JP2943795B2 - 苗植機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本件発明は、苗載台上の苗を
植付装置に向かって移送する苗送り装置を複数設けた苗
植機の技術分野に属する。

【０００２】

【従来の技術】従来、複数の植付装置と、該植付装置に
供給する複数の苗を載せる苗載台と、該苗載台上の苗を
植付装置に向かって移送する複数の苗送り装置とを備え
た苗植機において、前記複数の苗送り装置への複数の伝
動経路に苗送り装置への伝動を遮断する手段を設けたも
のがあった。

【０００３】なお、上記苗送り装置への伝動を遮断する
手段は、その手段により伝動を遮断するとき、苗送り装
置を動作させてしまう構成となっていた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上記従来の技術は、苗
送り装置への伝動を遮断する手段を設けたことにより、
最終行程が丁度一行程分残るよう最終行程の直前の行程
において一部の条の苗の植付を行なわないようにしたと
きに、その苗の植付を行なわない条の苗送り装置の作動
を停止させることができる。

【０００５】しかし、上記従来の技術においては、苗送
り装置への伝動を遮断するとき、苗送り装置を動作させ
てしまうので、その分、苗への移送作用が過分に作用す
ることになり、その結果、苗の移送作用箇所から移送下
手側部分が圧縮される。このため、植付を止めていた条
の苗の植付を再開した際、その再開初期において、苗の
植付本数が設定本数より多くなってしまい、苗の植付の
再開が適正に行なえない問題があった。

【０００６】そこで、本件発明は、上記問題点を解決す
ることを課題とするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本件発明は、上記課題を
解決するために、複数の植付装置７４と、該植付装置７
４に供給する複数の苗を載せる苗載台７５と、該苗載台
７５上の苗を植付装置７４に向かって移送する複数の苗
送り装置８１とを備えた苗植機において、前記複数の苗
送り装置８１への複数の伝動経路に苗送り装置８１を動
作させずに苗送り装置８１への伝動を遮断する手段１５
７，１５８を設けたことを特徴とする苗植機としたもの
である。

【０００８】

【作用】この苗植機は、複数の苗送り装置８１への複数
の伝動経路に設けた苗送り装置８１への伝動を遮断する
手段１５７，１５８により、一部の苗送り装置８１の作
動が停止させられる。しかも、苗送り装置８１への伝動
を遮断するとき、苗送り装置８１は動作しない。

【０００９】

【発明の効果】本件発明は、前記複数の苗送り装置８１
への複数の伝動経路に苗送り装置８１を動作させずに苗
送り装置８１への伝動を遮断する手段１５７，１５８を
設けたものであるから、最終行程が丁度一行程分残るよ
う最終行程の直前の行程において一部の条の苗の植付を
行なわないようにしたときに、その苗の植付を行なわな
い条の苗送り装置８１の作動を停止させることができ、
しかも、その苗送り装置８１の作動を停止させるときに
苗送り装置８１は動作しないから、苗への移送作用が過
分に作用することはなく、よって、植付を止めていた条
の苗の植付を再開したときに、従来のように苗の植付本
数が変動することがなく苗の植付の再開が適正に行なえ
る。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、本件発明の実施例について
説明する。第４図および第５図は本発明の一実施例をあ
らわし、この田植機１は、走行車体２の後部に設けたリ
ンク装置３に６条植の植付部４が装着されているととも
に、さらにこれとは別に施肥装置５が設けられており、
全体で施肥装置付き乗用型田植機となっている。

【００１１】走行車体２は、前後に長い平面視方形のフ
レ−ム６を備え、該フレ−ムの中間部後方寄りの位置に
エンジン１０が、その前方にミッションケ−ス１１がそ
れぞれ配設されている。なお、ミッションケ−ス１１
は、その後部上面に油圧ポンプ１２が一体に組み付けら
れているとともに、その前部からステアリングポスト１
３が上方に突設されている。そして、ミッションケ−ス
１１の側方に前輪支持ケ−ス１４，１４が変向可能に設
けられ、その下端部に前輪１５，１５が軸支されてい
る。また、フレ−ム６の後端部に突設したロ−リング軸
１６にロ−リング杆１７が左右にロ−リング自在に支持
され、その左右両端部に取り付けた後輪支持ケ−ス１
８，１８に後輪１９，１９が軸支されている。これらの
上に操縦用のステップとなるカバ−２０が取り付けら
れ、エンジン１０の上方部に操縦席２１が設置されてい
る。

