JP2942524B2 - 耐衝撃性アクリル系樹脂組成物 - Google Patents

耐衝撃性アクリル系樹脂組成物

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JP2942524B2 JP9256790A JP25679097A JP2942524B2 JP 2942524 B2 JP2942524 B2 JP 2942524B2 JP 9256790 A JP9256790 A JP 9256790A JP 25679097 A JP25679097 A JP 25679097A JP 2942524 B2 JP2942524 B2 JP 2942524B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、透明性、耐侯性、
機械的性質に優れたアクリル系エラストマー素材として
好適なくし形共重合体をPMMA系重合体に配合してな
る耐衝撃性アクリル系樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】メタクリル酸メチル系重合体は、優れた
透明性、光沢、耐候性を合わせもつ樹脂として、キャス
ト板、射出成形品、押出し成形品等に従来より使用され
てきた。しかしながら、一方では硬くて脆いという特質
のために、例えばフィルム、シートにすることは困難で
あり、その用途は限定されているのが現状である。この
硬くて脆いという欠点を改良する方法としては、メタク
リル酸メチル重合体にエラストマーをブレンドする方
法、エラストマーにメタクリル酸メチルをグラフト重合
する方法等、種々の方法が提案されている。特にエラス
トマーにメタクリル酸メチルをグラフト重合する方法は
その効果が大きいので、使用するエラストマーの種類、
グラフト重合の方法について様々な提案がなされてお
り、例えばエラストマーとして、ポリブタジエン等のジ
エン系弾性体を用いる方法、アクリル酸エステル系弾性
体を用いる方法等が提案されている。しかしながら、前
者の方法では、弾性体中に存在する二重結合のために耐
候性が大幅に低下してしまうし、後者の方法は前者の方
法に比較すると改善効果が小さいため、十分な効果をあ
げるためには多量のアクリル酸エステル弾性体を用いな
ければならず、必然的に透明性、光沢等の低下を招くと
いう問題点があった。
【0003】一方、熱可塑性エラストマー素材として
は、これまでにスチレン−ジエン系ブロック共重合体、
ポリエステル−ポリエーテル系ブロック共重合体等が開
発されている。しかし、アクリル系のものについては、
その優れた透明性、耐候性からエラストマー素材が期待
されているのにもかかわらず、未だ満足すべきものが得
られていないのが現状である。
【0004】アクリル系のエラストマーを開発しようと
する試みとしては、例えばスチレン−ジエン系ブロック
共重合体の場合と同様に、アニオンリビング重合による
方法も試みられている。しかし、アクリル酸エステルの
完全なリビング重合が困難であることから満足すべき結
果が得られていない。また、架橋したアクリルゴムにメ
タクリル酸エステルをグラフト重合する方法も試みられ
ているが、アクリルゴム成分の比率が高くなるにつれて
成形加工性、透明性が低下してしまい、やはり満足すべ
きものは開発されていない。
【0005】また、高分子材料の高機能化・高性能化を
目的としてブロック共重合体やグラフト共重合体の開発
が従来より行なわれているが、近年、片末端に重合性官
能基を有するオリゴマーやポリマーの合成技術の進歩に
より、これを用いたグラフト共重合体の開発と応用に関
心が集められている。このようなオリゴマーまたはポリ
マーと通常のビニルモノマーとからくし形共重合体を合
成する方法としては、両者を重合開始剤と共に適当な溶
剤中に溶解して共重合する溶液重合法が最も一般的であ
るが、上記オリゴマーまたはポリマーと重合開始剤とを
ビニルモノマーに溶解して、塊状重合または懸濁重合を
行なうという方法もある。
【0006】しかし、上記の溶液重合法は重合が容易で
あるという利点はあるが、溶剤ヘの連鎖移動が生じやす
く、そのため高分子量のくし形共重合体を製造し難いと
