JP2863319B2 - 製版用マスタおよび製版装置 - Google Patents

製版用マスタおよび製版装置

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JP2863319B2 JP50744397A JP50744397A JP2863319B2 JP 2863319 B2 JP2863319 B2 JP 2863319B2 JP 50744397 A JP50744397 A JP 50744397A JP 50744397 A JP50744397 A JP 50744397A JP 2863319 B2 JP2863319 B2 JP 2863319B2
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 この発明は、サプライとしての製版用マスタのほどけ
防止に関し、特に、孔版印刷装置等の印刷装置に装備さ
れた製版装置に用いられるマスタロールから繰り出され
るマスタが弛まないように構成された製版用マスタ、お
よび製版装置へのマスタロールの装填時においてそのマ
スタロールの方向性を判別することが可能であり、また
マスタロールからマスタの先端を自動的もしくは半自動
的に繰り出すことができる製版装置に関する。
背景技術 従来から、簡便な印刷装置として感熱デジタル製版式
の孔版印刷装置が良く知られている。この孔版印刷装置
は、感熱材料としての熱可塑性樹脂フィルムを有する感
熱製版用のマスタに対して、サーマルヘッドにより画像
情報に応じて加熱穿孔し、その穿孔製版された製版済み
のマスタを版胴に巻装したうえで、版胴内部からインキ
を供給するようになっている。そして、版胴に巻装され
た製版済みのマスタに対して、版胴内部からインキを滲
み出させ、製版済みのマスタを介してプレスローラ等の
押圧手段により印刷用紙を版胴表面に押圧することによ
り、製版済みのマスタの穿孔部分から滲み出るインキを
印刷用紙に転移させて画像を印刷するようになってい
る。
マスタの穿孔処理に用いられるサーマルヘッドは、版
胴の軸方向に相当する主走査方向に沿って配列された複
数の発熱素子を有し、その発熱素子に対する選択的な通
電制御によって発熱素子を選択的に発熱させることによ
り発熱位置に対応するマスタの箇所を加熱溶融させて穿
孔するようになっている。
ところで、上記した孔版印刷装置には、例えば実開昭
63−178134号公報に示されているように、製版に必要な
画像情報を原稿から読み取るための原稿読み取り部を印
刷装置内の製版部の上部に配置して、原稿の読み取りと
製版処理とを印刷装置内で一貫して行なうように構成さ
れたものがある。
上記した印刷装置では、例えば、マスタが消費されて
新たなマスタと交換されて製版処理が実行されるような
場合、次の手順が採られている。
先ず、印刷装置の上部に配置されている原稿読み取り
部を正規の位置からずらして、製版部の全域が装置上方
から目視することができる状態とされる。マスタは、占
有面積を小さくする意図で通常、芯材の周りに巻き付け
られてロール状に形成されたマスタロールで供給される
ようになっており、そのマスタロールを印刷装置の上方
から製版部におけるロール支持部に装着する。
マスタロールのロール支持部への装着後、マスタロー
ルからマスタの先端を引出して所定の長さ若しくは形状
を以て切断し、その切断された切れ端を装置外部に取り
出した後、新たなマスタの先端が所定の位置に繰り出さ
れる。その後、原稿読み取り部を印刷装置の正規の位置
に戻す。
しかしながら、上記したような手順では、操作が複雑
かつ面倒であり、かなりの熟練を必要とすることから、
だれでもできる訳ではなく、専任のオペレータが必要と
なる。しかも、その装置の構造上、原稿読み取り部を、
正規位置とその位置から外れた位置との間に変位可能に
設ける必要があることから、原稿読み取り部の設置部の
機械的強度、重量、さらには部品点数が増加しがちとな
り、これによって、装置の加工コストや組み立てコスト
等が上昇してしまう。
一方、上記した印刷装置に用いられる製版用マスタ
は、フィルムシート状のマスタを巻装して積層した状態
になっているマスタロールとして供給される。マスタロ
ールは、ロール部が回転されることにより繰り出し方向
に回転することができる。
しかし、製版用マスタの先端はサーマルヘッドおよび
プラテンロールにより押圧・挟持されているものの、ロ
ール部は回転可能な状態にある。このため、ロール部が
回転し始めた時あるいは回転を停止した時には、マスタ
ロールの重量に基づく慣性力が発生する。このように、
マスタロールは、今までと違う動作が開始されると、そ
の慣性力の作用によってロール部の挙動が安定しない場
合がある。この場合には、マスタに弛みが生じやすくな
る。
マスタに弛みが生じていると、ロール部を回転させて
も弛んでいる部分が繰り出されるだけであるので、ロー
ル部の回転量を正確に制御してもその回転量と繰り出し
量とが異なる結果になってしまう。これにより、製版の
ために必要な長さをもってマスタの繰り出しが行なえな
いという問題が生じる。
また、マスタロールをロール支持部に装着するとき
に、ロール部のマスタに巻き緩みが生じて、繰り出され
るマスタに緩みが発生してしまうこともある。
また、上記した製版用マスタは、ロール支持部の支持
構造によっては、先端の繰り出し方向が限定される場合
もあり、ロール支持部に装填する際に間違えないように
することが必要である。従って、オペレータは、マスタ
の装填操作を間違えないようにしなければならず、その
装填操作が面倒である。
そこで、本発明の第1の目的は、マスタロールの搬送
や取り扱いをするときに、マスタロールのロール部から
マスタがほどけてしまったり、マスタロールに巻き付け
られているロール部のマスタが巻きほどかれてしまうこ
とのない製版用マスタを提供することにある。
本発明の第2の目的は、マスタロールから繰り出され
るマスタが弛まないようにできる製版用マスタを提供す
ることにある。
本発明の第3の目的は、マスタロールの交換時等にお
いてマスタロールを装填する際に、繰り出すべきマスタ
の先端の方向性を容易に判別できる構成を備えた製版装
置を提供することにある。
本発明の第4の目的は、マスタロールのロール部から
マスタの先端を自動的もしくは半自動的に剥離して搬送
することのできる製版装置を提供することにある。
発明の開示 第1発明による製版用マスタは、マスタがロール状に
巻かれて形成されたマスタロールの端面のうちの、少な
くとも一方の端面に糊が塗布されていることを特徴とす
る。
この発明によれば、マスタロールの端面のうちの、少
なくとも一方の端面に糊が塗布されていることにより、
マスタロールとして巻かれているマスタの側端面同士が
接着され、またこれによりマスタロールの端面における
マスタの側端縁同士も接着されることとなる。従って、
サプライとしてのマスタロールの搬送や取り扱いをする
ときに、マスタロールからマスタがほどけたり、マスタ
ロールに巻き付けられているロール部のマスタが巻きほ
どけたり、あるいは弛んだりすることを防ぐことができ
る。
さらに、第1発明における請求の範囲第1項記載の製
版用マスタにおいて、製版された後、版胴に巻装された
うえでインキを供給させて密着させた印刷用紙に画像を
転写する印刷に用いられ、上記マスタが感熱材料を有
し、上記マスタロールからマスタの先端が繰り出し可能
であることを特徴とする。
この発明によれば、上記マスタロールが印刷に用いら
れるので、マスタロールの回転動作により発生する慣性
力によってロール部の挙動が安定しない場合に生じる弛
みの発生を防止することができる。また、マスタロール
を印刷装置にセットするときに、マスタロールが巻きほ
どかれてしまうことも防止できる。これにより、マスタ
ロールからマスタの先端を自動的もしくは半自動的に剥
離する装置に用いられる場合には、確実にマスタの先端
を剥離することができる。
さらに、第1発明における請求の範囲第1または2項
記載の製版用マスタにおいて、上記マスタロールの端面
に塗布された上記糊の接着力は、上記マスタロールから
のマスタの繰り出し力によって、上記マスタロールから
上記マスタが剥がされる程度の強さであることを特徴と
する。
この発明によれば、マスタロールからのマスタの繰り
出しの際の抵抗が少ない状態で、マスタの側端面同士が
接着され、またこれによりマスタロール端面におけるマ
スタの側端縁同士も接着されることとなるので、マスタ
ロールの回転に必要な回転駆動部材の出力を低減するこ
とが可能になる。
さらに、第1発明における請求の範囲第1,2または3
項記載の製版用マスタにおいて、上記マスタの先端部を
除く上記マスタロールの端面に、上記糊が塗布されてい
ることを特徴とする。
この発明によれば、マスタロールからのマスタの先端
の繰り出しが阻害されない状態で、マスタの側端面同士
が接着され、またこれによりマスタロールの端面におけ
るマスタの側端縁同士も接着されることとなるので、マ
スタ分離手段に対してマスタの先端を円滑に対向させる
ことができ、これによって、マスタの弛みの発生を防止
した状態でも、マスタの先端を円滑に導出させることが
可能になる。
さらに、第1発明における請求の範囲第1,2,3または
4項記載の製版用マスタにおいて、上記マスタロールの
端面の全領域に亘り、上記糊が塗布されていることを特
徴とする。この発明によれば、マスタロールからマスタ
がほどけたり、マスタロールが巻きほどけたり、あるい
は弛んだりすることをより確実に防ぐことができる。ま
た、その製版用マスタとしてのマスタロールが印刷に用
いられた場合には、より確実な効果を奏する。
さらに、第1発明における請求の範囲第1,2,3または
4項記載の製版用マスタにおいて、上記マスタロールの
端面の一箇所において、その半径方向に亘り、上記糊が
塗布されていることを特徴とする。
さらに、第1発明における請求の範囲第1,2,3または
4項記載の製版用マスタにおいて、上記マスタロールの
端面の複数箇所において、その半径方向に亘り、上記糊
が塗布されていることを特徴とする。
これらの発明によれば、マスタロールからマスタが繰
り出される際に、マスタの側端面同士の接着部、あるい
はマスタロールの端面におけるマスタの側端縁同士の接
着部を剥ぎ取るための抵抗が小さくなるので、マスタロ
ールの回転に必要とされる回転駆動力を低減させて、駆
動装置の小型化も可能になる。
さらに、第1発明における請求の範囲第1,2,3または
4項記載の製版用マスタにおいて、上記マスタロールの
端面の糊の塗布面は、色分けされた複数の同心輪状帯で
あることを特徴とする。
この発明によれば、マスタの使用によって、マスタロ
ールの外径が小さくなるに従いマスタロールの端面の糊
の塗布面での色が異なるのを判別できるので、マスタの
使用による残量を特別な検出機構を要することなく判断
することが可能になる。
さらに、第1発明における請求の範囲第1,2,3または
4項記載の製版用マスタにおいて、上記マスタロールの
両方の端面に糊が塗布されており、この両面の糊の塗布
面に、互いに異なる識別表示が施されていることを特徴
とする。
さらに、第1発明における請求の範囲第9項記載の製
版用マスタにおいて、上記識別表示が色であることを特
徴とする。
さらに、第1発明における請求の範囲第9項記載の製
版用マスタにおいて、上記識別表示が文字であることを
特徴とする。
これらの発明によれば、両面の糊の塗布面の識別表示
が互いに異なることにより、マスタロールからマスタの
先端を繰り出す際のマスタの方向性を容易に判別するこ
とができるので、マスタの先端繰り出しの際のマスタロ
ールの向きを確実に設定することが可能になる。
さらに、第1発明における請求の範囲第1ないし11項
の何れか一つに記載の製版用マスタであって、上記マス
タロールを回転可能に支持するマスタロール保持部と、
上記マスタロールを上記マスタロール保持部にセットし
た後、上記マスタの先端を繰り出すべく上記マスタロー
ルを回転させる回転駆動手段とを有する製版装置に用い
られることを特徴とする。
さらに、第1発明における請求の範囲第1ないし11項
の何れか一つに記載の製版用マスタであって、上記マス
タロールを回転可能に支持するマスタロール保持部と、
上記マスタロールを上記マスタロール保持部にセットし
た後、上記マスタロールを回転させる回転駆動手段と、
上記マスタロールの径の変化に対応して上記マスタロー
ルの外周面に当接もしくは近接し、上記マスタの先端を
剥がす剥離手段とを有する製版装置に用いられることを
特徴とする。
さらに、第1発明における請求の範囲第9項記載の製
版用マスタであって、上記マスタロールを回転可能に支
持するマスタロール保持部を有し、かつ、上記マスタロ
ール保持部に支持された上記マスタロールの両端面に対
応した上記マスタロール保持部の各位置に、上記マスタ
ロールの両方の端面に施されている上記識別表示にそれ
ぞれ対応した識別表示を施されている製版装置に用いら
れることを特徴とする。
第2発明による製版装置であって、請求の範囲第15項
記載の製版装置は、 請求の範囲第1ないし11項の何れか一つに記載の製版
用マスタの上記マスタロールからマスタの先端を繰り出
す製版装置であって、上記マスタロールを回転可能に支
持するマスタロール保持部と、上記マスタロールを上記
