JP2012018383A - 光学フィルム、防眩性フィルム及び偏光板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】透明なアクリル系樹脂に平均粒径10〜300nmのゴム弾性体粒子を25〜45重量%含有するアクリル系樹脂組成物100重量部に対し、滑剤が0.01〜0.09重量部の割合で配合されてなる組成物から、フィルム状に形成されている光学フィルムが提供される。滑剤はステアリン酸系化合物からなることが好ましい。紫外線吸収剤を含有させ、波長380nmにおける透過率を25%以下とすることも好ましい。この光学フィルムに防眩層を形成して、防眩性フィルムとすることができる。これらの光学フィルム又は防眩性フィルムを、ポリビニルアルコール系偏光フィルムに貼合し、偏光板又は防眩性偏光板とすることができる。
【選択図】なし
Description
本発明の光学フィルムは、透明なアクリル系樹脂に、平均粒径が10〜300nmのゴム弾性体粒子を25〜45重量%配合するとともに、そのアクリル系樹脂とゴム弾性体粒子を含有するアクリル系樹脂組成物100重量部に対して、滑剤を0.01〜0.09重量部の割合で配合してなる組成物から形成する。
アクリル系樹脂は、通常、メタクリル酸アルキルを主体とする重合体である。具体的には、メタクリル酸アルキルの単独重合体又はメタクリル酸アルキルを2種以上用いた共重合体であってもよいし、メタクリル酸アルキル50重量%以上とメタクリル酸アルキル以外の単量体50重量%以下との共重合体であってもよい。メタクリル酸アルキルとしては通常、そのアルキル基の炭素数が1〜4のものが用いられ、なかでもメタクリル酸メチルが好ましく用いられる。
アクリル系樹脂に配合されるゴム弾性体粒子は、ゴム弾性を示す層を含む粒子である。このゴム弾性体粒子は、ゴム弾性を示す層のみからなる粒子であってもよいし、ゴム弾性を示す層とともに他の層を有する多層構造の粒子であってもよい。ゴム弾性体としては、例えば、オレフィン系弾性重合体、ジエン系弾性重合体、スチレン−ジエン系弾性共重合体、アクリル系弾性重合体などが挙げられる。なかでも、光学フィルムの表面硬度、耐光性、及び透明性の観点から、アクリル系弾性重合体が好ましく用いられる。
本発明では、以上説明したアクリル系樹脂にゴム弾性体粒子が所定量配合されてなるアクリル系樹脂組成物に少量の滑剤を配合し、それから光学フィルムを製膜する。このために用いる滑剤は、アクリル系樹脂フィルム表面のすべり性を向上させる機能を有するものであればよい。そのような機能を有する化合物の例を挙げると、ステアリン酸系化合物、アクリル系化合物、エステル系化合物などがある。なかでも本発明においては、ステアリン酸系化合物が、滑剤として好ましく用いられる。
本発明で用いるアクリル系樹脂にゴム弾性体粒子及び滑剤が配合された組成物は、さらに紫外線吸収剤を含有し、フィルムとしたときに紫外線吸収能を有することが、そのフィルムを偏光板に適用するうえでは好ましい。すなわち、本発明の偏光板の主な用途として意図される液晶表示装置は、液晶セルの両面に偏光板が貼合された液晶パネルを主要な構成要素とするところ、液晶セルに封入されている液晶物質は、紫外線によって劣化することが多い。そして液晶パネルの視認側には太陽光をはじめとする外光が、また背面側にはバックライトからの光がそれぞれあたり、いずれも紫外線を含んでいるので、偏光板に紫外線吸収能を付与することは、液晶セル内の液晶物質の劣化を防ぐうえで有効である。
アクリル系樹脂にゴム弾性体粒子及び滑剤が配合された組成物、あるいはさらに紫外線吸収剤が配合された組成物は、必要に応じ、蛍光増白剤、分散剤、熱安定剤、光安定剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、酸化防止剤などの各種添加剤を含有してもよい。
本発明の光学フィルムを構成するアクリル系樹脂組成物は、そのガラス転移温度Tgが80〜120℃の範囲内にあることが好ましい。またこの組成物は、フィルムに成形したときの表面の硬度が高いこと、具体的には、 JIS K 5600-5-4:1999「塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第4節:引っかき硬度(鉛筆法)」に準じて荷重500gで測定される鉛筆硬度がH又はそれより硬いものであることが好ましい。
光学フィルムには、液晶モジュールの組立工程における表面の擦り傷防止の観点から、ハードコート処理を施すことができる。また、帯電防止処理などの表面処理を施すこともできる。ただし、本発明の光学フィルムを偏光フィルムの保護フィルムとして用い、偏光板を形成する場合、帯電防止機能は、上記の光学フィルムに表面処理を施すことによって付与することができるほか、粘着剤層など、この光学フィルムが組み込まれた偏光板の他の部分に付与することもできる。光学フィルムへの表面処理としてはその他、反射防止処理や防汚処理なども挙げることができる。さらには、視認性向上、外光の映り込み防止、プリズムシートとカラーフィルターの干渉によるモアレ低減などの観点から、防眩処理を施すこともできる。防眩処理を施して防眩性フィルムとする形態については、項を改めて説明することとし、ここではその他の機能層について、順を追って説明する。
