JP2939787B2 - 建築用のPCa版及び建築用のPCa版の製造方法並びに建築用のPCa版の取付け方法 - Google Patents

建築用のPCa版及び建築用のPCa版の製造方法並びに建築用のPCa版の取付け方法

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JP2939787B2 JP6160340A JP16034094A JP2939787B2 JP 2939787 B2 JP2939787 B2 JP 2939787B2 JP 6160340 A JP6160340 A JP 6160340A JP 16034094 A JP16034094 A JP 16034094A JP 2939787 B2 JP2939787 B2 JP 2939787B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、建造物の外壁、耐震
壁、間仕切り壁、あるいは床等に使用する建築用のプレ
キャストコンクリート版(以下、PCa版)及び、この
建築用のPCa版の製造方法、並びにこのPCa版の取
付け方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、建築用のPCa版は、一般にこれ
を使用する建築現場とは別の工場にて製造されていた。
工場では、組立式の型枠内に、構造鉄筋を配筋をして、
組立式の型枠内にコンクリートを打設して、蒸気養生等
の所定の養生をし、コンクリート固化し強度発現後に組
立式の型枠を取り外してPCa版を製造していた。ま
た、このPCa版は工場内で一時保管し補修整備され、
その後、トラック、トレーラー等でPCa版を構築現場
内に搬入し、PCa版をクレーンなどで吊り上げて所定
の取り付け場所に移動して取り付けていた。
【0003】また、PCa版の取付けに際しては、まず
鉄骨や主鉄筋などにPCa版用の取付け金具(1次ファ
スナー)を固定して、躯体コンクリートを打設してい
た。この躯体コンクリート打設の際に、取付け金具周辺
部だけコンクリートを打ち残し、取付け金具に連結金具
(2次ファスナー)を介してPCa版を固定し、その後
にその打ち残した部分にコンクリートを再度打設する方
法が一般的であった。
【0004】例えば、従来の外壁用のPCa版では、鉄
骨梁の上面に台座を溶接し、該台座の上部分を除いて躯
体コンクリートを打設する。PCa版を取り付ける際に
は、まず断面L字状の連結金具の垂直部を外壁側に向
け、該取付け金具の水平部を前記台座に固定していた。
その後に連結金具の垂直部に、位置を調整しながら、外
壁PCa版をボルトで固定し、その後台座周辺の躯体コ
ンクリートを打ち残した部分に再度躯体コンクリートを
打設していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記従来の技術では、
工場内でコンクリート打設場所から養生場所、保管場所
への移動、更に工場から構築現場へとPCa版を移動さ
せなければらず、移動に際しては、積み下ろし作業に手
間がかかり、またPCa版は重量が4〜5トンもある為
に、夫々の積み下ろし作業中での事故やPCa版の破損
を招くおそれもあった。
【0006】また、前記構造のPCa版では、製造に当
たり、型枠の組み戻しに手間がかかると共に、コンクリ
ートが十分な強度発現する前にPCa版を移動させる
為、PCa版周辺部の破損、ひび割れ等の製品不良を生
じる問題点があった。また、型枠の組み戻しや、工場維
持運営経費もかかる問題点もあった。
【0007】また、従来の取付け方法では、取付けファ
スナーが大きくなると共に位置調整に手間がかかり、施
工が繁雑となる問題点がった。
【0008】
【課題を解決するための手段】然るにこの発明は、コン
クリート版に側枠が嵌装されたPCa版としたので、ま
た、このPCa版は打込み型枠を使用し、あるいは構築
現場又は周辺で製造するので、また構築現場内又は周辺
で製造したPCa版を使用し、躯体コンクリート打設前
に主構造体にPCa版を架設して取付けたので、前記問
題点を解決した。
【0009】即ちこの発明は、構造材が埋設された対向
する表面及び裏面と側面とからなる所定形状のコンクリ
ート版において、該コンクリート版の側面全周に亘っ
