JP2844096B2 - 建造物における階段の構築方法 - Google Patents

建造物における階段の構築方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明は、床の構築に先行して階段を構築し、階段
と床を交互に構築することを目的とした建造物における
階段構築方法に関する。
(従来の技術) 従来、建造物に先行して階段を構築する方法として
は、二本の支柱を階段構築場所へ所定間隔で直立設置
し、この支柱間へ枠梁を上下所定間隔で介装設置すると
共に、夫々の支柱へ階段の上端部又は下端部を支える支
承梁の中央部を夫々水平に設置した後、前記各枠梁と二
本の支承梁間に引張力を付与して成形すると共に、各支
承梁の両端部と床上面又は支承梁相互間の距離を調整
し、全支持材の外形を正常に矯正することが提案されて
いた(特公昭58−36142号)。
(発明により解決すべき課題) 前記従来の構築方法においては、建造物と直結した作
業を要請されない反面、自立の為に多くの部材を必要と
すると共に、高層乃至超高層の建造物の階段の場合に
は、多大な資材と労力を必要とするので、事実上、高層
乃至超高層では採用し得ない問題点があった。
一方、建造物と同時構築の従来法では、現場作業にお
いて、上階建造に足場を仮設しなければならない問題点
があり、かつ階段と床との同時構築による精度の要請、
又は特殊技術の必要性など幾多の問題点があった。
(課題を解決する為の手段) そこでこの発明は、床の構築に先行して階段を構築す
ることにより、前記従来の問題点を解決したのである。
即ちこの発明は、階段の構築に当り、コンクリートの
打設が完了した床及び躯体を基準階とし、前記基準階の
踊場側の階段構築位置へ一対の受柱材の下端を所定間隔
で立設してある既設受柱材の上端又は基礎に連結し、前
記新たに連結した受柱材の上端は、次位の階の床構築予
定位置より上に突出する。
前記基準階のフロアー側の階段構築位置へ、一対の支
持杆を所定間隔で配設し、前記支持杆は夫々基準階の床
に立設固定する。前記支持杆は少なくとも一階上位の階
の床構築予定位置より上に突出させる。
次に新設の階段部材をフロアー側では、前記基準階の
床及び前記立設した支持杆に固定すると同時に、踊場側
では前記新設の階段部材の踊場側を前記新設した受柱材
に固定する。
次にフロアー側の次位の階で、前記新設した階段部材
のフロアー側を前記立設した支持杆に固定する。
ついで、次位の階でコンクリートを打設し、前記次位
の階の床及び躯体を構築し、前記新設の階段部材はフロ
アー側で次位の階の床と一体化する。
次に、前記立設した受柱材の中間部材は、前記上位の
階の躯体構築の際、梁部分に埋設し、前記躯体と前記立
設した受柱材を一体化する。
前記支持杆の固定を解除し、前記支持杆の上端を次々
位の階の床構築予定位置より上に突出するまで吊り上
げ、前記支持杆は前記基準階のフロアー側で、前記基準
階の床及び前記新設された段階部材と夫々固定する。
前記操作を順次繰返して、階段と床及び躯体とを各階
毎に順次上方へ構築することを特徴とした建造物におけ
る階段の構築方法である。
また、受柱材は断面コ形であり、階段部材の踊場側
と、前記受柱材の固定は、前記一対の受柱材に架設固定
した断面コ形の受梁材を介して固定することとしたもの
である。更に、階段部材のフロアー側と構築された床と
の固定は、フロアー側に立設した一対の支持杆に架設固
定された断面コ形の横杆を介して固定することとしたも
のである。
前記この発明によれば、新設した階段を順次使用して
資材などを運び上げることができると共に、階段構築時
に要する仮設材を著しく減少させることができる。
(作用) この発明は、階段部材のフロアー側に支持杆を立設
し、かつ逐次上方へ移動し、床と階段とを交互に構築す
るので、高層乃至超高層階段を容易に構築できる。その
