JP2010501041A - メタクリル酸メチルコポリマーを基礎とするプラスチゾル - Google Patents
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Abstract
本発明は優れた接着性と低吸水性を有するプラスチゾルに関する。
Description
本発明は優れた接着性と低吸水性を有するプラスチゾルに関する。
プラスチゾルなる用語は、一般的に、微粉砕されたポリマー粉末を可塑剤中に分散させた、比較的高温に加熱することによりゲル化して強固になる分散液を意味する。
得られたプラスチゾル又はオルガノゾルは、非常に様々な目的において使用されており、特に、シーリング組成物及び消音組成物、自動車のための下側保護材、金属の防食コーティング、繊維材料及び紙から構成された基材の含浸及びコーティングのための(又は、例えば、カーペットの裏側のコーティングのための)コイルコーティング剤、床のコーティング剤、床のコーティング、合成皮革のためのトップコート、あるいはケーブル絶縁材などとして用いられている。
プラスチゾルの用途における重要な分野は、石片からの自動車の車体下側の薄鋼板の保護である。この用途では、プラスチゾルペースト及びそのゲル化した薄膜に対して、特に厳しい必要条件が課せられる。基本的な前提条件は、必然的に石片による摩耗に対する高い機械的抵抗性である。さらに、自動車産業において同じく不可欠である要素は、プラスチゾルペーストの有効寿命の最大化である(保存安定性)。
プラスチゾルペーストがゲル化前に水を吸収すると、吸収された水がゲル化処理中の高温で蒸発し、望ましくないブリスターが生じてしまうため、プラスチゾルペーストの吸水性傾向は許容できない。
プラスチゾルペーストがゲル化前に水を吸収すると、吸収された水がゲル化処理中の高温で蒸発し、望ましくないブリスターが生じてしまうため、プラスチゾルペーストの吸水性傾向は許容できない。
さらに、プラスチゾル膜は基材(主に、陰極電気塗装された薄鋼板)に対して良好な接着性を有していなければならず、このことは摩耗特性の重要な前提条件であるだけでなく、さらには防腐にとっても必要な条件である。
量的に、プラスチゾルの製造に最も頻繁に使用されるポリマーは、ポリ塩化ビニル(PVC)である。
PVCを基礎とするプラスチゾルは、良好な特性を示し、また、比較的安価であり、このことが、PVCを基礎とするプラスチゾルが幅広く継続して使用される主な理由である。
しかしながら、PVCプラスチゾルの製造及び使用では、多くの問題も生じる。PVCの実際の製造は、製造所の従業員が、モノマー性塩化ビニルによる健康被害に晒されるため、それ自体がいくらか問題の多いものである。その上、PVC中のモノマー性塩化ビニルの残留物の含有量はppb範囲であっても、さらなる処理中やエンドユーザーの施設において健康に害を及ぼす可能性がある。
PVCプラスチゾルの使用において特に難しい要因は、PVCが熱と光の両方に感応性であり、塩化水素を排出する傾向にあるということである。これは、このような条件下で塩化水素が排出され、金属基材を腐食し悪影響を及ぼすため、特に、プラスチゾルを比較的高温まで加熱しなければならない場合に深刻な問題となる。このことは、ゲル化時間を短縮するために比較的高い焼付温度を用いた場合や、例えば、スポット溶接などで局所的に温度が高くなる場合に特に重要である。
最も重大な問題は、PVCを含む廃棄物の廃棄処理において生じる。すなわち、産出された化合物は、時に、塩化水素だけでなく、非常に毒性の高いダイオキシンを含む可能性がある。鋼スクラップ関連のPVC残留物は、溶鋼の塩化物含有量の増加につながる可能性があり、同様に不利である。
このような理由から、長い間、PVCプラスチゾルに代わって、良好な処理特性と製品特性を有し塩素含有に関連して問題のない代替品についての研究と継続的な開発が行われてきた。
提案の一例は、塩化ビニルポリマーの少なくとも一部をアクリルポリマーと置き換えることである(特開昭60−258241号、特開昭61−185518号、特開昭61−207418号)。しかしながら、このアプローチは、単に、塩素含有によって引き起こされる問題を緩和するだけで、問題の解決にはなっていない。
様々なポリマーが塩素非含有のバインダーとして研究されてきた(ただし、通常、専ら乳化重合で製造されるものではない)。そのようなものの例としては、ポリスチレンコポリマー(例えば、独国特許第4034725号)、及びオレフィン(例えば、同第10048055号)が挙げられる。しかしながら、これらのプラスチゾルによるペースト又はゲル化膜の加工性及び/又は特性は、長年、PVCプラスチゾルを使用してきたユーザーの要求事項を満たすものではない。
しかしながら、ポリメタクリル酸は、PVCの良好な代替物であり、プラスチゾルの製造について、長い間関心を持たれてきた(例えば、独国特許第2543542号、同第3139090号、同第2722752号、同第2454235号)。
近年、メタクリル酸ポリアルキルを基礎とするプラスチゾルが、様々な要求特性における改良を含む多くの特許出願の論述の本旨として取り上げられている。
様々な特許明細書が、特定のモノマーを組み込むことによって接着性を改善できる可能性について言及している。
これらの一例としては、窒素含有モノマー(例えば、独国特許第4030080号に記載されている)がある。
