JPH0753855B2 - エポキシ樹脂系接着性組成物 - Google Patents

エポキシ樹脂系接着性組成物

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JPH0753855B2
JPH0753855B2 JP20848893A JP20848893A JPH0753855B2 JP H0753855 B2 JPH0753855 B2 JP H0753855B2 JP 20848893 A JP20848893 A JP 20848893A JP 20848893 A JP20848893 A JP 20848893A JP H0753855 B2 JPH0753855 B2 JP H0753855B2
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昭 中山
敏夫 永瀬
正 芦田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規なエポキシ樹脂系接
着性組成物、さらに詳しくは、イオン架橋した強靭性と
疑似硬化性を付加するための改質剤を配合して成る、長
期間の貯蔵安定性に優れた構造用エポキシ樹脂系接着性
組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、エポキシ樹脂は種々の優れた性質
を有することから、例えば接着剤、接着フイルム、母材
樹脂、注型用樹脂、粉体成形用樹脂、塗料、電子回路封
止剤、各種複合材用基材樹脂などの用途に幅広く用いら
れている。しかしながら、このエポキシ樹脂は耐衝撃性
が不十分であるという欠点を有し、これまで種々の改良
がなされてきた。この耐衝撃性を改良する方法は、エポ
キシ樹脂自体の化学構造を改良する方法と、別途調製し
た耐衝撃性改良剤をエポキシ樹脂に添加する方法とに大
別することができるが、前者の方法のみでは耐衝撃性を
十分に満足させうるエポキシ樹脂は得られない。一方、
後者の方法としては、未硬化エポキシ樹脂に、(1)可
溶性エラストマー単量体を添加し、両者を同時に重合す
る方法、(2)相溶性のあるエラストマー重合体を添加
する方法、(3)微粒子状の耐衝撃性改良用重合体を分
散させる方法などが知られている。前記(1)の方法に
ついては、エポキシ樹脂中でn−ブチルアクリレートを
SIPN(Simultaneous interpe
netrating networks)として、0.
1〜0.2μmのゴムドメインを生成させる方法が試み
られているが[「ジャーナル・オブ・ポリマー・サイエ
ンス・シンポジウム(J Polymer Sci.S
ymposium)」第46巻、第175〜190ペー
ジ(1974年)]、この方法は一般的に生成物の軟化
点が低下するとともに機械的強度がばらつくなどの欠点
を有している。また、前記(2)の方法については、カ
ルボキシル基とアミノ基を末端基とするブタジエン−ア
クリロニトリル共重合ゴムなどのエラストマー成分を添
加してゴム変性する例が種々提案され、その一部は実用
化されているが、この方法で得られたものは構造用接着
剤として使用するには、耐衝撃性や靭性の点で、まだ十
分に満足しうるとはいえない。さらに(3)の方法につ
いては、ポリアミド樹脂系をはじめとして、多くの耐衝
撃性改良剤が提案されているが、これらはいずれも疑似
硬化性が不十分であるという欠点を有している。ところ
で、一般に、プラスチックの耐衝撃性改良剤としてガラ
ス転移温度が−30℃以下のゴム成分を添加すると、外
部からの応力を吸収する働きをして耐衝撃強度が大幅に
向上することが知られている。しかしながら、このよう
なゴム成分の多くは液状のエポキシ樹脂をマトリックス
として混合した場合、その分散性が混合条件の影響を受
けやすく、かつ得られた組成物は貯蔵性が不安定であっ
て、長期の安定性が要求される接着剤としては実用的で
ない。さらに、エポキシ樹脂系接着剤においては、疑似
硬化性を有することも重要であり、エポキシ樹脂に、耐
衝撃性改良効果を維持しながら疑似硬化性を付与するた
めには、(メタ)アクリレート系重合体から成るコアシ
ェル型改質剤が有効なことが知られている(特開平2−
80483号公報)。ここでいう疑似硬化性とは、液状
やペースト状接着剤が熱硬化する温度より低い加熱温度
で、非粘着又は粘着状態に固化する性質を指し、このよ
うな疑似硬化性は以下に示すような利点を有している。
すなわち、自動車工業においては、エポキシ樹脂をベー
スにした加熱硬化型接着性組成物を金属基材に塗布した
のち、折り曲げ、切断、脱脂洗浄、酸処理などの加工を
施すことがあるが、この際、接着剤の脱落や飛散、ある
いは接着部からはみ出した余剰の接着剤の除去などによ
る作業環境の悪化や、接着剤の溶出による塗装前処理液
の汚染などを引き起こしやすいという問題が生じる。こ
れに対し、基材に接着剤を塗布したのち、短時間で加熱
を行い、疑似硬化物とすることにより、基材からの余剰
接着剤の除去が容易となる上、塗装前処理液の汚染の問
題も解決することができる。しかしながら、前記のよう
