JP2925054B2 - 疎水性物質の親水性化方法 - Google Patents

疎水性物質の親水性化方法

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JP2925054B2 JP5206136A JP20613693A JP2925054B2 JP 2925054 B2 JP2925054 B2 JP 2925054B2 JP 5206136 A JP5206136 A JP 5206136A JP 20613693 A JP20613693 A JP 20613693A JP 2925054 B2 JP2925054 B2 JP 2925054B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、疎水性の物質に親水性
を付与する方法に関し、疎水性膜の親水性付与や疎水性
の成形品の親水化に広く用いられるものである。
【0002】
【従来の技術及びその問題点】従来、疎水性の表面に親
水性を付与するために最も普通に用いられる手段として
その表面に親水性物質を塗布し、表面を親水化する方法
が知られている。この方法は手法は簡単であるが、塗布
に用いる親水性物質が、低分子の場合容易にその表面か
ら離脱してしまう欠点を有する。その典型的な例は、ア
ルコールによる親水化である。たとえば疎水性の弗素樹
脂やポリオレフィン樹脂は水を受けつけないが、まずア
ルコールで処理、ひきつづいてそのアルコールを水で置
換すれば、何とか水で濡らすことことは出来る。しか
し、低分子の親水性物質を利用する方法で、その効果が
短期的であり、その表面が一旦乾燥すれば再び元の疎水
性に戻ってしまうという本質的な欠点を有する。
【0003】次に考えられる方法は、親水性の高分子物
質で疎水性物質のコーティングを行う方法である。親水
性の高分子物質は疎水性物質表面に塗布すればその表面
よりの離脱はかなり抑えられるものの、本来、水との相
溶性を有するため時間とともに離脱することはさけられ
ずその効果が減少することはよく知られている。これを
解決するために疎水性物質の表面に塗布された親水性物
質を水に不溶化することが試みられている。この手段と
して最も有効なのは架橋方法、特に3次元架橋をほどこ
すことである。高分子が3次元に架橋すれば水を含めた
あらゆる溶媒に不溶となることはよく知られたことであ
る。架橋の方法としては架橋剤による化学的な方法。放
射線や電子線、あるいは紫外線照射による物理的方法な
どがある。これらはいづれもその操作が極めて煩雑であ
る。さらに高分子物質による疎水表面の均一な塗布ある
いは薄く塗布することそのものが極めてむずかしい。そ
れは高分子物質の特性として、その溶液の粘性が高いこ
とが原因である。高粘度のものを薄く均一に疎水性表面
に塗布することは至難のわざというべきである。疎水性
表面を効率よく親水化するために、高分子を用い、且つ
架橋手段を行うという必須の条件を満たすことは現行技
術では極めて困難であり現行技術では不必要に厚く親水
性高分子を塗布したり、しかも塗布状態が不均一で塗布
層の厚みが一定せずその上塗布もれの箇所が統計的に発
生するなど問題も多い。加うるに架橋手段という煩雑な
操作が不可欠で、勢いコスト高となってしまうのであ
る。
【0004】したがって、効率のよい安価で均一な疎水
性表面の親水化は長年その出現が切望されていたにも拘
らず未だに解決する方法は提案されていないのが現状で
ある。この疎水性物質の親水性化技術が完成すると多く
の応用分野が開けるのである。応用分野のひとつとして
中空繊維への応用がある。中空繊維の製造技術や、得ら
れた中空繊維膜を多孔化して産業に利用することは近年
盛んに行われており、その実用化も着々進んでいる。
【0005】ポリオレフィン、すなわち、ポリプロピレ
ンやポリエチレンの多孔膜や膜形状を管状にした、いわ
ゆる多孔性中空繊維膜はかなり優れた技術として確立さ
れている。孔形0.5μm以下のポリオレフィン中空繊
維は、新しい人工肺用の素材として注目されている。こ
れはポリオレフィン、たとえばポリプロピレンで所望の
多孔性の中空繊維膜とした場合、その本質的な疎水性と
