JPWO2017077908A1 - アクリル樹脂組成物 - Google Patents

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奈緒子 師井
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Abstract

本発明は、共重合体(1)および重合体(2)を含むアクリル樹脂組成物であって、
前記共重合体(1)が、下記式(1a)で示される構造単位:
Figure 2017077908

と、下記式(1b)で示される構造単位:
Figure 2017077908

とを含み、共重合体(1)に含まれる全構造単位に対して、前記式(1a)で示される構造単位を5〜70質量%および前記式(1b)で示される構造単位を30〜95質量%含む共重合体であり、
前記重合体(2)は、下記式(2a)で示される構造単位:
Figure 2017077908

を含む重合体(但し、重合体(2)に含まれる全構造単位に対して、前記式(1a)で示される構造単位は5質量%未満である)であり、共重合体(1)および重合体(2)の合計100質量部に対して、共重合体(1)を1〜90質量部および重合体(2)を10〜99質量部含む、アクリル樹脂組成物に関する。

Description

本発明は、アクリル樹脂組成物に関する。また、本発明は、このアクリル樹脂組成物を含むアクリル樹脂フィルムおよびこのアクリル樹脂フィルムを含む偏光板にも関する。
アクリル樹脂組成物は、透明性に優れていることから、例えば、偏光板を構成する透明保護フィルムなどの光学フィルムの材料として広く用いられている。以前より、このような用途に用いられるアクリル樹脂組成物に対しては耐衝撃性の向上が求められてきており、改善された耐衝撃性を有するアクリル樹脂組成物が提案されている。例えば、特許文献1および2には、メタクリル酸メチルとアクリル酸n−ブチルまたはアクリル酸メチルとの共重合体単独にゴム弾性体粒子を配合することにより、かかる樹脂から形成されるフィルムの耐衝撃性や製膜性を向上させ得ることが記載されている。
特開昭63−077963号公報 特開2012−018383号公報
しかしながら、上記共重合体単独にゴム弾性体粒子を配合した場合、得られるフィルムの耐衝撃性は向上するものの、十分な耐衝撃性を得るために必要な量のゴム弾性体粒子を配合した場合にはかかる樹脂から形成されるフィルムの弾性率が低下してしまうという問題があった。
本発明は、弾性率が低下することなく高い耐衝撃性を有するアクリル樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明は、以下の好適な態様を提供するものである。
[1]共重合体(1)および重合体(2)を含むアクリル樹脂組成物であって、
前記共重合体(1)が、下記式(1a)で示される構造単位:
Figure 2017077908
〔式中、R11は水素原子またはメチル基であり、R12は末端基を表し、Xは式(1a−1):
Figure 2017077908
(式中、R13は水素原子またはメチル基であり、R14は炭素数1〜20の直鎖アルキル基、炭素数3〜20の分枝アルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基または炭素数6〜18のアリール基であり、nは数平均値として70以上の数である)
で示される二価の残基または式(1a−2):
Figure 2017077908
(式中、mは数平均値として10〜1000の数である)
で示される二価の残基である〕
と、下記式(1b)で示される構造単位:
Figure 2017077908
〔式中、R15は水素原子またはメチル基であり、R16は炭素数1〜20の直鎖アルキル基、炭素数3〜20の分枝アルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基または炭素数6〜18のアリール基である〕
とを含み、
共重合体(1)に含まれる全構造単位に対して、前記式(1a)で示される構造単位を5〜70質量%および前記式(1b)で示される構造単位を30〜95質量%含む共重合体であり、
前記重合体(2)は、下記式(2a)で示される構造単位:
Figure 2017077908
〔式中、R21は水素原子またはメチル基であり、R22は炭素数1〜20の直鎖アルキル基、炭素数3〜20の分枝アルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基または炭素数6〜18のアリール基である〕
を含む重合体(但し、重合体(2)に含まれる全構造単位に対して、前記式(1a)で示される構造単位は5質量%未満である)であり、
共重合体(1)および重合体(2)の合計100質量部に対して、共重合体(1)を1〜90質量部および重合体(2)を10〜99質量部含む、アクリル樹脂組成物。
[2]前記式(1a)中のXが式(1a−1)で示される二価の残基であり、共重合体(1)に含まれる全構造単位に対する前記式(1a)で示される構造単位の量が5〜15質量%であり、共重合体(1)および重合体(2)の合計100質量部に対して、共重合体(1)を10〜30質量部および重合体(2)を70〜90質量部含む、前記[1]に記載のアクリル樹脂組成物。
[3]共重合体(1)および重合体(2)の合計100質量部に対して、1〜50質量部のゴム弾性体粒子を含む、前記[1]または[2]に記載のアクリル樹脂組成物。
[4]前記[1]〜[3]のいずれかに記載のアクリル樹脂組成物を含むアクリル樹脂フィルム。
[5]前記[4]に記載のアクリル樹脂フィルムを含む偏光板。
[6]前記[1]〜[3]のいずれかに記載のアクリル樹脂組成物を溶融状態でダイからフィルム状に押出すことを含む、前記[4]に記載のアクリル樹脂フィルムの製造方法。
[7]前記アクリル樹脂組成物は、共重合体(1)および重合体(2)の合計100質量部に対して、共重合体(1)を35質量部以下および重合体(2)を65質量部以上含むアクリル樹脂組成物である、前記[6]に記載の製造方法。
本発明によれば、弾性率が低下することなく高い耐衝撃性を有するアクリル樹脂組成物を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、本発明の範囲はここで説明する実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲で種々の変更をすることができる。
本発明のアクリル樹脂組成物は、共重合体(1)および重合体(2)を含む。
〔共重合体(1)〕
本発明のアクリル樹脂組成物に含まれる共重合体(1)は、前記式(1a)で示される構造単位(以下、「構造単位(1a)」と称する場合がある)と、前記式(1b)で示される構造単位(以下、「構造単位(1b)」と称する場合がある)とを含む共重合体である。
構造単位(1a)は、式(1a):
Figure 2017077908
で示される構造単位である。構造単位(1a)は、末端に重合可能な不飽和基を有する比較的高い分子量の単量体(以下、該単量体を「マクロモノマー」と称する)に由来する構造単位である。
式(1a)中、R11は水素原子またはメチル基であり、アクリル樹脂組成物の耐熱性の観点から、好ましくはメチル基である。
式(1a)中の末端基R12は、構造単位(1a)に対応するマクロモノマーを合成する際に用いられる重合開始剤により決定するものであるため、特に限定されるものではなく、例えば、2−シアノ−2−プロピル基等であり得る。すなわち、例えば、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを用いた場合には、R12は2−シアノ−2−プロピル基となる。
式(1a)中、Xは、式(1a−1):
Figure 2017077908
または式(1a−2):
Figure 2017077908
で示される二価の残基である。
式(1a−1)中、R13は水素原子またはメチル基であり、アクリル樹脂組成物の耐熱性の観点から、好ましくはメチル基である。