マスタロール保持部にセットした後、上記マスタの先端
を繰り出すべく上記マスタロールを回転させる回転駆動
手段とを有することを特徴とする。
この発明によれば、マスタロールからマスタ上の先端
を半自動的に繰り出すことができる。
第2発明における請求の範囲第16項記載の製版装置
は、請求の範囲第1ないし11項の何れか一つに記載の製
版用マスタの上記マスタロールからマスタの先端を自動
的に剥離して繰り出す製版装置であって、上記マスタロ
ールを回転可能に支持するマスタロール保持部と、上記
マスタロールを上記マスタロール保持部にセットした
後、上記マスタロールを回転させる回転駆動手段と、上
記マスタロールの径の変化に対応して上記マスタロール
の外周面に当接もしくは近接し、上記マスタの先端を剥
がす剥離手段とを有することを特徴とする。
この発明によれば、マスタロールからマスタの先端を
自動的に剥離して繰り出すことができる。
第2発明における請求の範囲第17項記載の製版装置
は、請求の範囲第9項記載の製版用マスタを用いる製版
装置であって、上記マスタロールを回転可能に支持する
マスタロール保持部を有し、かつ、上記マスタロール保
持部に支持された上記マスタロールの両端面に対応した
上記マスタロール保持部の各位置に、上記マスタロール
の両方の端面に施されている上記識別表示にそれぞれ対
応した識別表示が施されていることを特徴とする。
この発明によれば、マスタロール保持部にマスタを装
填する際に、マスタの先端繰り出しが可能なマスタの方
向性を容易に識別することができるので、マスタの先端
繰り出しのためのマスタロールのセット操作を簡単にす
ることが可能になる。
図面の簡単な説明 第1図は、本発明に係る製版用マスタが用いられる孔
版印刷装置及び本発明の一実施例としての製版装置が装
備された孔版印刷装置の模式的な全体構成図である。
第2図は、第1図に示した製版装置の拡大正面図であ
る。
第3図は、第2図に示した製版装置におけるマスタロ
ール保持部の平面図である。
第4図は、第3図に示したマスタロール保持部廻りの
要部の斜視図である。
第5図は、第2図に示した製版装置に用いられるマス
タ分離手段の一例の斜視図である。
第6図は、第2図に示したマスタ分離手段の要部構成
およびその作用を説明するための模式図である。
第7図は、第6図に示したマスタ分離手段の要部構成
の詳細を説明するための模式的な分解図である。
第8図は、第6図に示したマスタ分離手段の要部構成
の作用の一つを説明するための模式図である。
第9図は、第2図に示した製版装置に用いられる制御
部のブロック図である。
第10図は、第1の実施例に用いられるマスタロールの
外観斜視図である。
第11図は、第2図に示した製版装置の初期動作状態を
示す模式図である。
第12図は、第2図に示した製版装置において、マスタ
ロール保持部が装填されたときの動作状態を示す模式図
である。
第13図は、第2図に示した製版装置において、マスタ
ロールからマスタの先端が繰り出された直後の動作を示
す模式図である。
第14図は、第2図に示した製版装置において、マスタ
の先端がサーマルヘッドおよびプラテンローラとの対向
位置に移動した動作状態を示す模式図である。
第15図は、第2図に示した製版装置において、マスタ
の先端がサーマルヘッドおよびプラテンローラにより挾
持されている動作状態を示す模式図である。
第16図は、第2図に示した製版装置において、製版待
機状態を示す模式図である。
第17図は、第9図に示した制御部の動作を説明するた
めのフローチャートである。
第18図は、第9図に示した制御部の他の動作を説明す
るためのフローチャートである。
第19図は、第2図に示した製版装置の変形例1を示す
模式図である。
第20図は、第2図に示した製版装置の変形例2を示す
模式図である。
第21図は、第1発明に係る第2の実施例を示すマスタ
ロールの要部の外観斜視図である。
第22図は、第2の実施例の変形例1を示すマスタロー
ルの外観斜視図である。
第23図は、第2の実施例の変形例2を示すマスタロー
ルの要部の外観斜視図である。
第24図は、第2の実施例の変形例3を示すマスタロー
ルの要部の外観斜視図である。
第25図は、第2の実施例の変形例3の別例を示すマス
タロールの要部の外観斜視図である。
第26図は、第2の実施例の変形例4を示すマスタロー
ルの要部の外観斜視図である。
第27図は、第2の実施例の変形例4を示す別例のマス
タロールの要部の外観斜視図である。
第28図は、第2の実施例の変形例5を示すマスタロー
ルの要部の外観斜視図である。
第29図は、第1の実施例の変形例3を示すマスタロー
ル保持部の平面図である。
第30図は、第2の実施例の変形例6を示すマスタロー
ルの要部の外観斜視図である。
第31図は、第2の実施例の変形例7を示すマスタロー
ルの要部の外観斜視図である。
発明を実施するための最良の形態 本発明を詳述するために、添付の図面に従ってこれを
説明する。
第1図は、本発明に係る製版用マスタが用いられる印
刷装置の全体構成を模式的に示す。この印刷装置は、穿
孔製版されたマスタを用いて印刷を行う孔版印刷装置で
ある。以下、まず、この孔版印刷装置の構成について説
明する。
第1図において、符号1は孔版印刷装置を示す。この
孔版印刷装置1は、版胴2が配置された孔版印刷工程部
を備えていて、給紙装置5、製版装置10、排版部20及び
排紙部から主に構成されている。孔版印刷装置1におい
て、製版装置10は本発明に係る新規な構成を有してお
り、これ以外の給紙装置5、排版部20及び上記排紙部は
周知の構成を有する。
孔版印刷装置1は、回転軸2Aを中心にして正逆回転可
能な版胴2を備えている。版胴2は、印刷工程実行時に
は時計廻り方向に回転し、マスタを排出する場合には反
時計回り方向に回転するように回転方向が設定されてい
る。
版胴2は、その外周面上に穿孔製版された製版済みの
マスタを巻き付ける周知の構造および機能を有する。版
胴2は、一部を除いて周面に多数の穿孔が形成されてお
り、その表面には、例えば合成繊維からなる薄層のメッ
シュスクリーン(図示せず)が取り付けられている。こ
のメッシュスクリーンの材料としては金属を用いること
も可能である。
版胴2の周面で穿孔が形成されていない箇所には、マ
スタの先端を挾持するためのクランパ2Dが配設されてい
る。クランパ2Dは、版胴2の一つの母線に沿って配置さ
れた載置面を有するステージ2Eと、このステージ2Eの一
側端に配設された枢軸2Gに揺動可能に支持されステージ
2Eに対して接離自在な把持部材2Fとで構成されている。
ステージ2Eは磁性体でできていて、把持部材2Fはゴム磁
石でできている。ステージ2Eは、マスタの先端を載置す
ることができ、ステージ2E上に先端を載置されたマスタ
は、ステージ2Eと把持部材2Fとにより挾持されて固定さ
れるようになっている。マスタの先端部以外の範囲は、
後述するインキ供給機構3から版胴2の表面に向け供給
されるインキの粘着力によって版胴表面に付着するよう
になっている。
版胴2の内部には、インキ供給機構3が設けられてい
る。インキ供給機構3は、回転軸2Aの略真下に配置され
ており、インキローラ3Aとドクターローラ3Bとを主要部
として備えている。
インキローラ3Aは、金属ローラでなり、回転軸2Aの下
方の版胴2内で、後述するプレスローラ4と対向する位
置に版胴2を挟んで配置されている。インキローラ3A
は、版胴2の内周面に当接しながら、版胴2の周速度と
同期した周速度で回転し、ドクターローラ3Bによって担
持量を規定されたインキを版胴2およびメッシュスクリ
ーンの開孔内に供給することができるようになってい
る。
ドクターローラ3Bによって担持量を規定されるインキ
は、回転軸2Aに形成されている吐出口2Cから上記両ロー
ラ3A,3Bで形成されている楔状空間部のインキ溜まり3C
に滴下されるようになっている。
インキローラ3Aは、後述するプレスローラ4と対向す
る位置に配置されていることにより、版胴2にプレスロ
ーラ4が押圧したときの圧力によって版胴2が変形する
のを防止するバックアップローラとしての機能も持ち合
せている。
インキローラ3Aの下方には、版胴2を挟んでインキロ
ーラ3Aに対向するプレスローラ4が配置されている。プ
レスローラ4は、回転部材で構成されていて、版胴2に
対して接離可能に設けられている。プレスローラ4は、
揺動アーム4Aの一方の自由端において回転自在に支持さ
れている。揺動アーム4Aの他方の揺動端は、扇状カム4B
の輪郭周面に圧接している。扇状カム4Bは、図示しない
駆動部によって後述する給紙装置5からの印刷用紙Sの
給紙タイミングに合せて回転されるようになっており、
給紙装置5から印刷用紙Sが給紙されない時には、その
大径部を揺動アーム4Aの他方の揺動端に対向させてい
る。
扇状カム4Bは、給紙装置5から印刷用紙Sが給紙され
ると回転して、その小径部を揺動アーム4Aの他方の揺動
端に対向させ、揺動アーム4Aを第1図において時計回り
方向に回転させる。これにより、印刷用紙Sは、給紙装
置5から給送されて版胴2とプレスローラ4との間に挿
入されたとき、プレスローラ4が上昇変位されることに
よって版胴2の表面に押圧される。印刷用紙Sは、製版
済みのマスタを介して版胴2の表面に押圧されると、版
胴2に巻装されているマスタの穿孔部分から転移するイ
ンキによって印刷される。それ故に、プレスローラ4が
版胴2に押圧する位置は、画像転写部をなす部分とされ
る。
給紙装置5は、プレスローラ4の図において右方近傍
に配置されている。給紙装置5は、繰り出しローラ6、
分離ローラ7およびレジストローラ9を給紙方向に沿っ
て備えている。
繰り出しローラ6は、給紙トレイ5Aに収容されている
印刷用紙Sの最上位のものに対して相対的に接離可能に
設けられ、印刷用紙Sを図示矢印方向に相当する給送方
向に向け繰り出すようになっている。上記した給紙トレ
イ5Aは、昇降自在に設けられており、常時、上昇する付
勢を与えられて最上位に位置する印刷用紙Sを繰り出し
ローラ6に当接させるようになっている。印刷用紙Sを
補給する際には給紙トレイ5Aが下降され、最上昇位置と
の間に形成される空間内に印刷用紙Sを挿入することが
できる。
分離ローラ7は、繰り出しローラ6と同様に印刷用紙
Sのうちの最上位のものに当接して回転可能であり、最
上位にある印刷用紙Sのみを繰り出すことができるよう
に、印刷用紙S同士の摩擦係数よりも印刷用紙Sのうち
の最上位のものとの間の摩擦係数が大きく設定されてい
る。
レジストローラ9は、印刷用紙Sの給送路をはさんで
対向当接する一対のローラで構成され、版胴2とプレス
ローラ4とが接触する位置に向けて、印刷用紙Sの給紙
タイミングをとって印刷用紙Sを繰り出す。
給紙装置5では、給紙トレイ5Aが上昇して、給紙トレ
イ5A上の印刷用紙Sの最上位のものが繰り出しローラ6
に当接して給紙位置を占めると、図示しないセンサから
の信号に基づいて繰り出しローラ6が回転される。これ
により、その印刷用紙Sが給紙方向に繰り出され、分離
ローラ7によって最上位の1枚の印刷用紙Sのみが分離
されてレジストローラ9に向け給送される。印刷用紙S
は、レジストローラ9によってその先端を当接され、所
定のタイミングがとられる。次いで、プレスローラ4が
版胴2に押圧するタイミングに合わせて、マスタの画像
位置と印刷用紙Sでの印刷開始位置とを整合させるタイ
ミングを以て、印刷用紙Sは版胴2とプレスローラ4と
の間に向け給送される。そして、上記した周知の印刷動
作によって、印刷画像が得られる。
第1図において、版胴2の右側上方には、本発明の第
2発明に係る第1の実施例としての製版装置10が配置さ
れている。
製版装置10の構成を説明するに際して、第1図及び第
2図に示されている製版装置10の右から左に向かってマ
スタ搬送方向となっていて、このマスタ搬送方向に沿っ
てマスタ搬送路が形成されている。このマスタ搬送方向
の左右両側を単に「左」、「右」というときがあり、ま
た上記マスタ搬送方向の上流側を「後」、下流側を
「前」というときがある。
製版装置10は、第2図、第3図および第4図に示すよ
うに、マスタロール保持部11、マスタ分離手段12、マス
タ回転駆動部13およびプラテン圧制御部14から主に構成
されている。
この第1の実施例における製版装置10は、マスタ16a
がロール状に巻かれて形成されたマスタロール16からマ
スタ16aの先端を自動的に剥離して繰り出す構成を備え
ている。すなわち、製版装置10は、マスタロール16を回
転可能に支持するマスタロール保持部11を有し、マスタ
ロール16をマスタロール保持部11にセットした後、マス
タロール16を回転させる回転駆動手段(後述する)と、
マスタロール16の径の変化に対応してマスタロール16の
外周面に当接もしくは近接し、マスタ16aの先端を剥が
す剥離手段(後述する)とを有することを特徴とするも
のである。
マスタロール16に巻かれているマスタ16aは、光透過
性を有する1〜2μm程度の薄い熱可塑性樹脂フィルム
に対して和紙繊維あるいは合成繊維、若しくはこれら両
材料を混抄したものからなる多孔性支持体を貼り付けて
ラミネート構造としたものが用いられ、サーマルヘッド
等の発熱素子によって加熱穿孔されるものである。この
製版装置10では、マスタ16aの厚さが3〜60μmのもの
を好ましく用いることができる。
