JP2891902B2 - シートベルト装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、例えば車室後方に荷物
収容空間を形成できるようにしたワゴン車などの後部ベ
ンチシートに付設されるシートベルト装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、ワゴン車などの後部ベンチシー
トに付設されるシートベルト装置は、リトラクタ（巻取
機構）などを具備することなく、長さ方向一端部がベル
トアンカを介して車体静止部材に固定されるシートベル
トを備え、このシートベルトの長さ方向他端部にタング
プレートとバックルとの一方側を取付け、その他方側を
車体静止部材側に固定している。

【０００３】そして、前記ベンチシートに乗員が座乗す
るときには、その乗員の腰部に前記シートベルトを掛け
渡して、前記タングプレートとバックルとを係止するこ
とにより、前記シートベルトで乗員を拘束して、急制動
時の衝撃などから乗員を保護するようにしている。

【０００４】ところで、以上のようなワゴン車などのベ
ンチシートに設けられるシートベルト装置は、リトラク
タなどを具備していないため、前記ベンチシートに乗員
が座乗することなく、前記シートベルトを使用しないと
き、該シートベルトは巻き取られることなく長尺状態の
ままでフロア上に放置されるのであり、従って、荷揚げ
荷降し作業時に前記シートベルトが足で踏まれたり、荷
物などが当たったりして損傷することがある。

【０００５】そこで、従来、以上のような問題を解決す
るため、実開平１ー２５７２０号公報が提案され、この
公報記載のものは、図５で示すように、長さ方向一端に
タングプレートＡが取付けられたシートベルトＢの他端
側に、ベルトアンカに組付られるブーツＣを固定すると
共に、該ブーツＣの長さ方向両側に保持部材Ｄ，Ｄを一
体状に設けている。そして、前記シートベルトＢの不使
用時には、このシートベルトＢを折畳んだ状態で前記各
保持部材Ｄで保持することにより、前記シートベルトＢ
が足で踏まれたり荷物などで損傷したりするのを防止す
るようにしている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】ところが、以上のよう
に、前記ブーツＣの長さ方向両側に設けた前記保持部材
Ｄにより、前記シートベルトＢを折畳んだ状態で保持さ
せる場合、該シートベルトＢの大部分が前記保持部材Ｄ
間の隙間から外方に露出することになるため、前記シー
トベルトＢの露出部分が汚れたり、また、その露出部分
に物が引掛ったりして傷付き易い不都合があった。

【０００７】本発明の目的は、シートベルトの不使用
時、このシートベルトを外観良好に折畳み状態で格納で
き、しかも、該シートベルトが汚れたり傷付いたりする
のを確実に防止できるシートベルト装置を提供すること
にある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】以上の目的を達成するた
めに、本発明は、長さ方向一端部にタングプレート５又
はバックル４を備えたシートベルト３の長さ方向他端部
を、ベルトアンカ２を介して固定ボルト１１を用いて車
体静止部材１に固定しているシートベルト装置におい
て、固定ボルト１１の頭部１１ａに被嵌可能な第１カバ
ー部６１と、該カバー部６１に薄肉ヒンジ６２を介して
一体状に連結された矩形箱状の第２カバー部６３とを備
え、この第２カバー部６３には、上部側に前記シートベ
ルト３の挿通孔６４を貫通状に形成すると共に、下部側
に前記挿通孔６４とは隔壁６５によって画成され、前記
シートベルト３を折畳み状態で覆い包むように格納する
長さ方向両側が開放された格納室６６を形成している。

【０００９】

【作用】以上のシートベルト装置によれば、前記シート
ベルト３の不使用時に、このシートベルト３は折畳み状
態で前記ベルトカバー６の格納室６６に格納され、該ベ
ルトカバー６で折畳まれたシートベルト３の全体が覆い
包まれるのであり、従って、このシートベルト３を外観
良好に格納でき、しかも、該シートベルト３が汚れたり
傷付くのを前記シートカバー６で確実に防止することが
できる。

【００１０】

【実施例】図１〜図３はワゴン車などの後部ベンチシー
トに付設されるシートベルト装置を示しており、このシ
ートベルト装置は、車体静止部材であるフロアパネル１
上に固定ボルト１１とナット１２とを介してベルトアン
カ２を組付け、このベルトアンカ２にシートベルト３の
基端側を固定すると共に、このシートベルト３の先端側
には、車体静止部材側に支持されたバックル４に係脱可
能なタングプレート５を固定している。