な(メタ)アクリレート系樹脂を利用した疑似硬化性及
び耐衝撃性付与剤粒子は、接着性組成物の媒体となるエ
ポキシ樹脂と相溶性が高いために、加熱硬化前の貯蔵中
に顕著な粘度上昇を起こし、塗工不能となることが多
い。この場合、シェル成分となる(メタ)アクリレート
層を架橋処理することにより、貯蔵安定性は改善できる
が、本来の目的である耐衝撃性が低下するという背反し
た結果となる。また、従来より、イオン架橋したポリマ
ーは、通称アイオノマー(商標名)として、広く知られ
ている。このアイオノマーは、熱可逆的なイオン架橋を
利用して、二次元構造のポリマーの欠点である耐熱性、
耐溶剤性又は高温での耐クリープ性などの機械的特性を
イオン架橋構造によって改善するものであり、しかも、
通常の共有結合による三次元構造架橋ポリマーと相違し
て熱可塑性ポリマーとしての加工性をも維持している点
に特徴を有するものである。イオン架橋ポリマーは、こ
の特徴を活用して広い用途が開発されている。しかしな
がら、加熱によって可逆的に架橋構造が変る点を利用し
て、液状媒体と相溶性の良好な分散粒子の貯蔵安定性を
改善した例は、これまで知られていない。一方、加熱硬
化型接着剤の加工技術においては、可塑剤、液状モノマ
ー、液状ポリマー中に耐衝撃性改良剤などの樹脂微粒子
を懸濁分散して用いる場合がある。この場合、これら分
散体を加熱前に塗布又は賦形した後に、加熱処理によっ
て反応させ、媒体と樹脂微粒子を一体的な物質に硬化さ
せるものであり、成形加工及び塗工の操作、成形品の機
械的物性の関係で、分散媒と樹脂微粒子の双方の物質の
相溶性パラメーター値が近いことが好ましい。しかしな
がら、このような相溶性パラメーター値が近いもの用い
ると、樹脂微粒子を分散体として保存中に、ポリマー粒
子が媒体物質により膨潤しやすくなって、分散体全体の
粘度が変化し、その貯蔵安定性が悪くなり、加熱前の賦
形操作や塗工操作に支障を来すなど、好ましくない事態
を招来する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情のもとで、相溶性パラメーターの近いエポキシ樹脂
未硬化媒体にアクリレート又はメタクリレート系重合体
樹脂微粒子を分散した接着性組成物において、該樹脂微
粒子が媒体によって膨潤するのを防止して、長期間の貯
蔵安定性に優れたエポキシ樹脂系接着性組成物を提供す
ることを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の好
ましい性質を有するエポキシ樹脂系接着性組成物を開発
すべく鋭意研究を重ねた結果、イオン架橋構造において
架橋構造でありながら熱可塑性を維持する特異な現象に
着目し、コアシェル型のアクリレート又はメタクリレー
ト系共重合体樹脂粒子をイオン架橋化することによっ
て、該粒子のエポキシ樹脂媒体による膨潤現象を防止す
ることができ、このイオン架橋構造の樹脂粒子を含有す
るエポキシ樹脂系接着性組成物は、長期間の貯蔵安定性
に優れるとともに、熱硬化物の機械的強度も良好である
ことを見い出した。本発明は、このような知見に基づい
てなされたものである。
【0005】すなわち、本発明は、(A)(a)ガラス
転移温度が−30℃以下のアクリレート又はメタクリレ
ート系重合体から成るコア成分と、(b)(イ)アクリ
レート又はメタクリレート系単量体と(ロ)カルボキシ
ル基を有する炭素数3〜8のラジカル重合性不飽和カル
ボン酸単量体と(ハ)架橋性単量体とから得られたガラ
ス転移温度が70℃以上の共重合体から成るシェル成分
とから構成され、かつコア成分/シェル成分重量比が1
0/1〜1/4の範囲にある共重合体樹脂粒子に一価又
は二価の金属カチオンを付加してイオン架橋させた樹脂
粉末粒子、(B)ビスフェノールA及び/又はビスフェ
ノールFから誘導されたエポキシ樹脂、及び(C)エポ
キシ樹脂用熱活性型硬化剤を必須成分として含有して成
るエポキシ樹脂系接着性組成物を提供するものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0006】本発明組成物において、(A)成分として
用いられる樹脂粉末粒子は、コアシェル型のアクリレー
ト又はメタクリレート系共重合体樹脂粒子に一価又は二
価の金属カチオンを付加してイオン架橋させたものであ
る。該(A)成分の樹脂粉末粒子の製造においては、ま
ず(a)コア成分であるガラス転移温度(Tg)が−3
0℃以下のアクリレート又はメタクリレート系重合体か
ら成るゴム状のシードポリマーを調製する。Tgが−3
0℃以下の重合体を与える(メタ)アクリレート系単量
体としては、n−プロピルアクリレート、n−ブチルア
クリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−デ
シルメタクリレートなどが挙げられ、これらは1種用い
てもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0007】また、前記の(メタ)アクリレート系単量
体に、所望により架橋性単量体を添加して、一層ゴム性
