JP2897668B2 - 連続溶融めっきのスナウト内フューム付着防止装置 - Google Patents

連続溶融めっきのスナウト内フューム付着防止装置

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JP2897668B2 JP33934694A JP33934694A JP2897668B2 JP 2897668 B2 JP2897668 B2 JP 2897668B2 JP 33934694 A JP33934694 A JP 33934694A JP 33934694 A JP33934694 A JP 33934694A JP 2897668 B2 JP2897668 B2 JP 2897668B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、連続溶融めっき装置
において、被めっき鋼帯へのアッシュ付着により発生す
る鋼帯の表面欠陥を抑制できる連続溶融めっきのスナウ
ト内ヒュームの付着防止装置に関する。
【0002】
【従来の技術】最近の表面処理鋼板、例えば溶融亜鉛め
っき鋼板等は、耐食性に優れていることから、自動車外
装材、建築材料、家庭用電気製品等様々な分野で需要が
急速に増大している。表面処理鋼板のうち溶融めっき鋼
板の製造法としては、主に溶融亜鉛めっき法や、溶融ア
ルミニュームめっき法が多用されている。
【0003】上記溶融亜鉛めっき法は、図4に示すとお
り、還元性雰囲気に維持された連続焼鈍炉31において表
面の活性化、および機械的性質やめっき浴への侵入温度
を調整された鋼帯32は、同様に還元性雰囲気に維持され
た筒状のスナウト33、34を介して、めっきポット35内の
溶融金属めっき浴36中に導入される。溶融金属めっき浴
36中に侵入した鋼帯32は、溶融金属めっき浴36に浸漬配
置された非駆動のシンクロールと呼ばれるパス周回ロー
ル37により進行方向を上方に変えられ、同じく溶融金属
めっき浴36中に浸漬配置されたサポートロール38を経由
して溶融金属めっき浴36から引き上げられる。溶融金属
めっき浴36から引き上げられためっき鋼帯39は、ワイピ
ングノズル40によりめっき金属の付着量を調整された
後、用途に応じて合金化炉あるいは合金化炉と互いにラ
イン内に入替わるミニマムスパングル装置41により、合
金化処理やミニマムスパングル処理を施され、その後、
トップロール42を経由して常温まで冷却される。
【0004】上記連続溶融亜鉛めっきラインにおけるス
ナウト33、34は、内部を大気雰囲気から遮断するため、
一端が連続焼鈍炉31に接続され、他端は溶融亜鉛のめっ
き浴36中に浸漬されている。このスナウト33、34内は、
めっき層と鋼帯との密着性や鋼帯表面の酸化、汚れ等に
起因する不めっきを防止のため、還元性雰囲気に維持さ
れ、酸素濃度も50ppm以下程度の極低レベルに維持管理
されている。しかしながら、連続溶融亜鉛めっきライン
においては、スナウト内における溶融亜鉛のめっき浴表
面から蒸発した亜鉛ヒュームは、スナウト内壁部で冷却
されてスナウトの内壁面に金属状態あるいは酸化された
状態で堆積する。この堆積物は、溶融亜鉛のめっき浴上
に落下すると、めっき中の鋼帯に付着してそのままめっ
き層中に取込まれてドロス欠陥や不めっき欠陥を生じた
り、あるいはめっき浴中で浮遊して鋼帯と接触し、その
表面に疵をつけて亜鉛めっき鋼帯に表面欠陥を与えた
り、めっき鋼帯の商品価値を著しく損なう原因となって
いる。
【0005】このようなスナウト内浮遊金属ヒュームに
起因する問題点を解消する方法としては、スナウト内に
ストリップの広幅面に非酸化性ガスを噴射するノズルを
設けると共に、噴射された非酸化性ガスをストリップ広
幅面からめっき浴面上を通ってスナウト内壁面に沿って
流動せしめる非酸化性ガス流動案内板を設け、めっき金
属ヒュームの流路コントロールを施し、鋼帯への付着防
止を図る方法(実開昭63-175153号公報)、スナウト内の