水の表面張力のために水が中空繊維の膜壁を通過し得な
い。これを利用して、たとえばポリプロピレンの多孔性
中空繊維の一方の側すなわち内側又は外側に血液を流
し、他方に酸素ガスを流すことによってガス交換を行わ
せる場合、その血液は膜壁を通過し得ず、一方、酸素一
炭酸ガスの交換は効率よく行われるので、人工心肺のガ
ス交換膜として優れた機能を発揮するのである。これは
ポリプロピレン多孔膜の疎水性を巧みに利用したもので
あるが、一方この疎水性故に水が膜壁を通過しないこと
は他の産業分野への利用を考えた場合、逆に大きい障害
となる。たとえば、ポリプロピレンの中空繊維膜を用い
て水の浄化をしたい場合や、水素の工業汚水を濾過しよ
うとした場合、又医療産業への応用を考えて血液を濾過
しようと考えた場合、疎水性のために濾過が行い得ず、
すべてこの中空繊維膜の疎水性が大きい障害となって立
ちはだかって来ることは自明である。
【0006】これらを克服するために、様々な方法が試
みられている。たとえば中空繊維の表面に、親水性高分
子や界面活性剤をコーティングする方法がある。この方
法は、親水性高分子を多孔性の膜にコーティングするこ
とが技術的にむずかしく著しく不均一なコーティングが
屡々生じるし、コーティング条件の僅かの差で結果とし
てのコーティング状況が大きく変わり、時として多孔膜
の本質である多くの孔を、埋め塞いでしまうことがあ
り、製品の品質管理上の難点となっている。更に大きい
問題点は、これらの親水性高分子や界面活性剤は水に少
なくとも部分的にとけて少しづつ溶出することである。
これは単に、親水性化の寿命の問題にとどまらず、徐々
にでも溶出するとなると、メディカル用途、食品用途に
用いるときに問題となる。したがって、親水性高分子や
界面活性剤をコーティングすることは疎水性膜を親水性
化する手段として有用であっても決して完全なものでは
なく多くの改善の要求がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このような問題点を回
避するために、ポリオレフィンの中空繊維の内側又は外
側の一方を減圧もしくは真空にするか、あるいは一方を
逆に加圧するかの手段を用いて、水を強制的に孔の中に
導入し、そのまま水を充填しておく方法がある。この方
法は、そのまま水を切らさない限り中空繊維膜の孔を水
が通過しうるのでひとつの解決法であるが操作が大げさ
であり、人手も要すること、水の疎水性の孔内への侵入
が完全でないこと、また使用中に一旦空泡が侵入すれば
その部分の水透過性がもはや機能しないという欠点が存
在する。今ひとつの方法は、疎水性の中空繊維膜を一
旦、有機溶剤に濡らし、この有機溶剤を水で置換して最
終的に水で孔内を充たしてしまう方法である。この方法
は用いる有機溶剤が水と置換する必要から水に易溶性の
ものであることが必要で、メタノール、エタノール、ア
セトン、テトラヒドロフランなどが好適に使用される。
【0008】前述した加圧又は減圧による水の孔内への
導入性と比べて水の孔内への充填度での完全性が高く、
又操作も簡単で最も実用的な方法である。しかし、これ
らの共通した欠点として、まず有機溶剤を必要としてコ
スト高になることに加えて、親水化後中空繊維は常に水
中に浸した形で保つ必要があり、これは重量が大きく重
いこと、菌が繁殖し易く、高圧蒸気滅菌などの減菌が必
要なことなどの欠点を有している。理想的なものとして
は、疎水性の表面が高い確度で均一に親水化出来るこ
と、乾燥状態で保てること、コーティングされたものが
水に完全に溶出しないもの、などの条件を満たさなけれ
ばならないが、このようなものは現在存在しないと言っ
てよい。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、従来と全
く異なった考え方で疎水性表面を親水性化する方法を検
討し、本発明に到達した。本発明者は、疎水性表面の親
水化に際し、種々の検討を行った結果次のような基本的
な条件を満たすことが必要であると考えた。すなわち
(1)疎水性物質の表面に塗布するとき親水性物質は、
均一且つ薄く、満遍なく塗布するために、その塗布溶液
の粘度が低いこと、そのために親水性塗布物質が低分子
