亜酸素酸塩を含む排出流
を処理することに関する。
本発明は高価な特製樹脂バインダーの使用の必要性を
なくし、また良好な活性及び良好な安定性を有する触媒
系を提供する。
従って、本発明は、酸化的に処理されるべき排出流を
酸化ニッケル含有触媒床と接触させることからなるその
排出流中の酸化剤を分解する方法であって、 その触媒が非多孔質の実質的に不活性な物質の細片上
に担持された。
(i)周期律表第IIA族の元素の少なくとも1種の微細
酸化物と、 (ii)微細な酸化ニッケル及び/または酸化ニッケル水
和物と、 の緊密混合物からなり、 かつその第IIA族酸化物が緊密混合物の0.5〜50重量%
(ただし緊密混合物の諸成分を無水の二価酸化物として
表わして)をなすことを特徴とする上記酸化物の分解方
法を提供する。
触媒床は第IIA族の少なくとも1種の微細酸化物とニ
ッケル酸化物との緊密混合物からなる。ニッケル酸化物
またはその水和物のいく分かをコバルト酸化物及び/ま
たはその水和物で置換してもよい。コバルト酸化物(も
し存在するならば)の量は、コバルト:ニッケルの原子
比が1.0以下となるような量であるのが好ましい。もし
コバルト酸化物及び/またはその水和物が配合されるな
らば、第IIA族酸化物は、それらコバルト、ニッケル及
び第IIA族元素の各酸化物の合計重量の0.5〜50重量%な
す(無水の二価酸化物として計算)。
第IIA族元素の適当な例としては、ベリリウム、マグ
ネシウム、カルシウム、ストロンチウム及びバリウムが
ある。マグネシウム、カルシウム及びバリウムが好まし
く、マグネシウムは殊に良好な活性を生じさせるので特
にマグネシウムが好ましい。
微細な第IIA族酸化物(例えばマグネシア)自体は、
本発明の方法において有意な触媒活性を示さない。しか
し微細ニッケル酸化物との緊密混合物中では、第IIA族
酸化物はニッケル酸化物の活性に対して著しいプロモー
ター効果を与える。第IIA族酸化物は、緊密混合物の重
量の0.5〜25%の範囲で存在するのが好ましく、殊に1.0
〜20%、例えば5%、あるいは10%(重量)で存在する
のが一層好ましい。
本発明における担体材料は、非多孔質物質の細片であ
る。それは、窒素を用いてBET法で測定して、適当には1
0m2/g以下、好ましくは5m2/g以下、殊に1m2/g以下の
表面積を有する。好ましくは担体は0.1ml/g以下の気孔
容積を有する。非多孔質(担体用)物質は、緊密混合物
を担持することができ、本発明方法が一般的に実施され
るアルカリ性条件において実質的に安定であるいずれの
物質であってもよい。適当な担体材料の例としては、塩
素化樹脂;弗素化樹脂;金属(例えばパラジウム、白
金);ジルコニウムのような膜形成性金属;及びその他
グラファイトのような物質;鉱物繊維;炭酸カルシウ
ム、マグネシウム、アルミナ、ジルコニア、スピネル
(例えばマグネシウムスピネル)及びそれらの混合物の
ようなミネラル類;がある。担体は酸化物系であるのが
好ましい。担体材料の細片は、酸化物系組成物、例えば
ガンマアルミナをペレット化または成形し、そのペレッ
ト化または成形された組成物を焼成して規則的な非多孔
質材料とすることにより作られる如き規則的な形状を有
しうる。あるいは、担体材料細片は非多孔質酸化物系物
質を節片化して不揃いな形状及び寸法としたものであっ
てもよい。好適には、形状の揃ったまたは不揃いの細片
は25mm以下、好ましくは10mm以下、例えば1〜3mmの平
均最大寸法を有する。一例においては、担体細片は、砂
粒子(細かい、平均的または粗粒)、例えば0.1〜0.5mm
の平均寸法を有する砂粒のような大きさでありうる。
ニッケル(及びもし存在するならばコバルト)の酸化