【００１２】エンジン出力軸１０ａに取り出されたエン
ジン出力は、ベルト２３を介して油圧ポンプ駆動軸１２
ａに伝えられ、さらに該油圧ポンプ駆動軸からベルト２
４を介してミッション入力軸１１ａに伝えられる。ベル
ト２４が掛けられているプ−リ２５，２６はベルト溝の
幅を調節可能に構成されており、該ベルト溝幅を調節し
てプ−リ２５，２６の有効径を変えることにより、伝動
比を連続的に変化させることができる。すなわち、油圧
ポンプ駆動軸１２ａからミッション入力軸１１ａへの伝
動部がベルト無段変速式の副変速装置として構成されて
いる。ミッション入力軸１１ａからミッションケ−ス１
１への入力部に図示を省略したメインクラッチが設けら
れ、ミッションケ−ス１１の内部には主変速装置、株間
変速装置、後輪デフ装置、前輪デフ装置、後輪ブレ−キ
装置等が収納されている。ミッションケ−ス１１から前
輪駆動出力、後輪駆動出力および作業出力が取り出さ
れ、前輪駆動出力は前輪支持ケ−ス１４，１４に伝えら
れ、後輪駆動出力は後輪伝動軸２８，２８を介して後輪
支持ケ−ス１８，１８に伝えられ、また作業出力は植付
部伝動軸２９を介してエンジン１０の斜め後方部に設け
た植付クラッチケ−ス３０に伝えられる。植付クラッチ
ケ−ス３０からＰＴＯ軸３２と施肥伝動軸３３が突出し
ている。

【００１３】リンク装置３は、フレ−ム６の後端部に立
設したリンクベ−ス枠６０に１本の上リンク６１と２本
の下リンク６２，６２が回動自在に支持され、これら上
下リンクの後端部に連結枠６４が取り付けられている。
連結枠６４から後方に突設したロ−リング軸６５に植付
部４がロ−リング可能に装着される。リンク装置３の駆
動手段である油圧シリンダ６７は、基部がフレ−ム６に
枢着され、ピストンロッドの先端部が上リンク６１の基
部から垂設したスイングア−ム６８の下端部に連結され
ている。油圧シリンダ６７を伸縮させると、連結枠６４
がほぼ一定姿勢に保持されたままで上下動させられ、こ
れに装着した植付部４が昇降させられる。

【００１４】植付部４は、第１図乃至第３図に示すよう
に、前記ＰＴＯ軸３２を介して走行車体２から伝動され
る伝動ケ−ス７０と、該伝動ケ−スの両側面部に突設し
た伝動パイプ７１，…と、伝動ケ−ス７０の中央部およ
び伝動パイプ７１，７１の両端部から後方に延設した３
個のチェンケ−ス７２，…とで植付部フレ−ムが構成さ
れ、各チェンケ−ス７２，…の後端部両側に１組づつ計
６組の植付装置７４，…が設けられている。植付装置７
４，…の上側には、前側が上位となるように傾斜させた
苗載台７５が支持枠７７とレ−ル７９によって左右に滑
動自在に支持されている。苗載台７５の上面は植付条数
分（図示例では６）の苗載部７５ａ，…に仕切られてお
り、各苗載部ごとに苗を下方に送るベルト式の苗送り装
置８１，…が設けられている。また、苗載台の下端部に
は、植付装置７４，…に対応する苗取出口８２，…が形
成された受板８３が支持枠７７と一体に設けられてい
る。