式(1a−1)中、R14は、炭素数1〜20の直鎖アルキル基、炭素数3〜20の分枝アルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基または炭素数6〜18のアリール基である。炭素数1〜20の直鎖アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−へプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−イコシル基などが挙げられる。炭素数3〜20の分枝アルキル基としては、例えばi−プロピル基、i−ブチル基、tert−ブチル基、2−エチルヘキシル基などが挙げられる。炭素数3〜20のシクロアルキル基としては、例えばシクロプロピル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基などが挙げられる。炭素数6〜18のアリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。対応するマクロモノマーの入手が容易であることから、置換基R14は、炭素数1〜4の直鎖アルキル基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。
式(1a−1)中のnは、数平均値として70以上の数である。nは、通常300以下である。
式(1a−2)中のmは、数平均値として10〜1000の数である。mは、好ましくは30〜100である。
アクリル樹脂組成物、特にそのアクリル樹脂組成物を含むフィルムの透明性が良好となることから、Xは式(1a−1)で示される二価の残基であることが好ましい。
構造単位(1b)は、式(1b):
Figure 2017077908
で示される構造単位である。
式(1b)中、R15は水素原子またはメチル基であり、アクリル樹脂組成物の耐熱性の観点から、好ましくはメチル基である。
式(1b)中、R16は、炭素数1〜20の直鎖アルキル基、炭素数3〜20の分枝アルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基または炭素数6〜18のアリール基である。炭素数1〜20の直鎖アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−へプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−イコシル基などが挙げられる。炭素数3〜20の分枝アルキル基としては、例えばi−プロピル基、i−ブチル基、tert−ブチル基、2−エチルヘキシル基などが挙げられる。炭素数3〜20のシクロアルキル基としては、例えばシクロプロピル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基などが挙げられる。炭素数6〜18のアリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。対応する単量体の入手が容易であることから、置換基R16は炭素数1〜4の直鎖アルキル基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。
共重合体(1)に含まれる構造単位(1a)の量は、共重合体(1)に含まれる全構造単位100質量%に対して5〜70質量%であり、好ましくは5〜50質量%であり、より好ましくは5〜30質量%であり、さらに好ましくは5〜20質量%であり、特に好ましくは5〜15質量%である。共重合体(1)中の構造単位(1a)の量が、5質量%未満の場合には耐衝撃性に劣り、70質量%を超える場合には弾性率が低下し、また、重合による合成が行い難くなる。なお、共重合体(1)中に構造単位(1a)としては、1種の構造単位が含まれていてもよく、異なる複数種の構造単位が含まれていてもよい。
共重合体(1)に含まれる構造単位(1b)の量は、共重合体(1)に含まれる全構造単位100質量%に対して30〜95質量%であり、好ましくは50〜95質量%であり、より好ましくは70〜95質量%であり、さらに好ましくは80〜95質量%であり、特に好ましくは85〜95質量%である。共重合体(1)中の構造単位(1b)の量が、95質量%を超える場合には耐衝撃性に劣り、30質量%未満の場合には弾性率が低下し、また、重合による合成が行い難くなる。なお、共重合体(1)中に構造単位(1b)としては、1種の構造単位が含まれていてもよく、異なる複数種の構造単位が含まれていてもよい。
共重合体(1)は、構造単位(1a)と構造単位(1b)を必須の構造単位として含むものであり、構造単位(1a)と構造単位(1b)のみを構造単位として含むものであってもよく、または、構造単位(1a)と構造単位(1b)以外の構造単位(以下、「構造単位(1c)」と称する場合がある)を含むものであってもよい。そのような構造単位(1c)は、構造単位(1a)に対応するマクロモノマーおよび構造単位(1b)に対応する単量体と共重合し得る単量体に由来するものであれば特に限定されるものではない。例えば、アクリル酸、メタクリル酸のような不飽和酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリルのようなシアン化アルケニル、スチレン、α−メチルスチレンのようなスチレン系単量体などに由来する構造単位が挙げられる。
共重合体(1)が構造単位(1c)を含む場合、その量は共重合体(1)に含まれる全構造単位100質量%に対して、通常10質量%以下であり、0質量%であってもよい。
本発明の一実施態様において、共重合体(1)は構造単位(1c)を含まない。
共重合体(1)は、構造単位(1a)に対応するマクロモノマーおよび構造単位(1b)に対応する単量体、ならびに必要に応じて構造単位(1c)に対応する単量体を共重合させることにより製造することができる。共重合体(1)の製造方法としては特に制限されるものではなく、当該分野で公知の共重合方法を用いることができ、例えば、構造単位(1a)に対応するマクロモノマーおよび構造単位(1b)に対応する単量体、ならびに必要に応じて構造単位(1c)に対応する単量体を混合し、通常、重合開始剤を用いて重合することにより製造することができる。
共重合体(1)に含まれる構造単位(1a)に対応するマクロモノマーとしては、市販されているものを用いることができ、例えば、東亞合成(株)製の商品名AA−6(メタクリル酸メチル重合体の末端にメタクリロイルオキシ基が付加された化合物:数平均分子量7300)、AS−6(スチレン重合体の末端にメタクリロイルオキシ基が付加された化合物:数平均分子量7000)などが挙げられる。
共重合体(1)に含まれる構造単位(1b)に対応する単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピルなどが挙げられる。
重合開始剤としては、前記各構造単位に対応する単量体の重合を開始する能力を有する限り特に制限されるものではなく、公知の重合開始剤の中から適宜選択して用いることができる。本発明において、重合開始剤としては、例えば、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等の有機過酸化物や、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物などの加熱により重合を開始させる熱重合開始剤が挙げられる。重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
共重合体(1)の製造において重合開始剤を使用する場合、その量は、用いる単量体の種類やその含有量等に応じて適宜決定し得るものであるが、例えば、共重合体(1)を構成するために用いる全単量体の合計100質量部に対して、通常、0.01〜5質量部であり、好ましくは1質量部以下である。重合開始剤の量が多いほど、数平均分子量(Mn)の小さい共重合体(1)が得られる。
共重合体(1)の製造において、重合開始剤とともに連鎖移動剤を用いてもよい。連鎖移動剤としては、例えば、n−ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、2−エチルヘキシルチオグリコレート等のメルカプタン類等が好ましく用いられる。これらの連鎖移動剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