物は、適宜な方法によって微細な形状で得られる。適当
な方法の一例は、非多孔質担体を、(加熱により分解し
て酸化物を形成しうる)ニッケル塩(及びもし存在させ
るならばコバルトの塩)を含む水溶液と接触させ、次い
でその被覆された担体を焼成してその塩を分解させるこ
とからなる。第IIA族酸化物は、好適には、その塩溶液
との接触前に、非多孔質担体を第IIA族元素の塩を含む
水溶液と接触させ、次いで加熱することにより導入する
ことができる。その第IIA族元素の塩、例えば硝酸塩は
加熱により分解して酸化物を形成できるものである。好
ましい一方法においては、第IIA族酸化物、ニッケル酸
化物(及びもし存在させるならばコバルト酸化物)は、
非多孔質担体細片を、第II族元素の塩、ニッケルの塩そ
して場合によりコバルトの塩(これらの塩は加熱により
分解して酸化物を形成しうるものである)を含む一つの
水溶液と接触させ、次いでその浸漬細片を焼成すること
により、同時に導入することができる。
若干の場合には、非多孔質担体として、適当な第IIA
族化合物、例えばマグネシア、炭酸カルシウムまたは酸
化カルシウムあるいは酸化バリウムを使用することも可
能である。マグネシアは適当な非多孔質(例えば融合)
状態で容易に入手できるので、マグネシアが好ましい。
担体がそのような第IIA族金属化合物である場合には、
ニッケル塩(及びもし存在させるならばコバルト塩)を
適用するために酸性溶液を用いることにより、緊密混合
物をその場で作ることができる。なんとなればニッケル
塩(及びもし存在させるならばコバルト塩)溶液中の酸
が、第IIA族金属化合物を溶解させて、乾燥及び焼成の
ときには、所要量の第IIA族金属酸化物が緊密にニッケ
ル酸化物(もし存在させるならばコバルト酸化物)と混
合して存在するように調節しうるからである。ニッケル
塩(及び存在させるならばコバルト塩)酸性水溶液の酸
は、もちろん、焼成により酸化物へ分解しうる第IIA族
金属塩を与えるような酸であるべきである。遊離の硝酸
を含む硝酸塩溶液が特に好ましい。
若干の場合に、担体材料は酸で浸出されうる不純物、
例えばケイ酸塩を含むことがある。これは、もしニッケ
ル酸化物(もし存在するならばコバルト酸化物)及び/
または第IIA族金属酸化物が上記の如く塩溶液での接触
法により担体に適用され、その塩溶液が酸性である場合
(塩溶液の安定性の理由のため通常の場合酸性とされ
る)、問題を引き起すことがある。なんとなれば、焼成
のときに不純物からもたらされる化合物、例えばシリカ
の沈着物が形成され、これにより排出流(処理されるべ
き)が緊密混合物へ接近するのが防止ないし妨害される
からである。
そのような場合には、担体に塩溶液を適用する前に担
体を酸洗処理に付すこと、及び/または非酸性の塩溶液
を使用することが望ましいであろう。
焼成工程は、好適には、200〜600℃の範囲、さらに適
当には400〜550℃の範囲の温度で実施できる。
担体と塩溶液との接触工程及び次の焼成工程は、所望
ならば一回より多く実施して担体上に所要量の緊密混合
物の担持濃度が達成されるようにできる。担体上への緊
密混合物の担持を改善または向上させるために、担体表
面を、例えば機械的にあるいは化学的腐触(エッチン
グ)により粗化することができる。
焼成済の緊密混合物の重量は、適当には担体及び緊密
混合物の合計重量の0.25〜15重量%、好ましくは0.5〜1
2重量%、特に1〜10重量%である。
使用に際して、触媒床は、酸化的に処理されるべき酸
化剤含有排出流と接触される。適当には、酸化剤は次亜
ハロゲン酸イオン(例えば次亜塩素酸イオン、次亜臭素
酸イオン)、過酸化水素、過沃素酸イオン等を含むもの
である。そのような酸化剤類のうちのいくつか、少なく