際、同一支持杆を繰返し使用することができる。
また、踊場側の受柱材はコンクリート躯体内に埋込み
にしたので、階段が強固になる。
(実施例) 次にこの発明の実施例を図面について説明する。
コンクリートの打設が完了した床と躯体を基準階Aと
する。
前記基準階Aの階段取付け側の床1、踊場側の床2と
し、同様に次位の階A1の階段取付け側の床31、踊場側の
床32とし、次々位の階A2の階段取付け側の床41、踊場側
の床42とし、下位の階A0の階段取付け床21、踊場側の床
22とする。
前記基準階Aの踊場側の階段構築位置へ、一対の断面
コ字型の受柱材5、5の下端5b、5bを、所定間隔で立設
してある既設の受柱材25、25の上端部25a、25aに夫々連
結する。前記受柱材5、5の上端部5a、5aは次位の階の
前記床32の構築予定位置より上に突出させる。また、前
記一対の受柱材5、5には階段部材4の踊場側端部4aを
掛止固定する断面コ字型の受梁材6が架設固定してあ
る。
前記基準階Aの前記床1の段階構築位置へ、一対の支
持杆7、7を所定間隔で吊上げて配設し、前記支持杆
7、7は、夫々前記基準階Aの前記床1に固定された横
杆3及び下位の階の前記床21に固定された横杆23と夫々
ボルトで固定する。前記支持杆7、7は上部に次位の階
の前記床31及び階段部材4のフロアー側端部4cと固定す
る横杆33が架設され、ボルトで固定してある(第1図
(a)、(b))。
次に、新設の上、下二つの部材で構成された階段部材
4を吊下げ、前記階段部材4の踊場側端部4aは前記新設
された受柱材5、5に固定された前記受梁材6と掛止固
定する。また、前記階段部材4の基準階部のフロアー側
端部4bでは前記基準階Aの前記床1の前記横杆3と固定
する。また、前記階段部材4の次位の階のフロアー側の
端部4cでは、前記支持杆4に固定された、次位の階の前
記床31に固定する前記横杆33と固定する(第2図及び第
3図)。
ついで、次位の階で型枠を組み立て、コンクリートを
打設し、次位の階の前記床31、前記床32及びコンクリー
ト躯体を構築し、新しい基準階A1とする。前記新設の階
段部材4は次位の階のフロアー側端部4cで前記横杆33を
介して、次位の階の前記床31と一体化する。
この際、前記受柱材5、5は型枠内を縦貫し、次位の
階の梁34に埋設される(第3図及び第4図)。
次に、前記支持杆7、7と、前記基準階Aの前記横杆
3、下位の階(先の基準階A0)の前記横杆23、次位の階
の前記横杆33夫々のボルトによる結合をはずし、前記支
持杆7、7を吊上げる。そして、次々位の階の前記床41
に固定する横杆43を、前記支持杆7、7の上部所定位置
に架設し、ボルトで固定する。前記横杆43が次々位の階
の前記床41の階段設置予定位置に到達するまで、前記支
持杆7、7を吊上げる。次に、この位置で支持杆7、7
は前記基準階Aの前記床1に固定された前記横杆3及び
次位の階の前記床31に固定された前記横杆33とボルトで
固定する。そして、前記支持杆7、7の頂部は次々位の
階の前記床41の構築予定位置より上に突出させる(第4
図)。
前記一連の操作を繰返して、階段と床及びコンクリー
ト躯体とを交互に各階毎に順次上方に構築する。尚、最
下階での階段の構築に際しては、前記受柱材5、5は所
定間隔で基礎に連結する。
ここで、前記支持杆7、7は、比較的軽量で剛性が大
きく、前記横杆3とボルトによる取付け、及び取外しが
容易で、かつ容易に吊上げ可能な形状や構造が望まし
く、例えばH型鋼等が考えられる。
また、実施例では床の構築に先行する階段の構築を1
階分としたが、前記支持杆7、7の長さを階高の2倍分
長くすれば、床の構築に先行する階段の構築を2階分と
することも可能である。
また、階段部材4及び支持杆7、7の吊下げ、吊上げ
はクレーン又は特願昭63−111978号記載の資材扛重機等
が考えられる。