いう問題があり、機械的な物性が要求される用途、例え
ばエラストマーや成形材料用途等に採用し難いものであ
った。また、ビニルモノマーヘオリゴマーやポリマーを
溶解して塊状重合や懸濁重合を行なう方法は、溶液重合
法に比べて高分子量のものが得られやすいという利点が
あるが、オリゴマーやポリマーのビニルモノマーヘの溶
解度に限界があるため、該オリゴマーやポリマーの成分
の比率の高いくし形共重合体が得られ難いという問題点
があった。このように、折角特異な共重合体の製造を目
指しながら製造条件上の制約から、低分子量のもの、あ
るいはビニルモノマー成分の比率の高いものしか得られ
ず、従来はこのくし形共重合体の所望の特性を充分に享
受できなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等はこのよう
な状況に鑑み、鋭意検討した結果、本発明に到達したも
のである。
【0008】本発明の目的は、透明性、耐候性に優れた
アクリル系エラストマーとしての特性を保持したくし形
共重体構造を有するアクリル系エラストマーとメタクリ
ル酸メチル系共重合体とからなる耐衝撃性の改善された
アクリル系樹脂組成物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、メ
タクリル酸メチル系重合体100重量部に対し、片末端
にビニル基を有し、数平均分子量が3000〜5000
0であり、そのガラス転移温度が40℃以上であるメタ
クリル酸エステル系マクロモノマー20〜60重量部
と、その単独重合体のガラス転移温度が0℃以下である
アクリル酸エステル80〜40重量部とを共重合して得
られるGPC法により測定される分子量分布曲線のピー
クトップに相当するポリスチレン換算分子量が5000
0以上であるアクリル系くし形共重合体5〜50重量部
を配合してなる耐衝撃性に優れたア クリル系樹脂組成物
である
【0010】
【発明の実施の形態】以下、まず最初に本発明のアクリ
ル系樹脂組成物を構成するくし形共重合体の製造方法に
ついて説明する。
【0011】この製造方法で用いる片末端にビニル基を
有するマクロモノマーは、その数平均分子量が3000
〜50000である必要がある。分子量が3000未満
のマクロモノマーを使用しても充分な特性を有するくし
形共重合体は得られず、また、分子量が50000を超
えるマクロモノマーでは、反応性が低くなるので好まし
くない。
【0012】このマクロモノマーの主鎖を構成するモノ
マー単位は、通常のラジカル重合可能なビニルモノマー
でよく、各種のメタクリル酸エステル、アクリル酸エス
テル、スチレン、アクリロニトリル等が例示できる。こ
のようなマクロモノマーは、例えばメタクリル酸メチル
(MMA)等のアニオンリビング重合を行ない、次いで
ハロゲン含有ビニル化合物と反応させる方法;メルカプ
ト酢酸の存在下でビニルモノマーのラジカル重合を行な
い、次いで得られたポリマーまたはオリゴマーをグリシ
ジルメタクリレート等のグリシジル基含有モノマーと反
応させる方法;ビニルフェニルケテントリメチルシリル
アセタールを開始剤としてMMA等のビニルモノマーを
重合させる方法等により得ることができる。
【0013】このマクロモノマーは、得られるくし形共
重合体においては、その枝部を構成する。一方、この製
方法で用いるビニルモノマーとしては、通常のラジカ
ル重合可能なビニルモノマーであればどのようなものも
用いることができ、アクリル酸エステル、メタクリル酸
エステル、スチレン、アクリロニトリル等が代表的なも
のとして例示できる。これらのビニルモノマーは、2種
以上を混合したものを用いることもできる。しかしなが
ら、くし形共重合体の形成の目的を勘案すれば、このビ
ニルモノマーとしては、マクロモノマーの主鎖を形成す
るモノマー成分とは異なる種類のモノマーを用いること
が好ましい。
【0014】この製造方法において用いる溶媒は、マク
ロモノマーの良溶媒である必要があり、かつ30℃にお
いて水に対して10重量%以上の溶解度を有している必
要がある。溶媒の水に対する溶解度が10重量%未満で
あれば、重合中に溶媒が水中に拡散溶解していかないた
め、重合中のモノマーの近傍に相当量の溶媒が残存して