て、側枠を固定し、該側枠は前記コンクリート版の側面
に密着する縦片と該縦片の両端に連設された横片とから
なる断面略コ字状に形成され、表面側の前記横片が前記
表面から所定距離をあけて前記コンクリート版内に埋設
され、前記コンクリート版側面の表面側の面及び表面
に、前記側枠が露出しないコンクリート露出面を形成す
ると共に、前記側枠の横片に連続して、取付け用のイン
サートを形成し、該インサートの開口をコンクリート版
の裏面に臨ませたことを特徴とする建築用のPCa版で
ある。また、インサートを螺筒を固定した受板とし、該
受板を側枠に固定し、該螺筒をコンクリート版内に埋設
し、前記螺筒に対応した受板の透孔をコンクリート版の
裏面に臨ませた建築用のPCa版である。また、コンク
リート版の表面に予めタイル状の仕上げ材を埋設した建
築用のPCa版である。
【0010】また、水平定盤上に基準底板を載置し、該
基準底板上に、側枠内に構造材の端部を固定して形成し
た打込型枠を、該側枠の外周縁に合わせて前記基準底板
に固定された桟木を介して、又は側枠の下面に固定され
た平板を介して、載置し、前記側枠は、形成予定のコン
クリート版の側面全周に亘ると共に、該側面に密着する
縦片と該縦片の両端に連設された横片とからなる断面略
コ字状に形成され、かつ前記側枠の横片に連続して取付
け用のインサートが形成され、該インサートの開口を上
面に向けて配置して構成され、次に前記打込型枠内にコ
ンクリートを打設し、該コンクリートが固化する前に、
続いて前記打込型枠上に、他の基準底板、他の打込型枠
を順に載置して、同様に前記他の打込型枠内にコンクリ
ートする。以下同様に所定回数繰り返してコンクリート
を打設して、前記コンクリートが強度発現後に、打込型
枠内にコンクリートが充填されたPCa版を形成するこ
とを特徴とした建築用のPCa版の製造方法である。
【0011】また、建造物構築現場の敷地内又は周辺に
設置した水平定盤上に基準底板を載置し、該基準底板上
に、側枠内に構造材の端部を固定して形成した打込型枠
、該側枠の外周縁に合わせて前記基準底板に固定され
た桟木を介して、又は側枠の下面に固定された平板を介
して、載置し、前記側枠は、形成予定のコンクリート版
の側面全周に亘ると共に、該側面に密着する縦片と該縦
片の両端に連設された横片とからなる断面略コ字状に形
成され、かつ前記側枠の横片に連続して取付け用のイン
サートが形成され、該インサートの開口を上面に向けて
配置して構成され、次に前記打込型枠内にコンクリート
を打設し、該コンクリートが固化する前に、続いて前記
打込型枠上に、他の基準底板、他の打込型枠を順に載置
して、同様に前記他の打込型枠内にコンクリートする。
以下同様に所定回数繰り返してコンクリートを打設し
て、前記コンクリートが強度発現後に、打込型枠内にコ
ンクリートが充填されたPCa版を形成することを特徴
とした建築用のPCa版の製造方法である。
【0012】また、構造材が埋設された対向する表面及
び裏面と側面とからなる所定形状のコンクリート版であ
って、該コンクリート版の側面全周に亘って、側枠が固
定され、該側枠は前記コンクリート版の側面に密着する
縦片と該縦片の両端に連設された横片とからなる断面略
コ字状に形成され、表面側の前記横片が前記表面から所
定距離をあけて前記コンクリート版内に埋設され、前記
コンクリート版側面の表面側の面及び表面に、前記側枠
が露出しないコンクリート露出面が形成されていると共
に、前記側枠の横片に連続して、取付け用の上インサ
ート及び下インサートを形成し、該上インサートの
開口をコンクリート版の裏面上端部に臨ませて、該下
インサートの開口をコンクリート版の裏面下端部に臨ま
せて、壁用のPCa版を構成し、躯体コンクリート打設
前に、前記PCa版を、所定位置に配置して主構造体に
仮設すると共に、上下に隣接するPCa版の上インサ
ートと下インサートとを連結板を介して、移動可能に
連結し、その後に躯体コンクリートを打設して、前記P
Ca版に固定したアンカーを当該躯体コンクリート内に
埋設して、前記PCa版を取り付けることを特徴とした
建築用のPCa版の取付け方法である。
【0013】前記における構造材とは、金網、環状の鉄
筋を格子状に組んだ鉄筋篭、通常の格子状に組んだ鉄
筋、形鋼等が考えられる。
