JP2923654B2 - Dta遺伝子及びその利用法 - Google Patents

Dta遺伝子及びその利用法

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  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、D−スレオニンアルドラーゼ(以下、DTA
と略す)の合成に関与する遺伝情報を担うDNA、そのDNA
とベクターDNAとによりなる組換え体DNA、その組換え体
DNAを保有せしめた形質転換体、及び該形質転換体を利
用したDTAの製造法並びにD−スレオニンの製造法に関
する。
本発明は、バイオインダストリーの産業分野に関連し
たもので、特に医薬、農薬等の合成原料として有用なD
−スレオニンの製造分野に関する。
[従来技術及び発明が解決しようとする課題] D−アミノ酸の研究が進むに従って、D−アミノ酸は
抗生物質、酵素阻害剤、除草剤等の各種医薬、農薬、そ
の他の各種の生理活性物質の合成原料として有用である
ことが明らかにされ、その大量製造法が求められてき
た。
従来L−アミノ酸及びD−アミノ酸それぞれの製造
は、DL−アミノ酸から繁雑な方法でもってラセミ体を光
学分割して製造することが一般的であった。
しかし、そのような方法は、不必要な他方のアミノ酸
を製造すると共にそれを光学分割しなければならないと
いう著しい不利な点を有していた。このような点を解決
するものとして、本発明者らは自然界を、広く検索した
結果D−スレオニンアルドラーゼ(DTA)を見出す(特
公昭64−11279号)と共に、その酵素を使用すればグリ
シンとアセトアルデヒドなどのアルデヒド化合物から選
択的にD−スレオニンなどのD体のβ−オキシアミノ酸
を製造することができることを見出した(特開昭58−11
6690号)。
このようなDTAを使用したD−β−オキシアミノ酸を
効率よく製造するためには、大量のDTAを安価に取得す
ることが必要であった。従来この酵素を大量に効率よく
得るために、高生産菌株を土壌などから得る試みが広範
囲になされたり、あるいは既存の生産株の人工突然変異
によって育種改良することがなされてきたが、満足のい
く結果が得られていなかった。
さらにまた、従来の自然界に存在するDTA生産菌は、
同時にL−アロスレオニンアルドラーゼ活性をかなりの
程度示すため、グリシンとアルデヒド類からD−β−オ
キシアミノ酸類を製造しようとする場合、L−アロ−β
−オキシアミノ酸の副生を避けるためにL−アロスレオ
ニンアルドラーゼを選択的に不活性化したり、DTA活性
から分離するという大変繁雑な操作を必要とするという
問題もあった。
(問題点を解決するための手段) このような状況のもとで、本発明者らは、鋭意研究を
行った結果、微生物よりDTA産生遺伝子を含むDNAを単離
することに成功すると共に、そのDNAを利用して遺伝子
操作を加えて構築された組換え体DNAで微生物を形質転
換させることに成功し、更にこのような手法によりDTA
の生産生を大幅に向上せしめると共にD−スレオニンの
生産性をも大幅に改善せしめうることを見い出し、本発
明を完成するに至った。
即ち、本発明は、D−スレオニンアルドラーゼの合成
に関与する遺伝情報を担うDNAを提供することに関す
る。
また、本発明は、D−スレオニンアルドラーゼの合成
に関与する遺伝子情報をを担うDNAとベクターDNAとを結
合せしめてなる組換え体DNAを提供することに関する。
更にまた、本発明は、D−スレオニンアルドラーゼの
合成に関与する遺伝子情報を担うDNAとベクターDNAとを
結合せしめてなる組換え体DNAを保有せしめてなる形質
転換体を提供することにも関する。
本発明は、上記のようして得られた形質転換体を利用
することにも関する。
即ち、本発明は、上記形質転換体中のDTAの合成に関
与する遺伝情報を担うDNAを、該形質転換中で発現させ
て、DTAを製造することにも関する。
また、本発明は、上記形質転換体をそのまま利用し
て、生物学的にD−スレオニンまたはその誘導体を製造
することにも関する。
更に、本発明は、上記形質転換体中のDTAの合成に関
与する遺伝情報を担うDNAを、該形質転換体中で発現さ
せて、その結果得られた組換えDTAを用いて酵素学的に
D−スレオニンまたはその誘導体を製造することにも関
する。
以下、更に詳細に本発明を説明する。
本発明のD−スレオニンアルドラーゼの合成に関与す
る遺伝情報を担うDNAとしては、例えばキサントモナス
属細菌から得られたものが挙げられる。このキサントモ
ナス属細菌としてはDTA産生キサントモナス属細菌株で
あれば特に限定されないが、特に好ましいものとしては
キサントモナス・オリゼーIAM1657をあげることができ
る。
また、このDNAは、以下に詳細に説明するようにして
取得されるが、それが一旦単離取得されたならば、慣用
方法に従ってそのDNA中の塩基配列の大部分あるいは一
部分を利用して、それをプローブとして用いて、他の生
物を検索して、その生物の保有する遺伝子のうちに、DT
Aの合成に関与する遺伝情報を担うものを見つけ出し、
次にそのようにして同定された遺伝子を遺伝子組換え技
術の手法を応用して切り出して、それを大量に得、それ
をこのキサントモナス属細菌に由来するものと同様に用
いることは、当業者であれば容易に理解しうるところの
ものである。
したがって、本発明はD−スレオニンアルドラーゼの
合成に関与する遺伝情報を担うDNA源としては、キサン
トモナス属細菌のみでなく、上記したような手法の適用
できるグラム陰性あるいは陽性細菌であってDTAをコー
ドする遺伝子を有するものがあげられる。この他にも、
DTA遺伝子を有するものであれば、動物、植物、下等生
物、高等生物の区別なく利用することが可能である。
DTA遺伝子源として好ましい微生物としてはキサント
モナス属、アリスロバクター属、シュードモナス属ある
いは、アルカリゲネス属に属するものがあげられる。こ
のようなものの代表的なものとしてはキサントモナス・
オリゼーIAM1657,アルカリゲネス・ハエカリスIFO1266
9,シュードモナスDK−2微工研菌寄第6200号及びアリス
ロバクターDK−19微工研菌寄第6201号をあげることがで
きる。
また、本発明のD−スレオニンアルドラーゼの合成に
関与する遺伝情報を担うDNAとしては、D−スレオニン
アルドラーゼをコードしている遺伝子の部分であるDNA
あるいは、そのD−スレオニンアルドラーゼをコードし
ている遺伝子の部分に加えて、その遺伝子を生体内で発
現させるのに重要な役割を担う制御領域、例えば、読み
取りの開始部位あるいは終止部位などを含有しているDN
Aが含まれる。またそのようなDNAとしては、その相補鎖
のDNAも包含させるほか、その機構をそこなわない範囲
でその塩基を置換したものもあげられる。このような塩
基の改変は、当該分野において知られた方法を適用して
行うことができ、例えば相当するアミノ酸をコードする
遺伝暗号の縮重を利用したもの、生物の遺伝暗号の利用
率を考慮した変換あるいはDTAの機能に悪影響を及ぼさ
ないようなアミノ酸配列の変換のための塩基の置換、付
加または欠失処理などがあげられる。
更にまた、このような改変のうちには、DTAの活性中
心のみを保存し、その他の部分を大幅に変化させるよう
なそのDNAの配列及び長さを変えることも含まれる。し
たがって、本発明のD−スレオニンアルドラーゼの合成
に関与する遺伝情報を担うDNAとしては、以上のような
改変を施したものすべてが使用できることは当業者であ
れば容易に理解しうるところのものである。
