JP6753369B2 - 溶融Zn系めっき鋼板及びその製造方法 - Google Patents

溶融Zn系めっき鋼板及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、電機、建材などの分野で利用される溶融Zn系めっき鋼板とその製造方法に関するものである。なお、本発明が対象とする溶融Zn系めっき鋼板には、溶融Znめっき鋼板以外に、例えば、いわゆるガルファンに代表されるような溶融Zn−Alめっき鋼板なども含まれる。
溶融Znめっき鋼板は、冷延鋼板や熱延鋼板に比べて優れた耐食性を有することから、自動車、電機、建材などの分野において防錆鋼板として広く使用されている。一般に溶融Znめっき鋼板は、冷延鋼板や熱延鋼板を下地鋼板として連続式溶融めっき設備で製造される。連続式溶融めっき設備では、まず、前処理工程にて脱脂及び/又は酸洗を行い洗浄するか、或いは前処理工程を省略して予熱炉内で下地鋼板表面の油分を燃焼除去した後に、非酸化性雰囲気中又は還元性雰囲気中で加熱することで再結晶焼鈍を行う。その後、非酸化性雰囲気中又は還元性雰囲気中で鋼板をめっきに適した温度まで冷却してから、大気に触れさせることなくAl:0.1〜0.3mass%程度を含有する溶融Znめっき浴に浸漬することで溶融Znめっき鋼板(GI)が得られる。また、めっき皮膜中にAlを0.14mass%以下含有する溶融Znめっき鋼板(GI)を加熱して合金化処理した合金化溶融Znめっき鋼板が自動車分野を中心に広く使用されている。
また、めっき層中にAl:1〜15mass%を含有する溶融Zn−Alめっき鋼板は、上述した溶融Znめっき鋼板に比べて優れた耐食性を有することから、電機、建材分野を中心に広く使用されている。代表的な溶融Zn−Alめっき鋼板としては、Al:約5mass%を含有するガルファン(GF)が1980年代から製造され、多く使用されてきた。一方、最近では、Mg等の元素をめっき中に含有させて高機能化した溶融Zn−Alめっき鋼板が開発され、使用されるようになってきた。このような高機能化した溶融Zn−Alめっき鋼板としては、例えば、Al:1.0〜10mass%とMg:0.2〜1mass%をめっき層中に含有させ、ガルファンで問題となった粗大なスパングルの発生を抑制した溶融Zn−Alめっき鋼板(例えば、特許文献1)や、Al:2〜19mass%とMg:1〜10mass%をめっき層中に含有させ、耐食性をさらに向上させた溶融Zn−Alめっき鋼板(例えば、特許文献2)がある。これらの溶融Zn−Alめっき鋼板も、上述したと同様のプロセスを経た薄鋼板を所定量のAl(さらにはMg)を添加した溶融Zn−Alめっき浴に浸漬することで製造される。
特開2008−138285号公報 特開2000−104154号公報 特開平7−150320号公報
しかし、溶融Znめっき鋼板(特にめっき皮膜がAl:0.16mass%以上を含むような溶融Znめっき鋼板)や溶融Zn−Alめっき鋼板のなかでも、特に片面当たりのめっき付着量が100g/m以下のめっき鋼板を製造する場合に、異物付着が原因と考えられる“ピット”と呼ばれるめっきの一部が凹む表面欠陥が発生し、めっきの外観品位が低下するという問題がある。
特許文献3には、スナウト内の露点を−10℃以下(望ましくは−40℃以上、−10℃以下)、酸素濃度を10ppm以下に制御することで、ドロス(FeAl)やアッシユ(蒸発Znとその酸化物)、及び窒化物や酸化物や水酸化物の発生を抑制し、鋼板への異物付着が抑制されるようにした溶融Znめっき鋼板の製造方法が開示されている。しかし、このような製造方法を用いても、片面当たりのめっき付着量が100g/m以下の溶融Zn系めっき鋼板の製造では、ピット欠陥の発生を完全に抑えることはできない。これは、特許文献3に記載された欠陥がピット欠陥とは異なり、欠陥の起点となる異物の種類やサイズが異なるためであると考えられる。
したがって本発明の目的は、以上のような従来技術の課題を解決し、優れためっき外観を有する溶融Zn系めっき鋼板を提供することにある。また、本発明の他の目的は、そのような優れためっき外観を有する溶融Zn系めっき鋼板を安定して製造することができる製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく検討を重ねた結果、ピット欠陥の発生原因が、連続式溶融めっき設備のスナウト内においてAl(さらにはMg)を含有する浴面酸化物(酸化膜)が巻き込まれることにより地鉄−めっき界面に付着した酸化膜であることが判明した。このような酸化膜によるピット欠陥の発生を防止すべくさらに検討を進めた結果、この酸化膜は地鉄−めっき界面に点在した状態で存在しており、その酸化膜の膜厚や面積を所定レベル以下に抑えることにより、ピット欠陥の発生を効果的に抑えることができ、従来にない優れためっき外観が安定的に得られることを見出した。また、スナウト内の露点と酸素濃度を共に低下させることで、浴面の酸化を抑制し、上記のような酸化膜の制御が可能であることを見出した。
