JP2850699B2 - エポキシ樹脂系構造接着性組成物 - Google Patents

エポキシ樹脂系構造接着性組成物

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JP2850699B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規な自動車の構造接着
のためのエポキシ樹脂系接着性組成物、さらに詳しく
は、強靭性と疑似硬化性を付与するためのイオン架橋し
たアクリル系補強剤と良好な施工性を得るためのリン酸
エステル系改質剤を配合して成る、長期間の貯蔵安定性
に優れ、かつ広範な被接着材料に対して有効なエポキシ
樹脂系構造接着性組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、エポキシ樹脂は種々の優れた性質
を有することから、例えば接着剤、接着フイルム、母材
樹脂、注型用樹脂、粉体成形用樹脂、塗料、電子回路封
止剤、各種複合材用基材樹脂などの用途に幅広く用いら
れている。しかしながら、このエポキシ樹脂は耐衝撃性
が不十分であるという欠点を有し、これまで種々の改良
がなされてきた。この耐衝撃性を改良する方法は、エポ
キシ樹脂自体の化学構造を改良する方法と、別途調製し
た耐衝撃性改良剤をエポキシ樹脂に添加する方法とに大
別することができるが、前者の方法のみでは耐衝撃性を
十分に満足させうるエポキシ樹脂は得られない。一方、
後者の方法としては、未硬化エポキシ樹脂に、(1)可
溶性エラストマー単量体を添加し、両者を同時に重合す
る方法、(2)相溶性のあるエラストマー重合体を添加
する方法、(3)微粒子状の耐衝撃性改良用重合体を分
散させる方法などが知られている。前記(1)の方法に
ついては、エポキシ樹脂中でn−ブチルアクリレートを
SIPN(Simultaneous interpe
netrating networks)として、0.
1〜0.2μmのゴムドメインを生成させる方法が試み
られているが[「ジャーナル・オブ・ポリマー・サイエ
ンス・シンポジウム(J Polymer Sci.S
ymposium)」第46巻、第175〜190ペー
ジ(1974年)]、この方法は一般的に生成物の軟化
点が低下するとともに機械的強度がばらつくなどの欠点
を有している。また、前記(2)の方法については、カ
ルボキシル基とアミノ基を末端基とするブタジエン−ア
クリロニトリル共重合ゴムなどのエラストマー成分を添
加してゴム変性する例が種々提案され、その一部は実用
化されているが、この方法で得られたものは構造用接着
剤として使用するには、耐衝撃性や靭性の点で、まだ十
分に満足しうるとはいえない。さらに(3)の方法につ
いては、ポリアミド樹脂系をはじめとして、多くの耐衝
撃性改良剤が提案されているが、これらはいずれも疑似
硬化性が不十分であるという欠点を有している。ところ
で、一般に、プラスチックの耐衝撃性改良剤としてガラ
ス転移温度が−30℃以下のゴム成分を添加すると、外
部からの応力を吸収する働きをして耐衝撃強度が大幅に
向上することが知られている。しかしながら、このよう
なゴム成分の多くは液状のエポキシ樹脂をマトリックス
として混合した場合、その分散性が混合条件の影響を受
けやすく、かつ得られた組成物は貯蔵性が不安定であっ
て、長期の安定性が要求される接着剤としては実用的で
ない。さらに、エポキシ樹脂系接着剤においては、疑似
硬化性を有することも重要であり、エポキシ樹脂に、耐
衝撃性改良効果を維持しながら疑似硬化性を付与するた
めには、(メタ)アクリレート系重合体から成るコアシ
ェル型改質剤が有効なことが知られている(特開平2−
80483号公報)。ここでいう疑似硬化性とは、液状
やペースト状接着剤が熱硬化する温度より低い加熱温度
で、非粘着又は粘着状態に固化する性質を指し、このよ
うな疑似硬化性は以下に示すような利点を有している。
すなわち、自動車工業においては、エポキシ樹脂をベー
スにした加熱硬化型接着性組成物を金属基材に塗布した
