JP2764814B2 - 光学活性α−ヒドロキシカルボン酸の製造法 - Google Patents

光学活性α−ヒドロキシカルボン酸の製造法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、一般式 (式中R1はアルキル基、アリール基、アラルキル基また
はアリールオキシル基、R2は低級アルキル基、C
1 (メチル基、エチル基等)を示す)で表わされる
ヒドロキシカルボン酸エステルを不斉加水分解するエス
テラーゼ(エステラーゼと略す)遺伝子DNAをベクター
プラスミドに連結した組換え体プラスミドを宿主微生物
に導入した形質転換微生物による、一般式 (式中R1はアルキル基、アリール基、アラルキル基また
はアリールオキシル基を示す)で表わされる光学活性ヒ
ドロキシカルボン酸の製造法に関する。
〔従来の技術〕
光学活性α−ヒドロキシカルボン酸誘導体の簡便な製
造法として、エステル加水分解能を有する菌を用いてラ
セミ体エステルより製造する方法が知られている(特開
昭63−63397号)。しかし、同様の方法を光学活性α−
ヒドロキシカルボン酸の製造に利用した例はない。
本発明の特徴は、光学活性α−ヒドロキシカルボン酸
を微生物(及び酵素)を変換反応を利用し製造するこ
と、かつ遺伝子工学的手法により活性を増幅した菌を用
いることにある。
〔発明が解決しようとする課題〕
遺伝子組換えの方法でクローン化されたエステラーゼ
遺伝子によるヒドロキシカルボン酸エステルの不斉加水
分解では、菌体内に多数の遺伝子を存在させることがで
きるため微接物の触媒能力を従来の方法に比して飛躍的
に増大させることが期待できる。そこで、本発明者らは
鋭意研究を行いシュードモナス・フルオレッセンス(Ps
eudomonasfluorescens)のエステラーゼ遺伝子をエシェ
リシア・コリ(Escherichia coli)のベクタープラスミ
ドpUC18およびpUC19に挿入して組換えプラスミドを得、
これをEscherichia coliに導入することによりエステラ
ーゼ遺伝子を発現させて本発明を完成するに至った。
〔課題を解決するための手段〕
本発明の、一般式 (式中、R1はアルキル基、アリール基、アラルキル基ま
たはアリールオキシル基、R2は低級アルキル基、C1
(メチル基、エチル基等)で表わされるヒドロキシカル
ボン酸エステルに、微生物由来の該ヒドロキシカルボン
酸エステルを不斉加水分解するエステラーゼの遺伝子DN
Aをベクタープラスミドに連結した組換え体プラスミド
をで形質転換された形質転換微生物の菌体または菌体処
理物を作用させて、一般式 (式中、R1はアルキル基、アリール基、アラルキル基ま
たはアリールオキシル基)で表わされる光学活性ヒドロ
キシカルボン酸を製造する方法である。
式IIのヒドロキシカルボン酸は光学活性を有する種々
の生理活性物質を合成するための原料として利用されて
いる。
そして、上記組換え体プラスミドは下記で表わされる
アミノ酸配列またはその一部の配列を含むエステラーゼ
活性を持ったペプタイドをコードするDNA遺伝子を含む
ものである。
更に、エステラーゼ活性を持ったペプタイドをコード
するDNA配列の例としては下記のものが挙げられる。
本発明におけるPseudomonas fluorescensIFO3081のエ
ステラーゼ遺伝子のEschrichia coliへのクローニング
は次のようにして行われる。
Pseudomonas fluorescensよりThomasらの方法〔Canto
ni and Davies ed.“Procedures in Nucleic Acid Rese
arch"Vol.1 p535,Harper and Row,New York(1966)〕
にしたがって染色体DNAを調製する。これを制限酵素Eco
RIで完全分解しDNA断片を得る。一方、ベクタープラス
ミドpUC18を同酵素で切断する。pUC18はそのマルチクロ
ーニング部位にのみ一ヶ所のEcoRI切断部位を有する。E
coRI切断により直線状となったpUC18とPseudomonas flu
orescensIFO3081からのDNA断片と混ぜ、T4DNAリガーゼ