【0014】また、前記における水平定盤は建造物構築
現場の敷地内又はその周辺に位置させ、製造したPCa
版を建造物構築現場へ搬入する手間を省くことが望まし
いが従来のように所定の工場とすることもできる。
【0015】また、前記における主構造体とは、鉄骨
造、鉄骨鉄筋コンクリート構造等における主として鉄骨
を指す
【0016】
【作用】コンクリート版の全周に側枠を嵌装したので、
あるいは側枠を打ち込み型枠と兼用して、側枠がPCa
版の縁欠け等を防止できる。また、側枠と構造材からな
る打込型枠内に、コンクリートを打設するので、型枠の
取り外し作業を不要とし、特殊な治具を使用することな
く、また打込み型枠を多段に重ねた場合でも場所を取ら
ないので、構築現場でもPCa版を容易に製造できる。
また、躯体コンクリート打設前に主構造体にPCa版を
仮止めして施工するので、躯体の構築の際に、躯体コン
クリートの打ち残し作業を不要とし、躯体コンクリート
の2度打ちの手間を省略できると共に、PCa版の位置
調整作業を簡略化することができる。
【0017】
【実施例1】図1乃至図6に基づきこの発明の実施例を
説明する。ここでは外壁パネルに使用するPCa版及び
その製造方法に関する実施例について説明する。
【0018】 形成すべきPCa版の横長さに合わせ
た所定長さで、縦片1の上下端に上横片2及び下横片3
が夫々連設して断面略コ状の横枠基材4を構成する。前
記横枠基材の上横片2はほぼ水平に位置し、前記縦片1
は前記上横片2と成す角が鈍角となるように斜に形成さ
れている。前記横枠基材4の上横片2に、所定間隔を空
けて、断面逆L字状の取付部材5、5を固定する。ま
た、前記横枠基材4の下端外面(縦片1と下横片3の交
点付近)に長さ方向に沿って、前記横枠基材4と同一又
は若干短い長さの断面L状の係止部材19を固定する
(図2)。以上のようにして横側枠7を構成する。ま
た、前記横側枠7で、横枠基材4の縦片1を、前記縦片
1と前記上横片2と成す角が鋭角となるように斜に形成
したものを横側枠8とする。前記横側枠8は、縦片1の
下部外面(縦片1と下横片3の交点から所定長さ上方
に)に前記係止部材19と同様の係止部材19aが固定
されている(図2)。前記横側枠7、8を対向させた際
に、横側枠7の縦片1と横側枠8の縦片1とが平行とな
る。前記における係止部材19、19aはステンレス板
あるいはアルミ板に所定の表面処理を施した材料を使用
する。
【0019】 形成すべきPCa版の縦長さに合わせ
た所定長さで、縦片9の上下端に上横片10及び下横片
11が夫々連設して断面略コ状の縦枠基材12を構成す
る。前記縦枠基材12の上横片10はほぼ水平に位置
し、前記縦片9はほぼ垂直に位置するように形成されて
いる。また、前記縦枠基材12の下部横片11は、ほぼ
水平に形成してある。前記縦枠基材12の上横片10
に、所定間隔を空けて、所定数だけ、断面逆L字状の取
付部材13、13を固定する。また、前記縦枠基材12
の下部外面(縦片9と下横片11との交点付近)に長さ
方向に沿って、前記縦枠基材12と同一又は若干短い長
さの断面L状の係止部材6、6を固定する。以上のよう
にして縦側枠15を構成する(図3(a))。
【0020】 前記横側枠7、8を並列して、前記縦
側枠15、15の2つを、前記横側枠7、8と共同して
矩形となるように対向して配置して、側枠16を構成す
る。
【0021】 横側枠7、8の下横片3、3及び縦側
枠15、15の下横片11、11に、溶接金網48の周
縁部を載置し、必要ならば溶接金網48と横側枠7、8
とを数箇所で固定する。同様に、横側枠7、8の取付部
材5、5、及び縦側枠15、15の取付部材13、13
に、溶接金網49の周縁部を載置し、必要ならば数箇所
で固定する。以上のようにして、打込型枠23を構成す
る。前記打込型枠23は工場にて製造する。
【0022】 建造物構築現場の敷地内に上面25a
をほぼ水平に保った定盤25を製作する。前記定盤25
上に、前記打込型枠23の縦側枠15、15の外周縁に
合わせて桟木26、26を、横側枠7、8の外周縁に合
わせて桟木29、29aを夫々固定した基準底板27を
載置する(図5(a))。前記基準底板27上で、桟木
26、26、29、29aの内側に前記打込型枠23を
嵌挿設置する(図5(b))。この際、桟木26、26