本発明は、以上のような知見に基づきなされたものであり、その要旨は以下の通りである。
[1]めっき皮膜がAl:1.0mass%超15mass%以下、残部がZn及び不可避的不純物からなる溶融Zn系めっき鋼板であって、地鉄−めっき界面にAlを含有する酸化膜が点在し、該酸化膜は、最大膜厚が3nm以下又は最大面積が3mm以下であることを特徴とする溶融Zn系めっき鋼板。
[2]上記[1]の溶融Zn系めっき鋼板において、めっき皮膜が、さらにMg:0.1〜10mass%を含有することを特徴とする溶融Zn系めっき鋼板。
[3]めっき皮膜がAl:0.16〜1.0mass%、残部がZn及び不可避的不純物からなる溶融Zn系めっき鋼板であって、地鉄−めっき界面にAlを含有する酸化膜が点在し、該酸化膜は、最大膜厚が3nm以下又は最大面積が3mm以下であることを特徴とする溶融Zn系めっき鋼板。
[4]上記[3]の溶融Zn系めっき鋼板において、めっき皮膜が、さらにMg:0.1〜1.0mass%を含有することを特徴とする溶融Zn系めっき鋼板。
[5]上記[1]〜[4]のいずれかの溶融Zn系めっき鋼板において、酸化膜は、最大膜厚が3nm以下で且つ最大面積が3mm以下であることを特徴とする溶融Zn系めっき鋼板。
[6]上記[1]〜[5]のいずれかの溶融Zn系めっき鋼板において、片面当たりのめっき付着量が100g/m以下であることを特徴とする溶融Zn系めっき鋼板。
[7]連続式溶融めっき設備において、Al:1.0mass%超15mass%以下、残部がZn及び不可避的不純物からなるめっき浴にスナウトを通じて鋼板を浸入させ、鋼板を溶融めっきする溶融Zn系めっき鋼板の製造方法であって、スナウト内の雰囲気を、露点が−50℃以下で且つ酸素濃度が20ppm以下となるように制御して鋼板を通板させることを特徴とする溶融Zn系めっき鋼板の製造方法。
[8]上記[7]の製造方法において、めっき浴が、さらにMg:0.1〜10mass%を含有することを特徴とする溶融Zn系めっき鋼板の製造方法。
[9]上記[7]又は[8]の製造方法において、めっき浴が、さらにNi:0.01〜0.5mass%、Si:0.01〜0.5mass%の1種以上を含有することを特徴とする溶融Zn系めっき鋼板の製造方法。
[10]連続式溶融めっき設備において、Al:0.16〜1.0mass%、残部がZn及び不可避的不純物からなるめっき浴にスナウトを通じて鋼板を浸入させ、鋼板を溶融めっきする溶融Zn系めっき鋼板の製造方法であって、
スナウト内の雰囲気を、露点が−40℃以下で且つ酸素濃度が20ppm以下となるように制御して鋼板を通板させることを特徴とする溶融Zn系めっき鋼板の製造方法。
[11]上記[10]の製造方法において、めっき浴が、さらにMg:0.1〜1.0mass%を含有することを特徴とする溶融Zn系めっき鋼板の製造方法。
[12]上記[7]〜[11]のいずれかの製造方法において、鋼板の通板速度が60mpm以上であることを特徴とする溶融Zn系めっき鋼板の製造方法。
[13]上記[7]〜[12]のいずれかの製造方法において、片面当たりのめっき付着量が100g/m以下であることを特徴とする溶融Zn系めっき鋼板の製造方法。
本発明の溶融Zn系めっき鋼板は、ピット欠陥などがない優れためっき外観を有する。このため、電機や建材などをはじめとする広範な分野で使用することができ、特に塗装を施さずめっき表面が人目に曝されるような用途(例えば、壁材や家電製品の背面板など)に好適に適用することができる。また、本発明の製造方法によれば、そのような優れためっき外観を有する溶融Zn系めっき鋼板を安定的に製造することができる。
ピット欠陥の形状を模式的に示す説明図 溶融Zn−Alめっき鋼板(めっき層にMgを含有するもの)で発生したピット欠陥部の断面について、透過型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分光法による地鉄−めっき界面の深さ方向元素分析結果を示す図面 溶融Znめっき鋼板で発生したピット欠陥部の断面について、透過型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分光法による地鉄−めっき界面の深さ方向元素分析結果を示す図面
本発明において、溶融Zn系めっき鋼板とは、Znを主体とするめっき皮膜を有する溶融めっき鋼板を指し、したがって、溶融Znめっき鋼板以外に、例えば、いわゆるガルファンに代表されるような溶融Zn−Alめっき鋼板などを含む。