マスタロール16は、第4図に示すように、マスタ16a
が、マスタ16aの幅寸法と同じ寸法に形成されたパイプ
状の芯材16Bの周りに巻き付けられて形成されている。
換言すれば、マスタロール16は、マスタ16aがその軸方
向の両端から突出する芯材に巻装されて形成された従来
型の構成ではなく、マスタ16aがマスタロール16の両方
の端面と同じ位置に各軸端を有する芯材16Bに巻装され
て形成された特徴的な構成をなす。
このマスタロール16としては、後述する第2の実施例
および変形例等に示されている各マスタロールが用いら
れる。
マスタロール16は、第10図に示すように、ロール状に
巻装されているロール部のうちで、使用限界に達した位
置から、最終端部までの巻装方向に沿った範囲に低反射
率部16Aを有する。低反射率部16Aには、例えば黒色塗装
が施されている。
このようなマスタロール16は、後述するように、版胴
2に向けてマスタ16aの先端を繰り出すことができる状
態でマスタロール保持部材11Aの収納凹部11A4に落とし
込まれて装填される。
製版装置10の内部には、一対のガイド部材15が配設さ
れている。各ガイド部材15は、第4図に詳しく示すよう
に、断面チャンネル状をなしていて、上記マスタ搬送路
に沿う左右両側に所定の長さをもって、かつ、上記チャ
ンネル状をなす開口側を互いに対向させた状態で配置さ
れている。各ガイド部材15は、製版装置10の左右両側に
配置された一対の左・右側板(共に図示せず)にそれぞ
れ固設されている。右側(紙面奥側でもある)に配置さ
れたガイド部材15の下部には、後述するマスタ駆動ロー
ラ11D,11Eの各軸をガイド部材15の右外側に導出するた
めの長溝15aが形成されている。この長溝15aは、ガイド
部材15の長手方向に沿ってマスタロール保持部11の移動
範囲に亘り形成されている。
マスタロール保持部11は、マスタロール保持部材11
A、摩擦保持部材11A1、蓋体11B、把手11C、一対のマス
タ駆動ローラ11D,11E、押圧部11G及び突条部11A5から主
に構成されている。マスタロール保持部11のマスタロー
ル保持部材11A、蓋体11B、把手11C、押圧部11G及び突条
部11A5は、例えば、板金等で適宜の部位がインサート補
強され、合成樹脂で一体的に成形されている。
マスタロール保持部材11Aは、上下方向に開口部分を
有する略筐体状をなしていて、マスタロール16を回転可
能に支持する構造及び機能を有する。マスタロール保持
部材11Aには、マスタロール16の下半周の一部を挿脱可
能な収納凹部11A4が形成されている。
マスタロール保持部材11Aの左右両側の外側壁には、
第3図及び第4図に示すように、一対のガイド部材15の
上記チャンネル状の開口内に嵌入する直方体状の突条部
11A5が一体的に形成されている。突条部11A5は、マスタ
ロール保持部材11Aの左右両側の外側壁に4箇所設けら
れている。マスタロール保持部11のマスタロール保持部
材11Aは、一対のガイド部材15の上記チャンネル状の各
開口内に各2箇所の突条部11A5が嵌入され滑らかに摺動
され得ることで、上記マスタ搬送路の上流側及び下流側
の所定の範囲内で移動自在となっている。
上記マスタ搬送方向の左右両側に対応したマスタロー
ル保持部材11Aの両内側面には、マスタロール16の両方
の端面に対向して接触する摩擦保持部材11A1が備えられ
ている。摩擦保持部材11A1は、例えばゴムやスポンジゴ
ムでできている。
摩擦保持部材11A1は、マスタロール16の両方の端面に
当接してそのマスタロール16の装填位置を位置決めする
とともに、マスタロール16が繰り出し方向に回転すると
きに、摩擦を起こさせてマスタロール16の繰り出しに抵
抗する力を生じさせるようになっている。上記抵抗力
は、マスタロール16が繰り出し方向に回転されたとき、
その回転方向に逆らう力となり、マスタロール16から繰
り出されるマスタ16aに張力(バックテンション)を生
じさせるので、マスタ16aが繰り出される際に生じやす
い弛みをなくすことができる。
マスタロール保持部材11Aの収納凹部11A4に装填され
たマスタロール16は、マスタロール16の両方の端面が摩
擦保持部材11A1に当接することによってマスタ幅方向の
位置決めがなされるので、単に収納凹部11A4に落し込む
だけでよく、その軸方向両端から突出した芯材による位
置決めを行う必要がなく、これによって、芯材形成に必
要とされる材料の使用量を少なくしてマスタロール16の
材料コストを低減することができる。
マスタロール保持部材11Aの後側には、製版装置10の
側壁の一部をなす蓋体11Bが一体に設けられている。蓋
体11Bの後部外表面には、把手11Cが取り付けられてい
る。この把手11Cを持って操作することにより、マスタ
ロール保持部11は、一対のガイド部材15を介して矢印D
で示す両方向に移動させることができる。すなわち、把
手11Cを持って、マスタロール保持部11を第2図におい
て右側に移動させることによって製版装置10の外部に引
出してマスタロール16を装填することが可能な位置を占
めることができ、また逆方向に移動させることによっっ
て後述する挿入位置を占めることができる。
蓋体11Bと反対側のマスタロール保持部材11Aの左右の
両外側壁には、後述する剥離爪支持部材12Cに対して選
択的に係合する押圧部11Gが一体的に形成されている。
第3図及び第4図において、右側のガイド部材15近傍
に対応するマスタロール保持部材11Aの底壁には、マス
タロール保持部材11Aが挿入位置を占めたときに後述す
るマスタ検知手段60を臨ませるための開口部11A3が明け
られている。開口部11A3廻り及びこれと反対側のマスタ
ロール保持部材11Aの内底壁廻りには、ロール逃げ凹部1
1A2がそれぞれ形成されている。第6図にも示されてい
るように、各ロール逃げ凹部11A2は、マスタロール16の
マスタ16aが使用されていくことにより、その外径が徐
々に小さくなって最終的にその使用限界である芯材16B
の外径に略等しくなった使用限界のマスタロール16′と
なったときに、この使用限界のマスタロール16′との干
渉を避けるために設けられている。
なお、マスタロール保持部材11A及び摩擦保持部材11A
1等の細部の詳細形状については、その図示を省略して
いるが、マスタロール16をマスタロール保持部11の収納
凹部11A4に装填するときに、マスタロール16の外表面の
マスタ16Aに接触するおそれのある上記各部材の各部位
には、マスタ16aを損傷しないように適宜の面取りや案
内用のテーパ等が施されていることはいうまでもない。
マスタロール保持部材11Aの収納凹部11A4には、マス
タロール16が収納凹部11A4に挿入されたとき、マスタロ
ール16の外周面に当接するマスタ駆動ロール11D、11Eが
配置されている。マスタ駆動ローラ11D、11Eは、マスタ
ロール16を回転させる回転駆動手段としての機能を有す
る。マスタ駆動ローラ11D、11Eは、これらの各軸の両端
部がマスタロール保持部材11Aの底壁部にそれぞれ回転
自在に支持されていることで、回転可能となっている。
後述するように、マスタ駆動ローラ11D、11Eは、マスタ
回転駆動部13を構成する駆動モータ13A(第3図に示
す)の回転駆動によってマスタロール16からマスタ16a
の先端を繰り出せる方向に回転されるようになってい
る。
マスタ駆動ローラ11D,11Eは、マスタロール16の外周
面に接触して、マスタロール16におけるマスタ16aの巻
き締め方向(あるいはマスタ16aの巻き付け方向)にマ
スタロール16を回転することが可能な所定範囲の摩擦係
数を有する材料、例えばゴムやスポンジゴム等でできて
いる。
マスタ駆動ローラ11D,11Eは、マスタロール16の回転
中心軸を中心とした所定の中心角をもって配置されてい
る。すなわち、未使用の新しいマスタロール16のマスタ
16aが使用されて芯材16Bの下部が、ロール逃げ凹部11A2
の近傍位置に至ったとき、マスタ駆動ロール11D,11Eに
対し、マスタロール16の回転中心軸を基準として均等な
位置でマスタロール16の外周面を当接させる位置関係を
設定できるように位置決めされている。また、マスタロ
ール16のマスタ16aが完全に消費されて略芯材16Bのみに
なった使用限界のマスタロール16′になったとき、上記
位置状態に配置されたマスタ駆動ローラ11D,11Eにより
芯材16Bの外周面が回動自在に支持される。
マスタ回転駆動部13は、マスタロール16を回転させる
構成及び機能を有する。マスタ回転駆動部13は、その詳
細が第3図に示されているように、上記したマスタ駆動
ローラ11D,11E、駆動モータ13A、駆動ギヤ13B、従動ギ
ヤ11D1、プーリ13C、13D及びベルト13Eから主に構成さ
れている。
マスタ回転駆動部13は、製版装置10の挿入位置近傍の
上記右側板に固設された駆動モータ13Aを備え、その駆
動モータ13Aの出力軸端には駆動ギヤ13Bが取り付けられ
ている。
駆動モータ13Aは、後で詳しく述べるが、マスタロー
ル16がマスタロール保持部材11Aに装填されて、セット
され、その状態でマスタ16aが繰り出されるときに、一
旦、繰り出し方向とは逆方向に回転し、その後、繰り出
し方向に回転するように回転方向および回転順序が設定
されている。
マスタ駆動ローラ11D及びマスタ駆動ローラ11Eの各軸
には、プーリ13C、13Dがそれぞれ固定され、それら各プ
ーリ13C、13D間にはベルト13Eが掛け渡されている。
マスタロール保持部材11Aが製版装置10内に挿入され
挿入位置を占めたとき、駆動ギヤ13Bと対向して位置す
るマスタ駆動ローラ11Dの軸には、駆動ギヤ13Bに噛み合
う従動ギヤ11D1が取り付けられている。駆動モータ13A
からの回転力は、駆動ギヤ13B、従動ギヤ11D1、プーリ1
3C及びベルト13Eを介してプーリ13Dに伝えられ、マスタ
駆動ローラ11D及びマスタ駆動ローラ11E同士を同方向に
回転させることができるようになっている。
第2図において、マスタロール保持部材11Aが製版装
置10内に挿入された挿入位置に対応する位置には、マス
タ分離手段12が設けられている。
マスタ分離手段12は、マスタロール16の径の変化に対
応してマスタロール16の外周面に近接若しくは当接し、
マスタ16aの先端を剥がす剥離手段としての剥離爪12Aと
剥離爪支持部材12Cとで主に構成されている。
剥離爪12Aは、第6図に示すように、その揺動端がマ
スタロールの外周面に当接する当接位置(実線及び仮想
線で示す)とこの当接位置から離間した非当接位置(一
点鎖線で示す)との間に揺動自在となっている。剥離爪
12Aは、回転軸12Bを介して後述する剥離爪支持部材12
C、圧縮バネ12D及び上記した押圧部11Gにより、当接位
置と非当接位置との間に揺動自在に支持されている。
剥離爪12Aの左右の両基端部には、第5図〜第8図に
示すように、回転軸12Bを挿通して剥離爪12Aを揺動可能
に支持するための孔12A3を有する軸受部12A4が一体的に
形成されている。
剥離爪12Aと剥離爪支持部材12Cとは、互いに共通する
回転軸12Bによってそれぞれの基端が支持されている。
回転軸12Bは、製版装置10内に配設された上記左・右側
板によって支持され、製版装置10内での位置を変化させ
ないようになっている。
剥離爪12Aは、金属あるいは樹脂を用いた薄片からな
る弾性体によって構成されている。これにより、剥離爪
12Aの先端がマスタロール16の外周面に当接したとき
に、異常な負荷をマスタ16aの表面に作用させないよう
に弾性変形するので、マスタ16aの表面を傷つけたりす
ることがない。
剥離爪12Aには、第5図に示すように、平面視におい
て、マスタロール16の幅方向中央部に対向する中央部分
に、マスタロール16の幅方向両端よりマスタ繰り出し方
向Tの上流側に突出した突出部12A1が形成されている。
この突出部12A1は、第5図及び第6図に示すように、マ
スタロール16の外周面に向けて傾斜して形成された傾斜
部12A2となっている。このような剥離爪12Aは、その自
重によって揺動端の突出部12A1をマスタロール16の外周
面に近接若しくは当接することができるようになってい
る。
突出部12A1の厚さは、上記したマスタ16aの厚さに対
してできるだけ薄いものであり、好ましくは3〜50μm
に設定されている。剥離爪12Aの平面視形状が上記した
形状に設定されることによって、後述するように、剥離
爪12Aの揺動端がマスタロール16の外周面に近接若しく
は当接した場合、そのマスタロール16における先端の幅
方向中央部から順にマスタ16aが剥離される。これによ
って、マスタロール16のロール部から剥離されるとき、
マスタロール16から繰り出されるマスタ16aの先端は、
幅方向において中央部から順次剥離されることになるの
で、剥離の際の抵抗を少なくして確実に剥離・分離され
る。しかも、剥離爪12Aの揺動端先端がマスタロール16
の外周面に向け傾斜しているので、その傾斜部12A2のみ
がマスタロール16の外周面と対向し、マスタロール16の
ロール部から離間したマスタ16aの先端の内表面に位置
している。これによって、マスタロール16に対する剥離
爪12Aの接触面積は小さくされ、マスタ16aの繰り出し時
に生じる抵抗が軽減されるとともに、マスタロール16か