とも一つは、種々の工業処理工程における汚染物質とし
て見受けられるものである。殊に次亜塩素酸イオンは前
述のように注目すべき工業汚染物質である。
好適には、触媒を慣用法で床の形とし、汚染物質、例
えば次亜塩素酸イオンを含む排出流をその触媒床に通
す。一般的には、排出流は、触媒床との接触前に過さ
れた水性溶液の形である。
前述のように、酸化剤である汚染物質を分解する方法
は、別の汚染物質を酸化により分解駆逐するのに採用で
きる。このようにすると、酸化剤、例えば次亜塩素酸イ
オンを意図的に添加することにより、多くの有機汚染物
質を効果的かつ効率的に酸化分解して二酸化炭素及び水
とすることができる。従って、そのような酸化反応生成
物は無害であるから排出流をさらに処理する必要がな
い。処理されうる排出流の例としては、炭化水素化学プ
ラント排出流、メタノール製造排出流、染料プラント廃
水、家庭下水等々がある。そのような排出流中に存在し
うる有機汚染物質及び本発明の方法によって実質的に除
去されうる有機汚染物質の例としては、メタノール、エ
タノール、塩素化炭化水素(例:クロロホルム、四塩化
炭素、二塩化メタン)、シアナイド、ヒドラジン、アン
モニア、ギ酸、ホルムアルデヒド、アミン(例:メチル
アミン)、糖(例:グルコース)等がある。
好適には、酸化剤、例えば次亜塩素酸塩の水溶液を作
り、これを処理されるべき排出流と混合する。この排出
流と酸化剤との混合物は、次いで触媒床に通される。
排出流の効果的な処理のために排出流に混入されるべ
き酸化剤の量は、種々の因子、例えば排出流のCOD(化
学的酸素要求量)、処理実施温度、及び使用触媒の活性
等により左右される。酸化剤自体は一種の汚染物質であ
る。しかし、過剰の酸化剤が触媒床によって分解される
こと、あるいは所望によりさらに別の触媒床を通過させ
ることにより過剰の酸化剤が分解されることは、本発明
方法の特別、特有な利点である。
酸化剤を単独であるいは有機汚染物質との共存下に分
解するために、本発明の方法は、排出流のpH値が6以
上、好ましくは8以上であるような条件下で実施するの
が好適であり、触媒が10〜13のようなpH値であってさえ
も物理的に崩壊しないことは本発明の特に有利な面であ
る。本発明方法は適宜な温度、適当には5〜100℃、さ
らに適当には20〜80℃、例えば30℃、40℃あるいは50℃
で実施できる。
使用中に触媒は酸化剤と接触される。水溶液中でのそ
の接触のときに、緊密混合物の酸化物のいく分かまたは
全部が水和されることがある。さらには、酸化ニッケル
(及びもし存在するならば酸化コバルト)がさらに高い
原子価状態にまで酸化される。例えば、ニッケル酸化物
は、触媒担体上で最初はNiOの形で形成されると概念上
考えられうる。権威者等は、正確にニッケルのどのよう
な高度酸化物が形成されるかについて一致していない
が、高度酸化物Ni3O4,Ni2O3及びNiO2が、酸化剤との接
触時に形成されると見做すことができる。そのような高
度(高原子価)酸化物は本発明の方法において活性であ
る。従って本発明の方法は、ニッケル、もし存在するな
らばコバルト、及び第IIA族元素のそれぞれの酸化物類
として、触媒担体上で最初に形成されるもの、及びその
場で形成されるそれらの一層高度の酸化状態にあるもの
すべてをその範囲に含むものである。前述のように本発
明は水和物の形の酸化物の使用もその範囲内とする。し
かし、ニッケル酸化物、コバルト酸化物及び第IIA族酸
化物の相互間の割合(比率)及び非多孔質担体に対して
の割合(比率)を、ここで特定する場合、ニッケル、コ
バルト及び第IIA族のそれぞれの酸化物について二価の
状態における無水酸化物、すなわちNiO,CoO及びMO(こ