連鎖移動の原因になって高分子量の重合体が得られ難く
なること、生成したポリマー中に溶媒が多量に残存して
ポリマーの融着等が生じ取扱いが困難になること等から
好ましくない。また、溶媒の成長ラジカルに対する連鎖
移動定数を考慮して溶媒を選択使用することが好まし
い。連鎖移動定数の大きな溶媒を用いると、本発明にお
けるような工夫を行なっても高分子量のポリマーの形成
が不利になる傾向にある。例えば、マクロモノマーがメ
タクリル酸メチル系のマクロモノマーの場合の好ましい
溶媒の例としては、アセトン、メチルエチルケトン、テ
トラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル、1,
2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、
1,2−ジアセトキシエタン、酢酸メチル、γ−ブチロ
ラクトン等を例示できるがこれに限定されるものではな
い。
【0015】この製造方法において用いるマクロモノマ
ーとビニルモノマーの比率は、目的とするくし形共重合
体に応じて任意の範囲に設定することが可能であるが、
95/5〜10/90の範囲であることが好ましく、9
0/10〜30/70の範囲であることがより好まし
い。マクロモノマーの比率が95重量%を超えると、
の製造方法によっても高分子量の重合体が得難くなり、
10重量%未満であると溶媒を混合するというこの製造
方法を用いずとも懸濁重合が可能となるのでメリットが
少なくなる。溶媒はマクロモノマー100重量部に対し
て30〜300重量部用いることが好ましい。溶媒使用
量が30重量部未満では充分な希釈効果が得られず、マ
クロモノマーのビニルモノマーヘの充分な溶解が困難と
なり、300重量部以上になると高分子量ポリマーの生
成が困難になるとともに、重合安定性も低下する。
【0016】重合開始剤としては、通常のラジカル重合
用開始剤が使用でき、ベンゾイルパーオキサイド、ラウ
ロイルパーオキサイド等の過酸化物系開始剤、アゾビス
イソブチロニトリル等のアゾ系開始剤を好ましい例とし
て例示できる。
【0017】この製造方法においては、上記マクロモノ
マーとビニルモノマーとラジカル重合開始剤とを、前記
のマクロモノマーの良溶媒中で混合することにより均一
な溶液とし、この混合溶液を分散安定剤と共に水中に投
入し、充分撹拌して懸濁液を構成させ、この状態で重合
を行なう。
【0018】すなわち、この製造方法においては、溶媒
を使用することにより、マクロモノマー、ビニルモノマ
ーおよびラジカル重合開始剤の均一な混合溶液を調製
し、この溶液を用いて懸濁液を形成する。懸濁液が形成
された段階では、各懸濁粒子は、上記の均一な混合溶液
で構成されている。本発明で使用する溶媒は、水に対し
て10重量%以上の溶解度を有しているが、マクロモノ
マーの良溶媒でもあるので、懸濁液を形成した段階では
ある程度の量の溶媒は懸濁粒子から水媒体中ヘ移行する
が、完全には水媒体中ヘ移行しない。懸濁粒子内での重
合が進行するにつれ、溶媒は水媒体中ヘ移行し、重合が
完結した際には懸濁粒子中には溶媒は殆ど残存すること
はない。
【0019】マクロモノマーとビニルモノマーとを合わ
せたモノマー量と水の比率は、重合の安定性に支障がな
く、かつモノマー混合物の形成に使用した溶媒の全量が
水中に溶解移行するに充分な量の水であればよく、モノ
マー/水=1/1.5〜1/6であることが好ましく、
1/3〜1/5であることがより好ましい。その他の懸
濁重合条件は通常の懸濁重合で採用される条件を採用す
ればよい。
【0020】重合開始剤としては、通常のラジカル重合
用開始剤が使用でき、ベンゾイルパーオキサイド、ラウ
ロイルパーオキサイド等の過酸化物系開始剤、アゾビス
イソブチロニトリル等のアゾ系開始剤を好ましい例とし
て例示できる。
【0021】また、必要に応じてn−オクチルメルカプ
タン等の連鎖移動剤を使用してもさしつかえないが、分
子量の低下が大きくならない範囲にその使用量を制限す
ることが好ましい。
【0022】この製造方法によれば、得られる共重合体
は通常の懸濁重合の場合と同様、通常粒子径が10μm
〜2mmのポリマー粒子として得られるので反応系を冷
