JPH0751356A - 抗血栓性医療用具及び抗血栓性付与方法 - Google Patents

抗血栓性医療用具及び抗血栓性付与方法

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JPH0751356A
JPH0751356A JP5206135A JP20613593A JPH0751356A JP H0751356 A JPH0751356 A JP H0751356A JP 5206135 A JP5206135 A JP 5206135A JP 20613593 A JP20613593 A JP 20613593A JP H0751356 A JPH0751356 A JP H0751356A
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blood
silicon
glycerin
antithrombosis
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Yasushi Jo
靖 城
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Ube Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】新規な抗血栓性血液接触医療用具及び抗血栓性
付与方法を提供する。 【構成】本発明は、水分によって活性化し、縮合反応に
よって架橋性ポリシロキサンを形成する特定の含珪素化
合物を、グリセリン存在下で血液接触医療用具の血液接
触面にコーティングし、縮合反応を行わせて抗血栓性面
を形成させた血液接触医療用具及びその抗血栓性付与方
法に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、血液接触医療用具に抗
血栓性を付与する新しい方法で得られた抗血栓性血液接
触医療用具及び抗血栓性付与方法に関する。殊に人工臓
器や人工臓器に血液を導びく血液回路、あるいは血管内
に留置するチューブ等に抗血栓性を付与した医療用具及
び新しい抗血栓性付与方法に関する。
【0002】
【従来の技術及びその問題点】医学の発達とともに、血
液と接触する医療用具は現在治療に欠かせないものとな
っている。とりわけ人工臓器の発展は、目を見張るもの
があるが、常に血栓の発生、血液凝固という問題をかか
えている。これは生体が本来持っている防御反応に関係
し、血液は異物に触れると直ちに凝固反応をおこすこと
が知られている。新しい治療方法は常にこの生体防御反
応としての血液凝固との戦いであった。
【0003】しかしながら、現在の科学水準をもってし
ても血液接触面に完全な抗血栓性を付与することは極め
てむずかしく、血液に接触する医療用具を用いるとき
は、患者の血液が凝固しないように患者の体内に抗凝固
剤であるヘパリンを注入して、患者の血液自体を凝固し
ない状態にして治療を行っている。これは開心手術は勿
論、腎不全患者が人工腎臓を用いて老廃物を除去するい
わゆる血液透析を行うときも同じである。しかしヘパリ
ンの使用は屡々大きな犠牲を伴うことが知られている。
開心術においては重篤な患者は折角手術が成功しても術
後の出血傾向のために死亡することも少くない。人工透
析を行う腎不全患者は週3回の透析治療を行わなければ
ならないが、副作用が心配されている。患者の血液にヘ
パリンを加えず、医療用具そのものを抗血栓性化するの
は最も理想的であるが、これは極めてむずかしく、この
20年以上にわたってあらゆる試みが世界で行われてい
るが未だ充分実用に至るものはないのが現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】抗血栓性付与に関し
て、これまでの試みで最も研究がされているのがヘパリ
ンの利用である。何故なら、若しヘパリンをその活性を
失うことなしに血液接触面に固定すれば、その表面が抗
血栓性になることはすぐに期待されるからである。しか
し、ヘパリンを固定化するには化学反応を行わねばなら
ず、化学反応をヘパリンに対して行うと、ヘパリンの抗
血栓性が激減してしまい、期待の効果が得られない。ヘ
パリンの活性を保ったまま、何とか血液との接触面に固
定化しようと物理的手段によってヘパリンを表面に保持