状を増してもよい。このための架橋性単量体としては、
2個以上の反応性が実質上等しい二重結合を有するも
の、例えばエチレングリコールジアクリレート、エチレ
ングリコールジメタクリレート、ブチレングリコールジ
アクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、
トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロー
ルプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパン
トリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタク
リレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ヘキサン
ジオールメタクリレート、オリゴエチレンジアクリレー
ト、オリゴエチレンジメタクリレート、さらにはジビニ
ルベンゼンなどの芳香族ジビニル単量体、トリメリット
酸トリアリル、トリアリルイソシアヌレートなどを用い
ることができる。これらの架橋性単量体は、得られる重
合体のTgが−30℃以下となる範囲で単独で用いても
よいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、また、
その使用量は、単量体全重量に基づき、通常0.01〜
5重量%、好ましくは0.1〜2重量%の範囲で選ばれ
る。
【0008】さらに、前記(メタ)アクリレート系単量
体及び架橋性単量体とともに、所望に応じ共重合可能な
他の単量体を用いることができる。この所望に応じて用
いられる共重合可能な他の単量体としては、例えばスチ
レン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンなどの芳香
族ビニル系化合物、アクリロニトリル、メタクリロニト
リルなどのシアン化ビニル系化合物、さらには、シアン
化ビニリデン、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2
−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシブ
チルアクリレート、2−ヒドロキシエチルフマレート、
ヒドロキシブチルビニルエーテル、モノブチルマレエー
ト、グリシジルメタクリレート、ブトキシエチルメタク
リレートなどが挙げられる。これらは1種用いてもよい
し、2種以上を組み合わせて用いてもよく、その使用量
は、得られる重合体のTgが−30℃以下となる範囲で
選ぶ必要があるが、通常単量体全重量に基づき50重量
%以下の範囲で選ばれる。
【0009】次に、このようにして得られた(メタ)ア
クリレート系重合体粒子をコアとし、(イ)(メタ)ア
クリレート系単量体と(ロ)カルボキシル基を有する炭
素数3〜8のラジカル重合性不飽和カルボン酸単量体と
(ハ)架橋性単量体とをグラフト共重合させて、(b)
ガラス転移温度が70℃以上の共重合体から成るシェル
を形成させる第2段目の乳化重合を行う。この際用いら
れる(イ)原料成分の(メタ)アクリレート系単量体と
しては、例えばエチルアクリレート、n−ブチルアクリ
レート、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート
などのアルキル基の炭素数が1〜4の(メタ)アクリレ
ートが挙げられ、これらは1種用いてもよいし、2種以
上を組み合わせて用いてもよいが、これらの中で特にメ
チルメタクリレートが好適である。
【0010】また、(ロ)原料成分として用いられるカ
ルボキシル基を有する炭素数3〜8のラジカル重合性不
飽和カルボン酸単量体としては、例えばアクリル酸、メ
タクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸など
の不飽和モノカルボン酸、マレイン酸、イタコン酸、フ
マル酸、シトラコン酸、クロロマレイン酸などの不飽和
ジカルボン酸やその無水物、マレイン酸モノメチル、マ
レイン酸モノエチル、マレイン酸モノブチル、フマル酸
モノメチル、フマル酸モノエチル、イタコン酸モノメチ
ル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノブチルなど
の不飽和ジカルボン酸のモノエステルやその誘導体など
が挙げられる。これらは1種用いてもよいし、2種以上
を組み合わせて用いてもよいが、これらの中で特にアク
リル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸及
びフマル酸が好適である。一方、(ハ)原料成分の架橋
性単量体としては、前記コアを形成する(メタ)アクリ
レート系重合体の説明において例示したものの中から1
種又は2種以上を選び用いることができる。この架橋性
単量体の使用量は、単量体全重量に基づき、通常0.0
1〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%の範囲で