らマスタ16aの先端がめくられやすくなる。
剥離爪支持部材12Cは、揺動端側に一端が配置されて
いる圧縮バネ12Dによって、通常、剥離爪12Aがマスタロ
ール16の外周面から離される方向への揺動習性を与えら
れている。剥離爪支持部材12Cの揺動端は、与えられて
いる習性によって揺動した場合、ガイド部材15上方の上
記右側板に固設された、図6にのみ示すストッパ84によ
り、製版装置10内の挿入位置にセットされたマスタロー
ル保持部材11Aの押圧部11Gによって押し動かされること
ができる位置に位置決めされるようになっている。
上記構成を備えたマスタ分離手段12では、マスタロー
ル保持部材11Aが製版装置10内の挿入位置にセットされ
た場合、押圧部11Gによって剥離爪支持部材12Cの揺動端
が押し動かされる。揺動端が押し動かされると、剥離爪
支持部材12Cは、上記習性に抗して剥離爪12Aをマスタロ
ール16の外周面に近接させる方向に揺動される。この場
合の剥離爪12Aの揺動端は、マスタロール16の外周面に
当接するとマスタ16aの表面を損傷させることもあるの
で、マスタ16a自身の曲げ剛性の強さによって先端を起
き上がらせることができる剛性をもつマスタ16aであれ
ば、その先端をめくることが可能な隙間をもって、すな
わちマスタロール16の外周面に近接・対向するようにす
ればよい。
剥離爪12Aは、その揺動端がマスタロール16の外周面
との間にある程度の隙間をもたせて近接している場合、
例えばマスタロール16の外径寸法の変化をロール径検知
手段(図示せず)によって検知し、その変化に対応して
図示しない駆動機構によって揺動端の位置を変化させて
上記隙間を常に一定に維持させることも可能である。一
方、例えば、マスタ16aの曲げ剛性が比較的弱く、所
謂、腰の強さが低く、自ら先端を起き上がらせることが
できないようなマスタロール16のマスタ16aを対象とす
る場合には、弱い圧力によって剥離爪12Aの揺動端をマ
スタ16aの表面に接触させることが望ましい。このた
め、この第1の実施例では、剥離爪12Aの揺動端が自重
により揺動することによってマスタロール16の外周面に
当接することができるようになっている。
剥離爪12Aは、上記剥離手段としての機能の他に、マ
スタロール16からマスタ16aの先端が繰り出されたと
き、マスタ16aをして剥離爪12Aの上面を摺動させ、マス
タロール16から後述するプラテン圧制御部14のサーマル
ヘッド14Aとプラテンローラ14Bとの対向位置に向け案内
する案内手段の機能をも有する。
マスタロール保持部材11Aが製版装置10から引出され
ると、圧縮バネ12Dの付勢力により剥離爪支持部材12Cが
揺動し、この揺動に連動して剥離爪12Aは、第6図にお
いて符号A1で示される位置に揺動・配置される。
マスタロール保持部材11Aが製版装置10内の挿入位置
にセットされると、マスタロール保持部材11Aの押圧部1
1Gによって剥離爪支持部材12Cの揺動端が圧縮バネ12Dの
付勢力に抗して揺動する。この揺動に連動して、剥離爪
12Aは、マスタロール16の径の変化に拘らず、その自重
によりマスタロール16の外周面に当接する位置に変化す
ることができる。第6図において、符号A2は、マスタロ
ール16の外径が最大のときの剥離爪(便宜上、符号12
A′で示す)の位置を示し、また、符号A3は、マスタロ
ール16の外径が最小である使用限界のマスタロール16′
に変化したときの剥離爪(便宜上、符号12A″で示す)
の位置を示している。マスタロール16の最小径は、上記
したように、マスタ16aとして使用できる限界量に達し
たときの径である。
このため、剥離爪支持部材12Cにおける剥離爪12Aの支
持面の形状は、第7図に示す形状とされている。第7図
及び第8図は、マスタロール保持部11のマスタロール保
持部材11Aが製版装置10内の挿入位置にセットされるこ
とにより、剥離爪支持部材12Cの揺動端が圧縮バネ12Dに
よる付勢力に抗してマスタロール保持部材11Aの押圧部1
1Gによって押し動かされたときの状態を示している。
第7図において、剥離爪支持部材12Cの上部には、剥
離爪12Aの受け面12A5を支持するための支持面として、
傾斜面12C1と水平面12C2とが回転軸12Bを中心にして連
続して形成されている。傾斜面12C1と水平面12C2とは、
第7図にのみ詳しく示すように、剥離爪12Aに自由端を
揺動可能とするために、回転軸12Bを中心とした回転半
径を有する丸みが形成された面を介してつながれてい
る。傾斜面12C1は、最大径のマスタロール16の外周面に
剥離爪12Aの揺動端を当接させることができる面であ
り、水平面12C2は、最小径のマスタロール16′(第6図
参照)の外周面に剥離爪12Aの揺動端を当接させること
ができる面である。
剥離爪支持部材12Cは、上記マスタ搬送方向に対して
対向して見た場合、略門形状をなしている。すなわち、
剥離爪支持部材12Cは、剥離爪支持部材12Cの上部に形成
された傾斜面12C1および水平面12C2が上記マスタ搬送路
の下方のマスタ幅方向に延在していて、傾斜面12C1およ
び水平面12C2の左右両側において柱状に垂下した略門形
状をなす。
剥離爪支持部材12Cは、左右両側の柱状をなす部分が
マスタロール保持部材11Aの押圧部11Gにより押し動かさ
れることにより、第6図において実線で示すように、略
直立した状態に設定される。このとき、剥離爪12Aは、
剥離爪支持部材12Cとは独立してマスタロール16の径の
変化(第6図中、符号A2およびA3で示す範囲)に応じて
フリーな状態で揺動できるようになっている。さらに、
剥離爪支持部材12Cは、マスタロール保持部材11Aの押圧
部11Gによって押し動かされる状態が解除されると、第
6図において、回転軸12Bを中心として一点鎖線で示す
ように揺動し、傾斜した状態に設定される。このとき、
剥離爪12Aの受け面12A5は、剥離爪支持部材12Cの水平面
12C2に載置された状態で揺動し、第6図において符号A1
で示す位置に傾斜することができるようになっている。
このような剥離爪支持部材12Cにおける剥離爪12Aの支
持面の形状設定によって、剥離爪12Aは、第6図に示す
ように、マスタロール16の最大径から最小径への変化に
対応して揺動することができる。
プラテン圧制御部14は、第2図において、マスタ繰り
出し方向Tにおけるマスタ分離手段12の下流側に配置さ
れている。
第2図において、プラテン圧制御部14は、サーマルヘ
ッド14Aとプラテンローラ14Bとを備えている。サーマル
ヘッド14Aは、マスタロール16から繰り出されるマスタ1
6aを選択的に加熱穿孔する周知の機能を有する。サーマ
ルヘッド14Aは、後述する構造により、プラテンローラ1
4Bに対して接離自在になっている。
プラテンローラ14Bは、マスタロール16から繰り出さ
れマスタ16a若しくはサーマルヘッド14Aにより加熱穿孔
された製版済みのマスタ16aを、サーマルヘッド14Aとの
間に挾持しながらマスタ搬送路の下流側に搬送する周知
の機能を有する。
プラテンローラ14Bは、この種の製版装置と同様に、
サーマルヘッド14Aと対向する位置で、図示を省略した
駆動伝達機構を介して、プラテン駆動モータ(図示せ
ず)により回転されることが可能なように設けられてい
る。上記プラテン駆動モータは、例えばステッピングモ
ータからなる。
サーマルヘッド14Aとプラテンローラ14Bとは、これら
両部材間での接離動作を行なって、マスタロール16から
繰り出されるマスタ16aへ挟持圧を作用させたり解除さ
せたりする。
サーマルヘッド14Aは、ヘッド支持アーム14A2の揺動
端側に載置固定されている。ヘッド支持アーム14A2は、
上記左・右側板によって支持されている回転軸14A1を支
点として揺動可能に支持されている。ヘッド支持アーム
14A2の揺動端におけるサーマルヘッド載置面と反対側の
裏面には、上記右側板に固設された偏心カム駆動モータ
14A30(第9図参照)によって回転される偏心カム14A3
が配置されている。ヘッド支持アーム14A2は、ヘッド支
持アーム14A2の揺動端側と上記左・右側板とに掛けられ
ている引張バネ14A4によって、第2図において反時計回
り方向に付勢されている。この引張バネ14A4の付勢力に
よって、偏心カム14A3は、反時計回り方向に揺動する習
性を有するヘッド支持アーム14A2の裏面に常時接触され
ている。
偏心カム14A3は、プラテン圧解除部材をなすものであ
り、非製版時には、その小径部をヘッド支持アーム14A2
の裏面に当接させている。これにより、ヘッド支持アー
ム14A2に固定されているサーマルヘッド14Aは、上記マ
スタ搬送路から離されるので、マスタ16aへの挟持圧が
解除される。
サーマルヘッド14Aがプラテンローラ14Bに当接したと
きに、プラテンローラ14Bは、上記プラテン駆動モータ
によりマスタロール16からマスタ16aを繰り出す方向に
回転される。
上記した構成を備えたプラテン圧制御部14では、マス
タロール16から繰り出されるマスタ16aを製版する時、
偏心カム14A3が回転することによってその大径部がヘッ
ド支持アーム14A2の揺動端裏面に圧接される。これによ
り、偏心カム14A3の大径部によってヘッド支持アーム14
A2は押し動かされ、サーマルヘッド14Aは、第2図にお
いて時計回り方向に揺動される。時計回り方向に揺動し
たサーマルヘッド14Aは、プラテンローラ14Bに当接す
る。これにより、マスタ16aは、サーマルヘッド14Aおよ
びプラテンローラ14Bによって挟持圧が作用した状態で
搬送される。マスタ16aは、搬送される過程で、サーマ
ルヘッド14Aでの選択的な発熱により主走査方向および
副走査方向で加熱穿孔される。この場合の主走査方向
は、プラテンローラ14Bの長さ方向であり、副走査方向
は主走査方向と直交する方向でマスタ繰り出し方向Tに
相当している。
なお、この第1の実施例では、サーマルヘッド14Aを
プラテンローラ14Bに対し当接させる方向に揺動させて
いるが、これとは逆に、プラテンローラ14Bをサーマル
ヘッド14Aに対して当接させる方向に揺動させることも
可能である。
また、偏心カム14A3は、上記した製版時に加えて、マ
スタロール16からのマスタ16aの先端の繰り出し時に、
マスタ16aが移動してきた時点で、短時間の間だけ連続
回転することもできる。これにより、サーマルヘッド14
Aは、プラテンローラ14Bとの間でマスタ16aをはさん
で、プラテンローラ14Bに対して接離を繰り返すことが
できる。このようなサーマルヘッド14Aとプラテンロー
ラ14Bとの接離の繰返し動作に連動してプラテンローラ1
4Bをマスタ繰り出し方向Tに回転させることによって、
プラテン圧制御部14に位置するマスタ16aは、上記マス
タ搬送路の下流側に断続的に繰り返し引っ張られる。そ
の結果、マスタロール保持部材11Aの収納凹部11A4内で
マスタロール16の両端面に生じている摩擦力を繰り出し
の際の抵抗力にして、マスタロール16から繰り出された
マスタ16a部分に生じているシワ等を伸ばしそのシワ等
を除去することができるようになっている。
マスタ16aの非製版時には、偏心カム14A3が回転して
その小径部がヘッド支持アーム14A2の揺動端裏面に当接
される。これにより、サーマルヘッド14Aはプラテンロ
ーラ14Bから離され、マスタ16aに対する挟持圧が解除さ
れる。
第1図及び第2図において、プラテン圧制御部14にお
ける上記マスタ搬送路の下流側には、製版済のマスタ16
a若しくはマスタ16aの先端部や後端部を切断するための
裁断装置17が配置されている。この裁断装置17として
は、ギロチンカッタやロータリカッタが採用される。
第1図及び第2図において、裁断装置17における上記
マスタ搬送路の下流側には、一対の互いに接触した搬送
ローラ18及び製版済のマスタ16a若しくはマスタ16aを版
胴2のクランパ2Dに向け案内するためのガイド19が配置
されている。これにより、製版済のマスタ16a若しくは
マスタ16aの先端部は、裁断装置17により必要長さに裁
断され、給版位置で待機している版胴2の拡開した把持
部材2Fとステージ2Eとの間に挿入され、把持部材2Fが閉
じることでその先端を把持固定されるようになってい
る。搬送ローラ18は、上記右側板に固設された搬送モー
タ18A(第9図のみに示す)に図示しない軸を介して連
結されていて、回転可能となっている。
なお、搬送ローラ18の駆動は、上記構成に限らず、次
のようなものであってもよい。例えば、搬送ローラ18の
軸端にギアを固設し、このギアに噛合する駆動ギアを上
記プラテン駆動モータに設けると共に、搬送ローラ18の
軸と上記ギアとの間に電磁クラッチを介装させた構成で
あってもよい。又は、上記の組合わせであってもよい。
図1において、孔版印刷装置1の上部には、図示を省
略した原稿読み取り部が配置されている。
上記原稿読み取り部は、コンタクトガラスを用いた原
稿走査部を備えており、原稿走査部に配設された光源か
らの光を、コンタクトガラス上に載置された原稿に照射
し、原稿からの反射光を、ミラー及び結像レンズを含む
結像光学系を介してCCD等からなる画像センサに入射さ
せて画像情報を取り込むようになっている。上記画像情
報は、後で詳細を説明する制御部に出力され、製版装置
10での穿孔処理のためのデータとして用いられる。