こにMは第IIA族元素)を基準にして表わすものである
ことを明記されたい。
前述のように、触媒は酸化剤によって酸化されてニッ
ケル酸化物(及び、もし存在するならばコバルト酸化
物)を一層高い酸化状態に変える。所望ならばそのよう
な酸化は、排出流を処理する容器へ触媒を仕込む前に、
実施することができる。
本発明の一特定応用例は、塩素製造用塩水電解槽から
の塩水排出流を、その塩水の再循環前に、その中に存在
する次亜塩素酸イオンの分解のために処理することであ
る。そのような電解法の好ましい一態様において、電解
槽からの塩水は、まず溶存塩素の除去を助長促進するた
めに酸を添加することにより5以下のpH値まで酸性化さ
れる。例えば物理的手段による溶存塩素の除去後に、ア
ルカリを添加してpHを9以上にまで調節し、そのアルカ
リ性塩水を新鮮な塩水と一緒に電解槽に(時にはイオン
交換工程後に)再循環させる。次亜塩素酸塩分解はアル
カリ添加後、そして好ましくはイオン交換工程の前に実
施される。次亜塩素酸塩分解は新鮮塩水の添加の前また
は後に実施しうる。典型的には、そのような電解法にお
いて、次亜塩素酸塩分解段階における流入塩水は、約10
〜1000重量ppmの次亜塩素酸イオン、約5〜30重量%の
塩化ナトリウムを含み、約9〜12のpH値を有し、そして
約70〜90℃の温度である。
本発明の別の観点において、本発明方法で使用される
触媒は新規である。
前述のように、ニッケル酸化物(及びもし存在するな
らばコバルト酸化物)は、本発明の方法の前または本発
明の方法中に酸化されて、下記定義Rの値が2.4以上と
なるような酸化状態になる。
ここに(X)は、ニッケル酸化物(及びもし存在するな
らばコバルト酸化物)またはその水和物中のニッケル
(及び存在するならばコバルト)の原子割合を表わし、
そして(O)及び(H)はそれぞれ酸素及び(存在する
ならば)水素の原子割合を表わす。従ってRは、その組
成物中のニッケル(及びもし存在するならばコバルト)
の平均原子価状態を表わす。
従って、本発明の好ましい一態様においては、非多孔
質の実質的に不活性な物質の細片上に担持された第IIA
族元素の少なくとも1種の微細な酸化物と微細なニッケ
ル酸化物(及び場合により微細なコバルト酸化物)及び
/またはそれらの酸化物の水和物との緊密混合物であっ
て、この緊密混合物が0.5〜50重量%の第IIA族酸化物を
含み、かつニッケル(そして存在する場合にはコバル
ト)の酸化物または水和物の酸化状態がR(上記定義)
の値を2.4より大きくするようなものであることを特徴
とする上記緊密混合物を提供する。
前述のように一層高い酸化状態への酸化は排出流の処
理中または前に行なわれうる。そのような酸化は担持さ
れた緊密混合物を、次亜塩素酸イオン含有水溶液と接触
させて実施するのが好ましい。
従って本発明の別の一態様では、加熱により分解して
それぞれ対応する酸化物になりうるニッケル塩(及び場
合によりコンパクト塩)及び第IIA族元素の塩を含む溶
液を非多孔質担体に適用し、次いでそれを焼成してそれ
らの塩を分解して酸化物となし、次いでその焼成品を酸
化剤で処理してR(上記定義)の値が2.4以上となるよ
うな一層高い酸化状態にまでニッケル(及びもし存在す
るならばコバルト)の酸化物を酸化させることからなる
前記担持緊密混合物材料を製造する方法を提供する。
前述のように、担体が非多孔質第IIA族化合物(例え
ばマグネシア)である場合には、緊密混合物はその場で
作ることができる。
従って本発明の別の一態様においては、硝酸ニッケル
(及び場合により硝酸コバルト)及び硝酸を含む溶液を
非多孔質マグネシア担体細片に適用し、それによりその
マグネシアのいく分かを溶解して硝酸マグネシウムを生
成させ、しかる後にその処理品を焼成してニッケル(及