選ばれる。
【0011】さらに、所望に応じ、前記(イ)、(ロ)
及び(ハ)原料成分と共に、共重合可能な他の単量体を
用いることができる。この所望に応じて用いられる共重
合可能な他の単量体としては、前記コアを形成する(メ
タ)アクリレート系重合体の説明において例示したもの
の中から1種又は2種以上を選び用いることができる。
その使用量は単量体全重量に基づき、通常50重量%以
下の範囲で選ばれる。 このようにして得られた樹脂粒子は、少なくともシェル
部にはカルボキシル基を含有する共重合体が存在し、該
共重合体はカルボキシル基を含む単量体単位が共重合体
1分子当たり、平均して1個以上結合し、かつ該共重合
体100重量部当たり0.01〜20重量部、好ましく
は0.05〜10重量部、さらに好ましくは0.1〜5重
量部の割合でカルボキシル基を有する単量体単位を含有
するものが望ましい。この単量体単位の含有量が0.0
1重量部未満ではイオン架橋による粒子表面の改質効果
がほとんど発揮されないし、20重量部を超えるとその
量の割には粒子表面の改質効果の向上は認められず、む
しろ基体樹脂本来の機械的特性が低下し、好ましくな
い。
【0012】該樹脂粒子においては、シェル部全体をカ
ルボキシル基を有する共重合体にすることができるし、
シェル部の最外層のみをカルボキシル基を有する共重合
体にすることもできる。シェル部の最外層のみをカルボ
キシル基を含む共重合体にするには、カルボキシル基含
有単量体を、全重合反応の後期に連続的あるいは断続的
に添加すればよい。この方法によって、カルボキシル基
を有する単量体単位の樹脂粒子全体に占める割合を減少
させて、本来の樹脂物性を維持することができる。ま
た、シェル部のみにカルボキシル基を有する共重合体が
存在する樹脂粒子を製造する場合は、例えばまず、カル
ボキシル基を有する単量体を除いて、所要の単量体成分
のみを乳化重合してコア部となる重合体微粒子のラテッ
クスを製造したのち、このラテックスにカルボキシル基
を有する単量体を含む所要の単量体成分を添加して重合
を続行し、該コア部重合体微粒子の表面に、カルボキシ
ル基を有する共重合体から成るシェル部を形成させる、
いわゆるコア/シェル乳化重合法を用いることができ
る。また、所望により、シェル部の共重合体に用いる主
たる単量体を、コア部重合体粒子に用いる単量体と別の
種類にすることもできる。
【0013】前記シェルを形成する(メタ)アクリレー
ト系共重合体の転移温度は70℃以上であることが必要
で70℃未満ではエポキシ樹脂と混合して接着性組成物
とした場合、貯蔵安定性が不十分であり、重合体は加熱
融着性が高く、噴霧乾燥を行う際にノズルの詰まりなど
を引き起こす原因にもなる。このような多段乳化重合に
より得られたコアシェル型重合体を含むラテックスは、
通常直接噴霧乾燥することにより、エポキシ樹脂への分
散性に優れたコアシェル型粉末状重合体が得られる。こ
のコアシェル型粉末状重合体は、前記のように少なくと
も2段階の多段シード乳化重合法により得ることができ
るが、場合によっては1段目で作成したシードラテック
スを部分凝集させたのち、その上にグラフト重合するこ
とにより作成してもよいし、さらには、乳化重合後に塩
折法や凍結法によりラテックス粒子を凝固分離し、脱水
して調製したウェットケーキを流動床などで乾燥して、
凝集粒子状として得ることもできる。
【0014】このようにして得られたコアシェル型樹脂
粒子のシェル部の重量は、(イ)成分の(メタ)アクリ
レート系単量体、(ロ)成分のカルボキシル基を有する
ラジカル重合性不飽和単量体、(ハ)成分の架橋性単量
体及び所望に応じて用いられる他の共重合可能な単量体
とをグラフト共重合させた間に生成した共重合体の重量
でもって表され、本発明においてはコア成分/シェル成
分の重量比は10/1〜1/4の範囲にあることが必要
である。該重量比が前記範囲を逸脱すると本発明の目的
が十分に達せられない。次に、前記コアシェル型樹脂粒
子に一価又は二価の金属カチオンを付加してイオン架橋
させる。この一価又は二価の金属カチオンとしては、例
えばカリウム、ナトリウム、リチウム、セシウムなどの
一価の金属イオン、カルシウム、亜鉛、スズ、クロム、
鉛などの二価の金属イオン、特に周期律表I〜III族に
属する金属の一価又は二価のイオンが好ましい。また、
該カチオンの供給体としては、前記一価又は二価の金属
イオンの酸化物、水酸化物、リン酸塩、炭酸塩、硝酸
塩、硫酸塩、塩化物、亜硝酸塩、亜硫酸塩、さらにはオ
クチル酸、ステアリン酸、オレイン酸、カプリン酸、ギ
酸、コハク酸、エルシン酸、リノレン酸、パルチミチン
酸、プロピオン酸、酢酸、アジピン酸、酪酸、ナフテン
酸、チオカルボン酸などの有機酸の塩、アセチルアセト
ン塩、エトキシドやメトキシドなどのアルコラートなど
が挙げられる。酸塩の場合は、酸の解離定数pKaが4
以上のものが望ましい。またこれらのカチオン供給体の
中で、特に一価の金属の水酸化物及びカルボン酸塩がイ
オン架橋の反応効率や加熱成形品の機械的強度の点から
有効である。
【0015】前記一価及び二価のカチオン供給体は、三