でなければならないこと、(2)均一且つ薄く塗布され
た物質が塗布後に高分子物質に変換するべきこと。
(3)しかもその高分子物質が架橋され不溶となるとと
もに、親水性は保持されるべきことである。このような
条件を満たす親水性物質を本発明者は種々探索した結
果、ある種の含珪素化合物、さらに詳細に説明すれば、
活性化処理によって架橋性官能基(水酸基)を3ケ以上
生じるような低分子の含珪素架橋剤を用いる方法を思い
至った。
【0010】本発明は、水分によって活性化して縮合重
合を誘起し架橋性ポリシロキサンを生成する含珪素化合
物を、疎水性物質と接触させ、その接触表面において縮
合反応を行わせることを特徴とする疎水性物質の親水化
方法に関し、架橋性ポリシロキサンが一般式
【0011】
【化2】 (式中のRは炭化水素残基、R’はアルコキシ基又はア
シルオキシ基、n=0,1,2である)で表される群か
ら選ばれた少なくとも1種であり、更に、該縮合反応を
行わせる場合、グリセリンの存在下で行わせることを特
徴とする疎水性物質の親水化方法に関する。
【0012】この場合、ジメチルジアセトキシシランの
ように珪素原子にメチル基が2ケ有するもののみでは、
2官能性で生成ポリシロキサンは疎水性のポリジメチル
シロキサンとなり、又架橋のない線状の高分子であるた
め本発明の目的は達せられない。たとえば、メチルトリ
アセトキシシランやテトラメトキシシランのような3官
能性以上、すなわち水分でSi−OHで示される官能基
が3ケないし4ケ生じるものは、極めて反応性が高く相
互に脱水縮合をくり返して3次元のポリシロキサンとな
り、疎水性基(CH3 −)が少い上、Si−OHが完全
に反応せず随所に−OH基が残存するために充分な親水
性を保持出来るのである。テトラメトキシシランが完全
に理想的反応すれば(SiO2 )nとなるがこれも親水
性である。実際には完全に反応することはなく随所に水
酸基が残存して高度の親水性を保持することが出来る。
又、完全に4官能性のもののみを用いることによりたと
えCH3 −基が存在しても上述のメチルトリアセトキシ
シランが若干混合すると(SiO2 )nとのセグメント
の量が3官能基の存在でみだれて減少し、その分だけ遊
離の水酸基が多くなって親水性化を成しとげることが出
来る。又、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリエ
トキシシランのようなCH3基の存在する3官能性のも
のでも充分に親水性を付与出来るので、相当の遊離水酸
基が生じて存在するものと思われる。
【0013】本発明の利点特長を列挙すると本発明は、
水によって活性化して架橋性のポリシロキサンを生じる
低分子の珪素化合物の有機溶剤で処理するので、高分子
物質の溶液の処理と異なり、処理溶液は極めて低粘度で
均一な処理(すなわち疎水面の濡らし)が極めて容易で
あり、完結度が高いこと、薄くコーティングすることが
可能なので粘度の高い高分子溶液と異なって孔を埋塞す
ることはないこと、溶媒の蒸発に従って、高沸点の該珪
素化合物が疎水性表面上に濃縮されて吸着面を形成し空
中水によって疎水性表面上で縮合重合を行うので、親水
性膜で表面が薄く覆われること、縮合体は3次元高分子
であるので水には全く溶解せず、溶出の問題を解決して
いること、この架橋のときシリコーン接着剤の機能と同
じ接着性を発揮するのでコーティングが安定であること
などのこれまでの数々の問題点をほとんど一挙に解決し
たものである。
【0014】ここで言う含珪素架橋剤とは、珪素をその
分子内に1ケ以上有し、適当な活性化手法、たとえば雰
囲気中の湿気(水分)との接触によって、架橋能を生じ
るような官能基を有する化合物をさし、より具体的には
シリコーンゴムやシリコーン樹脂への室温架橋剤すなわ
ちシランカップリング剤として知られている化合物が用
いられる。これらの含珪素架橋剤として、水によって活
性化される官能基を有するものが好ましく用いられる。
これらの代表例は、
【0015】
【化3】
【0016】
【化4】 (R:CH3 ,C2 5 ,C3 7 ,C4 9 などの炭
化水素残基)、
【0017】
【化5】
【0018】