溶融めっき浴面直上を局部冷却し、めっき浴表面から蒸
発した金属蒸気を直ちに凝縮させてめっき浴面に落下さ
せることによって、蒸発金属によるドロスの発生を防止
する方法(特開昭63-277746号公報)、スナウト内部の還
元性ガス雰囲気が、その酸素濃度を20〜200ppmに制御す
ることによって、めっき浴の亜鉛蒸発量を抑制する方法
(特開平3-253548号公報)、スナウト端部を溶融めっき浴
直上に配置し、該スナウト端部に炉内ガスシール装置ま
たは不活性ガスシール装置を付設してガスシールし、ス
ナウト内へのめっき金属ヒュームの侵入を防止する方法
(特開平3-111545号公報、実開平3-78094号公報)、スナ
ウト内の溶融めっき浴面にセラミックス片、分割浮遊固
形物または蒸発防止材を浮遊させ、溶融金属の蒸発を防
止する方法(特開平4-99852号公報、特開昭63-86852号公
報、特開平1-294851号公報)、スナウト内に絞り部を設
け、該絞り部と溶融金属浴間にスナウト側部より還元性
の高いガスを吹き込み、スナウト内の溶融金属浴面のド
ロス発生を抑制する方法(特開平6-49610号公報)等が提
案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本発明
者の経験では、スナウト内において、還元性ガス吹き込
み等により局部冷却を行うと、スナウト内における化学
的平衡が崩れ、その結果逆に金属ヒュームの蒸発が促進
され、スナウト内壁への付着異物が増加し、めっき鋼帯
の表面欠陥が増加すること、また、溶融めっき金属表面
にガスを吹き付けて冷却を行っても、溶融金属めっき浴
表面からの金属ヒューム蒸発量を抑制できるほどの冷却
効果を得ることは極めて困難であること、さらに、一般
的にめっき密着性の確保、あるいは不めっき抑制の観点
より、スナウト内酸素濃度は比較的極低レベルに管理さ
れているが、該条件下においても、金属ヒュームの発生
抑制は困難であり、その結果、やはり生成異物によるめ
っき鋼帯の表面欠陥が発生し、製品歩留の低下を生じて
いた。
【0007】この発明の目的は、上記スナウト内金属ヒ
ュームに起因するめっき鋼帯の表面欠陥の発生を防止で
きる連続溶融めっきのスナウト内ヒューム付着防止装
を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記スナウ
ト内壁への異物付着現象を種々調査、分析した結果、め
っき浴面からの金属ヒュームの発生を抑制することは、
めっきポット内の溶融金属めっき浴温度をめっき性、お
よびめっき品質確保の観点より、所定の温度に維持する
ことが不可欠である以上、不可能であるとの結論に達し
た。また、スナウト内雰囲気制御においても、例えば雰
囲気内の酸素濃度、水素濃度、窒素濃度、水蒸気濃度等
を現在の技術レベルにおいて、ほぼ限界レベルまで管理
できたとしても、同様に金属ヒュームの発生抑制は極め
て困難であるとの結論に達した。
【0009】本発明者は、かかる状況よりスナウト内に
おける金属ヒュームの付着防止を図るべく、さらに調査
を進めた結果、スナウト内の雰囲気ガス温度およびスナ
ウト内壁温度が、前記付着異物生成に寄与することを見
い出した。すなわち、スナウト内において、該付着異物
は、スナウト内壁の比較的低温部に析出付着する傾向が
顕著であることが、スナウト内雰囲気温度およびスナウ
ト内壁温度測定、スナウト内異物付着状況観察の結果判
明した。この結果に基づきスナウト内壁への異物付着を
防止するには、スナウト内壁およびスナウト内雰囲気ガ
ス温度のコントロールが有効であるとの結論に達し、こ
の発明に想到した。
【0010】すなわち、本願の第1発明は、鋼帯を還元
性雰囲気下で加熱、焼鈍する連続焼鈍炉と、該連続焼鈍
炉から溶融金属めっき浴へ鋼帯を導入する周囲雰囲気か
ら区画されたスナウト内フューム付着防止装置におい
て、ターンダウンロール室およびスナウトの鉄皮外面側