価以上のカチオン供給体のように、架橋反応を行うに当
って、比較的長い時間の加熱などを必要とせず、溶液中
においては、室温で数分以内で架橋反応が可能であると
いう特徴を有している。水系重合液中でカルボキシル含
有単量体を共重合させた場合は、その親水性によって微
粒子表層に、カルボキシル基の大部分が集積されている
ので、水層にカチオン供給体を添加する場合は、イオン
間の反応であるために、水層中に解離したカチオンと解
離性の高いカルボキシル基との遭遇の確率は極めて高
く、短時間で架橋反応が完了する。本発明における架橋
反応は、シェル部の表面で起こるものであるので、コア
部を構成する樹脂がカルボキシル基含有単量体との共重
合体である必要はないが、カルボキシル基を有する共重
合体にすることもできる。また、該樹脂粒子のイオン性
架橋速度の温度依存性が少なく、0〜50℃の温度範囲
では、イオン架橋した後の金属イオンの共重合体中の存
在量は不変であり、イオン架橋反応においては特に温度
管理は不要で、一定のイオン架橋を容易に得ることがで
きる。
【0016】上記イオン性架橋物はカルボキシル基の一
部ないし全量がイオン化して、カルボキシルアニオンと
なり、一価又は二価の金属イオンをカウンターカチオン
としてイオン結合を形成するために、イオン架橋率は添
加するカチオン供給体の量によって容易に調節すること
ができる。上述のイオン性架橋反応は一般的に定量的に
進行するが、理論量よりも過剰量のカチオン供給体を使
用することができる。このイオン性架橋の存在は赤外吸
収スペクトルによるカルボキシレート基の吸収の測定や
金属イオンの定量や溶剤に対する膨潤度を測定すること
により容易に分析可能である。イオン架橋の解離性につ
いては示差熱分析で、密度については膨潤度の測定によ
りそれぞれ確認することが可能である。本発明で用いる
イオン性架橋物を効率的に得るためには、所望の架橋度
に応じて、共重合体中に含有するカルボキシル基当たり
のカチオン供給体の金属原子のモル比を選択する必要が
あり、カチオン供給体の添加量は共重合体中のカルボキ
シル基量に対して0.1〜3モル倍が好適範囲で、この
モル比では該イオン性架橋物は特に機械的特性が優れた
ものとなる。上記モル比が0.1モル倍未満の場合は表
面改質効果が顕著に劣り、3モル倍を超えた場合は機械
的特性が低下する傾向がみられ好ましくない。また、上
記のように、イオン性架橋物の構造にしても、前述の疑
似硬化性を低下させることはない。
【0017】上記イオン性架橋物を得る方法として、例
えば、共重合体を適当な溶媒に溶かして、このポリマ
ー溶液中にカチオン供給体又はその溶液を添加してイオ
ン性架橋反応を起こさせる方法、重合工程後のラテッ
クスにカチオン供給体又はその溶液を添加する方法、
未反応エポキシ樹脂に共重合体の粉体を添加して接着剤
を混合調製する過程でカチオン供給体を添加する方法な
どがある。これらのいずれの方法も本発明のイオン性架
橋物を得る方法として利用可能であるが、特に取扱性と
分散効率上からはのラテックス添加方法が簡便であり
有用である。このようにして得られた(A)成分のイオ
ン性架橋物は、硫黄架橋やパーオキサイド架橋などの共
有結合の架橋構造と異なり、熱可逆的に架橋構造の形成
が変化するため、イオン架橋によって改質された樹脂粒
子の表面は、室温では架橋された構造の性質を示し、一
方、加熱硬化の成形条件下では架橋が解離した構造での
性質を示し、その結果本発明組成物は貯蔵安定性と成形
物の機械的強度とを兼ね備えた特徴を有している。
【0018】すなわち、本発明においては、架橋剤とし
てのカチオンが、樹脂粒子のシェル部を構成する共重合
体の側鎖として存在するカルボキシル基間にイオン性架
橋を形成させ、該樹脂粒子のシェル部に形成した三次元
ポリマー構造によって、エポキシ樹脂媒体による室温で
の膨潤性を低下させ、基体となるポリマーと分散媒との
加熱硬化物が本来の物性を損なうことなく、該組成物の
貯蔵安定性を改善させたものである。なお、本発明はイ
オン架橋性ポリマーの特性を樹脂分散体の貯蔵安定化の
技術分野に応用したものであり、本発明の原理は樹脂分
散体技術に普遍的に有効なものであり、樹脂の種類に拘
わらずこの接着剤用途の樹脂粒子すべてに適用すること
ができる。また、該樹脂粒子は、膨潤性を低下させるた
めには、少なくともシェル部のポリマーにイオン架橋構
造を設ければ、目的を達成することができるが、所望に
より該樹脂粒子のコア部にもイオン架橋構造を設けるこ
とも成形品の物性に応じて適宜採用することができる。
【0019】本発明組成物において、(A)成分として
用いられるコアシェル型樹脂粒子は、例えば乳化重合
法、微細懸濁重合法及び懸濁重合法によって製造するこ
とができる。また、0.1〜5μm程度の大きさの微粒
子表面の改質を効果的にグラフト重合によって行うに
は、主に乳化重合法又は微細懸濁重合法により得た粒子
を凝集させたものに、前記したように、カルボキシル基
含有単量体を含む所要の単量体を共重合させてシェル部
にカルボキシル基を含有させ、イオン架橋するのが有効