で末端を結合させることにより雑種DNAを形成させる。
これを、あらかじめCaCl2処理により外来DNAを受け入れ
やすくした宿主微生物のEscherichia coliK−12株の一
つであるJM109株に導入する。pUC18を含むJM109株をア
ンピシリンとIPTG、XGalを含むLB寒天培地で増殖させる
とJM109株内で発現されたβ−ガラクトシダーゼ活性に
よりXGalが切断され青色のコロニーを形成する。ここで
pUC18のマルチクローニング部位に外来DNA断片が挿入さ
れた場合はβ−ガラクトシダーゼ活性は発現されずコロ
ニーは無色になる。従って、Pseudomonas fluorescens
由来のエステラーゼ遺伝子を発現する形質転換株を選び
出すために、アンピシリンとIPTG、XGalを含むLB寒天培
地において無色のコロニーを選択し、そのうぢでエステ
ラーゼ活性を発現する株をスクリーニングする。エステ
ラーゼ遺伝子を持つEscherichia coliJM109株の検索は
以下のように行う、10mMトリス−HCl(pH7.5)、0.01%
ブロモクレゾールパープル、1%(±)−β−アセチル
チオ−α−メチルプロピオン酸メチルを染み込ませたロ
紙にコロニーを移し室温にて数時間放置する。エステラ
ーゼ活性を持つコロニーは酸を生成しコロニー付近のpH
は低下する。pH指示薬であるプロモクレゾールパープル
は青紫色から黄色に変化するため、肉眼観察によりエス
テラーゼ遺伝子を持つ株を得ることが出来る。
この形質転換株から再びプラスミドDNAを取り出し、
これを種々の制限酵素で切断し、より小さなDNA断片を
持つプラスミドを作成する。これらのプラスミドによっ
て形質転換された株のエステラーゼ活性の有無によっ
て、エステラー遺伝子の位置を知ることが出来る。本発
明では、エステラーゼ遺伝子をpUC19上の1acUV5プロモ
ーターの支配化におくことにより、形質転換株のエステ
ラーゼ活性の親株のPseudomonas fluorescensIFO3081の
持つ活性に対し飛躍的に上げることが出来る。
本発明のエステラーゼ遺伝子の供与微生物としシュー
ドモナス属の微生物の他にエシェリシァ属、スタフィロ
コッカス属、アルカリゲネス属、ストレプトマイセス
属、ノカルディア属、マイコバクテリア属、トルロプシ
ス属、バシルス属、アスペルギルス属、キャンディダ
属、ポツリチス属、オフィロルス属、ケトミウム属また
はクラドスポリウム属に属する微生物が挙げられ、具体
的にはそれぞれエシェリシア・コリIFO13500、スタフィ
ロコッカス・アウレウスIFO12732、ストレプトマイセス
・グリセウスIFO3355、ノカルディア・エルスポリスIFO
12538、マイコバクテリウム・フレイIFO13160、ストレ
プトマイセス・クラブリゲルスIFO13307、トルロプシス
・グロベンギエセリIFO0659、バチルス・ズブチリス・
パール・ニガーIFO3108、アスペルギルス・ソージャエI
AM2703、キャンディダ・ルゴーザIFO0750、ポツリチス
・シネリアIAM5126、オフィロラス・ミヤビアヌスIAM80
53、ケトミウム・セミスピレールIFO8363、及びクラド
スポリウム・レシナエー・ファーアペラネウムHUT5050
等が挙げられる。
本発明で用いるベクターは例えばpUC18,pUC19及びM13
mp18であって、その制限酵素地図は第1図、第2図及び
第3図の通りである。これらはいずれも宝酒造株式会社
から購入することができる。形質転換される微生物とし
ては、Escherichia coli JM109株が挙げられ、これも宝
酒造株式会社から購入することができる。また、形質転
換され得る微生物としては上記EscherichiacoliJM109株
の他に酵母、枯草菌、放射菌等が挙げられる。
前記式I及びIIの化合物の置換基R1のためのアルキル
基としては例えばメチル基、エチル基などが、アラルキ
ル基としては例えばベンジル基が、アリール基としては
例えばフェニル基が、アリールオキシル基としては例え
ばフェノキシル基がそれぞれ挙げられ、そして、ヒドロ
キシカルボン酸エステル(I)としては、例えばマンデ
ル酸メチル、乳酸メチル等が挙げられる。