以上のような事情に鑑み、本発明のD−スレオニンア
ルドラーゼの合成に関与する遺伝情報を担うDNAは、本
発明の思想を実質的に利用して得られ、本発明のDNAと
実質に同一の機能を有するものすべてを含有するもので
ある。
次にキサントモナス属細菌由来のDTA産生遺伝子を含
むDNAを例にあげて、組換えDTAの製造方法及びその利用
について説明する。
(1) DTA生産性キサントモナス属細菌より染色体DNA
を抽出し、制限酵素で切断する。染色体DNAの抽出は、M
armur法(J.Marmur,J.Mol.Biol.,3,208(1961),)な
どの通常用いられている方法で行うことが出来る。
ここで使用しうるキサントモナス属細菌としては、具
体的にはキサントモナス・オリゼーIAM1657あるいはそ
の変異株があげられる。
またその染色体DNAの抽出は、培養して得られた菌体
をリゾチームあるいはプロテナーゼで処理し、フェノー
ルで抽出すること等によりなされる。このようにして抽
出されたDNAは適当な制御酵素で切断される。
切断に用いる制限酵素としては、染色体DNAを適当に
切断でき、かつ本目的に使用するベクターの開裂に用い
ることができる制限酵素であればいずれも使用可能であ
る。この際用いる制限酵素によって目的遺伝子の内部が
切断されることを避けるために、低活性の制限酵素でDN
Aを部分的に分解し、目的遺伝子を完全に含むような適
当な大きさのDNA断片を得ることが望ましい。
このようにして得られたDNA断片はショ糖密度勾配遠
心法、アガロースゲル又は、アクリルアミドゲル等を用
いたゲル電気泳動法あるいはRPC−5レジン等を用いた
カラムクロマトグラフィー法によって精製されることが
できる。
本発明の場合特にショ糖密度勾配遠心法が好適に使用
され、その5−10Kbの画分が好適に組換え体DNAの作成
に用いることができる。
(2) ベクターDNAを制限酵素で切断・開裂させる。
ベクターDNAの開裂は、ベクターDNAに適当な制限酵素を
十分作用させることにより行う。
ここで使用される制限酵素は、上記(1)において使
用した制限酵素を考慮して決めることができるが、必ず
しも同一である必要はない。それは下記(3)において
記載するように、各DNAの末端部を必要に応じて修飾す
ることができるからである。このような方法としては、
公知の方法を適宜組み合わせて用いることができる。
しかしながら、その制限酵素は、上記(1)において
使用したものと同一のものを用いると便利であり、好ま
しい結果が得られる。
ここで使用しうるベクターDNAとしては、通常の公知
の宿主−ベクター系として知られているものの中から選
んで用いることができる。このようなベクターDNAとし
ては、各宿主細胞中で自律複製可能なものであれば制限
なく使用でき例えば、宿主細胞として大腸菌を用いる場
合、大腸菌K−12株(EK)用によく知られた発現ベクタ
ーがあげられる。このようなものの代表例としては、pM
B9,pBR313,pBR322,pBR324,pBR325,λgtWES・λB,λgtZJ
vir・λB,Charonファージ、コスミドベクター、ランナ
ウェイ・プラスミドベクターなどがあげられるほか、la
cUV5,trpプロモーター、外膜リポタンパク遺伝子(lp
p)、タンパク合成の延長因子EF−Tu遺伝子(tufB)、r
ecA遺伝子のプロモーター、コリシンE1遺伝子のプロモ
ーター、およびλファージ初期遺伝子群プロモーター
(PL)などを単独であるいはそれらの任意のものを組み
合わせたもので制御されたプラスミドベクターがあげら
れる。このようなプラスミドベクターのうち特に好まし
いものとしてはpBR322、pBR328などがあげられる。
また、ここで使用されるベクターDNAとして広宿主域
接合伝達プラスミドとして知られたものを用いると、直
接に宿主細胞としてキサントモナス属細菌、シュードモ
ナス属細胞、アルカリゲネス属細胞などを用いることが
できる。このようなベクターDNAとしては、pRK2013など
のヘルパープラスミドと共に用いるられるpRK290,pRK29
0からλCOSで修飾されたコスミド,pSa及びpRSF1010を母
体とするコスミド、pRSF1010から誘導された各種pKT系
にプラスミド,300Bから誘導されたpIRL2あるいはpTB70,
及びpTS1036などがあげられる。このようなベクターDNA
として特に好ましいものとしてはpRK2013をヘルパープ
ラスミドとして用いたpRK290があげられる。
また、キサントモナス属細菌を宿主細胞として用いる
場合、キサントモナス属細菌内で自律複製しうることが
知られ、さらにはキサントモナス属細菌を形質転換させ
うることが知られたベクターDNAも使用することがで
き、このようなベクターDNAのうち特に選択マーカーと
してクロラムフェニコール耐性によって選別しうるよう
な性質を有するものがあげられる。このようなものとし
て、特に好ましいものとしては大腸菌のベクターDNAか
ら改良されたものがあげられる。この代表的なものとし
てはpBR328,pBR325などがあげられる。
さらにまた、ここで使用されるベクターDNAとして
は、宿主細胞として、例えばアセトバクター属細胞、シ
ュードモナス属細菌、グルコノバクター属細菌、アゾト
バクター属細菌、リゾビウム属細菌、アルカリゲネス属
細菌、クレブシエラ属細菌、サルモネラ属細菌及びセラ
チア属細菌から選ばれるものにおいて用いられるものが
あげられるが、好ましくはこのうち特に遺伝子組換えに
おいて広く一般に用いられるものがあげられる。これら
宿主細胞において用いられるベクターDNAとしては公知
のもののなかから適宜選択して使用することができる。
以上、ここで使用されるベクターDNAは、その宿主細
胞中で自律複調できるものであれば、特に制約はない
し、また単に目的とする遺伝子をクローン化するための
みであれば格別の制限なく、公知のものを用いることが
できる。このようにして用いられるベクターDNAは、一
種以上の宿主間に適用できる広宿主域接合伝達性プラス
ミドが便利に使用しうる。
また、ここで使用されるベクターDNAは、選別のため
のマーカー等、遺伝子組換えにおいて要求される通常知
られた機能を有することはもちろんである。
(3) ベクターDNAの開裂部位に上記(1)で得たDNA
断片を組み込み、閉環した組換え体DNAをつくる。ベク
ターDNAの開裂部位にDNA断片を組み込むには、大腸菌の
DNAリガーゼ、T4DNAリガーゼの様な連結酵素を作用させ
るなどの通常の方法を用いることが出来る。この際、ベ
クターDNAの分子内環化による組換え効率の低下を避け
るために、あらかじめCIP(Calf Intestine alkaline P
hosphatase)、BAP(Bacterial alkaline Phosphatas
e)などのアルカリ性フォスファターゼにより開裂ベク
ターDNA末端の脱リン酸処理を行うことが好ましい。
また、ベクターDNA及び上記(1)で得たDNAの末端部
が、その相互の結合に不適な場合は、公知の方法で適当
に核酸塩基を付加したり、あるいは消化して除いたり、
あるいは平滑末端とするなどの方法により修飾してか
ら、そのベクターDNA及び上記(1)で得たDNAの連結を
行うことができる。
(4) 組換え体DNAを宿主細胞に移入し、遺伝子ライ
ブラリーを作製する。組換え体DNAの宿主への移入は、
接合や形質転換など、用いる宿主−ベクター系に適した
方法を選択することが出来る。
ここで使用しうる宿主細胞としては、通常の遺伝子組
換え技術において、遺伝子のクローニングのために使用
