JP2918567B2 - 経糸準備方法 - Google Patents

経糸準備方法

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JP2918567B2
JP2918567B2 JP1153059A JP15305989A JP2918567B2 JP 2918567 B2 JP2918567 B2 JP 2918567B2 JP 1153059 A JP1153059 A JP 1153059A JP 15305989 A JP15305989 A JP 15305989A JP 2918567 B2 JP2918567 B2 JP 2918567B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、異収縮混繊糸を織物用の経糸として準備
する経糸準備方法に関するものである。
〔従来の技術〕
最近、沸水収縮率の異なる2種類以上のマルチフイラ
メント糸を合糸した異収縮混繊糸を用いることにより、
織物に嵩高性や特殊な風合いを付与することが行われて
いる。このような異収縮混繊糸、なかでも合糸されてい
る各糸の沸水収縮率が大きく異なるような糸は、原糸段
階においてループや弛みが生じやすく製織性が悪いた
め、本格的なサイジング処理を行うのが一般的である
(便宜上「本格サイジング方式」という)。第3図にお
いて、1は糊剤供給槽で、糸をこの槽内を通過させるこ
とにより糊付を行う。2,3は糊絞りローラで、糸に余分
に付着した糊剤を絞り取る。4は乾燥チヤンバーで、加
熱用ヒータを内蔵しており糊付された糸の乾燥を行う。
7は経糸を巻き取るビームである。上記本格サイジング
方式では、通常、糊剤として純分濃度(固形分濃度)が
10〜13重量%(以下「%」と略す)のものを用い、乾燥
後の糊剤付着量を5〜10%となるように各条件を設定す
る。そして、乾燥チャンバー4として長さ8m以上のもの
を用い、100℃以上の温度で長時間糸を加熱して乾燥す
るようにしている。
〔発明が解決しようとする問題点〕
しかしながら、このようなサイジング処理を行うと、
製織工程におけるトラブルは防止できるものの、糸が乾
燥時の加熱で熱収縮を生じてしまい、製織工程に続くリ
ラツクス工程において、効果的な熱収縮が得られない。
したがつて、せつかく特殊な熱収縮特性を備えた異収縮
混繊糸を用いても、その特性が充分に活かされていない
ため問題となつている。
この発明は、このような事情に鑑みなされたもので、
異収縮混繊糸の熱収縮特性を損なうことなく、収束性お
よび封合いに優れた異収縮混合糸の経糸を準備すること
のできる方法の提供をその目的とする。
〔問題点を解決するための手段〕
上記の目的を達成するため、この発明の経糸準備方法
は、糊剤と油剤を主成分としその純分濃度が15〜25%に
設定されている処理剤を準備する工程と、上記処理剤を
糊付ローラ外周面に供給する工程と、交絡数が10〜40個
/mである異収縮混繊糸を上記糊付ローラ外周面の上部に
のみ接触させた状態で通過させて糊付を行つたのち対設
された2個の糊絞りローラ間を通過させて糊絞りを行つ
て乾燥を行うサイジング工程とを備え、上記異収縮混繊
糸に対するサイジング後の処理剤付着量が1〜4重量%
となり、かつサイジング前後の異収縮混繊糸の沸水収縮
率が下記の不等式を満足するようサイジングを行うとい
う構成をとる。
(SH0−Sh1)≦10% Sh0:サイジング前の沸水収縮率 Sh1:サイジング後の沸水収縮率 〔作用〕 すなわち、この発明では、糊剤の代わりに、純分濃度
が従来の糊剤よりも高い特殊な処理剤を用い、この処理
剤を糊付ローラ外周面上部との一部接触により異収縮混
繊糸に付与し、ついで糊絞りローラを通過させるように
したため、収束性を確保できる最低限の量の処理剤を偏
りなく均一に糸に付着させることができるようになつ
た。したがつて、従来の本格サイジング方式のようなき