独国特許第4130834号は、電着塗装金属薄板に対する接着性が改善され、ポリアクリル(メタ)アクリレートを基礎とするプラスチゾル系について記載しており、その場合に、バインダーは2〜12個の炭素原子のアルキル置換基を有するモノマー並びに無水物を含んでいる。
これらのモノマーによる接着性の改善は、一般的に、非常に著しくなく、それでもなお、接着性を大幅に改善するためには、これらのモノマーを大量に使用しなければならない。また、それによって、プラスチゾルの他の特性(例えば、保存安定性や可塑剤吸収能力など)も影響を受ける。
モノマー構成を変更した場合、ある特性を改善するために、別の特性の低下を受け入れなければならないというジレンマに陥ってしまうこともある。
また、バインダー自身によってではなく、プラスチゾルの配合に加える様々な接着促進剤で、接着性を達成しようとする試みも数多く行われてきた。
これらの接着促進剤の最も重要なものは、ブロック化イソシアネートであり、これは、大抵、硬化剤としてアミン誘導体に関連して使用される(例えば、欧州特許第214495号、独国特許第3442646号、同第3913807号など)。
ブロック化イソシアネートは、現在では広く使用されており、プラスチゾル膜の接着性に大きく貢献することについても疑いがない。それでもなお、これらの接着促進剤を含有していても、不十分な接着性の問題が残る。さらに、これらの添加剤は、非常に高価であるため、使用を控えるのが好ましい。
ブロック化イソシアネートは、現在では広く使用されており、プラスチゾル膜の接着性に大きく貢献することについても疑いがない。それでもなお、これらの接着促進剤を含有していても、不十分な接着性の問題が残る。さらに、これらの添加剤は、非常に高価であるため、使用を控えるのが好ましい。
他にも多くの解決法が提案されており、一例としては、接着促進剤として糖類の使用などがある(独国特許第10130888号)。
問題解決への努力とアプローチにもかかわらず、様々な基材上でプラスチゾル膜の適切な接着性を達成することは、特定の用途のプラスチゾルの開発における問題として残っている。
したがって、目的の1つは、良好な接着性を有するポリ(メタ)アクリレートプラスチゾルを提供することであった。接着の改善に用いられる手段は、新たな配合組成を開発せず、即座に有利に用いることができるように、従来の方法と並行して用いることができなければならない。別の目的は、ゲル化していないプラスチゾルペーストの吸水性を低減することであった。
本発明の目的は、バインダーを基礎とするプラスチゾルにおいて、
a)バインダーが乳化重合により製造され、
b)バインダーを構成するモノマーの50質量%を超えるモノマーが、アクリル酸、アクリル酸のエステル、メタクリル酸、及びメタクリル酸のエステルから成る群から選択され、
c)バインダーの製造に用いられる乳化剤が少なくとも1つの硫酸基を有している
ことを特徴とするプラスチゾルを用いて達成される。
a)バインダーが乳化重合により製造され、
b)バインダーを構成するモノマーの50質量%を超えるモノマーが、アクリル酸、アクリル酸のエステル、メタクリル酸、及びメタクリル酸のエステルから成る群から選択され、
c)バインダーの製造に用いられる乳化剤が少なくとも1つの硫酸基を有している
ことを特徴とするプラスチゾルを用いて達成される。
驚くことに、本発明のPMMAバインダーを基礎とするプラスチゾルが優れた接着性を有することが見出された。
ここで、金属表面及び陰極電気塗装された金属表面に対する優れた接着性は、特に重要である。その上、他の表面(例えば、ポリオレフィンなど)においても、相当する従来技術のバインダーと比較して、接着性の向上が見られた。
本発明のプラスチゾルは、薄鋼板又は金属表面に対して良好な接着性を有するために、使用する接着促進剤の量を著しく減らすことが可能である。また、用途に応じて、接着促進剤の添加全体を省略することが可能である。
驚くことに、本発明のこれらのプラスチゾルの吸水性が著しく低いことが見出されている。従来のプラスチゾルには、保存中や、適用されているがまだゲル化していないときに吸水する傾向がある。吸水後で、プラスチゾルをゲル化させるために加熱すると、この水が蒸発して、プラスチゾル膜中に望ましくないブリスターを発生させる。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、メタクリル酸(例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルなど)だけではなく、アクリル酸(例えば、メチルメクリレート、メタクリル酸エチルなど)も意味する。
本明細書において、「ラテックス」は、水にポリマー粒子を分散させたものを意味し、これらは乳化重合により得られる。
本明細書において、「一次粒子」は、乳剤重合工程の後に、その結果として得られる分散液(ラテックス)中に存在する粒子を意味する。
本明細書において、「二次粒子」は、乳剤重合工程中に得られた分散液(ラテックス)を乾燥して得られる粒子を意味する。
極めて一般的には、二次粒子は、乾燥工程に応じて、多くの凝集した一次粒子を含む。
本発明のプラスチゾルの配合組成に好適なバインダーは、乳化重合により製造され、場合により、複数の段階で実行され得る。
乳化重合が用いられる場合、有利には、エマルジョン供給又はモノマー供給によって操作することが可能であり、その場合には、水の一部、並びに開始剤及び乳化剤の全量又は一部を初期充填として用いる。その粒子径は、これらの工程において、例えば、初期充填として用いられる乳化剤の量や、あるいは予備製造された粒子(シードラテックスとして知られるもの)の既定量の添加によって、制御することができる。