ハードコート層は、光学フィルムの表面硬度を高める機能を有し、表面の擦り傷防止などの目的で設けられる。ハードコート層は、 JIS K 5600-5-4:1999「塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第4節:引っかき硬度(鉛筆法)」に規定される鉛筆硬度試験(ハードコート層が形成された光学フィルムをガラス板の上に置いて測定する)で、2H又はそれより硬い値を示すことが好ましい。かかるハードコート層を形成する材料は、一般に、熱や光によって硬化するものである。例えば、有機シリコーン系、メラミン系、エポキシ系、アクリル系、ウレタンアクリレート系などの有機ハードコート材料や、二酸化ケイ素などの無機ハードコート材料を用いることができる。これらのなかでも、基材のアクリル系樹脂フィルムに対する接着力が良好であり、生産性に優れることから、ウレタンアクリレート系及び多官能アクリレート系ハードコート材料が好ましい。
帯電防止層は、フィルムの表面に導電性を付与し、静電気による影響を抑制するなどの目的で設けられる。帯電防止層の形成には、例えば、導電性物質(帯電防止剤)を含有する樹脂組成物を塗布する方法が採用できる。例えば、上述したハードコート層の形成に用いるハードコート材料に帯電防止剤を共存させておくことにより、帯電防止性のハードコート層を形成することができる。
反射防止層は、外光の反射を防止するための層であり、光学フィルムの表面(外部に露出する面)に直接、又はハードコート層などの他の層を介して設けられる。反射防止層が設けられた光学フィルムは、波長430〜700nmの光に対する入射角5°での反射率が2%以下であることが好ましく、とりわけ、波長550nmの光に対する同じ入射角での反射率が1%以下であることが好ましい。
CF3(CF2)nCH2CH2Si(OR)3
で示される化合物であることができ、ここで、Rは炭素数1〜5のアルキル基を表し、nは0〜12の整数を表す。なかでも、上記式中のnが2〜6である化合物が好ましい。
3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、
3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、
3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、
3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン、
3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、
3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシランなど。
防汚層は、撥水性、撥油性、耐汗性、防汚性などを付与するために設けられる。防汚層を形成するための好適な材料は、フッ素含有有機化合物である。フッ素含有有機化合物としては、フルオロカーボン、パーフルオロシラン、これらの高分子化合物などを挙げることができる。防汚層の形成方法は、形成する材料に応じて、蒸着やスパッタリングを代表例とする物理的気相成長法、化学的気相成長法、湿式コーティング法などを用いることができる。防汚層の平均厚さは、通常1〜50nm程度、好ましくは3〜35nmである。
アクリル系樹脂にゴム弾性体粒子が所定量配合され、さらに滑剤が少量配合された組成物から、あるいはさらに紫外線吸収剤が配合された組成物から形成される本発明の光学フィルムは、その表面に防眩層を形成して、防眩性フィルムとすることができる。すなわち防眩性フィルムは、光学フィルムとその表面に形成された微細な表面凹凸形状を有する防眩層とからなる。防眩層は、表面に微細な凹凸形状を有する層であり、好ましくは、上述したハードコート材料から形成される。
防眩層を形成するために微粒子を配合する場合、その微粒子は、平均粒径が 0.5〜5μm で、透明樹脂との屈折率差が0.02〜0.2であるものを用いることが好ましい。平均粒径及び透明樹脂との屈折率差がこの範囲にある微粒子を用いることにより、効果的にヘイズを発現させることができる。この微粒子の平均粒径は、動的光散乱法などによって求めることができる。本明細書では、微粒子の平均粒径は、メーカーから入手した値をそのまま用いた。この平均粒径は、重量平均粒径となる。
無機微粒子又は有機微粒子を分散させるための透明樹脂は、高硬度(ハードコート)となる材料から選定することが好ましい。かかる透明樹脂としては、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂などを用いることができるが、生産性や得られる被膜の硬度などの観点から、光硬化性樹脂が好ましく使用される。光硬化性樹脂としては、一般に多官能アクリレートが用いられる。その例を挙げると、トリメチロールプロパンのジ−又はトリ−アクリレート、ペンタエリスリトールのトリ−又はテトラ−アクリレート、分子内に水酸基を少なくとも1個有するアクリレートとジイソシアネートとの反応生成物である多官能ウレタンアクリレートなどがある。これらの多官能アクリレートは、それぞれ単独で又は必要に応じて2種以上組み合わせて用いることができる。