【化6】 (X:Cl,Brなどのハロゲン原子)、
【0019】
【化7】 (R:上記と同じ)
【0020】などがある。このような含珪素架橋剤は低
分子であり溶液状態で粘度が低く、均一に薄く塗布する
ことが可能であり、空気中の水分との反応で活性の水酸
基が生じ、自然に3次元の縮合が進み生成した架橋含珪
素重合体はポリシロキサン構造となる。水によって活性
化して架橋能を発揮し、ポリシロキサン架橋体を形成す
る分子内に珪素原子1ケを有する含珪素架橋剤の例とし
ては、一般式
【0021】
【化8】 (式中Rはアルキル基、アリール基などの炭化水素残基
をR’はアルコキシ基、アシルオキシ基、ハロゲン又は
アミン残基を、nは0,1を表す)で表される化合物が
ある。
【0022】具体的にはテトラエトキシシラン、メチル
トリアセトキシシランを例にとって以下に説明する
【0023】
【化9】
【0024】
【化10】 テトラエトキシシラン(TES)は低分子のために、た
とえばそのアセトン溶液は極めて粘性の低いものでアセ
トンの親水性・疎水性と相まって疎水性物質の表面に均
一に薄く塗布が可能である。低沸点のアセトンが蒸発す
れば極めて均一なTESは薄膜となって疎水性表面を覆
うことが出来る。
【0025】このTESの薄膜は空気中の水分によって
容易に加水分解しSi−OC2 5はSi−OHに変化
する。これは直ちに分子間で縮合反応を生じ、O−Si
−O結合を生じ、ポリシロキサン(架橋)構造になる。
【0026】
【化11】 すなわち、Si−OH+HO−Si=Si−O−Si+
2 Oという基本反応によって4官能基での縮合によっ
て架橋体となり、しかも生成位置によって縮合反応相手
のない遊離の水酸基(−OH)も未反応のまま存在する
ようになる。このような架橋生成体は遊離の水酸基の存
在によって適度の親水性を有する。
【0027】
【化12】
【0028】メチルテトラアセトキシシラン(MTA
S)の場合、CH3 −Si結合は安定であるがSi−O
AC結合は水に対して極めて鋭敏で容易に水酸基に変化
する。
【化13】
【0029】この場合、3官能となるので生成縮合体は
3次元に架橋されて、当然不溶体となる。この場合も縮
合反応する対応OHと位置的に遠い水酸基は必然的に生
じ、適度の親水性を与えることになる。この場合、塗布
された時点ではMTASは低分子であるため、疎水性表
面に極薄に均一に塗布が可能であり、これが空気中の湿
気と接することによって活性の水酸基を自然に生じ自然
に架橋が進み、その間に遊離の水酸基の存在も相まって
親水性表面を形成することが出来るのである。本発明者
は、このような基本的な反応に基づいて親水化の条件を
追求中、更に高度な親水化を行う方法を見出した本発明
に到達した。すなわち、上記のような含珪素架橋剤を塗
布する際にグリセリンを存在させると、おどろく程の高
度な親水化を実現することを知った。このような現象は
これまで全く報告されておらず、本発明者の発見であ
る。これは上記の反応の間、そこにグリセリンが介在す
ることによって式(B)の如くグリセリンと反応して5
員環(a)又は6員環(b)を形成し、親水性のエーテ
ル結合(−O−)結合や遊離の−OHを生じるための結
果と考えられる。
【0030】
【化14】 このような架橋反応に親水性のグリセリン分子を組み入
れるために高度な親水性が達成されるのである。すなわ
ち、親水性化反応にグリセリンを介在させることによっ
ておどろく程の高度な親水化が簡単な操作で達成するこ
とに成功したものである。
【0031】本発明に用いられる、水によって活性化し
て架橋能を発揮しポリシロキサン架橋体を形成する、分
子内に珪素原子を1ケ有する含珪素架橋剤の具体例とし
ては、たとえばエトラアセトキシシラン、メチルトリア
セトキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、プロピ
ルトリアセトキシシラン、ブチルトリアセトキシシラ
ン、フエニルトリアセトキシシラン、メチルトリエトキ
シシラン、エチルトリエトキシシラン、テトラエトキシ
シラン、フエニルトリエトキシシラン、プロピルトリエ
トキシシラン、プチルトリエトキシシラン、メチルトリ