である。カルボキシル基含有単量体は、基体となるポリ
マーの単量体と同時に反応器に仕込んで重合する場合
と、基体の単量体の反応後期に追添加する場合と、基体
の単量体の反応中に分割して添加する場合とがあり、こ
れらは使用する単量体の組合せによって、それぞれ特有
の反応性比に従い適宜好適な方法を採用することができ
る。本発明組成物において、(B)成分として用いられ
るビスフェノールAから誘導されるエポキシ樹脂の例と
しては、一般式[1]
【0020】
【化1】
【0021】で表されるものを挙げることができる。ま
た、ビスフェノールFから誘導されるエポキシ樹脂の例
としては、一般式[2]
【0022】
【化2】
【0023】で表されるものを挙げることができる。こ
の一般式[1]及び一般式[2]におけるnは0以上の
数であるが、平均値として1未満のものが常温において
液状であり好適である。上記一般式[1]及び一般式
[2]の樹脂を混合して用いることができるほかに、上
記一般式[1]又は一般式[2]のビスフェノール連鎖
部分としてビスフェノールA単位とビスフェノールF単
位とが混合した連鎖のものも好適に使用することができ
る。また、ビスフェノールA及び/又はビスフェノール
Fにエチレンオキシド又はプロピレンオキシドをそれぞ
れ2〜20モル付加した化合物から誘導されるエポキシ
樹脂も使用することができる。本発明組成物において、
(C)成分として用いられるエポキシ樹脂用熱活性型硬
化剤としては、例えばジシアンジアミド、4,4'−ジア
ミノジフェニルスルホン、2−n−ヘプタデシルイミダ
ゾールのようなイミダゾール誘導体、イソフタル酸ジヒ
ドラジド、N,N−ジアルキル尿素誘導体、N,N−ジア
ルキルチオ尿素誘導体、テトラヒドロ無水フタル酸のよ
うな酸無水物、イソホロンジアミン、m−フェニレンジ
アミン、N−アミノエチルピペラジン、メラミン、グア
ナミン、三フッ化ホウ素錯化合物、トリスジメチルアミ
ノメチルフェノールなどが挙げられ、これらは1種用い
てもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、
これらの中で、特にジシアンジアミドが好適である。
【0024】この(C)成分の熱活性型硬化剤の配合量
は、特に限定されるものではないが、通常(B)成分の
エポキシ樹脂100重量部に対して3〜30重量部、好
ましくは5〜20重量部の割合である。この量が、3重
量部未満では硬化不良を起こして、各接着強度を著しく
低減させる原因となり、30重量部を越えると成形時の
過剰な発熱反応に伴い部分的な分解や熱劣化を起こし、
各接着強度の顕著な低下や変色を呈する結果となる。本
発明のエポキシ樹脂系接着性組成物は、(B)成分のエ
ポキシ樹脂に、(A)成分のイオン架橋化樹脂粉末粒
子、(C)成分の熱活性型硬化剤及び所望に応じて用い
られる添加成分を配合し、均質に混合することにより調
製することができる。該接着性組成物に所望に応じて配
合される添加成分としては、例えば可塑剤、希釈剤、安
定剤、乳化剤、充填剤、強化剤、着色剤、発泡剤、酸化
防止剤、紫外線防止剤、滑剤などが挙げられる。本発明
のエポキシ樹脂系接着性組成物は、接着剤としての用途
はもちろんのこと、塗料、シール剤、発泡製品などに利
用可能で、特に加熱成形される前に、室温で1カ月ない
し2年程度貯蔵又は放置される可能性のある加工用途に
ついて好適に用いられる。なお、該接着性組成物に
(A)成分として用いられるイオン架橋化樹脂粉末粒子
は、各種熱可塑性重合体やそれらの低分子量物や未加硫
ゴム、各種熱硬化性重合体の前駆物質などとの複合材料
として新しい機能を付加することも可能である。
【0025】
【実施例】次に、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定され
るものではない。なお、組成物の物性は次に示す方法に
より評価した。 (1)粘度特性 接着性組成物調製直後の粘度と、40℃で14日間放置
後の粘度を、Brookfield−H型粘度計で測定
した。また、熟成係数は、14日後の粘度を初期粘度で
除した数値により示した。 (2)衝撃剥離強度、引張剪断強度 衝撃剥離強度はJIS K-6855に、引張剪断強度は
JIS K-6850にそれぞれ準じて、冷延鋼板の未処
理品に施工し、180℃、30分の硬化条件で作成した
試料を用いて測定した。 (3)疑似硬化性 110℃で5分間加熱してゲル化させ、剥離除去性を求
め、次の判定基準に従って評価した。 ○:ゲル化した接着性組成物が容易に剥離できたもの △:ゲル化した接着性組成物の強度が弱く、除去段階で
ちぎれたもの ×:110℃、5分間の加熱で疑似硬化しないもの
【0026】実施例1 n−ブチルアクリレート47重量部を炭素数12〜18
のソジウムアルキルサルフェート1.0重量部を乳化剤
として、過硫酸カリウム触媒0.1重量部を添加し、水
150重量部中で重合温度70℃にて180分間撹拌し
て乳化重合を行い、ポリn−ブチルアクリレートのコア
部微粒子分散重合液を製造し、続いて、この重合液にメ
チルメタクリレート47重量部を180分間要して連続