まず、溶融Zn系めっき鋼板の製造において発生するピット欠陥について説明する。図1は、ピット欠陥の形状を模式的に示したものである。ピット欠陥は、図1中のA点のようにめっきの一部が薄くなり、その進行方向直上のB点が厚くなる形状をしている。
溶融Zn−Alめっき鋼板(めっき層にMgを含有するもの)で発生したピット欠陥部の断面をFIB加工で薄膜状に切り抜き、透過型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分光法(TEM−EDS)で地鉄−めっき界面の深さ方向元素分析を行った。その分析結果を図2に示す。これによれば、ピット欠陥部の地鉄−めっき界面は、Al、Mg、Oの濃度が高く、AlとMgを含有した厚さ数nmの酸化膜が存在していることが判る。この酸化膜は、めっき浴中に含まれるAlやMgが浴面で酸化したものであり、地鉄−めっき界面に存在することから、連続式溶融めっき設備のスナウト内で鋼板がめっき浴に浸漬する際に巻き込まれ、地鉄−めっき界面に付着したものであると考えられる。
また、溶融Znめっき鋼板で発生したピット欠陥部の断面をFIB加工で薄膜状に切り抜き、透過型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分光法(TEM−EDS)で地鉄−めっき界面の深さ方向元素分析を行った。その分析結果を図3に示す。これによれば、ピット欠陥部の地鉄−めっき界面は、AlとOの濃度が高く、Alを含有した厚さ数nmの酸化膜が存在していることが判かる。そして、この酸化膜も、図2のものと同様、スナウト内の浴面酸化物が、スナウト内で鋼板がめっき浴に浸漬する際に巻き込まれ、地鉄−めっき界面に付着したものであると考えられる。
一般的に、酸化物はめっき浴との濡れ性が悪い。そのため、連続式溶融めっき設備における溶融Zn系めっき鋼板の製造においても、上述したようなスナウト内で巻き込んだ酸化膜を起点にめっきのはじき現象が起こり、局部的にめっきの膜厚に差が生じ、そのまま凝固することでピット欠陥となるものと考えられる。
このようなピット欠陥は、片面当たりのめっき付着量が100g/m以下となる製造時に特に発生しやすい。これは、片面当たりのめっき付着量が100g/m以下において、特にはじき現象が発現し易いことに起因する。
以下、本発明の溶融Zn系めっき鋼板について説明する。
まず初めに、本発明の最も重要な要件である地鉄−めっき界面に存在するAlを含有した酸化膜の形態について説明する。このAlを含有する酸化膜は、スナウト内の浴面酸化物が、スナウト内で鋼板がめっき浴に浸漬する際に巻き込まれ、地鉄−めっき界面に付着したものであるため、地鉄−めっき界面に点在した状態で存在している。上述したピット欠陥を引き起こすめっきのはじき現象は、地鉄−めっき界面に点在する酸化膜の最大膜厚が3nm超で且つ最大面積が3mm超の場合に発生することが判った。酸化膜の膜厚が3nm以下では、酸化膜の緻密性が低下し、地鉄とめっき液(めっき金属)の合金化反応が酸化膜を透過して起こるため、はじき現象が起こりにくい。一方、酸化膜の面積が3mm以下の場合、酸化膜上のめっき液と周囲のめっき液の密着力がはじかれる力に比べ大きくなるため、はじき現象が起こりにくい。よって、ピット欠陥の発生を抑制するためには、地鉄−めっき界面に点在する酸化膜を最大膜厚が3nm以下又は最大面積が3mm以下となるようにすることが必要である。また、より確実にピット欠陥の発生を抑制するためには、酸化膜を最大膜厚が3nm以下で且つ最大面積が3mm以下となるようにすることが好ましい。
地鉄−めっき界面に点在する酸化膜の膜厚や面積は任意の方法で測定することができる。酸化膜の膜厚は、例えば、FIB加工で地鉄−めっき界面の断面を薄膜状に切り抜き、透過型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分光法(TEM−EDS)で深さ方向元素分析を行い、プロファイルを見ることで確認(測定)することができる。この方法による場合、サンプルとなる溶融Zn系めっき鋼板から、FIB加工で地鉄−めっき界面の断面を薄膜状に任意に20箇所程度切り抜き、各薄膜サンプルについて、TEM−EDSによる深さ方向元素分析を施して酸化膜の膜厚を測定し、全てのサンプルの分析結果の中で最も大きな値となった膜厚を、酸化物の最大膜厚とすればよい。