しようとする試みも多く、ヘパリンを除放させて、その
間抗血栓性を保つ方法も試みられているが、その効果は
極めて短期間のみ有効でヘパリンが離脱するまでのもの
でしかない。長期にわたり抗血栓性を付与することは現
在医学に立ちはだかる大問題であり、殊に血液接触医療
用具の有用性がますます認識されている今はその必要性
が極めて高いのである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は抗血栓性の付
与に、従来とは異なった見解によるアプローチ、検討を
行って来た。すなわち生体から異物と認識され血液が生
体の防御反応の一環として開始される凝固反応をその過
程でたとえばヘパリンの作用でこの反応を抑制する従来
の方法とは本質的に異るアプローチ、すなわち生体の異
物認識を消滅させ血液凝固反応のスタート自体を回避す
る方法の探究である。それは広い意味での疑似生体化で
あり、生体適合性化反応ということも出来る。生体適合
性の探究も世界で行われているが本発明者は地球上の生
命の起源に立ち戻り、人類への進化に至る過程で最も基
盤となる物質に着目した。その物質は地球上に豊富な珪
土(シリカ)である。このひとつのカテゴリーとしてシ
リコーンすなわち珪素樹脂がある。シリコーンは抗血栓
性についても他の物質より優れていることは従来認めら
れているが実用的見地からみて不充分であることもよく
知られている。本発明者は第1にこの珪素化合物に着目
し、これに加えて血液成分のひとつであるグリセリンに
着目、この組合せによる抗血栓性化の検討を行い、これ
に加えて、血液接触医療用具の血液接触面に極めて巧妙
に薄く均一に塗布し、しかもこれが経時的に離脱するこ
となく、長期に安定して存続する方法を発見し、本発明
に到達したものである。
【0006】本発明は、水分によって活性化し、縮合反
応によって架橋性ポリシロキサンを形成するような含珪
素化合物を、グリセリン存在下で血液接触医療用具の血
液接触面にコーティングし、縮合反応を行わせて抗血栓
性面を形成した抗血栓性血液接触医療用具に関する。
【0007】すなわち、本発明者は血液接触医療用具の
血液接触面の抗血栓性化に際し、種々の検討を行った結
果、次のような基本的な条件を満たすことが必要である
と考えた。すなわち、(1)血液接触表に塗布するべき
抗血栓性物質は、均一かつ薄く、満遍なく塗布されるた
めに、その塗布溶液の粘度が低いこと、そのために塗布
物質が低分子でなければならないこと、(2)均一且つ
薄く塗布された物質が塗布後に高分子物質に変換するべ
きこと、(3)しかもその高分子物質が架橋され不溶と
なるとともに抗血栓性は保持されるべきことである。こ
のような条件を満たす血液が異物認識しないような親水
抗血栓性物質を本発明者は種々探索した結果、ある種の
含珪素化合物、さらに詳細に説明すれば、活性化処理に
よって架橋性官能基(水酸基)を3ヶ以上生じるような
低分子の含珪素架橋剤を用いる方法を思い至った。
【0008】ここで言う含珪素架橋剤とは、珪素をその
分子内に1ヶ以上有し、適当な活性化手法、たとえば雰
囲気中の湿気(水分)との接触によって、架橋能を生じ
るような官能基を有する化合物をさし、より具体的には
シリコーンゴムやシリコーン樹脂への室温架橋剤、すな
わちシランカップリング剤として知られている化合物が
用いられる。
【0009】これらの含珪素架橋剤として、水によって
活性化される官能基を有するものが好ましく用いられ
る。これらの代表例は、一般式
【0010】
【化1】 及び
【0011】
【化2】 (R:CH3 ,C2 5 ,C3 7 ,C4 9 などの炭
化水素)、
【0012】
【化3】 及び
【0013】
【化4】 (X:Cl,Brなどのハロゲン)、
【0014】
【化5】 (R:上記と同じ)などがある。
【0015】このような含珪素架橋剤は低分子であり溶
液状態で粘度が低く、均一に薄く塗布することが可能で
あり、空気中の水分との反応で活性の水酸基が生じ、自
然に3次元の縮合が進み生成した架橋含珪素重合体はポ
リシロキサン構造となる。
【0016】水によって活性化して架橋能を発揮し、ポ
リシロキサン架橋体を形成する分子内に珪素原子1ヶを
有する含珪素架橋剤の例としては、一般式
【0017】
【化6】 (式中Rはアルキル基、アリール基などの炭化水素残基