使用される開始剤は、乳化重合において慣用的に用いられる化合物(例えば、過酸化水素、ペルオキソ二硫酸アンモニウム(APS)などの過化合物)だけでなく、二亜硫酸ナトリウム−APS−鉄などのレドックス系も含んでよく、あるいは、水溶性アゾ開始剤も含んでよい。開始剤の量は、ポリマーに対して、一般的に0.01〜0.5質量%である。
重合温度は、特定の範囲内において開始剤に依存する。例えば、APSを使用する場合、60〜90℃の範囲で操作するのが有利である。レドックス系を使用する場合、より低い温度、例えば30℃で重合を実施することも可能である。
また、操作は、バッチ重合法によって実施することもでき、またフィード重合法によっても行うことができる。バッチ重合では、モノマーの全量又は一部を初期充填として、助剤と共に用いて重合を開始する。ここで、モノマー−水の比率は、放出される反応熱に一致していなければならない。一般的に、50%濃度のエマルジョンを生成するために困難を伴わずに用いることができる方法では、最初に、水の全量中でモノマーの半量及び助剤の半量を乳化し、次いで室温で重合を開始して、反応を行った後にバッチを冷却し、残りのモノマーと助剤を加える。
半連続的な乳化重合の典型的な実施形態では、水(及び、一般的に乳化剤又はシードラテックス)を反応器中にて初期充填として用い、特定の開始温度まで加熱する。この温度は、通常、50〜100℃、好ましくは、70〜95℃である。
次いで、開始剤(又は、開始剤溶液)を加え、モノマーエマルジョン(モノマー、水、乳化剤より製造した)、又はモノマー混合物(水は含まないが、場合により、乳化剤を含む)を供給する。
代替手段として、開始剤を添加する前に、比較的少ない特定量のモノマーエマルジョン又はモノマー混合物を反応器へと計量供給することも可能である。開始剤の添加後、反応器中の温度の上昇から重合の開始を確認してから、残りのエマルジョン又はモノマー混合物を計量供給する。
多段生成の場合、さらなるエマルジョン又はモノマー混合物を、最初のエマルジョン又はモノマー混合物の添加後に、場合により中間反応時間の終了後に、場合により、さらなる開始剤の添加後に供給する。最終段階を繰り返すことで、コアの周りにさらなるシェルを構築できる。
処理温度を選択した温度範囲に収めるように、温度の制御(例えば、水浴温度)、及び適切な計量速度の調整に常に注意を払わなければならない。処理温度も、モノマー及び開始剤の選択に依存し、様々な段階で異なる場合があり、一般的には、50〜100℃、好ましくは70〜95℃である。
次いで、開始剤(又は、開始剤溶液)を加え、モノマーエマルジョン(モノマー、水、乳化剤より製造した)、又はモノマー混合物(水は含まないが、場合により、乳化剤を含む)を供給する。
代替手段として、開始剤を添加する前に、比較的少ない特定量のモノマーエマルジョン又はモノマー混合物を反応器へと計量供給することも可能である。開始剤の添加後、反応器中の温度の上昇から重合の開始を確認してから、残りのエマルジョン又はモノマー混合物を計量供給する。
多段生成の場合、さらなるエマルジョン又はモノマー混合物を、最初のエマルジョン又はモノマー混合物の添加後に、場合により中間反応時間の終了後に、場合により、さらなる開始剤の添加後に供給する。最終段階を繰り返すことで、コアの周りにさらなるシェルを構築できる。
処理温度を選択した温度範囲に収めるように、温度の制御(例えば、水浴温度)、及び適切な計量速度の調整に常に注意を払わなければならない。処理温度も、モノマー及び開始剤の選択に依存し、様々な段階で異なる場合があり、一般的には、50〜100℃、好ましくは70〜95℃である。
これらの処理、並びにエマルジョン供給法又はモノマー供給法あるいはバッチ処理法の多くの変形については、関連文献に詳細に記載されている。
当業者及び乳化重合技術に詳しい者にとって周知のように、この技術によって、様々な一次粒子構造を生成することができる。
一例として、モノマー混合物Aの重合及びそれに続くモノマー混合物Bの重合により、第1段階で得たポリマー粒子を第二段階で生成したポリマーが包む一次粒子を生成することができる。また、この場合、コア−シェル粒子なる用語も使用される。
コポリマーは、乳化重合中の特定の手順により、それ自体公知の方法で、コア材料及びシェル材料から生成される。この方法において、コア材料を形成するモノマーは、この方法の第1段階において水性エマルジョン中で重合される。第一段階のモノマーの重合が実質的に完了したとき、新しい粒子の形成が回避されるような条件下で、シェル材料のモノマー成分をエマルジョンポリマーに添加する。その結果、第二段階で生成されたポリマーが、コア材料の周りにシェル状に層を形成する。
さらに、3つ以上の異なるモノマー混合物A、B、C等を連続して重合することも可能である。このような方法で、コアが様々なポリマーの層で包まれたタマネギ状の構造の構造体を形成することも可能である。別の用語では、「多重シェル構造」とも呼ばれる。
この場合の隣接層は、異なるモノマー組成のポリマーで有用に構成される。しかしながら、非隣接層は、同一のモノマー組成のポリマーで構成することができる。
また、処理が供給プロセスで実施される場合、添加するモノマー混合物の構成も連続的に変更することができる。この方法では、ポリマーを形成するモノマー組成が、その粒子の中心から表面へと連続的に変化するような一次粒子が得られる。また、この種の構造は、勾配構造とも呼ばれる。