また、酸化膜の面積は、例えば、溶融Zn系めっき鋼板のめっき皮膜(下地鋼板との界面合金層の上のめっき層)を希塩酸や発煙硝酸等で溶解した後に、走査型電子顕微鏡(SEM)で酸化膜を観察することで確認(測定)することができる。この方法の場合、サンプルとなる溶融Zn系めっき鋼板から、無作為に50mm×50mmサイズの板材を剪断で10個採取し、各々を希塩酸や発煙硝酸等でめっき皮膜を溶解した後、表裏全面をSEMで観察し、撮影したSEM像を元に酸化膜の面積を測定し、その中で最も大きい酸化膜の面積を、酸化膜の最大面積とすればよい。酸化膜の面積を測定する方法は特に限定しないが、SEM像中の酸化膜をマーキングし、画像解析(二値化しての面積測定)をすることで求めることができる。
本発明の代表的な溶融Zn系めっき鋼板としては、以下のものが挙げられる。
(A)めっき皮膜(下地鋼板との界面合金層の上のめっき層。以下同様)がAl:1.0mass%超15mass%以下、残部がZn及び不可避的不純物からなる溶融Zn系めっき鋼板。
(B)めっき皮膜(下地鋼板との界面合金層の上のめっき層。以下同様)がAl:0.16〜1.0mass%、残部がZn及び不可避的不純物からなる溶融Zn系めっき鋼板。
上記(A)の溶融Zn系めっき鋼板(溶融Zn−Alめっき鋼板)は、めっき皮膜中にAl:1.0mass%超15mass%以下を含有させることで耐食性を向上させる効果が得られる。Al含有量が1.0mass%以下では、耐食性の向上効果が十分に得られない。一方、Al含有量が15mass%を超えると、耐食性の向上効果が飽和するだけでなく、地鉄−めっき界面にFe−Al合金層が著しく成長し、めっき密着性が低下する。
また、めっき皮膜中には、さらにMg:0.1〜10mass%を含有させることが好ましい。Mg:0.1〜10mass%を含有させることで、めっき鋼板が腐食する際に、腐食生成物を安定化させて耐食性を著しく向上させる効果が得られる。Mg含有量が0.1mass%未満では、耐食性の向上効果が十分に得られない。また、Mg含有量が10mass%を超えると、耐食性の向上効果が飽和するだけでなく、Mgを含有した酸化物系ドロスが発生し易くなり、粒状のドロスが付着するドロス欠陥の発生により、外観が劣化する。
上記(B)の溶融Zn系めっき鋼板(溶融Znめっき鋼板)は、めっき皮膜中にAl:0.16〜1.0mass%を含有させることで、地鉄−めっき界面に薄膜のFe−Al系合金層が形成し、硬くて脆いFe−Zn合金の形成が抑制されためっき相構造となるため、地鉄とめっきの密着性が向上する。Al含有量が0.16mass%未満では、そのような効果が十分に得られない。
また、めっき皮膜中には、さらにMg:0.1〜1.0mass%を含有させることが好ましい。Mg:0.1〜1.0mass%を含有させることで、めっき鋼板が腐食する際に、腐食生成物を安定化させて耐食性を著しく向上させる効果が得られる。Mg含有量が0.1mass%未満では、耐食性の向上効果が十分に得られない。また、Mg含有量が1.0mass%を超えると、耐食性の向上効果が飽和する。
なお、溶融Zn系めっき鋼板の場合、上述しためっき皮膜の組成が、めっき浴の組成とほぼ同等となるため、このめっき皮膜の組成は、めっき浴の組成を制御することで調整することができる。
また、本発明の溶融Zn系めっき鋼板の下地鋼板の種類に特別な制限はなく、例えば、酸洗脱スケールした熱延鋼板若しくは鋼帯、又は、それらを冷間圧延して得られた冷延鋼板若しくは鋼帯などを用いることができる。
次に、本発明の溶融Zn系めっき鋼板の製造方法について説明する。
まず、上述した(A)の溶融Zn系めっき鋼板、すなわち、めっき皮膜がAl:1.0mass%超15mass%以下を含有し、必要に応じて、さらにMg:0.1〜10mass%を含有し、残部がZn及び不可避不純物からなる溶融Zn系めっき鋼板(溶融Zn−Alめっき鋼板)の製造方法について説明する。
この溶融Zn−Alめっき鋼板の製造で使用されるめっき浴は、Znを主体とし、これにAlが1.0mass%超15mass%以下含まれる浴組成を有する。めっき浴中のAlは、めっき鋼板の耐食性を向上させる効果と、めっき浴中にさらにMgを0.1〜10mass%、特に1.0mass%を超えて含有させる場合にドロスの発生を抑制する効果を有する。Al含有量が1.0mass%以下では、耐食性の向上効果が十分ではなく、またMgを含有した酸化物系ドロスの発生を抑制する効果も低い。一方、Al含有量が15mass%を超えると、耐食性の向上効果が飽和するだけでなく、地鉄−めっき界面にFe−Al合金層が著しく成長し、めっき密着性が低下する。
また、めっき浴中には、必要に応じて、さらにMg:0.1〜10mass%を含有させることができ、このようなMgの添加は耐食性の観点から好ましい。Mgは、めっき鋼板が腐食する際に、腐食生成物を安定化させて耐食性を著しく向上させる効果を有する。Mg含有量が0.1mass%未満では、耐食性の向上効果が十分に得られない。一方、Mg含有量が10mass%を超えると、耐食性の向上効果が飽和するだけでなく、Mgを含有した酸化物系ドロスが発生し易くなり、粒状のドロスが付着するドロス欠陥の発生により、外観が劣化する。