(発明の効果) この発明は、支持杆及び受柱材を用いて、階段部材を
床の構築に先行して仮設固定し、床と階段を交互に、か
つ逐次構築するので、床に先行した階段は次位の階の資
材等の運搬又は床型枠の組み立て等に使用し得る効果が
ある。
また、支持杆のみを組み返し利用し、階段部材は勿
論、受柱材、受梁材、横杆等はコンクリート躯体に埋設
あるいは固定していくので、仮設用資材が少なくてす
み、高層でも超高層でも同一の支持杆で階段の構築が可
能となる効果がある。従って、下位から上位に構築する
際に、支持杆の固定解除と固定に要する労力、時間は著
しく少なくて済む効果がある。
また、踊場側の受柱材をコンクリート躯体梁内に埋設
したので、強固に階段部材が固定できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図乃至第4図はこの発明の実施例の一部正面図で、
第1図(a)は基準階Aまでの構築図、第1図(b)は
踊場側に受柱材を立設した踊場側の部分構築図、第2図
は基準階Aに下階段を構築した図、第3図は基準階Aに
上、下階段を構築した図、第4図は新基準階A1を構築し
た図、第5図は同じく一部拡大平面図である。 3……横杆(基準階A)、4……階段部材 5……受柱材、6……受梁材、7……支持杆 23……横杆(基準階A0) 33……横杆(基準階A1) 43……横杆(基準階A2

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次の各工程を順次行うことを特徴とした建
    造物における階段の構築方法 (ア)コンクリートの打設が完了した床及び躯体を基準
    階とし、前記基準階の踊場側の階段構築位置へ一対の受
    柱材の下端を所定間隔で立設してある既設受柱材の上端
    又は基礎に連結し、前記新たに連結した受柱材の上端
    は、次位の階の床構築予定位置より上に突出する。 (イ)前記基準階のフロアー側の階段構築位置へ、一対
    の支持杆を所定間隔で配設し、前記支持杆は夫々基準階
    の床に立設固定する。前記支持杆は少なくとも一階上位
    の階の床構築予定位置より上に突出させる。 (ウ)次に新設の階段部材をフロアー側では、前記基準
    階の床及び前記立設した支持杆に固定すると同時に、踊
    場側では前記新設の階段部材の踊場側を前記新設した受
    柱材に固定する。 (エ)次にフロアー側の次位の階で、前記新設した階段
    部材のフロアー側を前記立設した支持杆に固定する。 (オ)ついで、次位の階でコンクリートを打設し、前記
    次位の階の床及び躯体を構築し、前記新設の階段部材は
    フロアー側で次位の階の床と一体化する。 次に、前記立設した受柱材の中間部物は、前記上位の階
    の躯体構築の際、梁部分に埋設し、前記躯体と前記立設
    した受柱材を一体化する。 (カ)前記支持杆の固定を解除し、前記支持杆の上端を
    次々位の階の床構築予定位置より上に突出するまで吊り
    上げ、前記支持杆は前記基準階のフロアー側で、前記基
    準階の床及び前記新設された階段部材と夫々固定する。 (キ)前記操作を順次繰返して、階段と床及び躯体とを
    各階毎に順次上方へ構築する。
  2. 【請求項2】受柱材は断面コ形であり、階段部材の踊場
    側と、前記受柱材の固定は、前記一対の受柱材に架設固
    定した断面コ形の受梁材を介して固定することとした請
    求項1記載の建造物における階段の構築方法
  3. 【請求項3】階段部材のフロアー側と構築された床との
    固定は、フロアー側に立設した一対の支持杆に架設固定
    された断面コ形の横杆を介して固定することとした請求
    項1記載の建造物における階段の構築方法
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