連鎖移動剤の量は、用いる単量体の種類やその含有量等に応じて適宜決定し得るものである。連鎖移動剤を用いる場合、その使用量は、共重合体(1)を構成するために用いる全単量体の合計100質量部に対して、通常、0.01〜5質量部であり、例えば0.01〜1質量部であることが好ましい。
重合方法としては、例えば、溶液重合法、塊状重合法、乳化重合法、懸濁重合法等を採用することができるが、重合後、得られた共重合体(1)の精製や取り出しが容易である点で、水中に単量体を液滴として分散させながら重合させる懸濁重合法により行うことが好ましい。具体的には、構造単位(1a)に対応するマクロモノマーと構造単位(1b)に対応する単量体、および必要に応じて構造単位(1c)に対応する単量体との混合物に重合開始剤を加え、必要により連鎖移動剤を加えた後、前記混合物を水中に分散させ、撹拌しながら加熱すればよい。撹拌することにより、単量体が水中に液滴として分散し、加熱することにより液滴中で重合開始剤が単量体に作用して重合が開始される。重合後の反応混合物から固形分を取り出し、水洗し、乾燥することにより、ビーズ状の重合体(1)を得ることができる。重合条件(重合温度や重合時間等)は、用いる単量体の種類およびその量等に応じて適宜設定することができるが、重合温度は、通常、0〜120℃であり、例えば60〜100℃であることが好ましい。また、重合時間は、通常、0.5〜24時間であり、例えば2〜12時間であることが好ましい。
共重合体(1)の重量平均分子量(Mw)は、通常、5万〜200万であり、好ましくは10万〜150万である。共重合体(1)の重量平均分子量が前記範囲内にあると、例えば、アクリル樹脂組成物を加熱溶融させてフィルム等へ加工することが容易となる。
なお、重量平均分子量は、多角度レーザー光散乱検出器を用いたゲル浸透クロマトグラフィーにより求められる。
共重合体(1)の数平均分子量(Mn)は、通常、1万〜200万であり、好ましくは2万〜150万である。共重合体(1)の数平均分子量が前記範囲内にあると、例えば、アクリル樹脂組成物を加熱溶融させてフィルム等へ加工することが容易となる。
なお、数平均分子量は、多角度レーザー光散乱検出器を用いたゲル浸透クロマトグラフィーにより求められる。
共重合体(1)の分子量分布(Mw/Mn)は、通常、1〜5であり、好ましくは1〜4である。共重合体(1)の分子量分布が前記範囲内にあると、例えば、アクリル樹脂組成物を加熱溶融させてフィルム等へ加工することが容易となる。
共重合体(1)は、通常、0.3〜0.95の平均分岐度を有することが好ましい。
なお、平均分岐度は、検出器として多角度レーザー光散乱検出器を用いたゲル浸透クロマトグラフィーにより、共重合体(1)の平均二乗半径rと、共重合体(1)と同じ分子量のポリメタクリル酸メチルの平均二乗半径rとを求め、その比r/rとして算出される。
〔重合体(2)〕
本発明のアクリル樹脂組成物に含まれる重合体(2)は、下記式(2a)で示される構造単位(以下、「構造単位(2a)」と称する場合がある)を含む重合体である。
構造単位(2a)は、式(2a):
Figure 2017077908
で示される構造単位である。
式(2a)中、R21は水素原子またはメチル基であり、アクリル樹脂組成物の耐熱性の観点から、好ましくはメチル基である。
式(2a)中、R22は炭素数1〜20の直鎖アルキル基、炭素数3〜20の分枝アルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基または炭素数6〜18のアリール基である。
炭素数1〜20の直鎖アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−へプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−イコシル基などが挙げられる。炭素数3〜20の分枝アルキル基としては、例えばi−プロピル基、i−ブチル基、tert−ブチル基、2−エチルヘキシル基などが挙げられる。炭素数3〜20のシクロアルキル基としては、例えばシクロプロピル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基などが挙げられる。炭素数6〜18のアリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。入手が容易であることから、置換基R22は炭素数1〜4の直鎖アルキル基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。
重合体(2)に含まれる構造単位(2a)の量は、重合体(2)に含まれる全構造単位100質量%に対して、10〜100質量%であることが好ましく、15〜100質量%であることがより好ましく、20〜100質量%であることが特に好ましく、さらには、80〜100質量%であることが好ましく、90〜100質量%であることがより好ましく、95〜100質量%であることが特に好ましい。重合体(2)中の構造単位(2a)の量が前記範囲内にあると、アクリル樹脂組成物、特にそのアクリル樹脂組成物を含むフィルムの透明性が良好となる。なお、共重合体(2)中に構造単位(2a)としては、1種の構造単位が含まれていてもよく、異なる複数種の構造単位が含まれていてもよい。
重合体(2)には、前記構造単位(1a)が含まれていてもよい。ただし、弾性率が低下するため、重合体(2)が構造単位(1a)を含む場合、その量は、重合体(2)に含まれる全構造単位100質量%に対して5質量%未満であり、好ましくは0.1質量%未満である。本発明の特に好適な実施態様において、重合体(2)は前記構造単位(1a)を含まない(すなわち、構造単位(1a)の量は0質量%であってよい)。
重合体(2)は、構造単位(2a)のみを構造単位として含むものであってもよく、構造単位(2a)と、重合体(2)に含まれる全構造単位100質量%に対して5質量%未満の構造単位(1a)を含むものであってもよい。さらに、重合体(2)は、構造単位(2a)および構造単位(1a)以外の構造単位(以下、「構造単位(2b)」と称する場合がある)を含むものであってもよい。そのような構造単位は、構造単位(2a)に対応する単量体および構造単位(1a)に対応する単量体と共重合し得る単量体に由来するものであれば特に限定されるものではない。例えば、アクリル酸、メタクリル酸のような不飽和酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリルのようなシアン化アルケニル、スチレン、α−メチルスチレンのようなスチレン系単量体などに由来する構造単位が挙げられる。
重合体(2)が構造単位(2b)を含む場合、その量は重合体(2)に含まれる全構造単位100質量%に対して、好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下である。本発明の一実施態様において、重合体(2)は構造単位(2b)を含まない(すなわち、構造単位(2b)の量は0質量%であってもよい)。
重合体(2)は、構造単位(2a)に対応する単量体、および必要に応じて構造単位(1a)および/または(2b)に対応する単量体を重合させることにより製造することができる。重合体(2)の製造方法としては特に制限されるものではなく、当該分野で公知の共重合方法を用いることができ、例えば、構造単位(2a)に対応する単量体、および必要に応じて構造単位(1a)および/または(2b)に対応する単量体を混合し、通常、重合開始剤を用いて重合することにより製造することができる。重合方法としては、例えば、溶液重合法、塊状重合法、乳化重合法、懸濁重合法等を採用することができる。
重合体(2)に含まれる構造単位(2a)に対応する単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピルなどが挙げられる。
重合開始剤としては、前記各構造単位に対応する単量体の重合を開始する能力を有する限り特に制限されるものではなく、公知の重合開始剤の中から適宜選択して用いることができる。例えば、上述した共重合体(1)の重合において例示したような重合開始剤を用いることができる。
重合体(2)の重量平均分子量(Mw)は、通常、5万〜30万であり、より好ましくは8万〜25万である。重合体(2)の重量平均分子量が前記範囲内にあると、例えば、アクリル樹脂組成物を加熱溶融させてフィルム等へ加工することが容易となる。