上に係止部材6、6が、桟木29、29a上に係止部材
19、19aが夫々載置される。次に前記打込型枠内2
3に、コンクリートを打設する(図5(c))。コンク
リート打設後、所定時間(2時間程度)経過後に、前記
打込型枠23及びコンクリート上に、前記基準底板27
と同様の他の基準底板27aを載置する(図5
(d))。前記基準底板27aの載置はコンクリートが
未固化でも、該コンクリートの固化に影響を与えない。
【0023】 同様に、基準底板27aに他の打込型
枠23aを載置してコンクリートを打設し、打込型枠2
3a上に他の基準底板27bを載置して、コンクリート
を打設する。以下、基準底板27c、27d・・・、打
込型枠23c、23d・・・を順に積み重ねながら、夫
々の打込型枠内にコンクリートを打設する(図6)。前
記における基準底板27、打込型枠23の積み重ねは1
日に付き3段程度が適当であり、図6では翌日、翌々日
に別に3段を積み重ねして合計9段程度まで積み重ねた
状態を示してある。ここで、定盤25、基準底板27が
重量に耐えられれば、1日に3段以上、あるいは合計で
9段以上積み重ねることも可能である。
【0024】 コンクリートが固化した後に、基準底
板27、27a、27b・・・を取り外せば、PCa版
の30ができる(図1、2、3、4)。この実施例のP
Ca版30は外壁用で、下面側(基準底板に接した側)
が表面30aを構成し、裏面30b側には夫々取付け用
の上部インサート31、下部インサート36が埋設され
ている。前記上部インサート31は、上下2段に透孔3
3、33aを穿設したインサート受板32の下面32a
に、該透孔33と連通するように、一側にボルト35を
螺合した螺筒34の他側を夫々固着して構成してある。
また、下部インサート36も同様に、透孔33、33を
穿設したインサート受板32の下面32aに、前記透孔
33と連通するように、ボルト35を螺合した螺筒34
を夫々固着して構成してある(図4)。
【0025】また、図4に示すように、PCa版の30
の側面の表面30a側及び表面30aには、横側枠7、
8が露出せず、コンクリート露出面50が形成されてい
る(図4)。また、縦側枠15、15もPCa版の30
の側面の表面30a側及び表面30aに露出せず、同様
にコンクリート露出面50が形成される(図3)。
【0026】前記実施例において、横側枠7、8は夫々
横枠基材4、取付部材5、係止部材19、19aとから
構成したが、同一形状であれば、一体に成形することも
できる。同様に縦側枠15も一体に成形することもでき
る(図示していない)。
【0027】また、前記実施例において、係止部材6、
6は省略することもできる(図3(b))。この場合に
は、桟木26、26に、縦側枠15の下横片11の下面
を載置する。同様に係止部材19、19aも省略できる
(図示していない)。
【0028】また、係止部材6に代えて、縦側枠15の
下横片11の下面に平板14をL状金具を介して垂直に
固定することもできる。この場合には。係止部材19、
19aを有すれば、桟木26、26を省略することもで
きる(図3(c))。
【0029】また、前記実施例において、打込型枠23
の形状はコンクリートが洩れず、かつ内面に溶接金網4
8、49を固定でき、更にコンクリートを打設して積み
重ねた場合にも変形しない構造であれば他の構造とする
こともできる(図示していない)。例えば、縦側枠1
5、15は既製の断面略C型の軽量型鋼等に係止部材6
を固着した構造とすることもできる。また、例えば、取
付部材5、13を使用しないこともできる。
【0030】また、前記実施例において、タイル貼りの
PCa版を製造する際には、基準底板27、27a、・
・・上に、まずタイル28、28を仮止めしたシート2
8aを敷設した(図2、図3で鎖線図示)後に、打込型
枠23を載置してコンクリートを打設する。前記実施例
と同様にコンクリートが強度発現後に基準底板27を取
り外すと、タイル貼りPCa版を構成する。
【0031】また、前記実施例において、PCa版は縦
側枠、横側枠からなる方形としたが、壁に出入口や窓を
組み込んだ、開口部や切り欠きを有する形状とすること
もできる(図示していない)。この場合には、形成すべ
きPCa版の形状に合わせた側枠を使用する。
【0032】また、前記実施例において、構造材とし