却後、濾別、脱水、洗浄してポリマーを回収すればよ
い。
【0023】次に、本発明のアクリル系樹脂組成物を構
成するアクリル系くし形共重合体につき説明する。本発
に用いるアクリル系くし形共重合体は、片末端にビニ
ル基を有し、数平均分子量が3000〜50000であ
り、その単独重合体のガラス転移温度が40℃以上であ
るメタクリル酸エステルのポリマー(以下、メタクリル
系マクロモノマーと略称する)とアクリル酸エステル系
モノマーとを共重合させて得られるが、上記メタクリル
系マクロモノマーとアクリル酸エステル系モノマーの使
用比によって、物性、用途的にやや異なるくし形共重合
体が得られる。
【0024】メタクリル系マクロモノマー20〜60重
量部とアクリル酸エステル系モノマー80〜40重量部
とを共重合させて得られるアクリル系くし形共重合体
は、透明性、耐候性、機械的特性に優れたエラストマー
として有用であり、以下、「くし形エラストマー」と略
称する。
【0025】本発明において用いられるメタクリル系マ
クロモノマーは、数平均分子量が3000〜50000
であり、片末端にビニル基を有し、その単独重合体のガ
ラス転移温度が40℃以上であるメタクリル酸エステル
のマクロモノマーである。このようなメタクリル系マク
ロモノマーの例としては、メタクリル酸メチル、メタク
リル酸エチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸t
−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル等の単独重合体
およびこれらの共重合体のマクロモノマーを挙げること
ができる。
【0026】メタクリル系マクロモノマーの数平均分子
量が3000未満のものを用いた場合には、十分な機械
的性物性を有するくし型共重合体は得られない。逆に数
平均分子量が50000を超えるものを用いた場合に
は、反応性の低下によりくし型共重合体の合成が困難に
なるばかりでなく、得られるくし型共重合体の透明性、
耐衝撃性が低下する。メタクリル系マクロモノマーのよ
り好ましい数平均分子量の範囲は4000〜30000
である。
【0027】また、メタクリル系マクロモノマーを構成
するメタクリル酸エステルの単独重合体のガラス転移温
度が40℃未満の場合には、機械的特性や耐候性に優れ
たくし型共重合体が得られないので適当ではない。
【0028】かかるメタクリル系マクロモノマーは、従
来公知の各種方法で製造することができる。例えば、低
温・高真空下に、十分に脱水・精製した溶媒中で、メタ
クリル酸エステルのアニオンリビング重合を行ない、次
いでそのリビング重合体をハロゲン含有ビニル化合物と
反応させてマクロモノマー化する方法;メルカプト酢酸
等のカルボキシル基を有する連鎖移動剤の存在下に、メ
タクリル酸エステルのラジカル重合を行ない、得られた
末端カルボン酸のオリゴマーとメタクリル酸グリシジル
等のグリシジル基を有するビニル化合物とを反応させる
ことによりマクロモノマー化する方法;ケテントリメチ
ルシリルアセタールのような化合物を開始剤とし、不活
性ガス雰囲気下、HF2 -、(CH3)SiF2 -、F-等の
アニオンの供給源となる化合物の共存下、十分脱水・精
製した溶媒中でメタクリル酸エステルのリビング重合を
行ない、次いでリビング重合体をp−ビニルベンジルブ
ロマイド等のハロゲン含有ビニル化合物と反応させてマ
クロモノマー化する方法:およびビニルフエニルケテン
トリメチルシリルアセタールのようなスチリル基を有す
るケテンシリルアセタールを開始剤として、不活性ガス
雰囲気下、HF2 -、(CH3)SiF2 -、F-等のアニオ
ンの供給源となる化合物の共存下、十分脱水・精製した
溶媒中でメタクリル酸エステルの重合を行なう方法等に
より製造することができる。
【0029】マクロモノマーと共重合させるのに用いら
れるアクリル酸エステルは、その単独重合体のガラス転
移温度が0℃以下のものであり、アクリル酸エチル、ア
クリル酸n−ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸
オクチル、アクリル酸2,2,2−トリフルオロエチ