的に添加してコア部微粒子の表面にシェル部を形成する
コア/シェル乳化重合を行った。該重合において、前記
メチルメタクリレートの重合が50%に達した時点で、
メタクリル酸5重量部及び架橋剤のTEGDMA(テト
ラエチレングリコールジメタクリレート)1重量部を連
続的に添加して、共重合を完結させた。重合後のラテッ
クスに、水酸化カリウムを1wt%水溶液で室温にて2重
量部添加し、30分間撹拌した。次いでこれを、150
℃の熱風を用いて噴霧乾燥して補強剤樹脂粒子を得た。
このようにして得られた補強剤樹脂粒子と液状ビスフェ
ノールA型エポキシ樹脂と硬化剤のジシアンジアミドと
を、第1表に示す割合でプラネタリーミキサーを用いて
室温で混合し、接着性組成物を調製した。この接着性組
成物について、各物性を測定した。その結果を第1表に
示す。
【0027】比較例1 実施例1と同様の重合を行い、得られた共重合体ラテッ
クスに水酸化カリウムを添加せず、以下、実施例1と同
様に乾燥及び混合して接着性組成物を調製し、各物性を
測定した。その結果を第1表に示す。 実施例2、3 実施例1と全く同一の重合を行い、得られた共重合体ラ
テックスに、二価のカチオン供給体として、実施例2の
場合は酢酸カルシウムを、実施例3の場合は酢酸亜鉛を
それぞれ1wt%水溶液で2重量部添加し、以下、実施例
1と同様に乾燥及び混合して接着性組成物を調製して各
物性を測定した。その結果を第1表に示す。
【0028】比較例2 実施例1と全く同一の重合を行い、得られた共重合体ラ
テックスに、三価のカチオン供給体として、水酸化アル
ミニウムを1wt%水溶液で2重量部添加し、以下、実施
例1と同様に乾燥及び混合して接着性組成物を調製し、
各物性を測定した。その結果を第1表に示す。 比較例3 実施例1と全く同一の重合を行い、得られた共重合体ラ
テックスに、一価の非金属系カチオン供給体として、水
酸化アンモニウムを1wt%水溶液で2重量部添加し、以
下、実施例1と同様に乾燥及び混合して接着性組成物を
調製し、各物性を測定した。その結果を第1表に示す。
【0029】比較例4 n−ブチルアクリレート49.5重量部を、炭素数12
〜18のソジウムアルキルサルフェート1.0重量部を
乳化剤として、実施例1と同様の重合条件の乳化重合法
により重合して、ポリn−ブチルアクリレートのコア部
微粒子の乳化重合液を製造し、続いて、この重合液にメ
チルメタクリレート49.5重量部を180分間要して
連続的に添加して、コア部微粒子の表面にシェル部を形
成するコア/シェル乳化重合を行った。該重合におい
て、前記メチルメタクリレートの添加量が50%に達し
た時点で、TEGDMA1重量部を連続的に添加して、
共重合を完結させた。重合後のラテックスに、水酸化カ
リウムを1wt%水溶液で2重量部添加し、これを噴霧乾
燥して補強剤樹脂粒子を得た。この補強剤樹脂粒子を用
い、実施例1と同一の操作によって接着性組成物を調製
し、各物性を測定した。その結果を第1表に示す。
【0030】実施例4、5 実施例1と全く同様にしてコア部の重合を行い、続いて
シェル部の重合を行うに当たり、メチルメタクリレート
の添加量が50%に達した時点で、実施例4の場合はマ
レイン酸、実施例5の場合はアクリル酸をそれぞれ5重
量部及びTEGDMA1重量部を連続的に添加して、実
施例1と同じ条件で重合して、実施例1とカルボン酸単
量体の種類の異なる共重合体ラテックスを得た。この共
重合体ラテックスに、水酸化カリウムを1wt%水溶液で
室温にて2重量部添加し、実施例1と同じ操作によっ
て、噴霧乾燥と接着性組成物の調製を行い、該組成物の
各物性を測定した。その結果を第1表に示す。
【0031】比較例5 実施例1において、架橋剤成分を用いなかったこと以外
は、実施例1と全く同様にして実施した。その結果を第
1表に示す。 実施例6、7 実施例1と全く同様にしてコア部の重合を行い、続いて
シェル部の重合を行うに当たり、メチルメタクリレート
の添加量が50%に達し、メタクリル酸を添加する時点
で、実施例4の場合はトリアリルトリメリテートを、実
施例5の場合はトリメチロールプロパントリメタクリレ
ートを架橋剤としてそれぞれ1重量部併用して、実施例
1と架橋剤の種類の異なる共重合体ラテックスを得た。
この共重合体ラテックスに、水酸化カリウムを1wt%水
溶液で室温にて2重量部添加し、実施例1と同じ操作に
よって、噴霧乾燥と接着性組成物の調製を行い、該組成
物の各物性を測定した。その結果を第1表に示す。
【0032】実施例8 実施例1において、コア部の重合に用いたn−ブチルア
クリレートの代りに、2−エチルヘキシルアクリレート
を用いた以外は、実施例1と全く同様にして実施した。
その結果を第1表に示す。 比較例6、7 比較例6は実施例1でのコア部の重合を行わず、いきな
りシェル部の重合をメチルメタクリレートとメタクリル
酸とTEGDMAを用いて乳化共重合を行った。重合は
比較的容易にできたが第1表に記載のように剥離強度は
最低となった。また、比較例7は反対にシェル部の重合
を行わず、n−ブチルアクリレートとメタクリル酸とT