メトキシシラン、テトラメトキシシラン、エチルトリメ
トキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ブチルト
リメトキシシランあるいはテトラクロロシラン、メチル
トリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、ブチルト
リクロロシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビス−
(N−メチルベンジルアミド)エトキシメチルシラン、
トリス−(ジメチルアミノ)メチルシラン、ビニルトリ
クロロシラン、トリス−(シクロヘキシルアミノ)メチ
ルシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキ
シプロピルトリメトキシシラン、テトラプロポキシシラ
ン、ジビニルジエトキシシランなどを代表例として挙げ
ることが出来る。
【0032】又、珪素をその分子中に2ケ含む含珪素架
橋剤の代表例としては、たとえば、ヘキサアセトキシジ
シロキサン、1,3−ジメチルテトラアセトキシジシロ
キサン、1,3−ジビニルテトラエトキシジシロキサン
のような一般式、
【0033】
【化15】 (式中n、m=0,1,2,3、n+m=0,1,2,
3のいずれか、Rは架橋能のない炭化水素残基、R’、
R”は適当な活性化手段で架橋能を示す基を示す)で表
される化合物が挙げられる。
【0034】珪素がその分子中に3ケ含む含珪素架橋剤
の例としては1,3,5−トリメトキシ−1,1,3,
5,5ペンタメチルトリシロキサン、1,1,3,3,
5,5−ヘキサアセトキシ−1,5−ジメチルトリシロ
キサンなどを挙げることができる。
【0035】これらの含珪素架橋剤としては公知の室温
架橋型のシランカップリング剤が広く用いられ、たとえ
ばペトラーチシステムインコーポレイテッド(Petr
arch System Inc.)発行の、シリコン
コンパウンド(Silicon Compounds,
Register & Review),1979やシ
リコン(Silicones),1981に記載されて
いるすべての含珪素架橋剤を用いることが出来る。
【0036】以上に述べた架橋性(すなわち3官能性)
の含珪素化合物に加えて2官能性の縮合によってSi−
O−Si結合を順次生じてポリシロキサンを生じるよう
な低分子の含珪素化合物を併用してよいことは勿論であ
る。このような2官能性の含珪素化合物として、珪素原
子に2ケの炭化水素基を有し、分子中に2ケの水によっ
て活性化されて架橋能を生じる官能基を有する、たとえ
ば一般式、
【0037】
【化16】 (式中R1 〜R4 は同種又は異種の炭化水素基、nは
0.1,2,3など正の整数、Y及びY’は同種又は異
種の水によって活性化される架橋性官能基をそれぞれ表
す)で示される含珪素化合物がある。
【0038】これらの化合物は、珪素原子に2ケの架橋
性のない炭化水素基と分子中に2ケの架橋性官能基を含
有するものの例としてはジメチルジアセトキシシラン、
ジエチルジアセトキシシラン、ジメチルジエトキシシラ
ン、ジエチルジエトキシシラン、メチルエチルジメトキ
シシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジメチルジクロ
ロシラン、メチルフエニルジアセトキシシラン、ジフエ
ニルジアセトキシシラン、ジベンジルジアセトキシシラ
ン、ジビニルジエトキシシランなどがある。又1,1,
3,3−テトラメチル−1,3−ジアセトキシジシロキ
サン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジメト
キシジシロキサン、1,1,3,3−テトラエチル−
1,3−ジエトキシジシロキサン、1,1,3,3,
5,5−ヘキサメチル−1,5−ジアセトキシトリシロ
キサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサエチル−1,
5−ジエトキシトリシロキサン、1,1,3,3,5,
5−ヘキサメチル−1,5−ジメトキシトリシロキサ
ン、1,1,1,5,5,5−ヘキサメチル−3,3−