本発明の形質転換微生物は、これを含む培養液、分離
した菌体または菌体処理として用いられる。
これら形質転換微生物の培養は、通常は液体培養で行
われるが、固体培養によっても行うことができる。培地
としては、例えばLB培地が用いられる。培養は10〜50℃
の温度で、pH2〜11の範囲で行われる。微生物の生育を
促進させるために通気撹拌を行ってもよい。
加水分解反応を行うに際しては、培養の開始時又は途
中で培地にヒドロキシカルボン酸エステル(I)を添加
してもよく、あらかじめ微生物を培養したのち培養液に
ヒドロキシカルボン酸エステル(I)を添加してもよ
い。また増殖した微生物の菌体を遠心分離等により採取
し、これをヒドロキシカルボン酸エステルを含む反応媒
体に加えてもよい。この場合菌体は取り扱い上の便宜か
ら、乾燥菌体例えば凍結乾燥菌体、噴霧乾燥菌体又は有
機溶媒例えばアセトン、トルエン等で処理した菌体、あ
るいは菌体破壊物、菌体抽出物等の菌体処理物を用いる
こともできる。反応媒体としては例えばイオン交換水又
は緩衝液が用いられる。反応媒体又は培養液中のヒドロ
キシカルボン酸エステルの濃度は0.01〜50重量%が好ま
しい。ヒドロキシカルボン酸エステルは水に懸濁した状
態で加えることもできる。メタノール、アセトンなどの
有機溶媒を反応液に加えてエステルの溶解性を向上させ
ることもできる。反応液のpHは2〜11、好ましくは5〜
8の範囲である。反応が進行するに伴い生成したヒドロ
キシカルボン酸により反応液のpHが低下してくるが、こ
の場合は適当な中和材で最適pHに維持することが好まし
い。反応温度は5〜50℃である。
反応液又は培養液からの生成物の分離精製は、通常の
方法例えば抽出、再結晶、カラムクロマトグラフィ等に
より行うことができる。
参考例1 (組換え体プラスミドの調製) 1)染色体DNAの調製: 200mlのLB培地(1%バクトトリプトン、0.5%バクト
イーストエキス、0.5%NaCl)にPseudomonas fluoresce
ns IFO3081株を植菌し、一夜培養を行った。培養後、遠
心分離によって菌体を集める。菌体を30mlのSSC(0.15M
NaCl,15mMクエン酸ナトリウム)、25%ショ糖、10mMED
TAに懸濁し、12mgのリゾチームを加えた後数分間放置
し、3mlの10%SDSを加え撹拌する。37℃10分間インキュ
ベートした後、24mgのプロナーゼEを加え引き続き37℃
にて90分間インキュベートした。これに等容の水及び2
倍容のフェノール(10mMTRIS−HCl(pH8)、1mMEDTAで
飽和)を加えゆっくり撹拌した。室温にて遠心にかけ、
水層を取り、再度同フェノールによる抽出を行った。得
た水層に等容のクロロホルム(0.4%のイソアミルアル
コールを含む)を加えゆっくり撹拌した。遠心後水層を
取り再度同クロロホルムによる抽出を行った。水層に等
容のエーテルを加え抽出操作を行った。水層を取り残存
するエーテルを窒素ガスにより除いた後、RNaseAを50μ
g/mlになるように加え37℃30分間インキュベートし、更
に上記プロナーゼEを100μg/mlになるように加え37℃3
0分間インキュベートした。その後、先に述べたように
フェノール抽出を2回、クロロホルム抽出を2回、エー
テル抽出を1回行い、窒素ガス通気によりエーテルを除
いた。水層に2.5倍容のエタノールを加え遠心によりDNA
を回収し乾燥後水に溶解した。
2)エステラーゼ遺伝子を含む組換え体プラスミドの作
成: 上で得た染色体DNAに制限酵素EcoRIを作用させ染色体
DNA断片を得た。一方、プラスミドpUC18にも同制限酵素
を作用させ直鎖上のプラスミドを得た。T4リガーゼを用
い4℃一夜反応させることにより、両DNA断片の結合を
行った。
3)組換え体プラスミドのEscherichia coliへの導入: Escherichia coliJM109株をLB培地で37℃2−3時間
培養した後集菌し、氷冷した50mM CaCl2溶液に懸濁し
た。遠心集菌後、氷冷した50mM CaCl2溶液に再度懸濁
し、氷中で30分間静置した。約100−200μを試験官に
取り2)で得た組換えプラスミドを加え氷中で30分間静