【００１１】以上の構成において、前記ベルトアンカ２
に固定される前記シートベルト３の基端側に、軟質の塩
化ビニル樹脂などから成るベルトカバー６を取付けるの
であって、このベルトカバー６は、内部中空で概略半円
形状とされ、前記固定ボルト１１の頭部１１ａに被嵌可
能な第１カバー部６１と、該カバー部６１に薄肉ヒンジ
６２を介して一体状に連結された矩形箱状の第２カバー
部６３とを備え、この第２カバー部６３には、上部側に
前記シートベルト３の挿通孔６４を貫通状に形成すると
共に、下部側に前記挿通孔６４とは隔壁６５によって画
成され、前記シートベルト３を折畳み状態で覆い包むよ
うに格納する長さ方向両側が開放された格納室６６を形
成している。

【００１２】また前記第２カバー部６３は、前記第１カ
バー部６１に対して前記薄肉ヒンジ６２を介して起立可
能としている。

【００１３】更に詳しく説明すると、前記第２カバー部
６３の格納室６６は、前記隔壁６５と、その幅方向両側
から下方に延びる左右一対の側壁６６ａ，６６ｂと、こ
れら各側壁６６ａ，６６ｂの下端側を連結する底壁６６
ｃとにより、長さ方向両側が開放された内部中空状に形
成しており、斯くすることにより、前記格納室６６内に
前記シートベルト３を折畳み状態で格納したとき、この
シートベルト３の外部側を前記各壁６６ａ，６６ｂ，６
６ｃで覆い包んで、前記シートベルト３を外観良好に格
納でき、しかも、該シートベルト３が汚れたり傷付くの
を確実に防止することができる。

【００１４】また、各図の実施例では、前記第２カバー
部６３における格納室６６の先端開口側に対し、前記挿
通孔６４の形成部位が外方側に突出されるように一体状
に延出して、この延出部６４ａの下壁面を前記シートベ
ルト３を格納するときのガイド面としている。斯くする
ときには、前記格納室６６の先端開口側から前記シート
ベルト３を折畳み状態で内方へと挿入して格納すると
き、該シートベルト３を前記格納室６６の先端側に位置
される前記挿通孔６４の延出部６４ａに沿ってスムーズ
に挿入格納することできる。

【００１５】さらに、各図の実施例では、前記シートベ
ルト３が挿通される前記第２カバー部６３の挿通孔６４
を、その内壁とシートベルト３との間に所定の隙間が確
保されるような大きさに形成して、前記挿通孔６４の外
方側に前記シートベルト３に設けたタングプレート５の
先端側を挿通係止可能としている。

【００１６】そして、前記第１カバー部６１を前記固定
ボルト１１の頭部１１ａに被嵌保持させ、また、前記ベ
ルトアンカ２から延びるシートベルト３を前記第２カバ
ー部６３の挿通孔６４に挿通させることにより、前記シ
ートカバー６を前記シートベルト３の基端側にセットす
るのである。

【００１７】次に、以上のシートカバー６による作用に
ついて説明する。先ず、前記ベンチシートに乗員が座乗
する場合で、前記シートベルト３を使用するときには、
図１で示すように、前記シートカバー６の第１カバー部
６１に対し第２カバー部６３を薄肉ヒンジ部６２を中心
に上方に起立させ、前記第２カバー部６３の挿通孔６４
から外方に延びるシートベルト３を前記乗員の腰部に掛
け渡して、前記タングプレート５をバックル４に係止す
ることにより、前記シートベルト３で乗員を拘束して、
急制動時の衝撃などから乗員を保護するのである。

【００１８】以上のように、前記シートベルト３の使用
時に、前記第１カバー部６１に対し薄肉ヒンジ部６２を
中心として第２カバー部６３を上方に起立させ、この第
２カバー部６３の挿通孔６４に挿通されたシートベルト
３の基部側を前記第２カバー部６３でガイドすることに
より、前記シートベルト３の基部側が捩れたりすること
なく、該シートベルト３が良好に立ち上がるのであり、
従って使用時、ベルトの自立性が保たれ、しかも前記第
２カバー部６３で覆われた前記シートベルト３は、他部
品に対してプロテクトされる。

【００１９】また、前記ベンチシートに乗員が座乗しな
い場合で、前記シートベルト３の不使用時には、図２で
示すように、前記シートベルト３の前記挿通孔６４から
外方に延びる延出部分を折畳み、この折畳まれたシート
ベルト３を前記第２カバー部６３の格納室６６内に格納
して、該第２カバー部６３で折畳まれた前記シートベル
ト３を覆い包むと共に、このシートベルト３に設けた前
記タングプレート５の先端側を前記挿通孔６４の外方側
に挿通係止させ、斯かる状態で前記第２カバー部６３を
第１カバー部６１に対し面一状となるように薄肉ヒンジ
部６２を中心に前記車体静止部材１側に折畳むのであ
る。