されるものであれば特に制限なく使用できるが、特に好
適な宿主細胞としては大腸菌があげられる。
この他にここで使用することのできる宿主細胞として
はキサントモナス属細菌、アセトバクター属細菌、シュ
ードモナス属細菌、グルコノバクター属細菌、アゾトバ
クター属細菌、リゾビウム属細菌、アルカリゲネス属細
菌、クレブシエラ属細菌、サルモネラ属細菌及びセラチ
ア属細菌から選ばれたものがあげられるが、好ましくは
このうち特に遺伝子組換において用いられるものがあげ
られる。これらの宿主細胞のうち、特に大腸菌及びキサ
ントモナス属細菌が好ましい。ここで使用される大腸菌
としては、例えば、C600株、HB101株などがあげられ
る。
ここで使用されるキサントモナス属細菌としては、例
えば、キサントモナスシトリーIFO3311、キサントモナ
ス・キャペストリスpVシャンペストリスNIAES1076など
があげられる。
DTAの遺伝子ライブラリーを作製するにあたって好ま
しいのは大腸菌であり、例えば、C600株が特に好まし
い。
(5) 遺伝子ライブラリーを作製し、目的の組換え体
DNAを保有する細胞を分離する。上記(4)の操作で得
られる細胞株の目的の組換え体DNAを保有するものはご
くわずかであるので、その中から目的の細胞株を選択す
る。宿主が目的の組換え体DNAを獲得しても宿主の表現
型には変化は現れないので、目的の細胞を分離するため
には、まず上記(4)の操作で得られるプラスミドを保
有した細胞株のライブラリーを作製し、DTA活性を指標
にスクリーニングを行う。ライブラリーを構築するに必
要な細胞株の数は、染色体DNAの大きさとベクターに挿
入されたDNA断片の大きさから計算することが出来る。
上記(4)の操作で得られるプラスミドを保有した細胞
株の選別は選択マーカーを利用して通常の方法を適用し
て行うことができる。
次に、各培養細胞株のD−スレオニン分解活性を指標
にDTA活性を調べることにより、目的の組換え体DNAを保
有する株を選択することできる。
(6) 目的の組換え体DNAを保有する細胞株から目的
のDNA断片を単離する。常法に従い目的の組換え体DNAを
保有する細胞から目的の組換えDNAを抽出する。得られ
た組換えDNAを、連結に用いた制限酵素などの適当な制
限酵素でベクターDNAから切断し、アガロースゲル電気
泳動などの方法で所望のDTAの合成に関与する遺伝情報
を担うDNAを分離することが出来る。
(7) DTAの合成に関与する遺伝情報を担うDNAの解析
を行う。上記(6)で得られたDTAの合成に関与する遺
伝情報を担うDNAについて適当な制限酵素を作用させ、
制限酵素地図を作製する。また、そのDNAの塩基配列は
適当な制限酵素によって作られたDNA断片に、良く知ら
れたDNA塩基配列決定法を適用して決めることができ
る。このような方法のうちには、サブクローン化法によ
る手法が含まれていることはもちろんである。上記DNA
断片のDNA塩基配列の決定法としては、Maxam−Gilbert
法、ジデオキシ・シークエンス法,ジデオキシ・チェイ
ン・ターミネーション法等があげられる。
上記(6)のようにして単離され、構造解析されたDN
Aは、そこにDTAの合成に関与する遺伝子以外の領域が保
有されている場合、様々な方法でDTAの合成に不必要な
領域を欠失させることができる。このような方法として
は、BAL31ヌクレアーゼやエキソヌクレアーゼIIIによる
欠失法、制限酵素切断サイトを利用した組換え法などが
あげられる、 上記(6)で得られたDNAのうち、特にキサントモナ
ス・オリゼーIAM1657より得られたものは、次の特徴を
有している。
(a) 該DNA断片は、分子の長さが約3.5キロベースの
デオキシリボ核酸(DNA)である (b) 該DNA断片の両端は、制限酵素Sma IとBgl IIに
よって生じる平滑および粘着性末端である。
(c) 該DNA断片は、下記制限酵素に対し、次の切断
感受性を有する。
BamH I 0 EcoT22 I 1 Bgl II 0 Sal I 2 Sma I 0 Hind III 0 EcoR I 1 Pst I 0 Xba I 0 Sca I 0 前にも説明したとおり、現在の遺伝子操作技術では、
制限酵素切断部位をなくしたり、他の制限酵素切断部位
に変更したりするなど、DNA断片の一部を変更すること
は容易である。従って、そのように一部を変更したDNA
断片であっても、DTA活性を示すポリペプチドの産生を
担う遺伝子を含むDNA断片であれば、全て本発明に含ま
れることは明白である。
(8) 以上のようにクローン化されたDTAの合成に関
与する遺伝情報を担うDNAは、適当な手段を施して単離
され、次に適当なベクターDNAに再び組み込むことによ
り、宿主細胞に再び導入することができる。
このクローン化されたDTAの合成に関与する遺伝情報
を担うDNAの単離法としては、制限酵素で純化された組
換え体DNAを処理した後、得られたDNA断片混合物をアガ
ロース等を用いたゲル電気泳動法、フェノール抽出法、
エタノール沈澱法等の遺伝子組換え技術のうちで通常用
いられる方法を適宜使用して濃縮、精製する方法があげ
られる。
また、本発明の上記DTAの合成に関与する遺伝情報を
担うDNAを宿主細胞に導入し、そしてそれをその導入さ
れた宿主細胞内で発現されるために用いられるベクター
DNAとしては、適当な宿主細胞内で、DTA遺伝子を発現で
きるものであれば特に制限なく使用しうる。
このようなベクターDNAとしては上記DTAの合成に関与
する遺伝情報を担うDNAを組み込むことのできるもので
あり、そしてそうして組換えたベクターDNAで宿主細胞
を形質転換できるものであり、そうして得られた組換え
宿主細胞内で上記導入されたDTAの合成に関与する遺伝
情報を担うDNAの発現ができるものであれば特に限定さ
れず、如何なるものも使用することができる。
このようなベクターDNAとしては、宿主細胞中で自律
複製可能であり、さらに組換え宿主細胞のみを選別でき
るような適当な選択マーカーなどが付与されたものがあ
げられる。さらにまた、このようなベクターDNAは公知
のベクターDNA等から当業者が容易に製造しうるような
ものであってもよい。
このようなベクターDNAとしては、例えばプラスミド
ベクター、ファージベクター、コスミドベクター、シャ
トルベクター、ランナウェイベクターから選ばれたもの
があげられる。
さらに、このようなベクターDNAは、lacUV5プロモー
ター、trpプロモーター、lppプロモーター、tufBプロモ
ーター、recAプロモーター、PLプロモーター等の制御因
子を適宜付与されたものであってもよい。このような形
質発現などに係わる因子等を導入するためには遺伝子組
換え技術の分野でよく知られた方法を適宜選択して適用
することにより行うことができる。さらにまた、ここで
使用することのできるベクターDNAとしては、上記
(2)で詳細に記載したものの中からも選んで使用する
ことができる。ここで使用することのできるベクターDN
Aの代表的なものは、宿主細胞によっても異なるが、pBR
328(MurooKa,et al.,J.Bacteriol.,169(7),4406(1
987)),pRK2013などのヘルパープラスミドと共に用い
られるpRK290(G,Ditta,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.,U
SA.77(12),7347−7351(1980))などがあげられる。
上記ベクターDNAに、上記DTAの合成に関与する遺伝情
報を担うDNAを組み込むには、まず、上記ベクターDNAを