なお、重量平均分子量は、多角度レーザー光散乱検出器を用いたゲル浸透クロマトグラフィーにより求められる。
重合体(2)の数平均分子量(Mn)は、通常、2万〜30万であり、より好ましくは4万〜25万である。重合体(2)の数平均分子量が前記範囲内にあると、例えば、アクリル樹脂組成物を加熱溶融させてフィルム等へ加工することが容易となる。
なお、数平均分子量は、多角度レーザー光散乱検出器を用いたゲル浸透クロマトグラフィーにより求められる。
重合体(2)の分子量分布(Mw/Mn)は、通常、1〜3である。重合体(2)の分子量分布が前記範囲内にあると、例えば、アクリル樹脂組成物を加熱溶融させてフィルム等へ加工することが容易となる。
重合体(2)としては、市販されているアクリル樹脂を用いることもできる。市販品としては、例えば、住友化学(株)製「スミペックスMH」、「スミペックスMHF」などが挙げられる。
〔アクリル樹脂組成物〕
本発明のアクリル樹脂組成物は、前記共重合体(1)と重合体(2)を含む。
本発明のアクリル樹脂組成物は、共重合体(1)と重合体(2)の合計100質量部に対して共重合体(1)を1〜90質量部含み、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上含み、また好ましくは50質量部以下、より好ましくは35質量部以下、さらに好ましくは30質量部以下含む。本発明の一実施態様において、共重合体(1)と共重合体(2)の合計100質量部に対する共重合体(1)の含有量は、例えば5〜50質量部であってよく、10〜50質量部であってもよく、好ましくは10〜30質量部である。また、本発明のアクリル樹脂組成物は、重合体(2)を、共重合体(1)と重合体(2)の合計量100質量部に対して10〜99質量部含み、好ましくは50質量部以上、より好ましくは65質量部以上、さらに好ましくは70質量部以上含み、好ましくは95質量部以下、より好ましくは90質量部以下含む。本発明の一実施態様において、共重合体(1)と共重合体(2)の合計100質量部に対する共重合体(2)の含有量は、例えば50〜95質量部であってよく、50〜90質量部であってもよく、好ましくは70〜90質量部である。共重合体(1)および重合体(2)の含有量が前記範囲内であると、アクリル樹脂組成物の弾性率を低下させることなく高い耐衝撃性を確保することができる。
本発明のアクリル樹脂組成物のうち、構造単位(1a)中のXが式(1a−1)で示される二価の残基であり、共重合体(1)に含まれる全構造単位に対する構造単位(1a)の量が5〜15質量%であり、共重合体(1)および重合体(2)の合計100質量部に対して、共重合体(1)を10〜30質量部および重合体(2)を70〜90質量部含むアクリル樹脂組成物は、特に高い耐衝撃性を発現することができる。
本発明のアクリル樹脂組成物は、前記共重合体(1)と重合体(2)以外の他の重合体を含んでいてもよい。他の重合体としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸のような不飽和酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリルのようなシアン化アルケニル、スチレン、α−メチルスチレンのようなスチレン系単量体等から構成される重合体などが挙げられる。本発明のアクリル樹脂組成物がこのような共重合体(1)と重合体(2)以外の他の重合体を含む場合、その含有量は共重合体(1)と重合体(2)の合計100質量部に対して、通常90質量部以下、好ましくは80質量部以下である。
本発明のアクリル樹脂組成物は、ゴム弾性体粒子を含有していてもよい。
本発明において、ゴム弾性体粒子は、ゴム弾性を示す層(以下、「ゴム弾性体層」と称する場合がある)のみからなる粒子であってもよく、ゴム弾性体層とともに他の層を有する多層構造の粒子であってもよい。
ゴム弾性体層はゴム弾性重合体を含む。ゴム弾性重合体としては、例えば、オレフィン系弾性重合体、ジエン系弾性重合体、スチレン−ジエン系弾性共重合体、アクリル系弾性重合体などが挙げられる。中でも、本発明のアクリル樹脂組成物の耐光性及び透明性の観点から、アクリル系弾性重合体であることが好ましい。
アクリル系弾性重合体は、アクリル酸アルキルを主体とする、すなわち、全モノマー量を基準にアクリル酸アルキル由来の構成単位を50質量%以上含む重合体であってよい。
アクリル系弾性重合体は、アクリル酸アルキルの単独重合体であってもよいし、アクリル酸アルキル由来の構成単位を50質量%以上と、他の重合性モノマー由来の構成単位を50質量%以下とを含む共重合体であってもよい。
アクリル系弾性重合体を構成するアクリル酸アルキルとしては通常、そのアルキル基の炭素数が4〜8のものが用いられる。上記他の重合性モノマーの例を挙げれば、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルのようなメタクリル酸アルキル;スチレン、アルキルスチレンのようなスチレン系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリルのような不飽和ニトリル等の単官能モノマー、さらには、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸メタリルのような不飽和カルボン酸のアルケニルエステル;マレイン酸ジアリルのような二塩基酸のジアルケニルエステル;アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートのようなグリコール類の不飽和カルボン酸ジエステル等の多官能モノマーである。
ゴム弾性体としてアクリル系弾性重合体を含むゴム粒子は、アクリル系弾性重合体の層を有する多層構造の粒子であることが好ましい。具体的には、アクリル系弾性重合体および該アクリル系弾性重合体の層の外側または内側にメタクリル酸アルキルを主体とする硬質の重合体層を有する2層構造のものや、さらに該アクリル系弾性重合体の層の内側にメタクリル酸アルキルを主体とする硬質の重合体層を有する3層構造のものが挙げられる。
アクリル系弾性重合体の層の外側および/または内側に形成される硬質の重合体層を構成するメタクリル酸アルキルを主体とする重合体におけるモノマー組成の例は、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等の炭素数は通常1〜4程度の(メタ)アクリル酸アルキルを主体とする重合体のモノマー組成であり、特にメタクリル酸メチルを主体とするモノマー組成が好ましく用いられる。このような多層構造のアクリル系ゴム粒子は、例えば特公昭55−27576号公報に記載の方法によって製造することができる。
ゴム粒子は、その中に含まれるゴム弾性体層(アクリル系弾性重合体の層)の外側までの径(平均粒子径)が好ましくは10nm以上、より好ましくは30nm以上、さらに好ましくは50nm以上であり、好ましくは350nm以下、より好ましくは300nm以下、さらに好ましくは280nm以下である。
ゴム粒子におけるゴム弾性体層(アクリル系弾性重合体の層)の外側までの径(平均粒子径)は、次のようにして測定される。すなわち、このようなゴム粒子をアクリル樹脂組成物に混合してフィルム化し、その断面を酸化ルテニウムの水溶液で染色すると、ゴム弾性体層だけが着色してほぼ円形状に観察され、母層のアクリル系樹脂は染色されない。そこで、このようにして染色されたフィルム断面から、ミクロトーム等を用いて薄片を調製し、これを電子顕微鏡で観察する。そして、無作為に100個の染色されたゴム粒子を抽出し、各々の粒子径(ゴム弾性体層の外側までの径)を測定した後、その数平均値を上記平均粒子径とする。このような方法で測定するため、得られる上記平均粒子径は数平均粒子径である。