最後に、これらの構造を組み合わせること、例えば、粒子の中心のコアと外側のシェルとの間に、ポリマー組成がコアからシェルへと連続的に変化する領域を設けることなども可能である。従って、バインダーは、均質なモノマー組成の領域と、モノマー組成が徐々に変化する領域とを含む一次粒子で構成できる。
単一のモノマー構成を有するポリマーのみで構成された単一で均一な一次粒子のバインダーを基礎とするプラスチゾルと並んで、一次粒子が、上記の一次粒子構造のいずれか1つを有するようなバインダーを基礎とするプラスチゾルも、本発明の好ましい実施形態である。
乳化重合が普及し、それに伴って多くの特有の実施形態が開発され、その中のいくつかが特異的構造へとつながった。その1つの例は、特異的な勾配構造を得ることができるパワーフィード法である。
特定の用途において、これらの特異的な構造は、製品特性に対し有利であり得、したがって、本発明の1つの特定の実施形態は、一次粒子が乳化重合法(特に、半連続的な乳化重合法)の実施形態の1つによって可能となる構造を有するバインダーで構成されたプラスチゾルである。
特定の用途において、これらの特異的な構造は、製品特性に対し有利であり得、したがって、本発明の1つの特定の実施形態は、一次粒子が乳化重合法(特に、半連続的な乳化重合法)の実施形態の1つによって可能となる構造を有するバインダーで構成されたプラスチゾルである。
これらの方法で得られる一次粒子の平均粒径は、通常、200〜1200nmであり、これは、例えばレーザー散乱によって測定することができる。好ましい一次粒子径は、500〜1000nmであり、特に好ましいのは、600〜800nmである。
本発明のプラスチゾルの製造に好適なバインダーは、好ましくは、40〜98質量%のメタクリル酸メチル、好ましくは50〜88質量%のメタクリル酸メチル、特に60〜78質量%のメタクリル酸メチルを含むのが好ましい。
本発明のプラスチゾルの製造に好適なバインダーは、さらに、好ましくは0〜60質量%、より好ましくは15〜50質量%の他のメタクリル酸のアルキルエステル(例えば、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸ペンチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシルなど、並びにそれらの混合物も)を含む。特に好ましいのは、25〜40質量%である。
その上、本発明のプラスチゾルの製造に好適なバインダーは、好ましくは、0〜30質量%、好ましくは20質量%までのアクリル酸のアルキルエステルを含んでもよく、その例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルなど、並びにそれらの混合物である。特に好ましいのは、0〜10質量%である。
本発明のプラスチゾルの製造に好適なバインダーは、さらに、好ましくは0〜10質量%の酸含有モノマー及び/又はアミド基を有するモノマーを含んでもよい。これらのモノマーの例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、2−プロペン−1−スルホン酸、スチレンスルホン酸、アクリルアミドドデカンスルホン酸、アクリルアミド、メタクリルアミドなど、並びにそれらの混合物が挙げられる。特に好ましいのは、0.1〜5質量%、特に好ましくは0.3〜3質量%の酸含有モノマー及び/又はアミド基を有するモノマーである。これらの酸及び/又はアミドは、好ましくは、a)、b)、及びc)で言及されたモノマーによるラジカル共重合が可能である。
本発明のプラスチゾルの製造に好適なバインダーは、さらに、上記モノマーとの共重合が可能な0〜30質量%、好ましくは0.5〜15質量%の他のモノマーを含む。このようなモノマーの例としては、スチレン、エテン、プロペン、n−ブテン、イソブテン、n−ペンテン、イソペンテン、n−ヘキセン、ジビニルベンゼン、ジメタクリル酸エチレングリコール、メタクリル酸ヒドロキシエチル、9−ビニルカルバゾール、ビニルイミダゾール、3−ビニルカルバゾール、4−ビニルカルバゾール、ビニルオキソラン、ビニルフラン、ビニルチオフェン、ビニルチオラン、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸2−エトキシエチル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリルなど、並びにこれらの混合物が挙げられる。特に好ましいのは、これらのモノマー1〜8質量%である。
記載の質量%のデータは、モノマーの総質量に基づいており、a)、b)、c)、d)、及びe)の合計は100質量%となる。
言及された質量比率は、各場合、バインダーの一次粒子全体に基づいている。多段構造を有する一次粒子の場合、個々のシェル及びコアの組成は、確かに記載の制限から逸脱するが、粒子全体に基づいた場合には、そのような制限は本発明の好ましい実施形態を表す。
乳化重合による本発明のバインダーの製造は、界面活性剤の使用を必要とし、本発明に従って、この表面活性剤は、少なくとも1つの硫酸基を含む。
バインダーの製造に使用する乳化剤は、好ましくは、(a)硫酸基、(b)8個を超える炭素原子を有する分岐状又は非分岐状環状アルキル基、及び(c)場合により、エチレンクリコール単位、ジエチレンクリコール単位、トリエチレングリコール単位、もしくは高分子量ポリエチレングリコール単位、から構成される。