て、溶接金網48、49を使用したが、環状鉄筋17、
20を使用することもできる。この場合、環状鉄筋1
7、20を格子状に組んだ鉄筋篭を、矩形に形成した側
枠16内に設置し、環状鉄筋17、17の端部18、1
8を、横側枠7、8の上横片2、下横片3に固定し、環
状鉄筋20、20の端部21、21を縦側枠15、15
の上横片10、下横片11、11に、固定して打込み型
枠24を構成する(図7、図8(a)(b))。前記実
施例と同様に打込み型枠24内にコンクリートを充填し
て建築用PCa版30を構成する(図7)。また、構造
材として、棒状の鉄筋を同様に格子状に組んだもの、あ
るいは型鋼等の鋼材も使用することもできる。
【0033】また、前記実施例において、上部インサー
ト31に上下に透孔33a、33を並列して設け、対応
する螺筒34を固定したが、一方の透孔33a(あるい
は透孔33)のみとして、下部インサート36と同一構
造とすることもできる(図示していない)。この場合に
は、上部インサート31の透孔33aは、上下のPCa
版30同志の連結及び躯体との連結の両方に使用する。
【0034】
【実施例2】次に、図9乃至図12に基づき、このPC
a版30を使用した施工方法を説明する。
【0035】 前記実施例1のようにして、構築現場
の敷地内又は隣接した場所あるいは所定の工場で、建築
用のPCa版30を製造する。
【0036】 既設階のスラブ37の上方に所定高さ
(上部インサート)突出して既設PCa壁版130が設
置されている。前記既設PCa版130の上部インサー
ト31の内、下側の螺筒34には既設階のスラブ37内
に埋設されたアンカー(連結手段)143が螺合され、
上側の螺筒34は既設階のスラブ37の上方に突出して
いる(図9)。
【0037】 上下に隣接するPCa版を連結する為
の連結板(ファスナー)39は、その上部に、上側のP
Ca版の透孔33の位置に合わせて横方向に長い長孔4
0を穿設し、その下部に、下側のPCa版の透孔33の
位置に合わせて透孔33より大径の大穴40aを穿設し
て構成されている。前記連結板39の中央部外側には、
設置すべきPCa版の下縁位置に合わせて、受け突起4
1が突設されている(図12)。
【0038】 既設PCa版130の上部インサート
31の上側の螺筒34に、各インサートの透孔33位置
に合わせ、前記連結板39の下部の大穴40aの位置を
調節して、ボルト44で既設PCa版130と連結板3
9とを固定する。(図9)。また、連結板39の下縁と
既設階スラブ37の上面との隙間にモルタル45を充填
する。
【0039】 次に、既設PCa版130の上方にP
Ca版30を配置する。ここで、既設PCa版130と
PCa版30との間に止水ガスケット42を介装し、P
Ca版30の下縁を連結板39の受け突起41に掛止さ
せると共に、PCa版30の下部インサート36と連結
板39の上部の長孔40とをボルト44で固定する。
【0040】 また、PCa版30の上部インサート
31の下側の螺筒34に、形成されるスラブ38内に埋
設予定のアンカー(連結手段)43の先端部を、出入り
を調節して螺合固定する。このアンカー43は先端部及
び基端部に螺糸が形成され、基端部には構造体に固定さ
れた螺筒が螺合され(図示していない)、軸方向に移動
自在となっている。
【0041】 床型枠その他の型枠及鉄筋を構築し
て、躯体コンクリートを打設する。
【0042】 躯体コンクリートが固化すると、PC
a版30はその上下をスラブ38及び下階のPCa版1
30と連結固定される(図10)。
【0043】 以下、同様に繰り返して、外壁を構築
する。また、既設PCa版130とPCa版30との外
側目地にコーキング剤47を充填する。また、横方向に
隣接するPCa版30、30の間にも止水ガスケット4
6を介装すると共に、止水ガスケット42と止水ガスケ
ット46との接触部分にコーキング剤を塗布し、また外
側目地にコーキング剤47を充填する(図11)。
【0044】前記において、PCa版130、30はス
ラブに固定されているにもかかわらず、連結板39の長
孔40、大穴40aを介してボルトで連結されているの
で、層間変形が生じた場合にも変形量を吸収できるの
で、PCa壁板自体あるいは隣接PCa壁板との連結部