適当な制限酵素を作用させ、得られたベクターDNA断片
を、上記DNAの合成に関与する遺伝情報を担うDNA断片と
を混合し、これにDNAリガーゼを作用させることにより
なしうる。このようにして得られた組換え体DNAは次に
適当な宿主細胞の中に導入される。
上記DNAリガーゼとしては、当該分野で公知のものを
使用できるが、例えば、大腸菌DNAリガーゼ,T4DNAリガ
ーゼなどがあげられる。
上記ベクター断片と上記DTA合成遺伝子のDNA断片との
ライゲーションにあっては、必要に応じ当該分野で知ら
れたリンカー付与、ブラントエンド化等の処理を加える
こともできる。
さらに、ここで使用することのできる宿主細胞として
は、適当な発現ベクターに上記DTA遺伝子を組み込み、
こうして得られた組換えベクターでもって形質転換され
て、DTA遺伝子を発現させることが出来るようなもので
あれば、特に制限なく使用することができる。このよう
な宿主細胞としては、本発明の目的に沿ってDTA遺伝子
の発現を達せしうる限り、グラム陰性菌あるいはグラム
陽性菌の区別なく、さらには、下等細胞あるいは高等細
胞の区別なく、動物由来細胞であろうと植物由来細胞で
あろうと使用できる。
また、ここで使用することのできる細胞宿主として
は、上記(4)で詳細に記載された宿主細胞から選ばれ
て用いられることもできる。
ここで使用することのできる宿主細胞としては、本発
明のDTAの合成に関与する遺伝情報を担うDNAの発現が達
成されうるものがあげられ、このような宿主細胞として
は、大腸菌,キサントモナス属細菌,アセトバクター属
細菌,シュードモナス属細菌,グルコノバクター属細
菌,アゾトバクター属細菌,リゾビウム属細菌,アルカ
リゲネス属細菌,クレブシエラ属細菌,サルモネラ属細
菌及びセラチア属細菌から選ばれたものがあげられる。
ここで使用することの好ましい宿主細胞としては、例
えば大腸菌及びキサントモナス属細菌があげられる。
ここで使用することのできる特に好ましい宿主細胞と
しては、大腸菌、例えば大腸菌K−12、好ましくは大腸
菌C600株があげられる。
ここで使用することのできる特に好ましい細胞として
はキサントモナス属細菌があげられ、例えばキサントモ
ナス・シトリーIFO3311あるいはキサントモナス・キャ
ンペストリスpVキャンペストリスNIAES1076が好適に使
用できる。
上記組換え体DNAを用いて上記宿主細胞を形質転換な
どをするにあたっては、DNA組換え技術において広く知
られた方法を適用して行うことができる。
このような方法としては、宿主細胞をコンペテント
(competent)状態にして形質転換用緩衝液中で組換え
体DNAと混合する、ヘルパー・プラスミドを用いて接合
伝達により移入するなどの方法があげられる。
このようにして得られたDTAを高度に産生する能力を
有する形質転換体の一つであるキサントモナス・シトリ
ーIFO3311(pDT648)は工業技術院微生物工業研究研究
所に、微工研菌寄第10979号(FERM P−10979)として
寄託されている。
(9) 本発明により得れらたDTA産生形質転換体は、
それを栄養培地中に培養して得た培養物をそのまま、あ
るいは培養物中からDTAを単離して、D−スレオニンあ
るいはその誘導体の合成に用いることができる。
(a) DTA産生形質転換体は、適当な栄養培地中で培
養することにより、それを大量に得ることができる。こ
の場合DTAの産生を最大にするような通常の知られた操
作を施すことができる。このような方法としては、例え
ば、大腸菌であれば、tac、trp、lacUV5などの強力なプ
ロモーターの支配下にDTA遺伝子を挿入するか、塩酸置
換や既知の組換え手法によってプロモーター構造を変化
させるなどの方法があげられる。大腸菌以外の他の宿主
−ベクター系においても、この様な手法が利用できるこ
とは言うまでもない。
まず、形質転換体は培地に炭素源としてはグルコー
ス、グリセロール、糖密等の糖類あるいは酢酸、リンゴ
酸等の有機酸など、窒素源としては硫酸アンモニウム,
塩化アンモニウム,尿素など、有機栄養源として酵母エ
キス、ペプトン,肉エキス,コーンスティープリカーな
ど、無機イオンとしてマグネシウム,鉄,マンガン,カ
リウム,リン酸塩などを含むと共に適当な選択用の栄養
素を添加あるいは欠いた培地中で培養後に、上記DTAの
発現及び産生量増大をもたらす手法を加えればよい。
(b) 大量に培養して得たDTA産生形質転換生物の生
物体及びその培養液よりDTAを単離精製処理する。
本発明においては生物体あるいはその培養液よりのDT
Aの単離精製にあたっては特公昭64−11279号に記載の方
法と類似の方法が使用できるほか、その産生量が非常に
高いことからより簡便な方法が利用できる。このような
方法を行うには、まず、生物体を機械的方法、酵素処理
方法、自己溶解法、超音波処理法などの方法によって破
壊し、粗抽出液を得、ついでこれを硫酸アンモニウム、
リン酸ナトリウムなどの塩析剤あるいはアセトン又はエ
タノールなどの溶媒による蛋白質沈澱法、電気泳動法、
ゲル濾過法あるい分子ふるいクロマトグラフィー法、限
外濾過法、逆相クロマトグラフィー法、高速液体クロマ
トグラフィー法、イオン交換クロマトグラフィー法、ア
フイニティクロマトグラフィー法、吸着クロマトグラフ
ィ法、などの方法を単独あるいは適宜組み合わせて用い
て精製することにより行うことができる。これらの各方
法は公知方法から選んで用いることができる。
キサントモナス・シトリーIFO3311(pDT648)より得
られた酵素標品についてその理化学的性質の測定結果を
以下に示す。
作用および基質特異性 本酵素はD−スレオンニンおよびD−アロスレオニン
を分解してグリシンとアセトアルデヒドを生成する。一
方、L−スレオニンおよびL−アロスレオニンにはまっ
たく作用しない。
至適pH D−スレオニンを基質として各pHにおいて30℃で10分
間反応させ、生成したアルデヒドを定量したところ、本
酵素の至適pHは7〜9にあった。尚、用いた緩衝液はpH
4〜7.5までは0.1Mリン酸緩衝液、pH7〜9までは0.1Mト
リス−HCl緩衝液及びpH9〜11までは0.1M炭酸ソーダ緩衝
液である。
安定pH範囲 酵素溶液を各pHにおいて30℃で1時間加熱後、溶液中
の残存活性を測定したところ、本酵素の安定pH範囲は6
〜9にあった。尚、用いた緩衝液はpH4〜7.5までは0.1M
リン酸緩衝液、pH7〜9までは0.1Mトリス−HCl緩衝液及
びpH9〜11までは0.1M炭酸ソーダ緩衝液である。
力価の測定法 酵素含有液0.1mlを100μ moleのD−スレオニンを含
有するpH8.0の0.1Mトリス−塩酸緩衝液0.9mlに加え、30
℃で10分間加熱して生成したアセトアルデヒドをPaZ法
[Arch,Biochem,Biophys,.Vol.109.P548(1965)]によ
って定量して求めた。尚、1分間に1μ moleのD−ス
レオニンを分解する酵素活性を1Uとした。
作用適温の範囲 D−スレオニンを基質としてpH8.0の0.1Mトリス−塩
酸緩衝液を用い、各温度で10分間反応させ、生成したア
セトアルデヒドを測定したところ、本酵素の至適温度は
40〜50℃にあった。
熱安定性 pH8.0の0.1Mトリス−塩酸緩衝液に溶解した酵素溶液
を各温度で1時間加熱後、溶液中の残存活性を測定した
ところ、本酵素の安定温度は40℃以下であった。
pH、温度などによる失活の条件 本酵素はpH5以下、pH11以上、および温度70℃以上で
は1時間で失活する。
阻害、活性化及び安定化 本酵素はメルカブトエタノール、亜硫酸ナトリウム、