を、R’はアルコキシ基、アシルオキシ基、ハロゲン又
はアミン残基を、nは0.1を表す)で表される化合物
がある。
【0018】具体的にテトラエトキシシラン、メチルト
リアセトキシシランを例にとって以下に説明する。
【化7】
【0019】
【化8】
【0020】テトラエトキシシラン(TES)は低分子
のために、たとえばそのアセトン溶液は極めて粘性の低
いもので、アセトンの親水性・疎水性の両性と相まって
所望の血液接触医療用具の血液接触表面に均一に薄く塗
布が可能である。低沸点のアセトンが蒸発すれば極めて
均一なTESは薄膜となって血液接触表面を覆うことが
出来る。このTESの薄膜は空気中の水分によって容易
に加水分解しSi−OC2 5はSi−OHに変化す
る。これは直ちに分子間で縮合反応を生じO−Si−O
結合を生じポリシロキサン(架橋)構造になる。
【0021】
【化9】
【0022】
【化10】 すなわち、Si−OH+HO−Si=Si−O−Si+
2 Oという基本反応によって、4官能基での縮合によ
って架橋体となり、しかも生成位置によって縮合反応相
手のない遊離の水酸基(−OH)も未反応のまま存在す
るようになる。このような架橋生成体は遊離水酸基の存
在によって適度の親水性を有しこれが架橋生体化の役割
を担うと考えられる。
【0023】メチルテトラアセトキシシラン(MTA
S)の場合、CH3 −Si結合は安定であるがSi−O
Ac結合は水に対して極めて鋭敏で容易に水酸基に変化
する。
【化11】
【0024】この場合、3官能となるので生成結合体は
3次元に架橋されて、当然不溶体となる。この場合も縮
合反応する対応OHと位置的に遠い遊離の水酸基は必然
的に生じ、好ましい抗血栓性を与えることになる。この
場合塗布された時点ではMTASは低分子であるため、
医療用具の血液接触表面に極薄に均一に塗布が可能であ
り、これが空気中の湿気と接することによって活性の水
酸基を自然に生じ自然に架橋が進み、その間に遊離の水
酸基の存在も相まって疑似生体化表面を形成することが
出来るのである。
【0025】本発明者は、このような基本的な反応に基
いて、更に抗血栓性付与の条件を追求中、更に高度に抗
血栓性付与を行う方法を見出した。すなわち、上記のよ
うな含珪素架橋剤を塗布する際にグリセリンを存在させ
ると、おどろく程の、高度の抗血液凝固性を発現するこ
とを知った。このような現象はこれまで全く報告されて
おらず、本発明者の発見である。これは上記の反応の
間、そこにグリセリンが介在することによって次式
(B)の如く、グリセリンと反応して5員環又は6員環
を形成し、親水性のエーテル結合(−O−)結合や、遊
離の−OHを生じるための結果と考えられる。
【0026】
【化12】
【0027】このように架橋反応に本来生体の血液成分
であるグリセリン分子が組み込まれるために生体親和性
が一段と向上し高度の抗血栓性が達成されるのである。
すなわち、抗血栓性化反応にグリセリンを介在させ、こ
れを取込ませることによっておどろく程の抗血栓性化を
簡単な操作で達成することに成功したものである。
【0028】本発明に用いられる水によって活性化して
架橋能を発揮しポリシロキサン架橋体を形成する、分子
内に珪素原子を1ヶ有する含珪素架橋剤の具体例として
は、たとえばテトラアセトキシシラン、メチルトリアセ
トキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、プロピル
トリアセトキシシラン、ブチルトリアセトキシシラン、
フエニルトリアセトキシシラン、メチルトリエトキシシ
ラン、エチルトリエトキシシラン、テトラエトキシシラ
ン、フエニルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキ
シシラン、ブチルトリエトキシシラン、メチルトリメト
キシシラン、テトラメトキシシラン、エチルトリメトキ
シシラン、プロピルトリメトキシシラン、ブチルトリメ
トキシシランあるいはテトラクロロシラン、メチルトリ
クロロシラン、エチルトリクロロシラン、ブチルトリク
ロロシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビス−(N
−メチルベンジルアミド)エトキシメチルシラン、トリ
ス−(ジメチルアミノ)メチルシラン、ビニルトリクロ