のち、折り曲げ、切断、脱脂洗浄、酸処理などの加工を
施すことがあるが、この際、接着剤の脱落や飛散、ある
いは接着部からはみ出した余剰の接着剤の除去などによ
る作業環境の悪化や、接着剤の溶出による塗装前処理液
の汚染などを引き起こしやすいという問題が生じる。こ
れに対し、基材に接着剤を塗布したのち、短時間で加熱
を行い、疑似硬化物とすることにより、基材からの余剰
接着剤の除去が容易となる上、塗装前処理液の汚染の問
題も解決することができる。しかしながら、前記のよう
な(メタ)アクリレート系樹脂を利用した疑似硬化性及
び耐衝撃性付与剤粒子は、接着性組成物の媒体となるエ
ポキシ樹脂と相溶性が高いために、加熱硬化前の貯蔵中
に顕著な粘度上昇を起こし、塗工不能となることが多
い。この場合、シェル成分となる(メタ)アクリレート
層を架橋処理することにより、貯蔵安定性は改善できる
が、本来の目的である耐衝撃性が低下するという背反し
た結果となる。また、従来より、イオン架橋したポリマ
ーは、通称アイオノマー(商標名)として、広く知られ
ている。このアイオノマーは、熱可逆的なイオン架橋を
利用して、二次元構造のポリマーの欠点である耐熱性、
耐溶剤性又は高温での耐クリープ性などの機械的特性を
イオン架橋構造によって改善するものであり、しかも、
通常の共有結合による三次元構造架橋ポリマーと相違し
て熱可塑性ポリマーとしての加工性をも維持している点
に特徴を有するものである。イオン架橋ポリマーは、こ
の特徴を活用して広い用途が開発されている。一方、加
熱硬化型接着剤の加工技術においては、可塑剤、液状モ
ノマー、液状ポリマー中に耐衝撃性改良剤などの樹脂微
粒子を懸濁分散して用いる場合がある。この場合、これ
ら分散体を加熱前に塗布又は賦形した後に、加熱処理に
よって反応させ、媒体と樹脂微粒子を一体的な物質に硬
化させるものであり、成形加工及び塗工の操作、成形品
の機械的物性の関係で、分散媒と樹脂微粒子の双方の物
質の相溶性パラメーター値が近いことが好ましい。しか
しながら、このような相溶性パラメーター値が近いもの
用いると、樹脂微粒子を分散体として保存中に、ポリマ
ー粒子が媒体物質により膨潤しやすくなって、分散体全
体の粘度が変化し、その貯蔵安定性が悪くなり、加熱前
の賦形操作や塗工操作に支障を来すなど、好ましくない
事態を招来する。ところで、自動車の製造に当たって
は、車のフレームに所定の搭載部品が組み込まれたの
ち、ボディの外板が取り付けられる。この外板の取り付
けは、一般には、外板とフレームの所要箇所の間を線状
で溶接する代わりにスポット溶接が行われ、そしてスポ
ット間を接着剤で接着することにより、簡便化が図られ
ている。また、フレームを無くし、ボディ自身で外力に
耐えられるモノコック・ボディ方式によっても多くの自
動車が製造されており、この場合は各単位間の接合にお
いて上記と同様にスポット間に接着剤が用いられる。こ
のような構造接着に用いられる接着剤としては、自動車
製造用の金属材料である冷間圧延鋼材、熱間圧延鋼材、
さらにはアルミニウム板などを大きな接着力で接着する
ことができるものでなければならない。すなわち、上記
の金属素材から成る被接着材料の種々のものに対して2
0kgf/25mm以上のT字剥離強度を常に発揮するもの
でなければならない。また、鋼板は一般に防錆のため防
錆油が塗付されているので、油面に対しても大きな接着
力をもつものでなければならない。従来の構造接着剤
は、このような種々の被接着材料に対して安定して大き
な接着強度を示すものではなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情のもとで、相溶性パラメーターの近いエポキシ樹脂
未硬化媒体にアクリレート又はメタクリレート系重合体
樹脂微粒子を分散した接着性組成物において、該樹脂微
粒子が媒体によって膨潤するのを防止して、長期間のの
貯蔵安定性に優れ、広範な被接着材料に対して高い接着
強度を有するエポキシ樹脂系構造接着性組成物を提供す