亜硫酸水素ナトリウム、ジチオスレイトール、Mn2+、Co
2+、Fe2+、Mg2+によって活性化され安定化される。一
方、Ag1+、Cu2+Hg2+、Zn2+、Pd2+、ヒドロキシルアミ
ン、p−クロルマーキュリー安息香酸によって阻害され
る。
補酵素 本酵素の補酵素はビリドキサール−5′−リン酸であ
る。
(c) こうして得られた組換えDTAは特開昭58−11669
0号に記載されたようにしてグリシンとアセトアルデヒ
ドなどのアルデヒド化合物からD−スレオニンなどのD
体のβ−オキシアミノ酸を製造する際に、従来自然界に
見出されている非組換え微生物のDTAと同様にして用い
ることができるが、本発明によれば大量かつ高純度でそ
のDTAを製造し得るものであることから、目的D−スレ
オニン類をより良好に製造しうる。
また、従来自然界に見出されているDTA生産性微生物
では、L−アロスレオニンアルドラーゼをも同時に産生
しているために、グリシンとアルデヒド類からD−β−
オキシアミノ酸類を製造しようとする場合、L−アロ−
β−オキシアミノ酸の副生を避けるために、L−アロス
レオニンアルドラーゼを分離するか選択的に不活性化さ
せることが必要であった。本発明の形質転換微生物で
は、DTAのみを大量に製造することができるので、D−
スレオニン類を製造する際に、宿主の産生するL−アロ
スレオニンアルドラーゼ活性を除去するという繁雑な操
作をはぶく事ができる。
こうして製造された、D−スレオニンなどのD体のβ
−オキシアミノ酸は通常の方法で単離精製することがで
きる。
この方法で用いられるアルデヒド化合物としては一般
式R−CHO(式中Rは水素原子、置換又は非置換の脂肪
属基、脂環式基、芳香族基、又は複素環式基を表す)で
示されるアルデヒド化合物があげられる。
脂肪族アルデヒド及び置換脂肪族アルデヒドの代表的
なものとしては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒ
ド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、ラウリ
ルアルデヒド、クロロアセトアルデヒド、フロロアセト
アルデヒド、ニトロアセトアルデヒド、β−クロロアセ
トアルデヒド、エトキシアセトアルデヒドなどがあげら
れ、好ましくは炭素数20以下の直鎖または分枝鎖アルキ
ルのアルデヒドであって、任意に塩素、臭素、ヨード、
弗素などのハロゲン、ニトロ、アルコキシ基などで置換
されていてよいアルデヒドがあげられる。
脂環式アルデヒドの代表的なものとしては、シクロペ
ンチルアルデヒド、シクロペンテニルアルデヒド、シク
ロヘキシルアルデヒド、シクロヘキセニルアルデヒド、
シクロヘキシルアセトアルデヒド、シクロヘキセニルア
セトアルデヒドなどがあげられる。
芳香族アルデヒドの代表的なものとしては、ベンズア
ルデヒド、フロロベンズアルデヒド、クロロベンズアル
デヒド、ブロモベンズアルデヒド、ニトロベンズアルデ
ヒ、ヒドロキシニトロベンズアルデヒド、メトキシベン
ズアルデヒド、フロロメトキシベンズアルデヒド、トル
アルデヒド、トリフロロトルアルデヒド、フェニルアセ
トアルデヒドなどがあげられる。この芳香族アルデヒド
は、その芳香環に任意に複数個であってよいハロゲン、
ニトロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルなどの置換
基を有してよい。
複素環式アルデヒドの代表的なものとしては、2−チ
オフェンアルデヒド、ブロモー2−チオフェンアルデヒ
ド、4−フオルミルイミダゾール、4−メチル−5−フ
オルミルイミダゾールなどがあげられる。複素環式アル
デヒドとしては、異種原子としてO,N,Sから選ばれた原
子を含有する複素環を有するアルデヒドがあげられる。
また、D−スレオニン類の単離精製法としては、好ま
しくは活性炭やイオン交換樹脂等を使用する方法があげ
られる。
また、本反応においては補酵素としてピリドキサール
−5′−リン酸を反応系に加えると、酵素活性がより高
まるなどしてより良好な結果が得られる。
好適なピリドキサール−5′−リン酸の添加量として
は10-3〜10-5の範囲があげられるが、適宜最適な結果が
得られるように実験により決めることができる。
本方法において、アルデヒド化合物の使用料は酵素活
性を著しく阻害しない程度であればよい。その好ましい
量としては0.05〜0.2モル/1程度である。
本方法におけるグリシンの使用量はアルデヒド化合物
と等モル程度でよいが、グリシンの反応率を高めるには
アルデヒド化合物をより少なくするのが好ましい。
また、反応温度は10〜70℃、好ましくは20〜50℃であ
る。反応時のpHは6〜9.5、好ましくは7〜8に維持す
る。本反応はバッチ方式で行ってもよく、連続方式で行
ってもよい。
更に、本反応は任意の時間だけ反応を行わせることに
よってなしうるが、好適には1〜50時間、より好ましく
は5〜30時間反応を行うのがよい。
反応終了後は、適宜濃縮、遠心分離、濾過などの処理
を施して、懸濁物等を除去してから、イオン交換樹脂処
理、晶析等で精製し、必要に応じ活性炭などで脱色処理
することにより、目的D−β−ヒドロキシアミノ酸を得
ることができる。
本方法で使用される酵素は、酵素活性を発揮しうる形
態であればよく、必ずしも単離されたものに限定されな
い。また該酵素は、半精製品でもよく粗抽出液、さらに
は培養物、生物体、凍結乾燥生物体、アセトン乾燥生物
体、あるいはそれら生物体の磨砕物等であってもよい。
さらにそれは、酵素自体あるいは生物体のまま公知の手
段で固定化されて用いられてもよい。
本方法で使用される酵素は、天然のDTAのペプチド配
列と一致するもののみに限定されず、遺伝子変換及び遺
伝子組換えの手法で得られるDTA活性を示すものを言う
ものと解すべきである。従って、本方法で使用される組
換えDTAは、天然のDTAのペプチド配列中のアミノ酸の欠
損したもの、あるいはそのペプチド配列のアミノ酸が他
のアミノ酸で置き換えられたものをも包含する。
(d) DTA産生形質転換体をグリシン及びアルデヒド
化合物を含有する栄養培地中で適当な条件下に培養せし
めることにより、D−β−ヒドロキシアミノ酸を培地中
に蓄積せしめる。こうして得られたD−スレオニンまた
はその誘導体は常法にあるいは上記方法(C)に記載し
たような方法に従って単離精製することができる。
この方法を行うにあたっては、適宜その培養条件及び
基質濃度を設定して、最高の結果が得られるようにする
ことができる。
また、アルデヒド化合物としては、上記(C)に記載
のようなアルデヒド化合物を使用することができる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発
明はこれに限定されるものではない。
実施例 実施例 1 以下、キサントモナス・オリゼーIAM1657をDNA供与体
として用い、該菌株のDTA産生遺伝子を大腸菌の宿主、
ベクター系を利用してクローニングした例を具体的に示
す。
1.DNA供与体からの染色体DNAの調製とその切断 染色体DNAの調製はMarmur法を一部改良して行った。
即ち、DNA供与体であるキサントモナス・オリゼーIAM16
57を100mlのLB培地(1%ポリペプトン,0.5%酵母エキ
ス,0.5%NaCl;pH7.0)で3時間培養し、培養液から菌体
を集菌した後、TE緩衝液(10mMトリス(ヒドロキシルメ
チル)アミノメタン(以下トリスと略す)),1mMエチレ
ンジアミン四酢酸二ナトリウム(以下EDTAと略す);pH
8.0)で洗浄した。