びもし存在するならばコバルト)及びマグネシウムのそ
れぞれの硝酸塩を分解してそれぞれの酸化物となし、次
いでその焼成品を酸化剤で処理して、R(上記定義)の
値が2.4以上となるような一層高い酸化状態にまでニッ
ケル(及びもし存在するならばコバルト)の酸化物を酸
化させることからなる前記担持緊密混合物材料を製造す
る方法を提供する。
本発明の適当な、好ましい特定の触媒は本発明の方法
での触媒の使用に関して前記した通りである。
本発明を以下実施例によって説明する。以下の実施例
において、次亜塩素酸塩分解活性は下記のようにして評
定した。
200g(約100ml)の被覆付き細片チップを、油浴中に
垂直に装着された内径2.5cmのガラス管へ仕込んだ。次
亜塩素酸ナトリウムの形で導入された次亜塩素酸イオン
の特定濃度を含む水溶液(pH10.7)を、予熱コイルを介
して、連続的に、普通は1/時の流量、すなわち10の
毎時液体空間速度(LHSV)でガラス管の底へ、そしてそ
のガラス管を上方へ通し、次いで頂部から抜き出した。
定常状態が達成されたときに次亜塩素酸含量を分析する
ための試験採取穴を設けておいた。次亜塩素酸イオンの
分解量は種々の温度及び流量において測定できた。油浴
の温度はサーモスタッドで制御した。液体流量はぜん動
ポンプにより制御した。温度、流量または次亜塩素酸塩
濃度を変化させた後、試料採取前に少なくとも60分間待
って定常状態が達成されるようにした。
次亜塩素酸塩の分析は、稀酢酸中で沃化カリウムとの
反応、次いで澱粉指示薬を用いてチオ硫酸ナトリウムに
より放出沃素を滴定することにより行なった。
実施例1 1600℃以上で焼成されたアルミナを節片化することに
より得られた0.1ml/g以下の気孔容積、及び100重量%が
2.36mmメッシュを通過しそして93重量%が1.41mmのメッ
シュ上に残留するような寸法を有する非多孔質アルファ
・アルミナ細片チップを、1当り692gの硝酸ニッケル
六水和物及び141gの硝酸マグネシウムを含む水溶液中に
室温で浸漬した。この浸漬されたアルファ・アルミナ細
片チップから液を流下除去し、乾燥し次いで475℃で3
時間焼成した。この浸漬/焼成操作をさらに二度繰り返
えした。被覆、すなわちニッケル酸化物及びマグネシウ
ム酸化物の緊密混合物は約11重量%の酸化マグネシウム
を含んでいた。この被覆は、被覆及び担体の合計重量の
約3.2重量%をなした。この触媒を「触媒A」とする。
実施例2 実施例1と同様にして、ただし硝酸マグネシウムの代
りに硝酸バリウムを用いて、触媒(「触媒B」)を作っ
た。このものは、アルファ・アルミナ担体細片チップ上
にニッケル酸化物(95重量%)及びバリウム酸化物(5
重量%)の被覆を有していた。その被覆の重量は被覆及
び担体の合計重量の約4.4%であった。
実施例3 実施例1と同様にして、ただし、浸漬用溶液中に硝酸
コバルトを含ませて触媒(「触媒C」)を作った。この
ものは、ニッケル酸化物(55重量%)、コバルト酸化物
(40重量%)及びマグネシウム酸化物(5重量%)の被
覆を有していた。この被覆の重量は被覆及び担体の合計
重量の約4.8%であった。
比較の目的で、アルファ・アルミナ担体上に、ニッケ
ル酸化物(触媒D)の被覆及びコバルト酸化物(触媒
E)の被覆を有する二つの触媒(「触媒D」及び「触媒
E」)を実施例1のようにして作ったが、これらの場合
に浸漬用溶液中に硝酸マグネシウムは用いなかった。
種々の条件下での触媒の活性を下表に示す。
実施例4 実施例1と同様にして、しかし硝酸マグネシウムの代
りに硝酸カルシウムを用いて、アルファ・アルミナ担体
細片チップ上にニッケル酸化物(95重量%)及びカルシ
ウム酸化物(5重量%)の被覆を有する触媒を作った。