本発明の好ましい実施形態においては、硫酸アルキルが使用される。
ここで使用できる乳化剤は、まず1種だけの分子(例えば、n−ヘキサデシル硫酸ナトリウムなど)から化学的に構成されるものである。この場合、アルキル基は、非分岐状ヘキサデシル基のみで構成される。
他の例としては、n−オクチル硫酸ナトリウム、n−デシル硫酸ナトリウム、n−ドデシル硫酸ナトリウム、n−ヘキサデシル硫酸ナトリウム、2−エチルヘキシル硫酸ナトリウム、n−オクタデシル硫酸ナトリウムが挙げられる。
他の例としては、n−オクチル硫酸ナトリウム、n−デシル硫酸ナトリウム、n−ドデシル硫酸ナトリウム、n−ヘキサデシル硫酸ナトリウム、2−エチルヘキシル硫酸ナトリウム、n−オクタデシル硫酸ナトリウムが挙げられる。
しかしながら、界面活性剤の製造において使用される原料により、様々なアルキル基の混合物を含む乳化剤が得られることが多い。そのような例としては、「C16〜C18硫酸塩」が挙げられる。この界面活性剤は、16〜18個の炭素原子を有する様々な硫酸アルキルで構成され、その構成は使用する原料によって異なる。また、これらの界面活性剤には、純度に応じて、より短鎖の又はより長鎖の硫酸アルキルが「混入」する可能性がある。
好ましいのは、8個を超える炭素原子を有するアルキル基であり、特に好ましいのは、そのアルキル基が主にC12〜C14アルキル基である乳化剤である。
本発明の他の好ましい実施形態において、使用する界面活性剤は、アルキル基と硫酸基の間に1つ以上のエチレンオキサイド(−CH2−CH2−O−)単位を有するものである。また、これらは脂肪族アルコールポリエチレングリコールエーテル硫酸塩とも呼ばれる。
これらの例は、
好ましいのは、2〜8個のエチレンオキシド単位である。
好ましいのは、2〜8個のエチレンオキシド単位である。
本発明のプラスチゾルの製造に好適なバインダーの製造に好適である界面活性剤の他の例としては、アルキルフェノールエーテル硫酸塩が挙げられる。
乳化重合により、水中における分散液としてバインダーを含むラテックスが得られる。
バインダーは、凍結乾燥、沈殿、好ましくは噴霧乾燥により、従来の方法で、固体形態で得ることができる。
分散液は、公知の方法により噴霧乾燥することができる。産業上は、噴霧塔として知られる装置が使用され、噴霧塔に噴霧された分散液は、通常、熱風と共に噴霧塔内を下方へと貫流する。分散液は、1つ以上のノズルを介して噴霧されるか、又は好ましくは高速で回転する穴の開いたプレートにより霧状噴霧される。吹き込まれる熱風の温度は、100〜250℃、好ましくは150〜250℃である。空気の出口温度は、噴霧乾燥したエマルジョンポリマーの特性に対して決定的であり、乾燥粉末粒子が噴霧塔の底部又はサイクロン分離器中で、空気の流れから分離される温度を意味する。本発明では、この温度をエマルジョンポリマーが焼結又は溶融する温度を下回るように維持する。50〜95℃の出口温度が、多くの場合、良好な適性を示し、70〜90℃の出口温度が好ましい。
一定の空気流を前提とすると、単位時間当たりの系内に連続的に噴霧される分散液量を変えることにより、出口温度を制御することができる。
二次粒子は主にここで形成され、凝集した一次粒子で構成される。より大きな単位粒子を得るために、乾燥中に個々の一次粒子をお互いに融着させることは、有利である場合が多い(部分的溶固)。
凝集した単位粒子の平均粒径の基準として用いることのできる値は(例えば、レーザー回折法により測定)、5〜250μmである。20〜120μmの二次粒子の粒径が好ましく、40〜80μmである二次粒子の粒径が特に好ましい。
プラスチゾルペースト中の量的比率は、幅広い範囲で変えることができる。典型的な配合では、含まれる可塑剤の割合は、バインダー100質量部に対して50〜300質量部である。流動学的な要件を適切に満たすため(特にプラスチゾルの処理中に)、希釈剤として溶媒(例えば、炭化水素)を使用することも可能である。
使用する可塑剤の例としては、
・フタル酸のエステル、例えば、ジウンデシルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジオクチルフタレート、ジエチルヘキシルフタレート、ジ−C7〜C11−n−アルキルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ベンジルオクチルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジベンジルフタレート、及びジヘキシルジカプリルフタレートなど、
・ヒドロキシカルボン酸エステル、例えば、クエン酸のエステル(例えば、O−アセチルクエン酸トリブチル、O−アセチルクエン酸トリエチルなど)、酒石酸のエステル、又は乳酸のエステルなど、
・脂肪酸ジカルボン酸エステル、例えば、アジピン酸のエステル(例えば、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソデシルなど)、セバシン酸のエステル(例えば、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ビス(2−エチルヘキシル)など)、又はアゼライン酸のエステル、
・トリメリット酸のエステル、例えば、トリメリット酸トリス(2−エチルヘキシル)、安息香酸のエステル、例えば、安息香酸ベンジルなど、
・リン酸のエステル、例えば、リン酸トリクレジル、リン酸トリフェニル、リン酸ジフェニルクレシル、リン酸ジフェニルオクチル、リン酸トリス(2−エチルヘキシル)、リン酸トリス(2−ブトキシドエチル)など、