また、めっき浴中にMgを含有させる場合、めっき浴中のMg含有率[Mg]とAl含有率[Al]の質量比は、[Mg]/[Al]≦5.0とすることが好ましく、[Mg]/[Al]≦1.0とすることがより好ましい。[Mg]/[Al]>5.0では、Alによるドロス(Mgを含有した酸化物系ドロス)の発生を抑制する効果が低下するため、粒状のドロスが付着するドロス欠陥が発生しやすくなり、めっき鋼板の外観劣化が生じやすくなる。すなわち、[Mg]/[Al]≦5.0とすることにより、ドロス欠陥の発生を抑えることができ、[Mg]/[Al]≦1.0とすることにより、さらに安定的にドロス欠陥の発生を抑えることができる。
また、めっき浴中には、必要に応じて、さらにNi:0.01〜0.5mass%、Si:0.01〜0.5mass%の1種以上を含有させることができる。めっき浴中にNiやSiを含有させると、めっき鋼板の地鉄−めっき界面にNiやSiが含まれる界面合金層が形成されるため、めっき密着性が向上する。特にNiを含む界面合金層は、めっきの厚さ方向に針状に形成されるため、アンカー効果を発現することでめっき上層との密着性が向上する。NiやSiの含有量が0.01mass%未満では、めっき密着性の向上効果が十分に得られない。一方、NiやSiの含有量が0.5mass%を超えると、添加効果が飽和するだけでなく、建浴時にドロスを生成し易くなる。
なお、NiやSiを含有しためっき浴で製造された溶融Zn−Al系めっき鋼板のめっき皮膜(界面合金層の上層のめっき層)には、不可避的不純物として、界面合金層に取り込まれなかったNiやSiが含まれることがある。
上述したようにピット欠陥の要因はスナウト内で生成したAl(さらにはMg)を含んだ浴面酸化物の巻き込みである。したがって、ピット欠陥の発生を抑制するには、浴面の酸化を抑制することが有効である。
本発明の溶融Zn系めっき鋼板の特徴である、地鉄−めっき界面に点在する酸化膜の最大膜厚を3nm以下にするためには、連続式溶融めっき設備におけるスナウト内の雰囲気を、露点が−50℃以下で且つ酸素濃度が20ppm以下となるように制御することが好ましい。
通常、連続式溶融めっき設備のスナウト内の雰囲気は、めっき浴に浸入する前の鋼板の表面酸化を抑制するために、窒素ガス等の不活性ガスでパージされた不活性ガス雰囲気になっており、また、鋼板の還元性を確保するために、不活性ガスに加えて水素が導入される場合もある。ただし、スナウト壁面等の密閉性が悪い場合や、導入ガスの配管の継ぎ手等の密閉性が悪い場合は、外部から酸素が浸入するため、一般的なスナウト内の雰囲気には、100ppm以下の微量な酸素が含まれる。さらに、めっき浴からのヒューム発生を抑制するため、導入ガスを加湿し、水分量を示す露点を制御して操業される。一般に、スナウト内の露点は−35℃〜−15℃程度である。
めっき浴中のAlやMgは、スナウト内で酸素や水により下記(1)式〜(6)式のようにして酸化される。
4Al+3O→2Al …(1)
2Mg+O→2MgO …(2)
2Al+Mg+2O→MgAl …(3)
2Al+3HO→Al+3H …(4)
Mg+HO→MgO+H …(5)
2Al+Mg+4HO→MgAl+4H …(6)
よって、浴面の酸化を抑制するためには、酸素と水の含有量を共に可能な限り低減させることが効果的である。具体的には、スナウト内の雰囲気を露点が−50℃以下で且つ酸素濃度が20ppm以下となるように制御することで、浴面の酸化が抑制され、酸化膜の最大膜厚を3nm以下にすることができる。また、酸化膜の最大膜厚が3nm以下の場合では、鋼板が浸漬する際の衝撃で酸化膜が微細化されやすいため、酸化膜の最大面積は3mm以下となりやすい。
さらに、上記露点は−55℃以下にすることが好ましく、−60℃以下にすることがより好ましい。スナウト内の露点の下限は特に設けないが、一般的に製鉄所等の敷地内で使用される工業窒素の露点は−65℃前後であるため、これよりも低い露点に制御するためには、液体窒素−蒸発設備やガス乾燥設備等が必要となり、設備コストが高くなるため好ましくない。また、上記酸素濃度は10ppm以下にすることが好ましい。
スナウト内の雰囲気の露点が−50℃を超える場合や、酸素濃度が20ppmを超える場合には、浴面の酸化が激しく起こり、地鉄−めっき界面に付着する酸化膜の膜厚が大きくなるため、ピット欠陥の発生を適切に抑制することができない。