このような光硬化性樹脂は、光重合開始剤と組み合わせて、光硬化性樹脂組成物とされる。光重合開始剤には、アセトフェノン系、ベンゾフェノン系、ベンゾインエーテル系、アミン系、ホスフィンオキサイド系など、各種のものがある。アセトフェノン系光重合開始剤に分類される化合物の例を挙げると、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(別名ベンジルジメチルケタール)、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシル フェニル ケトン、2−メチル−2−モルホリノ−1−(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オンなどがある。ベンゾフェノン系光重合開始剤に分類される化合物の例を挙げると、ベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4′−ジメトキシベンゾフェノンなどがある。ベンゾインエーテル系光重合開始剤に分類される化合物の例を挙げると、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテルなどがある。アミン系光重合開始剤に分類される化合物の例を挙げると、N,N,N′,N′−テトラメチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン(別名ミヒラーズケトン)などがある。ホスフィンオキサイド系光重合開始剤の例を挙げると、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドなどがある。他に、キサントン系化合物やチオキサント系化合物なども、光重合開始剤として知られている。
光硬化性樹脂組成物には、必要に応じて溶媒が添加される。この場合は、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチルなど、組成物を構成する各成分を溶解しうる任意の有機溶媒を用いることができる。もちろん、2種以上の有機溶媒を混合して用いることもできる。
防眩層の形成に上記のような光硬化性樹脂を用いる場合、以上説明した光硬化性樹脂組成物を構成する各成分に無機又は有機の微粒子を分散させた後、この樹脂組成物を光学フィルム上に塗布し、光を照射することにより、透明樹脂中に微粒子が分散されたハードコート層(防眩層)を形成することができる。
以上説明したアクリル系樹脂組成物から形成される光学フィルム、あるいはそこに防眩層を設けた防眩性フィルムは、保護フィルムとして偏光フィルムに貼合し、偏光板とすることができる。防眩性フィルムを偏光フィルムに貼合する場合は、その防眩層とは反対側の面で偏光フィルムに貼合される。偏光フィルムの一方の面に本発明の光学フィルム又は防眩性フィルムを貼合し、偏光フィルムの他方の面には他の樹脂からなる保護フィルムを貼合することもできる。以下、単に「光学フィルム」というときは、防眩性フィルムも含むものとする。
偏光フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素を吸着配向させ、所定の偏光特性が得られるようにしたものであることができる。二色性色素としては、ヨウ素や二色性有機染料が用いられる。このような偏光フィルムには、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムにヨウ素が吸着配向しているヨウ素系偏光フィルムと、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性有機染料が吸着配向している染料系偏光フィルムがある。
次に、偏光フィルムと光学フィルムとの貼合方法について説明する。偏光フィルムと光学フィルムの貼合には、一般に接着剤が用いられる。接着剤としては、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、シアノアクリレート系樹脂、アクリルアミド系樹脂などを接着剤成分とするものを用いることができる。好ましく用いられる接着剤の一つは、無溶剤型の接着剤である。無溶剤型の接着剤は、有意量の溶剤を含まず、加熱又は活性エネルギー線(例えば、紫外線、可視光、電子線、X線など)の照射により反応硬化する硬化性化合物(モノマー又はオリゴマー)を含み、当該硬化性化合物の硬化により接着剤層を形成するものであり、典型的には、加熱や活性エネルギー線の照射により反応硬化する硬化性化合物と、重合開始剤とを含んで構成される。無溶剤型接着剤のなかでは、反応性の観点から、カチオン重合で硬化するものが好ましく、とりわけ、エポキシ化合物を硬化性化合物とする無溶剤型のエポキシ系接着剤は、偏光フィルムと、アクリル系樹脂又はその他の樹脂フィルムからなる光学フィルムとの接着性に優れているため、好ましく用いられる。