・フェノール又はクレゾールのアルキルスルホン酸エステル、ジベンジルトルエン、ジフェニルエーテルが挙げられる。
・フタル酸のエステル、例えば、ジウンデシルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジオクチルフタレート、ジエチルヘキシルフタレート、ジ−C7〜C11−n−アルキルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ベンジルオクチルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジベンジルフタレート、及びジヘキシルジカプリルフタレートなど、
・ヒドロキシカルボン酸エステル、例えば、クエン酸のエステル(例えば、O−アセチルクエン酸トリブチル、O−アセチルクエン酸トリエチルなど)、酒石酸のエステル、又は乳酸のエステルなど、
・脂肪酸ジカルボン酸エステル、例えば、アジピン酸のエステル(例えば、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソデシルなど)、セバシン酸のエステル(例えば、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ビス(2−エチルヘキシル)など)、又はアゼライン酸のエステル、
・トリメリット酸のエステル、例えば、トリメリット酸トリス(2−エチルヘキシル)、安息香酸のエステル、例えば、安息香酸ベンジルなど、
・リン酸のエステル、例えば、リン酸トリクレジル、リン酸トリフェニル、リン酸ジフェニルクレシル、リン酸ジフェニルオクチル、リン酸トリス(2−エチルヘキシル)、リン酸トリス(2−ブトキシドエチル)など、
・フェノール又はクレゾールのアルキルスルホン酸エステル、ジベンジルトルエン、ジフェニルエーテルが挙げられる。
言及した可塑剤及び他の可塑剤は、別々に、又は混合物形態で使用される。
フタレート、アジピン酸、リン酸塩、又はクエン酸の使用が好ましく、特に好ましいのは、フタレートである。
また、プラスチゾルは、通常、0〜300質量部の無機充填剤を含む。一例としては、炭酸カルシウム(白亜)、二酸化チタン、酸化カルシウム、あるいは、沈殿及び被覆白亜であり、これらは流動学的挙動の添加剤であり、あるいは、場合によりチキソトロピー高価のある試薬(例えば、ヒュームドシリカなど)が挙げられる。
40〜120質量部の量の接着促進剤を、さらにプラスチゾルに加える場合が多く、使用例としては、ポリアミノアミド又はブロック化イソシアネートが挙げられる。
欧州特許第1371674号は、一例として、ポリ(メタ)アクリレートプラスチゾルの分野の用途において、有効な接着促進剤として自己架橋型のブロック化イソシアネートについて記載している。
また、プラスチゾルは、用途の必要に応じて、プラスチゾルに慣用的に用いられる他の成分(助剤)、例えば、湿潤剤、安定剤、流動化剤、顔料、発泡剤など、を含んでもよい。
流動化剤としてのステアリン酸カルシウムが、その一例として挙げられる。
原則として、本発明のプラスチゾルの成分は、様々なミキサーによって混合することができる。しかしながら、PVCプラスチゾル及びポリ(メタ)アクリレートプラスチゾルの場合と同様に、好ましいのは、低速プラネタリーミキサー、高速ミキサー、及び対応するディソルバー、水平ターボミキサー、及び3ロールシステムであり、この場合の選択は、製造されるプラスチゾルの粘度に影響される。
通常、30分未満以内にゲル化するプラスチゾル組成物の層厚は、100〜220℃(好ましくは、120〜180℃)にて0.05〜5mmである。
金属部品のコーティングのための塗工方法として好ましいのは、現在のところ、噴霧法、例えば、ペースト噴霧法である。ここでのプラスチゾルは、通常、高圧力(約300〜400bar)を使用するエアレススプレーガンにより処理される。
特に重要な使用分野である自動車製造/底面部保護において通常用いられる手順は、プラスチゾルを車体の電着塗装及び乾燥後に塗布する方法である。熱硬化は、通常、オーブン(例えば、対流式オーブンなど)中において、100〜200℃、好ましくは120〜160℃の温度で、10〜30分の範囲の慣用的に用いられる(温度よって変わる)滞留時間で実施される。
金属基体の電気塗装については、多くの記述がある(独国特許出願公開第2751498号、同第2753861号、同第2732736号、同第2733188号、同第2833786号を参照)。
本発明のプラスチゾルは、継ぎ目の被覆に用いることができる。さらに、これらのプラスチゾルは、自動車底面部保護(例えば、石片に対して)に使用することができる。また、消音(例えば、自動車建設、及び家電(例えば、冷蔵庫や洗濯機)において)の分野にも適用される。
以下の例は、本発明のより十分な説明のためであり、本発明をこの開示した特徴に限定することを意図するものではない。
実施例
実施例1:
撹拌機、還流冷却器、温度計、及び計量ポンプを備え、水浴により温度調節可能な5リットルの反応器中に、窒素雰囲気下にて初期充填として水1100gを入れる。この系を、攪拌しながら74℃〜76℃まで予熱する。
実施例1:
撹拌機、還流冷却器、温度計、及び計量ポンプを備え、水浴により温度調節可能な5リットルの反応器中に、窒素雰囲気下にて初期充填として水1100gを入れる。この系を、攪拌しながら74℃〜76℃まで予熱する。