に電熱ヒータを複数に区画して設置し、該電熱ヒータの
外側に断熱材を施工し、ターンダウンロール室およびス
ナウトの各部に温度検出器を設け、該温度検出器から入
力される測温結果に基づいて複数に区画した各電熱ヒー
タへの印加電圧を制御する温度制御部を設けたことを特
徴とする連続溶融めっきのスナウト内フューム付着防止
装置である。
【0011】また、本願の第2発明は、鋼帯を還元性雰
囲気下で加熱、焼鈍する連続焼鈍炉と、該連続焼鈍炉か
ら溶融金属めっき浴へ鋼帯を導入する周囲雰囲気から区
画されたスナウト内フューム付着防止装置において、下
部を除くターンダウンロール室およびスナウトの鉄皮外
面側に電熱ヒータを複数に区画して設置し、該電熱ヒー
タの外側に断熱材を施工し、下部を除くターンダウンロ
ール室およびスナウトの各部に温度検出器を設け、該温
度検出器の測温結果に基づいて複数に区画した各電熱ヒ
ータへの印加電圧を制御する温度制御部を設けると共
に、ターンダウンロール室下部に金属フュームの凝結温
度以下の低温部を設けたことを特徴とする連続溶融めっ
きのスナウト内フューム付着防止装置である。
【0012】さらに、本願の第3発明は、鋼帯を還元性
雰囲気下で加熱、焼鈍する連続焼鈍炉と、該連続焼鈍炉
から溶融金属めっき浴へ鋼帯を導入する周囲雰囲気から
区画されたスナウト内フューム付着防止装置において、
下部を除くターンダウンロール室およびスナウトの鉄皮
外面側に断熱材を施工したことを特徴とする連続溶融め
っきのスナウト内フューム付着防止装置である。
【0013】
【作用】本願の第1発明においては、ターンダウンロー
ル室およびスナウトの鉄皮外面側に電熱ヒータを複数に
区画して設置し、該電熱ヒータの外側に断熱材を施工
し、ターンダウンロール室およびスナウトの各部に温度
検出器を設け、該温度検出器から入力される測温結果に
基づいて複数に区画した各電熱ヒータへの印加電圧を制
御する温度制御部を設けたことによって、ターンダウン
ロール室およびスナウト内雰囲気および内壁温度を金属
フュームが析出、凝結する温度以上に保持できると共
に、めっき浴直上から連続炉側のターンダウンロール室
の範囲で、めっき浴との温度差を-150℃以内で付与でき
る。この結果、ターンダウンロール室およびスナウトの
内壁への金属フュームの析出による異物付着を防止でき
ると共に、めっき浴面近傍の金属フュームがスナウト内
部で生じた自然対流により、連続炉側のスナウト取付け
部より上流側に強制的に移送され、めっき浴近傍でのア
ッシュ発生およびスナウト内壁への付着・成長が抑制さ
れ、前記めっき鋼帯の表面欠陥の発生を防止することが
できる。
【0014】また、本願の第2発明においては、下部を
除くターンダウンロール室およびスナウトの鉄皮外面側
に電熱ヒータを複数に区画して設置し、該電熱ヒータの
外側に断熱材を施工し、下部を除くターンダウンロール
室およびスナウトの各部に温度検出器を設け、該温度検
出器の測温結果に基づいて複数に区画した各電熱ヒータ
への印加電圧を制御する温度制御部を設けると共に、タ
ーンダウンロール室下部に金属フュームの凝結温度以下
の低温部を設けたことによって、ターンダウンロール室
およびスナウト内雰囲気および内壁温度を金属フューム
が析出、凝結する温度以上に保持でき、めっき浴直上か
ら連続炉側のターンダウンロール室の範囲で、めっき浴
との温度差を-150℃以内で付与できると共に、ターンダ
ウンロール室下部で金属フュームを析出凝結させること
ができる。この結果、ターンダウンロール室およびスナ
ウトの内壁への金属フュームの析出による異物付着を防
止できると共に、めっき浴面近傍の金属フュームがスナ
ウト内部で生じた自然対流により、連続炉側のスナウト
取付け部より上流側に強制的に移送され、ターンダウン
ロール室下部で金属フュームを析出凝結させて分離除去
でき、めっき浴近傍でのアッシュ発生およびスナウト内
壁への付着・成長が抑制され、前記めっき鋼帯の表面欠
陥の発生を防止することができる。