ル、アクリル酸4,4,5,5−テトラフルオロ−3−
オキサペンチル、アクリル酸2,2,3,3,5,5,
5−ヘプタフルオロ−4−オキサペンチル等が、単独で
または2種以上を混合して用いることができる。なかで
もアクリル酸n−ブチルが最も好適である。ガラス転移
温度が0℃を超えるアクリル酸エステルを用いた場合に
は、くし型エラストマーとしての十分な特性が得られな
【0030】本発明に用いられるくし形エラストマーに
おけるメタクリル系マクロモノマーとアクリル酸エステ
ルモノマーの構成比率はマクロモノマー20〜60重量
部に対してアクリル酸エステルモノマー80〜40重量
部である。マクロモノマーの比率が60重量部を超える
とエラストマーに必要な柔軟性が得られないし、20重
量部未満では十分な機械的強度が得られない。
【0031】本発明に用いるくし形エラストマーは、上
記のメタクリル系マクロモノマーとアクリル酸エステル
とを共重合させることにより製造することができる。共
重合方法は、ラジカル重合によるのが最も容易であり、
かつ好ましい。ラジカル重合の方法および重合条件とし
ては、生成したくし形共享合体のGPC法により測定さ
れる分子量分布曲線のピークトツプに相当するポリスチ
レン換算分子量が、50000以上になるような方法お
よび条件であれば、どのようなものでも採用できる。好
ましい重合方法の一例として、前述した溶媒を使用する
懸濁重合法が挙げられるが、必ずしもこの方法に限定さ
れるものではない。なお、本発明にいうくし形共重合体
の分子量分布曲線のピークトップに相当するポリスチレ
ン換算分子量とは、下記条件下で測定したGPC溶出曲
線のピークトップに相当する換算分子量をいう(実施例
中ではピークトップ分子量と略記する)。また、実施例
中に示した数平均分子量の値は同じ条件で測定したポリ
スチレン換算の数平均分子量である。
【0032】 GPC測定条件: 装置:201Dコンパクト型(ウォーターズ社製) カラム:TSKgelGMHXL+4000HXL+2
500HXL 溶媒:テトラヒドロフラン 温度:30℃ 流量:0.7ml/min 試料濃度:約1% 検出器:示差屈折計
【0033】本発明のアクリル系樹脂組成物は、メタク
リル酸メチル系重合体100重量部に対して、上記くし
形エラストマーを5〜50重量部配合することによって
得られ、メタクリル酸メチル系重合体の耐衝撃性を大幅
に改善するものである。ここでいう、メタクリル酸メチ
ル系重合体とは、メタクリル酸メチル単独重合体あるい
はメタクリル酸メチルと他のメタクリル酸エステルまた
はアクリル酸エステルとの共重合体で、メタクリル酸メ
チル単位が70重量%以上含有されるものを指し、通常
市販されているメタクリル酸エステル系成形材料程度の
分子量を有するものをいう。
【0034】メタクリル酸メチル系重合体100重量部
に対して、くし形エラストマーの配合量が5重量部未満
では、耐衝撃性の改善は十分ではない。また、50重量
部を超えて配合した場合には、耐熱性等が低下し、メタ
クリル酸メチル系重合体本来の特徴が失われてしまうた
め適当ではない。
【0035】メタクリル酸メチル系重合体とくし形エラ
ストマーの混合は、バンバリー混練機、ロール混練機、
スクリュー混練機等を用いて溶融混練する方法、あるい
は共通溶媒に溶解後、同時に貧溶媒中に沈殿させる方法
等、通常の樹脂の混合に用いられている方法により、容
易に実施することができる。
【0036】
【実施例】以下、本発明を実施例にしたがってより詳し
く説明する。なお、実施例中の「部」は重量部を意味す
る。また、実施例中における各種物性の評価は、下記の
方法により実施した。引張弾性率、引張破断強度、破断
伸度は、JISK−6745に準拠した。ただし、引張
破断強度は、初期の試料断面積で割りかえした値であ
る。光線透過率は、ASTMDl003に準拠した。た
だし、シートは厚み200μmのもの、成形板は厚み
3.2mmのものについて測定した。耐候性は、サンシ
ャインウエザオメーター2000時間暴露後の伸度保持
率で評価した。アイゾット衝撃強度は、ASTM D2
56に準拠し、1/4’ノッチ付きについて評価した。
熱変形温度はASTM D648に準拠し、荷重18.