分が破壊されることを未然に防止できる。
【0045】また、前記において、係止部材19、19
aにより、止水ガスケット42、46、コーキング剤4
7等が不良となった場合でも室内側に水分が浸透するお
それがない。
【0046】前記実施例において、前記実施例1により
製造したPCa版30を使用したが、透孔33、33、
33aを有する構造のPCa版であれば、躯体コンクリ
ート打設前に主構造体に仮設できるので、その形状、製
造方法は問わない。
【0047】また、前記実施例において、止水ガスケッ
ト42、46は水平方向の目地、垂直方向の目地に夫々
嵌挿したが、従来のように各PCa版30の4周に予め
止水ガスケットを装着した後に、所定位置に設置するこ
ともできる(図示していない)。
【0048】
【発明の効果】側枠と環状鉄筋から打込型枠を形成し、
打込型枠内にコンクリートを打設したので、特殊な装
置、治具を使用することなく、現場敷地内で容易にPC
a版を製造できる効果がある。また、型枠兼用の側枠を
使用したので、PCa版の製造にあたり型枠を取り外す
手間を省略できる効果がある。
【0049】また、現場敷地内でPCa版を製造できる
ので、この場合にはコンクリート固化後にPCa版を移
動させずに取り付けることができるので、建造物の施工
効率を高めることができると共に、工場から現場へのP
Ca版の搬送作業を省くことができるので、積み下ろし
作業時の事故を削減できる効果がある。また、裏面側の
みの作業によって容易にPCa版の取付け作業ができる
と共に、取付けファスナーを小形化できる。
【0050】また、PCa版は、表面及び側面の表面側
の周囲に側枠が露出しないコンクリート露出面を形成す
るので、側枠が外面に露出しないので、表面から側面に
かけて一体に形成できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例のPCa版で、外壁パネルに
使用するものの裏面図である。
【図2】図1のA−A線における拡大断面図である。
【図3】図1のB−B線における拡大断面図で、(a)
は係止部材6を固定した場合、(b)は係止部材6を省
略した場合、(c)は係止部材6に代えて平板14を固
定した場合を表わす。
【図4】図1のC−C線における拡大断面図である。
【図5】(a)乃至(d)はこの発明の製造方法を説明
する縦断面図である。
【図6】同じくこの発明の製造方法を説明する縦断面図
である。
【図7】この発明の他の実施例のPCa版の裏面図であ
る。
【図8】(a)は図7のD−D線における拡大断面図、
(b)は図7のE−E線における拡大断面図である。
【図9】この発明のPCa版を外壁パネルに使用する施
工方法を説明する縦断面図である。
【図10】同じく施工方法を説明する縦断面図である。
【図11】同じく施工方法を説明する横断面図である。
【図12】図10のF−F線における拡大断面図であ
る。
【符号の説明】
1 縦片 2 上横片 3 下横片 4 横枠基材 7、8 横側枠 9 縦片 10 上横片 11 下横片 12 縦枠基材 15、16 縦側枠 17、20 環状鉄筋 23、23a、23b、23c… 打込型枠 25 定盤 27、27a、27b、27c… 基準底板 28 タイル 30、130 PCa版 31 上部インサート 33、33a 透孔 34 螺筒 36 下部インサート 39 連結板 40 長孔 40a 大孔 50 コンクリート露出面

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 構造材が埋設された対向する表面及び裏
    面と側面とからなる所定形状のコンクリート版におい
    て、該コンクリート版の側面全周に亘って、側枠を固定
    し、該側枠は前記コンクリート版の側面に密着する縦片
    と該縦片の両端に連設された横片とからなる断面略コ字
    状に形成され、表面側の前記横片が前記表面から所定距
    離をあけて前記コンクリート版内に埋設され、前記コン
    クリート版側面の表面側の面及び表面に、前記側枠が露
    出しないコンクリート露出面を形成すると共に、前記側
    枠の横片に連続して、取付け用のインサートを形成し、
    該インサートの開口をコンクリート版の裏面に臨ませた
    ことを特徴とする建築用のPCa版。