【0015】さらに、本願の第3発明においては、下部
を除くターンダウンロール室およびスナウトの鉄皮外面
側に断熱材を施工したことによって、下部を除くターン
ダウンロール室およびスナウト内の雰囲気および内壁の
温度低下を抑制でき、ターンダウンロール室およびスナ
ウト内雰囲気および内壁温度を金属フュームが析出、凝
結する温度以上に保持でき、ターンダウンロール室およ
びスナウトの内壁への金属フュームの析出による異物付
着を防止できると共に、めっき浴近傍でのアッシュ発生
およびスナウト内壁への付着・成長が抑制され、前記め
っき鋼帯の表面欠陥の発生を防止することができる。
【0016】なお、本願発明において、スナウト内壁温
度を確保する手段としては、例えば、複数に区分した電
熱ヒーターをスナウト外壁に取り付け保温する方法や断
熱材をスナウト外壁にライニングする方法、あるいはこ
の両者の組み合わせにより行う方法等、幾つかの手段が
考えられるが、何れの方法を採用しても構わない。な
お、加熱雰囲気ガスの吹込みによる温度制御方法は、ス
ナウト内の雰囲気を撹拌し、前記の本発明条件を損なう
ため、好ましくない。
【0017】
【実施例】
実施例1 以下にこの発明の詳細を実施例を示す図1ないし図3に基
づいて説明する。図1はこの発明のスナウト内フューム
付着防止対策を施した溶融亜鉛めっき設備の概略構成
図、図2はスナウト上部のターンダウンロール室内に、
電熱ヒーターや断熱材施工をしない低温部を設けた溶融
亜鉛めっき設備の概略構成図、図3はこの発明のスナウ
トおよびターンダウンロール室に断熱材施工によるフュ
ーム付着防止対策を施した溶融亜鉛めっき設備の概略構
成図である。図1ないし図2において、1は連続焼鈍炉、2
は還元性雰囲気に維持された連続焼鈍炉1で表面の活性
化および機械的性質やめっき浴への侵入温度を調整され
た鋼帯、3は連続焼鈍炉1に一端が取付けられ他端がめっ
きポット4の溶融金属めっき浴5中に先端が浸漬されたス
ナウト6と連結するスナウトで、表面の活性化および機
械的性質やめっき浴への侵入温度を調整された鋼帯2
は、スナウト3、6を介して溶融金属めっき浴5中に導入
される。7はスナウト3と連続焼鈍炉1との取付け部であ
るターンダウンロール室、8はターンダウンロール室7お
よびスナウト3、6の鉄皮外面側に組み込まれた複数に区
分された電熱ヒーター、9はその外側に施工された断熱
材、10はターンダウンロール室7およびスナウト3、6の
各部に設けた温度検出器、11は各温度検出器10の測温結
果に基づいて各電熱ヒーター8への印加電圧を制御する
温度制御部で、ターンダウンロール室7、スナウト3、6
の内壁および雰囲気温度を特定の温度に維持・管理する
ように構成されている。
【0018】12はめっきポット4内に浸漬されたパス周
回ロール、13は同じくめっき浴5中に浸漬配置されたサ
ポートロール、14はワイピングノズル、15は合金化炉、
16はトップロールで、パス周回ロール12により進行方向
を上方に変えられためっき鋼帯17は、サポートロール13
を経由してめっき浴5から引き上げられ、ワイピングノ
ズル14によりめっき金属の付着量が調整されたのち、用
途に応じて合金化炉15あるいはミニマムスパングル装置
により合金化処理やミニマムスパングル処理が施され、
トップロール16を経由して冷却装置18により常温まで冷
却されるよう構成されている。
【0019】上記のとおり構成したことによって、各温
度検出器10の測温結果に基づいて温度制御部11で各電熱
ヒーター8への印加電圧を制御し、ターンダウンロール
室7およびスナウト3、6内の雰囲気および内壁温度を、
例えば、めっき浴5から1m程度までのスナウト下部で
は、めっき浴5浴温とほぼ同一温度に、また、該位置よ
りターンダウンロール室7にかけてはめっき浴5浴温より
マイナス150℃以内の温度勾配となるように調整する。
上記ターンダウンロール室7およびスナウト3、6内の雰
囲気および内壁温度の調整によって、めっき浴5近傍で