ゴム粒子が、最外層がメタクリル酸メチルを主体とする硬質の重合体であり、その中にゴム弾性体層(アクリル系弾性重合体の層)が包み込まれているゴム粒子である場合、このゴム粒子を母体のアクリル系樹脂に混合すると、ゴム粒子の最外層が母体のアクリル系樹脂と混和する。そのため、その断面を酸化ルテニウムで染色し、電子顕微鏡で観察すると、ゴム粒子は、最外層を除いた状態の粒子として観察される。具体的には、内層がアクリル系弾性重合体であり、外層がメタクリル酸メチルを主体とする硬質の重合体である2層構造のゴム粒子である場合には、内層のアクリル系弾性重合体部分が染色されて単層構造の粒子として観察される。また、最内層がメタクリル酸メチルを主体とする硬質の重合体であり、中間層がアクリル系弾性重合体であり、最外層がメタクリル酸メチルを主体とする硬質の重合体である3層構造のゴム粒子の場合には、最内層の粒子中心部分が染色されず、中間層のアクリル系弾性重合体部分のみが染色された2層構造の粒子として観察されることになる。
本発明のアクリル樹脂組成物がゴム弾性体粒子を含有する場合、その含有量は、共重合体(1)および重合体(2)の合計100質量部に対して、通常1〜50質量部であり、10〜30質量部であることが好ましく、10〜20質量部であることがより好ましい。
ゴム弾性体粒子を前記範囲の量で含む場合、ゴム弾性体粒子を配合しない場合と比較してより高い耐衝撃性を確保することができる。しかしながら、本発明のアクリル樹脂組成物では、ゴム弾性体粒子を含まなくても、アクリル樹脂組成物の高い耐衝撃性を確保することができるため、ゴム弾性体粒子の含有量は、共重合体(1)および重合体(2)の合計100質量部に対して1質量部以下であってよく、ゴム弾性体粒子を全く含まなくてもよい(すなわち、ゴム弾性体粒子の含有量は0質量%である)。ゴム弾性体粒子の含有量が少ないほど、弾性率の低下を抑えることができるため、フィルムにした時にその加熱収縮を抑えることができ、フィルムの耐熱性の低下を、ひいてはこのフィルムを用いた偏光板の耐熱性の低下を抑えることができる。
なお、本発明においては、ゴム粒子として、ゴム弾性を示す層とともに他の層を有する多層構造の粒子を用いた場合は、ゴム弾性を示すゴム弾性体層とその内側の層からなる部分の質量を、ゴム粒子の質量とする。例えば、上述の3層構造のゴム粒子を用いた場合は、中間層のアクリル系弾性重合体部分と最内層のメタクリル酸メチルを主体とする硬質の重合体部分との合計質量を、ゴム粒子の質量とする。上述の3層構造のアクリル系ゴム粒子をアセトンに溶解させると、中間層のアクリル系弾性重合体部分と最内層のメタクリル酸メチルを主体とする硬質の重合体部分とは、不溶分として残るので、3層構造のアクリル系ゴム粒子に占める中間層と最内層の合計の質量割合は、容易に求めることができる。
本発明のアクリル樹脂組成物は、紫外線吸収剤、帯電防止剤、光拡散剤、艶消剤、染料、光安定剤、酸化防止剤、離型剤、難燃剤などの添加剤を含んでいてもよい。
本発明のアクリル樹脂組成物は従来公知の方法により製造することができ、具体的には、例えば重合体(1)、重合体(2)、場合によりゴム弾性体粒子および添加剤を、一軸または二軸型等の押出機を用いて溶融混練する方法により製造することができる。本発明のアクリル樹脂組成物の形態は特に限定されるものではないが、取り扱いが容易である点でペレット状であることが好ましい。
〔アクリル樹脂フィルムおよび偏光板〕
本発明のアクリル樹脂フィルムは、例えば、溶融押出成形法、プレス成形法などの公知の方法により製造することができる。具体的には、例えば溶融押出成形法であれば、本発明のアクリル樹脂組成物を構成する各種材料を押出機にて溶融混練して溶融状態の本発明のアクリル樹脂組成物を得、または本発明のアクリル樹脂組成物を押出機にて溶融混練して溶融状態とした後、溶融状態の本発明のアクリル樹脂組成物をダイからフィルム状に押出すことで製造することができる。成形条件(押出条件)は特に限定されるものではなく、用いるアクリル樹脂組成物の組成、アクリル樹脂組成物の分子量・分子量分布等に応じて適宜調整すればよい。例えば、押出温度は、通常230〜300℃程度である。また、プレス成形法であれば、本発明のアクリル樹脂組成物をプレス成形用の一対の金型の間に配置し、両金型の間に挟みこんだ状態で加熱することにより、各種材料またはアクリル樹脂組成物を加熱し、溶融状態としてシート状に賦形することにより製造することができる。
溶融押出成形法により本発明のアクリル樹脂フィルムを製造する場合、得られるアクリル樹脂フィルムは、その面内で押出方向(MD方向)と、これに直交する幅方向(TD方向)とで、シャルピー衝撃強度の向上する割合が異なることもあるが、共重合体(1)と重合体(2)の合計100質量部に対する共重合体(1)の含有量が35質量部以下であり、重合体(2)の含有量が65質量部以上であると、押出方向(MD方向)と幅方向(TD方向)との両方向のシャルピー衝撃強度が向上して、好ましい。
本発明のアクリル樹脂フィルムは、必要とされる弾性率を維持したまま、高い耐衝撃性を示すため、例えば、偏光板を構成する保護フィルムとして用いることができる。アクリル樹脂フィルムの厚みは、特に制限されるものではないが、前記用途に用いられる場合には、10〜300μmであることが好ましい。
本発明の偏光板は本発明のアクリル樹脂フィルムを含む。本発明の偏光板は、好ましくは偏光フィルムの一方または両方の面に本発明のアクリル樹脂フィルムを積層し、偏光板の保護フィルムとして本発明のアクリル樹脂フィルムを含む。この場合、アクリル樹脂フィルムは未延伸で用いてもよいし、延伸して用いてもよい。
本発明の偏光板に含まれる偏光フィルムとしては、従来公知の偏光板に用いられる偏光フィルムを用いることができる。本発明の偏光板における偏光フィルムは、例えばヨウ素または二色性染料などの二色性色素がポリビニルアルコール系樹脂フィルムに吸着配向したフィルムであり、吸収軸に平行な振動面を有する偏光光を吸収し、吸収軸に直交する振動面を有する偏光光は透過する性質を持つ光学フィルムである。本発明のアクリル樹脂フィルムは偏光フィルムと、通常接着剤を介して積層される。例えばポリビニルアルコール樹脂水溶液を介して偏光フィルムとアクリル樹脂フィルムとを貼合したのち、乾燥させて形成されることで、または、紫外線硬化型接着剤を介して偏光フィルムとアクリル樹脂フィルムとを貼合したのち、紫外線を照射して硬化させることで本発明の偏光板を製造することができる。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「%」および「部」は特に断りのない限り、それぞれ「質量%」および「質量部」を表す。
1.共重合体(1)の調製
<合成例1>
表1に示す組成に従い、87.3質量%のメタクリル酸メチル(MMA)、10.7質量%のマクロモノマー(AA−6:メタクリル酸メチル重合体の末端にメタクリロイルオキシ基が付加された構造、東亞合成(株)製)、および2.0質量%のアクリル酸メチル(MA)を混合して単量体成分を得た。この単量体成分に、単量体成分100質量部に対して0.1質量部のラウロイルパーオキサイド(重合開始剤)と、0.2質量部のn−オクチルカプタン(連鎖移動剤)を添加し、これらを溶解させて単量体混合物を得た。これとは別に、イオン交換水100質量部に対して、懸濁安定剤としてポリアクリル酸ナトリウムを0.05質量部、無水第一リン酸ナトリウムを0.24質量部、第二リン酸ナトリウム7水和物を0.28質量部添加し、これらを溶解させて懸濁重合水相を得た。次いで、前記単量体混合物に、懸濁重合水相を単量体成分100質量部に対して200質量部添加し、懸濁重合を行った。得られたスラリー状の反応液を脱水機により脱水、洗浄した後、乾燥してビーズ状の共重合体(1−A)を得た。得られた共重合体(1−A)について、下記方法に従い、分子量および平均分岐度を測定した。結果を表1に示す。
<重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)>
得られた共重合体(1−A)を、テトラヒドロフラン(THF)溶媒に溶解させ、測定試料を作製した。ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)装置を用いて、測定試料の注入量を200μL、流量を1.0mL/分、測定温度を40℃として、溶出時間と強度とを測定した。GPC装置には、東ソー(株)製 HLC8220−GPC(カラムとして、東ソー(株)製「TSKgel GMHHR−H」2本を備え、RI検出器を内蔵している)を用いた。多角度レーザー光散乱検出器(Wyatt Technology製 DAWN HELEOS)により、測定試料の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)とを求めた。さらに、これらの値から分子量分布(Mw/Mn)を算出した。