反応を開始するために、5%濃度のペルオキソ二硫酸ナトリウム水溶液30ml及び5%濃度の亜硫酸水素ナトリウム水溶液30mlを加える。
次いで、メタクリル酸メチル500g、メタクリル酸イソブチル250g、メタクリル酸n−ブチル250g、並びにドデシル硫酸ナトリウム8g及び脱イオン水450mlから成るモノマーエマルジョンを1時間かけて滴下する。
供給の終了後、この混合物を30分間撹拌し、次いでさらに5%濃度のペルオキソ二硫酸ナトリウム水溶液15ml及び5%濃度の亜硫酸水素ナトリウム水溶液15mlを加える。
メタクリル酸メチル700g、メタクリル酸イソブチル130g、メタクリル酸n−ブチル130g、メタクリルアミド40g、及びドデシル硫酸ナトリウム8g、並びに脱イオン水450mlから成る第2のモノマーエマルジョンを1時間以内に供給する。反応温度が80℃より高くならないように、水浴によって冷却する。
エマルジョンを加えた後、30分の後反応時間の間、温度を75℃〜80℃に維持し、その後、得られた分散液を室温まで冷却する。
ポリマー分散液は、遠心噴霧器を備えた乾燥塔で粉末へと変換する。ここでの塔の出口温度は80℃であり、噴霧器プレートの回転速度は20000rpmである。
比較例1:
比較例1の製造では、手順は、ただ1つを除いて、すべての点において実施例1の製造と同様に行った。各場合、乳化剤ドデシル硫酸ナトリウムを、同量の乳化剤ビス−2−エチルヘキシルスルホコハク酸塩(ナトリウム塩)に単に置き換えた。
比較例1の製造では、手順は、ただ1つを除いて、すべての点において実施例1の製造と同様に行った。各場合、乳化剤ドデシル硫酸ナトリウムを、同量の乳化剤ビス−2−エチルヘキシルスルホコハク酸塩(ナトリウム塩)に単に置き換えた。
吸水性と接着性の評価用のプラスチゾルの製造
吸水性の評価用のプラスチゾルペーストを、DIN 11468により塩化ポリビニルペーストに対して指定された方法に基づいて、ディソルバー中にて製造する。
吸水性の評価用のプラスチゾルペーストを、DIN 11468により塩化ポリビニルペーストに対して指定された方法に基づいて、ディソルバー中にて製造する。
以下の成分を使用した:
・100質量部のバインダー(コア−シェルポリマー)
・100質量部の可塑剤(フタル酸ジイソノニル)
・25質量部のブロック化イソシアネート(例えば、「Desmocap 11」)
・2質量部のイソシアネート用硬化剤(例えば、「Laromin C 260」)
・100質量部の沈降炭酸カルシウム(例えば、「Mikhart MU 12T」)
・10質量部の酸化カルシウム(例えば、「Omyalite 90」)
・15質量部の溶媒(例えば、「Isoper H」)
吸水性の評価
上記のようにして製造したプラスチゾルペーストを、ドクターブレードにより、金属薄板(厚さ約1mm)に面積80mm×80mm、厚さ2mmで塗工し、オーブンで、最初に110℃で15分間、次いで140℃で30分間予備ゲル化させた。
・100質量部のバインダー(コア−シェルポリマー)
・100質量部の可塑剤(フタル酸ジイソノニル)
・25質量部のブロック化イソシアネート(例えば、「Desmocap 11」)
・2質量部のイソシアネート用硬化剤(例えば、「Laromin C 260」)
・100質量部の沈降炭酸カルシウム(例えば、「Mikhart MU 12T」)
・10質量部の酸化カルシウム(例えば、「Omyalite 90」)
・15質量部の溶媒(例えば、「Isoper H」)
吸水性の評価
上記のようにして製造したプラスチゾルペーストを、ドクターブレードにより、金属薄板(厚さ約1mm)に面積80mm×80mm、厚さ2mmで塗工し、オーブンで、最初に110℃で15分間、次いで140℃で30分間予備ゲル化させた。
このコーティングされた金属プレートを、30℃、相対湿度80%の雰囲気中で10日間保存した。次いで、140℃のオーブンで30分間加熱し、プラスチゾルを完全にゲル化した。
吸水性は、膜表面の目視検査により定性評価した。吸水性が高い場合は、凸凹とブリスターが生じ、良好な試料では滑らかで欠陥のない表面だった。
実施例1によるバインダーは、この試験においてブリスターの発生が、比較例1に従って製造したブリスターより大幅に低かった。特定の領域Aのブリスターの数は、実施例1のバインダーで構成されたプラスチゾルでは30%〜40%少なく、その上、そのブリスターもより小さい。
ゲル化させたプラスチゾル膜の接着性評価
上記のようにして製造したプラスチゾルペーストを、ギャップの調節可能なドクターブレード(0〜3.0mmのギャップ幅)により、陰極電気塗装された薄鋼板にウェッジ状に塗工した。160℃で20分間硬化させた。
上記のようにして製造したプラスチゾルペーストを、ギャップの調節可能なドクターブレード(0〜3.0mmのギャップ幅)により、陰極電気塗装された薄鋼板にウェッジ状に塗工した。160℃で20分間硬化させた。
完全にゲル化させたプラスチゾル膜(ウェッジ状)に、鋭利なブレードを用いて、層厚の勾配に並行に1cm間隔で陰極電気塗装した基板の範囲まで切れ込みを入れる。
得られた幅1cmのプラスチゾル帯を、薄い側から始めて基板から剥がす。
膜が剥離した箇所での膜の厚さを接着性の評価とし、ここでの低膜厚が良好な接着性に対応している。
剥離点での膜厚は、層厚測定装置を用いて測定した。
上記の試験で測定した剥離膜厚は、比較例1を用いて製造したプラスチゾルでは210μmであり、実施例1を用いて製造したプラスチゾルでは、著しく良好な接着性を有しており、測定された剥離膜厚は60μmであった。