ジアセトキシトリシロキサン、1,1,1,3,5,5
−ヘキサメチル−3,5−ジアセトキシトリシロキサン
などが挙げられる。
【0039】このような官能性のものを加えると、生成
重合体の中に−Si−O−Si−結合による線状の分子
鎖が長くなり、換言すれば架橋濃度を減少させることが
出来るのでそれだけ生成重合体が弾性をもつようにな
り、目的によっては有利となる。これら珪素を含有する
高分子の生成反応は式(A)に示すように空気中の水分
によって活性化され、自然に遂次反応によって縮合して
ポリシロキサン分子を形成し、その中にあって共存する
グリセリンと水酸基を有する親水性のエーテル結合を有
する5員環、6員環を形成しこのため、生成架橋縮合体
は極めて親水性であり、3次元に架橋しているた
め、親水性でありながら水に溶解しないため、親水化し
た表面は恒久的に安定しているという特徴を有する。
【0040】加うるに本発明の方法では、親水性の付与
に結合という操作を行うことなしに空気中の水分で自然
に架橋が進行すること、塗布時においては反応成分は低
分子であるため、極めて容易に疎水性表面への均一な且
つ薄膜への塗装が可能であること、親水性の保持性が長
期にわたることなどの特性が挙げられる。
【0041】本発明の最も重要な点としては、この親水
化の際にグリセリンを介在させる点にある。グリセリン
の存在は式(B)に示したようにグリセリンを縮合反応
の中に取り込み、水酸基とエーテル結合含有の親水性の
5員環(a)、6員環(b)を生成させること、この5
員環、6員環の生成によって架橋縮合体の分子鎖はこの
環状生成物によって相互接近を妨げられ、これは珪素に
結合した水酸基(未反応)が遊離の状態で存在し縮合反
応相手の遊離水酸基同志の反応を阻害して、結果として
遊離水酸基の状態で残ることになりこれが更に親水性の
向上につながることになる。したがってグリセリンの存
在は極めて意義のある本発明の第2の特徴をなし、高親
水性化の基本原理をなすものである。
【0042】本発明は今ひとつの特徴として、グリセリ
ンの存在下の該溶液の塗布には、その溶液に予めグリセ
リンを含有させておいてもよいし、予め親水化しようと
する疎水性の表面にまずグリセリンを塗布し、その上に
当該溶液を塗布してもよい。又、当該溶液をまず塗布し
てから何らかの方法、たとえば噴霧でグリセリンを付加
してもよい。
【0043】本発明で用いるグリセリンの量は、溶液に
対して0.5%以上含むことが望ましく、好ましくは1
%以上、更に好ましく3%以上が望ましい。グリセリン
そのものを溶媒として用いてもよい。この場合、グリセ
リンは用いる溶媒そのもので100%である。しかしグ
リセリンそのものは、高粘性なので他の溶媒で稀めて用
いることが推奨される。当該溶液を塗布後、室温で乾燥
してもよいし、あるいは加熱、乾燥を行っても、真空乾
燥を行ってもよい。又、加熱ガスを送ってもよい。本発
明の縮合反応は、自然の雰囲気の中で空気中の湿気で行
わせるのが最も好ましいが、水蒸気又は水蒸気を含んだ
空気や他のガスを送って反応を促進してもよい。又ある
程度縮合反応が進んだ段階で、水に浸して更に反応を進
めるような手段をとることも出来る。実用的には本発明
の塗布処理を行ったものを、単に清浄室内に保持するだ
けで、雰囲気内の水分によって本発明の活性化、遂次縮
合反応は自然に進むので極めて省力性に富み、経済的な
方法を提供することが出来る。本発明の適用は、その基
本的な手法を応用する範囲は極めて広く疎水性膜を親水
性膜に変換することも可能である。
【0044】
【発明の効果】本発明は、Si−OHの反応性に着目
し、雰囲気中の水分によってSi−OHを生成する含珪
素化合物を利用して、グリセリンの共存状態で自然に水
酸基を有する架橋ポリシロキサンを形成させる新しい技
術を提供し、疎水性の表面を均一に親水性とすることに
成功したものである。
【0045】
【実施例】以下、実施例によって更に詳細に説明する
が、疎水性物質の例としてポリプロピレンを代表として
説明するが、本発明の主旨からして決して実施例に限定
されるものでなく、疎水性物質の親水化によって適用出
来るものであって、本発明の範囲を限定するものではな