<平均分岐度>
前記の多角度レーザー光散乱検出器を用いたゲル浸透クロマトグラフィーにより、共重合体(1−A)の平均二乗半径rと、同一の分子量における直鎖ポリメタクリル酸メチルの平均二乗半径rとを求め、r/rにより算出した。この数値が小さいほど、高分子鎖一本あたりに分岐構造が多く導入されていることを示す。
<マクロモノマーの重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)>
マクロモノマーAA−6を、テトラヒドロフラン(THF)溶媒に溶解させ、測定試料を作製した。ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)装置を用いて、測定試料の注入量を20μL、流量を1.0mL/分、測定温度を40℃として、溶出時間と強度とを測定した。GPC装置には、東ソー(株)製 HLC8320−GPC(カラムとして、東ソー(株)製「TSKgel SuperMultipore HZ_M」2本と「TSKgel SuperHZ2500」1本を備える)を用いた。一方、この装置を用いて標準試料から検量線を作成した。上記で求めたマクロモノマーの溶出時間におよび強度から、前記検量線に基づいてマクロモノマーの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)とを求めた。なお、標準試料はポリメチルメタクリレート(PMMA)を用いた。さらに、これらの値から分子量分布(Mw/Mn)を算出した。マクロモノマーAA−6の重量平均分子量(Mw)は13600であり、数平均分子量(Mn)は7300であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.9であり、数平均分子量(Mn)から求めたnは72であった。
<合成例2〜10>
表1に示す組成に従い、合成例1と同様の手順で共重合体(1−B)〜(1−J)を調製した。なお、合成例3〜6では、単量体成分100質量部に対して150質量部の懸濁重合水相を添加した。合成例3および4では、マクロモノマー(AA−6)に代えて、メタクリル酸メチル重合体の末端にメタクリロイルオキシ基が付加された構造のマクロモノマー(Mw=20500、Mn=10000、Mw/Mn=2.0、Mnから求めたn=100)を、合成例5および6では、メタクリル酸メチル重合体の末端にメタクリロイルオキシ基が付加された構造のマクロモノマー(Mw=37300、Mn=19100、Mw/Mn=1.9、Mnから求めたn=190)をそれぞれ用いた。また、合成例7および合成例8では、マクロモノマー(AA−6)に代えてマクロモノマー(AS−6:スチレン重合体の末端にメタクリロイルオキシ基が付加された化合物、東亞合成(株)製)を用いた。マクロモノマー(AS−6)の重量平均分子量(Mw)は13700であり、数平均分子量(Mn)は7000であり、分子量分布(Mw/Mn)は2.0であり、Mnから求めたmは65であった。合成例3〜合成例8で用いたマクロモノマーの重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)および分子量分布(Mw/Mn)は、合成例1においてマクロモノマー(AA−6)について測定し、算出したのと同様の方法で測定し算出した。得られた共重合体の分子量および平均分岐度を表1に示す。
<合成例11>
表1に示す組成に従い、合成例1と同様の手順で、マクロモノマー由来の構造単位を含まないビーズ状のアクリル樹脂を得た。得られたアクリル樹脂の分子量を表1に示す。
Figure 2017077908
2.アクリル樹脂組成物およびアクリル樹脂フィルムの調製
以下の実施例および比較例においては、共重合体(1)として、前記合成例1〜10で調製した共重合体(1−A)〜(1−J)または合成例11で調製したアクリル樹脂を用い、重合体(2)として、メタクリル酸メチル由来の構造単位を90質量%以上含むメタクリル酸メチル系樹脂〔以下、「アクリル樹脂(2)」と称する:アクリル樹脂(2)中の構造単位(1a)の量は0質量%である〕を用いた。なお、アクリル樹脂(2)の重量平均分子量(Mw)は102600であり、数平均分子量(Mn)は54700であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.9であった。また、ゴム弾性体粒子としては以下のものを用いた。
<ゴム弾性体粒子>
ゴム弾性体粒子として、最内層がメタクリル酸メチル93.8質量%、アクリル酸メチル6.0質量%およびメタクリル酸アリル0.2質量%とからなる単量体混合物の重合により得られた硬質重合体であり、中間層がアクリル酸ブチル81質量%、スチレン17質量%およびメタクリル酸アリル2質量%とからなる単量体混合物の重合により得られた弾性重合体であり、最外層がメタクリル酸メチル94質量%およびアクリル酸メチル6質量%とからなる単量体混合物の重合により得られた硬質重合体であり、前記最内層/中間層/最外層の質量割合が35/45/20であり、中間層の弾性重合体の層の平均粒子径が0.22μmである、乳化重合法によって得られた球形3層構造のゴム弾性体粒子を用いた。
ゴム弾性体粒子の平均粒子径は、ゴム弾性体粒子を前記アクリル樹脂組成物と混合してフィルム化し、その断面において酸化ルテニウムにより弾性重合体(中間層)を染色し、電子顕微鏡で観察して、染色された部分の直径から求めた。
<実施例1:アクリル樹脂組成物の調製およびプレスフィルム作製>
共重合体(1−A)5質量部とアクリル樹脂(2)95質量部とを混合し、押出機を用いて溶融混練してペレット化した。その後、前記ペレットを圧縮成形機で成形し、80mm×80mm四方、厚さ300μmのプレスフィルムを作製した。プレス処理には、210℃のプレス機(神藤金属工業所製、NSF−100型単動圧縮成形機)を用いた。まず、予熱として5分間加熱し、次いで、約2MPaの圧力下で3分間保持した。その後、約13MPaの圧力下で1分間保持した。さらに、成形したフィルムを鉄板で挟んだ状態のままプレス機から取り出し、冷却盤上で5分間冷却してプレスフィルムを得た。
<実施例2〜14:アクリル樹脂組成物の調製およびプレスフィルム作製>
表2に示す組成に従い、共重合体(1−A)〜(1−H)とアクリル樹脂(2)とを混合し、実施例1と同様にして、ペレット状のアクリル樹脂組成物を調製し、次いで80mm×80mm四方、厚さ300μmのプレスフィルムを作製した。
<実施例15および16:アクリル樹脂組成物の調製およびプレスフィルム作製>
表3に示す組成に従い、共重合体(1−I)または共重合体(1−J)15質量部と、アクリル樹脂(2)85質量部、および共重合体(1−I)または共重合体(1−J)とアクリル樹脂(2)の合計100質量部に対してゴム弾性体粒子11.7質量部を混合し、押出機を用いて溶融混練してペレット化した。その後、実施例1と同様にして圧縮成形機で成形し、80mm×80mm四方、厚さ300μmのプレスフィルムを作製した。
<比較例1:プレスフィルム作製>
ペレット状のアクリル樹脂(2)から、実施例1と同様にして80mm×80mm四方、厚さ300μmのプレスフィルムを作製した。
<比較例2〜4:アクリル樹脂組成物の調製とプレスフィルム作製>
ビーズ状の共重合体(1−A)、共重合体(1−B)または共重合体(1−G)を押出機によりペレット化した後、実施例1と同様にして圧縮成形機で成形し、80mm×80mm四方、厚さ300μmのプレスフィルムを作製した。
<比較例5および6:アクリル樹脂組成物の調製とプレスフィルムの作製>
合成例11で合成したアクリル樹脂とアクリル樹脂(2)とを表2に示す組成に従い混合し、押出機を用いて溶融混練してペレット化した。その後、実施例1と同様にして圧縮成形機で成形し、80mm×80mm四方、厚さ300μmのプレスフィルムを作製した。
<比較例7:プレスフィルムの作製>
合成例11で合成したビーズ状のアクリル樹脂を押出機によりペレット化した。その後、実施例1と同様にして圧縮成形機で成形し、80mm×80mm四方、厚さ300μmのプレスフィルムを作製した。
<比較例8:アクリル樹脂組成物の調製とプレスフィルム作製>