  2. 【請求項2】 インサートを螺筒を固定した受板とし、
    該受板を側枠に固定し、該螺筒をコンクリート版内に埋
    設し、前記螺筒に対応した受板の透孔をコンクリート版
    の裏面に臨ませた請求項1記載の建築用のPCa版。
  3. 【請求項3】 コンクリート版の表面に予めタイル状の
    仕上げ材を埋設した請求項1記載の建築用のPCa版。
  4. 【請求項4】 水平定盤上に基準底板を載置し、該基準
    底板上に、側枠内に構造材の端部を固定して形成した打
    込型枠を、該側枠の外周縁に合わせて前記基準底板に固
    定された桟木を介して、又は側枠の下面に固定された平
    板を介して、載置し、前記側枠は、形成予定のコンクリ
    ート版の側面全周に亘ると共に、該側面に密着する縦片
    と該縦片の両端に連設された横片とからなる断面略コ字
    状に形成され、かつ前記側枠の横片に連続して取付け用
    のインサートが形成され、該インサートの開口を上面に
    向けて配置して構成され、次に前記打込型枠内にコンク
    リートを打設し、該コンクリートが固化する前に、続い
    て前記打込型枠上に、他の基準底板、他の打込型枠を順
    に載置して、同様に前記他の打込型枠内にコンクリート
    する。以下同様に所定回数繰り返してコンクリートを打
    設して、前記コンクリートが強度発現後に、打込型枠内
    にコンクリートが充填されたPCa版を形成することを
    特徴とした建築用のPCa版の製造方法。
  5. 【請求項5】 建造物構築現場の敷地内又は周辺に設置
    した水平定盤上に基準底板を載置し、該基準底板上に、
    側枠内に構造材の端部を固定して形成した打込型枠を
    該側枠の外周縁に合わせて前記基準底板に固定された桟
    木を介して、又は側枠の下面に固定された平板を介し
    て、載置し、前記側枠は、形成予定のコンクリート版の
    側面全周に亘ると共に、該側面に密着する縦片と該縦片
    の両端に連設された横片とからなる断面略コ字状に形成
    され、かつ前記側枠の横片に連続して取付け用のインサ
    ートが形成され、該インサートの開口を上面に向けて配
    置して構成され、次に前記打込型枠内にコンクリートを
    打設し、該コンクリートが固化する前に、続いて前記打
    込型枠上に、他の基準底板、他の打込型枠を順に載置し
    て、同様に前記他の打込型枠内にコンクリートする。以
    下同様に所定回数繰り返してコンクリートを打設して、
    前記コンクリートが強度発現後に、打込型枠内にコンク
    リートが充填されたPCa版を形成することを特徴とし
    た建築用のPCa版の製造方法。
  6. 【請求項6】 構造材が埋設された対向する表面及び裏
    面と側面とからなる所定形状のコンクリート版であっ
    て、該コンクリート版の側面全周に亘って、側枠が固定
    され、該側枠は前記コンクリート版の側面に密着する縦
    片と該縦片の両端に連設された横片とからなる断面略コ
    字状に形成され、表面側の前記横片が前記表面から所定
    距離をあけて前記コンクリート版内に埋設され、前記コ
    ンクリート版側面の表面側の面及び表面に、前記側枠が
    露出しないコンクリート露出面が形成されていると共
    に、前記側枠の横片に連続して、取付け用の上インサ
    ート及び下インサートを形成し、該上インサートの
    開口をコンクリート版の裏面上端部に臨ませて、該下
    インサートの開口をコンクリート版の裏面下端部に臨ま
    せて、壁用のPCa版を構成し、躯体コンクリート打設
    前に、前記PCa版を、所定位置に配置して主構造体に
    仮設すると共に、上下に隣接するPCa版の上インサ
    ートと下インサートとを連結板を介して、移動可能に
    連結し、その後に躯体コンクリートを打設して、前記P
    Ca版に固定したアンカーを当該躯体コンクリート内に
    埋設して、前記PCa版を取り付けることを特徴とした
    建築用のPCa版の取付け方法。
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