12mlのリゾチーム溶液(50mMグルコース,25mMトリス,
10mM EDTA,4mg/mlリゾチーム;pH8.0)に懸濁した後、37
℃で60分間反応させた。12.5%のドデシル硫酸ナトリウ
ム(以下SDSと略す)水溶液1mlを添加して穏やかに混合
し、次いで10mlのフェノール/クロロホルム(4:1)混
合溶媒で処理した後、15,000rpmで20分間遠心して除蛋
白を行った。この抽出操作をを3〜4回、界面に沈澱が
なくなるまで繰り返し、0.2mlのRNase溶液(1mg/ml)で
処理した後さらに一回行った。次いで、エタノールを静
かに加え、ガラス棒を用いて、初め緩やかに、次第に急
速に撹はんしながら粗DNAを巻き付けた。ガラス棒を壁
に押し付けて余分のエタノールを除去した後、9mlの0.1
×SSC(0.015M MaCl,0.0015Mクエン酸ナトリウム)に一
晩かけて溶解した。10×SSC(1.5M NaCl,0.15Mクエン酸
ナトリウム)を1ml添加し、5.4mlのイソプロピルアルコ
ールを徐々に適下しながらDNAをガラス棒に巻き付け
た。ガラス棒を80%エタノール水溶液に浸漬した後、所
定量のTE緩衝液に溶解した。
Molecular Cloning記載の方法に従い、染色体DNAを制
限酵素BamH Iにより部分的に切断した。120μgの染色
体DNAを含む1200μmのBamH I用緩衝液(10mMトリス,7m
M MgCl2,100mM NaCl,2mMメルカプトエタノール,0.01%
ウシ血清アルブミン;pH8.0)に14単位のBamH Iを加え37
℃で2時間反応させた。反応終了後、68℃で10分間加熱
し、エタノール沈澱でDNAを回収後、50μlのTE緩衝液
に再溶解した。超遠心分離用チューブ(日立4PAチュー
ブ)に40,30,20,および10%のショ糖溶液(1M Macl,20m
Mトリス,5mM EDTA;pH8.0)を各1ml、次いで上記DNA溶液
全量を重層し、分離用超遠心機(日立SCP70H;スウィン
グローターRPS56T)で32,000rpm20時間遠心分離した。
遠心終了後、密度勾配フラクショネーター(日立DGF−
U)により分子量分画し、エタノール沈澱によってDNA
を回収した。各画分を所定量のTE緩衝液の溶解し、アガ
ロース・ゲル電気泳動でその分子量分布を調べ、5−10
KbのDNA断片を含む画分を組換え体DNAの作成に供した。
2.プラスミドpBR322の調製 プラスミドpBR322の調製は、Birnboim&Dolyの方法
(T.Maniatis,et al.,Molecular Cloning,90)に従って
行った。
pBR322を持つ大腸菌C600株の形質転換体を100μg/ml
のアンピシリンを含む400mlのLB培地で一晩培養した。
培養液から菌体を集菌し、4mg/mlのリゾチームを含む4m
lのグルコース溶液(50mMグルコース25mMトリス,10mM E
DTA;pH8.0)に懸濁して室温で反応させた。8mlのアルカ
リSDS溶液(0.2N NaOH,1%SDS)および6mlの酢酸カリウ
ム溶液(5M酢酸カリウム;pH4.8)を順次添加して穏やか
に混和してから氷水中に5分間置いた。15,000rpmで20
分間遠心して沈澱を除去した後、10.8mlのイソプロピル
アルコールを添加して氷中に10分間静置し、15,000rpm
で20分間遠心して上澄みを除去した。80%エタノール水
溶液を添加して再度遠心した後、減圧下で乾燥した。
TE緩衝液10mlを加えて沈澱ペレットを静かに溶解して
から10mg/mlエチジウム・ブロマイド1mlを添加し、これ
に10.5gの塩化セシウムを加えて静かに溶解した。この
溶液を12,000rpmで5分間遠心して沈澱を除去した後、
分離用超遠心機(ローターRPV45T)を用いて45,000rpm
で16〜20時間遠心分離した。
紫外線照射下で閉環状DNAを含む画分1mlを注射器で抜
き取り、NaCl飽和イソプロピルアルコールで少なくとも
5回処理してエチジウム・プロマイドを抽出除去した。
TE緩衝液2ml、エタノール6mlを順次加え、−20℃で10
分間冷却後1,5000rpmで20分間遠心し、析出・沈澱させ
た、80%エタノール水溶液で洗浄後減圧下に乾燥して40
0μlのTE緩衝液に溶解した。
3.組換え体DNAの作製 ベクターDNA断片の調製 プラスミドDNApBR322 1μgを含む制限酵素BamH I用
反応緩衝液14μlに12単位のBamH Iを添加し、37℃で18
時間消化反応させた。エタノール沈澱による回収後、ア
ルカリフォスファターゼ(ベーリンガー・マンハイム社
製CIP)用緩衝液(50mMトリス,0.1mM EDTA;pH8.0)190
μlに溶解し、100単位/μlのCIP10μlを添加して1
時間反応させた。フェノール抽出によりCIPを失活させ
た後エタノール沈澱によりDNAを回収した。
染色体DNAのBamH I部分消化物と混合し、T4DNAリガ
ーゼを含む反応液を加え、15℃で30分間反応させた。得
られた反応混合物を形質転換に供した。
4. 形質転換及び遺伝子ライブラリーの作製 Competent cellの調製 宿主菌、大腸菌C600株を50mlのLB培地に接種し、37℃
で2時間45分間培養した。集菌後直ちに10mlの冷却した
Competent調製用緩衝液(50mM CaCl2,10mM RbCl2,0.1M
MOPS;pH6.5)に懸濁し、氷中30分間静置した。遠心に
よって上澄みを除去後2.5mlの同一緩衝液に再懸濁し、
氷中で30分間以上静置した。
形質転換 供試DNAを含む微量遠心チューブに100μlの形質転換
用緩衝液(10%ポリエチレングリコール(分子量100
0),1mM EDTA,1mM MOPS;pH7.2)、200μlのCompetent
cellを採取し、混合後氷中に30分間静置した。37℃の
水浴で2分間加湿した後0.8mlのLB培地を添加し、37℃
で1時間培養した。
100μg/mlのアンピシリンを含むLB寒天培地0.1mlずつ
培養液を塗布し、一晩37℃で培養した。
遺伝子ライブラリーの作製 得られたコロニーのテトラサイクリン感受性を調べ、
耐性を喪失したコロニーを100μg/mlのアンピシリンを
含むLB寒天培地に、ピック・アップし、5000クローンか
らなる遺伝子ライブラリーを構築した。任意にクローン
を選択してそのプラスミドを調べ、挿入断片が存在する
ことを確認した。
5. DTA遺伝子を含む形質転換体及び組換えDTAのスクリ
ーニング及び単離 目的の遺伝子を獲得した形質転換体を単離するため
に、D−スレオニンの分解活性を指標にして遺伝子ライ
ブラリーをスクリーニングした。遺伝子ライブラリーに
保存した形質転換体を、100μg/mlのアンピシリンを含
む5mlのLB液体培地に接種し、37℃で一晩培養した。培
養液1mlを微量遠心チューブに集菌後、凍結乾燥した。
50mMのD−スレオニンを含む反応液(0.01mM PLP、1m
M MnCl2、0.2Mトリス;pH7.0)を0.5ml添加し、均一にけ
濁して18時間30℃で反応させた。
反応液2μlをTLC用シリカゲルプレート(ワコー製7
0FMプレート)にスポットし、t−ブチルアルコール/
メチルエチルケトン/アンモニア水/水(16:16:7:6)
で展開した。90℃で30分間乾燥後、0.2%のニンヒドリ
ンを含むアセトン溶液に浸漬して発色させた。標準物質
のグリシンに相当する位置にスポットを有するクローン
を目的の遺伝子を持つ形質転換体として選択した。
6. DNA断片の調製 組換えプラスミドの調製 DTA活性を獲得した形質転換体から上記の方法に従い