56Kgで測定した。
【0037】参考例1 粉末状のポリメチルメタクリレート(PMMA)系マク
ロモノマー(AA−6、東亜合成化学工業(株)製、M
n=6000)40部を、メチルエチルケトン(20〜
60℃での水ヘの溶解度20〜30重量%、以下、ME
Kと略記する)40部とアクリル酸n−ブチル60部と
の混合溶液中に加えて溶解し、更にn−オクチルメルカ
プタン0.1部を加えて均一な溶液とした後、重合開始
剤としてアゾビスイソブチロニトリル1部を添加し、撹
拌混合して均一なモノマー/開始剤溶液を調製した。
【0038】撹拌器、冷却管、窒素ガス導入管のついて
反応容器にイオン交換水400部、燐酸カルシウム系分
散安定剤1部および上記のモノマー/開始剤溶液10
1.05部を仕込み、系内を充分に窒素置換した後、撹
拌下、反応系の温度を70℃まで昇温し、重合を開始し
た。70℃で3時間重合後、1時間かけて反応系の温度
を90℃まで昇温し、更にその温度で1時間保持して重
合を完結させた。反応系の温度を40℃まで冷却後、濾
別、洗浄、脱水し、70℃で1晩乾燥してビーズ状のポ
リマーを得た。得られたポリマーのピークトップ分子量
は250000であった
【0039】このくし形エラストマーを十分に乾燥させ
た後、小型の混練押出機を用いてダイス温度190℃で
押出して厚みが約0.2mmのシート状物に成形し、各
種物性を測定した。測定結果は下記の通りであった。 引張弾性率=500kg/cm2 引張破断強度=100kg/cm2 破断伸度=500% 光線透過率=95% 耐候性(伸度保持率)=82%
【0040】実施例1〜4および比較例1〜2 ビーズ状のPMMA樹脂(アクリペットVHK、商品
名、三菱レイヨン(株)製)100部に参考例1で合成
したくし形エラストマーを表に示した割合で配合し、
スクリュー押出機で混練押出することにより、ペレット
状のアクリル系樹脂組成物を得た。得られたぺレットを
十分乾燥させた後、射出成形により衝撃強度測定用試験
片、熱変形温度測定用試験片および光線透過率測定用の
厚さ3.2mmの板を成形し、各種物性を評価した。評
価結果を表に示した。
【0041】
【表1】
【0042】
【発明の効果】本発明により、透明性、耐候性に優れた
アクリル系エラストマーとしての特性を保持したくし形
共重体構造を有するアクリル系エラストマーとメタクリ
ル系樹脂とからなる耐衝撃性に優れたアクリル系樹脂組
成物が得られた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−101462(JP,A) 特開 昭51−125186(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08L 1/00 - 101/14 C08F 290/00 - 290/14

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 メタクリル酸メチル系重合体100重量
    部に対し、片末端にビニル基を有し、数平均分子量が3
    000〜50000であり、そのガラス転移温度が40
    ℃以上であるメタクリル酸エステル系マクロモノマー2
    0〜60重量部と、その単独重合体のガラス転移温度が
    0℃以下であるアクリル酸エステル80〜40重量部と
    を共重合して得られるGPC法により測定される分子量
    分布曲線のピークトップに相当するポリスチレン換算分
    子量が50000以上であるアクリル系くし形共重合体
    5〜50重量部を配合してなる耐衝撃性に優れたアクリ
    ル系樹脂組成物。
JP9256790A 1997-09-22 1997-09-22 耐衝撃性アクリル系樹脂組成物 Expired - Fee Related JP2942524B2 (ja)

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