EGDMAの共重合体ラテックスを作製し、以下は実施
例1と同じくカチオン供給体添加、噴霧乾燥、接着性組
成物調製を行い、同一の評価を行った。比較例7の場合
は噴霧乾燥が容易でないために、緩慢な乾燥条件とし
た。比較例7の場合は全く疑似硬化性が見られず、その
他の結果は第1表に示した。
【0033】比較例8 実施例1において、シェル部の重合用単量体としてメチ
ルメタクリレートの代りに、n−ブチルメタクリレート
を使用した以外は、実施例1と全く同様にして実施し
た。その結果を第1表に示す。 実施例9、10 アクリル系コア/シェル型補強剤樹脂粒子の重合につい
ては実施例1と全く同様に行った。得られた重合体ラテ
ックスへのカチオン供給体添加と噴霧乾燥も実施例1と
同様に行った。この後の接着性組成物を調製する段階で
使用するエポキシ樹脂の配合について、実施例1のビス
フェノールA型エポキシ樹脂の30%を、実施例9の場
合にはエチレンオキシドを3モルずつビスフェノールA
の両水酸基に付加した化合物とエピクロルヒドリンをモ
ル比2/1の割合で反応させたエポキシ樹脂と置換し、
同じく実施例10の場合はプロピレオキシドを3モルず
つビスフェノールAの両水酸基に付加した化合物とエピ
クロルヒドリンをモル比2/1の割合で反応させたエポ
キシ樹脂と置換して用いた。性能評価も実施例1と同様
に行い、結果は第1表に示した。
【0034】実施例11〜13 アクリル系コア/シェル型補強剤樹脂粒子にカチオンを
付加して、エポキシ樹脂中でイオン架橋の性質を発現さ
せる際に無機塩の存在の影響を調べた。実施例1と同様
に接着性組成物を調製するに当たり、新たに充填剤とし
てタルク、炭酸カルシウム、シリカをそれぞれ25重量
部ずつ添加したのが実施例11、12、13で評価結果
は第1表に示した。 比較例9、10 アクリル系コア/シェル型補強剤樹脂粒子を作製する際
のコアとシェルの各単量体成分の添加比を変えたもの
で、実施例1のコア/シェル=47/47重量部に対し
て、コア/シェル=90/4重量部が比較例9で、比較
例10はコア/シェル=14/80重量部としたもので
ある。メタクリル酸やTEGDMAやカチオン供給体の
添加量は実施例1と同様で、噴霧乾燥、接着性組成物の
調製についても実施例1と全く同様に行い、評価結果は
第1表に示した。 実施例14 実施例1において、液状ビスフェノールA型エポキシ樹
脂の半量の100gを液状ビスフェノールF型エポキシ
樹脂[YDF−170、東都化成(株)製]に置換えた以
外は、実施例1と同様に行った。評価結果は第1表に示
した。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】
【表4】
【0039】
【表5】
【0040】
【表6】
【0041】注 1)TEGDMA:テトラエチレング
リコールジメタクリレート 2)TMPT:トリメチロールプロパントリメタクリレ
ート 3)エピコート828[油化シェルエポキシ(株)製] 4)YDF−170[東都化成(株)製]
【0042】
【発明の効果】本発明のエポキシ樹脂系接着性組成物
は、エポキシ樹脂未硬化媒体に、イオン架橋したアクリ
レート又はメタクリレート系重合体樹脂粉末粒子を分散
させたものであって、良好な疑似硬化性と熱硬化物の機
械的強度を有するとともに、長期間の貯蔵安定性に優れ
ており、特に加熱成形される前に、室温で1カ月ないし
2年程度貯蔵又は放置される可能性のある加工用途に好
適に用いられる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 芦田 正 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 大西 雅彦 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−123184(JP,A) 特開 平2−80483(JP,A) 特開 昭62−104888(JP,A)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)(a)ガラス転移温度が−30℃以
    下のアクリレート又はメタクリレート系重合体から成る
    コア成分と、(b)(イ)アクリレート又はメタクリレ
    ート系単量体と(ロ)カルボキシル基を有する炭素数3
    〜8のラジカル重合性不飽和カルボン酸単量体と(ハ)
    架橋性単量体とから得られたガラス転移温度が70℃以
    上の共重合体から成るシェル成分とから構成され、かつ
    コア成分/シェル成分重量比が10/1〜1/4の範囲
    にある共重合体樹脂粒子に一価又は二価の金属カチオン
    を付加してイオン架橋させた樹脂粉末粒子、(B)ビス
    フェノールA及び/又はビスフェノールFから誘導され
    たエポキシ樹脂、及び(C)エポキシ樹脂用熱活性型硬
    化剤を必須成分として含有して成るエポキシ樹脂系接着
    性組成物。
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