第1図において、版胴2を挾んで製版装置10と対向す
る版胴2の左側上方には、排版部20が配置されている。
排版部20は、版胴2の近傍に位置し、使用済みのマス
タ16aを挟持可能なベルトを互いに当接させた上部排版
部材20A及び下部排版部材20Bと排版ボックス21とを備え
ている。
上部及び下部排版部材20A、20Bに備えられたベルト
は、版胴2の近傍に位置するローラと排版ボックス21側
に位置するローラとにそれぞれ掛け渡されている。版胴
2に巻装されていた使用済みのマスタ16aは、上記ベル
トによって版胴2の外周面から剥離され該ベルトでさら
に排版ボックス21に向け移送される。上記排版部材のう
ち、下部排版部材20Bは、版胴2が反時計方向に回転す
る排版時に版胴2の外周面に対して接近することができ
るようになっており、接近した際には、使用済みのマス
タ16aの後端を受入れて排版ボックス21に向け移送でき
るようになっている。
排版ボックス21の上部には、昇降自在の圧縮部材22が
設けられている。圧縮部材22は、排版ボックス21内に収
容された使用済みのマスタ16aを圧縮して次に廃棄され
るマスタ16aの収容スペースを準備するようになってい
る。排版ボックス21内が使用済みのマスタ16aによって
満たされた場合には、孔版印刷装置1の外部に排版ボッ
クス21を取り出して排版ボックス21内に収容された使用
済みのマスタ16aが廃棄処分される。
第1図において、プレスローラ4と対向する版胴2の
下方側であって、図中矢印で示す時計回り方向に回転す
る版胴2の下流側には、その先端部が版胴2の外周面に
対して接近可能な剥離爪30が設けられている。剥離爪30
は、版胴2上から印刷用紙Sを剥離し、剥離された印刷
用紙Sが、排出搬送装置41に向け排出される。
排出搬送装置41は、一対のローラ42、43に掛け渡され
た無端状の搬送ベルト44を有していて印刷用紙Sの排紙
部を構成している。版胴2の外周面から剥離された印刷
用紙Sは、排出搬送装置41の搬送ベルト44上に移送され
排紙トレイ45に向けて搬送される。搬送ベルト44上に移
送された印刷用紙Sに対して印刷用紙Sを吸引するため
の吸引ファン46が、搬送ベルト44における印刷用紙Sの
載置面下方に配置されている。また、排紙トレイ45は、
図示しない回転軸を基端に設けることによって印刷装置
の側壁面に対して起倒可能に設ける場合もある。
第9図には、原稿読み取り部からの画像情報に基づい
て製版装置10での穿孔処理制御等を行なう制御部50の構
成が示されている。
第9図において、制御部50は、原稿画像の読み取り工
程から、製版・給版工程、印刷工程及び排紙工程に亘る
全般のシーケンス制御を行なうための基礎プログラムを
記憶したROM50B、データを登録しておくためのRAM50Cを
有するマイクロコンピュータ(図では、符号CPUで示し
てある)50Aによって構成されている。
この第1の実施例の要旨部と関係する制御構成を中心
として以下に述べる。図示しないI/Oインターフェース
を介して、制御部50の入力側には、上記した原稿読み取
り部、マスタ検知手段60、マスタセット検知手段61、マ
スタ先端検知手段62及び操作部63がそれぞれ接続されて
いる。一方、制御部50の出力側には、マスタ回転駆動部
13の駆動モータ13A、プラテン圧制御部14の偏心カム駆
動モータ14A30、プラテンローラ14Bの上記プラテン駆動
モータ、サーマルヘッド14A、搬送ローラ18を回転させ
る搬送モータ18A及び裁断装置17を駆動させる裁断駆動
部17Aがそれぞれ接続されている。
なお、制御部50の入力側に接続されていて二点鎖線で
囲んだ作動設定キー63aは、この第1の実施例では用い
られない制御構成要素を示す。
マスタ検知手段60は、第1図及び第2図に示すよう
に、ガイド部材15の底壁部に設置されている反射型光学
センサである。マスタ検知手段60は、発光部及び受光部
を具備していて、マスタロール保持部材11Aの収納凹部1
1A4にマスタロール16が装填されている場合に得られる
反射光を検知するようになっている。マスタロール16
は、マスタロール保持部材11Aの収納凹部11A4内に位置
しているとき、マスタ検知手段60によって存在している
ことが検知される。
このマスタ検知手段60は、反射型光学センサであっ
て、マスタロール16が使用できる限界に達した場合を検
知できる手段としても機能するようになっている。第10
図を参照して述べたように、マスタロール16は、黒色塗
装が施されている低反射率部16Aを有する。マスタロー
ル16のマスタ16aが消費されて使用限界に達した場合、
それまでの反射率よりも低い低反射率部16Aに相当する
黒色塗装部をマスタ検知手段60に対向させるので、マス
タ検知手段60は、反射率が低下したことを意味する信号
を出力する。制御部50では、マスタ検知手段60によって
低反射率部16Aからの反射率に対応した信号が入力され
ると、マスタ16aの繰り出しを停止しなければならない
ことを判別する。
マスタセット検知手段61は、第1図及び第2図におい
て、マスタロール保持部材11Aが製版装置10内に挿入さ
れたときに、マスタ分離手段12の剥離爪支持部材12Cが
マスタロール支持部材11Aの押圧部11Gによって押し動か
されたことを検知する。剥離爪支持部材12Cの揺動端先
端には、入射光を反射する反射面(図示せず)が形成さ
れている。この第1の実施例におけるマスタセット検知
手段61は、剥離爪支持部材12Cの揺動端先端の上記反射
面の有無を検知可能な反射型光学センサが用いられてい
る。マスタセット検知手段61は、剥離爪支持部材12Cが
マスタロール保持部材11Aの押圧部11Gによって押し動か
されたことを検知してマスタ回転駆動部13の駆動モータ
13Aの動作開始時期を検知し、その検知信号を制御部50
に出力する作動検知手段でもある。
マスタ先端検知手段62としては、第1図及び第2図に
示すように、マスタ繰り出し方向Tにおけるマスタ分離
手段12の下流であって、上記マスタ搬送路におけるプラ
テンローラ14Bの上流側に位置する第1のマスタ先端検
知手段62Aと、上記マスタ搬送路における裁断装置17の
下流側に位置する第2のマスタ先端検知手段62Bとが配
設されている。
第1、第2のマスタ先端検知手段62A、62Bは、いずれ
も反射型光学センサであって、発光部及び受光部を具備
する周知の構成をなす。これらマスタ先端検知手段のう
ち、第1のマスタ先端検知手段62Aは、マスタ16aの先端
を検知した時点でプラテン圧制御部14の駆動を行うため
の基準信号を出力する働きを持っている。また、第2の
マスタ先端検知手段62Bは、マスタ16の先端を検知した
時点から所定時間の間、マスタ16aの繰り出しを継続さ
せるための基準信号を出力する働きを持っている。第2
のマスタ先端検知手段62Bからの信号が出力されたとき
に決められるマスタ16aの繰り出し量は、マスタ16aの先
端が版胴2のクランパ2Dに対向する位置に達する量とさ
れている。操作部63には、図示しないが、製版開始スイ
ッチ、印刷枚数指令用テンキー等が配置されている。製
版開始スイッチは、新たな製版済のマスタ16aを版胴2
に巻装する場合に操作されるスイッチである。この製版
開始スイッチが操作されると、プラテン圧制御部14に向
けマスタロール16からマスタ16aを自動的に繰り出して
製版し、製版済みのマスタ16aを版胴2に巻装し、印刷
用紙Sを1枚だけ通紙して版胴2と製版済みのマスタ16
aの穿孔部分にインキを滲出させる、いわゆる版付け動
作が行われる。なお、連続的な印刷動作を開始させる場
合には、上記製版開始スイッチとは別に設けられている
印刷開始指令用スイッチが操作される。
制御部50では、マスタ検知手段60、マスタセット検知
手段61からの検知信号が入力されない場合に、マスタ回
転駆動部13の駆動モータ13Aの駆動を停止させる。ま
た、プラテン圧制御部14では、偏心カム14A3の偏心カム
駆動モータ14A30に対し、偏心カム14A3の小径部をヘッ
ド支持アーム14A2の揺動端に対向させる状態が得られる
方向に回転させると共に、プラテンローラ14Bの上記プ
ラテン駆動モータの駆動を停止させる。これにより、プ
ラテン圧制御部14では、サーマルヘッド14Aとプラテン
ローラ14Bとによるマスタ16aの挟持が解除されてマスタ
16aに対する挟持しながらの搬送及び加熱穿孔を不能に
させる。
一方、制御部50は、マスタ検知手段60、マスタセット
検知手段61からの検知信号が入力されると、マスタ回転
駆動部13の駆動モータ13Aを駆動させてマスタロール16
からマスタ16aの先端が繰り出せる状態を設定する。
この場合のマスタ回転駆動部13における駆動モータ13
Aの回転方向は、一旦、マスタロール16からマスタ16aの
先端を繰り出せる方向とは逆方向とされ、次いで、マス
タ16aを繰り出せる方向に切り換えられるようになって
いる。これは、マスタロール16から剥離・分離されるマ
スタ16aの先端がどのような位置にあっても、マスタ分
離手段12の剥離爪12Aとの対向関係を正確にしてマスタ1
6aの先端を確実に剥離・分離できるようにするためであ
る。このような処理により、例えば、マスタ16aの先端
が剥離爪12Aを通り過ぎてその剥離爪12Aの近傍位置にあ
る場合、繰り出し方向と逆方向に回転されることによっ
て剥離爪12Aに先端が対向する位置までマスタ16aが引き
戻されるので、繰り出し方向にマスタロール16が回転し
たときには、マスタ16aの先端が剥離されてマスタロー
ル16から分離されるまでの時間を短縮させることが可能
になる。
次いで、繰り出されたマスタ16aの先端が第1の先端
検知手段62Aによって検知されると、制御部50は、マス
タ回転駆動部13での回転を所定時間継続させた後に停止
させる。マスタ回転駆動部13の回転が所定時間継続され
るとき、マスタ16aの先端は、プラテン圧制御部14にお
けるサーマルヘッド14Aとプラテンローラ14Bとで挟持さ
れる位置に向け移動される。
このような動作とともに、制御部50は、ヘッド支持ア
ーム14A2(第2図参照)をプラテンローラ14B側に向け
揺動させるために偏心カム14A3の偏心カム駆動モータ14
A30の回転制御を行ない、サーマルヘッド14Aとプラテン
ローラ14Bとによるマスタ16aへの挾持力を作用させる状
態を設定する。
サーマルヘッド14Aが、プラテンローラ14Bに当接して
マスタ16aに対する挟持力を作用させる状態が設定され
ると、プラテンローラ14Bは、上記プラテン駆動モータ
により回転されてサーマルヘッド14Aと協働してマスタ1
6aを挟持しながら搬送できる状態とされる。
さらに、第2の先端検知手段62Bによるマスタ16aの先
端検知信号が出力されると、制御部50と、プラテンロー
ラ14Bの上記プラテン駆動モータ及び搬送ローラ18の搬
送モータ18Aを所定量回転させる。プラテンローラ14Bお
よび搬送ローラ18が所定量回転すると、マスタ16aの先
端は、版胴2における拡開した把持部材2Fとステージ2E
との間へ給送される。
第1の実施例は以上のような構成であり、マスタロー
ル16からのマスタ16aの繰り出し動作状態を表す第11図
〜第16図および制御部50の制御動作を表す第17図及び第
18図のフローチャートを参照して給版処理動作を説明す
ると、次のとおりである。なお、第11図〜第16図の動作
図は、図の簡明化を図るため第1図及び第2図等に対し
て幾分模式的に示す。
第11図は、新しいマスタロール16を装填する場合を示
している。この場合には、把手11Cをオペレータによっ
て操作されることにより、マスタロール保持部材11A
が、例えば、製版装置10の外方に向け引出される。
新しいマスタロール16が装填される場合には、今まで
装填されていたマスタロール16と交換されることになる
が、その交換が必要であることは、マスタ検知手段60に
よって検知される。つまり、マスタロール16は、そのマ
スタ16aが消費されて使用限界量に近付くにしたがい、
マスタ16aの巻装量が少なくなる。このため、マスタ検
知手段60から出射されている光は、第10図において説明
したように、マスタロール16に設けられた低反射率部16
Aの影響によって反射しなくなり、マスタ検知手段60へ
の反射光量の低下を招く。マスタ検知手段60では、反射
光量の変化を追跡しており、その光量が所定値以下に達
すると、その状態を検知したことを意味する検知信号を
制御部50に出力する。
制御部50は、マスタ検知手段60からの検知信号が入力
されると、マスタロール保持部11の引出しを許容する状
態を設定する。
プラテン圧制御部14では、偏心カム14A3の偏心カム駆
動モータ14A30に対して偏心カム14A3の小径部をヘッド
支持アーム14A2の揺動端に対向させる回転制御が行なわ
れる。これにより、サーマルヘッド14Aは、プラテンロ
ーラ14Bとによるマスタ16aへの挟持圧を解除する状態と
なる。これと同時に、プラテンローラ14Bのプラテン駆
動モータも回転駆動を停止される。
しかも、マスタロール保持部材11Aが製版装置10の外
方に引出されると、その押圧部11Gによって押し動かさ
れていたマスタ分離手段12の剥離爪支持部材12Cが、第1
1図において反時計回り方向に揺動するので、剥離爪12A
の揺動端がマスタロール16の外周面から離される。