【００１５】第３図は展開してあらわした植付部フレ−
ムの断面図であり、図示の如く伝動ケ−ス７０は上部ケ
−ス７０ａ、下部ケ−ス７０ｂおよび連結部７０ｃから
なり、下部ケ−ス７０ｂの両端部に伝動パイプ７１，７
１が接続されている。これら下部ケ−ス７０ｂと伝動パ
イプ７１，７１内には、ベベルギヤ９０，９１を介して
ＰＴＯ軸３２から回転力が伝えられる１本の植付装置駆
動軸９２が挿通されている。一方、チェンケ−ス７２，
…の後端部には植付装置取付軸９３，…が設けられてお
り、これら両軸９２，９３，…に取り付けたスプロケッ
ト９５，…，９６，…にチェン９７，…が掛けられてい
る。スプロケット９５，…の取付部には定位置停止クラ
ッチ９８，…が設けられ、作業を停止させたとき植付装
置７４，…が定位畳で動作を停止するようになってい
る。

【００１６】植付装置７４は、植付装置取付軸９３を中
心として回転するロ−タリケ−ス１００、該ロ−タリケ
−スに取り付けた一対の植付杆１０１，１０１を備え、
ロ−タリケ−ス１００が所定方向に回転することによ
り、植付杆１０１，１０１が所定の軌跡を描きながら上
下動しつつ、苗取出口８２に供給された苗を挾持してそ
れを圃場に植え付けてゆくように構成されている。

【００１７】連結部７０ｃ内にはカウンタ軸１１０、上
部ケ−ス７０ａ内には苗載台横送り軸１１１がそれぞれ
支承ざれており、植付装置駆動軸９２からカウンタ軸１
１０へ一対の非等径な横送り速度調節ギヤ１１３，１１
４を介して伝動され、さらにカウンタ軸１１０から苗載
台横送り軸１１１へ４組の苗取数切替ギヤ１１５（Ｉ〜
ＩＶ），１１６（Ｉ〜ＩＶ）のうちのいずれか１組を介
して伝動される。苗載台横送り軸１１１は外周部に螺旋
状の溝１２０が形成された軸で、該溝に係合する爪１２
１を有する係合メタル１２２がその周囲に摺動自在に嵌
合している。係合メタル１２２には苗載台横送り軸１１
と平行な横移動捧１２３が一体に設けられ、該横移動棒
の伝動ケ−ス外に突出した両端部に取り付けた取付板１
２５，１２５が苗載台７５側の取付板１２６，１２６に
固着されている。苗載台横送り軸１１１が回転すると、
溝１２０に沿って係合メタル１２２が移動し、これによ
って苗載台７５が左右に往復動させられ、最下段の苗が
順次苗取出口８２に供給されるのである。前記苗取数切
替ギヤ１１５（Ｉ〜ＩＶ），１１６（Ｉ〜ＩＶ）の組合
せを任意に選択して、苗載台横送り軸１１１の回転速度
を適当に設定することにより、苗載台横送り１行程当り
の苗取り数を４段階に切り替えることができる。

【００１８】苗送り装置８１は一対のロ−ラ１４０，１
４１に無端の苗送りベルト１４２を掛けたもので、駆動
側の苗送りロ−ラ１４０を所定方向に回転させ、第１図
における矢印方向に苗送りベルト１４２を移動させるよ
うになっている。苗送りロ−ラ軸１４３は同軸上に３本
設けられており、それぞれが互いに独立に支承されてい
るとともに、１本の苗送りロ−ラ軸１４３に隣り合う２
条分の苗送りロ−ラ１４０，…が取り付けられている。
このため、隣接する２条分を１組として苗送りロ−ラと
苗送りベルトを他のものから独立して着脱することがで
きる。これら苗送りロ−ラ軸１４３，…の駆動機構は次
のように構成されている。