Claims (24)
- バインダーを基礎とするプラスチゾルにおいて、
a)該バインダーが乳化重合により製造され、
b)該バインダーを構成するモノマーの50質量%を超えるモノマーが、アクリル酸、アクリル酸のエステル、メタクリル酸、及びメタクリル酸のエステルから成る群から選択され、
c)該バインダーの製造に用いられた乳化剤が少なくとも1つの硫酸基を有することを特徴とするプラスチゾル。 - 前記バインダーが、コア−シェル構造を有する一次粒子で構成され、コアとシェルのモノマー組成が異なることを特徴とする、請求項1に記載のバインダーを基礎とするプラスチゾル。
- 前記バインダーが、多重シェル構造を有する一次粒子で構成され、モノマー組成の異なる複数のシェルが、中心に位置するコアの周りに同心円状に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載のバインダーを基礎とするプラスチゾル。
- 前記バインダーが、勾配構造を有する一次粒子で構成されているため、該粒子のモノマー組成が粒子の中心から表面へと変化することを特徴とする、請求項1に記載のバインダーを基礎とするプラスチゾル。
- 前記バインダーが、均一なモノマー組成の領域と、モノマー組成が徐々に変化している領域とを含む一次粒子で構成されていることを特徴とする、請求項1に記載のバインダーを基礎とするプラスチゾル。
- 前記バインダーが、乳化重合法、特に半連続的な乳化重合法の実施形態の1つによって可能となる構造を有する一次粒子で構成されていることを特徴とする、請求項1に記載のバインダーを基礎とするプラスチゾル。
- 前記一次粒径の平均粒径が200〜1200nmであることを特徴とする、請求項2から6のいずれか1項に記載のバインダーを基礎とするプラスチゾル。
- 前記バインダーが、前記モノマーの全質量に対し、
a)メタクリル酸のメチルエステル40〜98質量%と、
b)メタクリル酸の他のアルキルエステル0〜60質量%と、
c)アクリル酸のアルキルエステル0〜30質量%と、
d)a)、b)、及びc)として挙げたモノマーとのラジカル共重合が可能な酸及び/又はアミド0〜10質量%と、
e)a)、b)、及びc)として挙げたモノマーとのラジカル共重合が可能な他のモノマー0〜30質量%(ただし、a)、b)、c)、d)、及びe)を合わせると100質量%になる)とを含むことを特徴とする、請求項1に記載のバインダーを基礎とするプラスチゾル。 - 前記バインダーの製造に使用される乳化剤が、
a)硫酸基と、
b)分岐又は非分岐の、あるいは環状の、8個を超える炭素原子を有するアルキル基と、
c)場合により、エチレングリコール単位、ジエチレングリコール単位、トリエチレングリコール単位、又は高分子量のポリエチレングリコール単位から構成されていることを特徴とする、請求項1に記載のバインダーを基礎とするプラスチゾル。 - 前記バインダーの製造に使用される前記乳化剤が、硫酸アルキルであることを特徴とする、請求項1に記載のバインダーを基礎とするプラスチゾル。
- 前記バインダーの製造に使用する前記乳化剤が硫酸アルキルであり、該アルキル基が主に12〜14個の炭素原子を含むことを特徴とする、請求項1に記載のバインダーを基礎とするプラスチゾル。
- 前記バインダーが、平均粒径が5μm〜250μmの粉体であることを特徴とする、請求項1に記載のバインダーを基礎とするプラスチゾル。
- a)前記バインダーが、乳化重合によって製造され、場合により、該製造が複数の段階において実施され、
b)得られた分散液を乾燥することによって、前記バインダーが粉体へと変換され、
c)該粉体と、少なくとも1種の可塑剤、及び場合により、接着促進剤及び/又は充填剤、並びに場合によりプラスチゾルに慣用的なさらなる成分とが混合されることを特徴とする、請求項1に記載のバインダーを基礎とするプラスチゾルの製造方法。 - 前記バインダーの製造のために、開始溶液を初充填し、モノマーエマルジョンを供給して、場合により、さらなるモノマーエマルジョンを50℃〜100℃の温度で供給することを特徴とする、請求項12に記載のバインダーを基礎とするプラスチゾルの製造方法。
- 様々なモノマーエマルジョンを供給することを特徴とする、請求項12に記載のプラスチゾルの製造方法。
- 第2のモノマーエマルジョンの供給及びさらなるモノマーエマルジョン全ての供給を、70〜95℃で行うことを特徴とする、請求項12に記載のプラスチゾルの製造方法。
- 可塑剤50〜300質量部、接着促進剤40〜120質量部、及び/又は充填剤0〜300質量部を、バインダー100質量部と混合することを特徴とする、請求項12に記載のプラスチゾルの製造方法。
- 前記分散液を噴霧乾燥によって乾燥することを特徴とする、請求項12に記載のプラスチゾルの製造方法。
- 金属表面のコーティングのための請求項1に記載のプラスチゾル。
- 請求項1に記載のプラスチゾルによるコーティングが、場合により事前の電気溶着塗装後に行われていることを特徴とする、コーティングされた金属表面。
- 底面部保護としての、請求項1に記載のプラスチゾルの使用。
- 継ぎ目被覆としての、請求項1に記載のプラスチゾルの使用。
- 薄鋼板振動を減衰させるための、請求項1に記載のプラスチゾルの使用。
- ポリオレフィンのコーティングのための、請求項1に記載のプラスチゾルの使用。
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