は、めっき浴5からの金属ヒュームの自然対流が促進さ
れると共に、その上方部においても、スナウト3、6内壁
への金属アッシュ付着が抑制できることになる。また、
めっき浴5上方の比較的低温部で金属アッシュが発生し
たとしても、スナウト3下部から、ターンダウンロール
室7にかけて、前記のように温度勾配を設けたから、こ
の温度差によりスナウト3、6内に自然対流が生じ、発生
アッシュはターンダウン室7の鋼帯2より下方の比較的低
温部にて付着堆積することとなるため、めっき浴5上に
落下して、めっき鋼帯の製品表面の欠陥を発生させるこ
とにはなり得ない。
【0020】図2において、21はターンダウンロール室7
下部に電熱ヒーター8や断熱材9を施工しない低温部で、
スナウト3、6内の温度差により生じた自然対流によって
移動した金属ヒュームは、ターンダウンロール室7下部
の低温部21で優先的に冷却されて金属アッシュが発生
し、前記低温部21でアッシュが生成堆積することととな
る。また、仮にもう少し下方のスナウト6上部で金属ア
ッシュが発生したとしても、前記のように温度勾配によ
る自然対流がより促進されるため、やはり前記低温部21
でアッシュが生成堆積することとなり、めっき浴5上へ
の金属アッシュの落下が抑制できると共に、スナウト
3、6内の清掃が容易で、かつ、効率的に行えるという利
点もある。
【0021】図3においては、電熱ヒーター8を設置せ
ず、ターンダウンロール室7およびスナウト3、6の鉄皮
外側に断熱材9のみを施工したから、ターンダウンロー
ル室7およびスナウト3、6内の雰囲気温度および内壁温
度は、めっき浴5からターンダウンロール室7にかけて順
次低下するが、断熱材9の施工によってその低下の程度
を抑制でき、金属フュームの析出凝結を防止することが
できる。
【0022】 実施例2 前記図1に示す溶融亜鉛めっき装置を用い、亜鉛めっき
鋼帯を製造したときのスナウト内金属アッシュの付着状
況と亜鉛めっき鋼帯の表面欠陥による不良率の発生状況
を調査した。その結果を表1に示す。なお、このときの
溶融亜鉛浴温度460℃、電熱ヒーターを使用しなかった
場合、およびめっき浴から1m程度までのスナウト下部で
は溶融亜鉛浴温とほぼ同一温度に、該位置よりターンダ
ウンロール室にかけては溶融亜鉛浴温より100℃、150℃
低くなるように電熱ヒーターへの印加電圧を調整した。
また、焼鈍炉内雰囲気ガスは、H2:10%、N2:90%、O2:10p
pm、露点-50℃であった。また、比較例としてめっき浴
から1m程度までのスナウト下部では溶融亜鉛浴温とほぼ
同一温度に、該位置よりターンダウンロール室にかけて
は溶融亜鉛浴温より160℃低くなるように電熱ヒーター
への印加電圧を調整した場合と、上記電熱ヒーター等を
設置する以前のスナウト内金属アッシュの付着状況と亜
鉛めっき鋼帯の表面欠陥による不良率の発生結果を表1
に示す。なお、スナウト内金属アッシュの付着状況は、
1ケ月間の金属アッシュの付着部の目視判定で評価し、
◎は付着なし、○は若干付着、××は付着大で金属アッ
シュの落下ありを示す。
【0023】
【表1】
【0024】表1に示すとおり、電熱ヒーターを使用し
なかった場合および溶融亜鉛浴面からターンダウンロー
ル室側が150℃以内の低温となるよう温度勾配を設けた
場合には、スナウト内アッシュ付着状況は、比較例に比
べて大幅に低減すると共に、めっき鋼帯の表面欠陥発生
率が約1/10に低減しており、その効果は明白である。し
かし、溶融亜鉛浴面からターンダウンロール室側を160
℃低くした場合は、スナウト内アッシュ付着状況は実施
例とほとんど差がなく、また、めっき鋼帯の表面欠陥発
生率も実施例とほとんど差がなかった。しかしながら、
スナウト内で余り温度を下げすぎると、めっき性能に悪
影響を及ぼすので好ましくない。
【0025】
【発明の効果】以上述べたとおり、この発明のスナウト
内フューム付着防止装置によれば、スナウト内における