【００１９】すなわち、前記苗載台横送り軸１１１の延
長軸１４５が伝動ケ−ス７０の一方の側面部からケ−ス
外に突出し、該延長軸に苗載台横送り１ストロ−ク分の
間隔で一対の苗送りア−ム１４６，１４６が取り付けら
れているとともに、この苗送りア−ム１４６，１４６に
対向する受動ア−ム１４７が、苗送りロ−ラ軸１４３，
…と同軸心のラチェット軸１４９に回動自在に嵌合され
ている。ラチェット軸１４９には受動ア−ム１４７に取
り付けた爪１５０が係合するラチェットホイ−ル１５１
と該ラチェットホイ−ルと一体に成形された中間軸駆動
ギヤ１５２が嵌着されており、受動ア−ム１４７が回動
するとラチェットホイ−ル１５１および中間軸駆動ギヤ
１５２が一定方向に回転するように構成されている。こ
のようにラチェットホイ−ル１５１と中間軸駆動ギヤ１
５２を一体に成形しておくと作動が確実である。また、
ラチェットホイ−ル１５１の方が中間軸駆動ギヤ１５２
よりも径が大きいので、爪１５０が中間軸駆動ギヤ１５
２に干渉することがない。さらに、苗載台７５側には苗
送りロ−ラ軸１４３，…と平行に１本の中間軸１５４が
支承されており、この中間軸１５４に前記中間軸駆動ギ
ヤ１５２に噛合する中間軸従動ギヤ１５５と、各駆動ロ
−ラ取付軸１４３，…の中央部に取り付けた苗送り従動
ギヤ１５６，…に噛合する苗送り駆動ギヤ１５７，…が
取り付けられている。各苗送り駆動ギヤ１５７，…は中
間軸１５４に対し摺動自在に取り付けられ、クラッチレ
バ−１５８，…でこれを操作することができるようにな
っている。

【００２０】苗載台７５が左右行程の端部に到達する
と、常時回転している一対の苗送りア−ム１４６，１４
６のいずれか一方が受動ア−ム１４７に係合し、当該受
動ア−ムを所定方向に所定角度だけ回動させる。これに
よってラチェットホイ−ル１５１および中間軸駆動ギヤ
１５２が一定方向に回転させられ、その回転がギヤ１５
２、ギヤ１５５、中間軸１５４、ギヤ１５７，…、ギヤ
１５６，…、苗送りロ−ラ軸１４３，…の順に伝えられ
る。ラチェット軸１４９から苗送りロ−ラ軸１４３，…
に増速して伝動されるように前記２組の伝動ギヤ１５
２，１５５および１５７，１５６の歯数が設定されてい
るので、苗送りベルト１４２，…の移動距離を充分に確
保することができ、苗送り動作が確実なものとなってい
る。また、苗載台横送り軸の延長軸１４５から苗送りロ
−ラ軸１４３に直接伝動するのではなく、延長軸から中
間軸１５４に一旦伝動したのち該中間軸から苗送りロ−
ラ軸１４３に伝動する構成とすることにより、苗送りロ
−ラ軸１４３を条ごとに独立に設けることが可能となっ
ている。図示例では、３本の苗送りロ−ラ軸１４３，…
が設けられ１本の苗送りロ−ラ軸１４３に２条分の苗送
りロ−ラ１４２，１４２が取り付けられている。この場
合、苗送り従動ギヤ１５７は駆動ロ−ラ取付軸１４３の
中央部に設けておくのがよい。

【００２１】そして、クラッチレバ−１５８を操作して
苗送り駆動ギヤ１５７と苗送り従動ギヤ１５６の噛合を
解除することにより、隣接する２条分ごとに苗送りを停
止させることができる。また、クラッチレバ−１５８の
操作で苗送り駆動ギヤ１５７が摺動して苗送り従動ギヤ
１５６との噛合が解除され苗送りが停止されるから、こ
の苗送りの停止操作時に苗送り装置８１は動作しないも
のとなる。