この被覆の重量は担体及び被覆の合計重量の約3.5%で
あった。
次亜塩素酸イオン濃度1000重量ppm及び温度40℃で活
性を測定した。分析により、次亜塩素酸塩の分解に関
し、0.39の一次反応速度定数が認められた。前記の比較
触媒は0.29の一次反応速度定数を有した。
実施例5 実施例1〜4のいずれかの触媒が酸化剤、例えば次亜
塩素酸塩イオンを含む溶液とまず接触される場合には、
触媒は、2.5以上のR値に対応する一層高い平均酸化状
態にまで酸化されることにより活性化するので、大きな
活性を示す期間がある。これは下記の表によって示され
る。この表は、本発明による典型的な触媒、例えば「触
媒A」について、操作開始からの時間に伴なう活性の増
加を明かにしている。
活性化の前後の触媒のX線光電子スペクトル分析によ
り、Ni2p結合エネルギーが一層高いエネルギー(858.4e
V)まで増加したことが示された。このことは、ニッケ
ルの原子価が2から2.5以上の値にまで増加したことを
確認させるものである。
実施例6 融合マグネシア細片チップを50%硝酸中で30分間煮沸
して、存在する酸浸出性物質を除去した。次いでそのマ
グネシア細片チップを酸性硝酸ニッケル溶液で被覆し、
焼成して、その被覆中にニッケル酸化物とマグネシアと
の緊密混合物を生成させた。被覆の重量は、被覆及び担
体の合計重量の約3.8%であった。
950重量ppmの次亜塩素酸ナトリウムを水酸化ナトリウ
ム及び塩化ナトリウムと共に含む排出流を、70℃及びLH
SV=20で処理するのに、上記で得られた触媒を用いた。
定常状態に達した後、出口次亜塩素酸ナトリウム濃度は
0.2重量ppmであった。触媒Aは同様な結果を示し、この
ことはマグネシアとニッケル酸化物との緊密混合物がマ
グネシア担体上に被覆の形で形成されたことを示すもの
である。これは被覆をpH5の稀硝酸で洗浄したときにマ
グネシアが表面層から浸出されたことにより確認され
た。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】排出流を触媒床と接触させることからな
    る、その排出流中の酸化剤を分解する方法であって、 その触媒が、 a)ニッケル、および必要に応じてコバルトの酸化物ま
    たは水和酸化物であり、コバルト対ニッケルの原子比が
    1.0以下である少なくとも1つの微粉砕物、および b)ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロン
    チウムおよびバリウムから選択される少なくとも1つの
    周期律表の第IIA族元素(M)の酸化物の微粉砕物の少
    なくとも1つ、 の緊密混合物を担持する、非多孔質で実質上不活性であ
    る担体の細片からなり、 前記元素(M)酸化物が緊密混合物の0.5〜50重量%
    (ただし、緊密混合物の各成分は二価の無水酸化物とし
    て表して)であることを特徴とする、上記酸化剤の分解
    方法。
  2. 【請求項2】第IIA族元素がマグネシウムである特許請
    求の範囲第1項記載の方法。
  3. 【請求項3】担体がアルミナまたはマグネシアである特
    許請求の範囲第1または2項記載の方法。
  4. 【請求項4】緊密混合物が、担体と緊密混合物との合計
    重量の0.25〜15重量%である特許請求の範囲第1、2ま
    たは3項記載の方法。
  5. 【請求項5】排出流が次亜塩素酸イオンを含むものであ
    る特許請求の範囲第1〜4項のいずれかの項に記載の方
    法。
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