JP2946104B2 - シリコーン組成物の沈降分離防止方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明はシリコーン組成物の沈降分離防止方法に関
し、特にシリコーン組成物に種々の充てん剤を添加する
ことが生ずる充てん剤の沈殿分離、充てん剤の沈降分離
によって生じる充てん剤のケーキング、流動性の損失等
の不都合を解消する方法に関するものである。

（従来の技術とその課題） 樹脂およびゴムの如きシリコーン組成物に有用な性質
を付与し、又そのコストを減少するため充てん剤を添加
することはよく行われている。

充てん剤含有シリコーン組成物は種々知られている。
たとえば電気電子部品の埋め込み用に使用されているシ
リコーンポッテンィング剤は、硬化後の耐熱性、耐寒
性、耐水性、耐湿性、耐衝撃吸収性、電気特性、熱伝導
性等の優れた特性を有する為にその用途は多岐にわたっ
ている。また従来パワートランジスター、ダイオード、
コイル、各種プリンターヘッド等の発熱性電子部品は、
その使用時に熱を発生し、その特性の低下あるいは破損
にもつながる恐れから種々の放熱用シリコーンが用いら
れている。その他自動車、建設機械、産業用ロボット等
のフリンジ面の流体からシールにRTVシリコーンが用い
られている。

付加反応タイプ、縮合反応タイプ、（一液、二液）の
シリコーン組成物に対する効果の大きい充てん剤の例と
しては、熱伝導性充てん剤としての酸化亜鉛、酸化アル
ミニウム、酸化第二鉄、二酸化チタン、酸化ジルコニウ
ム等の金属酸化物や、銅、銅合金、アルミニウム、鉄等
の金属、さらには腐食をきらう用途では黒鉛、炭化ケイ
素等の高熱伝導性セラミック等が知られている。

その他のよく用いられる充てん剤の具体例としては、
ヒュームドシリカ（エアロジル）、沈降シリカ（硬化物
性、引張強さ及び引き裂き強さを増大させる）、石英粉
末、ケーソー土、炭化カルシウム、ガラス繊維、焼成ク
レー、マイカ粉、チタン酸カリウム、酸化クロム等があ
る。これらは単独または２種類以上併用して処方されて
いる。

通常シリコーン組成物はこれらの充てん剤や触媒等を
含有する一液又は三液の形で市販されている。これらの
充てん剤にシリコーン組成物の電気特性、耐熱耐寒性、
耐衝撃吸収性、耐湿性、耐薬品、熱放散性等の特性が増
大される。しかしこれらの充てん剤はシリコーン原液に
対して通常30〜70重量％といった多量に配合されている
ためにシリコーン組成物の粘度を低くおさえるべく処理
すると、つまりユーザーの使い易さを優先させようとす
ると、充てん剤が沈降してしまい、使用時にはその都度
混合、撹拌が必要となる。また流通経路で長時間保管さ
れると沈降分離の度合が進み、充てん剤のケーキングが
起こり、使用時の混合、撹拌が難かしくなるという欠点
がある。他方、沈降分離を押さえるために粘度を上げる
と、流動性が無くなり、ユーザーの使用時の使い易さが
なくなる。

かかる実情に鑑み、本発明の目的は、大幅な粘度上昇
を伴うことなく、充てん剤含有シリコーン組成物の沈降
分離（ケーキングも包含する）を公課的に抑制する方法
を提供することにあり、もって充てん剤含有シリコーン
組成物のカートリッジ化やオープン缶等での使用を可能
ならしめることにある。

（課題を解決するための手段） 本発明は、充てん剤含有シリコーン組成物にＤ−Ｓソ
ルビトールとベンズアルデヒドの縮合反応生成物を配合
して沈降分離防止性シリコーン組成物を製造することを
特徴とするシリコーン組成物の沈降分離防止方法であ
る。

本発明における充てん剤含有シリコーン組成物として
は前記した如き周知の一液又は二液（付加、縮合反応タ
イプ）シリコーン液状組成物を用いることができる。

本発明の特徴をなす配合剤はソルビトール化合物とベ
ンズアルデヒド化合物の縮合反応生成物であり、市販製
品を適宜用いることができる。その配合量は充填剤（及
び触媒）を含有する発泡性液状組成物100重量部に対し
１〜10重量部が好ましい。また二液型の場合はＡ液とＢ
液の両者に配合することが好ましい。

本発明の方法は通常充てん剤含有シリコーン液状組成
物又はそれを構成するＡ液,B液の各々と上記縮合反応生
成物と加温下に相溶、撹拌し、次いで常温において冷却
し、さらに撹拌して均一分散相とすることによって好ま
しく行われる。

かくして沈降分離防止性を付与されたシリコーン組成
物はその用途等に応じて適宜の形で利用に供される。た
とえばＡ液,B液をそれぞれカートリッジに装填し、利用
者が両者を適宜の手段で押圧開封すると自動的に混合、
射出する方式の自動混合システムにこれを取り付けて使
用する型のカートリッジ方式のシール材等として利用さ
れる。

本発明の方法により、粘度上昇を抑制しつつ、配合充
てん剤類の沈降分離を抑制することができるため、従来
の同種シール材等で通常必要とされていた使用直前での
混合、撹拌の必要がなく、また作業性に優れ、ロット毎
の品質のバラツキもなくなる。

次に実施例及び比較例に基づいて本発明を説明する。

実施例及び比較例 用いた成分の商品名の内容は次のとおりである。

「ゲルオールＤ」 Ｄ−ソルビトールとベンズアルデヒドの縮合反応生成
物……新日本理化（株） 「コアギュラン GPー１」 ラウロイルグルタミン酸ジブチルアミド……味の素
（株） 「エロジール ＃200」 シリカ微粉末……日本エアロジル（株） 市販されているシリコーン組成物である。

TB 1230 A/Bポッティング 二液 付加反応 東レシリコーンSE 4410 A/B放熱用 二液 付加反応 各100重量部に各種配合物を２重量部加え、それを熱
間100〜500℃（望ましくは120℃〜130℃）で処理した。

このように処理した混合物を室温に戻し、撹拌・混合
し、300mlのメスシリンダーに各300mlを計りとり、室温
において３ケ月の分離状態を観察した。

評価基準は次のとおりである。

○ ……分離なし0mm △ ……分離した上澄液５〜10mm × ……分離した上澄液10〜20mm ××……分離した上澄液90mm以上（無添加） 発泡後の発泡状態を○……良い、△……普通、×……だ
め、××……全くだめの基準で調べた。

表１にその結果を示す。

（発明の効果） 実施例（１及び５）と比較例（その他）の比較から明
らかないように、本発明の方法では沈降が全く認められ
ず、硬化後の特性も顕著に優れている。また配合剤添加
後の粘度上昇も相対的に少なく作業性に優れたものだっ
た。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−308025（ＪＰ，Ａ) 特開 昭62−197765（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) C08L 83/04 C08K 5/06

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】充てん剤含有シリコーン組成物にＤ−ソル
   ビトールとベンズアルデヒドの縮合反応生成物を配合し
   て沈降分離防止性シリコーン組成物を製造することを特
   徴とするシリコーン組成物の沈降分離防止方法。