つい乾燥条件で乾燥を行う必要がなく、大掛かりな装置
も不要なため、省エネルギー,省スペースを実現でき
る。また、異収縮混繊糸に熱的ダメージを与えることが
ないため、異収縮混繊糸の潜在的な沸水収縮率が損なわ
れず、リラツクス工程で充分に熱収縮して品位の高い織
り物が得られる。
つぎに、この発明を詳細に説明する。
この発明が対象とする糸は、交絡数が10〜40個/mの異
収縮混繊糸である。このような異収縮混繊糸としては、
例えば第1図に示すような合糸装置によつて異なる沸水
収縮率が与えられる2本のマルチフイラメント糸A,Bを
合糸したものをあげることができる。図において、11は
紡出されたマルチフイラメント糸Aを巻いたチーズ、12
は紡出された他のマルチフイラメント糸Bを巻いたチー
ズ(A,Bは同一種類の糸であつても異なつていてもよ
い)で、ロールヒータ13により2本同時に予備加熱がな
される。そして、さらに糸Aにはプレートヒータ14によ
つて所定の熱収縮が与えられ、糸Bには熱収縮が与えら
れない。このため、糸Bの沸水収縮率は高いままで維持
されることとなり、糸Aの沸水収縮率は低くなつて両者
の沸水収縮率に差異が生じる。これらの糸A,Bをインタ
ーレースノズル15に通して所定間隔で交絡させ、ボビン
16に巻き取ることにより、異収縮混繊糸が得られる。な
お、交絡数が40個/mより多い異収縮混繊糸は、整経後に
オイリング処理等を施すだけで充分な収束性が得られる
ため、通常サイジングを行わず、また、交絡数が10個/m
より少ない異収縮混繊糸は収束性が悪く経糸として用い
ることができないので、これらの糸についてはこの発明
の対象外とする。また、上記異収縮混繊糸を構成するマ
ルチフイラメント糸の種類は特に限定されないが、特
に、構成糸条の少なくとも一方がイソフタル酸共重合ポ
リエステルからなるものであることが好適である。すな
わち、上記イソフタル酸共重合ポリエステルは、それ自
身の沸水収縮率が非常に高いため、異収縮混繊糸製造時
の条件設定により非常に沸水収縮率の差の大きなものを
得ることができ、これを活かせば優れた風合いの生地と
なるからである。
そして、この発明の経糸準備方法では、上記糸に対
し、従来のサイジングで用いる糊剤に代えて、糊剤と油
剤を主成分とする特殊な処理剤を付与する。
上記糊剤としては、ポリアクリル酸エステル,ポリア
クリル酸,ポリメタクリル酸,ポリアクリル酸ソーダ,
ポリアクリル酸アミド等があげられ、これらのうち、特
にポリアクリル酸エステルが好適である。また、これら
に各種の成分を共重合したもの等を用いてもよい。
また、上記油剤としては、植物油,鉱物油,脂肪酸エ
ステル,多価アルコール等があげられ、通常、これらの
混合物が用いられる。
この発明の処理剤は、上記糊剤と油剤とを混合し加水
して得られるが、これらの他に各種の界面活性剤等を含
有させるようにしてもよい。このとき、処理剤の純分濃
度は15〜25%となるように設定することが必要である。
この純分濃度は、従来の糊剤の純分濃度(10〜13%)に
比べかなり高濃度である。本発明者らの研究によると、
処理剤を高濃度にした方が、糸に付着させる処理剤自体
の量が少なくてすむ分だけ乾燥しやすく、乾燥後の糸の
状態が良好になることがわかつたからである。ただし、
純分濃度が25%を超えると、乾燥時に糸の接着が生じ整
経が悪くなる。
なお、上記処理剤において、糊剤と油剤の配合割合
は、糊剤:油剤が9:1〜6:4となるように設定することが
好適である。油剤の割合が上記の範囲よりも多くなる
と、製織性が悪くなる傾向が見られる。すなわち、油剤
が多くなると平滑性は向上するが、糊剤が少なすぎると
フイラメントの収束性が低下するため、上記の範囲より
油剤の割合が多くなると全体的に製織性が不良となりや
すい。なお、製織の際、上下に激しく運動を繰り返しな
がらヘルドやリードを通過する経糸を保護するには糊剤
を多く用いることが好ましいが、上記の範囲よりも糊剤
の割合が多くなると、異収縮混繊糸のふくらみ特性が損