ロシラン、トリス−(シクロヘキシルアミノ)メチルシ
ラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプ
ロピルトリメトキシシラン、テトラプロポキシシラン、
ジビニルジエトキシシランなどを代表例として挙げるこ
とができる。
【0029】又、珪素をその分子中に2ヶ含む含珪素架
橋剤の代表例としては、たとえば、ヘキサアセトキシジ
シロキサン、1,3−ジメチルテトラアセトキシジシロ
キサン、1,3−ジビニルテトラエトキシジシロキサン
のような一般式
【0030】
【化13】 (式中n、m=0,1,2,3、n+m=0,1,2,
3のいずれか、Rは架橋能のない炭化水素残基、R’、
R”は適当な活性化手段で架橋能を示す基を示す)で表
される化合物が挙げられる。
【0031】珪素をその分子中に3ヶ含む含珪素架橋剤
の例としては1,3,5−トリメトキシ−1,1,3,
5,5ペンタメチルトリシロキサン、1,1,3,3,
5,5−ヘキサアセトキシ−1,5−ジメチルトリシロ
キサンなどを挙げることが出来る。これらの含珪素架橋
剤としては公知の室温架橋型のシランカップリング剤が
広く用いられ、たとえばペトラーチシステムインコーポ
レイテッド(Petrarch System In
c.)発行のシリコンコンパウンド(SiliconC
ompounds,Register & Revie
w),1979やシリコン(Silicones),1
981に掲載されているすべての含珪素架橋剤を用いる
ことが出来る。
【0032】以上に述べた架橋性(即ち3官能性)の含
珪素化合物に加えて2官能性の縮合によってSi−O−
Si結合を順次生じてポリシロキサンを生じるような低
分子の含珪素化合物を併用してよいことは勿論である。
このような2官能性の含珪素化合物として、珪素原子に
2ヶの炭化水素基を有し、分子中に2ヶの水によって活
性化されて架橋能を生じる官能基を有する、たとえば一
般式
【0033】
【化14】 (式中R1 〜R4 は同種又は異種の炭化水素基、nは
0,1,2,3等の正の整数、Y及びY’は同種又は異
種の水によって活性化される架橋性官能基をそれぞれ表
す)で示される含珪素化合物がある。
【0034】これらの化合物は、珪素原子に2ヶの架橋
性のない炭化水素基と分子中に2ヶの架橋性官能基を含
有するものの例としてはジメチルジアセトキシシラン、
ジエチルジアセトキシシラン、ジメチルジエトキシシラ
ン、ジエチルジエトキシシラン、メチルエチルジメトキ
シシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジメチルジクロ
ロシラン、メチルフエニルジアセトキシシラン、ジフエ
ニルジアセトキシシラン、ジベンジルジアセトキシシラ
ン、ジビニルジエトキシシラン、1,1,3,3−テト
ラメチル−1,3−ジアセトキシジシロキサン、1,
1,3,3−テトラメチル−1,3−ジメトキシジシロ
キサン、1,1,3,3−テトラエチル−1,3−ジエ
トキシジシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ
メチル−1,5−ジアセトキシトリシロキサン、1,
1,3,3,5,5−ヘキサエチル−1,5−ジエトキ
トリシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチ
ル−1,5−ジメトキシトリシロキサン、1,1,1,
5,5,5−ヘキサメチル−3,3−ジアセトキシトリ
シロキサン、1,1,1,3,5,5−ヘキサメチル−
3,5−ジアセトキシトリシロキサンなどが挙げられ
る。
【0035】このような2官能性のものを加えると、生
成重合体の中に−Si−O−Si−結合による線状の分
子鎖が長くなり、換言すれば架橋濃度を減少させること
が出来るのでそれだけ生成重合体が弾性をもつようにな
り、目的によっては有利となる。これら珪素を含有する
高分子の生成反応は式(A)に示すように空気中の水分
によって活性化され、自然に逐次反応によって縮合して
ポリシロキサン分子を形成し、その中にあって共存する
グリセリンと水酸基を有する親水性のエーテル結合を有
する5員環、6員環を形成しこのため、生成架橋縮合体
に生体成分であるグリセリンを取込んで疑似生体面を形
成する。そのためその表面は、極めて抗血栓性に富