アクリル樹脂(2)100質量部に対し、ゴム弾性体粒子11.7質量部を混合し、押出機により溶融混練してペレット化した。その後、実施例1と同様にして圧縮成形機で成形し、80mm×80mm四方、厚さ300μmのプレスフィルムを作製した。
実施例1〜16および比較例1〜8において調製されたプレスフィルムのシャルピー衝撃強度および80℃弾性率を下記方法に従い測定した。
<シャルピー衝撃試験>
JIS K7111−1に規定される方法に従い、得られたプレスフィルムサンプルを、縦方向80mm、横方向10mmの長方形に切り出し、両短辺(10mm)を固定した状態でシャルピー衝撃強度を測定し、プレスフィルムの耐衝撃性を評価した。結果を表2および3に示す。なお、表2における衝撃強度における値は、比較例1(アクリル樹脂(2)のみで構成されたアクリル樹脂組成物)のプレスフィルムのシャルピー衝撃強度の値を100%とした場合の相対値(%)であり、表3における衝撃強度における値は、比較例8(アクリル樹脂(2)およびゴム弾性体粒子のみで構成されたアクリル樹脂組成物)のプレスフィルムのシャルピー衝撃強度の値を100%とした場合の相対値(%)であり、それぞれ「相対シャルピー衝撃強度(%)」と記した。この相対シャルピー衝撃強度(%)の値が100以上であれば、高い耐衝撃性を有すると判断した。
<80℃弾性率測定>
実施例および比較例の各プレスフィルムを縦方向80mm、横方向25mmの長方形に切り出し、80℃で、チャック間距離を50mmとして縦方向に引張速度1mm/分で引張試験を行った。引張強度が1MPaから3MPaとなる領域での応力−歪み曲線の傾きから、80℃引張弾性率を算出した。結果を表2および3に示す。なお、表2における80℃弾性率における値は、比較例1(アクリル樹脂(2)のみで構成されたアクリル樹脂組成物)のプレスフィルムの80℃弾性率の値を100%とした場合の相対値(%)であり、表3における80℃弾性率における値は、比較例8(アクリル樹脂(2)およびゴム弾性体粒子のみで構成されたアクリル樹脂組成物)のプレスフィルムの80℃弾性率の値を100(%)とした場合の相対値(%)であり、それぞれ「相対80℃弾性率(%)」と記した。この相対80℃弾性率(%)の値が96以上であれば、弾性率の低下がない/優れた弾性率を有すると判断した。
Figure 2017077908
Figure 2017077908
表2に示すとおり、共重合体に含まれる全構造単位に対して、5〜70質量%の式(1a)で示される構造単位と、30〜95質量%の式(1b)で示される構造単位とを含む共重合体(1)と、式(2a)で示される構造単位を含む重合体(2)とを含み、共重合体(1)と重合体(2)の合計100質量部に対して共重合体(1)が1〜90質量部、重合体(2)が10〜99質量部であるアクリル樹脂組成物から構成されるフィルムでは、弾性率が低下することなく、耐衝撃性が向上した(実施例1〜14)。一方、共重合体(1)および重合体(2)の含有量が前記範囲にない場合には十分な耐衝撃性が得られなかったり、80℃弾性率が著しく低下したりした(比較例2〜7)。
また、ゴム弾性体を添加することにより、耐衝撃性がより高くなることが確認された(実施例15および16)。
<合成例12〜14>
表4に示す組成に従い、合成例1と同様の手順でビーズ状の共重合体(1−K)〜(1−M)を調製した。合成例12では、マクロモノマー(AA−6)に代えて、メタクリル酸メチル重合体の末端にメタクリロイルオキシ基が付加された構造のマクロモノマー(Mw=22300、Mn=11000、Mw/Mn=2.0、Mnから求めたn=110)を、合成例13では、メタクリル酸メチル重合体の末端にメタクリロイルオキシ基が付加された構造のマクロモノマー(Mw=41500、Mn=20100、Mw/Mn=2.1、Mnから求めたn=200)を、合成例14では、メタクリル酸メチル重合体の末端にメタクリロイルオキシ基が付加された構造のマクロモノマー(Mw=55900、Mn=24300、Mw/Mn=2.3、Mnから求めたn=241)をそれぞれ用いた。合成例12〜合成例14で用いたマクロモノマーの重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)および分子量分布(Mw/Mn)は、合成例1においてマクロモノマー(AA−6)について測定し、算出したのと同様の方法で測定し算出した。得られた共重合体の分子量および平均分岐度を表4に示す。
Figure 2017077908
<実施例17〜31:アクリル樹脂組成物の調製および押出フィルム作製>
表5に示す組成に従い、ビーズ状の共重合体(1−K)または共重合体(1−L)または共重合体(1−M)と、アクリル樹脂(2)、および共重合体(1−K)または共重合体(1−L)または共重合体(1−M)とアクリル樹脂(2)の合計100質量部に対してゴム弾性体粒子11.7質量部を混合し、20mmφ単軸押出機(田辺プラスチック機械(株)製、VS20−26V型押出機)を用いてオープン成形で成形し、厚さ40μmの押出フィルムを作製した。押出時のダイス温度は250℃とした。
<比較例9:アクリル樹脂組成物の調製と押出フィルム作製>
アクリル樹脂(2)100質量部に対し、ゴム弾性体粒子11.7質量部を混合し、20mmφ単軸押出機(田辺プラスチック機械(株)製、VS20−26V型押出機)を用いてオープン成形で成形し、厚さ40μmの押出フィルムを作製した。押出時のダイス温度は250℃とした。
なお、実施例17〜31および比較例9において用いたアクリル樹脂(2)およびゴム弾性体粒子の組成は、それぞれ、実施例15で用いたものと同じである。
Figure 2017077908
実施例17〜31および比較例9において調製された押出フィルムのシャルピー衝撃強度および80℃弾性率を下記方法に従い測定した。
<MD方向シャルピー衝撃試験>
JIS K7111−1に規定される方法に従い、押出フィルムを縦方向(MD方向)100mm、横方向(TD方向)10mmの長方形に切り出し、両短辺(10mmの辺)を固定して、MD方向シャルピー衝撃強度を測定し、押出フィルムの耐衝撃性を評価した。結果を表5に示す。なお、表5における衝撃強度における値は、比較例9(アクリル樹脂(2)およびゴム弾性体粒子のみで構成されたアクリル樹脂組成物)の押出フィルムのMD方向のシャルピー衝撃強度の値を100%とした場合の相対値(%)であり、「MD方向相対シャルピー衝撃強度(%)」と記した。このMD方向相対シャルピー衝撃強度(%)の値が100以上であれば、高い耐衝撃性を有すると判断した。
<TD方向シャルピー衝撃試験>
JIS K7111−1に規定される方法に従い、押出フィルムを縦方向(MD方向)10mm、横方向(TD方向)100mmの長方形に切り出し、両短辺(10mmの辺)を固定して、シャルピー衝撃強度を測定し、押出フィルムの耐衝撃性を評価した。結果を表5に示す。なお、表5における衝撃強度における値は、比較例9(アクリル樹脂(2)およびゴム弾性体粒子のみで構成されたアクリル樹脂組成物)の押出フィルムのTD方向のシャルピー衝撃強度の値を100%とした場合の相対値(%)であり、「TD方向相対シャルピー衝撃強度(%)」と記した。このTD方向相対シャルピー衝撃強度(%)の値が100以上であれば、高い耐衝撃性を有すると判断した。
<MD方向の80℃弾性率測定>
押出フィルムを縦方向(MD方向)100mm、横方向(TD方向)25mmの長方形に切り出し、80℃で、チャック間距離を50mmとして縦方向に引張速度1mm/分で引張試験を行った。引張強度が3MPaから6MPaとなる領域での応力−歪み曲線の傾きから、80℃引張弾性率を算出した。結果を表5に示す。なお、表5における80℃弾性率における値は、比較例9(アクリル樹脂(2)およびゴム弾性体粒子のみで構成されたアクリル樹脂組成物)の押出フィルムのMD方向80℃弾性率の値を100%とした場合の相対値(%)であり、「MD方向相対80℃弾性率」と記した。この相対80℃弾性率(%)の値が96以上であれば、弾性率の低下がない/優れた弾性率を有すると判断した。
<TD方向の80℃弾性率測定>