【００２２】従って、この田植機は、複数の苗送り装置
８１に対し複数の伝動経路、即ち、中間軸１５４から苗
送り駆動ギヤ１５７、苗送り従動ギヤ１５６を経て苗送
りロ−ラ軸１４３に伝動する複数の伝動経路を備えるも
のであり、この複数の苗送り装置８１への複数の伝動経
路に苗送り装置８１を動作させずに苗送り装置８１への
伝動を遮断する手段１５７，１５８を設けたものである
から、最終行程が丁度一行程分残るよう最終行程の直前
の行程において一部の条の苗の植付を行なわないように
したときに、その苗の植付を行なわない条の苗送り装置
８１の作動を停止させることができ、しかも、その苗送
り装置８１の作動を停止させるときに苗送り装置８１は
動作しないから、苗への移送作用が過分に作用すること
はなく、よって、植付を止めていた条の苗の植付を再開
したときに、従来のように苗の植付本数が変動すること
がなく苗の植付の再開が適正に行なえる。

【００２３】なお、植付部４の下側に、中央にセンタ−
フロ−ト１６０と左右一対のサイドフロ−ト１６１，１
６１が設けられている。各フロ−ト１６０，１６１，１
６１の両側部に苗移植用の溝を成形する作溝器１６２，
…が取り付けられている。各フロ−ト１６０，１６１，
１６１は、チェンケ−ス７２，…に取り付けたフロ−ト
支持杆１６３，…の下端部に前部が上下動自在に枢支さ
れている。センタ−フロ−ト１６０の前部には上下動検
出用の検出ロッド１６３が取り付けられており、該検出
ロッドの検出結果に基づいて前記油圧シリンダ６７制御
用の油圧バルブ１６４が駆動される。例えば圃場面が高
くなってセンタ−フロ−ト１６０の前部が上動すると、
油圧シリンダ６７が伸びる方向に油圧バルブ１６４が駆
動され、その結果植付部４が上昇する。圃場面が低くな
った場合は上記と逆に動作する。

【００２４】また、施肥装置５は、肥料を貯蔵するホッ
パ１７０と、該ホッパ内の肥料を下方に繰り出す繰出器
１７１と、該繰出器から繰り出された肥料を前記作溝器
１６２によって形成された移植溝に導く施肥パイプ１７
２とを備えている。ホッパ１７０は隣接する２条ごとに
共用されており、各々１つのホッパ１７０と２つの繰出
器１７１，１７１とからなる計３組の本体部が、リンク
ベ−ス枠６０の上に横設した角型パイプ製のエアタンク
１７４に取り付けられ、側面視で操縦席２１と苗載台７
５の間隔部に配置されている。各繰出器１７１，…内の
繰出ロ−ル１７１ａ，…は前記施肥駆動軸３３より伝動
される繰出ロ−ル駆動軸１７５によって駆動される。ま
た、エンジンル−ム内にブロワ１７７が設けられ、この
ブロワ１７７と前記エアタンク１７４とがエアパイプ１
７８で接続されているとともに、各施肥パイプ１７２，
…の始端部がエアタンク１７４に開口させて取り付けら
れている。このようにして、エンジンル−ム内の温風を
施肥パイプ１７２，…に供給することにより、パイプ内
における肥料の流通が良好となるとともに、肥料がパイ
プ内で固化するのを防止する効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】植付部の側面図

【図２】苗送り装置駆動部の断面図

【図３】植付部フレ−ムの展開断面図

【図４】田植機の側面図

【図５】田植機の平面図

【符号の説明】

１：田植機 ２：走行車体 ３：リンク装置 ４：植付部 ５：施肥装置 ７４：植付装置 ７５：苗載台 ８１：苗送り装置

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 神谷 寿 愛媛県伊予郡砥部町八倉１番地 井関農 機株式会社 技術部内 審査官 西田 秀彦 (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) A01C 11/02

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数の植付装置７４と、該植付装置７４
   に供給する複数の苗を載せる苗載台７５と、該苗載台７
   ５上の苗を植付装置７４に向かって移送する複数の苗送
   り装置８１とを備えた苗植機において、前記複数の苗送
   り装置８１への複数の伝動経路に苗送り装置８１を動作
   させずに苗送り装置８１への伝動を遮断する手段１５
   ７，１５８を設けたことを特徴とする苗植機。