また、本発明の溶融Zn系めっき鋼板の特徴である、地鉄−めっき界面に点在する酸化膜の最大面積を3mm以下にするためには、連続式溶融めっき設備における通板速度を60mpm以上にすることが好ましく、80mpm以上にすることがより好ましい。通板速度を60mpm以上とすることで、鋼板がスナウト内でめっき浴に浸漬する際の衝撃により、酸化膜をピット欠陥の抑制が可能なサイズ、すなわち最大面積が3mm以下となるサイズに微細化することができる。また、安定的に酸化物の微細化を行うためには、通板速度を80mpm以上とすることが好ましい。
次に、上述した(B)の溶融Zn系めっき鋼板、すなわち、めっき皮膜がAl:0.16〜1.0mass%を含有し、必要に応じて、さらにMg:0.1〜1.0mass%を含有し、残部がZn及び不可避不純物からなる溶融Zn系めっき鋼板(含有Znめっき鋼板)の製造方法について説明する。
この溶融Znめっき鋼板の製造で使用されるめっき浴(Znめっき浴)には、Alが0.16〜1.0mass%含まれる。めっき浴中のAlは、Feに対する親和力がZnより大きいため、めっき浴中で地鉄−めっき界面に薄膜のFe−Al系合金層を形成し、硬くて脆いFe−Zn合金の形成を抑制する効果を有する。これにより、地鉄とめっきの密着性が高い溶融Znめっき鋼板を得ることができる。また、めっき浴中にさらにMgを含有させる場合にドロスの発生を抑制する効果を有する。Al含有量が0.16mass%未満では、Fe−Zn合金の形成を抑制する効果が十分ではなく、またMgを含有した酸化物系ドロスの発生を抑制する効果も低い。
また、めっき浴中には、必要に応じて、さらにMg:0.1〜1.0mass%を含有させることができ、このようなMgの添加は耐食性の観点から好ましい。Mgは、めっき鋼板が腐食する際に、腐食生成物を安定化させて耐食性を著しく向上させる効果を有する。Mg含有量が0.1mass%未満では、耐食性の向上効果が十分に得られない。一方、Mg含有量が1.0mass%を超えると、Mgを含有した酸化物系ドロスが発生し易くなり、粒状のドロスが付着するドロス欠陥の発生により、外観が劣化する。
また、めっき浴中にMgを含有させる場合、めっき浴中のMg含有率[Mg]とAl含有率[Al]の質量比は、[Mg]/[Al]≦2.0とすることが好ましい。[Mg]/[Al]>2.0では、Alによるドロス(Mgを含有した酸化物系ドロス)の発生を抑制する効果が低下するため、粒状のドロスが付着するドロス欠陥が発生しやすくなり、めっき鋼板の外観劣化が生じやすくなる。すなわち、[Mg]/[Al]≦2とすることにより、ドロス欠陥の発生を抑えることができる。
本発明の溶融Zn系めっき鋼板の特徴である、地鉄−めっき界面に存在する酸化膜の最大膜厚を3nm以下にするためには、連続式溶融めっき設備におけるスナウト内の雰囲気を、露点が−40℃以下で且つ酸素濃度が20ppm以下となるように制御することが好ましい。
めっき浴中のAlは、スナウト内で酸素や水により下記(1)式及び(2)式のようにして酸化される。
4Al+3O→2Al …(1)
2Al+3HO→Al+3H …(2)
よって、浴面の酸化を抑えるためには、酸素と水の含有量を共に可能な限り低減させることが効果的であり、具体的には、スナウト内の雰囲気を露点が−40℃以下で且つ酸素濃度が20ppm以下となるように制御することで、浴面の酸化が抑制され、酸化膜の最大膜厚を3nm以下にすることができる。また、酸化膜の最大膜厚が3nm以下の場合では、鋼板が浸漬する際の衝撃で酸化膜が微細化されやいため、酸化膜の最大面積は3mm以下となりやすい。
さらに、上記露点は−50℃以下にすることが好ましく、−60℃以下にすることがより好ましい。スナウト内の露点の下限は特に設けないが、一般的に製鉄所等の敷地内で使用される工業窒素の露点は−65℃前後であるため、これよりも低い露点に制御するためには、液体窒素−蒸発設備やガス乾燥設備等が必要となり、設備コストが高くなるため好ましくない。また、上記酸素濃度は10ppm以下にすることが好ましい。
スナウト内の雰囲気の露点が−40℃を超える場合や、酸素濃度が20ppmを超える場合には、浴面の酸化が激しく起こり、地鉄−めっき界面に付着する酸化膜の膜厚や面積が大きくなるため、ピット欠陥の発生を適切に抑制することができない。
また、本発明の溶融Zn系めっき鋼板の特徴である、地鉄−めっき界面に点在する酸化膜の最大面積を3mm以下にするためには、連続式溶融めっき設備における通板速度を60mpm以上にすることが好ましく、80mpm以上にすることがより好ましい。通板速度を60mpm以上とすることで、鋼板がスナウト内でめっき浴に浸漬する際の衝撃により、酸化膜をピット欠陥の抑制が可能なサイズ、すなわち最大面積が3mm以下となるサイズに微細化することができる。また、安定的に酸化物の微細化を行うためには、通板速度を80mpm以上とすることが好ましい。