置した。37℃で2分間加熱しLB培地を1ml加え37℃60分
間振盪した。100μをLB寒天培地(100μg/mlアンピシ
リン、0.5mM IPTG,0.2%XGalを含む)にひろげ37℃で一
夜保ちコロニーを作成させた。
青色を呈していない無色のコロニーについて、下記の
方法でエステラーゼ遺伝子を含む組換えプラスミドが導
入されている形質転換株を選択した。
10mMトリス−HCl(pH7.5)、0.01%ブロモクレゾール
パープル、1%(±)−β−アセチルチオ−α−メチル
プロピオン酸メチルを染み込ませたロ紙にコロニーを移
し室温にて数時間放置する。エステラーゼ活性を持つコ
ロニーは酸を生成しコロニー付近のpHは低下する。pH指
示薬であるブロモクレゾールパープルは青紫色から黄色
に変化するため、肉眼観察によりエステラーゼ遺伝子を
持つ株を得ることが出来る。
こうして得られた形質転換微生物(微工研条寄第1468
号)を増殖させ、BirnboimとDoryの方法〔Nuc Acid Re
s.,1513〜1523(1979)〕に従いプラスミドを調製
し、これに各種制限酵素を作用させその切断部位を決定
した(第4図)。このプラスミドDNAをpFY501と命名し
た。
参考例2 Escherichia coli形質転換株によるエステラ
ーゼの発現 1)(±)−β−アセチルチオ−α−メチルプロピオン
酸メチルの不斉加水分解: 上記の形質転換株をアンピシリン50μg/mlを含む500m
lのLB培地にて37℃一夜振盪培養した後、遠心分離によ
り菌体を得た。この菌体全量を2%(±)−β−アセチ
ルチル−α−メチルプロピオン酸メチル150mlに懸濁し
て、0.1N NaOHでpH7.0に制御しながら、30℃にて5時間
反応を行った。反応終了後、菌体を遠心分離により除
き、上清より未反応のβ−アセチルチオ−α−メチルプ
ロピオン酸メチルを酢酸エチルで抽出除去した。次いで
抽出残液の水層のpHを希硫酸で2.0以下に下げた後、β
−アセチルチオ−α−メチルプロピオン酸を酢酸エチル
で抽出した。そしてその抽出液に無水酢酸ナトリウムを
加えて脱水処理したのち溶媒を蒸発除去し、油状物を得
た。一部を取り水で希釈後HPLCによりβ−アセチルチオ
−α−メチルプロピオン酸を定量した。また一部はクロ
ロホルムに溶解し、デジタル自動旋光度計(日本分光製
DIP−360型)で旋光度を測定した。その結果、目的の生
成物は270mg得られ、比旋光度は▲〔α〕20 D▼=−48.6
(C=1.10CHCl3で親株(Pseudomonas flurescens IFO3
081株)による生成物の比旋光度−48.1とほぼ同等であ
った。
なお、対照実験としては、ベクタープラスミド(pUC1
8)による形質転換株を用いたが反応中のNaOH消費はな
かったし、また目的の生成物も得られなかった。
2)プラスミドpFY501上のエステラーゼ遺伝子の位置及
び新しいプラスミドの作成と形質転換株におけるエステ
ラーゼ活性の増幅: pFY501の上のエステラーゼ遺伝子の位置を明らかにす
るために、まずpFY501を各制限酵素で切断し、得られた
親株由来のDNA断片をpUC18に結合させ、Escherichia co
liJM109株に導入した。その中で、4.9KbHind III断片を
含むプラスミドpFY503の導入された形質転換株がエステ
ラーゼ活性を保持していた(第5図A)。更に詳細に検
討した結果、4.9KbHind III断片の2.2KbSma I断片中に
エステラーゼ遺伝子の存在することが確認された(第5
図B)。この2.2KbSma I断片を持つプラスミドpFY513の
エステラーゼ活性がイソプロピルβ−D−チオガラクト
ピラノシド(和光純薬製;略称IPTG)により誘導される
ことから、エステラーゼ遺伝子はベクター部分にあるla
cUV5プロモーター支配下におかれていることが明らかと
なった。また、このことよりエステラーゼ遺伝子の方向
が確認された。
さらにSma I断片の一端からExonuclease III,Mung Be
an Nuclease(宝酒造製TAKARAキロシーケンス用デリー
ションキット使用)を用いてエステラーゼ遺伝子の5′