ることを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の好
ましい性質を有するエポキシ樹脂系接着性組成物を開発
すべく鋭意研究を重ねた結果、イオン架橋構造において
架橋構造でありながら熱可塑性を維持する特異な現象に
着目し、コアシェル型のアクリレート又はメタクリレー
ト系共重合体樹脂粒子をアルカリ処理によりけん化する
ことにより粒子表面ないし表面近傍の層の重合体にカル
ボキシ基を導入し、同時に金属イオンの存在によってイ
オン架橋化することによって、該粒子のエポキシ樹脂媒
体による膨潤現象を防止することができ、このイオン架
橋構造の樹脂粒子を含有するエポキシ樹脂系接着性組成
物は、長期間の貯蔵安定性に優れるとともに、熱硬化物
の機械的強度も良好であること、そしてこれに特定の添
加剤を加えることにより、広範な自動車構造材料に対し
て等しく大きな接着強度が得られることを見い出しこの
知見に基づき本発明を完成するに至った。
【0005】すなわち、本発明は、(A)(a)ガラス
転移点が−30℃以下のアクリレート又はメタクリレー
ト系重合体から成るコア成分と、(b)アクリレート又
はメタクリレート系単量体を単独または主成分とする単
量体混合物を重合して得られたガラス転移点が70℃以
上の重合体から成るシェル成分とから構成され、かつコ
ア成分/シェル成分重量比が10/1〜1/4の範囲に
ある重合体樹脂粒子をアルカリ処理によりけん化した樹
脂粉末粒子、(B)分子量180〜460の脂肪族及び
/又は芳香族系リン酸トリエステル、(C)ビスフェノ
ールA又はビスフェノールFから誘導されたエポキシ樹
脂、及び(D)エポキシ樹脂用熱活性型硬化剤を必須成
分として含有して成るエポキシ樹脂系構造接着性組成物
を提供するものである。以下、本発明を詳細に説明す
る。本発明組成物において、(A)成分として用いられ
る樹脂粉末粒子は、コアシェル型のアクリレート又はメ
タクリレート系共重合体樹脂粒子をアルカリ処理により
けん化してイオン架橋させたものである。該(A)成分
の樹脂粉末粒子の製造においては、まず(a)コア成分
であるガラス転移温度(Tg)が−30℃以下のアクリ
レート又はメタクリレート系重合体から成るゴム状のシ
ードポリマーを調製する。Tgが−30℃以下の重合体
を与える(メタ)アクリレート系単量体としては、n−
プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−
エチルヘキシルアクリレート、ブチルメタクリレートな
どが挙げられ、これらは1種用いてもよいし、2種以上
を組み合わせて用いてもよい。
【0006】また、前記の(メタ)アクリレート系単量
体に、所望により架橋性単量体を添加して、一層ゴム性
状を増してもよい。このための架橋性単量体としては、
2個以上の反応性が実質上等しい二重結合を有するも
の、例えばエチレングリコールジアクリレート、エチレ
ングリコールジメタクリレート、ブチレングリコールジ
アクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、
トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロー
ルプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパン
トリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタク
リレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ヘキサン
ジオールメタクリレート、オリゴエチレンジアクリレー
ト、オリゴエチレンジメタクリレート、さらにはジビニ
ルベンゼンなどの芳香族ジビニル単量体、トリメリット
酸トリアリル、トリアリルイソシアヌレートなどを用い
ることができる。これらの架橋性単量体は、得られる重
合体のTgが−30℃以下となる範囲で単独で用いても
よいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、また、