3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、
エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、
ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル) アジペート、
ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル) アジペート、
ジエチレングリコールビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルエーテル)、
エチレングリコールビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルエーテル)、
2,3,14,15−ジエポキシ−7,11,18,21−テトラオキサトリスピロ−[5.2.2.5.2.2]ヘンイコサン(この化合物は、3,4−エポキシシクロヘキサンスピロ−2’,6’−ジオキサンスピロ−3'',5''−ジオキサンスピロ−3''',4'''−エポキシシクロヘキサンとも命名できる)、
3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−8,9−エポキシ−1,5−ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、
4−ビニルシクロヘキセンジオキサイド、
ビス−2,3−エポキシシクロペンチルエーテル、
ジシクロペンタジエンジオキサイドなど。
-105”、“BBI-101”、“BBI-102”、“BBI-103”、“BBI-105”、“TPS-101”、 “TPS-102”、“TPS-103”、“TPS-105”、“MDS-103”、“MDS-105”、“DTS-102”及び“DTS-103”、ローディア社から販売されている“PI-2074”などを挙げることができる。
(アクリル系樹脂とアクリル系弾性重合体粒子)
メタクリル酸メチル/アクリル酸メチルの重量比96/4の共重合体を、アクリル系樹脂とした。また、最内層が、メタクリル酸メチルに少量のメタクリル酸アリルを用いて重合された硬質の重合体、中間層が、アクリル酸ブチルを主成分とし、さらにスチレン及び少量のメタクリル酸アリルを用いて重合された軟質の弾性体、最外層が、メタクリル酸メチルに少量のアクリル酸エチルを用いて重合された硬質の重合体からなる3層構造の弾性体粒子であって、中間層である弾性体までの平均粒径が240nmのものを、アクリル系弾性重合体粒子とした。
上記のアクリル系樹脂と上記のアクリル系弾性重合体粒子が前者/後者=70/30の重量比で配合されているペレットを二軸押出機で溶融混練しつつ、その100部に対して滑剤であるステアリン酸 0.05部を加えて混合し、アクリル系樹脂組成物のペレットとした。このペレットを65mmφの一軸押出機に投入し、設定温度275℃のT型ダイを介して押し出し、押し出されたフィルム状溶融樹脂の両面を、45℃に温度設定された鏡面を有する2本のポリシングロールで挟み込んで冷却し、アクリル系樹脂フィルムを作製した。得られたフィルムは、直径6インチ(15.2mm) のコアに巻き取った。
ステアリン酸の添加量を0.05部から、0.03部に変更した以外は、実施例1と同様にして、アクリル系樹脂フィルムを作製し、直径6インチのコアに巻き取った。こうしてコアに巻き取った状態でフィルムを3ヶ月間保管したところ、3ヶ月保管後でも、巻き締まりは観察されず、また滑剤のブリードアウトも観察されなかった。
ステアリン酸の添加量を0.05部から、0.07部に変更した以外は、実施例1と同様にして、アクリル系樹脂フィルムを作製し、直径6インチのコアに巻き取った。こうしてコアに巻き取った状態でフィルムを3ヶ月間保管したところ、3ヶ月保管後でも、巻き締まりは観察されず、また滑剤のブリードアウトも観察されなかった。
実施例1において、滑剤であるステアリン酸とともに、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤である2,2′−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール〕を、アクリル系樹脂とアクリル系弾性重合体粒子の合計100重量部に対して 0.5部加え、その他は実施例1と同様にして、アクリル系樹脂組成物のペレットを作製し、さらにそのペレットから実施例1と同じ溶融押出法によってアクリル系樹脂フィルムを作製し、直径6インチのコアに巻き取った。このフィルムは、波長380nmにおいて23%の透過率を示した。こうしてコアに巻き取った状態でフィルムを3ヶ月間保管したところ、3ヶ月保管後でも、巻き締まりは観察されず、また滑剤のブリードアウトも観察されなかった。
実施例4において、アクリル系樹脂とアクリル系弾性重合体粒子の合計100重量部に対するベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の配合量を 1.9部に変更し、その他は実施例4と同様にして、アクリル系樹脂フィルムを作製し、直径6インチのコアに巻き取った。このフィルムは、波長380nmにおいて 0.9%の透過率を示した。こうしてコアに巻き取った状態でフィルムを3ヶ月間保管したところ、3ヶ月保管後でも、巻き締まりは観察されず、また滑剤のブリードアウトも観察されなかった。