従って、マスタロール16は、そのマスタ16aに対する
プラテン圧制御部14での狭持を解除されているので、製
版装置10の外方への引出しの際に抵抗を受けることがな
い。そして、製版装置10の外方に引出されたマスタロー
ル保持部材11Aの収納凹部11A4に新しいマスタロール16
が装填され、再度、マスタロール保持部材11Aが製版装
置10内の挿入位置に移動されると、第12図に示す状態と
なる。
第12図において、マスタロール保持部材11Aが製版装
置10内の挿入位置に移動されると、マスタロール保持部
材11Aの押圧部11Gによってマスタ分離手段12の剥離爪支
持部材12Cが、図中、時計回り方向に揺動して剥離爪12A
をマスタロール16の外周面の所定位置に当接させる状態
とされる。すなわち、剥離爪12Aが当接位置を占める。
さらに、マスタロール保持部材11Aが製版装置10内の
挿入位置に移動すると、マスタ検知手段60により、使用
限界にないマスタロール16の存在が検知されると共に、
マスタセット検知手段61によってマスタロール保持部材
11Aが挿入位置にセットされたことが検知される。
操作部63にて上記製版開始スイッチが操作されると、
制御部50では第17図に示す処理が実行される。第17図に
おいて、マスタ検知手段60及びマスタセット検知手段61
からの検知信号が判別される(ステップST1,ST2)。両
検知手段60、61からの検知信号が入力されていると判別
されると、マスタ回転駆動部13の駆動モータ13Aが回転
駆動され、マスタ回転駆動部13の各動作が開始される
(ステップST3)。
マスタ回転駆動部13の駆動モータ13Aが回転駆動され
ると、マスタロール保持部材11Aの収納凹部11A4に位置
するマスタ駆動ローラ11D,11Eが、マスタロール16から
マスタ16aの先端を繰り出す方向に回転される。このと
きの駆動モータ13Aの回転駆動は、前述したように、マ
スタ駆動ローラ11D,11Eをして、一旦、マスタロール16
からマスタ16aの繰り出し方向(図中各、時計回り方向
の矢印で示す)と逆方向に回転した後、マスタロール16
からのマスタ16aを繰り出す方向に回転する。この状態
は、第13図に示されている。
そして、マスタ回転駆動部13の動作開始と同時に、マ
スタ16aの先端を検知する第1のマスタ先端検知手段62A
からの検知信号の有無が判別される(ステップST4)。
第1のマスタ先端検知手段62Aからマスタ16aの先端を
検知した信号が出力されると、マスタ回転駆動部13の動
作が継続される。このとき、マスタ16aの先端は、プラ
テン圧制御部14に達することができる状態とされる(ス
テップST5)。
この第1の実施例では、マスタ回転駆動部13における
駆動モータ13Aの回転動作が継続されるとき、第1のマ
スタ先端検知手段62Aにより先端を検知されたマスタ16a
は、このマスタ16aの先端が、第1のマスタ先端検知手
段62Aにより検知される位置からプラテン圧制御部14の
プラテンローラ14Bとサーマルヘッド14Aとのニップ部を
通り過ぎるまでの距離20mm程度搬送される。駆動モータ
13Aは、上記のように、マスタ16aの先端を上記マスタ搬
送路の下流側に搬送させるために必要な所定の回転量を
設定されていて、この状態は第14図に示されている。
ステップST5において設定されたマスタ回転駆動部13
での回転量が得られると、マスタ回転駆動部13の動作が
停止される(ステップST6)。なお、第17図には示され
ていないが、マスタ回転駆動部13の駆動モータ13Aの回
転駆動停止時期の判別は、マスタ回転駆動部13における
駆動モータ13Aの所定の回転量をロータリエンコーダ等
からなるマスタロール回転量検知手段(図示せず)を介
して制御部50で読み取ることにより行なわれる。
次いで、プラテン圧制御部14での制御処理が実行され
る(ステップST7)。
このステップST7での制御処理は、プラテン圧制御部1
4におけるプラテンローラ14Bに対してサーマルヘッド14
Aを当接させてマスタ16aへの挟持力を作用させる。この
ため、制御部50は、第15図において、プラテン圧制御部
14の偏心カム駆動モータ14A30を回転制御し、これによ
り、偏心カム14A3は、その大径部がヘッド支持アーム14
A2の揺動端裏面に圧接される。この結果、ヘッド支持ア
ーム14A2は、サーマルヘッド14Aをプラテンローラ14B側
に向けて揺動させるので、サーマルヘッド14Aとプラテ
ンローラ14Bとがマスタ16aを挟持しながら搬送できる状
態とされる。
このときには、偏心カム14A3が短時間の間、連続回転
され、マスタ16aを挟んでサーマルヘッド14Aとプラテン
ローラ14Bとの接離動作が繰返し行なわれる。またこの
動作に連動して、プラテンローラ14Bをして上記マスタ
搬送路の下流側にマスタ16aを搬送する方向、すなわち
第15図においてプラテンローラ14Bを時計回り方向に回
転させることにより、マスタ16aを断続的に繰り返し引
っ張る。これにより、マスタロール16から繰り出される
マスタ16aにシワの発生するのが防止されている。
上記ステップST6以降の処理動作において、マスタロ
ール16からのマスタ16aの繰り出し動作は、プラテンロ
ーラ14Bの回転によって行われ、マスタロール16はマス
タ駆動ローラ11D,11E上をスリップしながら回転され
る。
上記ステップST7においてプラテン圧制御部14での処
理が行なわれると、回転しているプラテンローラ14Bに
対するサーマルヘッド14Aの接離が繰り返される際に、
プラテンローラ14Bにサーマルヘッド14Aが当接した時に
のみマスタ16aがマスタロール16から繰り出され、その
マスタ16aの先端が第2のマスタ先端検知手段62Bの位置
に達する。この状態が第2のマスタ先端検知手段62Bに
よって検知される(ステップST8)。
第2のマスタ先端検知手段62Bによりマスタ16aの先端
が検知されると、プラテンローラ14Bの上記プラテン駆
動モータ及び搬送ローラ18の搬送モータ18Aが所定量だ
け回転駆動される。これにより、プラテンローラ14B及
び搬送ローラ18が所定量回転すると、マスタ16aの先端
は、版胴2のクランパ2Dに対向させる状態にされる(ス
テップST9)。この状態は第16図に示されており、この
状態が製版待機状態とされる。この場合のマスタ16aの
移動量は、プラテン圧制御部14の位置から版胴2のクラ
ンパ2Dに対向できる位置までの距離に相当する25mmに設
定されている。
上記プラテン駆動モータ及び搬送モータ18Aの回転停
止時期の判別は、マスタ回転駆動部13の回転停止時期の
判別と同様に、プラテンローラ14Bの上記プラテン駆動
モータの回転量をロータリエンコーダ等の信号発生手段
を介して読み取ることにより行なわれる。
ステップST9において回転駆動された上記プラテン駆
動モータ及び搬送モータ18Aは、所定量の回転駆動後停
止される(ステップST10)。
第18図は、プラテン圧制御部14でのマスタ16aに対す
る挟持作用を解除するための処理(図においては、自動
リセット処理と表示されている)を示している。この自
動リセット処理は、マスタロール保持部材11Aが製版装
置10内の挿入位置から外方に移動するとき、マスタ16a
の挟持を解除してマスタロール保持部材11Aを円滑に引
出せるようにすることを目的としている。
第18図において、マスタセット検知手段61からの信号
の出力及び第1のマスタ先端検知手段62Aからの信号の
出力が判別される(ステップST11,ステップST12)。ス
テップST11,12においてマスタセット検知手段61から信
号が出力されておらず、しかも、第1のマスタ先端検知
手段62Aからの信号が出力されている場合には、、プラ
テン圧制御部14において挟持圧解除処理が実行される
(ステップST13)。
ステップST13での処理は、プラテン圧制御部14の偏心
カム14A3の偏心カム駆動モータ14A30を回転駆動させて
偏心カム14A3の小径部をヘッド支持アーム14A2の揺動端
裏面に接触させる。
これにより、プラテンローラ14Bからサーマルヘッド1
4Aが離されるので、マスタ16aへの挟持圧が解除され
る。なお、マスタロール保持部材11Aを製版装置10内の
挿入位置から外方に引出すための移動を開始させると
き、プラテン圧制御部14にてマスタ16aが挟持されてい
ても、マスタロール保持部材11Aが引出されると、挟持
されているマスタ16aに加わる張力によってマスタロー
ル保持部材11Aの収納凹部11A4内でマスタロール16が回
転して巻解かれて弛むことができる。この結果、プラテ
ン圧制御部14での挟持力を受けていても、マスタロール
16からのマスタ16aが切断するような破損は、生じるこ
とはない。
上記したように、版胴2のクランパ2Dに対向させる位
置状態になされたマスタ16aの先端部は、挟持部材2Fお
よびステージ2Eにより把持され、プラテン圧制御部14の
サーマルヘッド14Aとプラテンローラ14Bとにより挟持さ
れながらプラテンローラ14Bの回転によって搬送されつ
つサーマルヘッド14Aによって選択的に加熱穿孔された
後、その製版済みのサーマルヘッドが版胴2上に繰り出
され、連続的にあるいは間欠的に時計回り方向に回転す
る版胴2の外周面上に巻き付けられていく。
以後、印刷工程において、版胴2の外周面から使用済
みのマスタ16aが排版される度に、マスタロール保持部
材11A上のマスタロール16から新たなマスタ16aが繰り出
され、サーマルヘッド14Aによる加熱穿孔製版が実行さ
れて、版胴2の外周面に巻装されることにより、新たな
印刷処理が実行される。
従って、この第1の実施例によれば、新しいマスタロ
ール16がセットされた場合には、そのマスタロール16を
製版装置10内の挿入位置に移動させるだけで、マスタロ
ール16からマスタ16aの先端を自動的に繰り出して給版
・製版処理を実行することができる。
また、剥離手段としての剥離爪12Aを弾性体からなる
薄片部材で構成しているので、マスタロール16の外周面
に当接した場合には、その薄片部材が弾性変形すること
により異常な圧力をマスタロール16の外周面に付与しな
いので、マスタロール16のマスタ16a表面に傷を付けた
り、マスタ16aを破いたりする弊害をなくすることがで
きる。
また、剥離爪12Aが、マスタ16aの幅方向中央部からマ
スタ繰り出し方向Tの上流側におけるマスタ16aの両側
縁部に向けて徐々に傾斜してマスタ16aの先端に近接若
しくは当接可能な形状とされていることにより、マスタ
ロール16に巻かれたマスタ16aの先端が、剥離爪12Aによ
りその幅方向中央から両側縁分に向けて順次剥離・分離
されるので、マスタ16aの先端が剥離爪12Aに引っかかる
ような事故を防止でき、これにより、マスタロール16か
ら剥離・分離して繰り出されるマスタ16aのジャムを未
然に防止することができる。
さらに、剥離爪12Aの先端に傾斜部12A2を設けている
ので、マスタ16aを剥離する際のマスタ16aとの接触部分
をできるだけ小さくすることができ、これによって、剥
離爪12Aがマスタ16aに対して過剰な接触を起こすことが
なくなり、マスタロール16からマスタ16aの先端を剥離
する際の案内を容易に行なえるようにしてその剥離をよ
り一層確実に行なえる利点がある。
また、剥離爪12Aが自重によりマスタロール16の外周
面に当接することができるので、特別な付勢手段などを
必要とすることなく、マスタロール16からマスタ16aの
先端を確実に剥離・分離させることが可能になる。
(変形例1) 第19図に第1の実施例の変形例1を示す。
第1の実施例の処理は、上述したように、マスタロー
ル16がマスタロール保持部材11Aの収納凹部11A4に装填
された後、マスタ回転駆動部13を駆動して、マスタロー
ル16からマスタ16aの先端を自動的に繰り出すことを対
象としていたが、マスタロール16からマスタ16aの先端
を自動的に繰り出すことを望まないならば、例えばマス
タロール16からマスタ16aの先端を手動で剥離・分離し
て繰り出すようにしてもよい。
この変形例1は、オペレータが製版装置10内の挿入位
置からマスタロール保持部材11Aを移動させた後、同じ
くオペレータの手動操作により、マスタロール16からマ
スタ16aの先端を剥離・分離して剥離爪12Aの上面に向け
て繰り出し、その後、マスタロール保持部材11Aを製版
装置10内の挿入位置に移動するものである。
上記のように、オペレータによるマスタ16aの先端繰
り出しが行われる場合にも、マスタ検知手段70によるマ
スタロール16の検知が行われた後の処理は、第17図に示
した給版処理と略同様の処理が実行される。
この場合について詳述すると、次のとおりである。
まず、オペレータによるマスタ16aの先端繰り出しが
行われる場合に用いられる構成を、第1の実施例と相違
する点について延べる。
変形例1は、第1の実施例の剥離爪支持部材12Cに代
えて剥離爪支持部材12C′を有し、剥離爪支持部材12C′
がマスタロール保持部材11Aの上記押圧部11Gに相当する
先端部に固定されていること及び圧縮バネ12Dが不要で
あることが主に相違する。剥離爪支持部材12C′は、マ
スタロール保持部材11Aと一緒にガイド部材15上を摺動
することができ、回転軸12B′はマスタロール保持部材1
1Aに支持・固定されている。オペレータにより、マスタ