その使用量は、単量体全重量に基づき、通常0.01〜
5重量%、好ましくは0.1〜2重量%の範囲で選ばれ
る。さらに、前記(メタ)アクリレート系単量体及び架
橋性単量体とともに、所望に応じ共重合可能な他の単量
体を用いることができる。この所望に応じて用いられる
共重合可能な他の単量体としては、例えばスチレン、ビ
ニルトルエン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル
系化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなど
のシアン化ビニル系化合物、さらには、シアン化ビニリ
デン、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロ
キシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシブチルアク
リレート、2−ヒドロキシエチルフマレート、ヒドロキ
シブチルビニルエーテル、モノブチルマレエート、グリ
シジルメタクリレート、ブトキシエチルメタクリレート
などが挙げられる。これらは1種用いてもよいし、2種
以上を組み合わせて用いてもよく、その使用量は、得ら
れる重合体のTgが−30℃以下となる範囲で選ぶ必要
があるが、通常単量体全重量に基づき50重量%以下の
範囲で選ばれる。
【0007】次に、このようにして得られた(メタ)ア
クリレート系重合体粒子をコアとし、(メタ)アクリレ
ート系単量体を単独または主成分とする単量体混合物を
グラフト重合させて、(b)ガラス転移温度が70℃以
上の共重合体から成るシェルを形成させる第2段目の乳
化重合を行う。この際用いられる原料成分の(メタ)ア
クリレート系単量体としては、例えばエチルアクリレー
ト、n−ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、
ブチルメタクリレートなどのアルキル基の炭素数が1〜
4の(メタ)アクリレートが挙げられ、これらは1種用
いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい
が、これらの中で特にメチルメタクリレートが好適であ
る。また、この際、所望により架橋性単量体を添加して
もよい。この架橋性単量体としては、前記コアを形成す
る(メタ)アクリレート系重合体の説明において例示し
たものの中から1種又は2種以上を選び用いることがで
きる。この架橋性単量体の使用量は、単量体全重量に基
づき、通常0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5
重量%の範囲で選ばれる。さらに、所望に応じ、(メ
タ)アクリレート系単量体及び架橋性単量体と共重合可
能な他の単量体を用いることができる。この所望に応じ
て用いられる共重合可能な他の単量体としては、前記コ
アを形成する(メタ)アクリレート系重合体の説明にお
いて例示したものの中から1種又は2種以上を選び用い
ることができる。その使用量は単量体全重量に基づき、
通常50重量%以下の範囲で選ばれる。
【0008】前記シェルを形成する(メタ)アクリレー
ト系共重合体の転移温度は70℃以上であることが必要
で70℃未満ではエポキシ樹脂と混合して接着性組成物
とした場合、貯蔵安定性が不十分であり、重合体は加熱
融着性が高く、噴霧乾燥を行う際にノズルの詰まりなど
を引き起こす原因にもなる。このような多段乳化重合に
より得られたコアシェル型重合体を含むラテックスは、
通常不活性ガスを用いて直接噴霧乾燥することにより、
エポキシ樹脂への分散性に優れたコアシェル型粉末状重
合体が得られる。このコアシェル型粉末状重合体は、前
記のように少なくとも2段階の多段シード乳化重合法に
より得ることができるが、場合によっては1段目で作成
したシードラテックスを部分凝集させたのち、その上に
グラフト重合することにより作成してもよいし、さらに
は、乳化重合後に塩折法や凍結法によりラテックス粒子