み、3次元に架橋しているため、抗血栓性を保つ上、
水に溶解しないため、抗血栓性化した表面は恒久的に安
定しているという特徴を有する。
【0036】加うるに本発明の方法では、抗血栓性の付
与に重合という操作を行うことなしに空気中の水分で自
然に架橋が進行すること。塗布時においては反応成分は
低分子であるため、極めて容易に所望の血液接触表面へ
の均一かつ薄膜への塗装が可能であった。抗血栓性の保
持性が長期にわたることなどの特性が挙げられる。
【0037】本発明の最も重要な点は、この抗血栓性付
与の際にグリセリンを介在させる点にある。グリセリン
の存在は式(B)に示したようにグリセリンを縮合反応
の中に取り込み、水酸基含有の親水性の5員環(a)、
6員環(b)を生成させること。この5員環、6員環の
生成によって架橋縮合体の分子鎖はこの環状生成物によ
って相互接近を妨げられこれは珪素に結合した水酸基
(未反応)が遊離の状態で存在し縮合反応相手の、遊離
水酸基との反応をすることなく遊離水酸基の状態で残る
ことになり、これが更に疑似生体化への効果に進み抗血
栓性の向上につながることになる。したがってグリセリ
ンの存在は極めて意義のある本発明の基本原理を示すも
のである。
【0038】グリセリンの存在下の該溶液の塗布には、
その溶液に予めグリセリンを含有させておいてもよい
し、予め抗血栓性化しようとする血液接触医療用具の血
液接触表面にまずグリセリンを塗布し、その上に当該溶
液を塗布してもよい。また、当該溶液をまず塗布してか
ら何らかの方法、たとえば噴霧でグリセリンを付加して
もよい。本発明で用いるグリセリンの量は、溶液に対し
て0.5%以上含むことが望ましく、好ましくは1%以
上、更に好ましく3%以上が望ましい。グリセリンその
ものを溶媒として用いてもよい。この場合グリセリンは
用いる溶媒そのもので100%である。
【0039】当該溶液を塗布後、室温で乾燥してもよい
し、あるいは加熱、乾燥を行っても真空乾燥を行っても
よい。又加熱ガスを送ってもよい。本発明の縮合反応
は、自然の雰囲気の中で空気中の湿気で行わせるのが最
も好ましいが水蒸気または水蒸気を含んだ空気やガスを
送って反応を促進してもよい。また、ある程度縮合反応
が進んだ段階で、水に浸して更に反応を進めるような手
段をとることも出来る。
【0040】本発明の適用は、その基本的な手法は簡単
で、かつ経済的であり応用する範囲は極めて広く血液に
接触する医療用具に広く適用可能である。本発明を適用
される血液接触用具の具体例としては、いわゆる人工臓
器といわれるもの、すなわち、人工心臓、人工肺、人工
血管、人工肝臓を始め、人工肺、人工腎臓に血液を導く
血液回路、血管内留置カテーテル、血管内留置薬品注入
カテーテル、各種血液体外循環回路等血液と接触する医
療用具に広く適用可能である。人工血管としてもポリエ
ステル人工血管、弗素樹脂等人工血管、ポリウレタン人
工血管などに適用可能である。
【0041】
【発明の効果】本発明は、生体の異物認識を軽減させ
て、血液の凝固を抑制し、抗血栓性化で達成するもので
Si−OHの反応性に着目して、雰囲気中の水分によっ
てSi−OHを生成する珪素化合物を利用し、グリセリ
ンの共存状態で自然に水酸基を有する架橋ポリシロキサ
ンを形成させる新しい抗血栓性付与方法を提供し、均一
に医療用具の血液接触面を抗血栓性化することに成功し
たものである。
【0042】
【実施例】以下、実施例によってさらに詳細に説明す
る。
【0043】実施例1 メチルトリアセトキシシラン2部(以下「部」は重量部
である)、ジメチルジアセトキシシラン6部を、30部
のアルコールに溶解して均一な溶液を調製した。これに
10部のグリセリンを加えた。6F(フレンチ)のポリ
塩化ビニルチューブの外壁面および中腔面に上記の含グ
リセリン溶液を塗り、これを室温で乾燥させた。雰囲気
の湿度は相対湿度62%であった。この状態で10日間
保った。最初の3日間は遊離した酢酸匂がしたが、8日
目には最早酢酸の匂いはなかった。これを更に一昼夜真
空で乾燥した。エチレンオキサイドガスで常法で滅菌し
てこれを雑種成犬の腸骨動脈中に留置した。24時間後
このチューブを取出してみるとチューブの外側には全く
血栓が認められなかった。比較のため、本実施例の含グ
リセリン溶液で処理していないポリ塩化ビニルの6Fチ
ューブを同じ腸骨動脈に留置したものはチューブの外壁