温度勾配を適正にすることができ、金属アッシュのスナ
ウト内壁への付着・成長を抑制することが可能となり、
該アッシュに起因する、めっき鋼帯の表面欠陥発生を防
止でき、めっき鋼帯の歩留向上を図ることができる。ま
た、金属アッシュの析出・堆積場所をターンダウンロー
ル室内に設けることにより、アッシュのめっきへの悪影
響を除外するばかりでなく、清掃が容易になるという利
点をも併せ持つものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のスナウト内フューム付着防止対策を
施した溶融亜鉛めっき設備の概略構成図である。
【図2】この発明のスナウト上部のターンダウンロール
室内に、電熱ヒーターや断熱材施工をしない低温部を設
けた溶融亜鉛めっき設備の概略構成図である。
【図3】この発明のスナウトおよびターンダウンロール
室に断熱材施工によるフューム付着防止対策を施した溶
融亜鉛めっき設備の概略構成図である。
【図4】従来の一般的な連続溶融亜鉛めっき設備の概略
構成図である。
【符号の説明】
1、31 連続焼鈍炉 2、32 鋼帯 3、6、33、34 スナウト 4、35 めっきポット 5、36 溶融金属めっき浴 7 ターンダウンロール室 8 電熱ヒーター 9 断熱材 10 温度検出器 11 温度制御部 12、37 パス周回ロール 13、38 サポートロール 14、40 ワイピングノズル 15、41 合金化炉 16、42 トップロール 17、39 めっき鋼帯 18 冷却装置

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼帯を還元性雰囲気下で加熱、焼鈍する
    連続焼鈍炉と、該連続焼鈍炉から溶融金属めっき浴へ鋼
    帯を導入する周囲雰囲気から区画されたスナウト内フュ
    ーム付着防止装置において、ターンダウンロール室およ
    びスナウトの鉄皮外面側に電熱ヒータを複数に区画して
    設置し、該電熱ヒータの外側に断熱材を施工し、ターン
    ダウンロール室およびスナウトの各部に温度検出器を設
    け、該温度検出器から入力される測温結果に基づいて複
    数に区画した各電熱ヒータへの印加電圧を制御する温度
    制御部を設けたことを特徴とする連続溶融めっきのスナ
    ウト内フューム付着防止装置。
  2. 【請求項2】 鋼帯を還元性雰囲気下で加熱、焼鈍する
    連続焼鈍炉と、該連続焼鈍炉から溶融金属めっき浴へ鋼
    帯を導入する周囲雰囲気から区画されたスナウト内フュ
    ーム付着防止装置において、下部を除くターンダウンロ
    ール室およびスナウトの鉄皮外面側に電熱ヒータを複数
    に区画して設置し、該電熱ヒータの外側に断熱材を施工
    し、下部を除くターンダウンロール室およびスナウトの
    各部に温度検出器を設け、該温度検出器の測温結果に基
    づいて複数に区画した各電熱ヒータへの印加電圧を制御
    する温度制御部を設けると共に、ターンダウンロール室
    下部に金属フュームの凝結温度以下の低温部を設けたこ
    とを特徴とする連続溶融めっきのスナウト内フューム付
    着防止装置。
  3. 【請求項3】 鋼帯を還元性雰囲気下で加熱、焼鈍する
    連続焼鈍炉と、該連続焼鈍炉から溶融金属めっき浴へ鋼
    帯を導入する周囲雰囲気から区画されたスナウト内フュ
    ーム付着防止装置において、下部を除くターンダウンロ
    ール室およびスナウトの鉄皮外面側に断熱材を施工した
    ことを特徴とする連続溶融めっきのスナウト内フューム
    付着防止装置。
JP33934694A 1994-12-28 1994-12-28 連続溶融めっきのスナウト内フューム付着防止装置 Expired - Fee Related JP2897668B2 (ja)

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