を凝固分離し、脱水して調製したウェットケーキを流動
床などで乾燥して、凝集粒子状として得ることもでき
る。本発明においてはコア成分/シェル成分の重量比は
10/1〜1/4の範囲にあることが必要である。該重
量比が前記範囲を逸脱すると本発明の目的が十分に達せ
られない。次に、このようにして得られたコアシェル型
粒子をアルカリ処理し、シェル層の(メタ)アクリレー
トのエステル部分をけん化する。アルカリ処理の方法
は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム又は炭酸ナトリ
ウム等のアルカリ金属の水酸化物、炭酸化物、硝酸化物
等の塩、あるいは水酸化バリウム等のアルカリ土類金属
の塩の水溶液に該コアシェル粒子を浸し、温度70〜1
00℃にて5分及至10時間おく。この処理により該コ
アシェル粒子のシエル層の(メタ)アクリレート単量体
単位のエステルがけん化されて、重合体粒子表面にカル
ボキシル基が導入される。以上の処理は重合後のラテッ
クスに行ってもよい。けん化剤としてアルカリ金属また
はアルカリ土類金属の塩を用いるのは、生成した重合体
粒子表面のカルボキシル基間が金属カチオンを介してイ
オン架橋を形成することができるからである。勿論、硫
酸等強酸でエステルをけん化し、その後1価又は2価の
金属塩を添加してイオン架橋を形成させてもよいが、ア
ルカリ処理によれば一段の反応でイオン架橋まで進むの
で好ましい。また、イオン架橋物の構造にしても、前述
の疑似硬化性を低下させることはない。
【0009】このイオン性架橋の存在は赤外吸収スペク
トルによるカルボキシレート基の吸収の測定や金属イオ
ンの定量や溶剤に対する膨潤度を測定することにより容
易に分析可能である。イオン架橋の解離性については示
差熱分析で、密度については膨潤度の測定によりそれぞ
れ確認することが可能である。このようにして得られた
(A)成分のイオン性架橋物は、硫黄架橋やパーオキサ
イド架橋などの共有結合の架橋構造と異なり、熱可逆的
に架橋構造の形成が変化するため、イオン架橋によって
改質された樹脂粒子の表面は、室温では架橋された構造
の性質を示し、一方、加熱硬化の成形条件下では架橋が
解離した構造での性質を示し、その結果本発明組成物は
貯蔵安定性と成形物の機械的強度とを兼ね備えた特徴を
有している。すなわち、本発明においては、架橋剤とし
てのカチオンが、樹脂粒子のシェル部にアルカリけん化
により導入されたカルボキシル基間にイオン性架橋を形
成させ、該樹脂粒子のシェル部に形成した三次元ポリマ
ー構造によって、エポキシ樹脂媒体による室温での膨潤
性を低下させ、基体となるポリマーと分散媒との加熱硬
化物が本来の物性を損なうことなく、該組成物の貯蔵安
定性を改善させたものである。また、該樹脂粒子は、膨
潤性を低下させるためには、少なくともシェル部のポリ
マーにイオン架橋構造を設ければ、目的を達成すること
ができるが、所望により該樹脂粒子のコア部にも例えば
カルボキシル基含有単量体を共重合させてイオン架橋構
造を設けることも成形品の物性に応じて適宜採用するこ
とができる。本発明組成物において、(A)成分として
用いられるコアシェル型樹脂粒子は、例えば乳化重合
法、微細懸濁重合法及び懸濁重合法によって製造するこ
とができる。また、0.1〜5μm程度の大きさの微粒
子表面の改質を効果的にグラフト重合によって行うに
は、主に乳化重合法又は微細懸濁重合法により得た粒子
を凝集させたものに、前記したように、所要の単量体を
重合させてた後噴霧乾燥又は凝固後脱水乾燥した後、粒
子をアルカリでけん化して、イオン架橋するのが有効で
ある。
【0010】本発明組成物において、(B)成分として
用いられる分子量180〜460の脂肪酸族及び/又は
芳香族系リン酸トリエステルとしては、例えばトリクレ
ジルフォスフェート、トリ−2−エチルヘキシルフォス
フェート、トリブチルフォスフェート、トリフェニルフ
ォスフェート、トリキシリルフォスフェート、クレジル
ジフェニルフォスフェート、トリブトキシエチルフォス