flanking領域を削り取りpFY520(第6図)を作成した。
このプラスミドpFY520を含む形質転換株(微工研条寄第
1469号)もエステラーゼ遺伝子を持ち、またlacUV5プロ
モーター支配下にあった。
pFY520を含む形質転換株について、0.2mMIPTG存在下
で培養した以外は上記1)と同様な方法によりエステラ
ーゼ活性を定量した結果、下記に示した通りpFY501形質
転換株の約19倍の比活性を持つことが明らかとなった。
形質転換株 比活性〔ユニット/g乾燥菌体〕 E.coli JM109/pFY501 260 E.coli JM109/pFY520 4900 但し、前述の反応条件下において、初期1時間に於け
る目的の酸1mgを生成する酵素量を1ユニットと定義し
た。
第5図において、(A)活性の有無は実施例1で述べ
たように、ブロモクレゾールパープルの色の変化をロ紙
上で観察することにより求めた。
(A)pFY503(第6図参照)とpFY508はそれぞれpFY501
からの4.9Kbおよび2.7KbHind III断片をpUC18のHind II
I切断部位に挿入することにより作成した。pFY506とpFY
509はpFY501をそれぞれHind III、Xho Iで切断後、セル
フライゲーションにより作成した。
(B)pFY513はpFY503の2.2KbSma I断片をpUC18のSma I
切断部位に挿入することにより作成した。pFY510とpFY5
12はpFY503をそれぞれSal I,Pst Iで切断後セルフライ
ゲーションにより作成した(第6図参照) 参考例3 エステラーゼ遺伝子の塩基配列の決定と予想
されるアミノ酸配列 プラスミドpFY520から更にHinc II−Sma I領域を欠失
したプラスミドpFY525を作用したが(第6図)、このpF
Y525の形質転換株も参考例2の1)に示した方法が試験
したところ、エステラーゼ活性を保持していた。そこ
で、pFY525に含まれる親株由来のDNA断片の全塩基配列
を、M13ファージベクターを用いたChainterminater法
〔Sanger,F.Science214,1205−1210,(1981)〕により
決定した。その結果、この親株由来の約1KbのDNA断片の
塩基配列は第8図に示した通りであった。この塩基配列
中にはエステラーゼ遺伝子をコードしていると想定され
るOpen reading frameはただ一つしか存在しないこと、
またPst I切断部位より上流を欠いたpFY512はエステラ
ーゼ活性を持たないこと(第5図B)および前述したエ
ステラーゼ遺伝子の方向により、このOpen reading fra
meがエステラーゼ遺伝子をコードしており、これから予
想されるアミノ酸配列またはその一部が目的のエステラ
ーゼのアミノ酸配列であることが、明らかとなった。
実施例1 pCF005の作成 プラスミドpCF005は以下のようにして得られた(第7
図)。pFY520を制限酵素Nae Iで切断し、切断部分に制
限酵素Hind III リンカーを挿入した。こうして得られ
たプラスミドpCF001を制限酵素Hind IIIで切断し、エス
テラーゼ遺伝子を含む薬800bpのDNA断片を得た。この断
片をHind IIIで切断したプラスミドベクターpUC18に挿
入した。こうして得られたプラスミドpCF005において
は、エステラーゼ遺伝子はベクターpUC18由来のlacUV5
プロモーター支配下にある。
実施例2 組換え体プラスミドpCF005のEscherichia coliへの導入 Escherichia coliJM109株をLB培地で37℃で2−3時
間培養した後集菌し、氷冷した50mM CaCl2溶液に懸濁し
た。遠心集菌後、氷冷した50mM CaCl2溶液に再度懸濁
し、氷中で30分間静置した。約100−200μを試験管に
取り実施例1で得た組換えプラスミドpCF005を加え氷中
で30分間静置した。37℃2分間加熱しLB培地を1ml加え3
7℃60分間振盪した。100μをLB寒天培地(100μg/ml
アンピシリンを含む)にひろげ37℃で一夜保ちコロニー
を作成させた。
微生物のEscherichia coliJM109/pCF005は微工研条寄