ステアリン酸を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして、アクリル系樹脂フィルムを作製し、直径6インチのコアに巻き取った。こうしてコアに巻き取った状態でフィルムを3ヶ月間保管したところ、3ヶ月保管後に巻き締まりが観察された。ここで、巻き締まりとは、ロール状に巻かれた状態で締まってしまい、ロール状フィルムの最表面にくぼみなどが生じている現象である。
ステアリン酸の添加量を0.05部から、0.10部に変更した以外は、実施例1と同様にして、アクリル系樹脂フィルムを作製し、直径6インチのコアに巻き取った。こうしてコアに巻き取った状態でフィルムを3ヶ月間保管すると、巻き締まりは生じないものの、ステアリン酸のブリードアウトが生じる。
(防眩層形成用塗布液の調製)
ペンタエリスリトールトリアクリレート及び多官能ウレタン化アクリレート(ヘキサメチレンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリアクリレートとの反応生成物)を含有し、前者/後者の重量比が60/40であり、両者の合計濃度が60%となるように酢酸エチルに溶解されており、さらにレベリング剤が配合されている光硬化性樹脂組成物を用意した。この光硬化性樹脂組成物を構成する上記ペンタエリスリトールトリアクリレート及び多官能ウレタン化アクリレートをまとめて、「硬化性アクリレート」と呼ぶ。この光硬化性樹脂組成物の硬化性アクリレート100部に対し、平均粒径が2.7μmのメタクリル酸メチル/スチレン共重合体樹脂粒子を5部加えて分散させ、さらに硬化性アクリレートと樹脂粒子の合計濃度が30%となるように酢酸エチルで希釈した。その後、この液中の硬化性アクリレート100部に対して、光重合開始剤である“イルガキュアー 184”(チバ社製)を1部加え、防眩層形成用塗布液を調製した。
実施例1、4及び5で作製したそれぞれのアクリル系樹脂フィルムの表面に、上で調製した防眩層形成用塗布液を乾燥後の塗膜厚さが3.4μmとなるように塗布し、60℃に設定された乾燥機中で3分間保持して、その塗膜を乾燥させた。乾燥後、フィルムの塗膜側より、強度20mW/cm2 の高圧水銀灯からの光をh線換算光量で200mJ/cm2 となるように照射し、光硬化性樹脂組成物の塗膜層を硬化させて、アクリル系樹脂フィルムの表面に凹凸を有する防眩層が形成された防眩性フィルムを作製した。得られた防眩性フィルムは、直径6インチのコアに巻き取った。ヘイズメータを用いてそれぞれの防眩性フィルムのヘイズ値を測定したところ、いずれのアクリル系樹脂フィルムを用いた場合も、ヘイズ値は11.5%であった。
(偏光板の作製)
ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向している厚さ約30μm の偏光フィルムの片面に、実施例6で作製したそれぞれの防眩性フィルムを、そのアクリル系樹脂フィルム側で、偏光フィルムの他面には、トリアセチルセルロースフィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、又はポリプロピレン系樹脂フィルム(それぞれ位相差が付与されていてもよい)を、それぞれ接着剤を介して貼合すれば、液晶表示装置に好適に用いられる防眩性偏光板が得られる。
Claims (7)
- 透明なアクリル系樹脂に、平均粒径10〜300nmのゴム弾性体粒子を25〜45重量%含有するアクリル系樹脂組成物100重量部に対し、滑剤が0.01〜0.09重量部の割合で配合されてなる組成物から、フィルム状に形成されていることを特徴とする、光学フィルム。
- 前記滑剤は、ステアリン酸系化合物からなる請求項1に記載の光学フィルム。
- 紫外線吸収剤を含有し、波長380nmにおける透過率が25%以下である請求項1又は2に記載の光学フィルム。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の光学フィルムに防眩層が形成されていることを特徴とする防眩性フィルム。
- 防眩層は、透明樹脂100重量部に対し、平均粒径0.5〜5μmで、前記透明樹脂との屈折率差が0.02〜0.2である微粒子が3〜30重量部の割合で配合されてなる組成物から形成され、ヘイズが5〜50%である請求項4に記載の防眩性フィルム。
- ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムに、請求項1〜3のいずれかに記載の光学フィルムが貼合されてなることを特徴とする偏光板。
- ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムに、請求項4又は5に記載の防眩性フィルムが、その防眩層とは反対側で貼合されてなることを特徴とする防眩性偏光板。
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