ロール保持部材11Aが製版装置10内の挿入位置から図中
矢印Dで示す方向に引出されたとき、その収納凹部11A4
に装填されたマスタロール16からマスタ16aの先端が剥
離・分離されて引出されることにより、マスタ16aの先
端を剥離爪12Aの上面に向けて繰り出すことができる。
(変形例2) 第20図に第1の実施例の変形例2を示す。
オペレータの手動操作によりマスタ16aの先端繰り出
しを行える構成としては、第20図に示すように、マスタ
ロール保持部材11Aの一端部に固定されている剥離爪支
持部材12C′に対して剥離爪12A′を固定して設け、剥離
爪12A′の先端をマスタロール16の外周面に近接させる
とともに、揺動しないように固定して配置するようにし
た構成であってもよい。
このような構成において、マスタ16aの先端を所定長
さ繰り出して剥離爪12A,12A′の上面に載置した後、マ
スタロール保持部材11Aを製版装置10内の挿入位置に移
動させた場合には、第17図に示したステップST1以降と
同様な処理が実行される。この場合においては、マスタ
16aの先端を剥離爪12A,12A′の上面に載置しているの
で、ステップST3において、マスタ駆動ローラ11D,11Eを
逆回転させる動作はしないようになっている。
上述した第1の実施例のマスタ検知手段60、マスタセ
ット検知手段61に代えて、例えば、製版装置10に蓋体11
Bの閉鎖状態への移動を検知するためのセンサを設け、
このセンサをマスタ16aを繰り出すための動作開始時期
を検知する手段として用いるようにしてもよい。
上述した第1の実施例では、マスタセット検知手段61
をマスタ回転駆動部13によるマスタ16aの繰り出し動作
開始のための検知手段として用いているが、動作開始時
期検知手段として、マスタ検知手段60を用いることも可
能である。この理由は、マスタ検知手段60が、マスタロ
ール16の有無を検知することに加え、マスタロール保持
部材11Aの収納凹部14A4に装填されたマスタロール16が
製版装置10内の所定位置に配置されたことを検知してい
るものであることによる。
さらに、作動検知手段としての上記検知手段を省略
し、これに代えて、第9図に仮想線で囲んで示すよう
に、マスタ回転駆動部13の動作開始時期を設定する作動
設定手段としての作動設定キー63aを操作部63に付設
し、マスタロール保持部11を製版装置10内の挿入位置に
移動させた後、その作動設定キー63aを操作するように
してもよい。この場合には、作動設定キー63aが操作さ
れた際に得られる動作開始時期設定信号に基づき、制御
部50が、マスタ回転駆動部13の動作を開始させるように
制御することができる。
上述した第1の実施例では、プラテン圧制御部14にお
いて、マスタ16aに生じるシワを取り除くシワ矯正処理
を実行するために、第1の先端検知手段62Aによりマス
タ16aの先端が検知された場合にサーマルヘッド14Aとプ
ラテンローラ14Bとの断続的な接離動作を行わせてい
る。しかし、例えば、マスタ16aの先端がプラテンロー
ラ14Bの軸線方向と平行に搬送され、マスタ16aにシワが
発生しない場合には、シワ矯正処理を実行することは必
ずしも必要でない。一方、マスタ16aの先端が、第2の
先端検知手段62Bにより検知されるまで、サーマルヘッ
ド14Aとプラテンローラ14Bとを互いに当接させた状態に
保持し、第2の先端検知手段62Bによるマスタ16aの先端
検知信号に基づきプラテン圧制御部14の偏心カム駆動モ
ータ14A30を駆動し、サーマルヘッド14Aとプラテンロー
ラ14Bとの断続的な接離動作を行わせてシワ矯正処理を
行うようにしてもよい。なお、シワ矯正処理において
は、少なくとも1回、サーマルヘッド14Aとプラテンロ
ーラ14Bとの当接を解除すればよい。
なお、マスタロール16の回転させる回転駆動手段とし
ては、マスタロール16の外周面に当接してマスタロール
16を回転させるもの(第1の実施例ではマスタ駆動ロー
ラ11D,11E)の他、マスタロール16の芯材16Bの内周部に
当接してマスタロール16を回転させるものや、あるいは
マスタロール16から所定長さ引き出されたマスタ16aを
挾持し、マスタロール16からマスタ16aを繰り出しなが
らマスタロール16を回転させるものであってもよい。
また、本発明に係る製版装置が装備される印刷装置
は、上記した孔版印刷装置1に限らず、例えば、特開平
1−17013号公報に示されているような印刷ドラムの外
側からインキを供給する構成の印刷装置であってもよ
い。
第21図に、本発明の第1発明に係る第2の実施例を示
す。
第2の実施例としての製版用マスタは、マスタ16aが
芯材16Bの周りにロール状に巻かれて形成されたマスタ
ロール16の端面16tのうちの、一方の端面16t(第21図に
おいては左側の端面16tを示す)に糊が塗布されている
ことを特徴とするものである。
マスタロール16は、その端面16tから見ると、マスタ1
6aが多数積層されていて、積層されている一つ一つのマ
スタ16aの側端面が集合することで端面16tをなしてい
る。このマスタロール16の左側の端面16tの全領域に亘
り、図中斜線(図中、符号16a1で示す部分)で示すよう
に、糊が塗付されている。このようにマスタロール16の
左側の端面16tの全領域に亘り糊が塗付されていること
により、マスタロール16の軸方向において上記したよう
に積層されている一つ一つのマスタ16aの側端面同士
が、糊によって接着されている。マスタロール16の左側
の端面16tの全領域に亘り糊を塗付したときに、マスタ
ロール16におけるマスタ16aの巻き締め力の程度や端面1
6tでの個々のマスタ16aの側端面の微小な不揃いによっ
て、マスタロール16の左側の端面16tに塗布された糊
が、一つ一つのマスタ16aの側端縁近傍表面に滲出た状
態でマスタ16aの側端縁同士を接着することになる。
マスタロール16の端面16tへの糊の塗布形態は、一方
の端面16tに限らず、両方の端面16tを対象として糊を塗
布することも勿論可能である。このように、マスタロー
ル16の両方の端面16tに糊を塗付した場合には、マスタ
ロール16の軸方向で、マスタロール16からマスタ16aを
分離・剥離するときに、マスタ分離手段12の剥離爪12A
に作用する負荷を軸方向で均一化することができる。
マスタロール16の端面16tへ塗布する接着剤として用
いられる糊には、デンプンや周知のアラビア糊、さらに
は合成ゴム等の有機材料が用いられる。
デンプンは、分子式(C6H10O5を有し、冷水には
不溶であるが、熱水中ではミセルが崩れて糊状になる性
質を利用して糊が作られる。すなわち、デンプンを水と
共に加熱すると、外殻のアミロペクチンが破れ、アミロ
ースが水に溶け、糊になる。このときに糊なる温度(糊
化温度)は、60゜〜80゜Cであり、このときアルカリを
加えると、上記糊化温度は下がるのでこの性質を応用し
て工業用の糊が量産される。
アラビア糊としては、アラビアゴムが用いられる。ア
ラビアゴムは、アカシア、セネガルその他のアカシア属
の枝より分泌されるヘミセルロースを水に溶かして膠状
の液にしたものから作られる。
マスタロール16の端面16tに塗布された糊の接着力
は、マスタロール16からのマスタ16aの繰り出し力によ
って、マスタロール16からマスタ16aが剥がされる程度
の強さとなるように(第13図参照)、糊の材料の選択、
糊の塗布量、糊の濃度、あるいは乾燥条件等が設定され
ている。
この第2の実施例は、以上のような構成であるから、
マスタロール16の端面16tに糊が塗布され、塗布された
糊の接着力が上記の条件を満足するようになされたマス
タロール16が、製版装置10のマスタロール保持部材11A
の収納凹部11A4に装填される。
マスタロール16は、マスタ回転駆動部13のマスタ駆動
ローラ11D,11Eにより繰り出される方向に回転され、マ
スタ16aの先端がマスタ分離手段12の剥離爪12Aによって
ロール部から剥離される。このようにマスタロール16
は、回転されるとともに所定量の繰り出しが終了すると
回転停止されることになるが、その際の慣性力によって
ロール部で弛みが生じようとしても、端面16tにおける
マスタ16aの側端面および/またはマスタ16aの側端縁同
士が接着されているので、マスタ16aの側端面および/
またはマスタ16aの側端縁同士が分離することがない。
これによって、マスタロール16におけるロール部の周面
で弛みが発生しない。
また、マスタロール16の搬送、初期セット、再セット
時の取扱い時において、マスタロール16よりマスタ16a
がほどけるのを防止することができる。
従って、この第2の実施例によれば、マスタロール16
の端面16tのうちの、少なくとも一方の端面16tに糊を塗
布するという簡単な構成によって弛みの発生を防止する
ことができる。
第22図に、第2の実施例の変形例1を示す。
この変形例1は、マスタ16aの先端部を除くマスタロ
ール16の端面16tに、糊が塗布されていることを特徴と
する。第2の実施例と同様にして、マスタ16aの先端部
を除き、マスタロール16の左側の端面16tの全領域に亘
り糊を塗付したときに、マスタロール16におけるマスタ
16aの巻き締め力の程度や端面16tでの個々のマスタ16a
の側端面の微小な不揃いによって、マスタロール16の左
側の端面16tに塗布された糊が、一つ一つのマスタ16aの
側端縁近傍表面に滲出た状態でマスタ16aの側端縁同士
を接着することになる。これにより、マスタロール16の
左側の端面16tにおいては、繰り出されるマスタ16aの戦
端を除いたマスタ16aの側端縁同士(図中、符号16bを付
された斜線で示す領域)が糊により接着されている。
変形例1は以上のような構成であるから、繰り出しの
際にマスタ16a自身の曲げ剛性の強さによって先端が起
上がるのを阻止しないようにすることができる。これに
よって、マスタ分離手段12の剥離爪12Aとマスタ16aの先
端との対向関係を正確に設定することができる。
第23図に、第2の実施例の変形例2を示す。
この変形例2は、マスタロール16の端面16tの一箇所
において、その半径方向に亘り、糊が塗布されているこ
とを特徴とする。マスタロール16の左側の端面16tに
は、図中、符号16cを付された斜線で示すように、その
回転中心位置の内側から外側に向かう半径方向に亘り糊
の塗布された放射状の領域が広くなる扇状をなす形態
で、糊が塗布されている。
変形例2は以上のような構成であるから、端面16tの
全領域に亘って糊を塗付した場合に比べてその接着力を
小さくすることができるので、マスタロール16からのマ
スタ16aの繰り出しの際に必要とされるマスタロール16
の回転駆動力を小さくすることができる。また糊の使用
量を少なくすることができる。
第24図に、第2の実施例の変形例3を示す。
この変形例3は、マスタロール16の端面16tの複数箇
所において、その半径方向に亘り、糊が塗布されている
ことを特徴とする。
マスタロール16の左側の端面16tには、図中、符号16d
を付された斜線で示すように、回転中心位置の内側から
外側に向かう半径方向に亘り糊の塗布された放射状の領
域が広くなる扇状をなす形態で、糊が塗布されている。
このようにマスタロール16の外側での塗付領域を広くす
るのは、ロール部の外径が大きく回転開始時あるいは停
止時での慣性が大きく生じるのに対応してマスタ16aの
弛みを阻止するためである。また、このように塗付領域
を上述した扇状とすることに限らず、第25図に示すよう
に、回転中心位置の内側から外側に向けて同一面積の塗
付領域(図中、符号16eを付された斜線で示す領域)と
することも可能である。
上記した第2の実施例および各変形例1〜3等におい
ては、マスタロール16の端面16tを対象として糊を塗布
する場合、その端面は、第21図〜第25図に示されている
ように、マスタロール16の一方の端面のみを対象とする
場合、あるいは図示されていないが、軸方向の両方の端
面を対象とする場合のいずれかを選択することができ
る。この場合の選択基準としては、例えば、マスタ16a
の繰り出しの際の剥離性、あるいは、弛み量に影響する
慣性の大きさ等があげられる。
第26図に、第2の実施例の変形例4を示す。
この変形例4は、マスタロール16の端面16tの糊の塗
布面が、色分けされた複数の同心輪状帯であることを特
徴とする。
マスタロール16の左側の端面16tには、図中、符号
A、B、Cの領域の各斜線の角度を互いに異ならせて示
すように、複数の各同心輪状帯に色分けされて糊が塗付
されている。このような色分けされた異なる色の糊は、
同心輪状帯に色分けされた全領域に亘って塗付するだけ
でなく、使用限界に達したロール径に相当するロール部
のみに塗付するようにしてもよい。
変形例4は以上のような構成であるから、マスタロー
ル16のマスタ16aの使用後ごとにその残量を識別するこ
とができ、使用限界に達して交換時期であることも色分
けされた糊の色によって判別することができる。
また、変形例4での糊の塗付状態は、第27図に示すよ
うに、第24図に示した例と同様な理由により、半径方向
に亘り、放射状部分に扇状面積をもたせて塗付するよう
にしてもよい。なお、上記した糊の塗付状態は、均一な
塗付に限らず、メッセージ等の記入を行うようにしても
よい。
第28図に、第2の実施例の変形例5を示す。