フェート、トリエチルフォスフェート、ジフェニル−2
−メタクリロイロキシエチルフォスフェート、オクチル
ジフェニルフォスフェート、ジオクチル−2−メタクリ
ロイロキシエチルフォスフェート、トリスジクロロプロ
ピルフォスフェート、トリスジクロロエチルフォスフェ
ートなどが挙げられるが、これらの中で特にトリクレジ
ルフォスフェートが好適である。これらのリン酸トリエ
ステルは1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて
用いてもよく、その添加量は、通常(C)成分のエポキ
シ樹脂100重量部に対して、1〜30重量部、好まし
くは5〜20重量部の範囲で選ばれる。本発明組成物に
おいて、(C)成分として用いられるビスフェノールA
から誘導されるエポキシ樹脂の例としては、一般式
【0011】
【化1】
【0012】また、ビスフェノールFから誘導されるエ
ポキシ樹脂の例としては、一般式
【0013】
【化2】
【0014】で表されるものを挙げることができる。こ
れら一般式におけるnは0以上の数であるが、平均値と
して1未満のものが常温において液状であり好適であ
る。また、ビスフェノールAにエチレンオキシド又はプ
ロピレンオキシドをそれぞれ2〜20モル付加した化合
物から誘導されるエポキシ樹脂も使用することができ
る。本発明組成物において、(D)成分として用いられ
るエポキシ樹脂用熱活性型硬化剤としては、例えばジシ
アンジアミド、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、
2−n−ヘプタデシルイミダゾールのようなイミダゾー
ル誘導体、イソフタル酸ジヒドラジド、N,N−ジアル
キル尿素誘導体、N,N−ジアルキルチオ尿素誘導体、
テトラヒドロ無水フタル酸のような酸無水物、イソホロ
ンジアミン、m−フェニレンジアミン、N−アミノエチ
ルピペラジン、メラミン、グアナミン、三フッ化ホウ素
錯化合物、トリスジメチルアミノメチルフェノールなど
が挙げられ、これらは1種用いてもよいし、2種以上を
組み合わせて用いてもよいが、これらの中で、特にジシ
アンジアミドが好適である。この(D)成分の熱活性型
硬化剤の配合量は、特に限定されるものではないが、通
常(C)成分のエポキシ樹脂100重量部に対して3〜
30重量部、好ましくは5〜20重量部の割合である。
この量が、3重量部未満では硬化不良を起こして、各接
着強度を著しく低減させる原因となり、30重量部を越
えると成形時の過剰な発熱反応に伴い部分的な分解や熱
劣化を起こし、各接着強度の顕著な低下や変色を呈する
結果となる。本発明のエポキシ樹脂系接着性組成物は、
(C)成分のエポキシ樹脂に、(A)成分のイオン架橋
化樹脂粉末粒子、(B)成分のリン酸トリエステル及び
(D)成分の熱活性型硬化剤及び所望に応じて用いられ
る添加成分を配合し、均質に混合することにより調製す
ることができる。該接着性組成物に所望に応じて配合さ
れる添加成分としては、例えば可塑剤、希釈剤、安定
剤、乳化剤、充填剤、強化剤、着色剤、発泡剤、酸化防
止剤、紫外線防止剤、滑剤などが挙げられる。本発明の
エポキシ樹脂系接着性組成物は、特に自動車用構造接着
剤として用いられ、広範な被接着材料、例えば冷間圧延
鋼材、熱間圧延鋼板、冷間圧延ステンレス、アルミニウ
ム板などの接着に好適に用いられる。
【0015】
【実施例】次に実施例により本発明をさらに詳細に説明
するが、本発明はこれらの例によってなんら限定される
ものではない。なお、組成物の物性は次に示す方法によ
り評価した。 (1)初期粘度 接着性組成物を25℃にて1時間静置後、ブルックフィ
ールド(BH)型回転粘度計[東京計器(株)製]を用い
て、ローターNO7にて下降法で測定する。20rpmで
60、80及び100秒の粘度を測定し、次いで10rp
mでも同様に3回測定し、以後、5rpm、2.5rpmでも同
様に粘度を測定する。2.5rpmでの3つの値の平均値を
初期粘度とする。 (2)粘度貯蔵安定性 40℃で10日間放置後、ブルックフィールドH型粘度