には血栓の付着がみられた。
【0044】実施例2 ジメチルジアセキシシラン7部とメチルトリアセトキシ
シラン3部をアセトン−テトラヒドフラン(2:1)混
合物に溶解し、更にこれに2部のグリセリンを加えて均
一な溶液を作った。4Fのポリウレタンチューブを用意
し、これに上記溶液を外表面および内表面にコーティン
グした。これを相対湿度65%の雰囲気中で1週間保
ち、50%の含水アルコールで外表面を処理したのち一
夜放置しその後真空で乾燥した。このチューブを雑種成
犬の腸骨動脈の中に8時間留置したのち取出してみる
と、チューブの外表面に血栓の発生を全くみなかった。
一方、本処理を行わないチューブは全く同じ動脈内留置
を行ったものは外表面に血栓の形成が散見された。
【0045】実施例3 テトラエトキシシラン3部、ジメチルジエトキシシラン
6部をエタノール15部に溶解し、これに氷酢酸を1部
加えてよく振とうし、均一な溶液とし、これに2部のグ
リセリンを加えた。溶液は透明な均一液である。4Fの
ポリウレタンチューブにこの溶液を外面および内面に塗
布し、室温で2週間放置した。雰囲気の相対湿度平均6
2%であった。このポリウレタンチューブを常法により
滅菌酸化エチレンガスで滅菌し、雑種成犬の腸骨動脈内
に留置し、12時間後に取出して血栓の有無を観察し
た。目視での血栓は観察されなかった。比較のため、こ
の塗布処理を行わないポリウレタンチューブを同時に血
管内に留置したものについては外面に血栓の生成が観察
された。
【0046】実施例4 内径4mm、外径5.5mmの軟質ポリ塩化ビニルのチ
ューブ(長さ1.5m)の内面に、実施例2で調製した
溶液に接触させたのち、このチューブの中に湿度を含ん
だ空気を送り一定の湿度の雰囲気中で5日間溶媒を蒸発
させた。更にこれを相対湿度55%で3日間放置後、真
空で50℃に保って乾燥させた。雑種成犬を用いて大腿
動脈静脈間のこのチューブにポンプを用い血液を導出
し、再び成犬にもどした。1時間後、このチューブには
全く血栓を生じていなかった。 一方、本処理を行わな
い軟質ポリ塩化ビニルチューブで同じことを行ったとこ
ろ1時間後のものに血栓の生成が散見された。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水分によって活性化し、縮合反応によって
    架橋性ポリシロキサンを形成するような含珪素化合物
    を、グリセリン存在下で血液接触医療用具の血液接触面
    にコーティングし、縮合反応を行わせて抗血栓性面を形
    成させた抗血栓性血液接触医療用具。
  2. 【請求項2】水分によって活性化し、縮合反応によって
    架橋性ポリシロキサンを形成するような含珪素化合物
    を、グリセリン存在下で血液接触医療用具の血液接触面
    にコーティングし、縮合反応を行わせて抗血栓性面を形
    成させることを特徴とする抗血栓性付与方法。
JP5206135A 1993-08-20 1993-08-20 抗血栓性医療用具及び抗血栓性付与方法 Pending JPH0751356A (ja)

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JP5206135A JPH0751356A (ja) 1993-08-20 1993-08-20 抗血栓性医療用具及び抗血栓性付与方法

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JP5206135A JPH0751356A (ja) 1993-08-20 1993-08-20 抗血栓性医療用具及び抗血栓性付与方法

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JPH0751356A true JPH0751356A (ja) 1995-02-28

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JP5206135A Pending JPH0751356A (ja) 1993-08-20 1993-08-20 抗血栓性医療用具及び抗血栓性付与方法

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