この変形例5は、マスタロール16の両方の端面16tに
糊が塗布されており、この両方の糊の塗布面に、互いに
異なる識別表示としての色が施されていることを特徴と
する。第28図において、マスタロール16の両方の端面16
tには、図中、斜線部(符号P1で示す部分)および交差
する斜線部(符号P2で示す部分)で示されているよう
に、互いに異なる色の糊が塗付されている。この場合の
塗付領域は、第21図に示した実施例と同様に、端面の全
領域に相当させてある。
マスタロール16の両方の端面16t同士で異なる色の糊
を塗付するのは、マスタロール16を製版装置10のマスタ
ロール保持部材11A(第2図および第3図参照)の収納
凹部11A4に対して装填する際において、マスタ16aの先
端の繰り出し位置を判別するためである。これにより、
マスタ16aの先端がロール部周面の上方からその接線方
向に繰り出される場合、あるいはロール部周面の下方か
らその接線方向に繰り出される場合に対応したマスタロ
ール16の向きを端面16tの色により識別した上で、装填
することができる。この結果、マスタロール16から繰り
出されたマスタ16aの先端が途中で詰ったりして給版不
良を起こすのを未然に防止することができる。
なお、上記端面16tでの識別表示としては、色を異な
らせることに限らず、例えば「青」、「赤」等の文字か
らなるメッセージを記入するようにしてもよい。要する
に、上記端面16tでの識別表示としては、何れかの端面1
6tを識別することができるような表示方法であればよ
く、上記各表示方法に限定されるものではない。
第26図および第27図に示す変形例4等においても、第
21図〜第25図に示した実施例および各変形例1〜3等と
同様に、マスタロール16の一方の端面16tあるいは両方
の端面16tの何れかを塗布する対象とすることができ
る。
第29図に、第1の実施例の変形例3を示す。
この第1の実施例の変形例3は、マスタロール保持部
11に支持されたマスタロール16の両端面16tに対応した
マスタロール保持部11の各位置に、マスタロール16の両
方の端面16tに施されている識別表示にそれぞれ対応し
た識別表示が施されていることを特徴とするものであ
る。
第29図は、第28図に示したマスタロール16を装填され
るマスタロール保持部材11Aのマスタロール保持部11を
示している。同図において、マスタロール保持部材11A
におけるマスタロール16の装填位置には、マスタロール
16の両方の端面16tに塗付された糊の色に合せた色の着
色部11A10(P1に対応する)、11A11(P2に対応する)が
形成されている。
この第1の実施例の変形例3は以上のような構成であ
るから、マスタロール16を製版装置10内にセットする場
合には、マスタロール16の両方の端面16tに塗付されて
いる糊の色とマスタロール保持部材11A側の着色部11A1
0、11A11の色とを対応させる。これにより、セットされ
たマスタロール16からのマスタ16aの先端の繰り出し位
置およびその方向を誤ることなく、かつ、容易に割出す
ことができる。なお、マスタロール16の一方の端面16t
にだけ糊が塗付されていて識別表示がなされている場合
には、これに対応してマスタロール保持部材11Aにおけ
るマスタロール16の装填位置に、マスタロール16の一方
の上記識別表示に対応する上記識別表示を施すようにし
てもよい。
第30図に、第2の実施例の変形例6を示す。
この変形例6は、マスタ16aの先端部を除くマスタロ
ール16の最外側の端面16tのみ、および/またはマスタ1
6aの先端部を除くマスタロール16の最外側におけるマス
タ16aの側端縁同士のみに糊が塗布されていることを特
徴とする。
第30図に示すように、図中、符号16fを付された斜線
で示す部位に、マスタ16aの先端部を除くマスタロール1
6の最外側におけるマスタ16aの側端縁同士のみに糊が塗
布されている。第31図に、第2の実施例の変形例7を示
す。
この変形例7は、マスタロール16の端面16tの複数箇
所において、その半径方向の外側部分にのみ糊が塗布さ
れていることを特徴とする。マスタロール16の左側の端
面16tには、図中、符号16gを付された斜線で示すよう
に、回転中心位置の内側から外側に向かう半径方向の外
側部分にのみ糊が塗布されている。
変形例6および7は、それぞれ以上のような構成であ
るから、マスタロール16の搬送、初期セット時等の取り
扱い等において、マスタロール16からマスタ16aがほど
けるのを防止することができる。
従って、第21図〜第28図に示した第2の実施例および
各変形例におけるマスタロール16が、マスタロール16の
搬送、初期セット時のみならず再セット時にもマスタロ
ール16からマスタ16aがほどけるのを防止することがで
きる利点を有することに対して、変形例6および7がサ
プライとしてのマスタロールの初期供給時にのみ上記利
点を有することとは対照的である。
なお、本発明の第1、第2の実施例およびこれらの各
変形例等に用いられたマスタロール16のマスタ16aに限
らず、例えば非常に薄い1〜3μm厚の実質的に熱可塑
性樹脂フィルムのみからなるマスタをロール状に巻いた
マスタロールを用いることも可能である。ここで、実質
的に熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタとは、マ
スタが熱可塑性樹脂フィルムのみからなるものの他、熱
可塑性樹脂フィルムに帯電防止剤等の微量成分を含有し
てなるもの、さらには熱可塑性樹脂フィルムの両主面、
すなわち表面又は裏面のうち少なくとも一方に、オーバ
ーコート層等の薄膜層を1層又は複数層形成してなるも
のを含む。
また、本発明に係る第1、第2の実施例およびこれら
の各変形例等に用いられたマスタロール16に限定され
ず、マスタロールの両方の端面から芯材が突出して形成
された従来型のマスタロールにも、第2の実施例を適用
することができる。また、製版装置においては、上記従
来型のマスタロールの芯材部分の位置決め支持構造を変
えるだけで対応することが可能である。
さらに、芯材を用いることなく巻かれて形成されたマ
スタロールにも、第2の実施例を適用することができる
し、これに対応して製版装置においても、そのマスタロ
ールの位置決め支持構造を変えるだけで対応することが
可能である。
なお、本発明に係る第1、第2の実施例およびこれら
の各変形例等に用いられたマスタロール16は、第10図に
示したと同様の黒色塗装からなる低反射率部16Aを有し
ていることはいうまでもない。
産業上の利用可能性 以上のように、本発明の第1発明に係る製版用マスタ
は、製版に供されるサプライとして、印刷装置等の中で
も取り分け孔版印刷装置に装備された製版装置に用いる
のに有用であり、搬送、取り扱いおよびマスタロール初
期セット時にその効果を十分に発揮できる。また、本発
明の第2発明に係る製版装置は、印刷装置等の中でも特
に孔版印刷装置等に装備された製版装置において、マス
タロール初期セット時の操作性の向上を図り、マスタロ
ールからマスタの先端を弛むことなく自動的もしくは半
自動的に繰り出すことができる装置として有用である。

Claims (17)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】製版用マスタにおいて、 マスタがロール状に巻かれて形成されたマスタロールの
    端面のうちの、少なくとも一方の端面に糊が塗布されて
    いることを特徴とする製版用マスタ。
  2. 【請求項2】請求の範囲第1項記載の製版用マスタにお
    いて、 製版された後、版胴に巻装されたうえでインキを供給さ
    せて密着させた印刷用紙に画像を転写する印刷に用いら
    れ、 上記マスタが感熱材料を有し、上記マスタロールからマ
    スタの先端が繰り出し可能であることを特徴とする製版
    用マスタ。
  3. 【請求項3】請求の範囲第1または2項記載の製版用マ
    スタにおいて、 上記マスタロールの端面に塗布された上記糊の接着力
    は、上記マスタロールからのマスタの繰り出し力によっ
    て、上記マスタロールから上記マスタが剥がされる程度
    の強さであることを特徴とする製版用マスタ。
  4. 【請求項4】請求の範囲第1,2または3項記載の製版用
    マスタにおいて、 上記マスタの先端部を除く上記マスタロールの端面に、
    上記糊が塗布されていることを特徴とする製版用マス
    タ。
  5. 【請求項5】請求の範囲第1,2,3または4項記載の製版
    用マスタにおいて、 上記マスタロールの端面の全領域に亘り、上記糊が塗布
    されていることを特徴とする製版用マスタ。
  6. 【請求項6】請求の範囲第1,2,3または4項記載の製版
    用マスタにおいて、 上記マスタロールの端面の一箇所において、その半径方
    向に亘り、上記糊が塗布されていることを特徴とする製
    版用マスタ。
  7. 【請求項7】請求の範囲第1,2,3または4項記載の製版
    用マスタにおいて、 上記マスタロールの端面の複数箇所において、その半径
    方向に亘り、上記糊が塗布されていることを特徴とする
    製版用マスタ。
  8. 【請求項8】請求の範囲第1,2,3または4項記載の製版
    用マスタにおいて、 上記マスタロールの端面の糊の塗布面は、色分けされた
    複数の同心輪状帯であることを特徴とする製版用マス
    タ。
  9. 【請求項9】請求の範囲第1,2,3または4項記載の製版
    用マスタにおいて、 上記マスタロールの両方の端面に糊が塗布されており、
    この両面の糊の塗布面に、互いに異なる識別表示が施さ
    れていることを特徴とする製版用マスタ。
  10. 【請求項10】請求の範囲第9項記載の製版用マスタに
    おいて、 上記識別表示が色であることを特徴とする製版用マス
    タ。
  11. 【請求項11】請求の範囲第9項記載の製版用マスタに
    おいて、 上記識別表示が文字であることを特徴とする製版用マス
    タ。
  12. 【請求項12】請求の範囲第1ないし11項の何れか一つ
    に記載の製版用マスタであって、 上記マスタロールを回転可能に支持するマスタロール保
    持部と、 上記マスタロールを上記マスタロール保持部にセットし
    た後、上記マスタの先端を繰り出すべく上記マスタロー
    ルを回転させる回転駆動手段とを有する製版装置に用い
    られることを特徴とする製版用マスタ。
  13. 【請求項13】請求の範囲第1ないし11項の何れか一つ
    に記載の製版用マスタであって、 上記マスタロールを回転可能に支持するマスタロール保
    持部と、 上記マスタロールを上記マスタロール保持部にセットし
    た後、上記マスタロールを回転させる回転駆動手段と、 上記マスタロールの径の変化に対応して上記マスタロー
    ルの外周面に当接もしくは近接し、上記マスタの先端を
    剥がす剥離手段とを有する製版装置に用いられることを
    特徴とする製版用マスタ。
  14. 【請求項14】請求の範囲第9項記載の製版用マスタで
    あって、 上記マスタロールを回転可能に支持するマスタロール保
    持部を有し、かつ、 上記マスタロール保持部に支持された上記マスタロール
    の両端面に対応した上記マスタロール保持部の各位置
    に、上記マスタロールの両方の端面に施されている上記
    識別表示にそれぞれ対応した識別表示を施されている製
    版装置に用いられることを特徴とする製版用マスタ。
  15. 【請求項15】請求の範囲第1ないし11項の何れか一つ
    に記載の製版用マスタの上記マスタロールからマスタの
    先端を繰り出す製版装置であって、 上記マスタロールを回転可能に支持するマスタロール保
    持部と、 上記マスタロールを上記マスタロール保持部にセットし
    た後、上記マスタの先端を繰り出すべく上記マスタロー
    ルを回転させる回転駆動手段とを有することを特徴とす
    る製版装置。
  16. 【請求項16】請求の範囲第1ないし11項の何れか一つ
    に記載の製版用マスタの上記マスタロールからマスタの
    先端を自動的に剥離して繰り出す製版装置であって、 上記マスタロールを回転可能に支持するマスタロール保
    持部と、 上記マスタロールを上記マスタロール保持部にセットし
    た後、上記マスタロールを回転させる回転駆動手段と、 上記マスタロールの径の変化に対応して上記マスタロー
    ルの外周面に当接もしくは近接し、上記マスタの先端を
    剥がす剥離手段とを有することを特徴とする製版装置。
  17. 【請求項17】請求の範囲第9項記載の製版用マスタを
    用いる製版装置であって、 上記マスタロールを回転可能に支持するマスタロール保
    持部を有し、かつ、 上記マスタロール保持部に支持された上記マスタロール
    の両端面に対応した上記マスタロール保持部の各位置
    に、上記マスタロールの両方の端面に施されている上記
    識別表示にそれぞれ対応した識別表示が施されているこ
    とを特徴とする製版装置。
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