【００２０】以上のように、前記シートベルト３を折畳
み状態で前記第２カバー部６３の格納室６６内に格納す
ることにより、前述したように、該格納室６６を形成す
る前記各壁６６ａ，６６ｂ，６６ｃで前記シートベルト
３の折畳み外部側を覆い包んで、このシートベルト３を
外観良好に格納できて、該シートベルト３が汚れたり傷
付くのを防止することができ、しかも、前記シートベル
ト３が格納された前記第２カバー部６３を車体静止部材
１側に折畳むことにより、前記シートベルト３を外部露
出させることなく汚れや傷付きの発生を一層確実に防止
することができながら、格納時の外観も良好にできる。

【００２１】また、前記格納室６６内に前記シートベル
ト３を折畳み状態で格納するとき、そのタングプレート
５の先端側を前記挿通孔６４の外方先端側に挿通係止さ
せることにより、前記格納室６６に格納されたシートベ
ルト３が勝手に外方に抜け出たりするのを阻止できて、
このシートベルト３の格納状態を良好に維持することも
できる。尚、前記挿通孔６４に前記タングプレート５の
先端側を挿通係止させるときには、図２のように、前記
シートベルト３におけるタングプレート５の取付側一部
が外部露出されることになるが、このシートベルト３は
前記タングプレート５の近くから前記挿通孔６４におけ
る延出部６４ａの外方側にかけて一部露出されるだけで
あるため、足で踏まれたり物が当たったりすることは殆
どなく、前記シートベルト３を汚したり傷付けたりする
ことはない。

【００２２】さらに、前記第２カバー部６３に設ける格
納室６６は、前記シートベルト３のの格納及び取出しを
容易とするため、その底壁６６ｃ側を開閉自由とするこ
ともできる。即ち、例えば図３で示すように、前記格納
室６６の底壁６６ｃを前記一方側側壁６６ｂに薄肉ヒン
ジ部６６ｄを介して連結すると共に、前記他方側側壁６
６ａの一部を分離して、この分離個所に互いに係脱可能
な係止部６６ｅを形成するのである。

【００２３】そして、前記シートベルト３を前記格納室
６６に折畳み状態で格納し、又は、該格納室６６から前
記シートベルト３を外部に取出すとき、前記底壁６６ｃ
を薄肉ヒンジ部６６ｄを中心に揺動させて前記格納室６
６を開閉するのであり、斯くするときには、該格納室６
６内へのシートベルト３の格納や、該シートベルト３の
外部取出作業を簡単に行うことができる。

【００２４】尚、以上の実施例では、前記シートベルト
３の先端側にタングプレート５を取付けたが、このシー
トベルト３側にはバックル４を設けて、該バックル４を
車体静止部材１側に設けられるタングプレート５に係脱
させるようにしてもよい。

【００２５】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
シートベルト３の長さ方向端部に、折畳んだシートベル
ト３を格納する格納室６６を備え、該格納室６６への格
納により折畳んだ前記シートベルト３を覆い包むベルト
カバー６を設けたから、前記シートベルト３の不使用時
には、このシートベルト３を折畳み状態で前記ベルトカ
バー６の格納室６６に格納して、該ベルトカバー６で折
畳まれたシートベルト３を覆い包むことができるのであ
り、従って、このシートベルト３を外観良好に格納で
き、しかも、該シートベルト３が汚れたり傷付くのを確
実に防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明にかかるシートベルト装置の使用状態を
示す縦断面図。

【図２】不使用時の状態を示す一部切欠側面図。

【図３】同シートベルト装置の全体外観を示す斜視図。

【図４】他の実施例を示す断面図。

【図５】従来例を示す斜視図。

【符号の説明】

１……車体静止部材 ２……ベルトアンカ ３……シートベルト ４……バックル ５……タングプレート ６……ベルトカバー ６６…格納室

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 長さ方向一端部にタングプレート（５）
   又はバックル（４）を備えたシートベルト（３）の長さ
   方向他端部を、ベルトアンカ（２）を介して固定ボルト
   （１１）を用いて車体静止部材（１）に固定しているシ
   ートベルト装置において、固定ボルト（１１）の頭部
   （１１ａ）に被嵌可能な第１カバー部（６１）と、該カ
   バー部（６１）に薄肉ヒンジ（６２）を介して一体状に
   連結された矩形箱状の第２カバー部（６３）とを備え、
   この第２カバー部（６３）には、上部側に前記シートベ
   ルト（３）の挿通孔（６４）を貫通状に形成すると共
   に、下部側に前記挿通孔（６４）とは隔壁（６５）によ
   って画成され、前記シートベルト（３）を折畳み状態で
   覆い包むように格納する長さ方向両側が開放された格納
   室（６６）を形成したことを特徴とするシートベルト装
   置。