計で測定した。粘度を初期粘度で除した値で評価した。 (3)疑似硬化性 105℃で10分間加熱してゲル化させ、剥離除去性を
求め、次の判定基準に従って評価した。 ○:ゲル化した接着性組成物が容易に剥離できたもの △:ゲル化した接着性組成物の強度が弱く、除去段階で
ちぎれたもの ×:105℃、10分間の加熱で疑似硬化しないもの (4)T字剥離強度 JIS K-6854に準じ、0.8×25×20cmのテ
ストピースを用いて実施した。 (5)引張剪断強度 JIS K-6850に準ずる。 実施例1〜4、比較例1〜8 n−ブチルアクリレート49重量部と2−エチルヘキシ
ルアクリレート1重量部とを用い、炭素数12〜18の
ソジウムアルキルサルフェート1重量部を乳化剤とし
て、過硫酸カリウム触媒0.1重量部を添加し、水15
0重量部中で重合温度70℃にて180分間撹拌して乳
化重合を行った。次いで、この重合によって得られたラ
テックスをシードにして、メチルメタクリレート50重
量部でグラフト重合し、アクリル系補強剤用の重合体を
製造した。重合後で得たラテックスを入口熱風温度16
0℃、出口気体温度55℃の条件で噴霧乾燥して、アク
リル系補強剤を得た。得られたアクリル系補強剤粉体を
30重量%になるように、5重量部の水酸化ナトリウム
を溶解した水に分散した後90℃で5時間混合した。次
いで脱水、洗浄し、45℃の熱風循環乾燥機で乾燥し
た。次に、エポキシ樹脂(エピコート828、シェル油
化エポキシ株式会社製)200重量部、潜在型硬化剤
(ジシアンジアミド)16重量部、前記補強剤100重
量部及び可塑剤15重量部を基本配合とした。配合は真
空脱泡付プラネタリーミキサーで行い、T字剥離試験用
サンプルとして所定の大きさの鋼板に塗工し、180℃
で30分間加熱硬化して試料とした。なお、鋼板は冷間
圧延鋼板(JIS G 3141 SPCC)である。各
物性の評価結果を第1表に示す。
【0016】
【表1】
【0017】
【表2】
【0018】注 1)ポリマー濃度を水に対して30wt%にして、撹拌し
ながら各温度で5時間けん化した。 2)40℃で10日間貯蔵した際の接着剤の粘度を初期
の粘度で除した値。 3)105℃で10分加熱した際のゲル化した後の剥離
除去性。
【0019】
【発明の効果】本発明のエポキシ樹脂系接着性組成物
は、強靭性と疑似硬化性を付与するため、粒子表面をア
ルカリ処理によりイオン架橋したアクリル系補強剤と良
好な施工性を得るためのリン酸エステル系改質剤を配合
したものであって、長期間の貯蔵安定性に優れ、高い接
着強度を有し、自動車用構造接着剤として好適に用いら
れる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−108028(JP,A) 特開 平3−277650(JP,A) 特開 平2−169679(JP,A) 特開 昭61−236873(JP,A) 特公 昭49−41102(JP,B1)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)(a)ガラス転移点が−30℃以下
    のアクリレート又はメタクリレート系重合体から成るコ
    ア成分と、(b)アクリレート又はメタクリレート系単
    量体を単独または主成分とする単量体混合物を重合して
    得られたガラス転移点が70℃以上の重合体から成るシ
    ェル成分とから構成され、かつコア成分/シェル成分重
    量比が10/1〜1/4の範囲にある重合体樹脂粒子を
    アルカリ処理によりけん化した樹脂粉末粒子、(B)分
    子量180〜460の脂肪族及び/又は芳香族系リン酸
    トリエステル、(C)ビスフェノールA又はビスフェノ
    ールFから誘導されたエポキシ樹脂、及び(D)エポキ
    シ樹脂用熱活性型硬化剤を必須成分として含有して成る
    エポキシ樹脂系構造接着性組成物。
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