押出フィルムを縦方向(MD方向)25mm、横方向(TD方向)100mmの長方形に切り出し、80℃で、チャック間距離を50mmとして縦方向に引張速度1mm/分で引張試験を行った。引張強度が3MPaから6MPaとなる領域での応力−歪み曲線の傾きから、80℃引張弾性率を算出した。結果を表5に示す。なお、表5における80℃弾性率における値は、比較例9(アクリル樹脂(2)およびゴム弾性体粒子のみで構成されたアクリル樹脂組成物)の押出フィルムのTD方向80℃弾性率の値を100%とした場合の相対値(%)であり、「TD方向相対80℃弾性率」と記した。この相対80℃弾性率(%)の値が96以上であれば、弾性率の低下がない/優れた弾性率を有すると判断した。
<合成例15>
表6に示す組成に従い、合成例1と同様の手順でビーズ状の共重合体(1−N)を調製した。得られた共重合体(1−N)について、合成例1と同様の方法に従い、分子量および平均分岐度を測定した。結果を表6に示す。
Figure 2017077908
<実施例32:アクリル樹脂組成物の調製およびプレスフィルム作製>
表7に示す組成に従い、共重合体(1−N)とデンカ(株)製レジスファイR200とを混合し、実施例1と同様にして、ペレット状のアクリル樹脂組成物を調製し、次いで80mm×80mm四方、厚さ300μmのプレスフィルムを作製した。なお、R200の重量平均分子量(Mw)は185000であり、数平均分子量(Mn)は79000であり、分子量分布(Mw/Mn)は2.4である(PMMA換算)。
<実施例33:アクリル樹脂組成物の調製およびプレスフィルム作製>
表7に示す組成に従い、共重合体(1−I)とアルケマ(株)社製HT121とを混合し、実施例1と同様にして、ペレット状のアクリル樹脂組成物を調製し、次いで80mm×80mm四方、厚さ300μmのプレスフィルムを作製した。なお、HT121の重量平均分子量(Mw)は78000であり、数平均分子量(Mn)は41000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.9である(PMMA換算)。
<比較例10:アクリル樹脂組成物の調製およびプレスフィルム作製>
表7に示す組成に従い、アクリル樹脂(2)とデンカ(株)製レジスファイR200とを混合し、実施例1と同様にして、ペレット状のアクリル樹脂組成物を調製し、次いで80mm×80mm四方、厚さ300μmのプレスフィルムを作製した。
<比較例11:アクリル樹脂組成物の調製およびプレスフィルム作製>
表7に示す組成に従い、アクリル樹脂(2)とアルケマ(株)社製HT121とを混合し、実施例1と同様にして、ペレット状のアクリル樹脂組成物を調製し、次いで80mm×80mm四方、厚さ300μmのプレスフィルムを作製した。
実施例32および33ならびに比較例10および11において調製されたプレスフィルムのシャルピー衝撃強度および80℃弾性率を下記方法に従い測定した。
<シャルピー衝撃試験>
JIS K7111−1に規定される方法に従い、得られたプレスフィルムサンプルを、縦方向80mm、横方向10mmの長方形に切り出し、両短辺(10mm)を固定した状態でシャルピー衝撃強度を測定し、プレスフィルムの耐衝撃性を評価した。結果を表7に示す。なお、表7中の実施例32における衝撃強度における値は、比較例10(アクリル樹脂(2)とR200で構成されたアクリル樹脂組成物)のプレスフィルムのシャルピー衝撃強度の値を100%とした場合の相対値(%)であり、表7中の実施例33における衝撃強度における値は、比較例11(アクリル樹脂(2)とHT121で構成されたアクリル樹脂組成物)のプレスフィルムのシャルピー衝撃強度の値を100%とした場合の相対値(%)であり、それぞれ「相対シャルピー衝撃強度(%)」と記した。この相対シャルピー衝撃強度(%)の値が100以上であれば、高い耐衝撃性を有すると判断した。
<80℃弾性率測定>
実施例および比較例の各プレスフィルムを縦方向80mm、横方向25mmの長方形に切り出し、80℃で、チャック間距離を50mmとして縦方向に引張速度1mm/分で引張試験を行った。引張強度が1MPaから3MPaとなる領域での応力−歪み曲線の傾きから、80℃引張弾性率を算出した。結果を表7に示す。なお、表7中の実施例32における80℃弾性率における値は、比較例10(アクリル樹脂(2)とR200で構成されたアクリル樹脂組成物)のプレスフィルムの80℃弾性率の値を100%とした場合の相対値(%)であり、表7中の実施例33における80℃弾性率における値は、比較例11(アクリル樹脂(2)とHT121で構成されたアクリル樹脂組成物)のプレスフィルムの80℃弾性率の値を100(%)とした場合の相対値(%)であり、それぞれ「相対80℃弾性率(%)」と記した。この相対80℃弾性率(%)の値が96以上であれば、弾性率の低下がない/優れた弾性率を有すると判断した。
Figure 2017077908

Claims (7)

  1. 共重合体(1)および重合体(2)を含むアクリル樹脂組成物であって、
    前記共重合体(1)が、下記式(1a)で示される構造単位:
    Figure 2017077908
    〔式中、R11は水素原子またはメチル基であり、R12は末端基を表し、Xは式(1a−1):
    Figure 2017077908
    (式中、R13は水素原子またはメチル基であり、R14は炭素数1〜20の直鎖アルキル基、炭素数3〜20の分枝アルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基または炭素数6〜18のアリール基であり、nは数平均値として70以上の数である)
    で示される二価の残基または式(1a−2):
    Figure 2017077908
    (式中、mは数平均値として10〜1000の数である)
    で示される二価の残基である〕
    と、下記式(1b)で示される構造単位:
    Figure 2017077908
    〔式中、R15は水素原子またはメチル基であり、R16は炭素数1〜20の直鎖アルキル基、炭素数3〜20の分枝アルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基または炭素数6〜18のアリール基である〕
    とを含み、
    共重合体(1)に含まれる全構造単位に対して、前記式(1a)で示される構造単位を5〜70質量%および前記式(1b)で示される構造単位を30〜95質量%含む共重合体であり、
    前記重合体(2)は、下記式(2a)で示される構造単位:
    Figure 2017077908
    〔式中、R21は水素原子またはメチル基であり、R22は炭素数1〜20の直鎖アルキル基、炭素数3〜20の分枝アルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基または炭素数6〜18のアリール基である〕
    を含む重合体(但し、重合体(2)に含まれる全構造単位に対して、前記式(1a)で示される構造単位は5質量%未満である)であり、
    共重合体(1)および重合体(2)の合計100質量部に対して、共重合体(1)を1〜90質量部および重合体(2)を10〜99質量部含む、アクリル樹脂組成物。
  2. 前記式(1a)中のXが式(1a−1)で示される二価の残基であり、共重合体(1)に含まれる全構造単位に対する前記式(1a)で示される構造単位の量が5〜15質量%であり、共重合体(1)および重合体(2)の合計100質量部に対して、共重合体(1)を10〜30質量部および重合体(2)を70〜90質量部含む、請求項1に記載のアクリル樹脂組成物。
  3. 共重合体(1)および重合体(2)の合計100質量部に対して、1〜50質量部のゴム弾性体粒子を含む、請求項1または2に記載のアクリル樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のアクリル樹脂組成物を含むアクリル樹脂フィルム。
  5. 請求項4に記載のアクリル樹脂フィルムを含む偏光板。
  6. 請求項1〜3のいずれかに記載のアクリル樹脂組成物を溶融状態でダイからフィルム状に押出すことを含む、請求項4に記載のアクリル樹脂フィルムの製造方法。
  7. 前記アクリル樹脂組成物は、共重合体(1)および重合体(2)の合計100質量部に対して、共重合体(1)を35質量部以下および重合体(2)を65質量部以上含むアクリル樹脂組成物である、請求項6に記載の製造方法。
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