第2166号として寄託されている。
実施例3 JM109/pFY525およびJM109/pCF005によるマンデル酸メチ
ルの不斉加水分解 Escherichia coliJM109/pFY525およびJM109/pCF005を
100mlのLB培地(0.1mMのIPTG(イソプロピル−β−チオ
ガラクトシド)を含む)で37℃、15時間培養後、菌体を
遠心により回収した。遺伝子供与菌であるPseudomonas
fluorescensIFO3081は、100mlの肉エキス培地で25℃、4
0時間培養後、同様にして菌体を回収した。これらを冷
水に懸濁し、その一部を反応に用いた。
1mlの0.1Mりん酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)−1%D,
L−マンデル酸メチルに菌体懸濁液を加え、30℃で反応
を行った。反応液の菌体濃度はE.coli JM109/pFY525お
よびJM109/pCF005については0.35mg/ml、IFO3081につい
ては5.0mg/mlに設定した(いずれも乾燥重量)。途中50
μのサンプリングを数回行い450μの0.2N塩酸に加
えることにより反応を停止させた。反応停止後、基質お
よび生成物を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によ
り分析し、マンデル酸メチルからマンデル酸への変換率
を算出した。
{条件} カラム:ODS−80TM(東ソー(株)) 溶 媒:メタノール;水;りん酸;(50/50/0.025) 温 度:40℃ 流 速:1ml/min 検 出:254nm また、生成物(マンデル酸)立体異性はCHIRALPACK−
WHカラム(ダイセル化学工業(株))を用いたHPLCによ
り分析した。その結果、L−マンデル酸メチルが選択的
に加水分解されることがわかった。
{条件} 溶 媒:0.25mM硫酸銅 流 速:1ml/min 検 出:254nm 第1表における変換率および生成したマンデル酸の光
学純度の経時変化を示す。
また、一分間に1μmolのマンデル酸を生成する活性
を1ユニットとすると、JM109/pFY525およびJM109/pCF0
05、IFO3081の比活性はそれぞれ1.1、1.4、0.008ユニッ
ト/mg乾燥菌体となった。
実施例4 JM109/pCY005による乳酸エステルの不斉加水分解 実施例2と同様にした得られた菌体を反応に用いた。
1mlの0.1Mりん酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)−1%D,L
乳酸メチルに菌体懸濁液を加え、30℃、時間反応を行っ
た。反応後、実施例3と同様にして分析を行った。ODS
カラムでの検出には210nmを使用した。
実施例5 酵素の精製 Escherichia coliJM109/pCF005を3LのLB培地(0.1mM
のIPTGを含む)で37℃、15時間培養後、菌体を遠心によ
り回収した。冷水で2回洗浄した後、約20gの湿菌体が
得られた。菌体を20mMのTris塩酸緩衝液(pH8)で懸濁
し、セルミル(Edmund Bhler社製、直径0.1mmのグラ
スビーズ使用)を用いて破壊した。遠心により膜画分を
除き、可溶性画分を20mMTris塩酸緩衝液(pH8)に対し
て透析した後イオン交換クロマトグラフィーにより分画
した。イオン交換体は同緩衝液で平衡化したDEAEセルロ
ファイン(生化学工業(株))を用い、エステラーゼの
溶出には0−0.8M塩化ナトリウム濃度勾配を用いた。活
性画分を濃縮しゲル濾過カラム(東ソー(株)、G3000S
W)を用いたHPLCによりさらに精製した。溶媒としては5
0mMりん酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)を使用した。こう
して得られたエステラーゼをSDSゲル電気泳動で分析し
たところ、ほぼ単一のバンドを示した。精製エステラー
ゼは以下の実験に用いられた。
実施例6 精製エステラーゼによる乳酸エステルの不斉加水分解 1mlの0.1Mトリス塩酸緩衝液(pH7.5)−1%D,L乳酸