なわれるとともに、製織時に糊剤のかすが発生する等の
問題が出てくるため、糊剤の割合の好ましい上限は、油
剤1に対し糊剤9とするのが妥当である。
上記処理剤の付与は、例えば第2図に示すような装置
を用い整経時行う。図において、20はクリールの各ボビ
ン(図示せず)から1本づつ引き出された異収縮混繊糸
で、まず、処理剤供給槽24内の処理剤が表面に付着した
糊付ローラ21の外周面上部を接触通過する。ついで2個
の対設する糊絞りローラ22の間を通過し、さらに乾燥チ
ヤンバー23を通過したのち、ビーム7に巻き取られるよ
うになつている。
すなわち、この装置では、従来の本格サイジング方式
とは異なり、糸20への処理剤の付与を、糊付ローラ21へ
の接触通過と、糊絞りローラ22間の通過を組み合わせて
行つている。したがつて、本格サイジング方式のように
糸20が糊剤供給槽1(第3図参照)内の糊剤にどつぷり
漬かるのではないため、過剰な量の供給とはならない。
しかも、糸20の表面に処理剤を付けた状態で糊絞りロー
ラ22間を通過させるため、交絡部分に処理剤が偏つて多
く付いたままにならず、糊絞りローラ22間の通過時に処
理剤が均一に延ばされる。
また、この装置の乾燥チヤンバー23は、上記のように
糸への処理剤付着量が必要最低限に設定されるため、長
さ2〜5mのミニチヤンバー1基でよく、本格サイジング
方式のチヤンバー(長さ8〜15m)に比べて大幅に小型
化される。そして、このチヤンバー23における乾燥条件
は、100〜150℃で1.0〜1.5秒間程度でよく、糸に対する
熱的ダメージも小さい。
なお、上記装置を用いる場合には、糊付ローラ21の回
転速度や処理剤供給槽24における処理剤の液面等を調整
することにより、処理剤の付着量を、乾燥後の繊維重量
に対して1〜4%の範囲内に設定することが必要であ
る。1%未満では糸20に対し充分な収束性,平滑性を与
えることができず、4%を超えると乾燥が不充分となつ
て製織が困難になるからである。
また、この発明では、乾燥条件等を調整することによ
り、異収縮混繊糸のサイジング前後の沸水収縮率が下記
の不等式を満足するようにすることが必要である。
(Sh0−Sh1)≦10% Sh0:サイジング前の沸水収縮率 Sh1:サイジング後の沸水収縮率 上記のように、サイジング前後の異収縮混繊糸の沸水
収縮率の差を10%以内に抑えるということは、サイジン
グ処理において糸が受ける熱的ダメージが小さいという
ことであり、糸の潜在的な熱収縮特性が維持されている
ことである。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
〔実施例1,2、比較例1〜4〕 ポリエチレンテレフタレートに、イソフタル酸を8モ
ル%共重合させ、粘度〔η〕=0.640〜0.645のチツプを
作つて紡速1500m/minで紡糸し、81d/24fの未延伸糸を一
旦ボビンに巻き取つた。そして、このボビン2本を第1
図に示す延撚装置にかけ(図において11,12に相当)、
ロールヒータ13の温度を75℃、プレートヒータ14の温度
を148℃に設定して、沸水収縮率の異なる2本のマルチ
フイラメント糸A,Bからなる異収縮混繊糸60d/48fを得
た。このときの延伸条件は、巻き取り速度1000m/min、
延伸倍率2.71とした。上記糸B(ヒータプレート14を経
由しない糸)のみの物性は、30d/24fで沸水収縮率が35
%であり、もう一方の糸A(ヒータプレート14を経由さ
せた糸)のみの物性は、30d/24fで沸水収縮率が7%で
あつた。そして、合糸された異収縮混繊糸の物性は、60
d/48fで沸水収縮率が28.5%であつた。
つぎに、この異収縮混繊糸を、第2図に示す装置にか
けてサイジング処理を行つた。このときの具体的な処理
条件を下記に示す。
整経本数 995本 整経糸速 200m/分 使用処理剤 糊剤:油剤=80:20 処理剤の純分濃度 20% 乾燥チヤンバー長 4m 乾燥温度 所定温度 そして、処理剤付着量を、下記の第1表に示すように