い。
【0046】
【0047】
【0048】実施例 ポリプロピレン(宇部興産製UBE−PP−J109
G)を径7mm、巾1mmの円形スリットノズルを用い
て中空繊維に常法によって溶融紡糸した。紡糸筒の温度
は210℃、紡糸速度は200m/分、ドラフト率は7
26であった。この中空繊維は145℃の空気浴で6分
間熱処理したのち、−195℃の液体窒素中に導いて2
0%延伸した。これを引続いて145℃の空気浴で2分
間熱処理して構造固定を行った。当該中空繊維は更に1
40℃に保たれた空気中で380%の延伸を17.3%
/分の速度で行ってフィブリル化処理を行い、145℃
で2分間熱処理を行って構造固定を行った。得られた中
空繊維は均一にフィブリル化した多孔性の管壁を形成
し、バブルポイント法で測定した孔形は0.56μmで
ありポリプロピレン中空繊維の内径は320μm、管壁
圧は57μmであった。この中空繊維を用いて、膜面積
0.5m2の中空繊維型モジュールを作成した。この中
空繊維はポリプロピレンより成るため疎水性でこの中空
繊維の中空部分に水を加え、加圧しても全く管壁から水
は通過し得ず、濾過膜としては全く機能しなかった。
【0049】この中空繊維モジュールを以下に調整した
(A)及び(B)2種類の溶液で処理した。 (A):メチルトリジアセキシシラン6部(以下「部」
は重量部)、ジメチルジアセトキシシラン4部、アセト
ン40部よりなる溶液。 (B):メチルトリアセトキシシラン6部、ジメチルジ
アセトキシシラン4部、グリセリン10部、アセトン3
0部よりなる溶液。 すなわち、(A)溶液及び(B)溶液を用いて0.5m
2 の膜面積をもつ本発明の実施例2の中空繊維を用い
て、2ケの中空繊維モジュールを作成した。ひとつは
(A)溶液で、他のひとつは(B)溶液で処理した方法
は、中空繊維の中空部に(A)又は(B)溶液を圧入し
100mmHgの圧力を加えて上記溶液を管壁を通して
外側へ流れ出るようにし管全体に処理液で濡らし、その
後空気を送って余剰の処理液をパージした。
【0050】これらの処理をした中空繊維を室温に保持
し、1週間そのままにし、その後、水蒸気にさらして縮
合反応を完成後乾燥した。雑種成犬を用いて、上記処理
した中空繊維モジュールを用いて血液中の血漿分離を試
みた。本実験に用いた成犬の体重は10.5kgであっ
た。血漿分離は問題なく行われ、本処理によって完全に
親水化がなされていることが示された。血漿分離操作時
間120分後でのプラズマアルブミンの濾過係数は、
(A)液処理モジュールで0.93、(B)液処理モジ
ュールで0.96であり、全コレステロールは、(A)
液処理モジュールで0.91、(B)液処理モジュール
で0.93であった。本実施例に示す如く、従来疎水性
で全く使用不可であった血漿分離用膜として、本処理中
空繊維は極めて優れた血漿分離膜となりうることが証明
された。
【0051】実施例 テトラエトキシシラン3部、ジエトキシジメチルシラン
7部、グリセリン5部を30部の酢酸エチルに溶解し、
これに1部の氷酢酸を加えて均一な溶液を調整した。厚
さ0.3mmのポリエチレンのフィルム(3cm×3c
m)を2枚用意し、その1枚を上記酢酸エチル溶液に浸
漬したのち、取出してそのまま風乾した。このフィルム
は相対湿度60%の雰囲気中で12日間置き、その後真
空乾燥した。この処理フィルムの上に水を一滴たらした
ところ、水滴は直ちにフィルムに広がり濡れの状態は良
好であった。同じポリエチレンフィルムで本処理を行わ
ないフィルムに同様に水を一滴たらしてみると、水滴は
そのままの形で全く広がらず、表面は疎水性で全く濡れ
なかった。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水分によって活性化し縮合反応によって
    架橋性ポリシロキサシを形成する含珪素化合物を、疎水
    性物質と接触させ、その接触表面において縮合反応を行
    わせるに際し、グリセリンの存在下に該反応を行わせる
    ことを特徴とする疎水性物質の親水化方法。
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