メチル(あるいは乳酸エチル)に1μgの精製エステラ
ーゼを加え、30℃、30時間反応させた。反応後、実施例
2と同様にして分析を行った。ODSカラムでの検出には
波長210nmを用いた。
L−乳酸エステルが選択的に加水分解をうけL−乳酸
が生成した。第3表に反応30時間後の変換率および生成
した乳酸の光学純度を示す。
実施例7 精製エステラーゼによる乳酸メチルの不斉加水分解 1mlの0.1Mりん酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)−1%D,
L乳酸メチルに1μgの精製エステラーゼを加え、30
℃、30時間反応させた。反応後、実施例5と同様にして
分析を行った。結果を第4表に示す。
実施例8 精製エステラーゼによるマンデル酸メチルの不斉加水分
解 1mlの0.1Mりん酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)−1%D,
Lマンデル酸メチルに1μgの精製エステラーゼを加
え、30℃で反応を行った。途中40μサンプリングを数
回行い450μの0.2N塩酸に加えることにより反応を停
止させた。分析は実施例3と同様にして行った。第5表
に変換率及び生成したマンデル酸の光学純度の経時変化
を示す。
〔発明の効果〕 本発明により得られる組換え体プラスミドpFY501、pF
Y520、pFY525、pCF005およびこれにより形質転換された
Escherichia coli形質転換株は、ヒドロキシカルボン酸
エステル(I)を不斉加水分解するエステラーゼ遺伝子
を含有する。そして、pCF005等の形質転換株のエステラ
ーゼ活性はその親株のそれに比して飛躍的に増大させる
ことができた。更に、この形質転換株の菌体またはその
処理物をヒドロキシカルボン酸エステル(I)に作用さ
せて光学活性カルボン酸を効率的に得ることができた。
【図面の簡単な説明】
第1図、第2図及び第3図は、それぞれベクターpUC18,
pUC19及びM13mp18の制限酵素地図を示す。第4図はエス
テラーゼ遺伝子を含むプラスミドpFY501の制限酵素地図
を示す。第5図はpFY501より作成された欠失プラスミド
とエステラーゼ活性を示す。第6図は本発明において使
用される主要プラスミドの作成過程を示す。第7図はプ
ラスミドpCF005作成過程を示す。第8図はpFY525中の親
株由来DNAの全塩基配列とその中に含まれるOpen readin
g frameから予想されるエステラーゼのアミノ酸配列を
示す。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI (C12N 9/18 C12R 1:19) (C12N 15/09 ZNA C12R 1:39) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C12P 41/00 C12N 15/55 C12N 9/18 REGISTRY(STN) CA(STN) BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 (式中R1はアルキル基、アリール基、アラルキル基また
    はアリールオキシル基、R2は低級アルキル基C1(メ
    チル基、エチル基等)を示す)で表わされるヒドロキシ
    カルボン酸エステルに、下記のアミノ酸配列: をコードする遺伝子DNA、又は該アミノ酸配列において
    1若しくは数個のアミノ酸が欠乏、置換若しくは付加さ
    れたアミノ酸配列を含み、該ヒドロキシカルボン酸エス
    テルを不斉加水分解する機能を有するアミノ酸配列をコ
    ードする遺伝子DNAをベクタープラスミドに連結した組
    換え体プラスミドで形質転換された形質転換微生物の培
    養液、菌体または菌体処理物を作用させることを特徴と
    する、 一般式 (式中R1はアルキル基、アリール基、アラルキル基また
    はアリールオキシル基を示す)で表わされる光学活性ヒ
    ドロキシカルボン酸の製造法。
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