変化させて、処理付着量と経糸の沸水収縮率を測定し、
さらに乾燥性および製織性を評価した。これらの結果を
第1表にまとめて示す。
なお、上記乾燥性は、ビームに糸を巻き取つた際の糸
の接着の有無によつて評価した。また、上記製織性は、
得られた糸を経糸総数7960本に整経し、上記と同様の異
収縮混繊糸てあつてサイジング処理をしていない糸をウ
オータージエツトによつて回転数600rpmで緯入れするこ
とにより羽二重を製織して評価した。
上記の結果から、実施例品は比較例品に比べて乾燥
性,製織性とも優れていることがわかる。
〔実施例3,4、比較例5,6〕 つぎに、上記実施例で得られた異収縮混繊糸を用い、
第2図および第3図に示すサイジング装置で、それぞれ
サイジング処理を行つた。サイジング条件は下記の第2
表に従つた。なお、第3図の本格サイジング方式におい
て、処理剤の純分濃度は10%とし、乾燥チヤンバー長は
8mとした。
処理後の糸について、前記と同様にして評価した。
上記の結果から、この発明の経糸準備方法によれば、
加工反をシルキー調に仕上げることができ、風合いに特
徴のある織物が得られることがわかる。
〔発明の効果〕
以上のように、この発明によれば、純分濃度の高い処
理剤を、特殊な条件下で異収縮混繊糸に必要最低限量だ
け付与するようにしているため、糸の乾燥性が良好で熱
的ダメージが小さくてすむ。したがつて、潜在的に高い
沸水収縮率が与えられた異収縮混繊糸の上記沸水収縮率
が、サイジング後も損なわれることがないため、この糸
を経糸に用いた織物はリラツクス工程で充分に熱収縮し
てボリユーム感が出て品位の高い織物となる。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明に用いる異収縮混繊糸の製造装置の一
例を示す構成図、第2図はこの発明に用いるサイジング
装置の一例を示す構成図、第3図は従来の本格サイジン
グに用いる装置を示す構成図である。 20……異収縮混繊糸、21……糊付ローラ、22……糊絞り
ローラ、23……チヤンバー、24……処理剤供給槽

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】糊剤と油剤を主成分としその純分濃度が15
    〜25重量%に設定されている処理剤を準備する工程と、
    上記処理剤を糊付ローラ外周面に供給する工程と、交絡
    数が10〜40個/mである異収縮混繊糸を上記糊付ローラ外
    周面の上部にのみ接触させた状態で通過させて糊付を行
    つたのち対設された2個の糊絞りローラ間を通過させて
    糊絞りを行つて乾燥を行うサイジング工程とを備え、上
    記異収縮混繊糸に対するサイジング後の処理剤付着量が
    1〜4重量%となり、かつサイジング前後の異収縮混繊
    糸の沸水収縮率が下記の不等式を満足するようサイジン
    グを行うことを特徴とする経糸準備方法。 (Sh0−Sh1)≦10% Sh0:サイジング前の沸水収縮率 Sh1:サイジング後の沸水収縮率
  2. 【請求項2】上記異収縮混繊糸を構成する糸条の少なく
    とも一方が、イソフタル酸共重合ポリエステルからなる
    ものである請求項(1)記載の経糸準備方法。
  3. 【請求項3】上記処理剤における糊剤と油剤の混合割合
    (糊剤:油剤)が、9:1〜6:4に設定されている請求項
    (1)または(2)記載の経糸準備方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101365115B1 (ko) * 2008-03-31 2014-02-19 코오롱패션머티리얼(주) 초경량 직물 제조용 호부사 및 그의 제조방법

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