プラスミドを抽出し、pDT300と命名した。
遺伝子領域の解析 上記プラスミドpDT300を制限酵素BamH Iで切断後アガ
ロース・ゲル電気泳動で分析し、プラスミドに約15Kbの
挿入断片があることを確認した。また、このプラスミド
を宿主大腸菌C600株に再形質転換して得た形質転換体が
同様にDTA活性を獲得することから、DTA生産に関わる遺
伝子がこのプラスミド上にあることを確認した。種々の
欠失解析によって、DTA生産に関わる遺伝子が約5KbのEc
oR I/Sma I断片に含まれることが明らかになり、この断
片を持つ組換えプラスミドpDT320を作成した。このプラ
スミドの詳細な解析から、約3.5KbのSma I/Bgl II断片
にDTA遺伝子がコードされていた。DTA遺伝子を含むSma
I/Bgl II断片の構造を、代表的な6塩基認識の制限酵素
で調べた(第1図)。
実施例2. 以下、キサントモナス属細菌由来のDTA産生遺伝子を
含むDNA断片を、キサントモナス属細菌内で自律複製で
きるベクターDNA断片に組み込んで組換え体DNAを作製し
た例を具体的に示す。
1.プラスミドpBR328の調製 プラスミドpBR328の調製は、pBR322と同様の方法で行
った。1μgのpBR328を12単位の制限酵素EcoRV、次い
でBamH Iで順次切断した。エタノール沈澱で回収後フォ
スファターゼ(ベーリンガー・マンハイム社製CIP)処
理により末端の脱リン酸を行った。フェノール/クロロ
ホルム(4:1)処理によりCIPを不活性化し、これを抽出
除去した。さらに、エタノール沈澱で回収後、減圧下に
乾燥した。
2.DNA断片の調製 4μgのプラスミドpDT320を24単位の制限酵素Sma
I、次いでBgl IIで完全消化した。エチジウム・ブロマ
イドを含む1%アガロース・ゲル電気泳動で分離しDTA
遺伝子を含む約3.5Kbの目的のSma I/Bgl II断片を含む
ゲルを紫外線照射下で切り出した。常法に従い、ゲル内
部からDNA断片を抽出・回収した。
3.組換え体DNAの作製 DTAを遺伝子を含む約3.5KbのSma I/Bgl II断片とベク
ターDNAを混合してT4DNAリガーゼで連結した。常法に従
い、大腸菌C600株のCompetnet cellに形質転換し、アン
ピシリンに耐性でテトラサイクリン耐性を喪失したクロ
ーンを1株選択した。選択したクローンがDTA活性とク
ロラムフェニコール耐性を獲得していることを確認し
た。
前記の方法に従い、アルカリ・リシス法によりプラス
ミドを単離・精製した。大腸菌C600株のCompetent cell
に再形質転換して得た形質転換体が追活性とクロラムフ
ェニコール耐性を獲得したことから、プラスミド上に目
的の遺伝子がコードされていることを確認した。また、
制限酵素により組換えプラスミドの構造を調べ、得られ
たプラスミドが目的の構造を保持していることを確認し
た。このプラスミドの構造を第2図に示す。尚、上記形
質転換体大腸菌C600(pDT648)は、工業技術院微生物工
業技術研究所に、微工研菌寄第11049号(FERMP−1104
9)として寄託されている。
実施例3. 以下、組換え体DNAをキサントモナス属細菌に移入し
てDTA産生株を育種した例を具体的に示す。
1.キサントモナス属細菌の形質転換 宿主菌、キサントモナス・シトリーIFO 3311、を50ml
のLB培地に接種し、37℃で2時間45分培養した。集菌後
直ちに10mlのCompetent調製用緩衝液(50mM CaCl2,10mM
RbCl2、0.1M MOPS;pH6.5)に懸濁し、氷中30分間静置
した。遠心によって上澄みを除去後2.5mlの同一緩衝液
に再懸濁し、氷中で30分間以上静置した。
2.キサントモナス属細菌の形質転換 1μgのpDT648を含む微量遠心チューブに100μlの
形質転換用緩衝液(10%ポリエチレングリコール(分子
量1000),1mM EDTA,1mM MOPS;pH7.2)、200μlのCompe
tent cellを採取し、混合後水中に30分間静置した。37
℃の水浴で2分間加温した後、0.8μlのLB培地を添加
し、37℃で1時間培養した。
50μg/mlのクロラムフェニコールを含むLB寒天培地に
0.1mlずつ培養液を塗布し、一昼夜37℃で培養した。
得られたクロラムフェニコール耐性株が目的のプラス
ミドを保持していることを確認し、このうち1株をDTA
活性測定に供した。また、このようにして得られた形質
転換体であるキサントモナス・シトリー IFO 3311(p
DT648)は工業技術院微生物工業技術研究所に、微工研
菌寄第10979号(FERMP−10979)として寄託されてい
る。
3.DTA産生株の活性測定 形質転換体を50μg/mlのクロラムフェニコールを含む
LB培地100mlに接種し、37℃で一晩培養した。集菌後、
活性測定用緩衝液(0.01mM PLP、5mM MnCl2・4H2O、0.0
1M トリス;pH7.0で洗浄し凍結乾燥した。凍結乾燥菌体
40mgを同緩衝液1mlに懸濁し、さらに0.0078%になるま
で希釈した。微量遠心チューブに0.2ml採取し、30℃の
水浴で保温した。あらかじめ保温しておいてた基質溶液
(50mM D−スレオニン、2mM MnCl2・4H2o、0.01mM PLP,
0.2M トリス;pH7.0)0.2mlを加えた。
30℃で2時間反応させた後、0.4mlの1N塩酸を加え反
応を停止させた。遠心後上澄み液を0.22μのメンブラン
フィルターで濾過し、PHLCにより生成グリシン濃度を定
量した。
pDT648を持つキサントモナス・シトリーIFO 3311の
形質転換体のDTA活性を、宿主及び遺伝子供与体と比較
して第1表に示す。
実施例4. 以下、キサントモナス属細菌由来のDTA産生遺伝子を
含むDNA断片を、キサントモナス属細菌内で自律複製で
きるベクターDNA断片に組み込んで作成した組換え体DNA
をキサントモナス属細菌に移入して育種したDTA高生産
株を用いてD−スレオニンを製造した例を具体的に示
す。
1.形質転換体の調製 実施例3で育種したDTA高生産性の形質転換体を50μg
/mlのクロラムフェニコールを含むLB培地500mlに接種
し、37℃で一晩培養した。集菌後、0.9%食塩水を加え
て洗浄し凍結乾燥した。
2.D−スレオニンの合成反応 アセトアルデヒド50mM、グリシン50mM、及び0.1mMのP
LP及び10mM メルカプトエタノールを含むpH8.0の0.1M
トリス塩酸緩衝液500mlよりなる基質溶液に上記乾燥菌
体1gを加え30℃で40時間反応させた。反応終了後、DNA
供与体であるキサントモナス・オリゼーIAM1657と比較
して、溶液中のD−スレオニンを定量したところ第2表
に示す結果を得た。
3.D−スレオニンの単離精製 反応液をH+型のDowex 50W X8 500mlを充填したカラム
に通液し、洗浄後0.2Nアンモニアで溶離してスレオニン
区分とグリシン区分に分離した。スレオニ区分を濃縮後
活性炭で脱色し、脱色液にエタノールを添加して結晶を
得た。この結晶についてNMR、赤外線吸収スペクトル、
元素分析、及び比旋光度を測定して、この結晶がD−ス
レオニンであることを確認した。また。ストレプトコッ
カス・ハエカリスIFO 3181を用いたバイオ・アッセイ法
により、反応液中にはL−体がまったく含まれていない
ことを確認した。
発明の効果 DTA産生遺伝子を含むDNA断片を単離することにより、
該断片を宿主細胞、特にキサントモナス属細菌内で、自
律複製できるベクターに組み込み、そして作製した組換