本発明の溶融Zn系めっき鋼板の製造方法において、スナウト内の雰囲気を制御しての露点及び酸素濃度を上述したようなレベルに維持する具体的な方法としては、例えば、酸素を含まない乾燥した純窒素等の不活性ガスをスナウト内に導入する方法がある。この場合、スナウト内の露点は導入する不活性ガスの露点に徐々に近づいていく。特定の露点に制御したい場合は、導入する不活性ガスの全部又は一部を加湿すればよい。なお、この方法はあくまでも一例であり、スナウト内の露点を制御することができれば方法は問わない。
なお、本発明の溶融Zn系めっき鋼板の製造方法は、上述したスナウト内の雰囲気とめっき浴組成以外は、特別な条件は必要でなく、常法で実施すればよい。
本発明を実施するにあたり、めっき浴やめっき皮膜の組成の測定は任意の方法で行うことができる。めっき浴の組成は、例えば、めっき浴の一部を汲み出し、凝固させた後、塩酸等に浸漬して溶解させ、その溶液をICP発光分光分析や原子吸光分析することにより確認(測定)することができる。また、めっき皮膜(下地鋼板との界面合金層の上のめっき層)の組成は、例えば、低電位電解剥離法により、下地鋼板との界面合金層の上に存在するめっき層のみを剥離した後、その剥離液をICP発光分光分析や原子吸光分析することにより確認(測定)することができる。
常法で製造した板厚1.0mmの冷延鋼板を下地鋼板とし、連続式溶融めっき設備において、片面当たりの目標めっき付着量70〜80g/m(両面での目標めっき付着量140〜160g/m)の条件で溶融Zn系めっき鋼板を製造した。それらの皮膜構成(めっき付着量の実績、めっき皮膜組成、地鉄−めっき界面に点在する酸化膜の構成)、製造条件(めっき浴の組成、浴温、スナウト内の雰囲気)、性能(めっき外観、耐食性、めっき密着性)を表1〜表4に示す。
めっき浴組成とめっき皮膜組成は、以下のようにして確認(測定)した。
(i)めっき浴組成の測定
連続溶融めっき設備のポットからめっき浴の一部を汲み出して凝固させた後、金属ドリルで切子を採取したものをサンプルとした。このサンプルを塩酸に浸漬して溶解させ、その溶液をICP発光分光分析することで組成を確認(測定)した。
(ii)めっき皮膜組成の測定
サンプルとなる溶融Zn系めっき鋼板を100mmφに打ち抜き、発煙硝酸に浸漬してめっき皮膜(界面合金層を除くめっき層)を剥離させた。その剥離液に塩酸を加えて溶け残りのAlを完全に溶解させた後、溶液をICP発光分光分析することで組成を確認(測定)した。
(iii)酸化膜の最大膜厚
サンプルとなる溶融Zn系めっき鋼板から、FIB加工で地鉄−めっき界面の断面を薄膜状に任意に20箇所切り抜いた。各薄膜サンプルについて、透過型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分光法(TEM−EDS)による深さ方向元素分析を施し、プロファイルを見ることで地鉄−めっき界面に存在する酸化膜の膜厚を確認(測定)した。そして、全てのサンプルの分析結果の中で、最も大きな値となった膜厚を、酸化物の最大膜厚とした。
(iv)酸化膜の最大面積
サンプルとなる溶融Zn系めっき鋼板を、無作為に50mm×50mmサイズに10個剪断し、各々を発煙硝酸に浸漬させることで、めっき皮膜(下地鋼板との界面合金層の上のめっき層)を溶解させた後、表裏全面について走査型電子顕微鏡(SEM)で酸化膜の観察を行い、SEM像中の酸化膜をマーキングし、画像解析(二値化しての面積測定)をすることで最も大きい酸化膜の面積を定量化し、これを酸化膜の最大面積とした。
製造された溶融Zn系めっき鋼板の性能評価は、以下のようにして行った。
(1)めっき外観の評価:ピット欠陥
コイルの3ヶ所から無作為に採取した巾×1000mmの大板サンプルの外観を目視で確認し、下記の基準で外観品位を評価した。
良:ピット欠陥の発生が認められない。
劣:ピット欠陥の発生が認められる。
(2)めっき外観の評価:ドロス欠陥
コイルの3ヶ所から無作為に採取した巾×1000mmの大板サンプルの外観を目視で確認し、下記の基準で外観品位を評価した。
優:ドロスの付着が認められない。
良:0.5mmφ未満の微小な粒状ドロスの付着が認められるが、外観上で問題とならない。
可:0.5mm以上1mmφ未満の微小な粒状ドロスの付着が認められるが、外観上で問題とならない。
劣:1mmφ以上の大きな粒状ドロスの付着が認められ、外観上で問題となる。
(3)耐食性
溶融Zn系めっき鋼板を70mm×150mmサイズに剪断後、評価面の端部5mm及び非評価面(背面)にテープでシール処理を施したものをサンプルとした。この評価用サンプルを用いて、塩水噴霧試験(SST):JIS Z2371を実施し、サンプルの表面に赤錆が発生するまでの時間により、下記の基準で耐食性を評価した。
・実施例1
優:赤錆発生時間≧800時間
良:300時間≦赤錆発生時間<800時間
劣:赤錆発生時間<300時間
・実施例2
優:300時間≦赤錆発生時間<800時間
良:200時間≦赤錆発生時間<300時間
劣:赤錆発生時間<200時間
(4)めっき密着性
溶融Zn系めっき鋼板を30mm×30mmサイズに剪断したものをサンプルとし、撃心径:3/8インチ、おもりの質量:1.0kg、落下高さ:1000mmの条件でデュポン衝撃試験を行った。試験後の張り出し部外面に、セロテープ(登録商標)を強く貼り付けた後、引き剥がし、張り出し部外面の状態及びセロテープの外観を目視で確認し、下記の基準でめっき密着性を評価した。
優:クラックの発生及びめっきの剥離が共に認められない。
良:クラックの発生が認められるが、めっきの剥離は認められない。
劣:めっきの剥離が認められる。
[実施例1]
この実施例1は、上述した(A)の溶融Zn系めっき鋼板、すなわち、めっき皮膜がAl:1.0mass%超15mass%以下を含有し、必要に応じて、さらにMg:0.1〜10mass%を含有し、残部がZn及び不可避不純物からなる溶融Zn系めっき鋼板(溶融Zn−Alめっき鋼板)に関するものであり、その皮膜構成、製造条件及び性能を表1及び表2に示す。
表1及び表2によれば、比較例ではピット欠陥やドロス欠陥が発生しているのに対し、本発明例ではピット欠陥やドロス欠陥の発生が抑えられた優れためっき外観を有する溶融Zn−Al系めっき鋼板が得られている。
また、本発明例のなかでも、めっき皮膜中に適量のMgを含有させたものは、優れためっき外観に加えて、特に優れた耐食性が得られている。さらに、本発明例のなかでも、めっき浴中に適量のNi又はSiを含有させたものは、優れためっき外観に加えて、特に優れためっき密着性が得られている。
Figure 0006753369
Figure 0006753369
[実施例2]
この実施例2は、上述した(B)の溶融Zn系めっき鋼板、すなわち、めっき皮膜がAl:0.16〜1.0mass%を含有し、必要に応じて、さらにMg:0.1〜1.0mass%を含有し、残部がZn及び不可避不純物からなる溶融Zn系めっき鋼板(溶融Znめっき鋼板)に関するものであり、その皮膜構成、製造条件及び性能を表3及び表4に示す。
表3及び表4によれば、比較例ではピット欠陥やドロス欠陥が発生しているのに対し、本発明例ではピット欠陥やドロス欠陥の発生が抑えられた優れためっき外観を有する溶融Zn−Al系めっき鋼板が得られている。
また、本発明例のなかでも、めっき皮膜中に適量のMgを含有させたものは、優れためっき外観に加えて、特に優れた耐食性が得られている。
Figure 0006753369
Figure 0006753369

Claims (5)

  1. 連続式溶融めっき設備において、Al:1.0mass%超15mass%以下、残部がZn及び不可避的不純物からなるめっき浴にスナウトを通じて鋼板を浸入させ、鋼板を溶融めっきして片面当たりのめっき付着量が100g/m 以下の溶融Zn系めっき鋼板を製造する方法であって、
    スナウト内の雰囲気を、露点が−50℃以下で且つ酸素濃度が20ppm以下となるように制御して鋼板を通板させることを特徴とする溶融Zn系めっき鋼板の製造方法。
  2. めっき浴が、さらにMg:0.1〜10mass%を含有することを特徴とする請求項1に記載の溶融Zn系めっき鋼板の製造方法。
  3. めっき浴が、さらにNi:0.01〜0.5mass%、Si:0.01〜0.5mass%の1種以上を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の溶融Zn系めっき鋼板の製造方法。
  4. 連続式溶融めっき設備において、Al:0.16〜1.0mass%、残部がZn及び不可避的不純物からなるめっき浴にスナウトを通じて鋼板を浸入させ、鋼板を溶融めっきして片面当たりのめっき付着量が100g/m 以下の溶融Zn系めっき鋼板を製造する方法であって、
    スナウト内の雰囲気を、露点が−40℃以下で且つ酸素濃度が20ppm以下となるように制御して鋼板を通板させることを特徴とする溶融Zn系めっき鋼板の製造方法。
  5. めっき浴が、さらにMg:0.1〜1.0mass%を含有することを特徴とする請求項4に記載の溶融Zn系めっき鋼板の製造方法。
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