え体DNAを、宿主細胞、得にキサントモナス属細菌に移
入して、得られる形質転換体のDTA活性を強化すること
ができる。その結果、DTAを用いてD−アミノ酸類を製
造する場合のその物質の生産性を大きく改善することが
できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、組換えプラスミドpDT320からのDTA遺伝子を
含むSma I/Bgl II断片の構造を制限酵素による認識部位
で表したものである。 第2図は、プラスミドpDT648の構築過程を示すと共にそ
のプラスミドpDT648の構造を制限酵素による認識部位及
び代表的なマーカーでもって表したものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12R 1:64) (C12N 1/21 C12R 1:19) (C12N 1/21 C12R 1:64) (C12N 9/88 C12R 1:64) (C12P 13/04 C12R 1:64) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C12N 15/60 C12N 9/88 C12P 13/04 WPI(DIALOG) BIOSIS(DIALOG)

Claims (17)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】キサントモナス属に属する微生物より入手
    しうる単離DNA断片であって、少なくともD−スレオニ
    ンアルドラーゼをコードしている遺伝子を含有している
    ものであり、且つ該DNA断片は次の制限酵素地図により
    規定される単離DNA断片。
  2. 【請求項2】該DNA断片が、キサントモナス・オリゼーI
    AM1657株より入手しうる単離DNA断片であることを特徴
    とする請求項1に記載のDNA断片。
  3. 【請求項3】該DNA断片がD−スレオニンアルドラーゼ
    をコードしている遺伝子であることを特徴とする請求項
    2に記載のDNA断片。
  4. 【請求項4】該DNA断片がD−スレオニンアルドラーゼ
    をコードしている遺伝子に加え、その遺伝子の制御領域
    を含有しているものであることを特徴とする請求項2に
    記載のDNA断片。
  5. 【請求項5】 キサントモナス属に属する微生物より
    入手しうる少なくともD−スレオニンアルドラーゼをコ
    ードしている遺伝子を含有しているものであり且つ次の
    制限酵素地図 により規定されるDNA断片と、 ベクターDNAと を結合しせめてなる組換え体DNA。
  6. 【請求項6】該ベクターDNAが宿主細胞内で自律複製で
    きるものであることを特徴とする請求項5に記載の組換
    え体DNA。
  7. 【請求項7】該ベクターDNAが、大腸菌、キサントモナ
    ス属細胞、アセトバクター属細菌、シュードモナス属細
    菌、グルコノバクター属細菌、アゾトバクター属細菌、
    リゾビウム属細菌、アルカリゲネス属細菌、クレブシエ
    ラ属細菌、サルモネラ属細菌、及びセラチア属細菌から
    選ばれた宿主細胞内で自律複製できるものであることを
    特徴とする請求項5に記載の組換え体DNA。
  8. 【請求項8】大腸菌プラスミドpBR328由来の配列とキサ
    ントモナス属に属する微生物より入手しうる少なくとも
    D−スレオニンアルドラーゼをコードする遺伝子を含有
    しているDNA断片とよりなり、下記の制限酵素地図を有
    するハイブリッドプラスミドpDT648。
  9. 【請求項9】 キサントモナス属に属する微生物より
    入手しうる少なくともD−スレオニンアルドラーゼをコ
    ードしている遺伝子を含有しているものであり、且つ次
    の制限酵素地図 により規定されるDNA断片と ベクターDNAと を結合せしめてなる組換え体DNAを保有せしめた形質転
    換体。
  10. 【請求項10】該形質転換体が、宿主細胞として少なく
    ともD−スレオニンアルドラーゼをコードしている遺伝
    子を含有しているDNAとベクターDNAとを結合せしめてな
    る組換え体DNAが自律複製できると共に少なくともD−
    スレオニンアルドラーゼをコードしている遺伝子が発現
    できるものを使用して得られたものであることを特徴と
    する請求項9に記載の形質転換体。
  11. 【請求項11】該形質転換体が、宿主細胞として大腸
    菌、キサントモナス属細菌、アセトバクター属細菌、シ
    ュードモナス属細菌、グルコノバクター属細菌、アゾト
    バクター属細菌、リゾビウム属細菌、アルカリゲネス属
    細菌、クレブシエラ属細菌、サルモネラ属細菌、及びセ
    ラチア属細菌から選ばれたものを使用して得られたもの
    であることを特徴とする請求項9または10に記載の形質
    転換体。
  12. 【請求項12】大腸菌プラスミドpBR328由来の配列とキ
    サントモナス属に属する微生物より入手しうる少なくと
    もD−スレオニンアルドラーゼをコードしている遺伝子
    を含有しているDNA断片とよりなり、下記の制限酵素地
    図を有するハイブリッドプラスミドpDT648 を保有せしめた請求項9に記載の形質転換体。
  13. 【請求項13】 キサントモナス属に属する微生物よ
    り入手しうる少なくともD−スレオニンアルドラーゼを
    コードしている遺伝子を含有しているものであり、且つ
    次の制限酵素地図により規定されるDNA断片と ベクターDNAと を結合せしめてなる組換え体DNAを保有せしめた形質転
    換体を培地中で培養し、その培養物から単離することを
    特徴とするD−スレオニンアルドラーゼの製造法。
  14. 【請求項14】該形質転換体が請求項12に記載のもので
    あることを特徴とする請求項13に記載の製造法。
  15. 【請求項15】 キサントモナス属に属する微生物よ
    り入手しうる少なくともD−スレオニンアルドラーゼを
    コードしている遺伝子を含有しているものであり、且つ
    次の制限酵素地図により規定されるDNA断片と ベクターDNAと を結合せしめてなる組換え体DNAを保有せしめた形質転
    換体を培養し、その培養物より採取された組換えD−ス
    レオニンアルドラーゼをグリシン及びアルデヒド化合物
    に作用せしめることを特徴とするD−β−ヒドロキシア
    ミノ酸の製造法。
  16. 【請求項16】 キサントモナス属に属する微生物よ
    り入手しうる少なくともD−スレオニンアルドラーゼを
    コードしている遺伝子を含有しているものであり、且つ
    次の制限酵素地図により規定されるDNA断片と ベクターDNAと を結合せしめてなる組換え体DNAを保有せしめた形質転
    換体をグリシン及びアルデヒド化合物と接触せしめ、生
    成したD−β−ヒドロキシアミノ酸を採取することを特
    徴とするD−β−ヒドロキシアミノ酸の製造法。
  17. 【請求項17】該アルデヒド化合物が、脂肪族アルデヒ
    ド、置換脂肪族アルデヒド、脂環式アルデヒド、芳香族
    アルデヒド及び複素環式アルデヒドから選ばれたもので
    あることを特徴とする請求項15または16に記載の製造
    法。
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